JPH08246374A - 紙・パルプ製造工程用洗浄剤及び洗浄方法 - Google Patents

紙・パルプ製造工程用洗浄剤及び洗浄方法

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JPH08246374A
JPH08246374A JP4732396A JP4732396A JPH08246374A JP H08246374 A JPH08246374 A JP H08246374A JP 4732396 A JP4732396 A JP 4732396A JP 4732396 A JP4732396 A JP 4732396A JP H08246374 A JPH08246374 A JP H08246374A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄効果に優れ、金属塩類やカチオン化でん
ぷんを構成成分とする難剥離性のスラッジを効率よく短
時間で剥離除去できる洗浄剤及び洗浄方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I): 【化1】 〔式中、Aは水酸基又はアミノ基で置換されていてもよ
い二価の低級炭化水素基、又は下式に示される二価基: 【化2】 (式中、Xはホスホノ低級アルキル基、1+nは1〜3
でmは0〜4の整数)〕で表わされる有機ホスホン酸又
はその塩を有効成分として含有してなる紙・パルプ製造
工程用洗浄剤及び洗浄方法。 【効果】 紙・パルプ製造工程において特異的に生じる
剥離困難なスラッジ状の汚れを、効率良く短時間で剥離
除去することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、紙・パルプ工場
における紙・パルプ製造工程用の洗浄剤及び洗浄方法に
関し、ことに紙・パルプ製造工程水系中の部材、壁材表
面にしばしば付着して各種トラブルを引き起こすスラッ
ジ状の汚れを、簡便に剥離分散して系外へ除去すること
ができる洗浄剤及び洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙・パルプ製造工程においては、その工
程水系中の部材、壁材、ことにワイヤーピットの壁材や
パイプラインの表面にスラッジ状の汚れが付着・堆積
し、各種障害を引き起こす。このような紙・パルプ製造
工程水系において付着、堆積する汚れは、バージンパル
プからのピッチ成分、微細繊維、故紙からの印刷イン
キ、充填料としてのクレー、ケイソウ土、タルク、炭酸
カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等、サイズ
剤としてのロジンサイズ、アルキルケテンダイマー、ア
ルケニル無水コハク酸、硫酸バンド、紙力増強剤として
のポリアクリル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラ
ミン−ホルムアルデヒド樹脂、デンプン、カチオン化デ
ンプン等、また用水からの鉄、カルシウム、マグネシウ
ム等の金属塩類、さらにバクテリア、カビ等によるスラ
イム、等々からなる複雑な組成を有し、その由来成分の
特殊性により一般冷却水系のような通常の工業用水系中
で生じるスラッジ状の汚れとは成分、性質等が大きく異
なるものである。しかし、製品たる紙材やパルプ材に直
接、接触して混入するため、製品品質の低下や生産効率
の低下等の重大な障害を引き起こし、ことに、最近の紙
・パルプ製造工程のクローズド化や抄紙速度の上昇に伴
い、この問題が深刻化して来ている。
【0003】そこで、従来から一定期間毎にスラッジ状
汚れを剥離分散して系外へ除去する洗浄処理がなされて
おり、具体的な洗浄法として、例えば各種界面活性剤に
よる洗浄、塩酸、硫酸スルファミン酸等による酸洗浄、
ソーダ灰、苛性ソーダ等によるアルカリ洗浄、灯油、軽
油、キシレン、塩酸系溶媒等の有機溶媒による洗浄など
が知られている。また最近においては、アクリル酸系重
合体を用いる洗浄も提案されている(特開昭62−21
893号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
洗浄方法のうち、各種界面活性剤による洗浄は、使用中
に発泡が起こりやすく多価金属塩を含む粘着性スラッジ
に対しては、ほとんど効果がない。酸洗浄は金属に対す
る腐食性が大きく、実際上使用できない。有機溶媒によ
る洗浄は、火気、有毒ガスに十分注意する必要があり取
扱い上の制限を受ける。
【0005】そこで、従来から、一般にこのような系に
おいてはアルカリ洗浄が汎用されるに至っているが、そ
の洗浄効果は、充分満足出来るものではなく、特にシリ
カ、マグネシウム等の金属塩類を多く含むスラッジや、
紙力増強剤として最近広く用いられているカチオン化で
んぷんを含むスラッジに対して洗浄効果が不充分であっ
て長時間の洗浄時間や手作業が必要となるという欠点が
あった。
【0006】また、前述したアクリル酸系重合体を用い
る洗浄法(特開昭62−21893号公報)において
も、上記のような金属塩類やカチオン化でんぷんを含む
スラッジの洗浄効果は不充分であった。この発明は、か
かる状況下なされたものであり、ことに洗浄効果に優
れ、前述のごとき金属塩類やカチオン化でんぷんを構成
成分とする難剥離性のスラッジをも効率よく短時間で剥
離除去できる洗浄剤及び洗浄方法を提供しようとするも
のである。
【0007】なお、この発明で用いる有機ホスホン酸類
の一部は、ボイラーや熱交換器内面に発生したスケール
をそのキレート作用に基づいて溶解除去する効果を有し
ていることは知られている(特開昭51−9029号公
報)。しかしながら、紙・パルプ製造工程においてスラ
ッジの剥離除去に用いることは知られておらず、ことに
溶解除去ではなく、剥離分散して系外へ除去する用途に
著効を有することは全く知られていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】かくしてこの発明によれ
ば、下記一般式(I):
【0009】
【化5】
【0010】〔式中、Aは水酸基又はアミノ基で置換さ
れていてもよい二価の低級炭化水素基、又は下式に示さ
れる二価基:
【0011】
【化6】
【0012】(式中、Xはホスホノ低級アルキル基、1
+nは1〜3でmは0〜4の整数)〕で表わされる有機
ホスホン酸又はその塩を有効成分として含有してなる紙
・パルプ製造工程用洗浄剤が提供される。さらにこの発
明によれば、上記式(I)の有機ホスホン酸又はその塩
を用いた紙・パルプ製造工程の洗浄方法が提供される。
【0013】この発明は、上記式(I)の有機ホスホン
酸類を紙・パルプ製造工程水中に添加して循環を行うこ
とにより、前記した難剥離性のスラッジが効率良く剥離
分散し、簡便に系外へ除去できる、という事実の発見に
基づくものである。なお、上記有機ホスホン酸類は、従
来からキレート作用を有する化合物として公知のもので
あるが、他の公知のキレート剤であるEDTA、2−ホ
スホノ−ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、トリポ
リリン酸ナトリウム等を用いても上記のごとき効果は得
られない。従って、この発明において奏される洗浄効果
は、式(I)の有機ホスホン酸による特有のものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の式(I)の有機ホスホ
ン酸において、低級炭化水素基及び低級アルキル基と
は、炭素数1〜4の炭化水素基及びアルキル基を意味
し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメ
チレン及びテトラメチレン基やメチル、エチル、プロピ
ル及びブチル基が挙げられる。かかる有機ホスホン酸の
具体例としては、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−
ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホス
ホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホ
スホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホ
スホン酸)、ニトリロトリメチルホスホン酸等が挙げら
れる。これらのうち、入手し易さの点で1−ヒドロキシ
エチリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロトリメチ
ルホスホン酸又はエチレンジアミンテトラ(メチレンホ
スホン酸)を用いるのが好ましい。また、これらの塩と
しては易水溶性塩が用いられ、アルカリ金属塩が適して
おり、カリウム塩、ナトリウム塩を用いるのが好まし
い。もちろん、これらの化合物や塩は混合して用いられ
てもよい。
【0015】この発明における紙・パルプ製造工程の洗
浄は、紙・パルプ製造工程系中に、上記有機ホスホン酸
又はその塩が添加された洗浄水を流通することにより行
うことができる。より具体的には紙・パルプ製造工程水
を除去した後、この工程系中に、工業用水や水道水等の
水に上記有機ホスホン酸又はその塩を添加溶解させた洗
浄水を循環させることにより行うことができる。かかる
処理により、紙・パルプ製造工程系中、ことにワイヤー
ピットやパイプラインの壁面に付着したスラッジ状の汚
れが徐々に壁面から剥離して洗浄水中に分散し、これを
続けることによりスラッジ状の汚れがほぼ完全に壁面か
ら除去されて洗浄水中にフロック状に分散した状態とな
る。しかして、この洗浄液を系外に排出することによ
り、紙・パルプ製造工程系中の汚れが系外へ除去される
こととなる。
【0016】この発明の洗浄方法を実施するに際し、洗
浄水はアルカリ性であるのが洗浄効果の点で望ましく、
ことにpH9〜13とされるのが好ましく、必要に応じ
て苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ剤が併用される。
この発明において洗浄水中における有機ホスホン酸又は
その塩の濃度はとくに限定はされず、通常、0.06〜
60重量%の範囲内で選択され、コスト面及び洗浄効果
の点で0.1〜5重量%とするのが好ましい。また、洗
浄時間すなわち、洗浄水の流通時間は、系内に付着した
スラッジ状汚れが充分にフロック状に剥離分散しうる時
間とされ、汚れの付着状態等によっても異なるが、通常
2〜6時間で充分である。いずれにせよ、従来の洗浄法
に比して短時間での洗浄処理が可能なり、除去困難な汚
れも除去可能となる。なお、洗浄は通常、常温下で行わ
れるが、必要に応じて加温して行ってもよく、それによ
りさらに洗浄時間を短縮化することも可能である。
【0017】この発明の洗浄方法における洗浄液は、直
接上記有機ホスホン酸類さらに必要に応じてアルカリ剤
を添加して作製することができるが、これらを予め水中
に濃縮溶解もしくは分散せしめた液体を用いるのが取扱
い上簡便で好ましい。この際、この液剤中には、この発
明の効果を阻害しない程度の他の添加剤、例えば、界面
活性剤やキレート剤が配合されていてもよい。
【0018】
【実施例】某製紙工場(印刷用紙製造)のワイヤーピッ
ト壁面に複数のステンレステストピース(300×10
0×1.5mm)を吊した状態で、製紙(填料としてタル
クを用い、紙力増強剤としてカチオン化デンプンを用い
た硫酸バン土使用)を行った。その結果、一週間後にお
いて、上記各テストピースの表面にスラッジ状の汚れが
強固に付着していた(平均付着料16mg/cm2)。
【0019】これらのテストピースを回収し、その汚れ
の組成を調べた結果を以下に示す。 灼熱減量 30.8(重量%) SiO2 (填料由来) 39.8 CaO (填料由来) 0.7 MgO (填料由来) 20.5 Al2 3 7.5 (ヨウ素デンプン反応 陽性) かかる汚れが付着したテストピースを各々所定の洗浄液
(40℃恒温)中に浸漬し、洗浄液を撹拌した状態で、
原則として4時間後の表面の汚れの剥離状態を調べた。
【0020】この結果を、用いた洗浄液組成及び剥離さ
れ面積の割合と共に表2に示す。なお、表中、化合物
(I)のAは、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジ
ホスホン酸を、Bはニトリロトリメチルホスホン酸、C
はエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)を示
すものであり、組成中の%はすべて重量%を示すもので
ある。
【0021】
【表1】
【0022】上記の表から明らかなように、水酸化ナト
リウムを用いた洗浄液を使用しても、剥離割合は5%足
らずであり(比較例1)、また、EDTA、トリポリリ
ン酸ナトリウム、PBTCのようなキレート剤を併用し
ても、剥離効果の向上は認められない(比較例2、
3)。これに対し化合物(I)の有機ホスホン酸を用い
た場合には、これ単独でも優れた剥離効果が得られ(実
施例1)、アルカリ性とすることによりこの剥離効果が
向上し(実施例2〜4)、優れた剥離効果が奏されてい
ることが判る。
【0023】
【発明の効果】この発明の洗浄剤及び洗浄方法によれ
ば、紙・パルプ製造工程において特異的に生じるスラッ
ジ状の汚れを効率良く剥離除去することができ、こと
に、従来実質的に剥離が困難で手作業による除去作業が
余儀なくされていたスラッジ状の汚れを、短時間で剥離
除去することが可能となる。
【0024】従って、この発明の洗浄剤及び洗浄方法
は、紙・パルプ製造工程においてその有用性が極めて大
なるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I): 【化1】 〔式中、Aは水酸基又はアミノ基で置換されていてもよ
    い二価の低級炭化水素基、又は下式に示される二価基: 【化2】 (式中、Xはホスホノ低級アルキル基、1+nは1〜3
    でmは0〜4の整数)〕で表わされる有機ホスホン酸又
    はその塩を有効成分として含有してなる紙・パルプ製造
    工程用洗浄剤。
  2. 【請求項2】 さらに、アルカリ剤を含有してなる請求
    項1記載の洗浄剤。
  3. 【請求項3】 紙・パルプ製造工程系中に、下記一般式
    (I): 【化3】 〔式中、Aは水酸基又はアミノ基で置換されていてもよ
    い二価の低級炭化水素基、又は下式に示される二価基: 【化4】 (式中、Xはホスホノ低級アルキル基、1+nは1〜3
    でmは0〜4の整数)〕で表わされる有機ホスホン酸又
    はその塩が添加された洗浄水を流通させて、紙・パルプ
    製造工程系中に付着したスラッジを剥離除去することを
    特徴とする紙・パルプ製造工程の洗浄方法。
  4. 【請求項4】 洗浄水がアルカリ性とされる請求項3記
    載の洗浄方法。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS50160502A (ja) * 1974-06-17 1975-12-25
JPS6265728A (ja) * 1985-09-03 1987-03-25 マニユフアクテユ−ル・ド・プロデユイ・シミク・プロテクス 新規なカチオン質分散剤の調製方法

Patent Citations (2)

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