JPH0824821B2 - 中空糸濾過装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は原子力発電所における復水や廃液に含まれる
微細固形物の除去及び一般産業における微粒子除去の技
術に応用できる外圧型濾過用の中空糸濾過装置に関する
ものである。

〔従来の技術〕

火力発電所や原子力発電所等の復水の処理方法とし
て、近年になって中空糸モジュールを用いた濾過塔でま
ず復水中の酸化鉄微粒子等に起因するクラッドを濾過に
より除去し、次いで当該濾過水をカチオン交換樹脂とア
ニオン交換樹脂の混床で処理して不純物イオンを除去す
る復水処理方法が提案されている。当該復水処理方法
は、前述の濾過塔内における各中空糸の膜面で直接クラ
ッドを除去するので、従来から用いられているようなプ
レコート式濾過塔と相違し、その洗浄排液に使用済みプ
レコート剤が一切含有されない。したがって洗浄排液中
に含有される固形物は除去した酸化鉄微粒子のみなので
前記プレコート式濾過塔の洗浄排液と比較して固形物量
が極めて少ない。よってBWR型原子力発電所の復水処理
のごとく、放射性物質が含有されているクラッドの除去
に中空糸モジュールを用いた濾過塔を用いると、その放
射性廃棄物処理系の負担を大幅に低減させることがで
き、この点からも最近特に注目されている。

このような復水中の酸化鉄微粒子を除去するために用
いられる中空糸モジュールとしては、各中空糸の外側か
ら内側に復水を通し、各中空糸の外周面で酸化鉄微粒子
を濾過し、その内側から濾過水を得る、いわゆる外圧型
として用いる方が有利である。

何故ならば各中空糸の内側から外側に復水を通し、各
中空糸の内周面で当該微粒子を濾過する、いわゆる内圧
型として用いる場合は、濾過の経過に伴い当該微粒子の
付着によって中空糸内周の有効断面積が次第に減少し、
中空糸内側の流動抵抗が大きくなるので好ましくない。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このような外圧型の液体濾過を行うための中空糸濾過
装置として原水入口、濾過水出口及び再生用のノズルを
持つ容器本体中に隔板を設け、その隔板に１本以上の直
列に接続された中空糸モジュールが固定された構造を特
徴とする中空糸濾過装置が最近多用されつつある。

従来から用いられているプリコート式濾過装置にかわ
って再生廃液中にプリコート剤が含有されず除去固形分
のみが排出される中空糸濾過装置に使用されるモジュー
ルは、中空糸が長くなるほど圧力損失が大きくなる欠点
を持っている。したがって中空糸の数を増やし膜面積を
大きくするとともに圧力損失をできるだけ小さくするこ
とが重要な課題である。

このような課題に対処するものとして例えば特開昭60
−206405号の中空糸濾過装置が提案されている。

この中空糸濾過装置は流入口と流出口を設けた容器本
体内に隔板を配設しこの隔板に中空糸モジュールを固定
するものであるが、その中空糸モジュールでは取水管の
周囲に多数本の中空糸を配置すると共に該中空糸の両端
を開放状態で取水管の両端に配設した端部材に接着固定
した構造としてある。

しかし、上記モジュールの構造では濾過時に原水の流
れが外側にある中空糸より内側にある中空糸に向って流
れるため、中空糸が取水管に押し付けられることにな
る。ちなみに実用のモジュールでは外径0.4mm、内径0.3
mmの中空糸が取水管の周囲に約12,000本配設されてい
て、外側にある中空糸から取水管までの距離は13〜15mm
でありこれらは密に配設されているため、酸化鉄微粒子
が外側の中空糸に捕捉されて差圧が上昇してくると中空
糸の束全体が取水管に押しつけられ内部の中空糸が有効
に使用されないことがある。

また洗浄時は逆に中空糸外側を洗浄することになるた
め、中空糸の束の内部に入り込んで捕捉された酸化鉄微
粒子が洗浄によって除去されにくいという欠点を有して
いる。

また濾過面積を大きくとるために中空糸の糸径はでき
るだけ小さくする必要があり、0.3mm程度のものまで実
用化されている。しかしその中空糸で膜面積を大きくと
った場合１モジュール当りの糸数は数万本にも達し、水
流によって糸束がパックされ、周辺の中空糸のみが濾過
に寄与する現象が生じる。そのために糸束の中心部分ま
で原水を送り込む手段が別個に必要となる欠点がある。

本発明はこのような欠点を解消するためになされたも
ので、中空糸が多室に分割され圧力により糸束が圧縮さ
れて濾過性能が低下しないように濾過水を集水する構造
とすることにより所期の目的を収めたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の要旨とする所は多数本の中空糸を竪形外筒内
に装着して該中空糸の外側に原水を供給すると共に中空
糸の内側から濾過水を取水する外圧型の液体濾過用中空
糸モジュールを接続してなる中空糸濾過装置において、
上記の外筒内を中空部が濾過水の流路をなす横断面十字
状の中空仕切板で４つの扇状空間部に区切り、この中空
仕切板の外側面には横方向に延びるスペーサを上下に段
設しかつ上記の扇形空間部には両端の開放された中空糸
束が夫々充填されていることを特徴とする外圧型濾過用
の中空糸濾過装置に存する。

〔作 用〕

上記の如く本発明は多数本の中空糸を竪形スリーブ内
に装着して該中空糸の外側に原水を供給すると共に中空
糸の内側から濾過水を取水する外圧型の液体濾過用中空
糸モジュールを接続してなる中空糸濾過装置において、
該スリーブの中を横断面十字状の中空仕切板で４室に区
切りこれら４つの扇形の空間部に両端の開放させた中空
糸を充填し、スリーブ内の充填中空糸の糸束は４つに分
割されているので、原水の流入圧力によって糸束がスリ
ーブ中心に向って圧縮されて濾過性能の低下する現象が
著しく低減され、また中空仕切板の外側面にスペーサを
上下に段設しているので原水の水流により糸束が該中空
仕切板に押し付けられて濾過機能を失わないようになっ
ており、更にこのスペーサはこの中空仕切板と糸束との
間に空間を確保して原水がスペーサ間を通水路としてモ
ジュール中心部まで到達可能な構造としている。またス
クラビング時にはスペーサ間を経て空気が同じくモジュ
ール中心部まで容易に到達することができる。

中空仕切板内の空間部は中空糸内を流下した下方より
の濾過水の上昇流路として機能する。

このようにして製作されたモジュールは中空糸束を１
段あるいはコネクタを介してたてに２段ないしはそれ以
上接続され、濾過器内に収納される。この時にモジュー
ル間にスカートを設けスクラビング空気を上段のモジュ
ールに導くようにすると本発明の目的上一層有効であ
る。

〔実施例〕

以下本発明を図面に示す実施例により説明するが、本
発明はこれに制約されるものではない。

竪形円筒状のスリーブ（１）内は横断面十字状の中空
仕切板（２）によって４つの独立した扇形空間部（３）
に分割され、これらの空間部（３）には夫々上下開放の
中空糸（４）が充填され外圧型の液体濾過用中空糸モジ
ュールを構成している。従ってスリーブ（１）内の中空
糸束は中空仕切板（２）によって４つに分割されてい
る。この中空仕切板（２）の内の中空部は横断面十字状
の濾過水通路（５）となっている。

上記の仕切板（２）の外側面には上下適宜間隔に横方
向に延びるスペーサ（６）が段設され、これらスペーサ
（６）によって糸束と中空仕切板（２）との密着を防ぐ
と共に上下のスペーサ（６）の間で中空仕切板（２）と
糸束との間を通ってモジュール奥部に至る横方向の原水
流入路を形成している。

上記構成のモジュールはコネクタ（７）を介してたて
に１〜３段（図面では２段）に接続され、上記の中空糸
（４）は上下開放の状態で夫々接合隔壁部（８）に接続
固定されている。又スリーブ（１）の下端面にはキャッ
プ（９）が嵌合されており、上下の中空糸束の接続部お
よび最下段中空糸束の下端部外側には夫々スカート（1
0）が取付けられている。更に最上段中空糸束の上端に
はＯリング（11）を介して取付フランジ（12）が固定さ
れている。

そこで原水の一部は矢印の如くキャップ（９）を覆う
スカート（10）から下段スリーブ（１）の下方穴（13）
を経て下段スリーブ（１）内に入り次いで上方の穴（1
4）から下段スリーブ（１）を出てコネクタ（７）を覆
うスカート（10）を経て上段スリーブ（１）の下方穴
（13）より上段スリーブ（１）内に入り上方の穴（14）
より排出される。また原水の他部は、上段スリーブ
（１）および下段スリーブ（２）に開口させた通水孔
（図示せず）から直接各スリーブ内に入り、同じように
上方の穴（14）より排出される。

一方上下各段のスリーブ（１）内に入った原水はスリ
ーブ（１）内を上昇する間に中空糸（４）の膜内を通過
し、中空糸（４）内の濾過水は中空糸内を上方向および
下方向に流れ、上段中空糸束の中空糸内を上方向に流れ
た濾過水は取付フランジ（12）を経て取水され、さらに
上段中空糸束の中空糸を下方向に流れた濾過水はコネク
タ（７）を経て仕切板内の濾過水通路（５）に入りここ
を上昇して同じく取付フランジ（12）を経て取水され
る。

一方下段中空糸束の中空糸内を上方向に流れる濾過水
はコネクタ（７）を経て濾過水通路（５）に入り、同様
に取水される。また下段中空糸束の中空糸内を下方向に
流れる濾過水はキャップ（９）を経て濾過水通路（５）
に入り同様に取水される。

そこで上記のように上下段中空糸束の各スリーブ
（１）内に入った原水は矢印のように中空仕切板（２）
に沿ってスペーサ（６）間から横方向に流入し、各扇形
空間部（３）に充填された糸束の全周より各中空糸間に
入り込むことになる。

〔発明の効果〕

本発明によればモジュールを中空仕切板により縦方向
に多室に区分しその中空仕切板の外側にスペーサを設け
て中空糸と中空仕切板が密着するのを防止しているの
で、原水をモジュール中心部まで導くことができ、また
中空仕切板は中空構造としてその中空部を濾過水流路と
して利用することにより圧力損失の少ないモジュールに
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係わる濾過装置の横断平面
図、第２図は同上の縦断正面図である。 １……スリーブ ２……中空仕切板 ３……扇形空間部 ４……中空糸 ５……濾過水通路 ６……スペーサ ７……コネクタ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】多数本の中空糸を竪形スリーブ内に装着し
   て該中空糸の外側に原水を供給すると共に中空糸の内側
   から濾過水を取水する外圧型の液体濾過用中空糸モジュ
   ールを接続してなる中空糸濾過装置において、上記のス
   リーブ内を中空部が濾過水の流路をなす横断面十字状の
   中空仕切板で４つの扇状空間部に区切り、この中空仕切
   板の外側面には横方向に延びるスペーサを上下に段設し
   かつ上記の扇形空間部には両端の開放された中空糸束が
   夫々充填されていることを特徴とする外圧型濾過用の中
   空糸濾過装置。