JPH08246103A - 木工刃物用鋼 - Google Patents

木工刃物用鋼

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JPH08246103A
JPH08246103A JP4802895A JP4802895A JPH08246103A JP H08246103 A JPH08246103 A JP H08246103A JP 4802895 A JP4802895 A JP 4802895A JP 4802895 A JP4802895 A JP 4802895A JP H08246103 A JPH08246103 A JP H08246103A
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JP
Japan
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steel
woodworking
quenching
blade
cutting
Prior art date
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Application number
JP4802895A
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English (en)
Inventor
Katsuaki Fukushima
捷昭 福島
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 刃先部の耐欠け性、耐ヘタリ性に優れると同
時に、研削焼けが起りにくく、さらに鍛造焼入れ時の特
性をも兼備した木工刃物用鋼を提供する。 【構成】 重量%で、C 0.60〜0.90%、Si 0.1〜2.0
%、Mn 0.1〜1.5%、Cr0.2〜5.0%、W 0.3〜3.0%、M
o 0.3〜2.5%、V 0.10〜0.30%、Nb 0.01%以上0.05%
未満を含有し、残部Feおよび不可避的に混入する不純
物からなる木工刃物用鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木工加工業において、
木材を切削するチッパーナイフおよびベニヤレースナイ
フ等の刃物として使用され、木材の硬質部を切削しても
刃欠けがなく、さらに刃先研磨において、研削性が良い
(刃先研磨焼けの生じない)木工刃物用鋼に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】木工刃物は、台金と刃物鋼部とからな
り、刃物鋼が台金に鍛接あるいはろう付けされる。台金
は構造用鋼、構造用炭素鋼等が使用され、刃材が高速度
鋼系の高合金鋼ではろう付けが、また比較的合金量の少
ない刃物鋼等では、鍛接された後、熱処理、刃付けを行
なって製品となる。また、鍛造後直ちに鍛造焼入れを行
なうことによって、焼入れ工程を省く工程も採用されて
いる。これ等の刃材としては、特公平5−71658
号、特開昭5−9654号、あるいは特公昭54−43
22号に開示された鋼などが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近の使用木材が南方
系の軟らかい材料から、北方系の針葉樹への転換によ
り、刃物刃先への負荷が増大し、従来の刃物では刃欠け
や刃のヘタリが生じ易くなったこと、および木工刃物は
一定時間使用したのち、刃先を再研磨して使用するもの
であるが、刃先が鋭利であるため研磨時に刃先焼けが生
じる場合があった。本発明の目的は、上記の刃先部の耐
欠け性、耐ヘタリ性に優れると同時に、研削焼けが起り
にくく、さらに鍛造焼入れ時の特性をも兼備した木工刃
物用鋼を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者は、前述した解決
すべき課題について、従来鋼の不具合原因の調査を徹底
して行なった結果、刃欠けに対しては、刃先部の靭性向
上が必要であり、そのためには、結晶粒度の微細化(望
ましくはJIS 結晶粒度 No.8以上)、焼入れ残留炭化物の
微細化、組織偏析の防止などが必要である。また刃先部
のヘタリに関しては、刃先の高硬度化(望ましくは59HRC
以上)と残留オーステナイトの低減(望ましくは5%以下)
が必要であることが判明した。刃先の耐摩耗性が良好な
刃材については、刃先の基地(マトリックス)硬さが高い
ことと同時に、残留炭化物としてM6C型の炭化物を多
く分散させると有効であることを見出した。
【0005】さらに研磨時の刃先焼け防止については、
硬質炭化物(例えばMC型炭化物)を低減すれば効果が
あること、および残留オーステナイトを少なくすること
がよいことを見出した。さらに、低合金刃材の場合に
は、台金と刃先を接合させるため、熱間加工(主として
圧延)し、そのまま急冷を行なうことによって、焼入れ
処理を兼ねる場合がある。この場合、通常の焼入れ温度
より高温からの焼入れとなり、結晶粒度の粗大化に対す
る特性が必要である。
【0006】この場合、特に焼入れ時の結晶粒微細化に
は、Nbの微量添加が極めて効果的であり、結晶粒度微
細化により、刃物の靭性向上に有効な働きを示す反面、
少しでも多く含有するとNbCがストリンガー状に並
び、縞状組織の発生原因となり、かえって靭性を阻害す
ることがわかった。また、偏析の防止に対しては、鋳塊
または分塊加工の段階で均一化熱処理を行なうと有効
で、この均質化処理によってW,Crなどの炭化物を一
旦母材中に固溶させたうえで、熱間加工時または焼なま
し時にM6C型およびM236型の炭化物として微細分散
せしめ、さらに焼入れ時に一部を残留させるのがよいこ
とがわかった。
【0007】本発明は、上記の知見に基づいて化学組成
の適正な配合によって達成されたものである。すなわち
本発明は、重量%で、C 0.60〜0.90%、Si 0.1〜2.0
%、Mn 0.1〜1.5%、Cr 0.2〜5.0%、W 0.3〜3.0%、
Mo 0.3〜2.5%、V 0.10〜0.30%、Nb0.01%以上0.05%
未満を含有し、残部Feおよび不可避的に混入する不純
物からなる木工刃物用鋼である。
【0008】
【作用】次に本発明の成分限定理由について述べる。C
は、必要とする硬さ、望ましくは59HRC以上の硬さと強
度を得ると同時に、微細な炭化物を形成して耐摩耗性を
得るうえで必須の元素である。上記の効果を得るため
に、Cは0.60%以上必要とするが、過度の添加は炭化物
の粗大化による靭性の低下、および焼入れ時、または鍛
造焼入れ状態において、残留オーステナイトが多量に生
成して高い硬さが得られなくなるので上限を0.90%とし
た。望ましいCの範囲は0.70〜0.85%である。Siは、
脱酸効果を有すると共に、焼戻し時に、セメンタイトの
生成を遅らせ、焼戻し軟化抵抗を高める元素である。特
に200℃以上で焼戻しされる鋼に対しては、その効果は
顕著である。しかし、多く添加した場合には偏析を増長
して靭性の低下を生じる。そのため、Siの添加量は、
0.1〜2.0%とした。望ましいSiの範囲は1.0〜1.5%であ
る。
【0009】Mnは、Siと同様に脱酸剤として必要な
元素であるが、過度に含有すると焼入れ時に残留オース
テナイトが多くなり、高い硬さが得られにくくなるた
め、0.1〜1.5%とした。望ましいMn範囲は、0.2〜0.6%
である。Crは、焼入れ性を増大するとともに、Cと結
合して炭化物を形成して耐摩耗性を向上させ、また焼戻
し軟化抵抗を高めて研削時の昇温による刃先部の硬さ低
下を防止する効果がある。上記の効果を得るためにCr
は最低0.2%を必要とするが、過度の添加は炭化物の粗大
化をまねき、靭性が低下するので上限を5.0%とした。望
ましいCrの範囲は0.3〜4.0%である。Wは、木工刃物
として耐摩耗性を得るために必要な元素である。鋼中の
Wは、Cと結び付いて焼なまし状態ではM6Cとして存
在する。この炭化物は、MC(VC,NbC)より軟ら
かく、研削性に優れるとともに、焼入れ時に残留炭化物
として鋼中に分散して木工刃物の耐摩耗性に寄与する。
上記の効果を得るために、Wは最低0.3%を必要とする
が、過度の添加は炭化物が粗大化するため上限を3.0%と
した。望ましいWの範囲は0.5〜2.5%である。
【0010】Moは焼入れ性を改善するとともに、焼入
れ時の結晶粒粗大化を防止する効果がある。また、焼戻
しにおいて軟化抵抗を大きくし、研削時の昇温による刃
先部の硬さ低下を防止する効果がある。上記の効果を得
るため、Moは最低0.3%必要であるが、過度の添加は逆
に炭化物の粗大化をまねき靭性が低下するので上限を2.
5%とした。望ましいMoの範囲は0.5〜2.0%である。V
は、鋼中に微細に分散して耐摩耗性を高める効果を有す
る。上記の効果を得るために、Vは最低 0.10%必要であ
るが、多くの添加はMC型炭化物が粗大化し、研削時に
研磨焼けの原因となるため、上限を0.30%とした。望ま
しいVの範囲は0.15〜0.25%である。
【0011】Nbは、Vと複合添加することによりMC
型炭化物をより微細に分散させる効果があり、0.01%の
僅かな添加量で鍛造焼入れおよび通常焼入れでの結晶粒
微細化の効果が著しい。しかし、その添加量が少しでも
多くなると、凝固時に生成したNbCがその後の熱間加
工によりストリンガー状に並び、他の炭化物析出の核と
なるため、縞状組織になり易く靭性の低下をまねくの
で、Nbの添加量を0.05%未満に厳しく制限する必要が
あり、Nbの範囲を0.01%以上0.05%未満とした。なお、
研磨焼けは主に硬質炭化物の量、すなわちVC,NbC
や(V,Nb)Cの量に比例するため、V+1/2Nbで
整理することができる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳
細に説明する。表1に示す化学成分組成の工具鋼素材を
高周波溶解炉にて吹製し、得られた鋳塊を1220℃で10時
間の均質化処理を施した後、熱間鍛造仕上を行なった材
料について、850℃、950℃での焼入れ、250℃での焼戻
しを行ない、主として靭性評価の目安となる結晶粒度お
よび縞状組織観察の他、主として耐ヘタリ性の評価とし
て、残留オーステナイト量、硬さ試験を、また主として
耐欠け性評価の抗折試験、シャルピー衝撃試験、さらに
粒状SiO2中でのスラリー試験(摩耗試験)、および被
研削性試験を行ない。その結果を表2に示す。なお、95
0℃での焼入れは、鍛造焼入れした場合の特性評価の目
安にもなるものである。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】表2より本発明鋼は、抗折応力(強度)
と、シャルピー衝撃値のバランスに優れ、さらに耐摩耗
性と被研削性に優れていることがわかる。また、Nb含
有量の結晶粒粗大化防止効果を確認するため、950℃焼
入れでの結晶粒度とNb含有量の関係を図1に示した。
本実施例に示した鋼では、Nb含有量と結晶粒度との間
には、明らかに関係があり、Nb 0.01%添加によってそ
の効果が生じ、Nbを多く添加してもその効果は変わら
ないことが認められた。さらに、研磨焼け性に関する試
験結果は、V+1/2Nb含有量で整理すると、図2のよ
うになり、V+1/2Nb含有量と研磨焼け量との間に明
らかな相関関係があることがわかる。
【0016】
【発明の効果】本発明の木工刃物用鋼は、刃先部の耐欠
け性、耐ヘタリ性に優れると同時に、一定時間使用した
のち、刃先を再研磨しても研磨欠けが起りにくく、さら
に鍛造焼入れ時の特性をも兼備しており、特に北方系の
針葉樹など硬質の木材の切削にすぐれた性能を発揮でき
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】950℃焼入れにおける結晶粒度とNb含有量の
関係を示した図である。
【図2】研磨焼け程度とV含有量の関係を示した図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C 0.60〜0.90%、Si 0.1〜
    2.0%、Mn 0.1〜1.5%、Cr 0.2〜5.0%、W 0.3〜3.0
    %、Mo 0.3〜2.5%、V 0.10〜0.30%、Nb 0.01%以上
    0.05%未満を含有し、残部Feおよび不可避的に混入す
    る不純物からなる木工刃物用鋼。
JP4802895A 1995-03-08 1995-03-08 木工刃物用鋼 Pending JPH08246103A (ja)

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JP4802895A JPH08246103A (ja) 1995-03-08 1995-03-08 木工刃物用鋼

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100408189C (zh) * 2006-10-19 2008-08-06 上海大学 中铬含钨复合抗磨辊圈的制造方法
CN105177435A (zh) * 2015-08-13 2015-12-23 武汉钢铁(集团)公司 刃具用薄规格热轧钢带及其制造方法

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