JPH0826763A - 光ファイバおよびその製造方法 - Google Patents
光ファイバおよびその製造方法Info
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- JPH0826763A JPH0826763A JP6161059A JP16105994A JPH0826763A JP H0826763 A JPH0826763 A JP H0826763A JP 6161059 A JP6161059 A JP 6161059A JP 16105994 A JP16105994 A JP 16105994A JP H0826763 A JPH0826763 A JP H0826763A
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- JP
- Japan
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- core
- quartz glass
- optical fiber
- glass
- doped
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B37/00—Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
- C03B37/01—Manufacture of glass fibres or filaments
- C03B37/02—Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor
- C03B37/025—Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor from reheated softened tubes, rods, fibres or filaments, e.g. drawing fibres from preforms
- C03B37/027—Fibres composed of different sorts of glass, e.g. glass optical fibres
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B2201/00—Type of glass produced
- C03B2201/06—Doped silica-based glasses
- C03B2201/08—Doped silica-based glasses doped with boron or fluorine or other refractive index decreasing dopant
- C03B2201/12—Doped silica-based glasses doped with boron or fluorine or other refractive index decreasing dopant doped with fluorine
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03B—MANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
- C03B2201/00—Type of glass produced
- C03B2201/06—Doped silica-based glasses
- C03B2201/20—Doped silica-based glasses doped with non-metals other than boron or fluorine
- C03B2201/28—Doped silica-based glasses doped with non-metals other than boron or fluorine doped with phosphorus
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Geochemistry & Mineralogy (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
- Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 コアとクラッドの粘度差を小さくして、レー
リー散乱損失、赤外吸収損失が小さく、構造不完全性損
失の小さい低損失光ファイバを実現する。 【構成】 コア用石英ガラスをPドープ石英ガラスまた
はPとF共ドープ石英ガラスから構成するともにクラッ
ド用石英ガラスをPとF共ドープ石英ガラスから構成
し、前記コア用石英ガラスとクラッド用石英ガラスのう
ち粘度の高い方の石英ガラスの軟化点温度における両石
英ガラスの粘度の比を10:1以内とした。
リー散乱損失、赤外吸収損失が小さく、構造不完全性損
失の小さい低損失光ファイバを実現する。 【構成】 コア用石英ガラスをPドープ石英ガラスまた
はPとF共ドープ石英ガラスから構成するともにクラッ
ド用石英ガラスをPとF共ドープ石英ガラスから構成
し、前記コア用石英ガラスとクラッド用石英ガラスのう
ち粘度の高い方の石英ガラスの軟化点温度における両石
英ガラスの粘度の比を10:1以内とした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低損失光ファイバに関す
るものである。
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、単一モード光ファイバの損失α
は、
は、
【0003】
【数1】 α=A/λ4 +αIM+αIR+αOH (1) と表される。(1)式で、Aはレーリー散乱係数、αIM
は構造不完全性損失、αIRは赤外吸収損失、αOHはOH
吸収損失をそれぞれ表す。図1(a),(b),(c)
に示す構造の純石英コアとFドープ石英クラッドとから
なる光ファイバでは、コア1部分の粘度がクラッド2部
分の粘度よりも高いために、光ファイバ線引き時の張力
がコア1部分に集中し、αIMが大きくなることが知られ
ている。例えば、コア1として純石英ガラスを、クラッ
ド2としてΔF =−0.45%のFドープ石英ガラスを
用いた光ファイバでは、コア1とクラッド2の粘度の比
は、約20:1になる。この光ファイバの損失の線引き
張力依存性は、塙らによる論文[純シリカコア単一モー
ド光ファイバの線引き条件依存性](電子情報通信学
会、vol.J72−C−1,no.3,167−17
6頁,1989年)に報告されている。これによると、
約30gの張力で線引きした時の構造不完全性損失は、
約1dB/kmと大きな値になっている。
は構造不完全性損失、αIRは赤外吸収損失、αOHはOH
吸収損失をそれぞれ表す。図1(a),(b),(c)
に示す構造の純石英コアとFドープ石英クラッドとから
なる光ファイバでは、コア1部分の粘度がクラッド2部
分の粘度よりも高いために、光ファイバ線引き時の張力
がコア1部分に集中し、αIMが大きくなることが知られ
ている。例えば、コア1として純石英ガラスを、クラッ
ド2としてΔF =−0.45%のFドープ石英ガラスを
用いた光ファイバでは、コア1とクラッド2の粘度の比
は、約20:1になる。この光ファイバの損失の線引き
張力依存性は、塙らによる論文[純シリカコア単一モー
ド光ファイバの線引き条件依存性](電子情報通信学
会、vol.J72−C−1,no.3,167−17
6頁,1989年)に報告されている。これによると、
約30gの張力で線引きした時の構造不完全性損失は、
約1dB/kmと大きな値になっている。
【0004】伝送損失を下げるためには、αIMを小さく
するだけでなく、純石英ガラスに代って、レーリー散乱
係数Aが小さいか、または赤外吸収損失αIRが小さいガ
ラス材料を用いることも必要になる。このようなガラス
材料として、K.Tajimaらによる論文[Low
Rayleigh scattering P2 O5−
F−SiO2 glasses](IEE Journ
al of Lightwave Technolog
y,vol.10,no.11,1532−1535
頁,1993年)に報告されているPドープ石英ガラス
がある。Pドープ石英ガラスは、レーリー散乱損失が純
石英ガラスより小さく、赤外吸収損失は同程度である。
Pドープ石英ガラスをコア材として用いた光ファイバは
これまでに報告されているが、代表的なものとして、
1)コア材としてPドープ石英ガラスを用い、クラッド
材としてB(ホウ素)ドープ石英ガラスを用いたマルチ
モード光ファイバが、M.Horiguchiらによる
論文、[Spectral losses of lo
w−OH−content optical fibr
es](Electron.Lett.,vol.1
2,no.12,pp.310−312,1976)で
報告されており、また、2)コア材としてPドープ石英
ガラスを用い、クラッド材としてFドープ石英ガラスを
用いた単一モード光ファイバについては、K.Taji
maらによる論文、[Low Rayleigh sc
attering loss of P2 O5 −SiO
2 coresingle−mode fibre]
(Proc.Opt.Fiber.Commun.Co
nf.OFC’94,paper TUB2,199
4)で報告されている。前記1)の例の光ファイバ断面
図を図2の(a)に、屈折率分布を(b)に、粘度分布
を(c)にそれぞれ示す。この例ではレーリー散乱損失
は、純石英ガラスより小さくなっているが、クラッド2
の材料として用いられたBドープ石英ガラスの赤外吸収
損失が大きいため、最低損失が期待される波長1.5μ
m帯での損失は、1dB/km以上であった。また、P
ドープ石英ガラスでは、P−OHによる吸収損失が波長
1.55μm付近に生じるため、ガラス中に含まれるO
H基の量を低減する必要がある。Pドープ石英ガラスを
用いた光ファイバの製造方法として、前記M.Hori
guchiらによる論文では、MCVD法が用いられて
いる。この製造法で作製された光ファイバでは、波長
1.38μmに損失のピークを持つOH吸収損失が3d
B/km以上と大きいことも、波長1.55μmにおけ
る損失が1dB/km以上と大きい原因になっている。
前記2)の例の光ファイバ断面図を図3の(a)に、屈
折率分布を(b)に、粘度分布を(c)にそれぞれ示
す。この例でも、確かに、レーリー散乱損失が純石英ガ
ラスより小さくなっており、赤外吸収損失は純石英ガラ
スと同程度であるが、コア1とクラッド2の構造不整に
基づく損失が大きく、純石英コアファイバより低損失の
光ファイバは実現できていない。これは、図3の(c)
に示すように、クラッド2に用いたFドープ石英ガラス
とコア1に用いたPドープ石英ガラスの粘度の比が3
0:1以上であり、通常の単一モード光ファイバの場合
より大きいためと考えられる。
するだけでなく、純石英ガラスに代って、レーリー散乱
係数Aが小さいか、または赤外吸収損失αIRが小さいガ
ラス材料を用いることも必要になる。このようなガラス
材料として、K.Tajimaらによる論文[Low
Rayleigh scattering P2 O5−
F−SiO2 glasses](IEE Journ
al of Lightwave Technolog
y,vol.10,no.11,1532−1535
頁,1993年)に報告されているPドープ石英ガラス
がある。Pドープ石英ガラスは、レーリー散乱損失が純
石英ガラスより小さく、赤外吸収損失は同程度である。
Pドープ石英ガラスをコア材として用いた光ファイバは
これまでに報告されているが、代表的なものとして、
1)コア材としてPドープ石英ガラスを用い、クラッド
材としてB(ホウ素)ドープ石英ガラスを用いたマルチ
モード光ファイバが、M.Horiguchiらによる
論文、[Spectral losses of lo
w−OH−content optical fibr
es](Electron.Lett.,vol.1
2,no.12,pp.310−312,1976)で
報告されており、また、2)コア材としてPドープ石英
ガラスを用い、クラッド材としてFドープ石英ガラスを
用いた単一モード光ファイバについては、K.Taji
maらによる論文、[Low Rayleigh sc
attering loss of P2 O5 −SiO
2 coresingle−mode fibre]
(Proc.Opt.Fiber.Commun.Co
nf.OFC’94,paper TUB2,199
4)で報告されている。前記1)の例の光ファイバ断面
図を図2の(a)に、屈折率分布を(b)に、粘度分布
を(c)にそれぞれ示す。この例ではレーリー散乱損失
は、純石英ガラスより小さくなっているが、クラッド2
の材料として用いられたBドープ石英ガラスの赤外吸収
損失が大きいため、最低損失が期待される波長1.5μ
m帯での損失は、1dB/km以上であった。また、P
ドープ石英ガラスでは、P−OHによる吸収損失が波長
1.55μm付近に生じるため、ガラス中に含まれるO
H基の量を低減する必要がある。Pドープ石英ガラスを
用いた光ファイバの製造方法として、前記M.Hori
guchiらによる論文では、MCVD法が用いられて
いる。この製造法で作製された光ファイバでは、波長
1.38μmに損失のピークを持つOH吸収損失が3d
B/km以上と大きいことも、波長1.55μmにおけ
る損失が1dB/km以上と大きい原因になっている。
前記2)の例の光ファイバ断面図を図3の(a)に、屈
折率分布を(b)に、粘度分布を(c)にそれぞれ示
す。この例でも、確かに、レーリー散乱損失が純石英ガ
ラスより小さくなっており、赤外吸収損失は純石英ガラ
スと同程度であるが、コア1とクラッド2の構造不整に
基づく損失が大きく、純石英コアファイバより低損失の
光ファイバは実現できていない。これは、図3の(c)
に示すように、クラッド2に用いたFドープ石英ガラス
とコア1に用いたPドープ石英ガラスの粘度の比が3
0:1以上であり、通常の単一モード光ファイバの場合
より大きいためと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の問題点であるコアとクラッドの粘度差を小さくして、
レーリー散乱損失、赤外吸収損失が小さく、構造不完全
性損失の小さい低損失光ファイバを実現することにあ
る。
の問題点であるコアとクラッドの粘度差を小さくして、
レーリー散乱損失、赤外吸収損失が小さく、構造不完全
性損失の小さい低損失光ファイバを実現することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、まず光
ファイバ材料として、コアに、Pドープ、またはPとF
共ドープ石英ガラスを用いて、純石英ガラスに比べて、
レーリー散乱損失を小さくし、赤外吸収損失も純石英ガ
ラスと同程度に小さくしたことにあり、それにより、レ
ーリー散乱損失と赤外吸収損失の和で表される光ファイ
バ固有の損失をこれまでの純石英コアファイバよりも小
さくすることができる。次の特徴は、光ファイバのコア
とクラッドの粘度の差を小さくしたことにあり、これに
より、光ファイバ線引き時に発生する構造不完全性損失
を低減することができる。
ファイバ材料として、コアに、Pドープ、またはPとF
共ドープ石英ガラスを用いて、純石英ガラスに比べて、
レーリー散乱損失を小さくし、赤外吸収損失も純石英ガ
ラスと同程度に小さくしたことにあり、それにより、レ
ーリー散乱損失と赤外吸収損失の和で表される光ファイ
バ固有の損失をこれまでの純石英コアファイバよりも小
さくすることができる。次の特徴は、光ファイバのコア
とクラッドの粘度の差を小さくしたことにあり、これに
より、光ファイバ線引き時に発生する構造不完全性損失
を低減することができる。
【0007】本光ファイバを実現するためには、OH基
による吸収損失を低減する必要があることから、脱水工
程を完全にしなければならない。従来例で取り上げた、
MCVD法により作製した光ファイバでは、光ファイバ
中に残留するOH基の量が多いために、本光ファイバの
作製には適さない。本発明は、回転しながら引き上げら
れる出発部材の先端に、Pをドーパントとして含む石英
ガラス微粒子を堆積させながら成長させて、コア用石英
ガラス微粒子多孔質体を形成し、該コア用石英ガラス微
粒子多孔質体を高温の塩素雰囲気中で脱水する。次に、
このコア用石英ガラス微粒子多孔質体のPドーパント濃
度の分布に応じて、該多孔質体を適切に選択したフッ素
雰囲気中で加熱してガラス化し、PとFとが共ドープさ
れたコア用石英ガラスを作製する第二の工程と、Pおよ
びFをドーパントとして含むクラッド用石英ガラスを前
記コア用石英ガラスの外部に設けて光ファイバプリフォ
ームを作製する第三の工程と、該ファイバプリフォーム
を光ファイバに線引きする第四の工程とからなることを
特徴とする。Pドープ、またはPとFを共ドープした石
英ガラスからなるコアの外部に、PとFを共ドープした
石英ガラスをクラッドとして設ける工程においては、
1)コア用石英ガラスの外部に、クラッド用石英ガラス
パイプをかぶせた後、力を加えながら加熱して、一体化
し、光ファイバプリフォームを作製する方法、2)P、
またはPとFを共ドープした石英ガラスからなるコアの
外部に、PとFを共ドープした石英ガラスをクラッドと
して設ける工程において、コア用石英ガラス外部に、P
をドーパントとして含む石英ガラス微粒子を堆積させな
がら成長させて、クラッド用石英ガラス微粒子多孔質体
を形成し、高温の塩素雰囲気中で脱水した後、前記コア
用石英ガラスの粘度に応じて適切に選択したフッ素雰囲
気中で加熱することにより、前記コア石英ガラスを取り
囲むクラッド用石英ガラス微粒子多孔質体をガラス化
し、光ファイバプリフォームを作製する方法を特徴とす
る。なお、本発明において、コア用石英ガラスを作製す
る場合の適切に選択したフッ素雰囲気とは、コア用石英
ガラスが、PとF共ドープ石英ガラスである場合は例え
ばSiF4 (四フッ化ケイ素)ガスであり、Pドープ石
英ガラスである場合はフッ素分圧0の雰囲気を意味す
る。
による吸収損失を低減する必要があることから、脱水工
程を完全にしなければならない。従来例で取り上げた、
MCVD法により作製した光ファイバでは、光ファイバ
中に残留するOH基の量が多いために、本光ファイバの
作製には適さない。本発明は、回転しながら引き上げら
れる出発部材の先端に、Pをドーパントとして含む石英
ガラス微粒子を堆積させながら成長させて、コア用石英
ガラス微粒子多孔質体を形成し、該コア用石英ガラス微
粒子多孔質体を高温の塩素雰囲気中で脱水する。次に、
このコア用石英ガラス微粒子多孔質体のPドーパント濃
度の分布に応じて、該多孔質体を適切に選択したフッ素
雰囲気中で加熱してガラス化し、PとFとが共ドープさ
れたコア用石英ガラスを作製する第二の工程と、Pおよ
びFをドーパントとして含むクラッド用石英ガラスを前
記コア用石英ガラスの外部に設けて光ファイバプリフォ
ームを作製する第三の工程と、該ファイバプリフォーム
を光ファイバに線引きする第四の工程とからなることを
特徴とする。Pドープ、またはPとFを共ドープした石
英ガラスからなるコアの外部に、PとFを共ドープした
石英ガラスをクラッドとして設ける工程においては、
1)コア用石英ガラスの外部に、クラッド用石英ガラス
パイプをかぶせた後、力を加えながら加熱して、一体化
し、光ファイバプリフォームを作製する方法、2)P、
またはPとFを共ドープした石英ガラスからなるコアの
外部に、PとFを共ドープした石英ガラスをクラッドと
して設ける工程において、コア用石英ガラス外部に、P
をドーパントとして含む石英ガラス微粒子を堆積させな
がら成長させて、クラッド用石英ガラス微粒子多孔質体
を形成し、高温の塩素雰囲気中で脱水した後、前記コア
用石英ガラスの粘度に応じて適切に選択したフッ素雰囲
気中で加熱することにより、前記コア石英ガラスを取り
囲むクラッド用石英ガラス微粒子多孔質体をガラス化
し、光ファイバプリフォームを作製する方法を特徴とす
る。なお、本発明において、コア用石英ガラスを作製す
る場合の適切に選択したフッ素雰囲気とは、コア用石英
ガラスが、PとF共ドープ石英ガラスである場合は例え
ばSiF4 (四フッ化ケイ素)ガスであり、Pドープ石
英ガラスである場合はフッ素分圧0の雰囲気を意味す
る。
【0008】
【作用】本発明の特徴は、レーリー散乱損失、赤外吸収
損失の少ない、Pドープ石英ガラス、またはPとFを共
ドープした石英ガラスにより、光ファイバ断面内での粘
度を均一にすることにある。すなわち、Pドープ石英ガ
ラス、またはPとFを共ドープした石英ガラスにより、
純石英ガラスよりも小さいレーリー散乱損失が実現でき
る。また、赤外吸収損失は純石英ガラスと同程度にな
る。さらに、コア用の石英ガラスとクラッド用の石英ガ
ラスの粘度を一致させることにより、光ファイバ線引き
時に発生する構造不完全性損失を低減させることができ
る。これらの効果により純石英ガラスをコアに用いたこ
れまでの光ファイバより低損失の光ファイバを実現でき
る。
損失の少ない、Pドープ石英ガラス、またはPとFを共
ドープした石英ガラスにより、光ファイバ断面内での粘
度を均一にすることにある。すなわち、Pドープ石英ガ
ラス、またはPとFを共ドープした石英ガラスにより、
純石英ガラスよりも小さいレーリー散乱損失が実現でき
る。また、赤外吸収損失は純石英ガラスと同程度にな
る。さらに、コア用の石英ガラスとクラッド用の石英ガ
ラスの粘度を一致させることにより、光ファイバ線引き
時に発生する構造不完全性損失を低減させることができ
る。これらの効果により純石英ガラスをコアに用いたこ
れまでの光ファイバより低損失の光ファイバを実現でき
る。
【0009】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。
る。
【0010】P濃度とレーリー散乱係数との関係を図4
に示す。この関係はK.Tajimaらによる論文、
[Low Rayleigh scattering
P2 O5 −F−SiO2 glasses](IEEE
J.Lightwave Technol.,vo
l.10,no.11,pp.1532−1535,1
992)に示されている。Pのドープ量によって、レー
リー散乱係数が変化することは次のように説明できる。
一般に、レーリー散乱係数は、密度揺らぎと組成揺らぎ
との和で表される。ドープ量を増やすと軟化点温度は下
がるが、組成揺らぎが大きくなるために、レーリー散乱
係数は、あるところで最小値をとり、さらにPドープ量
が増えると、レーリー散乱係数は次第に大きくなる。P
とFを共ドープした石英ガラスのレーリー散乱係数につ
いても、K.Tajimaらによる上記論文に説明され
ている。それによると、図5に示すように、FをPドー
プ石英ガラスにドープしても、F添加によるレーリー散
乱係数の変化はほとんどない。また、赤外吸収損失は純
石英ガラスと同等であるため、PとFを共ドープした石
英ガラスは低損失光ファイバ材料として適している。
に示す。この関係はK.Tajimaらによる論文、
[Low Rayleigh scattering
P2 O5 −F−SiO2 glasses](IEEE
J.Lightwave Technol.,vo
l.10,no.11,pp.1532−1535,1
992)に示されている。Pのドープ量によって、レー
リー散乱係数が変化することは次のように説明できる。
一般に、レーリー散乱係数は、密度揺らぎと組成揺らぎ
との和で表される。ドープ量を増やすと軟化点温度は下
がるが、組成揺らぎが大きくなるために、レーリー散乱
係数は、あるところで最小値をとり、さらにPドープ量
が増えると、レーリー散乱係数は次第に大きくなる。P
とFを共ドープした石英ガラスのレーリー散乱係数につ
いても、K.Tajimaらによる上記論文に説明され
ている。それによると、図5に示すように、FをPドー
プ石英ガラスにドープしても、F添加によるレーリー散
乱係数の変化はほとんどない。また、赤外吸収損失は純
石英ガラスと同等であるため、PとFを共ドープした石
英ガラスは低損失光ファイバ材料として適している。
【0011】次に、P,Fのドープ量と粘度の関係につ
いて述べる。PまたはFを石英ガラスにドープすること
による単位比屈折率差当たりの粘度変化を比較してみよ
う。例えば、1150℃でのPドープ石英ガラスの比屈
折率差ΔP (ΔP =100×(nP −n0 )/n0
(%)、nP :Pドープ石英ガラスの屈折率、n0 :純
石英ガラスの屈折率)と粘度の関係は、図6のようにな
る。これから、Pの単位比屈折率差変化当たりの粘度変
化dlog(η)/dΔP を求めると、約8となる。一
方、Fドープ石英ガラスについては、M.Ohashi
らによる論文[Fluorine concentra
ion dependence of viscosi
ty in F−doped silica glas
s](Electron.Lett.,vol.28,
no.11,pp.1008−1010,1992)に
記載されているように、Fの単位比屈折率差変化当たり
の粘度変化dlog(η)/dΔF は約1となる。この
ように、Pの単位比屈折率差当たりの、粘度降下はFに
比べて非常に大きい。
いて述べる。PまたはFを石英ガラスにドープすること
による単位比屈折率差当たりの粘度変化を比較してみよ
う。例えば、1150℃でのPドープ石英ガラスの比屈
折率差ΔP (ΔP =100×(nP −n0 )/n0
(%)、nP :Pドープ石英ガラスの屈折率、n0 :純
石英ガラスの屈折率)と粘度の関係は、図6のようにな
る。これから、Pの単位比屈折率差変化当たりの粘度変
化dlog(η)/dΔP を求めると、約8となる。一
方、Fドープ石英ガラスについては、M.Ohashi
らによる論文[Fluorine concentra
ion dependence of viscosi
ty in F−doped silica glas
s](Electron.Lett.,vol.28,
no.11,pp.1008−1010,1992)に
記載されているように、Fの単位比屈折率差変化当たり
の粘度変化dlog(η)/dΔF は約1となる。この
ように、Pの単位比屈折率差当たりの、粘度降下はFに
比べて非常に大きい。
【0012】従来ファイバのなかで、純石英コア、Fド
ープ石英クラッドファイバの場合が最も、コア用石英ガ
ラスとクラッド用石英ガラスの粘度の比が大きい。例え
ば、1200℃付近でのコアとクラッドの粘度の比は、
約10:1であるが、光ファイバ線引き温度、光ファイ
バ引き取り速度等の、光ファイバ線引き条件を適当に調
節することにより、構造不完全性損失が0.01dB/
km以下の光ファイバが実現できる。例えば、これまで
に、得られた最も損失の低い光ファイバである、H.Y
okotaらによる論文[Ultra−low−los
s pure−silica−core single
−mode fiber and transmiss
ion experiment](Proc.Opt.
Fiber.Commun.Conf.OFC’86,
paper PD3,1986)に記載されている純石
英ガラスをコアとし、フッ素をドープした石英ガラスを
クラッドとした、単一モード光ファイバでは、構造不完
全性損失は0.01dB/km以下と非常に小さい値に
なっている。
ープ石英クラッドファイバの場合が最も、コア用石英ガ
ラスとクラッド用石英ガラスの粘度の比が大きい。例え
ば、1200℃付近でのコアとクラッドの粘度の比は、
約10:1であるが、光ファイバ線引き温度、光ファイ
バ引き取り速度等の、光ファイバ線引き条件を適当に調
節することにより、構造不完全性損失が0.01dB/
km以下の光ファイバが実現できる。例えば、これまで
に、得られた最も損失の低い光ファイバである、H.Y
okotaらによる論文[Ultra−low−los
s pure−silica−core single
−mode fiber and transmiss
ion experiment](Proc.Opt.
Fiber.Commun.Conf.OFC’86,
paper PD3,1986)に記載されている純石
英ガラスをコアとし、フッ素をドープした石英ガラスを
クラッドとした、単一モード光ファイバでは、構造不完
全性損失は0.01dB/km以下と非常に小さい値に
なっている。
【0013】(実施例1)本実施例の光ファイバ断面
図、屈折率分布、粘度分布をそれぞれ図7(a),
(b),(c)に示す。また、本光ファイバのプリフォ
ームの作製法を図8,図9に示す。始めに、VAD法に
より、回転しながら引き上げられる出発部材の先端に、
Pをドーパントとして含む石英ガラス微粒子を堆積させ
ながら成長させて、コア用石英ガラス微粒子多孔質体を
形成する。次に、この石英ガラス微粒子多孔質体をCl
2 (塩素)雰囲気中で約900℃の高温で脱水した後、
約1200℃でガラス化を行い、ΔP =0.14%のP
ドープ石英ガラスコア材1aを作製する。Pの単位比屈
折率差当たりの粘度の対数の変化は、前述のように約8
である。従って、ΔP =0.14%のPドープ石英ガラ
スの粘度の対数は、純石英より約1.1小さくなる。次
に、これと等しい粘度を持ったクラッド用石英ガラスを
作製する。図8に示すように、合成用バーナ4で、Pを
含むガラス原料3を石英ガラス微粒子多孔質体2aとし
て、コア材1aの外側に、堆積させる。このようにして
作製したコア材1aを有する石英ガラス微粒子多孔質体
2aを、図9に示すように、電気炉5中に配置したガラ
ス炉心管6内に入れる。ガラス炉心管6内には、He,
Cl2 およびSiF4 の混合ガスを充填させており、前
記コア材1aを有する多孔質体2aを回転させながら約
1000℃の高温に加熱して脱水を行う。続いて、同雰
囲気中で前記多孔質体2aを約1300℃の高温でガラ
ス化し、クラッド材として、ΔP =0.10%、ΔF =
−0.30%(ΔF =100×(nF −n0 )/n0
(%)、nF :Fドープ石英ガラスの屈折率、n0 :純
石英ガラスの屈折率)のPとFを共ドープした石英ガラ
スを作製する。このようにして作製したPとFを共ドー
プしたクラッド用石英ガラスの粘度の対数は、Pによる
粘度の対数の降下分0.8とFによる粘度の対数の降下
分0.3の和で表され、純石英ガラスに比べて粘度の対
数が約1.1低下する。従って、コアとして用いたPド
ープ石英ガラスの粘度ηa と、クラッドとして用いた、
PとFを共ドープした石英ガラスの粘度ηb は、図7
(c)に示すように等しくなる。このようにして作製し
た光ファイバプリフォームを電気炉で外径125μm、
コア径8μmの光ファイバに線引きする。コアに用い
た、Pドープ石英ガラスのレーリー散乱係数は、純石英
ガラスの約9割となる。また、同コア材の軟化点温度
は、純石英ガラスより200℃下がる。このようにして
作製した光ファイバの損失波長特性を図10に示す。こ
の光ファイバの最低損失は、波長1.55μmで得ら
れ、約0.15dB/kmである。この光ファイバの損
失を前記(1)式の要因に分類すると、レーリー散乱係
数は0.68dB/km・μm4 、赤外吸収損失の波長
1.55μmへの寄与分は0.02dB/km、構造不
完全性損失は0.01dB/km以下と小さい。
図、屈折率分布、粘度分布をそれぞれ図7(a),
(b),(c)に示す。また、本光ファイバのプリフォ
ームの作製法を図8,図9に示す。始めに、VAD法に
より、回転しながら引き上げられる出発部材の先端に、
Pをドーパントとして含む石英ガラス微粒子を堆積させ
ながら成長させて、コア用石英ガラス微粒子多孔質体を
形成する。次に、この石英ガラス微粒子多孔質体をCl
2 (塩素)雰囲気中で約900℃の高温で脱水した後、
約1200℃でガラス化を行い、ΔP =0.14%のP
ドープ石英ガラスコア材1aを作製する。Pの単位比屈
折率差当たりの粘度の対数の変化は、前述のように約8
である。従って、ΔP =0.14%のPドープ石英ガラ
スの粘度の対数は、純石英より約1.1小さくなる。次
に、これと等しい粘度を持ったクラッド用石英ガラスを
作製する。図8に示すように、合成用バーナ4で、Pを
含むガラス原料3を石英ガラス微粒子多孔質体2aとし
て、コア材1aの外側に、堆積させる。このようにして
作製したコア材1aを有する石英ガラス微粒子多孔質体
2aを、図9に示すように、電気炉5中に配置したガラ
ス炉心管6内に入れる。ガラス炉心管6内には、He,
Cl2 およびSiF4 の混合ガスを充填させており、前
記コア材1aを有する多孔質体2aを回転させながら約
1000℃の高温に加熱して脱水を行う。続いて、同雰
囲気中で前記多孔質体2aを約1300℃の高温でガラ
ス化し、クラッド材として、ΔP =0.10%、ΔF =
−0.30%(ΔF =100×(nF −n0 )/n0
(%)、nF :Fドープ石英ガラスの屈折率、n0 :純
石英ガラスの屈折率)のPとFを共ドープした石英ガラ
スを作製する。このようにして作製したPとFを共ドー
プしたクラッド用石英ガラスの粘度の対数は、Pによる
粘度の対数の降下分0.8とFによる粘度の対数の降下
分0.3の和で表され、純石英ガラスに比べて粘度の対
数が約1.1低下する。従って、コアとして用いたPド
ープ石英ガラスの粘度ηa と、クラッドとして用いた、
PとFを共ドープした石英ガラスの粘度ηb は、図7
(c)に示すように等しくなる。このようにして作製し
た光ファイバプリフォームを電気炉で外径125μm、
コア径8μmの光ファイバに線引きする。コアに用い
た、Pドープ石英ガラスのレーリー散乱係数は、純石英
ガラスの約9割となる。また、同コア材の軟化点温度
は、純石英ガラスより200℃下がる。このようにして
作製した光ファイバの損失波長特性を図10に示す。こ
の光ファイバの最低損失は、波長1.55μmで得ら
れ、約0.15dB/kmである。この光ファイバの損
失を前記(1)式の要因に分類すると、レーリー散乱係
数は0.68dB/km・μm4 、赤外吸収損失の波長
1.55μmへの寄与分は0.02dB/km、構造不
完全性損失は0.01dB/km以下と小さい。
【0014】(実施例2)次の実施例では、コアとクラ
ッドともに、PとFを共ドープした石英ガラスを用い、
コアとクラッドの粘度を整合させた光ファイバプリフォ
ームを作製する。始めに、VAD法により、回転しなが
ら引き上げられる出発部材の先端に、Pをドーパントと
して含む石英ガラス微粒子を堆積させながら成長させ
て、コア用石英ガラス微粒子多孔質体を形成する。次
に、この石英ガラス微粒子多孔質体をCl2 (塩素)雰
囲気中で約900℃の高温で脱水した後、Fをドープす
るための適切に選択したフッ素雰囲気、すなわち、Si
F4 (四フッ化ケイ素)中で約1200℃でガラス化を
行い、ΔP =0.3%、ΔF =−0.2%のPとFを共
ドープした石英ガラスコアを作製する。このPとFを共
ドープした石英ガラスの粘度の対数は純石英ガラスに比
べて約2.6小さくなる。次に、合成用バーナで、Pを
含む石英ガラス微粒子多孔質体をコア材の外側に堆積さ
せる。このようにして、作製した、コア用石英ガラスお
よび石英ガラス微粒子多孔質体をHe,Cl2 およびS
iF4 の混合ガスを含むガラス炉心管中に設置し、回転
しながら、約1000℃の高温に加熱して脱水する。続
いて、約1200℃の高温でガラス化を行い、ΔP =
0.20%、ΔF =−0.50%のPとFを共Dープし
た石英ガラスを得る。このPとFを共ドープした石英ガ
ラスの粘度の対数は純石英ガラスに比べ約2.1小さく
なる。このようにして作製した光ファイバプリフォーム
のコアとクラッドの粘度の比は1:3である。この光フ
ァイバプリフォームを光ファイバに線引きすると、レー
リー散乱係数は0.64dB/km・μm4 であり、構
造不完全性損失は0.01dB/kmの低損失光ファイ
バが実現できる。
ッドともに、PとFを共ドープした石英ガラスを用い、
コアとクラッドの粘度を整合させた光ファイバプリフォ
ームを作製する。始めに、VAD法により、回転しなが
ら引き上げられる出発部材の先端に、Pをドーパントと
して含む石英ガラス微粒子を堆積させながら成長させ
て、コア用石英ガラス微粒子多孔質体を形成する。次
に、この石英ガラス微粒子多孔質体をCl2 (塩素)雰
囲気中で約900℃の高温で脱水した後、Fをドープす
るための適切に選択したフッ素雰囲気、すなわち、Si
F4 (四フッ化ケイ素)中で約1200℃でガラス化を
行い、ΔP =0.3%、ΔF =−0.2%のPとFを共
ドープした石英ガラスコアを作製する。このPとFを共
ドープした石英ガラスの粘度の対数は純石英ガラスに比
べて約2.6小さくなる。次に、合成用バーナで、Pを
含む石英ガラス微粒子多孔質体をコア材の外側に堆積さ
せる。このようにして、作製した、コア用石英ガラスお
よび石英ガラス微粒子多孔質体をHe,Cl2 およびS
iF4 の混合ガスを含むガラス炉心管中に設置し、回転
しながら、約1000℃の高温に加熱して脱水する。続
いて、約1200℃の高温でガラス化を行い、ΔP =
0.20%、ΔF =−0.50%のPとFを共Dープし
た石英ガラスを得る。このPとFを共ドープした石英ガ
ラスの粘度の対数は純石英ガラスに比べ約2.1小さく
なる。このようにして作製した光ファイバプリフォーム
のコアとクラッドの粘度の比は1:3である。この光フ
ァイバプリフォームを光ファイバに線引きすると、レー
リー散乱係数は0.64dB/km・μm4 であり、構
造不完全性損失は0.01dB/kmの低損失光ファイ
バが実現できる。
【0015】(実施例3)始めに、Pドープガラス微粒
子多孔質体をVAD法で作製する。次に、He(ヘリウ
ム)およびCl2 (塩素)の混合ガス雰囲気中で脱水、
ガラス化を行い、ΔP =0.15%のPドープ石英ガラ
スコア1aを作製する。なお、この時の雰囲気は、前記
のようにHeおよびCl2 の混合ガス雰囲気であり、本
発明でいうPドープ石英ガラスコアを得るための適切に
選択したフッ素雰囲気、すなわち、フッ素分圧0の雰囲
気である。次に、Pドープガラス微粒子多孔質体をVA
D法で作製し、He(ヘリウム),Cl2 (塩素)およ
びSiF4 (四フッ化ケイ素)の混合ガス雰囲気中で脱
水、ガラス化を行い、ΔP =0.10%、ΔF =−0.
25%のPとFを共ドープした石英ガラスロッドを作製
する。この、ガラスロッドの中心部に超音波ドリルで孔
を開け、クラッド用パイプ2bを作製する。次いで、図
11に示すように、前記のクラッド用パイプ2b中に前
記コア材1aを挿入し、電気炉5により約1500℃の
高温にして真空コラプスし、光ファイバプリフォームを
作製する。このようにして作製した光ファイバプリフォ
ームを光ファイバに線引きする。作製した光ファイバの
コアとクラッドの粘度の比は5:7とほぼ同程度になる
ため、構造不完全性損失は0.01dB/kmと小さ
い。また、レーリー散乱係数は0.68dB/km・μ
m4 、赤外吸収損失の波長1.55μmへの寄与分は
0.02dB/kmと小さい。粘度の高い方の石英ガラ
スの軟化点温度において、両石英ガラスの粘度の比が1
0:1以内であることを特徴とする光ファイバ。
子多孔質体をVAD法で作製する。次に、He(ヘリウ
ム)およびCl2 (塩素)の混合ガス雰囲気中で脱水、
ガラス化を行い、ΔP =0.15%のPドープ石英ガラ
スコア1aを作製する。なお、この時の雰囲気は、前記
のようにHeおよびCl2 の混合ガス雰囲気であり、本
発明でいうPドープ石英ガラスコアを得るための適切に
選択したフッ素雰囲気、すなわち、フッ素分圧0の雰囲
気である。次に、Pドープガラス微粒子多孔質体をVA
D法で作製し、He(ヘリウム),Cl2 (塩素)およ
びSiF4 (四フッ化ケイ素)の混合ガス雰囲気中で脱
水、ガラス化を行い、ΔP =0.10%、ΔF =−0.
25%のPとFを共ドープした石英ガラスロッドを作製
する。この、ガラスロッドの中心部に超音波ドリルで孔
を開け、クラッド用パイプ2bを作製する。次いで、図
11に示すように、前記のクラッド用パイプ2b中に前
記コア材1aを挿入し、電気炉5により約1500℃の
高温にして真空コラプスし、光ファイバプリフォームを
作製する。このようにして作製した光ファイバプリフォ
ームを光ファイバに線引きする。作製した光ファイバの
コアとクラッドの粘度の比は5:7とほぼ同程度になる
ため、構造不完全性損失は0.01dB/kmと小さ
い。また、レーリー散乱係数は0.68dB/km・μ
m4 、赤外吸収損失の波長1.55μmへの寄与分は
0.02dB/kmと小さい。粘度の高い方の石英ガラ
スの軟化点温度において、両石英ガラスの粘度の比が1
0:1以内であることを特徴とする光ファイバ。
【0016】図12に、本発明の光ファイバの粘度比
と、構造不完全性損失の関係を示す。この粘度比は粘度
の高い方の石英ガラスの軟化点温度において、粘度の高
い方のガラスの粘度を低い方のガラスの粘度に割って求
めたものである。このように、粘度比が10までは構造
不完全性損失が0.01dB/km程度と非常に小さい
が、粘度比が大きくなると構造不完全性損失が大きくな
り、粘度比が30では約0.4dB/kmとなる。以上
の結果から、構造不完全性損失を0.01dB/km程
度に抑えるためには、粘度比は10以下にする必要があ
る。
と、構造不完全性損失の関係を示す。この粘度比は粘度
の高い方の石英ガラスの軟化点温度において、粘度の高
い方のガラスの粘度を低い方のガラスの粘度に割って求
めたものである。このように、粘度比が10までは構造
不完全性損失が0.01dB/km程度と非常に小さい
が、粘度比が大きくなると構造不完全性損失が大きくな
り、粘度比が30では約0.4dB/kmとなる。以上
の結果から、構造不完全性損失を0.01dB/km程
度に抑えるためには、粘度比は10以下にする必要があ
る。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように、コア用Pドープ石
英微粒子多孔質体をVAD法で形成し、当該コア用ガラ
ス微粒子多孔質体のPドーパント濃度の分布に応じて、
適切に選択したフッ素雰囲気中で、加熱してガラス化
し、Pドープ、またはPとF共ドープコア用石英ガラス
を作製し、PとFをドーパントとして含むクラッド用石
英ガラスを前記コア用ガラスの外部に設ける。前記コア
用石英ガラスとクラッド用石英ガラスのうちで、高粘度
ガラスの軟化点温度において、両石英ガラスの粘度の比
が10:1以内の光ファイバプリフォームを作製した
後、光ファイバに線引きすれば、コアとクラッドの構造
不完全性損失の少ない、レーリー散乱係数が純石英ガラ
スよりも小さく、赤外吸収損失が純石英ガラスと同等で
ある低損失光ファイバを実現できる。
英微粒子多孔質体をVAD法で形成し、当該コア用ガラ
ス微粒子多孔質体のPドーパント濃度の分布に応じて、
適切に選択したフッ素雰囲気中で、加熱してガラス化
し、Pドープ、またはPとF共ドープコア用石英ガラス
を作製し、PとFをドーパントとして含むクラッド用石
英ガラスを前記コア用ガラスの外部に設ける。前記コア
用石英ガラスとクラッド用石英ガラスのうちで、高粘度
ガラスの軟化点温度において、両石英ガラスの粘度の比
が10:1以内の光ファイバプリフォームを作製した
後、光ファイバに線引きすれば、コアとクラッドの構造
不完全性損失の少ない、レーリー散乱係数が純石英ガラ
スよりも小さく、赤外吸収損失が純石英ガラスと同等で
ある低損失光ファイバを実現できる。
【0018】なお、実施例1〜3の説明にあたり、Δ
P ,ΔF の特定の値を例示しているが、他の値であって
も本発明の趣旨に合致する限り同様の低損失光ファイバ
を得ることができることは勿論である。
P ,ΔF の特定の値を例示しているが、他の値であって
も本発明の趣旨に合致する限り同様の低損失光ファイバ
を得ることができることは勿論である。
【図1】純石英コア、Fドープ石英クラッド構成の従来
の光ファイバを示すもので、(a)は断面構成図、
(b)は屈折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分布を
示すグラフである。
の光ファイバを示すもので、(a)は断面構成図、
(b)は屈折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分布を
示すグラフである。
【図2】Pドープ石英コア、Bドープ石英クラッド構成
の従来の光ファイバを示すもので、(a)は断面構成
図、(b)は屈折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分
布を示すグラフである。
の従来の光ファイバを示すもので、(a)は断面構成
図、(b)は屈折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分
布を示すグラフである。
【図3】Pドープ石英コア、Fドープ石英クラッド構成
の従来の光ファイバを示すもので、(a)は断面構成
図、(b)は屈折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分
布を示すグラフである。
の従来の光ファイバを示すもので、(a)は断面構成
図、(b)は屈折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分
布を示すグラフである。
【図4】本発明を説明するためのものであり、Pドープ
量(ΔP (%))と純石英ガラスに対するレーリー散乱
係数の関係を示すグラフである。
量(ΔP (%))と純石英ガラスに対するレーリー散乱
係数の関係を示すグラフである。
【図5】本発明を説明するためのものであり、Pドープ
ガラスにFを共ドープした時の、レーリー散乱係数とF
ドープ量の関係を示すグラフである。
ガラスにFを共ドープした時の、レーリー散乱係数とF
ドープ量の関係を示すグラフである。
【図6】本発明を説明するためのものであり、Pドープ
石英ガラスの比屈折率差と粘度の関係を示すグラフであ
る。
石英ガラスの比屈折率差と粘度の関係を示すグラフであ
る。
【図7】本発明の光ファイバを説明するためのもので、
(a)は本発明の光ファイバの断面構成図、(b)は屈
折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分布を示すグラフ
である。
(a)は本発明の光ファイバの断面構成図、(b)は屈
折率分布を示すグラフ、(c)は粘度分布を示すグラフ
である。
【図8】本発明の実施例を説明するためのものであり、
コア用ガラス材の外側に合成用バーナでガラス微粒子多
孔質体を堆積させる工程を示す図である。
コア用ガラス材の外側に合成用バーナでガラス微粒子多
孔質体を堆積させる工程を示す図である。
【図9】同じく本発明の実施例を説明するためのもので
あり、ガラス微粒子多孔質体を塩素雰囲気で高温で脱
水、F雰囲気で高温でガラス化する工程を示す図であ
る。
あり、ガラス微粒子多孔質体を塩素雰囲気で高温で脱
水、F雰囲気で高温でガラス化する工程を示す図であ
る。
【図10】本発明の実施例を説明するためのものであ
り、試作光ファイバの損失波長特性を示すグラフであ
る。
り、試作光ファイバの損失波長特性を示すグラフであ
る。
【図11】本発明の他の実施例を説明するためのもので
あり、コア用ガラスの外部に、クラッド用ガラスパイプ
をかぶせた後、力を加えながら加熱して、一体化し、光
ファイバプリフォームを作製する工程を示す図である。
あり、コア用ガラスの外部に、クラッド用ガラスパイプ
をかぶせた後、力を加えながら加熱して、一体化し、光
ファイバプリフォームを作製する工程を示す図である。
【図12】本発明の実施例を説明するためのもので、コ
アとクラッドの粘度比と構造不完全性損失の関係を示す
グラフである。
アとクラッドの粘度比と構造不完全性損失の関係を示す
グラフである。
1 コア 1a コア用ガラス 2 クラッド 2a ガラス多孔質微粒子体 2b クラッド用ガラスパイプ 3 原料 4 合成用バーナ 5 電気炉 6 ガラス炉心管
Claims (5)
- 【請求項1】 P(リン)ドープ石英ガラスからなるコ
アと、PとFを共ドープした石英ガラスからなるクラッ
ドとからなり、前記コアに用いた石英ガラスと前記クラ
ッドに用いた石英ガラスのうちの粘度の高い方の石英ガ
ラスの軟化点温度における両石英ガラスの粘度の比が1
0:1以内であることを特徴とする光ファイバ。 - 【請求項2】 PとF(フッ素)を共ドープした石英ガ
ラスからなるコアと、PとFを共ドープした石英ガラス
からなるクラッドとからなり、前記コアに用いた石英ガ
ラスと前記クラッドに用いた石英ガラスのうちの粘度の
高い方の石英ガラスの軟化点温度における両石英ガラス
の粘度の比が10:1以内であることを特徴とする光フ
ァイバ。 - 【請求項3】 回転しながら引き上げられる光ファイバ
出発部材の先端に、Pをドーパントとして含む石英ガラ
ス微粒子を堆積させながら成長させて、コア用石英ガラ
ス微粒子多孔質体を形成する第一の工程と、 前記コア用石英ガラス微粒子多孔質体を高温の塩素雰囲
気中で脱水した後、Pドーパント濃度の分布に応じて、
適切に選択したフッ素雰囲気中で加熱してガラス化し、
コア用石英ガラスを作製する第二の工程と、 PおよびFをドーパントとして含むクラッド用石英ガラ
スを前記コア用石英ガラスの外部に設けて光ファイバプ
リフォームを作製する第三の工程と、 前記光ファイバプリフォームを光ファイバに線引きする
第四の工程とからなる光ファイバの製造方法。 - 【請求項4】 前記コア用石英ガラスの外部に、PとF
を共ドープした石英ガラスをクラッドとして設ける工程
が、前記コア用石英ガラスの外部に、クラッド用石英ガ
ラスパイプをかぶせた後、力を加えながら加熱して、一
体化し、光ファイバプリフォームを作製することを特徴
とする請求項3に記載の光ファイバの製造方法。 - 【請求項5】 前記コア用石英ガラスの外部に、PとF
を共ドープした石英ガラスをクラッドとして設ける工程
が、前記コア用石英ガラス外部に、Pをドーパントとし
て含む石英ガラス微粒子を堆積させながら成長させて、
クラッド用石英ガラス微粒子多孔質体を形成し、高温の
塩素雰囲気中で脱水した後、前記コア用石英ガラスの粘
度に応じて適切に選択したフッ素雰囲気中で加熱するこ
とにより、前記コア用石英ガラスを取囲むクラッド用石
英ガラス微粒子多孔質体をガラス化し、光ファイバプリ
フォームを作製することを特徴とする請求項3に記載の
光ファイバの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6161059A JPH0826763A (ja) | 1994-07-13 | 1994-07-13 | 光ファイバおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6161059A JPH0826763A (ja) | 1994-07-13 | 1994-07-13 | 光ファイバおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0826763A true JPH0826763A (ja) | 1996-01-30 |
Family
ID=15727836
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6161059A Pending JPH0826763A (ja) | 1994-07-13 | 1994-07-13 | 光ファイバおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0826763A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2774678A1 (fr) * | 1998-02-12 | 1999-08-13 | Alsthom Cge Alcatel | Procede de recharge d'une preforme de fibre optique a l'aide de grains de silice dopes en aluminium |
CN111781673A (zh) * | 2020-07-08 | 2020-10-16 | 普天线缆集团有限公司 | 新型超低损耗g.654e光纤及其制作方法 |
-
1994
- 1994-07-13 JP JP6161059A patent/JPH0826763A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2774678A1 (fr) * | 1998-02-12 | 1999-08-13 | Alsthom Cge Alcatel | Procede de recharge d'une preforme de fibre optique a l'aide de grains de silice dopes en aluminium |
EP0936194A1 (fr) * | 1998-02-12 | 1999-08-18 | Alcatel | Procédé de dépÔt externe de silice dopée sur une préforme de fibre optique |
WO1999041207A1 (fr) * | 1998-02-12 | 1999-08-19 | Alcatel | Procede de depot externe de silice dopee sur une preforme de fibre optique |
CN111781673A (zh) * | 2020-07-08 | 2020-10-16 | 普天线缆集团有限公司 | 新型超低损耗g.654e光纤及其制作方法 |
CN111781673B (zh) * | 2020-07-08 | 2022-06-28 | 普天线缆集团有限公司 | 新型超低损耗g.654e光纤及其制作方法 |
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