JPH08263886A - ディスク状記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

ディスク状記録媒体及びその製造方法

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JPH08263886A
JPH08263886A JP6237895A JP6237895A JPH08263886A JP H08263886 A JPH08263886 A JP H08263886A JP 6237895 A JP6237895 A JP 6237895A JP 6237895 A JP6237895 A JP 6237895A JP H08263886 A JPH08263886 A JP H08263886A
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recording
film
protective film
film thickness
recording layer
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JP6237895A
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Minoru Kikuchi
稔 菊地
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 円板状の基板1上に少なくとも記録層が形成
され、この記録層上に保護膜3が形成されてなるディス
ク状記録媒体において、上記保護膜3のデータ記録エリ
ア上での平均膜厚を15μm以上とし、内周側と外周側
での膜厚差を2μm以下に抑える。 【効果】 このように保護膜の膜厚が規制されたディス
ク状記録媒体では、保護膜の膜厚が比較的厚いので、こ
の保護膜によって十分な保護効果が得られる。また、保
護膜に膜厚誤差が少ないことから、記録層へのレーザ光
の照射や磁界の印加が安定に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディスク状記録媒体及び
その製造方法に関し、特に保護層の形成方法の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式は、磁性薄膜を部分的に
キュリー点または温度補償点を越えて昇温し、この部分
の保磁力を消滅させて外部から印加される記録磁界の方
向に磁化の向きを反転することを基本原理とするもの
で、光ファイリングシステムやコンピュータの外部記憶
装置、あるいは音響、映像情報の記録装置等において実
用化されつつある。
【0003】上記光磁気記録方式によって記録が行われ
る光磁気ディスクとしては、たとえばポリカーボネート
のようなプラスチックやガラス等からなる透明基板の一
主面上に、膜面と垂直方向に磁化容易軸を有し、かつ磁
気光学効果の大きな磁性薄膜(記録磁性膜:たとえば希
土類−遷移金属合金非結晶薄膜)や誘電体膜、反射膜を
積層することにより記録部を形成したものが知られてい
る。このような光磁気ディスクでは、以上のような構成
要素の他、記録部の最上層である反射膜上に、記録磁性
膜の腐食防止や傷つき防止等の目的で、紫外線硬化樹脂
等よりなる保護膜を覆う如く形成するのが一般的であ
る。
【0004】さらに、この光磁気ディスクは単板構成で
あるが、この他、2枚の光磁気ディスクの記録部同士あ
るいは基板同士を対向させて貼り合わせ一体となした、
両板構成の光磁気ディスクも提案されている。この両板
構成の光磁気ディスクでは、2つの記録部に独立に記録
再生が行われるので、単板構成の光磁気ディスクに比べ
て少なくとも2倍の記録情報量が得られる。また、貼り
合わせ面を挟んで左右対称な構成であるため、単板構成
の光磁気ディスクに比べて、外部環境の温度湿度変化に
対してディスクが反り難いというメリットもある。
【0005】ところで、光磁気記録方式には、大きく分
けて光変調方式と磁界変調方式とがあるが、このうち磁
界変調方式は、オーバーライトが可能であるとともに高
密度記録化や高アクセス化にも有利であることから精力
的に検討されている。
【0006】この磁界変調方式は、印加磁界を高速で反
転することにより磁性薄膜に情報信号を書き込むもので
あって、磁界の印加は通常磁界発生手段を有する磁気ヘ
ッドによって行われる。
【0007】ここで磁界を高速反転させる磁気ヘッドで
は、光変調方式で用いられているような磁界を反転させ
ない磁気ヘッドと比べて、あまり強い磁界を発生させる
ことができない。
【0008】一方、磁気ヘッドによって印加される磁界
の強さは、当該磁気ヘッドからの距離にほぼ反比例し、
この距離が大きくなる程磁界が弱くなるので、上述のよ
うに比較的弱い磁界しか発生できない磁気ヘッドでは、
できるだけ記録磁性膜と近接させて配置する必要があ
る。
【0009】そのため、単板構成の光磁気ディスクの場
合には、光磁気ディスクの基板側にレーザ光を照射する
光学ピックアップ装置を配置し、その反対側、すなわち
記録部側に磁気ヘッドを配置する。
【0010】また両板構成の場合には、特開平2−31
0841号公報や特開平3−241551号公報で報告
されているように、光磁気ディスクを、基板の両側に記
録部が向くような構成とする。そして、光学ピックアッ
プ装置と磁気ヘッドとを一体化し、その両方を、光磁気
ディスクの一方の記録部側に配置するようにしている。
【0011】なお、このように一体型ヘッドを用いるシ
ステムでは、光学ピックアップ装置からのレーザ光は基
板を介さず直接記録磁性膜に照射される。このため、基
板の材料は透明材料に限定されず、不透明な種々の材料
が使用できる。したがって、特開平3−178062号
公報で示されているように、基板の材料にAl等を用い
ることでディスクの反りの防止を図ることも可能であ
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上のように光磁気記
録方式では各種構成の光磁気ディスクが提案されている
が、いずれの構成の場合にも、保護膜は、通常、スピン
コート法によって形成される。この保護膜の形成に用い
るスピンコート装置を図6に示す。
【0013】このスピンコート装置は、保護膜を形成す
べきディスク24を載置し、回転させるためのターンテ
ーブルと、ディスク24に紫外線硬化樹脂を供給するた
めのノズル22を有してなっている。上記ノズル22
は、樹脂供給部に接続された樹脂供給管23の一端部に
取り付けられており、樹脂供給部に貯留された樹脂が樹
脂供給管を通過してノズル22より吐出するようになっ
ている。
【0014】このスピンコート装置によって、保護膜を
形成するには、まず、保護膜を形成すべきディスク24
を、ターンテーブル上に載置して低速で回転させる。そ
して、ノズル22より紫外線硬化樹脂を吐出させること
で、ディスク24のデータ記録エリアAの内周に沿って
円周状に紫外線硬化樹脂を供給する。続いてディスク2
4を高速で回転させ、その遠心力によって内周に供給し
た塗料を外周側に広げ、ディスク全面にわたって紫外線
硬化樹脂の塗膜を形成する。そして、この塗膜に紫外線
を照射し、硬化させることで、保護膜は形成されること
になる。なお、この保護膜の厚さは、十分な保護効果を
得る観点から、概ね15μmに設定される。
【0015】しかしながら、以上のようにしてスピンコ
ート法で形成される保護膜は、外周側程膜厚が厚くなる
といった傾向がある。
【0016】すなわち、スピンコート法で形成される塗
膜の膜厚は、樹脂の粘度、ディスクの回転数、回転時間
等の条件によって変化する。しかし、塗布開始位置を同
じにし、かつ同膜厚で塗膜を形成しようとした場合に
は、これら条件を変化させても、塗膜の膜厚は外周側に
いく程等しい割合で増加するといった性質がある。
【0017】まず、図7に、3.5インチディスク上
に、スピンコート法で紫外線硬化樹脂膜を形成したとき
の膜厚分布を示す。横軸はディスク上の半径位置、縦軸
はその半径位置における紫外線硬化樹脂膜(保護膜)の
膜厚である。
【0018】測定に際して、スピンコートは、ディスク
を30rpmの回転速度で回転させながら、17〜21
mmの半径位置に紫外線硬化樹脂を供給し、続いてディ
スクの回転速度を1秒間で3000rpmまで上昇さ
せ、この回転速度を4秒間保持することで行った。
【0019】紫外線硬化樹脂としては、粘度が500c
ps、140cps、37cpsの3種類のものを使用
した。図中、○は500cpsの紫外線硬化樹脂を塗布
したときの膜厚分布、△は140cpsの紫外線硬化樹
脂を塗布したときの膜厚分布、□は37cpsの紫外線
硬化樹脂を塗布したときの膜厚分布のぞれぞれ実測値で
ある。また、実線は、粘性抵抗力と遠心力の釣り合いの
式から求めた膜厚分布の計算値である。
【0020】次に、図7における、粘度140cpsの
紫外線硬化樹脂を用いた場合の膜厚分布を2.0倍する
ことで得られる規格化膜厚分布及び粘度37cpsの紫
外線硬化樹脂を用いた場合の膜厚を3.8倍することで
得られる規格化膜厚分布を、粘度500cpsの紫外線
硬化樹脂を用いた場合の膜厚分布に重ねた結果を図8に
示す。
【0021】この図8を見ると、3つの膜厚分布は、同
一曲線上に載っていることがわかる。このことは、通常
のスピンコート法では、いくら条件を制御しても、ある
特定の膜厚で塗膜を形成しようとした場合には、必ず内
周と外周とである決まった値だけ膜厚誤差が生じてしま
うことを示している。
【0022】たとえば、粘度37cpsの紫外線硬化樹
脂を使用したり、スピンコートの回転時間を長くするこ
とで、保護膜の膜厚を全体に薄く設定すれば、24mm
の半径位置(内周側)と40mmの半径位置(外周側)
での膜厚差は1.5μmに抑えられる。しかし、記録磁
性膜の腐食を十分に防止するには、保護膜の膜厚を極端
に薄くすることはできず、現行通り平均15μmの膜厚
は必要である。しかし、条件を制御して保護膜の平均膜
厚を15μmにすると、内周側と外周側での膜厚は5μ
mに達することになる。
【0023】ここで、このように保護膜の内周側と外周
側での膜厚誤差が大きくなると、光学ピックアップ装置
から保護膜を通過して照射されるレーザ光が、波面収差
によって不安定化することが問題になってくる。この波
面収差W40dは、下記の式1に基づいて数値化され
る。
【0024】 W40d=(n2−1)/8n3・(NA)4・Δd ・・・式1 n:保護膜の屈折率 Δd:保護膜の膜厚誤差 NA:光学系のレンズの開口数 現行の光磁気ディスクの場合、保護膜の屈折率nが1.
58であり、光学系のレーザ波長λが780nm、レン
ズの開口数NA(Numerical Apartur
e)が0.5である。このような条件において、保護膜
の膜厚誤差Δdが50μmであると、数1から波面収差
W40dは0.19λ(=0.148μm)となる。
【0025】しかし、最近では、記録密度の向上のた
め、光学系のレーザ波長λはより短く、またレンズの開
口数NAはより大きくされる方向にある。
【0026】これは、光学レンズで集光させたレーザ光
のスポットサイズは、レーザ波長λに比例し、レンズの
開口数NAに反比例するからである。現行の光学系では
ビームスポット径が約1.6μmであるが、例えば上述
のようにレーザ波長を480nm、レンズの開口数NA
を0.9とすると、ビームスポット径が現行の1/3で
ある0.5μmにまで小さくなり、面積当たり記録密度
が約9倍に高められることになる。
【0027】ところが、そのような方向で光学系のファ
クターを変化させた場合に、保護膜の内外周での膜厚誤
差Δdが5μmのままであると、上記数1で求められる
波面収差W40dの値は非常に大きな値になり、安定し
た記録再生が困難になる。たとえば、レーザ波長を48
0nm、レンズの開口数NAを0.9とした場合に、波
面収差W40dを少なくとも現行の0.19λに抑える
ためには保護膜の内外周での膜厚誤差Δdは2.9μm
以下に抑える必要がある。
【0028】また、このような保護膜の膜厚誤差は、光
学系によるレーザ光の照射のみならず、磁気ヘッドによ
る磁界の印加にも影響する。磁界変調方式では、磁気ヘ
ッドとしては、ディスク面に対して数μm〜数10μm
の微少な間隙を有して浮上走行しながら磁界を印加する
浮上型磁気ヘッドやディスク面を摺動しながら磁界を印
加する摺動型磁気ヘッドが用いられる場合があるが、こ
れらのタイプの磁気ヘッドを用いる場合に、保護膜に膜
厚誤差があると、記録磁性膜と磁気ヘッドとの距離がこ
の膜厚誤差を反映して不均一になる。その結果、記録磁
性膜に印加される磁界の強さにばらつきが生じてしま
う。例えば、浮上高さを5μmとした浮上型磁気ヘッド
を用いるシステムにおいて、保護膜に内外周で5μmの
膜厚差があると印加される磁界の強さは内外周で15O
eも異なるものとなる。
【0029】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、保護膜によって十分な保
護効果が得られ、また記録層へのレーザ光の照射や磁界
の印加が安定に行えるディスク状記録媒体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明のディスク状記録媒体は、円板状の基板上
に少なくとも記録層が形成され、この記録層上に紫外線
硬化樹脂よりなる保護膜が形成されてなり、上記保護膜
のデータ記録領域上での平均膜厚が15μm以上であ
り、内周側と外周側での膜厚差が2μm以下であること
を特徴とするものである。
【0031】このディスク状記録媒体は、基板の片面に
のみ記録層と保護膜が形成された単板構成、あるいは基
板の両面に記録層と保護膜が形成された両板構成とされ
る。いずれの場合にも、保護膜の膜厚は上記条件を満た
すように設定される。
【0032】このような保護膜は、紫外線硬化樹脂をス
ピンコートすることで形成されるが、特に上述の膜厚条
件を満たす保護膜は、スピンコートに際して粘度の異な
る複数の紫外線硬化樹脂を用い、内周側に粘度の高い紫
外線硬化樹脂を供給し、それよりも外周側に粘度の低い
紫外線硬化樹脂を供給するようにすると形成される。
【0033】一方、上記記録層には、例えば磁気記録シ
ステムや光磁気記録システムで記録が行われる磁性層が
形成される。本発明は、このうち光磁気記録システム、
特に磁界変調方式を採用する場合に効果が高い。
【0034】
【作用】本発明では、円板状の基板上に少なくとも記録
層が形成され、この記録層上に紫外線硬化樹脂よりなる
保護膜が形成されてなるディスク状記録媒体において、
上記保護膜のデータ記録エリア上での平均膜厚を15μ
m以上とし、内周側と外周側での膜厚差を2μm以下に
抑える。
【0035】保護膜の平均膜厚が15μm以上である
と、この保護膜によって記録層の腐食が十分に防止さ
れ、温度変化による反りも確実に抑えられるようにな
る。
【0036】また、内周側と外周側での保護膜の膜厚差
が2μm以下に抑えられていると、例えば波長480n
m,レンズの開口数0.9といったように、高密度記録
用に設計された光学系を用いた場合でも、保護膜による
波面収差が十分に小さい値に抑えられる。その結果、記
録再生光が安定に記録層に照射されるようになる。
【0037】さらに、摺動型磁気ヘッドや浮上型磁気ヘ
ッドを用いる場合でも、保護膜の膜厚差が2μm以下で
あれば、記録層と磁気ヘッドとの距離がほぼ一定に保た
れ、記録層に均一な強さで磁界が印加される。したがっ
て、ディスク全面に、記録ピットが安定に形成されるこ
とになる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら説明する。なお、本実施例は光
磁気ディスクの製造に本発明を適用した例である。
【0039】本実施例で製造する光磁気ディスクは、磁
界変調方式に適用される光磁気ディスクであり、図1に
示すように、基板1上に記録部2が形成され、この記録
部2上と、基板1の記録部2が形成された側とは反対側
の面に保護膜3,4が形成されて構成される。このよう
な光磁気ディスクは、基板1側に光学ピックアップ装置
が配置され、その反対側、すなわち記録部2側に磁気ヘ
ッド5が配置される。そして、光学ピックアップ装置に
よって基板1側からレーザ光Lを照射し、また磁気ヘッ
ド4によって記録部2側から高速反転させながら磁界を
印加することで情報信号が書き込まれる。
【0040】上記基板1は、厚さ数mm程度の円板状の
透明基板であって、その材質としては、アクリル樹脂,
ポリカーボネート樹脂,ポリオレフィン樹脂,エポキシ
樹脂等のプラスチック材料の他、ガラス等も使用され
る。
【0041】上記記録部2は、上記基板1の内周領域を
除いた領域、すなわち半径位置が24〜40mmの領域
に円環状に形成される。(以下、この記録部が形成され
た円環状の領域をデータ記録エリアと称する)この記録
部2は、記録磁性膜、第1の誘電体膜、第2の誘電体膜
及び反射膜の4層よりなり、第1の誘電体膜、記録磁性
膜、第2の誘電体膜、反射膜の順で積層されて構成され
ている。
【0042】上記記録磁性膜は、膜面に垂直な方向に磁
化容易方向を有する非晶質の磁性薄膜であって、磁気光
学特性に優れることは勿論、室温にて大きな保磁力を持
ち、且つ200℃近辺にキュリー点を持つことが望まし
い。このような条件に叶った記録材料としては、希土類
−遷移金属合金非晶質薄膜等が挙げられ、なかでもTb
FeCo系非晶質薄膜が好適である。この記録磁性膜に
は、耐蝕性を向上させる目的で、Cr等の添加元素が添
加されていてもよい。
【0043】上記誘電体膜としては、酸化物や窒化物等
が使用可能であるが、誘電体中の酸素が記録磁性膜に悪
影響を及ぼす虞れがあることから窒化物がより好まし
く、酸素および水分を透過せず且つ使用レーザ光を十分
に透過し得る物質として窒化珪素あるいは窒化アルミニ
ウム等が好適である。
【0044】また、反射膜は、前記第2の誘電体膜との
境界でレーザ光を70%以上反射する高反射率の膜によ
り構成することが好ましく、非磁性金属の蒸着膜が好適
である。また、この反射膜は、熱的良導体であることが
望ましく、入手の容易さや成膜の容易さ等を考慮する
と、アルミニウムが適している。
【0045】上記保護膜3,4は、以上のような4層構
成の記録部2上と、基板1の記録部2を形成した側とは
反対側の面に、紫外線硬化樹脂のスピンコート膜として
形成されている。本実施例の光磁気ディスクでは、特に
この4層構成の記録部2上の保護膜3は、データ記録エ
リア上での平均膜厚が15μm以上とされ、内周側と外
周側での膜厚差が2μm以下に抑えられている。
【0046】まず、保護膜3の平均膜厚が15μm以上
であると、この保護膜によって記録磁性膜の腐食が十分
に防止され、ディスクの温度変化による反りも確実に抑
えられる。
【0047】また、この保護膜3の膜厚誤差として規制
した2μmは、例えばレーザ波長λを480nm、レン
ズの開口数NAを0.9としたときに、波面収差W40
dが0.19λ以下に抑えられる膜厚誤差Δdの上限
(2.9μm)を、大きく下回る値である。したがっ
て、このような膜厚誤差の小さい保護膜が形成された光
磁気ディスクでは、高密度記録用に設計された光学系を
用いた場合でも、保護膜3による波面収差が十分小さい
値に抑えられ、記録再生光が安定に記録磁性膜に照射さ
れる。
【0048】さらに、この程度の膜厚誤差であれば、摺
動型磁気ヘッドや浮上型磁気ヘッドを用いた場合でも、
記録磁性膜と磁気ヘッドの距離がほぼ一定に保たれる。
したがって、例えば、浮上量が5μmに設定された浮上
型磁気ヘッドでは、記録磁性膜に印加される磁界の差が
内外周で4Oe程度に抑えられ、ディスク全面に記録ピ
ットが安定に形成されることになる。なお、ディスクの
磁気ヘッドからの距離と印加磁界の関係は、図2に示す
通りである。
【0049】このように平均膜厚が比較的厚く且つ膜厚
誤差の小さい保護膜は、図3に示すようなスピンコート
装置によって形成される。
【0050】このスピンコート装置は、保護膜を形成す
べきディスク37を載置し、回転させるためのターンテ
ーブルと、このディスク37に粘度の高い紫外線硬化樹
脂31を供給する第1のノズル32及び粘度の低い紫外
線硬化樹脂34を供給する第2のノズル35よりなって
いる。この2つのノズル32,35は、それぞれ図示し
ない樹脂供給部に接続された樹脂供給管33,36の一
端部に取り付けられている。このうち第1のノズル32
は、その吐出口がディスクデータ記録エリアAよりも内
周側に向けられている。一方、第2のノズル35は、そ
の吐出口がデータ記録エリアAの内周辺縁部近傍に向け
られている。
【0051】本実施例では、以上のようスピンコート装
置によって保護膜3を形成する。
【0052】なお、第1のノズル32から供給する紫外
線硬化樹脂は粘度が500cpsのものであり、第2の
ノズル35から供給する紫外線硬化樹脂は粘度が37c
psのものである。
【0053】上記スピンコート装置によって、保護膜3
を形成するには、上記記録部2が形成されたディスク3
7を、保護膜を形成すべき面を上側にしてターンテーブ
ル上に載置し、まず、30rpmの低速でディスク37
を回転させる。そして、第1のノズル32,第2のノズ
ル35より、それぞれ粘度の高い紫外線硬化樹脂31,
粘度の低い紫外線硬化樹脂34を同時に吐出させる。図
4に示すように、第1のノズル32より吐出した粘度の
高い紫外線硬化樹脂31は、ディスク37のデータ記録
エリアAよりも内周側、すなわち17〜21mmの半径
位置に滴下し、ディスク37の回転によって円周状に塗
布される。また、第2のノズル35より吐出した粘度の
低い紫外線硬化樹脂34は、ディスク37のデータ記録
エリアAの内周辺縁部近傍、すなわち24〜30mmの
半径位置に滴下し、やはりディスク37の回転によって
円周状に塗布される。
【0054】続いて、ディスク37の回転速度を1秒間
かけて3000rpmまで上昇させ、この回転速度で4
秒間保持する。この回転の間に、ディスク37上に円周
状に供給された各紫外線硬化樹脂31,34は遠心力に
よって外周側に広がり、ディスク37全面に紫外線硬化
樹脂の塗膜が形成される。
【0055】このようにしてディスク上に紫外線硬化樹
脂の塗膜を形成した後、この塗膜に、500mJ/cm
2の照射パワーで紫外線を照射する。その結果、樹脂が
硬化し、保護膜3が形成されることになる。
【0056】ここで、この保護膜3の膜厚を接触式段差
計で測定した結果を図5に示す。なお、図5において、
横軸はディスク上の半径位置であり、縦軸はその半径位
置における保護膜3の膜厚である。また、比較のため、
粘度が500cpsの紫外線硬化樹脂のみをスピンコー
トした場合の膜厚分布および粘度が37cpsの粘度の
紫外線硬化樹脂のみをスピンコートした場合の膜厚分布
を図5に重ねて示す。なお、この2つの比較データはい
ずれも計算値である。
【0057】図5からわかるように、粘度の高い紫外線
硬化樹脂と粘度の低い紫外線硬化樹脂の2種類を用いて
形成された保護膜3の膜厚分布は、半径位置が17〜2
4mmの領域では、粘度が500cpsの紫外線硬化樹
脂のみをスピンコートした場合とほぼ同じ分布を示す。
しかし、この後の半径位置が24mm〜40mmの領域
では、この膜厚分布に比べて半径方向における膜厚の増
加変化が小さくなる。その膜厚の増加変化は、むしろ粘
度が37cpsの紫外線硬化樹脂のみをスピンコートし
た場合とほぼ同じ程度である。したがって、データ記録
エリア全体の平均膜厚は約15μmであるが、内外周側
での膜厚誤差は1.5μmに抑えられる。
【0058】このように粘度の異なる2種類の紫外線硬
化樹脂をスピンコートすると、内外周で膜厚誤差の小さ
い保護膜が比較的厚い膜厚で形成されることになる。
【0059】また、このように2種類の紫外線硬化樹脂
を用いてスピンコート法によって保護膜を形成する場合
を、従来の1種類の紫外線硬化樹脂を用いてスピンコー
ト法によって保護膜を形成する場合と比較すると、紫外
線硬化樹脂とそれを供給するための供給システムが余分
に必要になるだけで、装置が複雑になることもなけれ
ば、タクトタイムも1種類の紫外線硬化樹脂を用いる場
合と同じである。したがって、光磁気ディスクの製造工
程に容易に導入することができる。
【0060】なお、スピンコートに用いる2種類の紫外
線硬化樹脂としては、アクリル系紫外線硬化樹脂等、光
磁気ディスクの保護膜材料として通常用いられているも
のが使用可能である。この紫外線硬化樹脂の粘度は、た
とえば重合度等を制御することで所望の値とすることが
できる。
【0061】光磁気ディスクとしては、以上のような基
板の片面にのみ記録層と保護膜が形成され、基板の記録
層が形成されている側とは反対側の面に保護膜が形成さ
れた単板構成の他、単板構成の光磁気ディスクの基板同
士を貼り合わせ一体となした両板構成であっても良い。
両板構成の光磁気ディスクでは、保護膜で覆われた記録
部が両側に向き、この一方の記録部側から一体型ヘッド
によってレーザ光が照射されるとともに磁界が印加され
る。この場合にも、内外周での膜厚誤差の小さい保護膜
が比較厚い膜厚で形成されていると、この保護膜が十分
な保護効果を発揮するとともに、記録磁性膜への記録再
生光の照射及び磁界の印加が安定に行われ、耐久性に優
れ良好な記録再生特性が得られるものとなる。
【0062】また、本実施例では光磁気ディスクを例に
して説明したが、本発明が適用される媒体は光磁気ディ
スクに限らない。ハードディスク等、他のディスク状記
録媒体に適用した場合にも同様の効果を得ることができ
る。
【0063】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、円板状の基板上に少なくとも記録層が形成さ
れ、この記録層上に保護膜が形成されてなるディスク状
記録媒体において、上記保護膜のデータ記録エリア上で
の平均膜厚を15μm以上とし、内周側と外周側での膜
厚差を2μm以下に抑える。このように保護膜の膜厚が
規制されたディスク状記録媒体では、保護膜の膜厚が比
較的厚いので、この保護膜によって十分な保護効果が得
られる。また、保護膜に膜厚誤差が少ないことから、記
録層へのレーザ光の照射や磁界の印加が安定に行える。
したがって、耐久性に優れるとともに良好な記録再生特
性を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で製造されるディスク状記録媒体の1例
を示す模式図である。
【図2】ディスクの磁気ヘッドからの距離と印加磁界を
関係を示す特性図である。
【図3】本発明の製造方法で用いられるスピンコート装
置の構成を示す模式図である。
【図4】ディスク上に2種類の紫外線硬化樹脂が滴下し
た様子を示す模式図である。
【図5】本発明の製造方法で形成された保護膜の膜厚分
布を示す特性図である。
【図6】従来のスピンコート装置を示す模式図である。
【図7】1種類の紫外線硬化樹脂を用いて形成された保
護膜の膜厚分布を示す特性図である。
【図8】上記特性図について膜厚を規格化した特性図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2 記録部 3,4 保護膜 31 粘度の高い紫外線硬化樹脂 34 粘度の低い紫外線硬化樹脂 37 ディスク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年11月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】すなわち、スピンコート法で形成される塗
膜の膜厚は、樹脂の粘度、ディスクの回転数、回転時間
等の条件によって変化する。しかし、塗布開始位置を同
じにし、かつ同膜厚で塗膜を形成しようとした場合に
は、これら条件を変化させても、塗膜の膜厚は外周側に
いく程小さい割合で増加するといった性質がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】また、このような保護膜の膜厚誤差は、光
学系によるレーザ光の照射のみならず、磁気ヘッドによ
る磁界の印加にも影響する。磁界変調方式では、磁気ヘ
ッドとしては、ディスク面に対して数μm〜数10μm
の微小な間隙を有して浮上走行しながら磁界を印加する
浮上型磁気ヘッドやディスク面を摺動しながら磁界を印
加する摺動型磁気ヘッドが用いられる場合があるが、こ
れらのタイプの磁気ヘッドを用いる場合に、保護膜に膜
厚誤差があると、記録磁性膜と磁気ヘッドとの距離がこ
の膜厚誤差を反映して不均一になる。その結果、記録磁
性膜に印加される磁界の強さにばらつきが生じてしま
う。例えば、浮上高さを5μmとした浮上型磁気ヘッド
を用いるシステムにおいて、保護膜に内外周で5μmの
膜厚差があると印加される磁界の強さは内外周で15O
eも異なるものとなる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】本実施例で製造する光磁気ディスクは、磁
界変調方式に適用される光磁気ディスクであり、図1に
示すように、基板1上に記録部2が形成され、この記録
部2上と、基板1の記録部2が形成された側とは反対側
の面に保護膜3,4が形成されて構成される。このよう
な光磁気ディスクは、基板1側に光学ピックアップ装置
が配置され、その反対側、すなわち記録部2側に磁気ヘ
ッド5が配置される。そして、光学ピックアップ装置に
よって基板1側からレーザ光Lを照射し、また磁気ヘッ
ド5によって記録部2側から高速反転させながら磁界を
印加することで情報信号が書き込まれる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】本実施例では、以上のようなスピンコート
装置によって保護膜3を形成する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円板状の基板上に少なくとも記録層が形
    成され、この記録層上に保護膜が形成されてなるディス
    ク状記録媒体において、 上記保護膜のデータ記録エリア上での平均膜厚が15μ
    m以上であり、内周側と外周側での膜厚差が2μm以下
    であることを特徴とするディスク状記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録層が磁気光学効果を有する磁性薄膜
    であり、この磁性薄膜に対して磁界変調記録方式によっ
    て記録が行われることを特徴とする請求項1記載のディ
    スク状記録媒体。
  3. 【請求項3】 基板の両面に記録層及び保護層が形成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載のディスク状記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 円板状の基板上に少なくとも記録層を形
    成した後、この記録層上に、紫外線硬化樹脂をスピンコ
    ートして保護膜を形成するに際し、 粘度の異なる複数の紫外線硬化樹脂を用い、内周側に粘
    度の高い紫外線硬化樹脂を供給し、それよりも外周側に
    粘度の低い紫外線硬化樹脂を供給することを特徴とする
    ディスク状記録媒体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9159350B1 (en) * 2014-07-02 2015-10-13 WD Media, LLC High damping cap layer for magnetic recording media

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9159350B1 (en) * 2014-07-02 2015-10-13 WD Media, LLC High damping cap layer for magnetic recording media

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Effective date: 20031014