JPH0824576B2 - 新規アスパラギニルエンドプロテアーゼとその製造法並びに利用法 - Google Patents

新規アスパラギニルエンドプロテアーゼとその製造法並びに利用法

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JPH0824576B2
JPH0824576B2 JP4215739A JP21573992A JPH0824576B2 JP H0824576 B2 JPH0824576 B2 JP H0824576B2 JP 4215739 A JP4215739 A JP 4215739A JP 21573992 A JP21573992 A JP 21573992A JP H0824576 B2 JPH0824576 B2 JP H0824576B2
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enzyme
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規アスパラギニルエ
ンドプロテアーゼとその製造法並びに利用法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】大豆をは
じめとする植物種子には貯蔵タンパク質が含まれてお
り、古くからタンパク質源としてこれらは利用されてき
ている。貯蔵タンパク質の中で、特にグリシニン型貯蔵
タンパク質は主要なタンパク質成分となっており、該タ
ンパク質源の物性やテクスチャに重要な働きをしてい
る。このグリシニン型貯蔵タンパク質は、図1に示すよ
うに、酸性および塩基性のサブユニット対より形成され
ており、発現後、両サブユニット間が特異的にプロテア
ーゼ、すなわち本発明のアスパラギニルエンドプロテア
ーゼにより切断されるプレプロタンパク質として合成さ
れる。この重要なタンパク質資源を活用するため、これ
らの遺伝子を微生物で発現させ、該タンパク質を大量に
生産する試みがこれまでになされている。しかし、微生
物により生産されるタンパク質は前駆体であり、これを
成熟化する方法は開発されていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、微生物によ
り大量生産されるグリシニン型貯蔵タンパク質前駆体を
成熟化する方法を確立すべく鋭意研究した結果、この前
駆体を成熟化することができる新規なアスパラギニルエ
ンドプロテアーゼを見出し、その性質を解明することに
より本発明を完成するに到った。
【0004】すなわち、本発明は第1に、被子植物また
は裸子植物の種子中より得られ、下記の理化学的性質を
有する新規アスパラギニルエンドプロテアーゼに関す
る。 (1) グリシニン型貯蔵タンパク質前駆体または該タンパ
ク質に類するタンパク質前駆体に作用し、その酸性サブ
ユニット領域のC末端アミノ酸残基であるAsnと塩基性
サブユニット領域のN末端アミノ酸であるGly またはAs
n の間を正確に加水分解して該前駆体を成熟化する (2) 作用pHが4.0から7.0である (3) チオール性である (4) 分子量33Kから46KDaの単純タンパク質で、
糖鎖を有しない (5) ペプチドまたは変性タンパク質に作用し、アスパラ
ギン残基のカルボキシル基側でペプチド結合を加水分解
するが、脱アミノ基作用を有しないさらに、本発明は登
熟初期から完熟期までの被子植物または裸子植物の粉砕
した種子をpH4.0〜6.0の緩衝液で抽出し、その可溶
性画分を透析したのち固−液分離し、次いで疎水クロマ
トグラフィーを行うことを特徴とする新規アスパラギニ
ルエンドプロテアーゼの製造法並びにグリシニン型貯蔵
タンパク質前駆体または該タンパク質に類するタンパク
質前駆体に上記酵素を0から1Mの塩化ナトリウムおよ
び0から50mMの2−メルカプトエタノールを含む緩
衝液中で作用させて成熟化することを特徴とするグリシ
ニン型貯蔵タンパク質の製造法に関する。
【0005】本発明の新規アスパラギニルエンドプロテ
アーゼは、上記の如く、被子植物または裸子植物の種子
中より得られるものであり、下記のような理化学的性質
を有している。 (1) 作用 天然の状態で存在するグリシニン型貯蔵タンパク質前駆
体またはこれに類するタンパク質前駆体(例えば大腸菌
などの微生物により生産されたグリシニン前駆体,オー
ト麦12Sグロブリン前駆体など)に作用し、その酸性
サブユニット領域のC末端アミノ酸残基であるAsn と塩
基性サブユニット領域のN末端アミノ酸であるGly また
はAsn の間を正確に加水分解し、それを成熟化させる。
また、ペプチドまたは変性タンパク質に作用し、アスパ
ラギン残基のカルボキシル基側でペプチド結合を加水分
解するが、脱アミノ基作用(例えばDNP-Pro-Glu-Ala-As
n-NH2 またはこれに類するペプチドのAsn-NH2 間を加水
分解し、アンモニウムを遊離する反応)を有していな
い。
【0006】(2) 至適pHおよび温度安定性 pH4.0〜7.0で作用し、pH4.5〜5.5で最大活性を
示す。また、10分間の熱処理では、60℃まで活性が
認められるが、酵素反応の温度は20〜30℃が好まし
い。
【0007】(3)SDS-page による分子量測定 分子量33〜46KDaの単純タンパク質で、糖鎖を有
しない。さらに詳しくは大豆では33〜33.8KDa、
ギンナンでは37KDa、米では46KDaの分子量を
示す。
【0008】(4) 阻害および活性化 1mMの水銀イオンおよび銅イオンにより著しく阻害さ
れ、10mMの亜鉛イオンによっても阻害される。しか
し、10mMのマグネシウムイオン,カルシウムイオン
および10mMのEDTAでは全く活性には影響しな
い。SHプロテアーゼの阻害剤であるp-chloro-mercuri
benzensulfonic acid,N-ethylmaleimide,モノヨード酢
酸によって、それぞれ0.1mM,1.0mMおよび10m
Mの濃度で完全に阻害される。ペプチド性のプロテアー
ゼインヒビターであるアンチパイン,キモスタチン,ロ
イペプチン,トリプシンインヒビターなどによっては全
く阻害されないし、セリンプロテアーゼのインヒビター
であるphenylmethylsulfonylfluoride(PMSF) によって
も全く阻害されない。また、1mM以上の還元剤、例え
ば2−メルカプトエタノール,ジチオスレイトールなど
によって活性化される。以上のことから本酵素はチオー
ル酵素である。
【0009】次に、本発明のアスパラギニルエンドプロ
テアーゼの活性測定法について述べる。 活性測定法1 本酵素の活性測定には、グリシニン型貯蔵タンパク質ま
たはこれに類するタンパク質に対応し、リーダー配列を
有さないcDNAを大腸菌などの微生物で発現させて
られるグリシニン型貯蔵タンパク質前駆体またはこれに
類するタンパク質前駆体を基質として用いることができ
る。ここで、cDNAにはグリシニン,オート麦12S
グロブリン,グルテリン,ギンナン8Sグロブリン,綿
実のゴシピンなどのcDNAがある。活性測定は、0か
ら1M塩化ナトリウム、0から50mM2−メルカプト
エタノールを含むpH4.0〜6.0の酸性緩衝液中で本酵
素を含む試料を加えて25℃で3〜10時間反応後、SD
S-pageを行い、精製した酸性および塩基性サブユニット
をCBB染色またはウエスタンブロットにより検出する
ことにより行う。なお、グリシニン前駆体を用いた場合
は、0.2M以上の塩化ナトリウムおよび0.1M以上の2
−メルカプトエタノールを加える必要がある。ここで用
いる酸性緩衝液としては、酢酸緩衝液,クエン酸リン酸
ナトリウム緩衝液などを挙げることができる。
【0010】活性測定法2 本酵素は、ペプチドまたは変性タンパク質に作用し、ア
スパラギン残基のカルボキシル基側でペプチド結合を加
水分解する作用があるため、アスパラギン残基を含むペ
プチド、例えばvasoactive intestinal peptide, parat
hyroid hormone, neurotensin などを基質に用い、0か
ら50mM2−メルカプトエタノールをを含むpH4.0
〜6.0の酢酸緩衝液中で本酵素を含む試料を加えて25
〜40℃で10分〜10時間反応後、1/10量の酢酸
を加えて酵素反応を停止させ、生成したペプチドフラグ
メントを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によ
り定量することによって活性を測定することができる。
このときのHPLCの条件としては、ODS,C8,
C4,フェニルなどの逆相カラムにペプチドフラグメン
トを吸着させ、それを0から0.1%のTFAを含むアセ
トニトリルによって溶出させ、210〜220nmまた
は250〜290nmのUV吸収を測定することによっ
て生成フラグメントを定量することができる。しかしな
がら、夾雑物の多い酵素試料の場合は、この方法で活性
を測ることは困難であるので、上記活性測定法1を用い
ることが望ましい。
【0011】本発明のアスパラギニルエンドプロテアー
ゼは、前述したように、登熟初期から完熟期まで、特に
登熟初期から登熟後期の被子植物または裸子植物の粉砕
した種子をpH4.0〜6.0の緩衝液で抽出し、その可溶
性画分を透析したのち固−液分離することにより得るこ
とができる。これらの種子には大量の貯蔵タンパク質が
含まれており、上記のようにpH4.0〜6.0の緩衝液、
特にpH4.0〜5.0の酸性条件で可溶化される画分を0
から50mM(pH4.0〜5.0)の低イオン強度の緩衝
液で透析することにより、該貯蔵タンパク質を分離する
ことができる。次いで、遠心分離などにより上清液を
得、これを粗酵素液として用いることができる。必要に
応じてさらに精製することもでき、例えば粗酵素液を
安分画後、Butyl-Toyopearl, Phenyl-Toyopearl, Pheny
l-Sepharose, Alkyl-Sepharoseなどによる疎水クロマト
グラフィーを行った後、Sephacryl S-200, TSK-gel HW5
5 などを用いるゲル濾過を行い、さらにはDEAE-Sepharo
seに供することにより、ほぼ単一タンパク質レベルまで
精製することが可能である。とりわけ、疎水クロマトグ
ラフィーによる精製が効果的である。
【0012】次に、本発明の新規アスパラギニルエンド
プロテアーゼを用いてグリシニン型貯蔵タンパク質前駆
または該タンパク質に類するタンパク質前駆体を成熟
化する方法について述べる。グリシニン型貯蔵タンパク
質前駆体または該タンパク質に類するタンパク質前駆体
は、該タンパク質の遺伝子をpKK233-2などの発現ベクタ
ーを用い、大腸菌などの微生物で発現させ、該形質転換
した微生物を培養することによって大量に生産すること
ができる。しかし、タンパク質資源として利用するに
は、これを成熟化することが必要である。まず、微生物
を培養して得たグリシニン型貯蔵タンパク質前駆体をイ
オン交換クロマトグラフィー,疎水クロマトグラフィ
ー,ゲル濾過などにより精製し、しかる後、これに本発
明の酵素を作用させ成熟化する。成熟化反応は、0から
1M塩化ナトリウム、0から50mM2−メルカプトエ
タノールを含むpH4.0〜6.0の緩衝液中に精製したグ
リシニン型貯蔵タンパク質前駆体と、その1/100〜
10倍量の本酵素を加え、25〜40℃で3〜10時間
反応させることにより行う。なお、グリシニン前駆体を
基質として用いる場合は、0.2M以上の塩化ナトリウム
および0.1mM以上の2−メルカプトエタノールを反応
系に加える必要がある。
【0013】さらに、本発明の新規アスパラギニルエン
ドプロテアーゼの利用法として、精製酵素をペプチドま
たは変性タンパク質に作用させ、アスパラギン残基の後
ろで特異的にペプチド鎖を切断する性質を利用し、これ
らペプチドのマッピングに利用することができる。な
お、タンパク質の変性方法としては、60〜120℃で
加熱もしくはオートクレーブする方法がある。ペプチド
または変性タンパク質に本発明の酵素を作用させるとき
の反応条件は、0から50mM2−メルカプトエタノー
ルを含むpH4.0〜6.0の緩衝液中に該ペプチドまたは
変性タンパク質と、その1/100〜10倍量の本酵素
を加え、25〜40℃で3〜10時間反応させることが
必要である。なお、用いた基質のアミノ酸配列によって
は切断され易いものや、切断され難いものがあるが、例
外なくアスパラギン残基の後ろで切断が行われる。ただ
し、NNNVEELのような場合は、N末端から2番目
のNのカルボキシル残基で切断される(NN↑NVEE
L)(図9参照)。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明する
が、本発明はこれらにより制限されるものではない。 参考例1 アスパラギニルエンドプロテアーゼの活性測定法1 大豆グリシニンA1aB1bに対応するリーダー配列を有さな
いcDNAを発現ベクターpKK233-2(ファルマシア製)
にin-flameで挿入し、大腸菌NM522を宿主に用いて
発現させた。10mlのLB培地で一晩培養した上記大
腸菌を1リットルのLB培地に接種し、対数増殖期(OD
600nm=0.8)に達するまで23℃で培養した後、13℃の
温度に下げ、さらに一晩培養した。培養終了後、遠心分
離(12,000g,15分,4℃)によって集菌し、50m
M塩化ナトリウム,1mM EDTAを含む100ml
の10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)に菌体を懸濁
させた。この懸濁液に1ml(濃度10mg/ml)の
塩化リゾチーム水溶液を加え、氷上で超音波破砕器によ
り菌体を破砕し、遠心分離(11,000g,15分,4℃)
により菌体破砕物を除去した。得られた上清液に結晶硫
安を30%飽和となるように加え、再び遠心分離(11,0
00g,15分,4℃)を行って上清液を集め、さらに7
0%飽和になるように硫安を加えた。次いで、遠心分離
(11,000g,20分,4℃)によってPro-A1aB1b(グリ
シニン前駆体) を含む硫安沈殿物を得た。
【0015】この沈殿物を0.15M塩化ナトリウムを含
む少量の35mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.6)に
静かに溶解させた後、同緩衝液に対して透析を行った。
次に、この透析内液を同緩衝液で平衡化させたQ−セフ
ァロースカラム(ファルマシア製、φ26mm×400
mm)に吸着させ、約500mlの同緩衝液によって非
吸着のタンパク質を溶出させた後、0.15M→0.5Mの
塩化ナトリウム濃度のリニアグラジエントを行った。
【0016】得られた溶出画分を大豆グリシニンに対す
る抗血清を用いたウエスタンブロットによって分析した
ところ、グリシニン前駆体は塩化ナトリウム濃度が0.3
〜0.35M濃度の画分に溶出されることが明らかとなっ
た。このグリシニン前駆体溶出画分に終濃度1Mとなる
ように硫安を加えた後、1M硫安,0.4M塩化ナトリウ
ムを含む35mMリン酸カリウム緩衝液対し透析し、こ
の透析内液を同緩衝液で平衡化したブチルトーヨーパー
ル650M(東ソー製、φ26mm×400mm)に吸
着させ、約500mlの同緩衝液を用いて非吸着のタン
パク質を溶出後、1M→0Mの硫安濃度のリニアグラジ
エントを行って0M硫安画分にSDS-page上でほぼ単一の
Pro-A1aB1bタンパク質を得た。
【0017】酵素活性の測定は以下のようにして行っ
た。精製したPro-A1aB1bタンパク質140ng,50m
Mメルカプトエタノールおよび100mM塩化ナトリウ
ムを含む100mM酢酸緩衝液(pH5.0)15μlに
酵素液を加え、37℃で一晩酵素反応を行った。得られ
た反応液をLaemmli の系にて電気泳動を行い、グリシニ
ンの塩基性サブユニットに対する抗血清を用いてウエス
タンブロットを行った。なお、検出にはイミュンプロッ
トHPRキット(Bio−Rad社製)を使用した。新
しく生成した塩基性サブユニット(B1b)のブロットされ
たバンドの強さを測定することにより酵素活性を測定し
た。
【0018】参考例2 アスパラギニルエンドプロテアーゼの活性測定法 オート麦12Sグロブリンの一つであるA2 Bに対応
し、そのリーダー配列を有さないcDNA(図6参照)
を発現ベクターpKK233-2(ファルマシア製)にin-flame
で挿入し、大腸菌JM105を宿主に用いて発現させた
(図7参照)。発現方法は参考例1に準じて行い、13
℃で一晩培養した後、同様に氷上で超音波破砕し、約1
00mlの遠心上清液を得た。この上清液15μlに1
M酢酸緩衝液(pH5.0)を加えた後、酵素液4μlを
加え、37℃で一晩酵素反応を行った。次いで、この反
応液をLaemmli の系にて電気泳動を行い、オート麦12
Sグロブリンに対する抗血清を用いてウエスタンブロッ
トを行った。検出にはイミュンプロットHPRキット
(Bio−Rad社製)を使用した。新しく生成した塩
基性サブユニット(A2) のブロットされたバンドの強さ
を測定することにより酵素活性を測定した。
【0019】実施例1 完熟した大豆種子からのアスパラギニルエンドプロテア
ーゼの取得 熱処理および脱脂工程を行っていない大豆粉5kgを1
5リットルの20mMの酢酸緩衝液(pH5.0)に少し
ずつ加え、溶液のpHを5.0に調整した後、室温で2時
間緩やかに攪拌した。次に、遠心分離(12,000g,10
分)により得た上清液を20mM酢酸緩衝液(pH5.
0)に対して4℃で透析することにより、抽出液中に含
まれているグリシニンなどの貯蔵タンパク質を沈殿させ
たのち、再び遠心分離(12,000g,10分)を行い約1
0リットルの上清液を得た。
【0020】この上清液に結晶硫酸アンモニウムを40
%飽和となるように加え、氷上で1時間攪拌した後、遠
心分離(12,000g,10分,4℃)によりアスパラギニ
ルエンドプロテアーゼを含むタンパク質8.4gからなる
沈殿物を得た。この硫安沈殿物を1M硫酸アンモニウム
を含む10mM酢酸緩衝液(pH5.0)100mlに溶
解して同緩衝液で平衡化させたブチルトーヨーパール6
50Mカラム(φ50mm×300mm×2本)に吸着
させ、2リットルの同緩衝液でカラムを洗浄したのち、
硫酸アンモニウム濃度を(1M→0M)/4リットルの
割合で低下させるリニアグラジエントを行った。
【0021】次いで、参考例1に記載の方法で各フラク
ションの活性を測定したところ、図2の斜線部分に活性
を有するフラクションを得た。このフラクションをセン
トリプレップ(ミリポア社製)で濃縮し、セファクリル
S−200HRカラムクロマトグラフィー(φ26mm
×900mm×2本)を行った。0.1M塩化ナトリウム
を含む10mM酢酸緩衝液で溶出させ、図3の斜線部分
に13.4mgのアスパラギニルエンドプロテアーゼA,
B,C(それぞれ等電点(pI)4.85,分子量(M
W)33,800: pI4.89,MW33,400: pI4.94,M
W33,000)を得た。
【0022】実施例2 ギンナンからのアスパラギニルエンドプロテアーゼの取
得 十分に洗浄した完熟ギンナン3kgを乳鉢で破砕した
後、さらに粉砕器によりペースト状になるまで粉砕し
た。次に、10リットルの10mM酢酸緩衝液(pH5.
0)を加え、緩やかに攪拌しながら一晩抽出を行った。
しかる後、遠心分離(12,000g,20分,4℃)により
残渣を除去し、上清液を50リットルの20mM酢酸緩
衝液(pH5.0)に対し4℃で3回透析を行った。変性
タンパク質を遠心分離(12,000g,20分,4℃)で除
去後、上清液9リットルに対し30%飽和になるように
結晶硫安を加え、氷上で1時間攪拌し、次いで遠心分離
(12,000g,20分,4℃)によって10リットルの上
清液を得た。
【0023】この上清液にさらに50%飽和になるよう
に結晶硫安を加え、氷上で2時間攪拌し、次いで遠心分
離(12,000g,20分,4℃)によってアスパラギニル
エンドプロテアーゼを含む沈殿物0.4gを得た。このう
ち70mgのタンパク質を200mlの1M硫酸アンモ
ニウムを含む10mM酢酸緩衝液(pH5.0)に溶解さ
せ、同緩衝液で平衡化させたブチルトーヨーパール65
0Mカラム(φ50mm×300mm)に吸着させ、2
リットルの同緩衝液でカラムを洗浄したのち、硫酸アン
モニウム濃度を(1M→0M)/2リットルの割合で低
下させるリニアグラジエントを行った。
【0024】次いで、参考例1に記載の方法で各フラク
ションの活性を測定し、活性フラクションに80%飽和
になるように硫安を加えて酵素を沈殿させ、それを3m
lの10mM酢酸緩衝液(pH5.0)に溶解させ、同緩
衝液で平衡化させたセファクリルS−200HRカラム
(ファルマシア製、φ13mm×900mm×2本)で
ゲル濾過を行った。活性フラクションをさらにSuperose
で精製し、分子量37,000の単純タンパク質であるギンナ
ンのアスパラギニルエンドプロテアーゼを取得した。
【0025】実施例3 コメからのアスパラギニルエンドプロテアーゼの取得 コメ粉(使用する穀粒は新しい程良く、粉末後4〜5ヶ
月室温保存した場合は酵素の抽出効率は著しく悪くな
る。これは、油脂成分とタンパク質の結合によるためで
ある。この現象は、他の試料を用いた場合も同じであっ
た。したがって、コメ粉は新しいコメを微粉末化し、熱
ドライしないものを用いた。)20kgに5倍量の10
mM酢酸緩衝液(pH5.0)を少しづつ攪拌しながら加
え、そのまま2時間室温で抽出した。次いで、遠心分離
(12,000g,10分)して残渣を除き、上清液を得た。
この上清液を20mM酢酸緩衝液(pH5.0)に対して
4℃で十分に透析した。生じた沈澱物を遠心除去して上
清液を得た。
【0026】この上清液に結晶硫酸アンモニウムを50
%飽和となるように加え、生じた沈澱物(アスパラギニ
ルエンドプロテアーゼを含むタンパク質12g)を遠心
分離した。この沈澱物を1M硫酸アンモニウムを含む1
0mM酢酸緩衝液(pH5.0)100mlに溶解した
後、同緩衝液で平衡化したブチルトーヨーパール650
Mカラム(φ50mm×300mm×2本連結)に吸着
させた。2リットルの同緩衝液でカラムを洗浄した後、
硫酸アンモニウム濃度を(1M→0M)/4リットルの
割合で低下させるリニアグラジエント法により吸着タン
パク質の分画を行った。
【0027】次いで、参考例1に記載の方法で各フラク
ションの活性を測定することにより、アスパラギニルエ
ンドプロテアーゼの溶出フラクションを同定した。これ
らのフラクションのタンパク質を80%硫酸アンモニウ
ム飽和で沈澱させた後、セファクリルS−200HRカ
ラム(φ26mm×900mm×2本連結)を用いてゲ
ル濾過を行った。次に、参考例1に記載の方法を用い、
分画各画分の酵素活性を測定した。高活性を示す画分を
集め、必要に応じてさらにDEAE−トーヨーパールま
たはこれに類するイオン交換樹脂を用いたカラムクロマ
トグラフィーにより少量の夾雑するタンパク質を除去
し、図8に示したように、SDS−ゲル電気泳動で単一
バンドを示すまでに精製した。収量は約1mgであっ
た。
【0028】実施例4 アスパラギニルエンドプロテアーゼを用いた合成ペプチ
ドの特異的分解 0.1μgのvasoactive intestinal peptide (VIP) およ
び50mM2−メルカプトエタノールを含むpH5.0の
酢酸緩衝液に実施例1に記載の精製酵素を加えて25℃
で3時間反応後、10分の1量の酢酸を加えて酵素反応
を停止させ、生成したペチドフラグメントをHPLCによっ
て分析した。このとき用いたHPLCの条件は以下の通りで
ある。カラム:ODS120T(東ソー製)、溶媒A:0.1%の
TFA、溶媒B:0.1%のTFAを含むアセトニトリ
ル、グラジエント:0→60%B/60分、検出:22
0nm図4に結果を示す。図から明らかなように、アス
パラギン残基の後ろでVIPが切断されていることが判
る。しかし、カルボキシル基に付いたアミノ基を加水分
解するデアミナーゼ活性は認められなかった。この方法
を酵素活性の測定法として応用することが可能である。
【0029】実施例5 大腸菌で生産したグリシニン前駆体の成熟化 前記参考例1で得たグリシニン前駆体50μgに実施例
1で得られた精製酵素4μgを加え、50mMメルカプ
トエタノール、0.5M塩化ナトリウムを含む50μlの
100mM酢酸緩衝液(pH5.0)中で25℃で12時
間酵素反応を行った。図5に示すように、A1aB1b前駆体
が本酵素により酸性および塩基性サブユニットに切断さ
れることがSDS-page上で判る。次に、切断部位が正しい
かどうかを明らかにするため、切断された塩基性サブユ
ニット(B1b) のN末端アミノ酸のシークエンスを行っ
た。すなわち、酵素処理したA1aB1b前駆体45μgを電
気泳動後、PVDF膜(ミリポア社製)にミニトランスブロ
ットセル(Bio-Rad 社製)にエレクトロブロティング
し、PVDF膜にブロティングされた塩基性サブユニットの
N末端アミノ酸シークエンスをペプチドシークエンサー
(ABI社製)によって分析した。その結果、得られた
塩基性サブユニットN末端アミノ酸シークエンスは大豆
種子のB1b サブユニットと同一であった。
【0030】一方、生成した酸性サブユニットを6M尿
素存在中でDEAE−トーヨーパールカラムによって単離
し、トリプシンによって加水分解した後、anhydrotryps
in-HPLC カラムを通し、その非吸着画分をPico-Tagによ
り分析したところ、酸性サブユニットのC末端アミノ酸
もまた大豆種子と同じアスパラギンであった。このこと
からグリシニン前駆体が本酵素により291番目のアス
パラギンと292番目のグリシンの間で正確に切断され
ていることが明らかになった。
【0031】実施例6 種々の植物種子中に存在するアスパラギニルエンドプロ
テアーゼを用いたグリシニン型タンパク質前駆体の成熟
化 登熟初期から完熟期までの植物種子(ツルマメ,ギンナ
ン,大麦,トウモロコシ,小麦,玄米,タバコ,ツバ
キ,アオギリ,サザンカ,エンジュ,エニシダ,フジ,
大豆,オート麦)各5gを液体窒素中で十分に破砕した
後、50mlの20mM酢酸緩衝液(pH5.0)を加
え、氷で冷しながらヒスコトロンを用いてホモジナイズ
した。次に、遠心分離(3,000g, 30分,4℃)によっ
て残渣を除いて得た上清液を20mM酢酸緩衝液(pH
5.0)に対して4℃で透析を行い、生じた沈殿をさらに
遠心分離(10,000g,30分,4℃)によって除去し、
得られた上清液を粗酵素液とした。
【0032】グリシニン型タンパク質の前駆体としては
オート麦12Sグロブリン前駆体(Pro-A2B)を用いた。
参考例1で述べたと同様の方法により大腸菌で発現さ
せ、精製した反応基質(A2B前駆体)15μlに2μlの
2M酢酸緩衝液(pH5.0)と2μlの1Mジチオスレ
イトールを加えた後、上記各粗酵素液11μlを加え、
37℃で13時間酵素反応を行い、ウエスタンブロット
法により、切断された酸性サブユニットを検出した。そ
の結果、図6に示すように、種々の植物種子中にアスパ
ラギニルエンドプロテアーゼが存在していることが判明
すると共に、それによってグリシニン型タンパク質の前
駆体を成熟化させることが可能であった。
【0033】さらに、異種の酵素が正しくアスパラギン
残基の後で基質を切り、酸性および塩基性サブユニット
を生じさせているか否かを明らかにするため、以下の実
験を実施した。実施例4で述べた方法により、オート麦
12S Pro-A2Bタンパク質(50μg)にダイズアスパ
ラギニルエンドプロテアーゼ(5μg)を作用させて生
じせしめたペプチド断面のうち、分子量の小さいものの
N−末端配列を解析したところ、Gly-Leu-Glu-Glu-Asn-
Phe の配列を得た。これは、オート麦12Sグロブリン
Pro-A2Bの塩基性サブユニットのN−末端領域の配列と
完全に一致した。したがって、ダイズ由来の当該酵素は
由来の異なるタンパク質前駆体をも、生体内で切断され
る部位と同一の部位で正しく切断することが示された。
【0034】実施例7 アスパラギニルエンドプロテアーゼを用いた合成ペプチ
ドの分解 下記の各種合成ペプチド(0.3μgを水またはDMSO
に溶解したもの)を用い、50mMの2−メルカプトエ
タノールを含む200mM酢酸緩衝液(pH5.0)中で
37℃で6時間,12時間および24時間保温後、反応
混液の1/10量のギ酸を加えて反応を停止した。反応
液の適当量をHPLCで分析した。結果を図7に示す。な
お、用いたカラムはペプチドの長さにより変えたが、C
4 〜C18の逆相カラムを使用した。
【0035】各種合成ペプチド(↑は切断部位を示
す。) NH3-NNVEEL (切れない) NH3-NN↑NVEEL (切れ難いが
切れる) NH3-NN↑N↑NVEEL (2ヶ所で切
れ、1ヶ所は切れ易い) NH3-NNN↑SEEL (切れ難いが切れ
る) NH3-NNN↑EVEL (切れ易い) NH3-SESEN↑GLEET (切れ易い) NH3-FNNVEEL (切れ難い)
【0036】以上のことから、Nの後にV,Lなどの疎
水性アミノ酸がくる場合は、本酵素により切断されない
か、切断され難い。したがって、の場合はN↑NVE
ELが切断する可能性があるが、本酵素はアミノペプチ
ダーゼ活性がないので、は切断されない。また、は
矢印の部位で切断されるが、はより切断され易い。V
をS,Gなどの疎水性でなく分子の大きさも比較的小さ
いアミノ酸に置き換えると、切断するようになるが、効
率的に切断するにはNの後に疎水性でないアミノ酸残基
が来て、その直後に疎水性アミノ酸残基が来るような、
例えば、…NGV…のような切断環境の場合、Nの後で
容易に切断される。また、切断部位となるNの上流に他
のアミノ酸が1個以上存在しなければならない(XNY
φ…,Xはφ以外のアミノ酸残基、Yはφ以外でA,
S,T,P,Gなどの比較的分子の小さなアミノ酸残基
があるとよい、φは疎水性アミノ酸残基である)が、3
〜4個以上のアミノ酸残基があると、切断され易くな
る。図8にペプチドNH2 −NNNVEEL−COOH
に本酵素を作用させた場合の切断ペプチドの分離例を示
した。分取したペプチドのアミノ酸配列解析から、切断
がNN↑NVEELのように矢印の部位で起っているこ
とが明らかとなった。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、被子植物または裸子植
物の種子に由来する新規アスパラギニルエンドプロテア
ーゼとその製造法が提供される。ところで、植物種子に
含まれるグリシニン型貯蔵タンパク質の利用を図るた
め、遺伝子組換え技術を利用して微生物に該タンパク質
を大量生産させる試みがなされているが、この方法で得
られるタンパク質は前駆体である。これをタンパク質資
源として活用するためには、成熟化することが必要であ
る。本発明の酵素は該グリシニン型貯蔵タンパク質前駆
体に作用して、これを成熟化させることができるため、
本酵素は植物種子由来の貯蔵タンパク質の利用を図る上
に極めて有用である。さらに、本酵素を用いてタンパク
質をアスパラギン残基のカルボキシル基末端で切断する
ことにより、切断個所の構造解析が可能である。よっ
て、本酵素を用いることにより、ペプチドの一次構造解
析に必要な量のペプチドを容易に生成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 グリシニン型貯蔵タンパク質のタンパク分解
酵素によるプロセッシングの模式図である。
【図2】 実施例1の粗酵素液の疎水クロマトグラムで
ある。斜線部分は酵素活性の強い領域を示す。
【図3】 実施例1の疎水クロマトグラフィーで分画し
た酵素液のゲル濾過によるクロマトグラムである。斜線
部分を集めて精製酵素とした。
【図4】 実施例3のアスパラギニルエンドプロテアー
ゼにより切断したペプチドフラグメントのHPLC分離
図であり、矢印は各生成ペプチドフラグメントの一次構
造をアミノ酸の一文字表示法で示している。
【図5】 実施例4の大腸菌で生産し、精製したグリシ
ニン前駆体に酵素を作用させ、その切断状況をSDS-page
で分析した電気泳動写真である。レーン1は本発明の酵
素、レーン2は基質として用いたグリシニン前駆体、レ
ーン3はグリシニン前駆体に酵素を作用させたもの、レ
ーン4は大豆種子より得たcold insolublefraction (CI
F) で、本画分にはグリシニンが濃縮されているので、
分子量マーカーとして用いた。
【図6】 参考例2で用いたオート麦12Sグロブリン
A2B cDNAの塩基配列を示す。クローン名 pOTG664
A2B をコードしているcDNAである。*の部分から下
流部分を図7の方法により発現ベクターに導入して大腸
菌で生産した。
【図7】 オート麦12Sグロブリン pro-A2Bの大腸菌
における発現プラスミドの構築方法を示した模式図であ
る。
【図8】 Aは、実施例5のオート麦12Sグロブリン
前駆体に酵素を作用させた後のウエスタンブロット分析
図である。58Kはオート麦12Sグロブリン前駆体で
あるPro-A2B 、33Kはオート麦12SグロブリンのA2
酸性サブユニットである。図中、aはオート麦12Sグ
ロブリン画分(オート麦種子から抽出したタンパク質で
ある。図6のcDNAの塩基配列から明らかなように、酸性
サブユニットのC−末端を種々の程度に欠損したmRN
A群により大きさの異なるオート麦12Sタンパク質が
合成されている。A2酸性サブユニットはその中でも最も
分子量の大きなタンパク質である。)を示し、bは pro
-A2Bを示す。cは pro-A2Bオート麦からのアスパラギニ
ルエンドプロテアーゼの粗酵素液を加えて反応させない
もの(コントロール実験)を示し、dは pro-A2Bに上記
cと同じ酵素液を加えて反応させたものを示す。eはダ
イズ精製酵素と pro-A2Bで反応させたものを示し、fは
フジ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示す。gはエ
ニシダ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示し、hは
エンジュ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示す。i
はサザンカ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示し、
jはアオギリ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示
す。kはツバキ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示
し、lはタバコ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示
す。mはコメ精製酵素と pro-A2Bで反応させたものを示
し、nはコムギ粗酵素と pro-A2Bで反応させたものを示
す。oはトウモロコシ粗酵素と pro-A2Bで反応させたも
のを示し、pは大麦粗酵素と pro-A2Bで反応させたもの
を示す。qはギンナン精製酵素と pro-A2Bで反応させた
ものを示し、rはツルマメ粗酵素と pro-A2Bで反応させ
たものを示す。sはA2B のみで酵素を入れずに反応させ
たもの(対照)を示す。Bは、異種酵素によるオート麦
12SグロブリンA2B タンパク質の切断部位の同定のた
めのCBB染色像である。Aで、由来を異にする酵素が
同一の基質を同一の部位で切断している可能性が高いこ
とをイムノブロット法で示した。なお、使用した抗体は
オート麦12Sグロブリンに対して作成されたが、オー
ト麦12Sグロブリンの酸性サブユニットに対してのみ
反応し、塩基性サブユニットとは反応しなかった。Bで
は、オート麦種子以外の植物種子から調製した酵素が、
オート麦前駆体を、予想される酸性サブユニットと塩基
性サブユニットの結合部位に存在するアスパラギン残基
の後で正確に切断するか否かを明らかにするために行っ
た実験結果を示している。精製したオート麦12Sグロ
ブリンPro-A2B のタンパク質(60μg)を、ダイズ由
来の精製アスパラギニルエンドプロテアーゼ(2μg)
で切断した。その後、SDS-pageで分離した塩基性サブユ
ニットに相当すると思われるフラグメントを、実施例4
に示した方法でN−末端アミノ酸配列分析をガス相アミ
ノ酸配列解析機(米国ABI社製)を用いて分析した。
なお、*はPro-A2B 、**は酵素により切断した酸性サ
ブユニットA2である。
【図9】 実施例6の酵素による合成ペプチドの分解ル
ールを示すHPLCパターンである。上図は、ペプチド
NNNVEELの分解パターンを、下図は、ペプチドN
NNEVELの分解パターンを示す。SはNNNEVE
L,PはEVELを示す。
【図10】 実施例6の酵素のSDS−ゲル電気泳動像
であり、Mは分子量マーカー、レーン1は米の精製酵素
(分子量約45Kダルトン)、レーン2はイチョウの精
製酵素(分子量37Kダルトン)、レーン3は大豆由来
の精製酵素(分子量33〜34Kダルトン)を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被子植物または裸子植物の種子中より得
    られ、下記の理化学的性質を有する新規アスパラギニル
    エンドプロテアーゼ。 (1) グリシニン型貯蔵タンパク質前駆体または該タンパ
    ク質に類するタンパク質前駆体に作用し、その酸性サブ
    ユニット領域のC末端アミノ酸残基であるAsnと塩基性
    サブユニット領域のN末端アミノ酸であるGly またはAs
    n の間を正確に加水分解して該前駆体を成熟化する (2) 作用pHが4.0から7.0である (3) チオール性である (4) 分子量33Kから46KDaの単純タンパク質で、
    糖鎖を有しない (5) ペプチドまたは変性タンパク質に作用し、アスパラ
    ギン残基のカルボキシル基側でペプチド結合を加水分解
    するが、脱アミノ基作用を有しない
  2. 【請求項2】 登熟初期から完熟期までの被子植物また
    は裸子植物の粉砕した種子をpH4.0〜6.0の緩衝液で
    抽出し、その可溶性画分を透析したのち固−液分離し、
    次いで疎水クロマトグラフィーを行うことを特徴とする
    請求項1記載の新規アスパラギニルエンドプロテアーゼ
    の製造法。
  3. 【請求項3】 登熟初期から完熟期までの被子植物また
    は裸子植物の粉砕した種子をpH4.0〜6.0の緩衝液で
    抽出し、その可溶性画分を透析したのち固−液分離し、
    得られた液体を硫安分画,疎水クロマトグラフィーおよ
    びゲル濾過を行うことを特徴とする請求項1記載の新規
    アスパラギニルエンドプロテアーゼの製造法。
  4. 【請求項4】 グリシニン型貯蔵タンパク質前駆体また
    は該タンパク質に類するタンパク質前駆体に請求項1記
    載の酵素を0から1Mの塩化ナトリウムおよび0から5
    0mMの2−メルカプトエタノールを含む緩衝液中で作
    用させて成熟化することを特徴とするグリシニン型貯蔵
    タンパク質の製造法。
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