JPH08245484A - ステロイドbcd環の新規な製造方法及び新規な合成中間体 - Google Patents

ステロイドbcd環の新規な製造方法及び新規な合成中間体

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JPH08245484A
JPH08245484A JP7968495A JP7968495A JPH08245484A JP H08245484 A JPH08245484 A JP H08245484A JP 7968495 A JP7968495 A JP 7968495A JP 7968495 A JP7968495 A JP 7968495A JP H08245484 A JPH08245484 A JP H08245484A
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formula
compound
group
reaction
trialkylsilyl
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JP7968495A
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Takashi Takahashi
孝志 高橋
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、相異なる官能基を持つ二つの側鎖
を有するビシクロ[4,3,0]ノナン骨格を鎖状化合
物から一段階で合成し、さらにその相異なる官能基を用
いてB環部を閉環し、プロギステロンの中間体であるD
esA−pregnane−5,20−dioneを容
易に得られるようにすることを目的とする。 【構成】 ゲラニオールから容易に誘導することができ
る式(5) 【化1】 (式中、R3 はアルコキシアルキル基又はトリアルキル
シリル基であり、X2 は脱離基である。)の化合物を閉
環反応させ、得られる式(4) 【化2】 (式中、R4 は式(5)に定義されたとおりである。)
の化合物の保護した水酸基を遊離の水酸基へ変換し、得
られる式(14) 【化3】 の化合物のシアノヒドリンをアルデヒドに変換し、得ら
れるDesA−pregnane−5,20−dion
eを含む異性体混合物を異性化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は性ステロイドホルモンで
あるプロゲステロン、前立腺肥大症の治療薬であるフィ
ナステライド(プロスカ−)の重要な合成中間体と成り
得るDesA−pregnane−5,20−dion
e(以下、ステロイドBCD環と称する場合がある)の
新規な製造方法及びその新規な合成中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】天然に少量しか産出されないプロゲステ
ロン類が様々な手法によって合成されている。その手法
として天然からある程度産出されるステロイドを化学変
換し、他のステロイドへ変換する手法が一般的である。
その例としてテストステロンからDesA−pregn
ane−5,20−dioneを経てプロギステロン誘
導体のステロイドへ変換する例(Uskokovic
et al 米国特許第3496199,349991
2,3956316号明細書)が挙げられる。またステ
ロイド以外の化合物からホモテスロステロンを経てプロ
ゲステロンを合成する手法も知られている(G.Sto
rk et al J.Am. Chem. 1967
89 5464)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テスト
ステロンも天然から大量に産出されず、その大部分はス
テロイド誘導体から半合成されている。また、重要な合
成中間体と成り得るDesA−pregnane−5,
20−dioneの合成に際してステロイドA環部を分
解する必要があるため反応条件が厳しくなり、工業的に
困難な工程が多いという欠点が挙げられる。またホモテ
スロステロンを経てプロゲステロンを合成する場合にお
いてもステロイドD環部の環縮小反応が必要となり、四
酸化オスミウムを用いた酸化など工業的に困難な工程が
存在する。
【0004】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決しようとするものであり、相異なる官能基を持つ
二つの側鎖を有するビシクロ[4,3,0]ノナン骨格
を鎖状化合物から一段階で合成し、さらにその相異なる
官能基を用いてB環部を閉環し、プロギステロンの中間
体であるDesA−pregnane−5,20−di
oneが容易に得られるようにすることを目的とする。
また10位のメチル基の立体化学はA環導入の際、エノ
−ル化し、その立体化学はどちらでも問題ないことが知
られている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、シトラ−ル
誘導体から容易に合成できる式(3)(式中、R1 はト
リアルキルシリル基又はジアリ−ルアルキルシリル基で
あり、X1 はラジカル脱離基である。)の鎖状化合物が
水素化トリアルキル錫または水素化トリアリ−ル錫と反
応して一段階で相異なる官能基を持つ二つの側鎖を有す
るビシクロ[4,3,0]ノナン骨格を与え、さらにそ
の二つの側鎖からB環部を閉環し、プロギステロンの中
間体であるDesA−pregnane−5,20−d
ioneを与えることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0006】すなわち本発明は、式(1)の化合物の製
造方法において、前述の式(3)の化合物から式(2)
の化合物を経由し、式(1)の化合物を得ることを特徴
とする製造方法に関する。以下、ゲラニオ−ルから容易
に得られる式(7)の化合物を出発物質として使用し、
式(1)の化合物の合成を化合物(3)のXがヨウ素原
子、化合物(6)のXがトシラ−ト基である場合を例に
とり、以下の反応スキ−ムに従って説明する。
【0007】
【化26】
【0008】
【化27】
【0009】工程a まずゲラニオ−ルから容易に得ることができる式(7)
の化合物にアルキル酢酸を付加させ、式(6)で表され
る化合物を形成する。この付加反応を行うに際し、アル
キル酢酸の量は1モル倍以上あれば良く、特に2モル倍
程度が好ましい。また塩基としては、アルカリ金属アミ
ド化合物を使用することができ、例えばリチウムジイソ
プロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド
などを用いることが好ましい。塩基の使用量は、式
(7)の化合物の1−20倍モルとすることが好まし
く、特に収率の点から1−10倍モルとすることが好ま
しい。この反応では溶媒としてテトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサンなどのエ−テル類、トルエンなどの
芳香族炭化水素類、ヘキサンなどの炭化水素類、あるい
はそれらの混合溶媒を使用することができる。溶媒の使
用量としては、式(7)の化合物の使用量を1mmol
とした場合に、式(7)の化合物を溶解させるために
0.5−25ml、塩基を溶解させるために1−50m
l、アルキル酢酸を溶解させるために0.1−5ml程
度となる。なお、この反応は通常、−100℃から0℃
の間で行う。また反応時間は反応温度や塩基の量により
異なるが、通常式(7)の化合物の滴下終了後30分行
う。
【0010】工程b 工程aで得られた式(7)の化合物のエステル部位を還
元し、式(8)の化合物を形成する。この還元反応を行
うに際し、還元剤として水素化金属化合物を使用するこ
とができ、なかでも水素化リチウムアルミニウムを用い
ることが好ましい。還元剤の使用量は式(7)の化合物
の少なくとも0.5倍モルとすることが好ましい。この
反応では溶媒としてテトラヒドロフラン、1,4−ジオ
キサンなどのエ−テル類、トルエンなどの芳香族炭化水
素類、ヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロエタンなど
のハロゲン系炭化水素類、あるいはそれらの混合溶媒を
使用することができる。またこの反応は通常−80℃か
ら50℃の温度で行うが、特に好ましくは−20℃から
10℃の温度で行う。反応時間は、反応温度などにより
異なるが、通常1時間程度とする。
【0011】工程c 工程bで得られた式(8)の化合物の一級水酸基をトリ
アルキルシリル基にて保護する。この反応を行うに際
し、塩化トリアルキルシリルとして塩化第三ブチルジメ
チルシリル、塩化第三ブチルジフェニルシリル、塩化ト
リエチルシリルなどが好ましく、また塩化トリアルキル
シリルの量は式(8)の化合物の1倍モル以上あれば良
い。塩基としてピリジン、トリエチルアミン、イミダゾ
−ルなどの含窒素化合物等を使用できる。塩基の使用量
は通常、用いた塩化トリアルキルシリルの1−5倍モル
とすることが好ましい。この反応では溶媒としてテトラ
ヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエ−テル類、
トルエンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサンなどの炭化
水素類、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、
あるいはそれらの混合溶媒を使用することができる。ま
たこの反応は通常−20℃から50℃の温度で行うが、
特に好ましくは0℃から40℃の温度で行う。反応時間
は、反応温度などにより異なるが、通常2時間程度とす
る。
【0012】工程d 工程cで得られた式(9)の化合物に式(18)で表さ
れる環状オルトエステル体を反応させ、クライゼン転位
を行って式(10)の化合物を形成する。このクライゼ
ン転位反応を行うに際し、環状オルトエステル体の量は
式(9)の化合物の1モル倍以上であればよく、特に5
モル倍程度が好ましい。酸触媒としてはp−トルエンス
ルホン酸、ヘプタン酸等の有機酸を用いることができ
る。溶媒としては、塩化メチレン、ジクロロエタンなど
のハロゲン系炭化水素類、ヘキサンなどの炭化水素類、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチル
エ−テルなどのエ−テル類などを用いることができ、特
に好ましくはキシレンを用いることができる。反応温度
は100℃以上が好ましく、特に160℃付近が好まし
い。反応時間は反応温度などにより異なるが、通常3時
間程度とする。
【0013】工程e 工程dで得られた式(10)の化合物にメチルリチウム
を反応させて、ラクトン環部分の開環を伴いながら式
(11)で表される化合物を形成する。この反応におい
ては、溶媒としてヘキサンなどの炭化水素類、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエ−テ
ルなどのエ−テル類などを用いることができ、特に好ま
しくはテトラヒドロフランを用いることができる。メチ
ルリチウムの使用量は、式(10)の化合物の1モル倍
程度が好ましい。反応温度は通常−100℃から30℃
とするが、好ましくは−78℃とする。反応時間は反応
温度により異なるが、通常1時間程度とする。
【0014】工程f 工程eで得られた式(11)の化合物を塩基性条件下、
ホスフィン類、及びヨウ素と反応させて、その水酸基を
ヨウ素に置換し、また酸性条件下にて引続きアセタ−ル
を除去し、式(3)の化合物を形成する。この置換反応
においては、溶媒として塩化メチレン、ジクロロエタン
などのハロゲン系炭化水素類、ヘキサンなどの炭化水素
類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などを
用いることができ、特に好ましくはベンゼンを用いるこ
とができる。ホスフィン類としては、トリフェニルホス
フィンなどのアリ−ルホスフィン、トリブチルホスフィ
ンなどのアルキルホスフィンを用いることができ、好ま
しくはトリフェニルホスフィンを用いる。ホスフィンの
使用量は、式(11)の化合物の1モル倍以上あればよ
く、通常2モル倍から3モル倍の範囲が好ましい。
【0015】塩基としてピリジン、トリエチルアミン、
イミダゾ−ルなどの含窒素化合物等を使用できる。塩基
の使用量は、式(11)の化合物の1モル倍以上あれば
よく、通常2モル倍から3モル倍の範囲が好ましい。ヨ
ウ素の使用量は、式(11)の化合物の1モル倍以上あ
ればよく、通常2モル倍から3モル倍の範囲が好まし
い。反応温度は使用するホスフィンなどにより異なる
が、通常−30℃から50℃とするが、好ましくは0℃
とする。反応時間は反応温度により異なるが、通常20
分程度とする。引き続く加水分解においては、溶媒とし
てテトラヒドロフランなどのエ−テル類、アセトニトリ
ルなどのニトリル系溶媒、メタノ−ルなどのアルコ−ル
類、あるいはそれらの混合溶媒を用いることができる。
用いる酸として、酢酸,酪酸などの有機酸、塩酸、硫酸
などの無機酸などを挙げることができ、好ましくは酢酸
を用いる。反応温度は使用する酸などにより異なるが、
通常−30℃から50℃とし、好ましくは0℃とする。
反応時間は反応温度により異なるが、通常1時間程度と
する。
【0016】工程g 工程fで得られた式(3)の化合物に、ラジカル開始剤
の存在下でラジカル発生剤として水素化トリアルキル錫
または水素化トリアリ−ル錫を反応させてラジカル閉環
反応を行うことにより、式(2)の化合物を形成する。
このラジカル閉環反応においては、反応溶媒としてヘキ
サンなどの炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香
族炭化水素類などを用いることができ、特に好ましくは
ベンゼンを用いることができる。ラジカル発生剤として
は、水素化トリブチル錫などの水素化トリアルキル錫、
または水素化トリフェニル錫などの水素化トリアリ−ル
錫を使用する。好ましくは水素化トリブチル錫を使用す
ることができる。ラジカル発生剤の使用量は、式(3)
の化合物の1モル倍以上あればよく、通常2モル倍から
3モル倍の範囲が好ましい。ラジカル開始剤としてアゾ
ビスイソブチルニトリルなどが用いられる。ラジカル開
始剤の量は触媒量で良いが、通常0.5モル倍程度用い
る。反応温度は50℃から200℃の範囲で行うのが好
ましく、通常60℃から100℃で行う。
【0017】工程h 工程gで得られた式(2)の化合物のカルボニル基にシ
アノヒドリン化剤を作用させ、引き続く酸処理によりシ
リル基を除去し、式(12)の化合物を形成する。まず
シアノヒドリン化において使用するシアノヒドリン化剤
としては、シアン化水素、トリメチルシリルニトリルな
どを用いることができる。なかでも、収率の点からトリ
メチルシリルニトリルを使用することが好ましい。その
使用量は式(2)の化合物の1モル倍以上あればよく、
特に2から20倍モルとすることが好ましい。なお、こ
の反応においては、触媒としてシス−ジシクロヘキサノ
−18−クラウンー6−シアン化カリウム錯体などのク
ラウンエ−テル類のシアン化カリウム錯体あるいはヨウ
化亜鉛などの亜鉛ハロゲン化物を使用することが好まし
い。特に収率の点からヨウ化亜鉛を使用することが好ま
しい。またこの反応は、通常−20℃から50℃の温度
で行う。反応時間は、反応温度や触媒の量などにより異
なるが、通常1時間程度とする。
【0018】次にシアノヒドリン化が終了した反応液に
酸を加え、一級水酸基の保護基であるトリアルキルシリ
ル基を除去し、式(12)の化合物を形成する。なお、
シアノヒドリン化剤としてトリメチルシリルニトリルを
使用した場合、水酸基に付加したトリメチルシリル基も
酸により同時に除去される。その際、反応系にテトラヒ
ドフランなどのような水に可溶な溶媒を使用することが
好ましい。また使用する酸としては硝酸、硫酸、塩酸な
どの鉱酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を使用
することができる。なかでも、塩酸を使用することが好
ましい。
【0019】工程i 工程gで得られた式(12)の化合物の一級水酸基を脱
離基であるトシラ−ト基に変換し、式(13)の化合物
を形成する。この反応を行うに際し、p−トルエンスル
ホニルクロリドの量は式(12)の化合物の1倍モル以
上あれば良い。塩基としてピリジン、トリエチルアミ
ン、イミダゾ−ルなどの含窒素化合物等を使用できる。
特にピリジンを使用することが好ましい。塩基の使用量
は通常、用いたp−トルエンスルホニルクロリドの1−
5倍モルとすることが好ましい。この反応では溶媒とし
てテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエ−
テル類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサンな
どの炭化水素類、ジクロロエタンなどのハロゲン系炭化
水素類、あるいはそれらの混合溶媒を使用することがで
きるが、塩化メチレンが好ましい。またこの反応は通常
−20℃から50℃の温度で行うが、通常−20℃から
40℃の温度で行う。反応時間は、反応温度などにより
異なるが、通常24時間程度とする。
【0020】工程j 工程iで得られた式(13)の化合物の水酸基に酸触媒
の存在下でエチルビニルエ−テルを反応させて、水酸基
がエトキシエチル基で保護された構造の式(5)の化合
物を形成する。この反応において、エチルビニルエ−テ
ルの使用量は式(13)の化合物の1から20倍モルと
することが好ましく、特に1から10モル倍とすること
が好ましい。触媒としては,p−トルエンスルホン酸な
どの有機酸を使用することができ、特に、収率の点から
p−トルエンスルホン酸ピリジニウムを使用することが
好ましい。この反応では、溶媒として塩化メチレンジク
ロロエタンなどのハロゲン系炭化水素類、ベンゼン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサンなどの炭化水
素類あるいはそれらの混合溶媒を使用することができ
る。特にベンゼンを使用することが好ましい。またこの
反応は、通常、0℃から50℃の温度で行うが、特に好
ましくは20℃から30℃の温度で行う。反応時間は反
応温度や塩基の量などにより異なるが、通常1時間程度
とする。
【0021】工程k 工程jで得られた式(5)の化合物を塩基の存在下で閉
環して式(4)の化合物を形成する。この閉環反応で使
用する塩基としては、アルカリ金属アミド化合物を使用
することができ、例えば、リチウム(トリメチルシリ
ル)アミド、ナトリウム(トリメチルシリル)アミド、
カリウム(トリメチルシリル)アミドを用いることが好
ましい。塩基の使用量は、式(5)の化合物の1から1
00倍モルとすることが好ましく、特に収率の点から2
0から50倍モルとすることが好ましい。この反応で
は、溶媒としてテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ンなどのエ−テル類、トルエンなどの芳香族炭化水素
類、ヘキサンなどの炭化水素類あるいはそれらの混合溶
媒を使用することができる。特にテトラヒドロフランが
好ましい。なおこの反応は、通常0℃から150℃の温
度範囲で行う。また、反応時間は、反応温度や塩基の量
などにより異なるが、式(5)の化合物の滴下終了後、
通常1時間行う。
【0022】工程l 工程kで得られた式(4)の化合物の水酸基の保護基で
あるエトキシエチル基を酸の存在下で除去して式(1
4)の化合物を形成する。この反応において使用する酸
としては、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を使用
することができる。特に、収率の点からp−トルエンス
ルホン酸ピリジニウムを使用することが好ましい。この
反応では、溶媒として、メタノ−ルなどの低級アルコ−
ルを使用することができる。また、この反応は、通常、
0℃から100℃の温度で行うが、好ましくは20℃か
ら30℃の温度で行う。反応時間は、反応時間は、反応
温度や酸の量などにより異なるが、通常24時間程度と
する。
【0023】工程m 工程lで得られた式(14)の化合物のニトリル基を塩
基で加水分解することにより式(1)とその立体異性
体、式(15)、式(16)、式(17)で表される化
合物が得られる。この反応で使用する塩基としては、水
酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いるこ
とができる。この反応では、溶媒としてテトラヒドフラ
ンなどのような水に可溶な溶媒を使用することが好まし
い。また、この反応は、通常、0℃から100℃の温度
で行うが、好ましくは20℃から30℃の温度で行う。
反応時間は、反応温度や塩基の量により異なるが、通常
3時間程度とする。
【0024】工程n 最後に、工程mで得られた式(15)の化合物の混合物
を異性化し、式(1)と式(16)の化合物へと変換す
る。この反応で使用する塩基としては、炭酸カリウムな
どのアルカリ金属炭酸化物を用いることができる。この
反応では、溶媒としてテトラヒドフランなどのような水
に可溶な溶媒を使用することが好ましい。また、この反
応は、通常、0℃から100℃の温度で行うが、好まし
くは20℃から30℃の温度で行う。反応時間は、反応
温度や塩基の量により異なるが、通常5日程度とする。
【0025】以上、本発明の式(1)のDesA−pr
egnane−5,20−dioneの新規な合成法に
ついて説明したが、その中で説明した式(7)を除く式
(2)から式(14)の化合物はいずれも新規なもので
あり、いずれもステロイド類BCD環となるDesA−
pregnane−5,20−dioneの合成中間体
として非常に有用なものである。
【0026】
【作用】本発明においては、DesA−pregnan
e−5,20−dioneを容易に合成できる式(7)
の化合物から比較的短い工程で容易に得ることができ
る。従って、天然から少量しか産出されないステロイ
ド、ならびに天然から産出することのできないステロイ
ドを合成する際に、重要な中間体となり得るDesA−
pregnane−5,20−dioneを合成する場
合に本発明は特に有利に適用することができる。
【0027】
【実地例】以下、本発明を実地例に従って具体的に説明
する。
【0028】実施例1 (工程a)ジイソプロピルアミン2.95mlとテトラ
ヒドロフラン62mlを反応容器に仕込み、溶解させ
た。この溶液を0℃に冷却し、1.70規定ノルマルブ
チルリチウム−ヘキサン溶液10.9mlを滴下し、4
0分撹拌した。この反応混合物を−78℃に冷却した
後、酢酸エチル2.05mlをテトラヒドロフラン3.
2mlに溶解したものを滴下し、60分撹拌した。この
後、この混合物の中に式(7)の化合物2.60gをテ
トラヒドロフラン16mlに溶解したものを15分かけ
て滴下し、−78℃で30分撹拌した。
【0029】反応終了後、反応液を室温に戻し、飽和塩
化アンモニウム水溶液に注ぎ込んでジエチルエーテルで
抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和食塩水に
より洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。固
形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、油状の
粗生成物を3.63g得た。この油状化合物は以下の同
定データにより式(6)の化合物であることが判明し
た。
【0030】同定データ IR(cm-1):3460,2974,1732,14
44,1370,1264,1152,1068,94
7,856,756; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
5.56(t,1H,J=6.6Hz),5.17
(d,1H,J=8.6Hz),5.06(s,1
H),4.76(bs,1H),4.15(q,2H,
J=6.9),3.85−4.01(m,4H),2.
53(dd,1H,J=8.3Hz,J=16.2H
z),2.43(dd,1H,J=4.6Hz,J=1
6.2Hz),2.02−2.23(m,4H),1.
68(s,3H),1.58(s,3H),1.25
(t,3H,J=7.3Hz)。
【0031】実施例2 (工程b)実施例1で得られた式(6)の化合物3.6
3gとテトラヒドロフラン120mlを反応容器に仕込
み、溶解させた。この溶液を0℃に冷却し、水素化リチ
ウムアルミニウム467.4mgを添加し、60分撹拌
した。
【0032】反応終了後、反応液に飽和硫酸ナトリウム
水溶液を注ぎ込み、これを無水硫酸マグネシウムにより
乾燥した。固形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶媒を留
去し、油状の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(80%酢酸エチル−ヘキサン溶
液)で精製し、油状化合物1.36gを得た。この油状
化合物は以下の同定データにより式(8)の化合物であ
ることが判明した。(収率43%(2工程))
【0033】同定データ IR(cm-1):3398,2920,1068; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
5.55(t,1H,J=6.5Hz),5.19
(d,1H,J=8.6Hz),5.06(s,1
H),4.58(ddd,1H,J=4.6Hz,8.
3Hz,8.3Hz),3.86−4.12(m,4
H),3.74−3.80(m,2H),2.02−
2.24(m,6H),1.66(s,3H),1.5
8(s,3H); 13C−NMR(67.8MHz,
CDCl3,ppm):137.27,132.66,
131.26,128.33,107.74,68.3
7,65.33,63.75,61.11,39.0
1,38.56,25.62,16.44,10.7
8。
【0034】実施例3 (工程c)実施例2で得られた式(8)の化合物1.3
6gとジクロロメタン25mlを反応容器に仕込み、溶
解させた。この溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン
2.2mlと第三ブチルジメチルシリルクロリド87
9.1mgを添加し、0℃にて30分、室温にて2時間
撹拌した。
【0035】反応終了後、反応液を水に注ぎ込んでジエ
チルエーテルで抽出した。得られたジエチルエーテル層
を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムによ
り乾燥した。固形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶媒を
留去し、油状の粗生成物を得た。これをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(12%酢酸エチル−ヘキサン溶
液)で精製し、油状化合物1.36gを得た。この油状
化合物は以下の同定データにより式(9)の化合物であ
ることが判明した(収率69%)。
【0036】同定データ IR(cm-1):3448,2924,2854,12
53,1071,836,777,757; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
5.59(t,1H,J=6.4Hz),5.20(d
d,1H,J=1.2Hz,J=8.4Hz),5.0
7(s,1H),4.57(bs,1H),3.85−
4.02(m,4H),3.71−3.87(m,2
H),2.93(s,1H),2.01−2.24
(m,4H),1.56−1.84(m,2H,j),
1.66(d,3H,J=1.2),1.59(s,3
H),0.89(s,9H),0.06(s,6H);
13C−NMR(67.8MHz,CDCl3,pp
m):136.99,132.48,131.19,1
28.26,107.77,67.92,65.40,
65.35,61.72,39.37,38.70,2
5.94,18.22,16.54,10.09,−
5.41。
【0037】実施例4 (工程d)実施例3で得られた式(9)の化合物1.3
6gとキシレン7mlとを反応器に仕込み、溶解させ
た。この溶液に式(18)の化合物1.21gと触媒量
のヘプタン酸とを添加し、160℃にて60分撹拌し
た。この後、反応系中に発生したエタノールをキシレン
とともに留去した。この溶液に再び式(18)の化合物
1.21gと触媒量のヘプタン酸とを加え、160℃で
60分撹拌した。さらにもう一度、反応系中に発生した
エタノールをキシレンとともに留去したうえで、再び式
(18)の化合物1.21gと触媒量のヘプタン酸とを
加え、160℃で60分撹拌した。
【0038】反応終了後、反応液を室温に戻し、飽和重
曹水に注ぎ込んでジエチルエーテルで抽出した。得られ
たジエチルエーテル層を飽和食塩水により洗浄後、無水
硫酸マグネシウムにより乾燥した。固形物をろ別後、ろ
液から減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢
酸エチル−ヘキサン溶液)で精製し、油状化合物97
7.5mgを得た。この油状化合物は以下の同定データ
により式(10)の化合物であることが判明した。な
お、この化合物のジアステレオマー比は4:1であった
(収率61%)。
【0039】同定データ IR(cm-1):2926,2854,1765,10
99,836,777; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
5.40−5.66(m,3H),5.07(s,1
H),4.03−4.25(m,2H),3.87−
4.03(m,4H),3.62(t,2H,J=6.
8Hz),2.36−2.52(m,1H),2.31
−1.84(m,6H),1.73−1.57(m,2
H),1.60及び1.57(各々s、トータル3
H),0.89(s,9H),0.04(s,6H)。
【0040】実施例5 (工程e)実施例4で得られた式(10)の化合物78
7.7mgとテトラヒドロフラン18mlを反応容器に
仕込み、溶解させた。この溶液を−78℃に冷却し、
1.10規定メチルリチウム−ジメチルエーテル溶液
3.8を滴下し、70分撹拌した。
【0041】反応終了後、反応液を室温に戻し、飽和塩
化アンモニウム水溶液に注ぎ込んでジエチルエーテルで
抽出した。得られたジエチルエーテル層を飽和食塩水に
より洗浄後、無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。固
形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、油状の
粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(20%酢酸エチル−ヘキサン溶液)で精製し、
油状化合物569.1mgを得た。この油状化合物は以
下の同定データにより式(11)の化合物であることが
判明した(収率70%)。
【0042】同定データ IR(cm-1):3464,2926,2854,17
04,1380,1357,1253,1099,83
6,777,757; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
5.25−5.57(m,3H),5.05(s,1
H),3.86−4.03(m,4H),3.50−
3.64(m,4H),2.59−2.69(m,1
H),2.19及び2.13(各々s,トータル3
H),1.58(s,3H),1.01及び0.99
(各々s,トータル3H),0.88(s,9H),
0.03(s,6H),1.09−2.29(m,8
H)。
【0043】実施例6 (工程f)実施例5で得られた式(11)の化合物32
4.5mgとベンゼン7mlとを反応容器に仕込み、溶
解させた。この溶液を0℃に冷却し、イミダゾール12
4.1mgとトリフェニルホスフィン454.4mgと
を添加した。この反応混合物に、ヨウ素266.3mg
を添加し、0℃にて20分撹拌した。
【0044】反応終了後、反応液を飽和チオ硫酸ナトリ
ウム水溶液に注ぎ込み、ジエチルエーテルで抽出した。
得られたジエチルエーテル層を飽和重曹水、飽和食塩水
で順次洗浄した。これを無水硫酸マグネシウムにより乾
燥した。この得られた粗精製物を反応容器に仕込み0℃
に冷却した。その後、テトラヒドロフラン、酢酸、水の
4:1:1混合溶媒を添加し、0℃にて60分撹拌し
た。反応終了後、反応液を室温に戻し、飽和重曹水に注
ぎ込んでジエチルエーテルで抽出した。得られたジエチ
ルエーテル層を飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグ
ネシウムにより乾燥した。固形物をろ別後、ろ液から減
圧下で溶媒を留去し、油状の粗精製物を得た。これをシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル
−ヘキサン溶液)で精製し、油状化合物220.5mg
を得た。この油状化合物は以下の同定データにより式
(3a)および(3b)の化合物の4:1の混合物であ
ることが判明した(収率59%(2工程))。
【0045】同定データ (式(3a)の化合物) IR(cm-1):2924,2852,1685,12
52,1099,835,758; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
9.38(s,1H),6.42(t,1H,J=6.
3Hz),5.52(d,1H,J=15.8Hz),
5.38(dt,1H,J=6.6Hz,J=15.8
Hz),3.63(t,2H,J=6.6Hz),3.
22(ddd,1H,J=4.0Hz,J=6.6H
z,J=9.9Hz),2.86(ddd,1H,J=
5.9Hz,J=9.9H,J=10.2Hz),2.
79−2.84(m,1H),2.10−2.34
(m,5H),1.78−1.91(m,1H),1.
56−1.67(m,1H),1.38−1.48
(m,1H),1.72(s,3H),1.04(s,
3H),0.88(s,9H),0.04(s,6
H);13C−NMR(67.8MHz,CDCl3,
ppm):211.53,195.14,154.3
1,139.44,136.61,127.43,6
3.03,61.34,41.68,37.80,3
6.51,35.32,31.44,26.03,2
4.00,19.42,18.43,9.30,5.2
8,−5.15。
【0046】(式(3b)の化合物) IR(cm-1):2948,2854,1688,13
57,1253,1100,835,777;1H−N
MR(270MHz,CDCl3,ppm):9.37
(s,1H),6.42(t,1H,J=7.6H
z),5.46(dt,1H,J=6.6Hz,J=1
5.8Hz),5.31(d,1H,J=15.8H
z),3.65(t,2H,J=6.6),3.19
(ddd,1H,J=4.3Hz,J=6.9Hz,J
=10.2Hz),2.86(ddd,1H,J=5.
94Hz,J=10.22Hz,J=10.22H
z),2.76(dd,1H,J=2.48Hz,J=
11.1Hz),2.25(s,3H),2.07−
2.32(m,5H),1.80−1.92(m,1
H),1.71(d,3H,J=0.7Hz),1.5
4−1.65(m,1H),1.37−1.49(m,
1H),1.06(s,3H),0.89(s,9
H),0.05(s,6H); 13C−NMR(67.8MHz,CDCl3,pp
m):211.90,195.16,154.31,1
39.42,137.15,127.81,63.1
4,61.54,42.35,37.64,36.4
7,35.18,31.94,26.09,25.9
8,25.85,24.22,19.28,18.4
3,9.32,5.12,−5.11。
【0047】実施例7 (工程g)実施例6で得られた式(3a)と(3b)の
化合物の混合物220.5mgとベンゼン20mlとを
反応容器に仕込み、溶解させた。この混合物を加熱還流
させながら、その中に水素化トリブチル錫0.22ml
とアゾビスイソブチロニトリル22.9mgをベンゼン
12mlに溶解したものを1時間かけて滴下した。
【0048】反応終了後、反応を室温に戻し反応液から
減圧下で溶媒を留去した。得られた残差をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(4%酢酸エチル−ヘキサン溶
液)で精製し、油状化合物154.8mgを得た。この
油状化合物は以下の同定データにより式(2a)と(2
b)の化合物の4:1の混合物であることが判明した
(収率93%)。
【0049】同定データ (式(2a)の化合物) IR(cm-1):2926,2852,1703,12
54,1093,836,777; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
9.82(d,1H,J=1.0Hz),3.55−
3.69(m,2H),2.81(dd,1H,J=
2.3Hz,J=8.3Hz),2.72−2.80
(m,1H),2.12(s,3H),1.14−1.
94(m,13H),1.08(d,3H),0.90
(s,3H),0.88(s,9H),0.04(s,
6H); 13C−NMR(67.8MHz,CDCl3,pp
m):212.71,205.90,61.07,4
9.37,46.64,45.89,44.81,3
5.56,35.11,34.32,32.97,2
9.79,26.95,26.10,24.36,2
4.27,20.59,18.45,12.16,−
5.13。
【0050】(式(2b)の化合物) 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
9.83(s,1H),3.54−3.69(m,2
H),2.74(bs,1H),2.52(t,1H,
J=8.7Hz),1.98−2.24(m,2H),
2.12(s,3H),1.21−1.78(m,11
H),0.88(s,9H),0.62(s,3H),
0.04(s,3H)。
【0051】実施例8 (工程h)実施例7で得られた式(2a)と(2b)の
化合物の混合物116.3mgを反応容器に仕込み、0
℃に冷却した。その中にトリメチルシリルニトリル0.
275mlと触媒量のヨウ化亜鉛を添加し、0℃で60
分撹拌した。その後、この混合物の中にテトラヒドロフ
ラン2.5mlと0.1規定塩酸0.3mlを添加し、
0℃で150分撹拌した。
【0052】反応終了後、反応液を飽和食塩水に注ぎ込
み、ジエチルエーテルで抽出した。得られたジエチルエ
ーテル層を無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。固形
物をろ別後、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、油状の粗
生成物132.4mgを得た。この油状化合物は以下の
同定データにより式(12)の化合物であることが判明
した。
【0053】同定データ IR(cm-1):3424,2940,2248,16
93,1452,1378,1044,910,73
4; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
4.54−4.63(m,1H),3.58−3.78
(m,2H),2.67−2.85(m,1H),0.
85−2.25(m,23H)。
【0054】実施例9 (工程i)実施例8で得られた式(12)の化合物13
2.4mgとジクロロメタン3mlを反応容器に仕込
み、溶解させた。この溶液を0℃に冷却し、ピリジン
0.145mlとパラトルエンスルホニルクロリド11
9.2mgを添加し、0℃にて80分、室温で1日撹拌
した。
【0055】反応終了後、反応液を1規定塩酸に注ぎ込
んでジエチルエーテルで抽出した。得られたジエチルエ
ーテル層を飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した。こ
れを無水硫酸マグネシウムにより乾燥した。固形物をろ
別後、ろ液から減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物
を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(10%酢酸エチル−ヘキサン溶液)で精製し、油状化
合物69.5mgを得た。この油状化合物は以下の同定
データにより式(13)の化合物であることが判明した
(収率51%(3工程))。
【0056】同定データ IR(cm-1):3436,2938,1696,15
95,1452,1358,1188,1175,10
96,960,815,757,666,555; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
7.90−7.80(m,2H),7.35−7.42
(m,2H),4.35−4.51(m,1H),3.
92−4.13(m,2H),2.78−2.85
(m,1H),2.44(s,3H),0.79−2.
27(m,20H),2.10(s,3H)。
【0057】実施例10 (工程j)実施例9で得られた式(13)の化合物6
9.5mgとベンゼン2mlを反応容器に仕込み、溶解
させた。この溶液を0℃に冷却し、エチルビニルエーテ
ル0.065mlと触媒量のピリジニウムパラトルエン
スルホネイトを添加し、室温にて1日撹拌した。
【0058】反応終了後、反応液を飽和重曹水に注ぎ込
んでジエチルエーテルで抽出した。得られたジエチルエ
ーテル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム
により乾燥した。固形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶
媒を留去し、油状の粗生成物を得た。これをシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキサ
ン溶液)で精製し、油状化合物65.5mgを得た。こ
の油状化合物は以下の同定データにより式(5の化合物
であることが判明した(収率81%)。
【0059】同定データ IR(cm-1):2934,2248,1699,15
96,1451,1360,1176,1095,95
7,815,734,665,554; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
7.78−7.89(m,2H),7.33−7.40
(m,2H),4.73−5.15(m,1H),4.
47−4.78(m,1H),3.89−4.78
(m,2H),3.44−3.69(m,2H),2.
75−2.82(m,1H),2.44(s,3H),
0.76−2.29(m,20H),2.13(s,3
H)。
【0060】実施例11 (工程k)ヘキサメチルジシラザン0.50mlとテト
ラヒドロフラン4mlを反応容器に仕込み、溶解させ
た。この溶液を0℃に冷却し、1.70規定ノルマルブ
チルリチウム−ペンタン溶液を滴下し、60分撹拌し
た。この反応混合物を加熱還流させながら、その中に実
施例10で得られた式(5)の化合物48.2mgをテ
トラヒドロフラン3mlに溶解したものを30分かけて
滴下し、還流下30分撹拌した。反応終了後、反応液を
室温に戻し、飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ込んで
ジエチルエーテルで抽出した。得られたジエチルエーテ
ル層を飽和食塩水により洗浄後、無水硫酸マグネシウム
により乾燥した。固形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶
媒を留去し、油状の粗生成物を得た。これをシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(100%ジエチルエーテル
溶液)で精製し、油状化合物32.1mgを得た。この
油状化合物は以下の同定データにより式(4)の化合物
であることが判明した。(収率98%)
【0061】同定データ IR(cm-1):2932,2226,1702,14
45,1381,1138,1075,1053,95
5,789,763; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
5.00−5.14(m,1H),3.43−3.73
(m,2H),2.50−2.83(m,1H),0.
82−2.32(m,31H)。
【0062】実施例12 (工程l)実施例11で得られた式(4)の化合物3
2.1mgとメタノール2mlを反応容器に仕込み、溶
解させた。この溶液を0℃に冷却し、触媒量のピリジニ
ウムパラトルエンスルホネイトを添加し、0℃にて20
分、室温にて1日撹拌した。
【0063】反応終了後、反応液を飽和重曹水に注ぎ込
んでジエチルエーテルで抽出した。得られたジエチルエ
ーテル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム
により乾燥した。固形物をろ別後、ろ液から減圧下で溶
媒を留去し、油状の粗生成物23.0mgを得た。この
油状化合物は以下の同定データにより式(14)の化合
物であることが判明した。
【0064】同定データ 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
2.79−2.83(m,1H),0.84−2.38
(m,26H)。
【0065】実施例13 (工程m)実施例12で得られた式(14)の化合物2
3.0mgとテトラヒドロフラン2mlを反応容器に仕
込み、溶解させた。この溶液を0℃に冷却し、2%水酸
化ナトリウム水溶液1mlを添加し、室温にて3時間分
撹拌した。
【0066】反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウ
ム水溶液に注ぎ込んでジエチルエーテルで抽出した。得
られたジエチルエーテル層を飽和食塩水で洗浄後、無水
硫酸マグネシウムにより乾燥した。固形物をろ別後、ろ
液から減圧下で溶媒を留去し、油状の粗生成物を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100%
ジエチルエーテル溶液)で精製し、油状化合物19.7
mgを得た。この油状化合物を更に高速液体クロマトグ
ラフィ−で分離精製したところ、4種類の油状化合物の
混合物であることが判明した。これらの油状化合物は以
下の同定データにより式(15)、(16)、(17)
および(1)の化合物の16:4:4:1の混合物であ
ることが判明した(収率85%(2工程))。
【0067】同定データ (式(15)の化合物) IR(cm-1):2930,1702,1357,11
63,755; 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
2.81−2.85(m,1H),2.31−2.56
(m,2H),2.13(s,3H),2.19−2.
26(m,1H),1.18−2.04(m,13
H),1.10(d,3H,J=7.3Hz),0,9
7(s,3H); 13C−NMR(67.8MHz,CDCl3,pp
m):215.61,212.66,61.00,4
9.36,48.92,46.10,45.94,3
7.35,34.78,33.49,32.95,3
1.89,25.92,25.28,24.43,2
0.77,12.34。
【0068】(式(16)の化合物) 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
2.82−2.87(m,1H),2.13(s,3
H),1.00(s,3H)0.99(d,3H,J=
6.6Hz),1.15−2.46(m,16H)。
【0069】(式(17)の化合物) 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
2.56(t,1H,J=8.9Hz),2.13
(s,3H),1.12(d,3H,J=7.3H
z),0.69(s,3H),1.17−2.54
(m,16H)。
【0070】(式(1)の化合物) 1H−NMR(270MHz,CDCl3,ppm):
2.55(t,1H,8.9Hz),2.13(s,3
H),1.02(d,3H,J=6.6Hz),0.7
1(s,3H),1.16−2.48(m,16H)。
【0071】実施例14 (工程n)実施例13で得られた式(15)の化合物
3.1mgとメタノール1mlを反応容器に仕込み、溶
解させた。この溶液に、炭酸カリウム37.7mgを添
加し、5日間撹拌した。
【0072】反応終了後、反応液をジエチルエーテルで
希釈した後、固形物をろ別した。このろ液から減圧下で
溶媒を留去し、油状の粗生成物を得た。これをシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル−ヘキ
サン溶液)で精製し、油状化合物2.6mgを得た。こ
の油状化合物を更に高速液体クロマトグラフィ−で分離
精製したところ2種の混合物であることが判明した。こ
れら油状化合物は先の同定データにより式(16)及び
(1)の化合物の1:5.5の比の混合物であることが
判明した。(収率79%)
【0073】
【発明の効果】本発明においては、DesA−preg
nane−5,20−dioneを容易に合成できる式
(7)の化合物から比較的短い工程で容易に得ることが
できる。従って、天然から少量しか産出されないステロ
イド、ならびに天然から産出することのできないステロ
イドを合成する際に、重要な中間体となり得るDesA
−pregnane−5,20−dioneを合成する
場合に本発明は特に有利に適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/738 9546−4H C07C 69/738 Z 255/31 255/31 C07F 7/18 C07F 7/18 A C07J 1/00 C07J 1/00

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(5) 【化1】 (式中、R4 はアルコキシアルキル基又はトリアルキル
    シリル基であり、X2 は脱離基である。)の化合物を閉
    環反応させ、得られる式(4) 【化2】 (式中、R4 は式(5)に定義されたとおりである。)
    の化合物の保護した水酸基を遊離の水酸基へ変換し、得
    られる式(14) 【化3】 の化合物のシアノヒドリンをアルデヒドへ変換し、最後
    に、得られる式(15) 【化4】 、式(16) 【化5】 、式(17) 【化6】 及び式(1) 【化7】 の化合物の混合物を異性化させることを特徴とする式
    (1)のDesA−pregnane−5,20−di
    oneの製造方法。
  2. 【請求項2】 式(4)及び式(5)におけるR4 がエ
    トキシエチル基であり、式(5)におけるX2 がトシラ
    −ト基である請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 式(5)の化合物が、式(3) 【化8】 (式中、R3 はトリアルキルシリル基又はジアリ−ルア
    ルキルシリル基であり、X1はラジカル保護基であ
    る。)の化合物をラジカル閉環反応させ、得られる式
    (2) 【化9】 (式中、R3 は式(3)に定義されたとおりである。)
    の化合物のアルデヒド部分のシアノヒドリン化と保護基
    の脱離を行い、得られる式(12) 【化10】 の化合物の末端水酸基を脱離基で置換し、得られる式
    (13) 【化11】 (式中、X2 は脱離基である。)の化合物の水酸基を保
    護することにより形成されたものである請求項1〜3に
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 式(2)及び式(3)におけるR3がt
    −ブチルジメチルシリル基であり、式(3)におけるX
    1 がヨウ素原子である請求項1〜3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 以下の反応スキ−ム 【化12】 【化13】 に示すように、式(7)の化合物にアルキル酢酸を付加
    させ、得られる式(6)の化合物を還元し、得られる式
    (8)の化合物の1級水酸基をトリアルキルシリルクロ
    ライドを用いて保護し、得られる式(9)の化合物に
    2,2−ジアルコキシテトラハイドロフランを反応さ
    せ、得られる式(10)の化合物のラクトン部分の開環
    反応させ、得られる式(11)の化合物の末端水酸基を
    ラジカル脱離基で置換すると同時に保護基を除去し、得
    られる式(3)の化合物をラジカル閉環反応させ、得ら
    れる式(2)の化合物のアルデヒド部分のシアノヒドリ
    ン化と保護基の除去を行い、得られる式(12)の化合
    物の末端水酸基を脱離基で置換し、得られる式(13)
    の化合物の水酸基を保護し、得られる式(5)の化合物
    を閉環反応させ、得られる式(4)の化合物の保護した
    水酸基を遊離の水酸基へ変換し、得られる式(14)の
    化合物のシアノヒドリンをアルデヒドへ変換し、最後
    に、得られる式(15)、式(16)、式(17)及び
    式(1)の化合物の混合物を異性化させることを特徴と
    する式(1)のDesA−pregnane−5,20
    −dioneの製造方法。
  6. 【請求項6】 式(6)及び式(7)におけるR1 が環
    状五員環アセタールであり、R2 がエチル基である請求
    項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 式(2) 【化14】 (式中、R3 はトリアルキルシリル基又はジアリールア
    ルキルシリル基である。)の化合物。
  8. 【請求項8】 式(3) 【化15】 (式中、R3 はトリアルキルシリル基又はジアリールア
    ルキルシリル基であり、X1 はラジカル脱離基であ
    る。)の化合物。
  9. 【請求項9】 式(4) 【化16】 (式中、R4 はアルコキシアルキル基又はトリアルキル
    シリル基である。)の化合物。
  10. 【請求項10】 式(5) 【化17】 (式中、R4 はアルコキシアルキル基又はトリアルキル
    シリル基であり、X2 は脱離基である。)の化合物。
  11. 【請求項11】 式(6) 【化18】 (式中、R1 は保護したカルボニル基であり、R2 はア
    ルキル基である。)の化合物。
  12. 【請求項12】 式(8) 【化19】 (式中、R1 は保護したカルボニル基である。)の化合
    物。
  13. 【請求項13】 式(9) 【化20】 (式中、R1 は保護したカルボニル基であり、R3 はト
    リアルキルシリル基である。)の化合物。
  14. 【請求項14】 式(10) 【化21】 (式中、R1 は保護したカルボニル基であり、R3 はト
    リアルキルシリル基である。)の化合物。
  15. 【請求項15】 式(11) 【化22】 (式中、R1 は保護したカルボニル基であり、R3 はト
    リアルキルシリル基である。)の化合物。
  16. 【請求項16】 式(12) 【化23】 の化合物。
  17. 【請求項17】 式(13) 【化24】 (式中、X2 は脱離基である。)の化合物。
  18. 【請求項18】 式(14) 【化25】 の化合物。
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