JPH08264020A - 強誘電性材料 - Google Patents

強誘電性材料

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JPH08264020A
JPH08264020A JP6809595A JP6809595A JPH08264020A JP H08264020 A JPH08264020 A JP H08264020A JP 6809595 A JP6809595 A JP 6809595A JP 6809595 A JP6809595 A JP 6809595A JP H08264020 A JPH08264020 A JP H08264020A
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polymer
oxetanone
ferroelectric material
film
electric field
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Shigeru Tasaka
茂 田坂
Haruo Nishida
治男 西田
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 2−オキセタノンの開環構造を主たる繰り返
し単位としてなる2−オキセタノン重合体からなり、フ
ィルムあるいは繊維の形態にある強誘電性材料。 【効果】 本発明の2−オキセタノン重合体からなる強
誘電性材料は、強誘電性を有する新たな高分子系材料で
あり、その電気的性能は焦・圧電材料としての有用性が
極めて高いことを示している。又、押出成形や射出成
形、溶融紡糸などの他、フィルムのロール一軸延伸、逐
次二軸延伸、同時二軸延伸およびインフレーション成形
などの一般的な成形方法がすべて適用可能な成形性にも
優れた材料である。加えて、本発明の2−オキセタノン
重合体系材料は、環境中の微生物によって容易に分解さ
れ、炭酸ガスと水にまで代謝される生分解性材料でもあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高分子重合体からなる新
規な強誘電性材料に関するものであり、さらに詳しく
は、機械的性質、圧電性および焦電性が優れ、医療分
野、防災・安全分野の各種センサーの素材、音響機器分
野の素材および各種物理量測定に用いるセンサーの素
材、エレクトレット繊維・フィルター、制振材料などと
して有用な高分子強誘電性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、強誘電性材料としては、Pb
TiO3、LiTaO3、BaTiO2、PZTのような
金属酸化物系のもの、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ
化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体の
(PVDF)系、ポリシアン化ビニリデン−酢酸ビニル
共重合体のような高分子系のものが知られている。この
うち、前者の金属酸化物系は、焦電性が高く耐熱性も優
れているという特性面での利点を備えているが、しかし
一方では、柔軟性が乏しく、また成形加工が困難である
ため、大面積、薄膜、複雑な形状の圧電素子の材料とし
ては不適当であるという問題点がある。さらに、この金
属酸化物系の材料は、生体への適合性が劣り、生体セン
サー素子とした場合、その感度が低いという欠点があ
る。
【0003】他方、高分子系の材料は、焦電率は金属酸
化物系材料に比べて低く、分極を反転するための抗電界
の値は高い。しかしながら、比熱が小さく誘電率も小さ
いため性能指数は良好である。また、抗電界の値も安定
化しているために、光メモリー材料などへの応用が検討
されている。有機高分子系の最大の特徴は、成形加工性
が良好であるため、薄膜で大面積の素子を容易に製造す
ることができ、しかも、生体への適合性も良好であるた
め、センサー素子としたとき、その感度も高い事であ
る。高分子系の強誘電材料は、その特性からさまざまの
アクチュエーター材料やセンサー素子、あるいはメモリ
ー材料への応用が期待されているが、金属酸化物系の材
料よりも焦・圧電率が小さいこと、および分極処理電圧
が高いことなどの問題に加えて、その材料が限られてい
るという問題点がある。上記したように、未だ、ポリフ
ッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンとトリフルオロ
エチレンとの共重合体の(PVDF)系、ポリシアン化
ビニリデン−酢酸ビニル共重合体の2種類に限られてい
る。アクチュエーター材料やセンサー素子などへ応用す
る場合、さまざまな使用形状および使用環境が予測され
る。従って、焦圧電性の向上のみならず、加工成形性、
機械的物性などの異なる多種多様の強誘電材料の開発が
望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高分子系強誘電材料の
焦圧電性能は、材料のポーリング処理によって形成され
る双極子配向の程度に依存し、残留分極Prに比例す
る。従って、残留分極Prが高く、かつ分極処理電圧が
従来の高分子系材料に比較して低い新たな高分子系強誘
電材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の高分子材料
が、強誘電性を示すこと、低い分極処理電界で非常に大
きな焦電性を発現すること、さらにフィルム、繊維など
への成形加工性が優れることを見いだすに到った。即
ち、本発明は、下記式(1)
【0006】
【化2】
【0007】で表される繰り返し単位を主たる繰り返し
単位としてなる2−オキセタノン重合体からなる強誘電
性材料である。
【0008】本発明における2−オキセタノン重合体に
は、式(1)で表される繰り返し単位からなる重合体の
みならず、式(1)で表される繰り返し単位に加えて、
単量体単位として2−オキセタノン以外の共重合可能な
コモノマーの構造単位を20重量%以下で共重合してい
る共重合体も含まれる。ブロックおよびランダム共重合
可能なコモノマーとしては特に限定されず、一般に既知
の重合性単量体が使用可能である。好適に用いられるコ
モノマーとしては、環状エステル化合物および環状エー
テル化合物が挙げられる。該環状エステルとしては、例
えばβ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロ
ラクトンおよびε−カプロラクトンなどが挙げられる。
また、2−オキセタノン以外の該環状エーテル化合物と
しては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサ
イドなどを挙げることができる。
【0009】本発明における2−オキセタノン重合体
は、一般的には、2−オキセタノンの開環重合によって
製造される。2−オキセタノンの開環重合は、アニオン
重合、カチオン重合あるいは放射線重合などによって行
われるが、より高分子量の2−オキセタノン重合体を効
率よく製造するためには、安定化されたカチオンを有す
るアニオン重合開始剤を用いたアニオン重合が好適であ
る。安定化されたカチオンを有するアニオン重合開始剤
とは、カチオン種の中心元素に水素原子のようなカチオ
ン脱離基を有さないものである。これにより重合成長末
端であるカルボキシレートアニオンの開始剤への連鎖移
動が抑制され、2−オキセタノンのリビングアニオン重
合が達成される。結果として、高分子量の2−オキセタ
ノン重合体が製造される。
【0010】安定化されたカチオンを有するアニオン重
合開始剤として好適に使用される重合開始剤としては、
例えばテトラメチルアンモニウムアセテートなどの第4
級アンモニウムカルボキシレート類開始剤;オクチルベ
タインなどのベタインカルボキシレート類開始剤;テト
ラエチルホスフォニウムアセテートなどのホスフォニウ
ムカルボキシレート類開始剤;トリメチルスルフォニウ
ムアセテートなどのスルフォニウムカルボキシレート類
開始剤;トリメチルスルフォキソニウムアセテートなど
のスルフォキソニウムカルボキシレート類開始剤;N−
メチルピリジニウムアセテートなどのピリジニウムカル
ボキシレート類開始剤;および酢酸カリウム/18−ク
ラウン−6−エーテルなどのアルカリ金属カルボキシレ
ートのクラウンエーテル錯体類開始剤を挙げることがで
きる。さらに、上記カルボキシレートアニオンの代わり
にメチラートやエチラートなどのアルコラートアニオン
を有する開始剤、例えばカリウムエチラート/18−ク
ラウン−6−エーテルなどのアルカリアルコラートのク
ラウンエーテル錯体類開始剤も使用できる。
【0011】本発明における2−オキセタノン重合体
は、重量平均分子量が2万以上の重合体であることが成
形体の物性の面で好ましい。重量平均分子量が2万に満
たない場合は、成形性に問題が生じるばかりでなく、フ
ィルムなどの成形体とした場合、その使用目的や方法な
どによっては強度や伸びなどの機械的物性が不十分な場
合があり、実用に供することが難しい。一方、重量平均
分子量が極度に高い場合、溶融時の粘性が高いために加
工が難しくなる場合がある。そのため、200万以下の
分子量であることが好ましい。
【0012】2−オキセタノン重合体には、一般のポリ
マーの成形方法、例えば射出成形、押出成形、ブロー成
形、圧縮成形など、いかなる成形方法も適用可能であ
る。従って、本発明における2−オキセタノン重合体か
らなる強誘電性材料も、フィルム、ディスク、チップ、
立体成形体状などの様々な形状を取りうるが、高分子系
材料の利点を活かす場合、フィルム状で大面積のセンサ
ー素子とすることが特に有用である。
【0013】2−オキセタノン重合体フィルムは、一般
公知の溶融押出成形方法によって得ることが出来る。好
適に用いられる成形方法は、例えばTダイス押出成形お
よびインフレーション成形である。溶融成形加工フィル
ムは、延伸フィルムとすることにより、さらにその機械
的特性を向上させることができる。延伸方法としては、
ロール延伸、テンター法による延伸などの一般公知の延
伸方法を何等制限なく用いることができる。延伸は、常
温〜80℃の温度範囲で、2〜15倍の延伸倍率で行う
ことができる。加工速度を高めて効率を向上させるため
に、70〜80℃の温度範囲でより好ましく実施され
る。延伸は、一軸配向フィルムとするための一軸延伸、
二軸配向させるための逐次二軸延伸、および面配向させ
るための同時二軸延伸等の如何なる態様も実施可能であ
る。延伸した場合、延伸方向の引っ張り破断強度は通常
500〜5,000kgf/cm2となる。
【0014】本発明の強誘電性材料は、2−オキセタノ
ン重合体をポーリング処理することによって形成され
る。強誘電性物質においては、この操作により分極ドメ
インの向きが印加電場の方向にそろい、残留分極が形成
される。
【0015】ポーリング処理は、一般に高い電場を印加
し、誘電性物質に極性を与える操作の総称である。具体
的なポーリング処理の方法は、成形体を必要に応じて所
定温度に加熱し、そのままの状態を保持して成形体の表
裏から高電界を一定時間印加し次いで徐冷または急冷す
る方法、コロナ放電もしくは電子線照射によって直流高
電界またはそれに交流電界を重畳した直流高電界を一定
時間印加し次いで徐冷または急冷する方法などによって
行われる。高電界を印加する場合には、フィルムのよう
な成形体の両面に、例えばスパッタ法、蒸着法、ペース
ト塗布法のような方法で金属の電極薄膜を形成したのち
に行う。このようなポーリング処理によって2−オキセ
タノン重合体結晶中のカルボニル基が印加電場の方向に
配向する。
【0016】ポーリング処理時の温度は、成形体のガラ
ス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tcc)、融点(T
m)、キュリー温度(Tc)との関係で適宜要求される
ので一義的に決められないが、通常、Tg〜(Tm−2
0度)の温度であればよい。また、適用する電界強度
は、ポーリング処理温度によって変化し、処理温度が高
温であるほど、分極に必要な電界、即ち抗電界Ecは小
さくなる。又、カルボニル基の分極配向は、電界強度の
上昇に伴い向上する傾向にある。従って、実際的に用い
られる電界強度範囲は、5MV/m以上で且つ絶縁破壊
が生じない程度の電界強度までの範囲である。好ましく
は50〜100MV/mである。電界強度が5MV/m
よりも低い場合は、カルボニル基の配向分極が少なく、
焦電性が満足のいく水準に到達しない。ポーリング処理
に要する時間は、特に限定されないが、一般的には1〜
10分が好ましい。本発明の2−オキセタノン重合体か
らなる強誘電性材料は、電界強度が十分に抗電界Ec以
上であれば、非常に短時間で分極が形成される。形成し
た分極は融点まで安定である。
【0017】本発明の2−オキセタノン重合体からなる
強誘電性材料は、2−オキセタノン重合体を分極させる
際に押出シートにそのままポーリング処理を施してもよ
いが、成形体の配向性および結晶化度を高めるために、
例えば一軸延伸、二軸延伸、ロール延伸、ゾーン延伸の
様な延伸処理を施したのちにポーリング処理を施すと、
得られた成形体の焦電性が著しく向上するので好適であ
る。
【0018】本発明の2−オキセタノン重合体からなる
強誘電性材料は、強誘電性材料であるため焦電性および
圧電性を有する。
【0019】焦電効果の大きさは温度変化に対する分極
量の変化、即ち焦電係数pで表される。pは残留分極P
rを比例因子に含むので、同系の高分子ではPrの大き
いほどpは大きい。2−オキセタノン重合体のpの値
は、結晶中のカルボニル基の電場方向への配向状態を反
映している。未処理の2−オキセタノン重合体からなる
材料には、カルボニル基の電場方向への配向は存在せ
ず、従って、焦電計数pは殆ど観測されない。即ち、カ
ルボニル基の電場方向への配向は、新たな結晶構造の構
築を意味している。本発明の2−オキセタノン重合体か
らなる強誘電材料は、新たな結晶構造を有し、それによ
り顕著な電気物性を発現する材料であるが、その構造変
化の確認を分光学的に行うことは、現状では難しい。し
かしながら、焦電効果の発現は、新たな結晶構造を有す
る新規な2−オキセタノン重合体の形成を意味する。
【0020】本発明の2−オキセタノン重合体からなる
強誘電材料の焦電系数pの値は、20℃で少なくとも1
5μC/m2・K以上である。20℃での焦電系数が1
5μC/m2・K以上である2−オキセタノン重合体と
は、カルボニル基が電場方向に配向した新たな結晶構造
を有する本発明の2−オキセタノン重合体からなる強誘
電材料であることを示すものである。
【0021】本発明の2−オキセタノン重合体からなる
強誘電材料は、帯電処理を行うことにより、エレクトレ
ットとする事が可能である。繊維状のもの、例えば織布
あるいは不織布などは、フィルムと異なり凹凸が著しい
ため、コロナ放電処理による帯電処理が好ましい。コロ
ナ放電処理は、針状の金属電極と導電性シートまたはロ
ール状の対電極の間に2−オキセタノン重合体から成形
された繊維束や織布あるいは不織布を置くか、あるいは
通しながら、コロナ放電を行う。帯電処理の温度は、2
−オキセタノン重合体繊維束や織布または不織布をTg
〜融点以下の範囲、好ましくは30〜60℃の範囲に加
熱した状態で直流高電圧を印加しながら室温まで冷却す
る方法で行われる。帯電処理の時間は、通常1〜60秒
の範囲であるが、好ましくは5〜10秒の範囲で行われ
る。このような帯電処理により、帯電圧1KV以上のエ
レクトレット繊維、織布および不織布が形成される。
【0022】
【作用】本発明は、2−オキセタノン重合体が強誘電性
という新たな電気物性を発現することを見いだしたこと
に基づく。強誘電性材料は、自発分極を持ち、それによ
り焦電性および圧電性をも発現し、さらにその自発分極
が電界により反転できる材料である。
【0023】2−オキセタノン重合体が強誘電材料であ
るという知見は全く新たな知見である。2−オキセタノ
ン重合体が強誘電性を発現する原因は未だ明確でない
が、原因の一つは、その結晶構造にあると考えられる。
2−オキセタノン重合体は、さまざまの結晶構造をとり
うることが、既にオカムラら、和才ら、浅原らおよびス
エヒロらなどの研究によって見いだされている(Makrom
ol. Chem., 54, 226 (1962); 工業化学雑誌, 67, 601
(1964); 工業化学雑誌, 69, 2179 (1966); PolymerJour
nal, 7, 352 (1975))。その中の一つに平面トランス形
の伸びきり分子鎖構造がスエヒロらによって示されてい
る。ここで示された構造は、結晶内の一本の分子鎖の各
ユニット中のカルボニル基は一定の方向を向いている
が、隣接した別の分子鎖内のカルボニル基は反対方向を
向いている、即ち反並行状態にあり、結晶全体として焦
電性を発現するような分極構造ではない。
【0024】本発明者は、2−オキセタノン重合体フィ
ルムに50MV/mの交流電界Eを印加し、フィルムの
分極電位DとEとの間の履歴曲線を観察した結果、明確
な矩形のヒステリシス曲線を確認し強誘電性を見いだし
た(図3参照)。おそらく、これは結晶中の各分子鎖の
カルボニル基が電界Eによって同一方向を向き分極構造
が達成されたためであると考えられる。しかも残留分極
Prが196mC/m 2という極めて高い値を示すこと
を見いだした。これらの結果は、一つには、隣合った分
子鎖同士のカルボニル基が同じ方向を向いた並行状態に
ある全く新たな結晶構造を有する2−オキセタノン重合
体が形成されたことを示している。さらに電界によって
分極が反転することは、結晶中の各分子鎖が電場によっ
て協同的に向きを変える、いわゆる強誘電性を裏付ける
ものである。
【0025】
【発明の効果】本発明の2−オキセタノン重合体からな
る強誘電性材料は、強誘電性を有する新たな高分子系材
料であり、その電気的性能は焦・圧電材料としての有用
性が極めて高いことを示している。又、押出成形や射出
成形、溶融紡糸などの他、フィルムのロール一軸延伸、
逐次二軸延伸、同時二軸延伸およびインフレーション成
形などの一般的な成形方法がすべて適用可能な成形性に
も優れた材料である。加えて、本発明の2−オキセタノ
ン重合体からなる材料は、環境中の微生物によって容易
に分解され、炭酸ガスと水にまで代謝される生分解性材
料でもある。
【0026】以上のことから、本発明の2−オキセタノ
ン重合体からなる強誘電性材料は、光メモリー、音響素
子、生体用センサー、バイモルフなどのアクチュエータ
ー材料、超音波受信・発振子、制振材料、その他種々の
センサー素子への応用が可能であり、工業材料として極
めて有用な材料である。
【0027】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0028】製造例1 Tダイス押し出し成形フィルムの作成: 2−オキセタ
ノン重合体粒子(重量平均分子量412、000、数平
均分子量183、000)をTダイスを取り付けた直径
40mmφのバレルを有する押出機に供給し、バレル設
定温度90〜110℃、Tダイス設定温度106〜11
0℃の押出機バレル内へスクリューによって送り込み、
溶融状フィルムをTダイススリットから押し出した。押
し出された溶融状の2−オキセタノン重合体は水温約2
3〜26℃の水が循環するチルドロールで冷却固化さ
せ、巻取り機に巻取り、厚さ約90μmの未延伸フィル
ム(無配向フィルム)を作成した。
【0029】実施例1 製造例1で製造した無配向フィルム(縦10mm、横1
0mm、厚み90μm)の表裏に有効面積10mm2の
金薄膜電極を蒸着法で形成し、図1に例示したポーリン
グ処理(分極処理)機能を有する焦電流測定装置を用い
てポーリング処理を行った後、熱刺激電流(TSC)の
測定を行った。図1で、1はヒーター2を内蔵する恒温
槽で、この中に表裏に薄膜電極が形成されている試料3
がセットされ、各電極はリード線を介して電流測定器4
に電気的に接続されている。5は試料3の温度を測定す
るための熱電対で、その温度信号を温度調節器6に入力
しヒーター2を作動して恒温槽1内、ひいては試料3の
温度を検知・調節する。7は試料への熱源で通常は、例
えばパルス状半導体レーザーが用いられる。8は分極処
理用高圧電源である。
【0030】まず、試料3を恒温槽1内にセットし、槽
内を50℃、窒素雰囲気に保持しつつ、分極処理用高圧
電源8を作動して、試料の表裏の両電極間に電界強度1
00MV/mとなるように直流高圧を印加して1分間保
持した。その後、試料3を室温に冷却したのち、高圧電
源8を電荷測定器4に切り替えて、熱源7を作動して試
料温度を3℃/minの昇温速度で加熱し、その過程の
TSCと焦電係数を測定した。
【0031】得られた結果を図2に示した。図2におい
て、黒丸の線はTSC曲線であり、白丸の線は焦電係数
の温度変化である。図2から明かなように、ポーリング
処理後の重合体は、53℃でTSCの極大値を示し、そ
の値は3mA/m2である。一般の無極性高分子絶縁体
のTSCに比べれば、本発明の重合体はそれより約3桁
以上高い値を示している。さらに焦電係数は温度によっ
て異なり、20〜45℃まで上昇して15〜30μC/
2・Kの間の値を示した。45℃を超える温度ではカ
ルボニル基の配向の緩和により、焦電係数の低下傾向が
認められた。焦電係数が約30μC/m2・Kに達する
という値はポリフッ化ビニリデンと同程度の値である。
構造や処理の最適化により、さらに大きな値を得ること
ができる。このことは、本発明の重合体においては、結
晶内での双極子であるカルボニル基が配向分極している
ことを明示するものである。
【0032】実施例2 製造例1で製造した未延伸フィルムを遅(前)駆動ロー
ルと速(後)駆動ロール間に配置された加熱されたロー
ルで縦方向に4.5倍に延伸し一軸延伸フィルムを作成
した。このようにして作成された一軸ロール延伸フィル
ムの結晶化度はX線回折により測定した結果、約90%
であった。熱的性質は、示唆走査熱量計(DSC)を用
いて測定した。その結果、融点87.6℃、ΔH96.9
mJ/mgであった。このフィルムに実施例1と同様に
してポーリング処理を施し、その焦電流を測定した。焦
電流ピーク値は実施例1の場合の2倍値を示した。ま
た、図3のようなD−Eヒステリシス曲線が得られた
(50℃)。これにより、2−オキセタノン重合体が強
誘電性を示し、ガラス転移温度(−10℃)以上でも安
定な分極を示すことから、結晶部分に安定な分極が存在
することが示唆された。また。抗電圧Ecは約50MV
/mであり、ポリフッ化ビニリデン系で必要とされる1
00〜200MV/mと比べて、より低い電界で分極処
理できることが見いだされた。図3のD−Eヒステリシ
ス曲線から得られた残留分極Prの値は196mC/m
2であり、極めて高い残留分極値であった。
【0033】実施例3 2−オキセタノン重合体粒子(重量平均分子量412,
000、数平均分子量183000)を用いてスパンボ
ンド法で得られた2−オキセタノン重合体不織布(繊維
径5.0μm、厚み0.3mm)を半導体シートを敷い
たアース板上に置き、アース板の上方1cmに設置した
針電極に20KVの直流高電圧を印加し、コロナイオン
を発生させ室温で10秒間エレクトレット化処理をし
た。このエレクトレット化不織布の表面電位の測定は、
回転セクタ方式の表面電位計を使用して行った。その結
果、3.1KVの帯電圧が得られ、良好なエレクトレッ
ト化不織布を得た。
【0034】実施例4〜6、比較例1 表1に示した2−オキセタノン重合体をクロロホルムに
溶解し、キャスト法によって、厚さ15μmのフィルム
を作成した。これらのキャストフィルムを真空下で13
0℃に加熱溶融し15分間保持した後に室温で冷却しフ
ィルムサンプルを作成した。これらのフィルムを実施例
1に準じてポーリング処理を施したのち、熱刺激電流
(TSC)と焦電係数の測定を行った。得られた20℃
での焦電係数の結果を表1に併記した。分子量が2万以
上のフィルムで良好な焦電係数が得られた。
【0035】
【表1】
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2で使用した試料の焦電流測定装置
の概略図である。
【図2】実施例1のフィルムの熱刺激電流と焦電係数を
示すグラフである。
【図3】実施例2のフィルムのD−Eヒステリシス曲線
である。
【符号の説明】 1 恒温槽 2 ヒーター 3 試料(成形体) 4 電荷測定器 5 熱電対 6 温度調節器 7 熱源(パルス状半導体レーザー) 8 分極処理用高圧電源

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 で表される繰り返し単位を主たる繰り返し単位としてな
    る2−オキセタノン重合体からなる強誘電性材料。
  2. 【請求項2】 2−オキセタノン重合体の重量平均分子
    量が2万〜200万である請求項1に記載の強誘電性材
    料。
  3. 【請求項3】 フィルムの形態にある請求項1に記載の
    強誘電性材料。
  4. 【請求項4】 20℃での焦電係数が少なくとも15μ
    C/m2・Kである請求項1に記載の強誘電性材料。
  5. 【請求項5】 上記式(1)で表される繰り返し単位を
    主たる繰り返し単位としてなる2−オキセタノン重合体
    から実質的になり且つ20℃での焦電係数が15μC/
    2・Kより小さいフィルムを、ポーリング処理に付し
    て、20℃での焦電係数が少なくとも15μC/m2
    Kのフィルムに変換することを特徴とする20℃での焦
    電係数が少なくとも15μC/m2・Kの2−オキセタ
    ノン重合体フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 繊維の形態にある請求項1に記載の強誘
    電性材料。
  7. 【請求項7】 繊維がエレクトレット繊維であり、少な
    くとも1KVの帯電圧を示す請求項6に記載の強誘電性
    材料。
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JP2008004678A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Canon Inc 強誘電体材料の検査方法及びその検査装置
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