JPH08269654A - 形状記憶合金部材の加工方法 - Google Patents

形状記憶合金部材の加工方法

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JPH08269654A
JPH08269654A JP9754595A JP9754595A JPH08269654A JP H08269654 A JPH08269654 A JP H08269654A JP 9754595 A JP9754595 A JP 9754595A JP 9754595 A JP9754595 A JP 9754595A JP H08269654 A JPH08269654 A JP H08269654A
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JP
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shape memory
memory alloy
alloy member
load
plastic deformation
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JP9754595A
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English (en)
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Kaisuke Shiroyama
魁助 城山
Kaneichiro Muto
兼一郎 武藤
Masayuki Nakamura
雅之 中村
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Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Techno Material Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Techno Material Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 形状記憶特性を付与された形状記憶合金部材
11の一部に、さらに潰し加工を施す場合に、形状記憶合
金部材11の加工すべき部位に金型21A、21Bで荷重を負
荷した状態で、その部位を形状記憶合金部材11の塑性変
形開始温度以上の温度に瞬間的に通電加熱する。 【効果】 形状記憶合金部材の加工部の近くが熱で軟化
することがなく、加工部付近の機械的強度が安定した製
品を得ることができる。プラスチック等の被覆を施した
形状記憶合金部材でも、被覆に悪影響を及ぼすことなく
加工を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、形状記憶特性または超
弾性特性を付与された形状記憶合金部材の一部に、潰し
加工や曲げ加工などを施す方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】形状記憶特性または超弾性特性を有するN
iTi系形状記憶合金部材を製造する際には、形状記憶
特性または超弾性特性を付与するための熱処理を施した
後に、さらにその一部に加工を施す必要がある場合があ
る。
【0003】例えば、携帯電話機のアンテナには、曲げ
変形し難くい特性が好まれて超弾性特性を有する形状記
憶合金線材が使用されているが、この超弾性特性を有す
るアンテナは次のようにして製造される。まず所定の
断面寸法に加工された長尺の形状記憶合金線材に全長に
わたって熱処理を施して超弾性特性を付与する。この
線材をアンテナに適する長さに切断して多数の形状記憶
合金部材を作る。個々の部材の一端側に潰し加工を施
して偏平部を形成する。この偏平部はアンテナを機器に
固定するために必要な部分である。最後にその偏平部
以外の部分にプラスチックを被覆する。プラスチックの
被覆は、形状記憶合金部材にプラスチックチューブを被
せるか、形状記憶合金部材を型に入れてプラスチックを
射出成形することにより行う。
【0004】また、アクチュエータ等に使用される形状
記憶合金製のトーションバーは、次のようにして製造さ
れる。まず所定の断面寸法に加工された長尺の形状記
憶合金線材に全長にわたって熱処理を施して形状記憶特
性を付与する。この線材をトーションバーに適する長
さに切断して多数の形状記憶合金部材を作る。個々の
部材の両端をほぼ直角に屈曲する。この屈曲部はトーシ
ョンバーの両端を機器に固定するために必要な部分であ
る。
【0005】以上のように形状記憶合金部材の製造に際
しては、形状記憶特性または超弾性特性を付与した後
に、その形状記憶合金部材の一部に、さらに潰し加工や
曲げ加工などを施す場合があるが、従来、この種の加工
は、加工すべき部分を焼鈍した後に行っている。その理
由は、焼鈍せずに、この種の加工を行うと、加工率20
%程度が限界であり(それ以上加工するとクラックが発
生しやすい)、十分な変形量が得られないためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来の方法で
は、焼鈍の際に、加工すべき部分だけでなく、その付近
にも焼鈍が及んでしまうため、加工した部分の近くに焼
鈍されて軟化した部分が残ってしまうことが多く、その
軟化部分が外力で曲がりやすくなったり、強度不足にな
ったりするという問題があった。
【0007】また形状記憶合金部材にはプラスチック被
覆が必要される場合が多いが、このようなプラスチック
被覆付きの形状記憶合金部材を製造する場合には、熱的
に弱いプラスチックの被覆工程を、形状記憶合金部材の
加工部位の焼鈍工程より後にしなければならないので、
短く切断された多数の形状記憶合金部材に1本1本被覆
を施す作業が必要となり、きわめて非能率的であった。
【0008】本発明の一つの目的は、形状記憶特性また
は超弾性特性を付与した形状記憶合金部材の一部に、さ
らに潰し加工や曲げ加工などを施す場合に、加工部分の
近くに強度的に弱い部分が残らないような加工方法を提
供することにある。本発明の他の目的は、形状記憶特性
または超弾性特性を付与した形状記憶合金部材に、被覆
を施す必要がある場合に、被覆を施した後に、形状記憶
合金部材の一部を加熱、加工することが可能な加工方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明は、形状記憶特性または超弾性特性を付与された
形状記憶合金部材の一部に、さらに加工を施す場合に、
前記形状記憶合金部材の加工すべき部位に荷重を負荷す
ると共に、その部位を前記形状記憶合金部材の塑性変形
開始温度以上の温度に瞬間的に加熱することを特徴とす
るものである。形状記憶合金部材の加工すべき部位の瞬
間的な加熱は、加工用の金型を電極として通電加熱する
ことにより行うことが好ましい。
【0010】本発明の加工方法を、形状記憶特性または
超弾性特性を付与されたNiTi系形状記憶合金部材の
一部に、さらに加工を施す場合に適用するときは、その
NiTi系形状記憶合金部材の常温での塑性変形開始荷
重より小さく、700℃での塑性変形開始荷重より大き
い荷重を選定し、この荷重を前記形状記憶合金部材の加
工すべき部位に負荷した状態で、その部位を300〜7
00℃の範囲内の温度であって前記形状記憶合金部材の
塑性変形開始温度以上の温度に瞬間的に加熱することこ
とが望ましい。
【0011】
【作用】形状記憶特性または超弾性特性を付与された形
状記憶合金部材の一部を塑性変形させる場合には、温度
が高いほど、塑性変形に必要な荷重は小さくて済む。し
たがって、形状記憶合金部材の加工すべき部位に荷重を
負荷した状態で、その部位を急速に加熱すると、その部
位が塑性変形開始温度以上になったときに急速に塑性変
形が進み、比較的小さな荷重で大きな塑性変形量を得る
ことができる。またこのときの加熱時間はきわめて短時
間でよいので、加熱による材料の軟化が加工部以外に広
がることがなく、加工部付近の強度低下を実質的になく
すことができる。特に加工用の金型を電極として通電加
熱する方法は、加熱範囲が金型に接触する範囲にほぼ限
定されるため、加工部付近の強度低下をほぼ確実に防止
することができる。
【0012】本発明の加工方法をNiTi系形状記憶合
金部材の局部加工に適用する場合につき、さらに具体的
に説明すると、次のとおりである。形状記憶特性または
超弾性特性を付与されたNiTi系形状記憶合金部材
は、温度が高くなるほど小さい荷重で塑性変形させるこ
とが可能である。形状記憶合金部材の加熱温度を一定に
して、荷重を大きくしていくと、塑性変形が急に進行し
始める荷重が存在する。この荷重を、ここでは、その温
度での「形状記憶合金部材の塑性変形開始荷重」とい
う。形状記憶合金部材の塑性変形開始荷重は、図1のよ
うに温度が高くなるほど小さくなる傾向がある。塑性変
形開始荷重以上では形状記憶合金部材を容易に大きく塑
性変形させることが可能である。
【0013】また図1のグラフは別の見方をすれば、形
状記憶合金部材の荷重を一定にして、温度を高くしてい
くと、塑性変形が急に進行し始める温度が存在すること
を示す。この温度を、ここでは、その荷重での「形状記
憶合金部材の塑性変形開始温度」という。例えば図1で
荷重をPS に選定し、この荷重PS を形状記憶合金部材
に負荷した状態で、形状記憶合金部材の温度を上昇させ
ていくと、図2に示すように、ある温度TS で塑性変形
が急に進行し始める。この温度TS が塑性変形開始温度
である。塑性変形開始温度TS 以上では形状記憶合金部
材を容易に大きく塑性変形させることが可能である。
【0014】このときの形状記憶合金部材の塑性変形量
を所定の量に規制するためには、金型またはそのホルダ
ー等に、形状記憶合金部材の変形量が所定の限度に達す
ると、それ以上変形が進まないようにするストッパーを
設けておけばよい。
【0015】本発明において、NiTi系形状記憶合金
部材の加工すべき部位に負荷する荷重は、NiTi系形
状記憶合金部材の常温での塑性変形開始荷重より小さく
選定される。その理由は、形状記憶合金部材をできるだ
け小さい荷重で無理なく加工するためである。また上記
荷重は形状記憶合金部材の700℃での塑性変形開始荷
重より大きく選定される。その理由は、NiTi系形状
記憶合金が焼鈍状態とならない700℃未満の温度で加
工を行うためである。NiTi系形状記憶合金は700
℃以上に加熱すると焼鈍状態となり、加工組織が消失し
て、高い機械的強度を得ることができない。
【0016】本発明においては、上記のように選定され
た荷重を加工部位に負荷した状態で、その部位を300
〜700℃の範囲内の温度であって前記形状記憶合金部
材の塑性変形開始温度以上の温度に瞬間的に加熱する。
この加熱により形状記憶合金部材は軟化し、すでに負荷
されている荷重で容易に塑性変形する。加熱温度を70
0℃以下にするのは前記と同じ理由であり、300℃以
上にするのは、300℃未満では形状記憶合金部材の軟
化が不十分で、塑性変形させるのに無理がかかるからで
ある。
【0017】NiTi系形状記憶合金部材の加工すべき
部位を急速に加熱する手段としては、特に加工用の金型
を電極として通電加熱する方法を採用することが望まし
い。この方法によると、加熱範囲が金型に接触する範囲
にほぼ限定されるため、加工部付近の強度低下をほぼ確
実に防止することができる。
【0018】本発明の加工方法は、形状記憶合金部材の
加熱が局部に限定されるので、形状記憶合金部材が、加
工すべき部位の付近に、熱軟化性、熱劣化性または可燃
性の物質からなる被覆を有している場合でも、その物質
に悪影響を及ぼすことなく加工を行うことができる。こ
れは、プラスチック等の被覆が施された形状記憶合金部
材に、局部的な加熱、加工が行えることを意味する。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕図3ないし図5は本発明の一実施例を示
す。図において、11は加工すべき形状記憶合金部材で
ある。形状記憶合金部材11は、長尺な形状記憶合金線
材に熱処理を施して形状記憶特性または超弾性特性を付
与した後、その線材を所要の長さに切断することにより
得られる。記憶形状は直線状だけでなく、半円状やリン
グ状であってもよい。この実施例は形状記憶合金部材1
1の端部に、図5(イ)(ロ)に示すように偏平部13
を形成するための潰し加工を行うものである。偏平部1
3は例えば形状記憶合金部材11が携帯電話機のアンテ
ナとして使用される場合は、アンテナを電話機に固定す
るのに必要な部分となる。
【0020】図3において、15はプレス台、17は荷
重負荷用のエアシリンダ、19A、19Bは金型ホル
ダ、21A、21Bは超硬合金製の金型である。金型2
1A、21Bの基部は金型ホルダ19A、19Bに圧入
され、ろう付け等により固定されている。金型ホルダ1
9A、19Bにはリード線23とスイッチ25を介して
電源27が接続されている。
【0021】加工に際しては、まず形状記憶合金部材1
1の端部の加工すべき部位を、金型21A、21Bの間
に設置し、エアシリンダ17により形状記憶合金部材1
1に荷重をかける。この荷重は、NiTi系形状記憶合
金部材11の常温での塑性変形開始荷重より小さく(す
なわち弾性変形範囲内の荷重で)、700℃での塑性変
形開始荷重より大きい荷重に選定される。
【0022】この状態で、スイッチ25を短時間だけオ
ンにし、金型21A、21Bに挟まれた形状記憶合金部
材11を瞬間的に通電加熱する。このときの通電時間
は、加熱温度が、300〜700℃の範囲内で形状記憶
合金部材の塑性変形開始温度以上の温度になるように設
定される。これにより形状記憶合金部材11の金型21
A、21Bに挟まれた部位は瞬時に軟化し、予め負荷さ
れた荷重により図4のように押し潰される。このときの
変形量は、金型ホルダ19A、19B間に設置されたス
トッパー(図示せず)により一定に規制される。この
後、金型21A、21Bを開けば、図5に示すような偏
平部13を有する形状記憶合金部材11を得ることがで
きる。
【0023】以上の方法によると、金型21A、21B
に挟まれた部分以外はほとんど加熱されないので、偏平
部13の付近が軟化することがなく(偏平部13は加工
硬化する)、偏平部13付近の強度低下を防止できる。
【0024】次に本実施例の加工方法を採用した、携帯
電話機のアンテナの試作例を説明する。まず0.9mm
φのNiTi系形状記憶合金線材を製造し、この線材に
直線形状を記憶させる熱処理(500℃×3分)を施し
て超弾性特性を付与した。この線材は、そのまま潰し加
工をすれば、加工率20〜30%でクラックが発生して
しまうので、そのままの加工は不可能である。
【0025】次にこの線材に全長にわたってプラスチッ
クを押出被覆した後、所定の長さに切断し、多数の被覆
付き形状記憶合金部材を製造した。次に個々の被覆付き
形状記憶合金部材の一端側の被覆を長さ7mmだけはぎ
取った。その後、形状記憶合金部材の露出部分のほぼ中
央部を、幅3mmの超硬合金金型を用いて、本実施例の
方法で、厚さ0.45mmに潰した。このとき形状記憶
合金部材にかけた荷重は480kgf、印加電圧は2.
4V、通電加熱時間は0.2秒間である。この条件で瞬
時に潰し加工が完了し、プラスチック被覆の損傷はなか
った。得られたアンテナの端部を図6に示す。11はN
iTi系形状記憶合金部材、13は潰し加工で形成され
た偏平部、29はプラスチック被覆である。
【0026】また得られたアンテナの端部の縦断面の硬
さ分布を測定した。その結果は図7(イ)に示すとおり
であり(丸印が測定位置、その上の数値が硬さ)、偏平
部13の付近での軟化は認められなかった。これは、偏
平部13の付近も強度低下がなく、アンテナとして曲げ
変形に十分耐えられることを示している。
【0027】次に比較のため従来の方法による、携帯電
話機のアンテナの試作例を説明する。0.9mmφのN
iTi系形状記憶合金線材を製造し、この線材に熱処理
を施して超弾性特性を付与するところまでは上記試作例
と同じである。従来の方法では、このあと裸のままの線
材を所定の長さ切断して、多数の形状記憶合金部材を得
た。次に個々の形状記憶合金部材の、一端から長さ5m
mの部位のみをマイクロバーナーで約750℃に加熱し
て局部焼鈍を施した。その後、焼鈍部を幅3mmの超硬
合金金型で0.45mmまで潰した。このとき加工に要
する荷重は1100kgfであった。このあと従来の方
法ではプラスチック被覆を施すことになるが、これは省
略して、端部の縦断面の硬さ分布を測定した。その結果
は図7(ロ)に示すとおりであり、偏平部13の付近で
焼鈍による軟化が発生していることが分かる。
【0028】また本実施例の方法で加工したサンプルA
と、従来の方法で加工したサンプルBにつき、曲げ試験
を行った結果は次のとおりであった。曲げ試験は図8に
示すように7mmφの2本のロッド31A、31Bを4
0mmの間隔で平行配置し、その上に、偏平加工部が中
央に位置するようにサンプル11Sを載せ、その中央部
を7mmφのロッド33で押して曲げを加えた後、元に
戻すという試験である。サンプルAの試験結果を図9
に、サンプルBの試験結果を図10に示す。これよりサ
ンプルAは残留変位が小さく、曲げられても元に戻る性
質が優れていることが分かる。
【0029】また本実施例の方法で加工したサンプルA
と、従来の方法で加工したサンプルBにつき、巻き付け
試験を行った結果は次のとおりであった。巻き付け試験
は、25mmφのロッドに90°巻き付けて戻す操作を
1回として、これを繰り返し行うものである。サンプル
Bは約3回で破断したのに対し、サンプルAは5〜6回
耐えられることが確認された。
【0030】ところで、0.9mmφのNiTi系形状
記憶合金部材を、一定荷重の下で、通電加熱して、潰し
加工を行った場合の、偏平部の厚さと幅は、実験による
と図11のような関係になる。このときの、潰し長さは
3mm、荷重は800kgf、通電時間は0.3秒であ
る。図11によると、荷重と印加電圧の組み合わせを定
めれば、加工された偏平部の厚さと幅を推定することが
できるので、図11のようなグラフを準備しておけば、
潰し加工の際の条件設定を容易に行うことができる。実
際の加工ではストッパーを用いることで、加工条件に余
裕を持たせればよい。
【0031】〔実施例2〕図12ないし図14は本発明
の他の実施例を示す。この実施例は、図12に示すよう
な、形状記憶合金部材11よりなるトーションバーを製
造する例である。トーションバーは、直線形状を記憶さ
せた形状記憶合金部材11の両端部を直角に屈曲したも
のである。この屈曲部35を形成するのに本発明の加工
方法を適用する。この加工方法では、図13に示すよう
に、凹部36を有する下金型37Aと、その凹部36に
形状記憶合金部材11の一部を押し込んで屈曲する上金
型37Bを用いる。下金型37Aと上金型37Bはそれ
ぞれ、実施例1と同様にリード線23により電源に接続
されている。
【0032】加工に際しては、まず形状記憶合金部材1
1の端部の屈曲すべき部位を、下金型37Aの凹部36
に跨がるように設置し、上金型37Bで形状記憶合金部
材11に荷重をかける。この荷重は、NiTi系形状記
憶合金部材11の常温での塑性変形開始荷重より小さく
(すなわち弾性変形範囲内の荷重で)、700℃での塑
性変形開始荷重より大きい荷重に選定される。これによ
り形状記憶合金部材11は図13のように弾性変形す
る。
【0033】この状態で、電源スイッチを短時間だけオ
ンにし、金型37A、37Bに挟まれた形状記憶合金部
材11を瞬時に通電加熱する。このときの通電時間は、
加熱温度が、300〜700℃の範囲内の温度で形状記
憶合金部材の塑性変形開始温度以上の温度になるように
設定される。これにより形状記憶合金部材11の金型3
7A、37Bに挟まれた部位は瞬時に軟化し、予め負荷
された荷重により図14のように曲げられる。このとき
の曲げ変形量は、実施例1と同様、金型ホルダ間に設置
したストッパー(図示せず)で一定に規制することがで
きる。この後、金型37A、37Bを開けば、図12に
示すような屈曲部35を有する形状記憶合金部材11を
得ることができる。
【0034】以上の方法によると、金型37A、37B
に挟まれた部分以外はほとんど加熱されないので、屈曲
部35の付近が軟化することがなく(屈曲部35は加工
硬化する)、屈曲部35付近の強度低下を防止できる。
【0035】〔実施例3〕図15は本発明のさらに他の
実施例を示す。この実施例も、直線形状を記憶させた形
状記憶合金部材11の端部に屈曲部を形成する例である
が、実施例2と異なる点は、下金型39が絶縁板41の
両側に一対の超硬合金製金型部材43a、43bを一体
に結合したものからなり、上金型45が絶縁体からなる
ことである。下金型39が凹部36を有し、上金型45
が、その凹部36に形状記憶合金部材11の一部を押し
込んで屈曲する形になっていることは実施例2と同様で
ある。
【0036】下金型39の絶縁板41と上金型45は例
えばセラミック等で構成することができる。下金型39
の金型部材43a、43bはそれぞれリード線23によ
り電源に接続されている。以上のような下金型39と上
金型45を用いても、実施例2と同様の屈曲加工を行う
ことができる。
【0037】〔実施例4〕図16ないし図18は本発明
のさらに他の実施例を示す。この実施例は、形状記憶合
金部材11の末端に面取り加工を施す例である。この加
工方法では、図16(イ)(ロ)に示すようなダイス4
5を用いる。このダイス45は、セラミック等からなる
絶縁板47の両面に一対の超硬合金製ダイス部材49
a、49bを結合し、中心に円錐形凹部51を形成した
ものである。ダイス部材49a、49bそれぞれリード
線23により電源に接続されている。
【0038】加工に際しては、まず図17に示すように
ダイス45の円錐形凹部51に形状記憶合金部材11の
端部を挿入し、軸線方向の荷重をかける。この荷重は、
実施例1と同様に選定される。この状態で、電源スイッ
チを短時間だけオンにし、形状記憶合金部材11の端部
を瞬間的に通電加熱する。このときの通電時間も実施例
1と同様に設定される。これにより形状記憶合金部材1
1の端部は瞬時に軟化し、予め負荷された荷重により図
18のように塑性変形して、面取り部53が形成され
る。
【0039】以上の実施例では、形状記憶合金部材に最
初から加工に必要な荷重をかけることとしたが、荷重の
かけ方としては、最初に通電に必要な予備荷重をかけた
後、通電と同時または通電直後に加工に必要な荷重をか
けるという方法を採用することもでき、これも本発明の
範囲に含まれる。また以上の実施例ではNiTi系形状
記憶合金部材の加工について説明したが、本発明はそれ
以外の形状記憶合金部材の加工にも同様に適用可能であ
る。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、形
状記憶合金部材の加工部位を瞬間的に加熱すると同時に
加工を行うので、加工部の近くが熱で軟化することがな
く、加工部付近の機械的強度が安定した製品を得ること
ができる。またプラスチック等の被覆を施した形状記憶
合金部材でも、被覆に悪影響を及ぼすことなく加工を行
うことができる。このため被覆工程を形状記憶合金部材
の加工工程より前の段階で連続的に行うことが可能とな
り、大幅なコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 形状記憶合金部材を局部加工するときの塑性
変形が始まる温度と荷重の関係を示すグラフ。
【図2】 形状記憶合金部材を局部加工するときに荷重
を一定としたときの温度と変形量の関係を示すグラフ。
【図3】 本発明の第1の実施例における加工前の状態
を示す全体説明図。
【図4】 同実施例における加工中の状態を示す説明
図。
【図5】 同実施例で加工された形状記憶合金部材の端
部を示す(イ)は正面図、(ロ)は平面図。
【図6】 同実施例で加工された被覆付き形状記憶合金
部材の端部を示す(イ)は正面図、(ロ)は平面図。
【図7】 (イ)は同実施例で加工された形状記憶合金
部材の硬さ分布を示す説明図、(ロ)は従来方法で加工
された形状記憶合金部材の硬さ分布を示す説明図。
【図8】 形状記憶合金部材の加工部の曲げ試験方法を
示す説明図。
【図9】 同実施例で加工された形状記憶合金部材の曲
げ試験結果を示すグラフ。
【図10】 従来方法で加工された形状記憶合金部材の
曲げ試験結果を示すグラフ。
【図11】 同実施例で形状記憶合金部材を加工すると
きの印加電圧と、加工された部分の厚さ及び幅との関係
を示すグラフ。
【図12】 形状記憶合金部材よりなるトーションバー
を示す説明図。
【図13】 本発明の第2の実施例における通電前の状
態を示す説明図。
【図14】 同実施例における通電後の状態を示す説明
図。
【図15】 本発明の第3の実施例における通電前の状
態を示す説明図。
【図16】 本発明の第4の実施例に使用するダイスを
示す(イ)は縦断面図、(ロ)は底面図。
【図17】 同実施例における通電前の状態を示す説明
図。
【図18】 同実施例における通電後の状態を示す説明
図。
【符号の説明】
11:形状記憶合金部材 13:偏平部(加工部) 21A、21B:金型(潰し加工用) 23:リード線 25:スイッチ 27:電源 29:プラスチック被覆 35:屈曲部 37A、37B:金型(屈曲加工用) 45:ダイス(面取り加工用) 47:絶縁板 49a、49b:ダイス部材 51:円錐形凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 雅之 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形状記憶特性または超弾性特性を付与され
    た形状記憶合金部材の一部に、さらに加工を施す方法で
    あって、前記形状記憶合金部材の加工すべき部位に荷重
    を負荷すると共に、その部位を前記形状記憶合金部材の
    塑性変形開始温度以上の温度に瞬間的に加熱することを
    特徴とする形状記憶合金部材の加工方法。
  2. 【請求項2】形状記憶特性または超弾性特性を付与され
    たNiTi系形状記憶合金部材の一部に、さらに加工を
    施す方法であって、前記形状記憶合金部材の常温での塑
    性変形開始荷重より小さく、700℃での塑性変形開始
    荷重より大きい荷重を選定し、この荷重を前記形状記憶
    合金部材の加工すべき部位に負荷した状態で、その部位
    を300〜700℃の範囲内の温度であって前記形状記
    憶合金部材の塑性変形開始温度以上の温度に瞬間的に加
    熱することを特徴とするNiTi系形状記憶合金部材の
    加工方法。
  3. 【請求項3】形状記憶合金部材の加工すべき部位の瞬間
    的加熱を、加工用の金型を電極とする通電加熱により行
    うことを特徴とする請求項1または2記載の形状記憶合
    金部材の加工方法。
  4. 【請求項4】形状記憶合金部材の塑性変形量が所定の限
    度に達すると、それ以上塑性変形が進まないようにする
    ストッパーを設けることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれかに記載の形状記憶合金部材の加工方法。
  5. 【請求項5】形状記憶合金部材は、加工すべき部位の付
    近に被覆を有することを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれかに記載の形状記憶合金部材の加工方法。
  6. 【請求項6】形状記憶特性または超弾性特性を付与され
    た形状記憶合金線材に被覆を施し、この被覆付き線材を
    所要の長さに切断すると共に、加工すべき部位の被覆を
    はぎ取って被覆付き形状記憶合金部材を作製し、その
    後、請求項1または2の加工を行うことを特徴とする被
    覆付き形状記憶合金部材の加工方法。
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