JPH08258167A - 繊維強化樹脂構造体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂構造体の製造方法

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JPH08258167A
JPH08258167A JP7068299A JP6829995A JPH08258167A JP H08258167 A JPH08258167 A JP H08258167A JP 7068299 A JP7068299 A JP 7068299A JP 6829995 A JP6829995 A JP 6829995A JP H08258167 A JPH08258167 A JP H08258167A
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JP
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fiber bundle
fiber
roving
tension
resin
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JP7068299A
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Inventor
Shinji Tsukamoto
真司 塚本
Michihiro Okawachi
道広 大川内
Kazuhisa Yasumoto
一寿 安元
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は繊維強化樹脂構造体の製造方法に関
し、詳しくは、繊維束に樹脂を含浸する際、樹脂の含浸
性が高く、しかも繊維のダメージが低減された、高い生
産性を有する引抜き成形法を提供することを目的とす
る。 【構成】 繊維束に樹脂を含浸させる引抜き成形におい
て、繊維束の集束剤の付着量が0.3〜1.5重量%で
あって、付着量の変動量が平均付着量に対して−10〜
+50%である繊維束を使用し、該繊維束を巻いたロー
ビングロールを回転させながら外周より繊維束を取り出
した後、固定された複数の棒状開繊体を通すことを特徴
とする繊維強化樹脂構造体の製造方法。 【効果】 本発明の方法により、繊維束の開繊性が高ま
り、樹脂の含浸性を向上できる。さらに、繊維切断によ
る製品表面の悪化や製造中断等のトラブルが少なく、引
取り速度を速くすることが可能であり、生産性を高める
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維束に樹脂を被覆又
は含浸(以下、これらを含浸という。)させ繊維強化樹
脂構造体を製造する際、繊維束を効果的に開繊させ、樹
脂の含浸性を高めるとともに、繊維のダメージを低減さ
せた高い生産性を有する引抜き成形法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より樹脂に補強用繊維を配合し、樹
脂の機械的強度を高める方法が知られており、様々な産
業分野に用いられている。特に、熱可塑性樹脂と補強用
繊維とを複合した組成物からなる成形用材料を製造する
方法としては、 (1)適当な長さ(通常3〜6mm)に切断した繊維と
粉末又は粒状の熱可塑性樹脂とを混合し、押出成形機に
て押出し、切断して成形材料を得る方法 (2)樹脂を溶剤に溶解もしくは懸濁し、それに長繊維
を連続的に浸漬し、溶剤を乾燥除去後これを切断して成
形材料を得る方法 (3)開始剤を含むモノマーもしくは反応性を有するオ
リゴマーに長繊維を連続的に浸漬し、これを加熱重合し
た後これを切断して成形材料を得る方法 (4)樹脂を押出成形機により可塑化溶融し、溶融物の
吐出側に長繊維を連続的に導入し、繊維間に溶融樹脂を
浸透させ、これを切断して成形材料とする電線被覆類似
の引抜き成形法またはプルトルージョン法 等が知られている。(1)の方法では使用する繊維の初
期長さをあまり大きくすることが出来ないことや押出機
にて混合する時に繊維の粉砕が生じるため繊維による補
強効果が減じるという問題点がある。(2)の方法では
使用した溶剤を回収する必要があり、工程が長くなると
同時に設備が大規模なものとなって、コストへの影響が
大きい。(3)の方法による場合は使用可能な熱可塑性
樹脂が限られている点や重合工程が複雑となり、その制
御が困難であるという欠点を有する。
【0003】以上の各方法に対し、(4)の方法は装
置、工程とも簡単であり、製造工程中に繊維の粉砕を伴
わず、成形材料中の繊維の長さは任意に選択できるため
補強効果が高い。しかし繊維の凝集が生じやすく、樹脂
が各単繊維間に十分浸透、つまり含浸せず、分散の悪い
製品となる傾向があった。特に補強効果を増すために繊
維の配合量を増すことはこの凝集を一層高め、本来補強
されるべき製品の強度が低下したり、製品の外観が悪化
したり、極端な場合では繊維の束がペレットから抜け落
ちることさえあり、補強性能、外観、安全性、衛生性に
おいて問題を有していた。
【0004】この改善のため、例えば特公昭43−74
48号公報、特公昭43−7468号公報、特公昭52
−10140号公報、特公昭55−16825号公報の
様なクロスヘッドダイの工夫による提案が知られている
が、個々の繊維フィラメントに対する樹脂の含浸性と樹
脂組成物中での個々の繊維の分散性は不十分であった。
また、樹脂の含浸性を向上させるため、溶融粘度の低い
樹脂、つまり低分子量の樹脂を使用したり、低分子量添
加剤を多量に混合し、溶融物の粘度を低下させたりする
方法や、ダイス部の温度を高めに設定し溶融物の粘度を
下げる等の樹脂粘度を下げる方法が知られているが、こ
れらの方法では粘度低下させる幅にも限界があり、さら
に得られた成形材料の物性面、特に耐衝撃性、長期信頼
性に問題が生じていた。
【0005】また更に個々の繊維フィラメントへの樹脂
含浸性を改善する為には、例えば特公昭63−3769
4号公報等に記載されている様なスプレッダー等(これ
はピン、バー、回転体等の突起物を含む)の利用によっ
て繊維束を拡げ、個々の繊維が樹脂と接触しやすくする
方法が知られている。しかしながら繊維束に既に撚りが
入っている場合は、繊維束の開繊が妨げられ、含浸工程
での樹脂の含浸が不完全となる傾向にある。
【0006】通常、引抜き成形に用いられる繊維は、数
千本程度の繊維モノフィラメントを少量の集束剤または
サイジング剤と呼ばれるバインダーで集束し引きそろえ
たもので、ロービングと呼ばれている。特に引抜き成形
には無撚の状態でモノフィラメントを引きそろえて束ね
たダイレクトロービングが多く用いられる。しかし、ロ
ービングを巻いたロービングロールの内周部(中心部)
からロービングロール自体を固定した状態で繊維束を取
り出す内取り方式では、原理的にロービングの1周毎、
つまりボビンの1回転毎に撚りが発生するため、繊維束
の開繊は極めて困難となる。またたとえ何らかの機械的
方法により、引き出されたロービングの1周ごとに、そ
の逆方向の回転をロービングロールに与えたとしても、
引き出す速度と同調させるのは困難である上、装置自体
も複雑なものになり、製造コストに与える影響は大き
い。一方、ロービングロールを回転させながら外周より
繊維束を取り出す外取り方式では、繊維束の撚りは発生
しないものの、繊維束にかかる負担が大きく、繊維の切
断が発生し易いという欠点を有しており、そのため連続
生産性に難があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維束に樹
脂を含浸させる引抜き成形法による剛性、衝撃強度の高
い繊維強化樹脂構造体の製造において、繊維の切断を抑
制しながら、繊維の開繊性を高め、樹脂の含浸性および
生産性を改良することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、繊維束に
樹脂を含浸させる引抜き成形による繊維強化樹脂構造体
の製造方法において、特定の集束処理を施した繊維束を
巻いたロービングロールから繊維束を撚りがかからない
ように取り出し、繊維束の開繊を効率よく行いながら樹
脂を含浸させることで、前記の目的を達成出来ることを
見いだした。すなわち本発明者らは、繊維束に樹脂を含
浸させる引抜き成形による繊維強化樹脂構造体の製造方
法において、繊維束の集束剤の付着量が0.3〜1.5
重量%であって、付着量の変動量が平均付着量に対して
−10〜+50%である繊維束を使用し、該繊維束を巻
いたロービングロールを回転させながら外周より取り出
した後、固定された複数の棒状開繊体を通すことを特徴
とする繊維強化樹脂構造体の製造方法により、繊維束に
撚りがかからず、かつ繊維の損傷を抑えることが可能で
あることを見いだした。
【0009】本発明における樹脂とは、熱硬化性樹脂又
は熱可塑性樹脂のいずれかを言う。特に、一般的に溶融
粘度が高く含浸性の悪いとされる熱可塑性樹脂において
その効果を発揮することができる。本発明に使用出来る
熱可塑性樹脂としては押出機で可塑化可能であれば特に
制限はないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリ塩化ビニル等が挙げられる。またこれらの樹脂のブ
レンド物又は各種フィラーを充填した樹脂組成物であっ
ても構わない。さらに繊維との親和性をもたせる各種変
性樹脂を使用することができる。本発明の効果を発揮
し、製品の最終性能を高めるためには、樹脂の溶融粘度
は剪断速度ゼロにて、含浸時の温度での粘度が1000
poiseより大きい熱可塑性樹脂の使用が適してい
る。
【0010】また本発明に用いられる繊維束の繊維とし
ては、E−ガラス、S−ガラス等のガラス繊維、ピッチ
系、ポリアクリロニトリル系等の炭素繊維、芳香族ポリ
アミド、ナイロン、ポリエステル等の有機繊維、炭化珪
素、アルミナ等のセラミック系繊維、又は金属繊維が単
独、又は複合して用いられる。なお繊維の太さは各種の
ものを用いることができる。
【0011】繊維束の集束剤は通常一般に用いられるも
のを使用できる。集束剤の付着量は、繊維束を高温で処
理したのちの減量分で評価した値で見ると、0.3〜
1.5重量%であって、付着量の変動量は平均付着量に
対して−10〜+50%であることが好ましく、上述の
範囲をはずれると繊維の切断や毛羽の発生頻度が高くな
る。すなわち、繊維束の集束剤の付着量は集束剤の種類
により多少異なるが、本発明によれば0.3〜1.5重
量%の範囲にあることが重要である。集束剤の付着量が
0.3重量%未満の場合は、外周より繊維を取り出した
際に繊維フィラメントが個々に分離しやくすく、作業性
が低下すると共に繊維の損傷が大きくなる傾向にある。
一方、集束剤の付着量が1.5重量%を超える場合は、
繊維束を巻いたロービングロールより繊維束を引き出す
際に、繊維束の一部がロール側に残り易く、繊維の切断
の原因になりやすい。また集束剤の付着量はロービング
ロール全体で均一であることが好ましく、付着量の変動
量が平均付着量に対して−10〜+50%程度のものが
好ましく使用できる。
【0012】繊維強化樹脂組成物中の繊維の配合量は特
に制限されるものではないが、繊維の種類にもよるが、
10重量%から80重量%程度が一般的である。
【0013】本発明に利用できる繊維束の形態として
は、円周方向に繊維束を巻いたものならいずれも使用で
きるが、繊維束を巻き取る製造工程で撚りが掛かってい
ないもので、ダイレクトロービングの使用が好ましい。
また繊維の巻き形態としては、円筒状に巻いたものが好
ましい。
【0014】本発明によって得られる繊維強化樹脂組成
物の形態としては、樹脂含浸工程の出口のサイジング部
の形状を変えることにより任意の形状、例えば棒状、シ
ート状、円柱状等とすることができるが、通常は5〜5
0mmの長さに切断したペレット形状が好適に用いられ
る。
【0015】以下本発明を図面を用いて説明する。図1
は本発明の一例として、繊維束に熱可塑性樹脂を含浸さ
せる引抜き成形装置の断面図を示す。回転可能なクリー
ル(ロービングロールをセットする装置)1にセットさ
れたロービングロール2より所定張力になるように調整
して、集束剤の付着した繊維束3を撚りが掛かっていな
い状態で引き出す。次いで引き出された繊維束3はロー
ビング開繊装置4により、常温好ましくは加熱下で繊維
束3の個々のフィラメントを整列、開繊させる。次に開
繊された繊維束3は含浸装置5において押出機またはギ
ヤポンプ等から供給される溶融樹脂で含浸され、該樹脂
含浸繊維束は賦形装置(ノズル)6を通過して樹脂量を
調整されると共に任意の断面形状に賦形され、冷却装置
7において冷却されて形状が固定される。冷却された繊
維強化樹脂構造体は引取機8を経てカッター9により適
当な長さに切断され製品となる。
【0016】図2は繊維束3のロービングロール2から
取り出す方法を示している。一般的にロービングロール
はその製造時に軸方向に対して垂直方向に対してやや傾
いた方向に斜めに巻かれており、複数回円周方向に巻か
れてロールの端から他端に移動していくような形態をと
っている(図2中の点aから点b)。そのため外周に対
して接線方向に繊維束3を引出した場合、ロービングロ
ール2と繊維束3との接点はロールの端部(例えば点
a)から他端(点b)へ移動していき、他端(点b)に
達した瞬間、端(点a)へ向かって移動すると同時に、
繊維束に180°ひねりが加わる。これは、繊維束が偏
平であり、ロービングロールに巻かれるときにロービン
グロールの端部で繊維束の上下面が180°反転するよ
うに巻かれているためである。つまりそのままの形態で
繊維束を引き出していくと、周期的に繊維束が交互に捩
じれた状態となり、それがそのまま含浸工程に持ち込ま
れると、繊維束の開繊性の悪い箇所、つまり捩じれた部
分での樹脂の含浸性が悪化する。
【0017】本発明によれば、引き出された繊維束が含
浸工程に入る前に、図1に示されるようなロービング開
繊装置4を通すことで、繊維束3(ロービング)の捩れ
が止まり、捩れは次の含浸工程に持ち込まれない。ロー
ビング開繊装置4は固定された複数の棒状の開繊体を繊
維束3の引抜き方向に対して垂直に互い違いに配置した
もので、開繊体の相互位置を変更することにより、繊維
束3にかかる張力と開繊、整列の状態を変更出来る。開
繊体の形状は限定されるものではないが、例えば直径2
0mm以上の円柱状のものや、断面形状が円弧と弦とに
より囲まれる形状である棒状の構造体であって、耐磨耗
性を有するものが挙げられる。また繊維束3の開繊は常
温でも可能であるが、好ましくは繊維束3の集束剤が分
解しない程度の温度に加熱しながら行うことで、さらに
高い効果を達成できる。
【0018】さらに本発明によれば、繊維束の取り出す
とき、図2に示すように、ロービングロール2より繊維
束を取り出す位置と取り出された該繊維束が収束する位
置cとの距離Bが、繊維束3を巻いたロービングロール
2の幅Aの2倍以上になるようにすることが好ましい。
2倍未満ではロービングロール2上の繊維束3の繊維の
切断が増加し好ましくない。
【0019】繊維束を取り出すときの張力は、必要以上
に上げると、繊維束の負荷が大きくなったり、ロービン
グロールからの繊維束の剥がれやすさが低下し、繊維の
切断が大きくなるため、必要以上に張力を高めることは
好ましくない。具体的には、繊維束の張力は2.0kg
f以下に維持し、その変動量を平均張力の−20〜+2
0%の範囲内に制御することが好ましい。また含浸工程
で高い張力を必要とする場合は、併設したロービンク開
繊装置での張力付加量を高めることで実施できる。
【0020】繊維束の張力の制御は、ロービングロール
を取り付けた自由回転可能なクリールのシャフトのブレ
ーキ量を調整することで行うことが出来る。ただし初期
のブレーキ量を一定のまま連続的に繊維束を取り出して
いくと、ロービングロールの繊維束の巻き径が減少する
に比例して、張力が増大するため、該ブレーキ量をロー
ビンクロールの使用量に応じて、調整する必要がある。
繊維束の張力の調整方法としては、例えば、以下に挙げ
る方法が適用できる。
【0021】一つの方法として、ロービングロールの巻
き径を検知し、経時的にアンワインダーのブレーキ量を
制御する方法がある。巻き径の検知方法は、例えば直接
光学的な検知装置を使用して行うか、あるいは間接的に
はロービングロールの回転数を測定し、予め既知である
繊維束の引出し長当たりの巻き径の減少量から、その時
点の巻き径を演算する等の方法で達成できる。この方法
の例として、図3に装置の概略図を示す。すなわちチャ
ック10によってクリール1本体に取り付けられたロー
ビングロール2は、繊維束3をロービングロール2の外
周から取り出すことによって、自由に回転できる構造と
なっている。ロービングロール2の回転はシャフト11
によってパウダーブレーキ13に伝達される。該ブレー
キ量の制御は、回転計14にてロービングロール2の回
転数を測定しロービングの巻き径を検知して、それに逆
比例した電圧をコントローラー15aにて演算し、パウ
ダーブレーキ13に伝えることで行なわれる。本方法
は、後述するような直接、繊維束の張力の検出が困難な
場合に有効である。
【0022】繊維束の張力を調整する別の方法として、
引き出された繊維束の張力を直接、張力計で検出し、張
力の変化量に合わせて、該アンワインダーのブレーキ量
を制御する方法がある。張力の検出は、例えば3本の互
い違いに配置したロービングガイド16の中央のロービ
ングガイド16に荷重検出器を取り付けることで、容易
に実施することができる。この方法の例として図4に装
置の概略図を示すが、これに限定されるものではない。
つまりロービングロール2から取り出されたロービング
3は、張力計17によって直接その張力を検知し、予め
設定した張力からの変動に合わせて、パウダーブレーキ
13のブレーキ量をコントローラー15bで制御する。
なお制御には通常の張力制御装置を用いることができ、
追従感度は比例帯、積分時間等によって調整できる。ち
なみに複数のロービングロールを同時に制御する場合
は、クリールを複数個用い、個別に張力を制御すること
でも可能であるが、経済的には、一つの検知装置(回転
計14又は張力計17)にて複数のブレーキ装置(パウ
ダーブレーキ13)を並列して制御する方法をとること
もできる。
【0023】
【作用】本発明によると、従来の引抜き成形で問題とな
っていた繊維束の撚りを、ほぼ完全に解消することがで
きる。すなわち所定量の集束剤処理を施し、その変動量
の少ない繊維束を使用し、繊維束を巻いたロールの外周
より繊維束を一定張力で取り出し、次いで複数の開繊体
を通過させることにより、繊維束の撚りを解消し、開繊
を高める事が出来、含浸工程での樹脂の含浸性を向上出
来る。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例にて具体的
に説明する。 (実施例1)補強用繊維として繊維径16μmのE−ガ
ラス繊維を約4000本引きそろえ、変性オレフィンに
て0.75重量%(付着量の変動量−6.7〜+13.
3%)の処理を施したダイレクトガラスロービングを使
用した。ロービングロールの巻き形態は、初期外径が2
60mm、内径が160mm、巻き幅Aは270mmで
ある。樹脂としてはJIS K−7210(試験温度2
30℃、試験荷重2.16kgf)で測定したメルトフ
ローレートが30g/10分の無水マレイン酸変性ホモ
ポリプロピレン(無水マレイン酸はホモポリプロピレン
100重量部に対して0.05重量部使用)を使用し
た。
【0025】引抜き成形の方法は図1に示すように、張
力制御装置を完備した外取り用クリール1に棒状開繊体
を備えた開繊装置4を併設し、樹脂の含浸工程を押出機
と接続されたダイボックス中で実施した。なおクリール
1は図3に示すようなロービングロール2の回転数を測
定して、ロール巻き径の減少分をコントローラーで計算
し、パウダーブレーキ量を制御する張力経時変動を補正
する機構のものを使用した。さらに取り出した繊維束の
収束は、ロービングガイドにて行い、ロービングロール
2から該収束位置までの距離Bは600mmとした。ま
た開繊装置4は、径30mmの棒状体を4本互い違いに
配置したものを使用した。
【0026】製造初期の繊維束のロービングロール2か
らの取り出し張力を1.0kgfに設定し、さらに開繊
装置4を通過させることで、さらに張力を発生させ、繊
維束の撚りをとるとともに開繊させた。ちなみに含浸装
置前(ダイボックス導入前)の初期の張力は1.5kg
fとなるように棒状開繊体の相互位置を移動して調整し
た。引抜き成形体の形状は含浸装置出口に設置した賦形
ダイを通して、約3mmの径を有する棒状に賦形し、冷
却したのち、引取機で引取速度25m/minで引取り
を行った。
【0027】製造時の評価は、製造終了時のロービング
取り出し張力及び含浸装置前(ダイボックス導入前)の
張力を測定し、経時的な変動を調べることで行った。ま
た製造中のロービング取り出し張力の最大変動幅も合わ
せて測定した。また製造工程での繊維束の糸切れの状態
を、成形体の表面状態観察にて実施し、以下の3水準で
判定した。 ○ : 良好(毛羽発生無し) △ : やや悪い(毛羽発生多少有り) × : 非常に悪い(ロービングの切断激しく、成形中
断) さらに樹脂の含浸状態を見るために、棒状の引抜き成形
体を15cmの長さに切り、そのロッドを縦にして切断
面をインク液に浸漬し、インクの上昇高さで判定した。
つまり樹脂が完全に含浸していない部分は毛細管現象で
インクが浸透する。インクの上昇が大きいほど含浸状態
が悪いことを示す。含浸状態の判断は以下の3水準で行
った。 ○ : 良好(インク上昇長3mm以下) △ : やや悪い(インク上昇長5mm以下) × : 非常に悪い(インク上昇長10mm以上) 以上の評価結果を表1に示す。
【0028】(実施例2)図4に示すようなクリールを
用いた以外は、実施例1と同様の方法で実施した。ちな
みに、繊維束の張力制御は、3点支持形式の張力計で張
力を計測し、コントローラーにて、初期の取り出し張力
設定値1.0kgfを維持するようパウダーブレーキの
ブレーキ量を制御することで行った。評価結果を表1に
示す。
【0029】(実施例3)繊維束の取り出し張力の設定
値を1.5kgfとする以外は、実施例2と同様に実施
した。評価結果を表1に示す。
【0030】(比較例1)使用するガラスロービング
を、集束剤の付着量0.28重量%(付着量の変動量−
28.6〜+78.6%)のものに変更する以外は実施
例2と同様に行った。評価結果を表1に示す。
【0031】(比較例2)実施例2において、その張力
制御機構を用いないで実施例2と同様に行った。その結
果、繊維束の取り出し張力(1.0kgf)が経時的に
増大していった。評価結果を表1に示す。
【0032】(比較例3)実施例2において、開繊装置
を取り除き、繊維束取り出し張力を2.5kgfに設定
した以外は、同様の方法で実施した。評価結果を表1に
示す。
【0033】(比較例4)実施例2において、繊維束の
収束位置を決めるロービングガイドの位置を変更し、ロ
ービングロールから該収束位置までの距離Bを400m
mとした以外は同様の方法で実施した。評価結果を表1
に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、補強用繊維を樹脂で含
浸させる引抜き成形において、所定の集束剤処理を施し
たロービングロールの外周より繊維束(ロービング)を
取り出し、さらに脱撚、開繊を促進する開繊装置を通す
ことで、繊維束の開繊性が高まり、樹脂の含浸性を向上
できる。また製造時の繊維切断による製品表面の悪化や
製造中断等のトラブルが少なく、引取速度を速くするこ
とが可能であり、生産性を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る引抜き成形装置を模式的に示した
断面図である。
【図2】本発明に係るロービングロールから繊維束を取
り出す状態を示した斜視図である。
【図3】本発明に係る繊維束の張力を制御する装置の一
例の平面図である。
【図4】本発明に係る繊維束の張力を制御する装置の一
例の平面図である。
【符号の説明】
1 クリール 2 ロービングロール 3 繊維束(ロービング) 4 開繊装置 5 含浸装置 6 賦形装置 7 冷却装置 8 引取機 9 カッター 10 チャック 11 シャフト 12 ベアリング 13 パウダーブレーキ 14 回転計 15a コントローラー 15b コントローラー 16 ロービングガイド 17 張力計

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維束に樹脂を含浸させる引抜き成形に
    よる繊維強化樹脂構造体の製造方法において、繊維束の
    集束剤の付着量が0.3〜1.5重量%であって、付着
    量の変動量が平均付着量に対して−10〜+50%であ
    る繊維束を使用し、該繊維束を巻いたロービングロール
    を回転させながら外周より繊維束を取り出した後、固定
    された複数の棒状開繊体を通すことを特徴とする繊維強
    化樹脂構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ロービングロールより繊維束を取り出す
    位置と取り出された該繊維束が収束する位置までの距離
    Bが、繊維束を巻いたロービングロールの幅Aの2倍以
    上である請求項1記載の繊維強化樹脂構造体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 繊維束をロービングロールより取り出す
    時の張力を2.0kgf以下に維持し、その変動量を平
    均張力の−20〜+20%の範囲内に制御することを特
    徴とする請求項1、2のいずれか一項記載の繊維強化樹
    脂構造体の製造方法。
  4. 【請求項4】 繊維束をロービングロールより取り出す
    時の張力を、ロービングロールを取り付けた自由回転可
    能なクリールのブレーキ量を調整することで制御するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3のいずれか一項記載の
    繊維強化樹脂構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維束をロービングロールより取り出す
    時の張力を、ロービングロールの巻き径を検知し、経時
    的にクリールのブレーキ量を変化させることで制御する
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか一項
    記載の繊維強化樹脂構造体の製造方法。
  6. 【請求項6】 繊維束をロービングロールより取り出す
    時の張力を、繊維束の張力を検知し、経時的にクリール
    のブレーキ量を変化させることで制御することを特徴と
    する請求項1、2、3、4、5のいずれか一項記載の繊
    維強化樹脂構造体の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008290381A (ja) * 2007-05-25 2008-12-04 Kyocera Chemical Corp 引き抜き成形品の製造方法
JP2011037133A (ja) * 2009-08-11 2011-02-24 Ube Nitto Kasei Co Ltd 略矩形状熱可塑性樹脂被覆frp線条物の製造方法、及び同frp線条物を用いたドロップ光ファイバケーブル
JP2013111982A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Boeing Co:The 安定化されたドライプリフォーム及び方法
CN113263660A (zh) * 2020-02-17 2021-08-17 本田技研工业株式会社 丝束预浸体的制造装置和制造方法

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