JPH0825591B2 - 無加熱嗜好飲料の封緘方法 - Google Patents

無加熱嗜好飲料の封緘方法

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JPH0825591B2
JPH0825591B2 JP62174847A JP17484787A JPH0825591B2 JP H0825591 B2 JPH0825591 B2 JP H0825591B2 JP 62174847 A JP62174847 A JP 62174847A JP 17484787 A JP17484787 A JP 17484787A JP H0825591 B2 JPH0825591 B2 JP H0825591B2
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幹 丸田
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Description

【発明の詳細な説明】 「発明の目的」 本発明は嗜好飲料の封緘方法に係り、特に無加熱壜詰
の要求される嗜好飲料の流通過程における品質保全を一
般的な壜容器によって確保し、しかも操作性に優れた封
緘方法を提供しようとするものである。
(産業上の利用分野) 生清酒や果実酒その他の醗酵飲料のように加熱によっ
て風味、品質が害われる嗜好飲料についての保全封緘方
法。
(従来の技術) 各種飲料に関して細菌類の生育を抑制して品質を維持
する技術として加熱が広く採用されていることは周知の
如くである。然し生清酒や果実酒などの醗酵飲料におい
ては加熱によって風味、品質が著しく阻害され、これら
飲料の蔵出し壜詰後における管理は非常に困難であって
輸送荷役ないし店頭における陳列保存に関しては特別な
注意を必要とし、その殆んどは冷蔵(氷温貯蔵)が実施
されている。
従って醗酵飲料の保存に加熱による殺菌、酵素の失活
を採用し、あるいは近時において長足の進歩をなした合
成樹脂フイルムなどを用いた限外濾過膜による精密濾過
を採用することも行われつつある。
(発明が解決しようとする問題点) 上記したような従来のものにおいては夫々に問題点を
有している。即ち冷蔵法は設備的に特別なものを必要と
し、しかもそれなりの変質等のトラブル発生を避け得な
い。従って加熱殺菌の如きを適宜に採用することとなる
が、この加熱を採用したものでは生の状態が失われ、こ
の故に正確には生貯蔵酒(貯蔵が生で行われた酒)のよ
うに称され、その風味などは相当に異ったものとなる。
限外濾過膜による精密濾過は酵素の如き有効成分以外を
濾別しようとするものであって有効であるが完全とはな
し難く、相当にコスト高であると共に、膜の選定が困難
であって、成程酵素以外は濾別されたとしても芳香族成
分なども除去されて風味や香りに役立つ物質まで除去さ
れるなどの不利がある。
更に、これら従来法によるものでは壜詰め後の荷役運
搬時に充填された液体が封緘栓の下部における気体との
接触と液体の流動、振動ないしかくはんが旺盛に行わ
れ、この間において相当に変質する傾向が認められる。
「発明の構成」 (問題点を解決するための手段) 逆止弁機構を内蔵したプラグ型栓体を嗜好飲料を充填
した容器口部に嵌合すると共に該プラグ型栓体に覆着さ
れた封緘部材を前記した容器口部の外側に係着封緘せし
めてから不活性ガス充填設備に導入し前記容器の口部外
側をシールすると共に容器内を外気と遮断し、次いで前
記プラグ型栓体に設けられた通孔より窒素ガスなどの不
活性ガスを容器内に大気圧以上の高圧状態で充填し、前
記逆止弁機構の閉塞状態を形成維持させることを特徴と
する無加熱嗜好飲料の封緘方法。
(作用) 一般的な壜容器内に嗜好飲料を充填し打栓後封緘して
から不活性ガスを圧入することにより容器における液面
から上部の空間を大気圧以上の不活性ガスで充満され、
しかもこのガス圧で逆止弁が閉塞シール状態に維持され
る。
上記のように高圧化した不活性ガスによる容器内にお
ける液体の流動を抑制する。従ってこの点においても酵
素などの賦活が抑制される。容器内液面上が不活性ガス
で充満されることによりこの賦活が制限されることは当
然である。
(実施例) 本発明によるものの具体的な実施態様を添付図面に示
すものについて説明すると、本発明では第2図に分解し
て示すような栓体1と冠体2の間に弁体3を介装し栓体
1と弁体3との間に弾性材7を設けた逆止弁機構をもつ
第1図のようなプラグ型栓体10を用いる。即ち栓体1は
底面に通孔16を有する内腔14を有し、上部内側面に環状
溝12を形成すると共に鍔部15を上端部に環設したもので
あり、弁体3は円板部材30の中央部に球弁3aを形成した
ものである。又冠体2は前記した栓体1の内腔14に嵌合
する突座20を有し、該突座20の周面には上記環状溝12と
係合する突条22が設けられ、更に前記鍔部15と重合する
鍔座25が上端に形成され、しかも中心部には注入孔24を
縦設し、該注入孔24の下端側開放端には上記球弁3aを受
入れて接合する弁座23が形成されたものであって、上記
鍔座25に配設されたピン21が前記栓体1の嵌合穴11に打
込まれ突条22が環状溝12に係合することにより所定の組
付け関係を形成し、このようにして組付けられた栓体1
の内腔14に弾性材7と前記弁体3とを収容するように成
っている。
又本発明においては上記のようなプラグ型栓体10を用
い第3図に示すような一般的な壜型容器8の口部8aを封
塞し封緘するために第4図または第5図に示すようなキ
ャップ5または6と複合せしめて打栓する。即ち第4図
に示されたキャップ5はアルミニウム薄板により成形さ
れた有底の円筒状体であって、その上端に形成されたロ
ーレット部51において前記したような鍔部15及び鍔座25
部分を収容するように成っており、該ローレット部51の
下方に穿孔53を有する絞り溝52、第3図に示すような容
器8の口部外側に形成された螺条84と係合する螺合条5
4、係止段部89に巻締め封緘するためのスカート部56、
該スカート部56の上方において突条55、55間に形成され
たスコア線57の如きが形成されたものであって、上記ス
カート部56を係止段部89に巻締めて封緘し、スコア線57
によって破断することにより開封がなされるようにされ
たものである。容器8としてはこのような生清酒や果実
酒に対する充填目的で従来から用いられている硝子壜な
どが広く採用される。
又第5図に示すものは前記ローレット部51に相当した
把持部61の下方に穿孔63を有する絞り溝62、空間8の螺
条84と係合する螺合条64及び係止段部89に係合する係着
リング部69を有する合成樹脂製キャップであり、頂面に
は刺挿孔68が形成されている。
なお本発明によるものはこれら第4、5図に示すよう
な封緘手段に代えて熱収縮性合成樹脂チューブ材を用い
た公知のようなキャップシール手段で封緘することがで
きる。
即ち本発明によるものは一般的な壜容器8内に生清酒
や果実酒のような嗜好飲料を第3図に示すように口部か
ら所定の高さ位置となるように充填してから第1図に示
すような栓体10を打栓し、第4、5図または公知のよう
なキャップシールにより常圧条件下で第1次封緘する
が、このようにして第1次封緘したものを第6、7図に
示すような不活性ガス充填設備によって第2次のガス封
緘する。つまりこの不活性ガス充填設備はケース70の一
側に高圧空気吹込口71が設けられ該吹込口71の前方にお
いてポリウレタンのような筒形パッキング73との間に空
気室75が形成され、しかも上記ケース70上面には窒素ガ
スのような不活性ガス吹込口72が形成されたもので、該
ガス吹込口72の前方には装着された容器8の口部に臨ま
せられる吹込室74が設けてある。
つまり、そのガスシール操作は順次に送られる容器8
に対しケース70を第6図のように装着し吹込口71から高
圧空気を吹込むことによって筒形パッキング73が容器8
の口部外側に圧着シールされることとなり、この状態
で、吹込口72から窒素ガスのような不活性ガスが吹込ま
れる。即ち吹込室74に高圧化された不活性ガスが吹込ま
れると弾性材7の復元力に抗して弁体3を押圧し栓体1
の第1、3図に示すような内腔14を介して容器8内に不
活性ガスを圧入し、容器8の液面より上部の空間部分を
不活性化すると共に高圧化する。この空間部分が不活性
ガスとされることによって酵素及び菌類を失活し、又高
圧化することにより振動などを受けても容器内の液体が
移動しかくはんされることをなからしめ、それらの何れ
からしても飲料の風味、品質などを劣化することがな
い。つまり容器内空間に不活性ガスが封入された状態で
は溶存酵素の欠乏状態となり残存酵素や好気菌の活性は
殆んど抑止され、しかもこのような酵素などの賦活に寄
与する液の流動ないし波立ちを制限して安定した失活状
態に維持する。例えば上記のような壜詰容器に対する充
填を常圧で行ったものと、−0.5kg/cm2及び+0.5kg/cm2
の各ゲージ圧条件で充填したものとを準備し、これらを
同じ揺動板上に置いて揺動させてから揺動機構を停止し
各内容液の波動が静止するまでの所要時間を計測した結
果は以下の如くである。
−0.5kg/cm2 4秒 常 圧 2.5秒 +0.5kg/cm2 0.3秒 即ち高圧化によって波動ないし振動を的確に阻止する
ことができ、空気との接触、溶存酵素に原因した酵素な
どの賦活を有効に防止する。
充填されるN2ガスなどのガス圧としてはゲージ圧で0.
4kg/cm2以上が好ましく、それによって逆止弁を有効に
閉塞し、又容器内液体の流動抑制を充分に得しめること
ができ、勿論酵素の賦活防止を図る。なおその上限につ
いては1.0kg/cm2前後が好ましく、これ以上に高圧とす
ることは容器などの破損性を高める傾向が認められ、一
方上記したような効果は充分に得られ、ガス圧を高めた
ことによるそれ以上の効果もないのでこの程度を上限と
する。
又N2ガスは高圧液化ガスボンベより減圧弁を経由して
供給され、予め設定した圧力で圧入することができ、そ
の供給圧力条件及び供給時間を制御することにより容器
内において目的の圧力条件を適切に得しめることができ
るが、本発明による場合には前記したように0.4〜1.0kg
/cm2と相当広範囲の圧力条件であるから殊更にその圧力
を制御する程のことはない。
本発明によるものの具体的な封緘操作例について従来
法によるものと比較して示すと以下の如くである。
標準収容量が720mlの容器壜45本に夫々0.6μmの限外
濾過膜で精製した生清酒を充填してから第1図に示した
ような構成を有し、栓体1と冠体2をポリエチレン系合
成樹脂による発砲組織体で形成したプラグ型栓体を打栓
し、アルミニウム薄層材によるキャップ5を用いて第1
次の常圧条件下における封緘をなし、次いで第6図に示
すような設備による第2次の不活性ガス封緘を実施し
た。この第2次の不活性ガス封緘は+0.6kg/cm2のゲー
ジ圧を示すように充填封緘した。
これに対し比較例として生清酒充填後、従来法により
100℃×20分間の煮沸処理を行った栓を用いて打栓しア
ルミニウム薄層材により封緘したものと同じく45本宛2
組準備した。
これらのものは現実の商品流通保存に合致するように
何れも定期便トラックに積載して2400kmを48時間で運搬
し、その後常温保存したが、従来法による1組について
は氷温保存した。即ちこのように運搬した後に保管され
たもの3組について夫々各月毎に1本宛取出し、10人の
審査員による▲利▼酒官能試験を行った結果を要約して
示すと次表の如くである。
なおこの▲利▼酒による評点は、10人全員が変質を認
めないものを◎、10人中1人が変質を認めたものを○、
2人が変質を認めた場合が△、3人が変質を認めた場合
を×としたものであって、試験期間は3月1日よりスタ
ートし翌年2月に亘る12カ月間である。
即ち本発明法によるものは12カ月経過後においても、
色沢、酸度、異臭、香りおよび透明度の何れにおいても
商品価値を持続していることが明らかである。
これに対し従来法によるものは氷温保管しても8カ月
前後で香りおよび透明度が劣化し、これらの点からは商
品価値が低下し、色沢、酸度においても10〜11カ月が限
度と言える。常温保管によるものは8カ月目においては
商品価値が失われている。
本発明によるならば特別な氷温保管を行うことなしに
12カ月以上に亘り適切な商品価値を維持し得るものであ
って、好ましい封緘方法たることが確認された。
「発明の効果」 以上説明したような本発明によるときは加熱殺菌の如
きを必要とすることなしに生清酒や果実酒などの嗜好飲
料の風味、品質を一般的な壜容器を用いて的確に保持し
得るものであり、その操作も容易であって、工業的にそ
の効果の大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の技術的内容を示すものであって、第1図
は本発明において用いるプラグ型栓体の平面図、部分切
欠側面図および底面図、第2図はその各構成部材のそれ
ぞれについての平面図、部分切欠側面図および底面図、
第3図は第1図に示したプラグ型栓体を壜口に装着した
状態の部分切欠側面図、第4図と第5図はこれに覆着さ
れるキャップについての部分的平面図、部分切欠側面図
および部分的底面図、第6図は第1次の常圧シール後に
おける第2次の不活性ガス高圧シール機構についての部
分的な切欠側面図、第7図はその平面図を示すものであ
る。 然してこれらの図面において、1は栓体、2は冠体、3
は弁体、3aは球体、5はアルミニウム薄板によるキャッ
プ、6は合成樹脂製キャップ、8は容器、10はプラグ型
栓体である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】逆止弁機構を内蔵したプラグ型栓体を嗜好
    飲料を充填した容器口部に嵌合すると共に該プラグ型栓
    体に覆着された封緘部材を前記した容器口部の外側に係
    着封緘せしめてから不活性ガス充填設備に導入し前記容
    器の口部外側をシールすると共に容器内を外気と遮断
    し、次いで前記プラグ型栓体に設けられた通孔より窒素
    ガスなどの不活性ガスを容器内に大気圧以上の高圧状態
    で充填し、前記逆止弁機構の閉塞状態を形成維持させる
    ことを特徴とする無加熱嗜好飲料の封緘方法。
JP62174847A 1987-07-15 1987-07-15 無加熱嗜好飲料の封緘方法 Expired - Lifetime JPH0825591B2 (ja)

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