JPH08246233A - ポリビニルアルコール系繊維の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維の製造方法

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JPH08246233A
JPH08246233A JP5735595A JP5735595A JPH08246233A JP H08246233 A JPH08246233 A JP H08246233A JP 5735595 A JP5735595 A JP 5735595A JP 5735595 A JP5735595 A JP 5735595A JP H08246233 A JPH08246233 A JP H08246233A
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polyvinyl alcohol
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fiber
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JP5735595A
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Hideji Matsuzawa
秀二 松沢
Noriyuki Nagashima
憲幸 長嶋
Masaki Okazaki
正樹 岡崎
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度・高弾性率を有するポリビニルアルコ
ール系繊維を製造する。特に、高強度・高弾性率繊維が
得られるものの適当な溶剤がなく紡糸できなかったシジ
オタクティシティが高いポリビニルアルコールが容易に
紡糸できる方法を提供する。 【構成】 アミンオキサイド系化合物または該化合物を
50重量%以上含有する混合溶液を溶媒とし、好ましく
は過酸化水素及び有機酸をそれぞれポリビニルアルコー
ルに対し0.01重量%以上添加し、得られるポリビニ
ルアルコール溶液をノズルより吐出して凝固液中に導入
し、得られる紡糸原糸を高倍率で延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はN−メチルモルホリン−
N−オキシド(以下NMMOと略)を代表とするアミン
オキシド系溶剤またはそれを含む混合溶液を溶媒として
用いた、ポリビニルアルコール系重合体(以下PVAと
略)の溶液からの高強度、高弾性率のPVA系繊維の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PVA繊維は汎用繊維の中では比較的高
強度、高弾性率であるため産業資材用途に広く利用され
ている。そのPV系繊維の製造方法は、一般にはPVA
を水に溶解し、脱水性の塩、例えば芒硝水溶液で脱水凝
固したり、PVA水溶液に硼酸を添加した紡糸原液をア
ルカリ性凝固液でゲル化し紡糸する湿式紡糸法、PVA
を、有機溶剤例えばジメチルスルホキシド(以下DMS
Oと略)に溶解した溶液を紡糸原液とし、これを空気中
に吐出し、続いてメタノール中に導きゲル紡糸する乾湿
式紡糸法やPVAを有機溶剤例えばDMSOに溶解した
溶液を紡糸原液とし空気中に吐出し、溶媒を乾燥除去す
る乾式紡糸法などが報告されている。そしてPVAの溶
剤としては、DMSO、DMSOと水との混合溶液、D
MSOとメタノールとの混合溶液、エチレングリコール
(以下EGと略)及びEGと水との混合溶液、グリセリ
ン、エチレンジアミン、エチレントリアミンなどが知ら
れており、これらの溶媒を用いたPVAの紡糸が試みら
れている。PVAはモノマー単位内に1個の水酸基を有
するためポリマーは分子内及び分子間の水素結合の割合
が高いため水や溶剤への溶解性が悪い。特にPVAは、
そのケン化度が高く、重合度が高くなるに従い、また更
にシンジオタクティシティが高くなるに従い水や溶媒へ
の溶解性は悪くなり高温(130℃以上)高圧にしなく
ては溶解しなくなることが知られている。
【0003】NMMOは、「セルロース系化学繊維の新
しい技術に関する調査」(社団法人化学繊維技術改善研
究委員会 昭和60年(1985)3月報告書 第5章
NMMO(NMMO/H20)系溶媒、57〜75頁)
に記載されているように、セルローズの溶媒であり、同
文献には、これを用いた繊維化等について研究報告がな
されている。その他Bull.Scient.ITF.
Vol.14No.53.1 pp.21−33(19
85).Cellulose Chem.Techno
l.,20,PP.289−301(1986)や同2
2,pp.387−397(1988)にも、セルロー
ズの溶解性と繊維物性の比較が示されている。またNM
MOの精製法については特開平3−137943号公報
に、溶液の着色については特開平4−226540号公
報に、分析方法についてはHeft 3.101−10
5(1992)にそれぞれ記載されている。最近では
「最先端の天然繊維の科学」セルロースの溶剤とその応
用の章(繊維学会創立50周年記念プレシンポジウム講
演要旨集270−274頁東京工業大学坂本教授199
3(平成5)年9月29日〜10月1日長野県軽井沢に
て)で、NMMOについても一部記載されている。また
ISF 94(1994年10月26−28日 パシフ
ィコ横浜での発表予稿集271A14Pp.49頁)で
野村らは、エアーギャップ付き乾湿式紡糸で延伸ドラフ
ト率を大きくすることで、テンセル(英国コートールズ
社のセルロース繊維の商品名)やポリノジック繊維より
モジュラスや強度の高いセルローズ繊維が得られること
を発表している。この様にNMMOを溶媒として用いた
セルロース繊維は、SEN−I GAKKAISHI
(繊維と工業)Vol.48.No.11pp584−
591(1992)によれば、強度は高強度タイプのポ
リエステル繊維には及ばないもののビスコースレーヨン
の約2倍、モジュラスは高強度タイプのポリエステル繊
維とほぼ同等でビスコースレーヨンの2〜5倍の繊維物
性のものが得られることを示している。
【0004】しかしながらPVAに対するNMMOを含
むアミンオキシド系溶媒への溶解性や繊維化については
今迄にまったく検討されていなかった。特にPVA系繊
維については、例えば「PVAの世界」(ポバール会編
者1992年7月株式会社高分子刊行会より発行)には
PVAの高重合度化および高い立体規則性化を進めて高
強力化、高弾性率化を図ることが詳述されている。一
方、PVAの溶解性とゲル化性能から溶媒の探索が進め
られおり、特開昭61−108713号公報には、重合
度1500、シンジオタクト含有量52%以上のPVA
をジメチルスルホキシド(DMSOと略す)、グリセリ
ン、エチレングリコール等の溶剤に溶かし、紡糸するこ
とが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、高強度、
高弾性率のPVA繊維を得るためにPVAの高重合度
化、及び立体規則性の高度化が計られてきた。しかしポ
リマーの高重合度化や高立体規則性化を行うと、PVA
の溶解性が低下し、溶解性を高めるために溶解条件を高
温、高圧にしなければならず、PVA溶液の取扱いにお
いて安全上、健康上で新たな問題を生じることとなる。
一方、紡糸する際には、紡糸工程、水洗工程でのPVA
溶剤の回収と凝固浴及び水洗浴での凝固液とPVA溶剤
との分離回収を実施せねばならない。本発明はこのよう
な問題点を解消できる紡糸方法を提供することにある。
さらに本発明は、上記したような特殊なPVAを用いな
い場合であっても、そのようなPVAから高強度・高弾
性率のPVA系繊維を得る方法を提供することにある。
すなわち本発明の目的は、高重合度あるいは高立体規
則性のPVAを容易かつ安定に溶解して紡糸原液を得る
こと。高強度、高弾性率のPVA繊維を得ること。
紡糸(凝固浴)工程、水洗(水洗浴)工程でPVA溶剤
の分離回収を容易にすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アミンオキサ
イド系化合物または該化合物を50重量%以上含有する
混合溶液を溶媒とするPVA溶液をノズルより吐出して
凝固液中に導き、得られる紡糸原糸を延伸することを特
徴とするPVA系繊維の製造方法であり、さらにアミン
オキシド系化合物または該化合物を50重量%以上含有
する混合溶液を溶媒とし、かつ過酸化水素及び有機酸を
それぞれPVAに対し0.01重量%以上含有するPV
A溶液をノズルより吐出して凝固液中に導き、得られる
紡糸原糸を15倍以上に延伸することを特徴とするPV
A系繊維の製造方法であり、これによって、引張強度及
び初期弾性率が極めて高い繊維、例えば初期弾性率が
1.5GPa以上、ヤング率30GPa以上の繊維が得
られる。
【0007】以下に本発明について詳細に説明する。ま
ず、PVAの溶剤として、NMMOを代表とするアミン
オキシド系溶剤あるいはそれを50重量%以上含有する
混合溶媒を用いる。アミンオキサイド系化合物が極めて
優れたPVAの溶媒であることを示すために以下の実験
1を行った。この実験1は、NMMOを含む各種モルホ
リン系の溶剤を用いた場合と、その対照としてDMSO
への各種PVAの溶解性を検討したものである。用いた
PVAの種類と溶剤の種類及び溶解条件を条件1、2と
し、その結果を表1に示した。実験に用いたPVAの種
類も表1に示す。PVAは、室温で純水流水中で一昼夜
水洗し、脱水後風乾し、真空乾燥したものである。PV
Aのチップの粒子径は2mm以下のものを用いた。溶解
は20mlの試験管にPVA濃度1%となるように調整
し、溶液量10mlとし封管した。溶解性の判定は均一
溶解を◎、大膨潤を○、膨潤を△、変化無しを×の4段
階で判断した。
【0008】
【表1】
【0009】この結果から、モルホリン系の中でもNM
MO50重量%溶液以上の濃度でNMMOはPVAを極
めてよく溶解することが観察された。また対照のDMS
Oより、NMMOの50%溶液以上の濃度のNMMO溶
媒の方が良くPVAを溶解することも認められた。
【0010】次に実験2として、各種アミンオキシド系
化合物に対するPVAの溶解性を調べた。具体的には、
各種アミンオキシドの70%濃度の水溶液とし、PVA
は表1に示したZVA017を用い室温で純水流水中で
一昼夜水洗し、脱水後風乾し、真空乾燥した。PVAの
チップの粒子径は2mm以下のものを用いた。溶解は2
0mlの試験管にPVA濃度1%となるように調整し、
溶液量10mlとし封管した。溶解条件は温度60℃で
溶解時間12時間とし、溶解性の判定は均一溶解を◎、
大膨潤を○、膨潤を△、変化無しを×とした。アミンオ
サイドとして、DMEAO(ジメチルエタノールアミン
−N−オキシド)、DMCAO(ジメチルシクロヘキシ
ルアミン−N−オキシド)、DMBAO(ジメチルベン
ジルアミン−N−オキシド)、NMHPO(ジメチルホ
モピペラジン−N−オキシド)、TEAO(N、N、N
−トリエチルアミン−N−オキシド)およびNMMO
(N−メチルモルホリン−N−オキシド)をそれぞれ用
いたが、いずれも全ての溶剤に完全にPVAは溶解し、
溶解性は◎であった。
【0011】実験3として更に各種PVAのNMMOの
濃度と温度との関係における溶解性を観察した。表2に
はPVAの種類とNMMOの濃度を変化させた時の溶解
性を示した。表2中の数字は、NMMO水溶液の各種濃
度におけるPVAの溶解する温度を示した。本実験に用
いたPVAは室温で純水流水中で一昼夜水洗し脱水後風
乾し真空乾燥したPVAのチップを1%水溶液となるよ
うにガラス製試験管に入れ、封管し120℃で120分
溶解後、所定の厚さになるようにガラス板上にキャスト
し、風乾後、真空乾燥して5〜10μmのPVAフィル
ムを得た。それを短冊状に切りPVA濃度を0.3%と
なるように表2に示す所定のNMMO濃度の水溶液に入
れ封管した。30℃から125℃まで振盪しながら2℃
/分でオイルバスを昇温した。PVAフィルムが溶解し
た時の溶解温度を表2示した。
【0012】
【表2】
【0013】その結果、立体規則性(diad%)の低
いアタクチックPVAはNMMOの濃度が低くても比較
的低温度で溶解するが、立体規則性が高くなるに従い溶
解温度を高める必要が生じてきた。またNMMOの濃度
が50%を越しては溶解温度の低下が著しく、PVAの
重合度及び立体規則性の点からNMMOの濃度が50%
以上で溶解性の点から取り扱いやすい条件であることを
見出だした。
【0014】以上の実験結果から、アミンオキシド系化
合物が極めて優れたPVAの溶剤であることが分かる。
アミンオキシド系化合物としては、N−アルキルアミン
オキシド系の化合物が挙げられ、その具体例としては、
NMMOの他に、DMEAO、DMCAO、DMBA
O、NMHPO、TEAOなどが挙げられるが、NMM
Oがもっとも好ましい。もちろんこれら化合物の混合物
でもよい。本発明方法において、溶媒としては、全てが
アミンオキシドからなる場合であっても、或いは他の化
合物との混合物でもよい。用いることのできる他の化合
物としては、水が代表例として挙げられる。他の化合物
との混合物を溶媒として用いる場合には、50重量%以
上がアミンオキシド系化合物であることがPVAの溶解
性の点から好ましい。
【0015】本発明に用いられるPVAとしては特に限
定はなく、例えば重合度1000以上でケン化度が98
モル%以上のものが用いられる。特に、本発明に用いる
アミンオキシド系の溶媒の優れた溶解力を発揮させる上
から、従来の溶媒では溶解されにくいようなシンジオタ
クティシティが高いPVAが本発明に好ましい。PVA
をこのような溶媒に溶解することにより紡糸原液が得ら
れるが、紡糸原液中のPVA濃度としては特に限定され
ないが、通常2〜50重量%の範囲が用いられる。特に
アミンオキシド系の溶媒を用いる本発明の場合には、従
来一般に用いられている溶媒と比べて粘度が高く、原液
中のPVA濃度を低くしても安定に紡糸できるというメ
リットを有している。PVA濃度が低い紡糸原液からは
高濃度の紡糸原液を用いる場合よりもはるかに高強度・
高弾性率繊維が得られやすく、この点を利用して、PV
A濃度を一般に用いられている濃度よりも低い、例えば
2〜10重量%とすることがより好ましい。
【0016】次にPVAをアミンオキシド系の溶液に溶
解したとき、一般にポリマー溶液の着色とPVAの重合
度低下が生じるために、これを抑制するためにPVAに
対し有機酸又はその塩、例えば修酸、修酸ナトリウム、
酢酸、酢酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム
等を1種または2種以上および過酸化水素を添加するこ
とが好ましい。添加量はPVAに対し過酸化水素を0.
01重量%以上、有機酸又はその塩を0.01重量%以
上添加する。0.01%未満では酸化分解抑制効果が得
られない。より多く添加した方が酸化分解抑制効果は得
られるものの、5重量%を越しては添加物の水洗除去が
困難になり、工程の通過性を悪化させ、かつ繊維物性を
損なうため意味がない。より好ましくは0.05〜3重
量%、更に好ましくは0.1〜2重量%が良い。本発明
において過酸化水素と有機酸(又はその塩)の両者が添
加されていることが重要であり、いずれか一方の場合に
は所期の目的が達成されない。
【0017】紡糸されたPVAのアミンオキシド溶液を
凝固するための凝固浴溶液としては10℃以下の水また
は水とPVA凝集性の塩、酸、有機性液体やそれと水と
の混合物等を用いることが出来る。PVA凝集性の液体
としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ア
セトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールなど
が挙げられ、硫酸アンモニア、芒硝、硼酸、燐酸などを
溶解できる範囲の濃度で添加することも出来る。またア
ルカリ性のカセイソーダやカセイカリの水溶液を混合し
ても良い。
【0018】紡糸方法としては、例えばPVAのアミン
オキシド溶液を室温から100℃の範囲内の温度に設定
された紡糸原液タンクに入れ、脱泡後、空気圧力または
ギャーポンプ等にて一定量をノズルから吐出する方式が
好適に用いられる。原液の吐出糸は、まず2〜30cm
の空気中を通したのち、その下方に設置した凝固浴に導
かれる、いわゆる乾湿式紡糸方法、またはノズルを凝固
浴中に直接浸漬させながら紡糸液を吐出させる湿式紡糸
方法等が用いられる。その後、水洗工程に導かれ、PV
A中のアミンオキシドの含有量が5重量%以下になるま
で水洗し、乾燥して紡糸原液を得る。乾燥するまでの工
程で原糸を湿延伸する方法を用いてもよい。凝固浴中の
水/NMMO混合溶液はNMMO濃度が50%以上にな
るように減圧蒸留することでNMMOを全量回収するこ
とが出来る。
【0019】延伸は200〜260℃の空気浴中で前記
湿延伸での延伸倍率との積が15倍以上となるように熱
延伸するのが好ましい。より好ましくは20倍以上でか
つ乾熱延伸だけで3倍以上である。このような方法によ
り破断強度1.5GPa以上、その初期モジュラスが3
0GPa以上のPVA系繊維を得ることができる。
【0020】用いるPVAのシンジオタクティシティが
55%以上のいわゆる高シンジオタクティシティPVA
の場合には、従来のポリ酢酸ビニルからのケン化から得
ている通常のPVAと異なり、その立体規則性が高いた
め、溶解することが非常に困難になってくるので、本発
明のアミンオキシド溶剤からの紡糸が取扱性、繊維物性
の面からも好ましい。
【0021】以下に実施例により本発明を具体的に説明
する。尚、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。実施例中、%は特にことわりがない限り重
量に基づく値である。
【0022】実施例1 N−メチルモルホリン−N−オキシド1水和物(日本乳
化剤株式会社製)を用い水を添加して70%濃度のNM
MO水溶液を調整した。用いたPVAはシンジオタクチ
シティ(diad64%)の高い実験3で用いたPVA
銘柄VTFAc(重合度1150、ケン化度99.9モ
ル%)を実験3とまったく同一の方法にてフィルムを得
た。このフィルムを短冊状に切りPVA濃度を0.5%
となるように試験管に入れ封管し、100℃の恒温槽で
溶解した。これを実験4とした。更に、実験4の溶液に
PVAに対し過酸化水素水1%としゅう酸1%を添加し
試験管に入れ封管し、100℃の恒温槽で溶解した。こ
れを実験5とした。N−メチルモルホリン−N−オキシ
ド1水和物に水を添加して70%濃度のNMMO水溶液
を調整しPVAを添加しない溶液とした。これを実験6
とした。実験4、5、6の溶液をオストワルド型粘度計
に入れ100℃の恒温槽で保温し経時後の落下時間
(秒)の粘度変化の測定と溶液の着色程度を観察した。
夫々始めの落下秒数を1として相対比較した。この結果
を表3に示した。
【0023】
【表3】
【0024】この結果から本発明の実験5は粘度低下か
らPVAの重合度低下も少なく着色も防止出来たことが
わかる。一方、実験4は重合度低下が大きく、着色も激
しく紡糸原液としては使い物にならない。実験6はNM
MOのみの対照であるが若干の粘度低下と着色が観察さ
れた。
【0025】実施例2 PVAはシンジオタクチックの高いPVA銘柄ZVA0
17(重合度1640、ケン化度99.9モル%、di
ad61%、(株)クラレ社製)を用いた。PVAの精
製は室温で純水流水中で一昼夜水洗し、脱水後風乾し、
真空乾燥した。一方、N−メチルモルホリン−N−オキ
シド1水和物に水を添加して70%濃度のNMMO水溶
液を調整した。この溶液にPVAを添加しPVAに対し
過酸化水素1%となるように過酸化水素水素水およびし
ゅう酸1%を添加して100℃で8%PVA濃度となる
ように溶解し、原液300gを作製した。そのときのB
型粘度計での60℃粘度は2300センチポイズであっ
た。80℃で保温された原液タンクから0.3kg/c
2の空気圧力で加圧しながら直径0.5mmのガラス
ノズルからエアーギャップ5cmをおいて1.2mの紡
糸筒へ吐出糸を導いた。紡糸筒内の凝固液は2℃に冷却
した純水を用いて凝固させた。紡糸原糸はガラス製の枠
に巻取り、紡糸原糸のPVA中のNMMOの含有率が
0.5%以下になるように十分水洗して風乾したのち、
120℃で熱風乾燥して乾燥原糸を得た。
【0026】紡糸原糸は繊維太さ150デニールであっ
た。NMMOのPVAに対する含有率は0.15%であ
った。延伸は乾燥原糸を手回し延伸機に5cm採り、2
00℃熱風炉中で表4に示す所定の延伸倍率となるよう
に2mm/分の速度で引っ張りながら延伸し、冷却する
ことにより延伸後の糸とした。得られた繊維の測定は、
複数個サンプリングして行い、それらの平均値を示し
た。繊維太さは顕微鏡観察による断面積から求めた。単
繊維物性はJIS−L−1015に準じて行い、その測
定には、新興通信工業株式会社製のTOM−5引張試験
機を用いた。その結果を表4に示した。
【0027】
【表4】
【0028】更に、NMMOの溶剤回収のために実施例
2で紡糸した糸50gを8000gの純水で24時間水
洗した時の糸中と凝固浴中のNMMOの濃度を測定し
た。NMMOの濃度はケルダール窒素法により試料中の
硫酸、硫酸銅、硫酸カリウムを加え加熱分解し、NMM
O中の窒素をアンモニアとして蒸留法で分離し、インド
フェノール青吸光光度法にてアンモニア性窒素として定
量した。PVA中のNMMO量は0.15%と少なかっ
た。一方、水8000gの凝固液中のNMMOの濃度は
5.03%であり、この液1000gをアスピレーター
で減圧濃縮して、濃度50%以上となり全量回収が可能
であった。回収液の色はやや黄色味を帯びていた。
【0029】
【発明の効果】本発明により、アミンオキシド系溶剤ま
たはその水溶液を用いたポリビニルアルコール(以下P
VAと略)溶液から取扱易い条件で高強度、高弾性率の
PVA系繊維を効率的に製造することが出来ることを見
出だした。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミンオキサイド系化合物または該化合
    物を50重量%以上含有する混合溶液を溶媒とするポリ
    ビニルアルコール系重合体溶液をノズルより吐出して凝
    固液中に導き、得られる紡糸原糸を延伸することを特徴
    とするポリビニルアルコール系繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 アミンオキサイド系化合物または該化合
    物を50重量%以上含有する混合溶液を溶媒とし、かつ
    過酸化水素及び有機酸をそれぞれポリビニルアルコール
    系重合体に対し0.01重量%以上含有するポリビニル
    アルコール系重合体溶液をノズルより吐出して凝固液中
    に導びき、得られる紡糸原糸を15倍以上に延伸するこ
    とを特徴とするポリビニルアルコール系繊維の製造方
    法。
JP5735595A 1995-03-16 1995-03-16 ポリビニルアルコール系繊維の製造方法 Pending JPH08246233A (ja)

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