JPH08243440A

JPH08243440A - ワーク加電式静電塗装装置

Info

Publication number: JPH08243440A
Application number: JP5382095A
Authority: JP
Inventors: Masaharu Matsushita; 下正晴松; Hitoshi Yano; 野仁士矢; Shigeki Fujiwara; 原茂樹藤
Original assignee: Trinity Industrial Corp
Current assignee: Trinity Industrial Corp
Priority date: 1995-03-14
Filing date: 1995-03-14
Publication date: 1996-09-24

Abstract

(57)【要約】【目的】ワークをハンガで吊り下げて搬送しながら当
該ワークに高電圧を印加して静電塗装を行う場合に、ワ
ークが塗装ゾーン内を走行している間中スパークを発生
させずに、且つ、高電圧を印加した状態で移動する距離
より搬送ピッチが短い場合であっても、ワークに確実に
高電圧を印加できるようにすることを目的としている。【構成】コンベア（１）を走行するハンガ（３）は、
案内レール（２）に沿って走行するローラ（７）を配設
した走行ベース（Ｂ）に、ワーク（Ｗ）を吊り下げる下
部フレーム（8D）が絶縁体（10）を介して電気的絶縁状
態に連結されて成り、走行ベース（Ｂ）には、塗装ゾー
ン（Ｚ）内を走行する際に電磁波送信手段（６）から送
信される電磁波を非接触で受信して低電圧を出力する電
源装置（12）と、電源装置（12）から出力された電圧を
所定電圧まで昇圧してワーク（Ｗ）に高電圧を印加する
高電圧発生器（13）が搭載されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、案内レールに沿って走
行するハンガによりワークを吊り下げて搬送しながら当
該ワークに高電圧を印加し、接地側に接続した塗装機か
ら塗料を噴霧して静電塗装を行うワーク加電式静電塗装
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、ハンガに懸吊されて搬送される
自動車ボディ等のワークを静電塗装する場合には、塗料
を噴霧する静電塗装機に−８０〜１２０ｋＶの高電圧を
印加し、ワークをアースして塗装をしていた。この場
合、絶縁性塗料を用いて静電塗装を行うことになるが、
最近では世界的な環境保全運動が高まりを見せ、ハイド
ロカーボン等の公害物質を発生させる有機溶剤の使用規
制が叫ばれてきており、これに呼応して塗装業界におい
ても、シンナー等の有害な有機溶剤を大量に消費する絶
縁性塗料の使用を止めて、無公害な水性塗料による静電
塗装に移行することが推奨されている。

【０００３】しかし、水性塗料等の導電性塗料で静電塗
装する場合には、塗装機に印加した高電圧がリークしな
いように、塗料供給系に絶縁対策を施す必要があるから
（特公昭５５−１１４３６６号，同５６−１４１８６９
号公報参照）、数十色もの塗料を色替して多色塗装を行
う自動車ボディの塗装設備にあっては、各色ごとに夫々
の塗料供給配管や塗料タンク等を絶縁しなければならず
非常に面倒であった。さらに、高電圧が印加された塗料
供給系には塗料供給配管や塗料タンク等の周囲を防護チ
ャンバで囲うなどの安全対策を施す必要もあって、絶縁
対策費や安全対策費が著しく嵩み、設備全体も大型化す
るという問題があった。

【０００４】このため、塗装機に高電圧を印加したり、
塗料供給系に絶縁対策を施したりすることなく水性塗料
を用いて静電塗装を行うことができるように、ハンガに
懸吊されて搬送されるワークに高電圧を印加し、アース
側に接続した塗装機から塗料を噴霧させて塗装を行うワ
ーク加電式静電塗装装置が提案されている（特開昭６４
−７５０７７号公報参照）。これは、図３に示すよう
に、ワークＷを塗装位置に停止させた状態で塗装ブース
の床面に設けられたクランプ３１をワークＷに接触させ
ることにより、当該ワークＷに高電圧が印加されて、塗
装機３２との間に静電場が形成されるので、塗装機３２
に高電圧を印加しなくても静電塗装を行なうことができ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クラン
プ３１は定位置に取り付けられているため、クランプ３
１を介してワークＷに高電圧を印加しようとすると、ワ
ークＷを塗装位置に停止させなければならず、生産効率
が低いという問題があった。ワークＷを搬送しながら塗
装して生産効率を高めようとすれば、例えばクランプ３
１をトラッキングさせればよいが、その場合は、クラン
プ３１が移動しているワークＷに確実に接続された状態
でワークＷに同期して移動するように構成しなければな
らず、トラッキング機構が非常に複雑になるという問題
があった。

【０００６】また、クランプ３１に予め高電圧が印加さ
れている場合は、クランプ３１がワークＷに接触する瞬
間にスパークを発して接触箇所がその熱で溶けてしまう
し、高電圧を印加した状態で移動するトラッキング距離
がハンガピッチに比して長い場合には、先行するワーク
Ｗが塗装ゾーンを通過している間に、後続のワークＷが
塗装ゾーン内に入るため、それまでにクランプ３１を原
位置に戻すことができず、各ワークＷを確実に給電する
ことが不可能であった。

【０００７】また、ワークＷに電気的に接続された接触
子をコンベアにそって配設された集電レールに接触させ
て給電することも考えられるが、集電レールには常時高
電圧が供給されているので、接触子が集電レールに接触
する瞬間及び離れる瞬間だけでなく、摺接している間も
スパークが発生し易く、その熱により集電レールや接触
子の表面が溶けて凹凸が形成されるので、これらを頻繁
に交換しなければならずメンテナンスコストが嵩むとい
う問題があった。そこで、本発明は、ワークを搬送する
ハンガが塗装ゾーン内を走行している間中スパークを発
生させずに、且つ、高電圧を印加した状態で移動する距
離より搬送ピッチが短い場合であっても、ワークに確実
に高電圧を印加することができるようにすることを技術
的課題としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明は、案内レールに沿って走行するハンガでワ
ークを吊り下げて搬送しながら当該ワークに高電圧を印
加し、アース側に接続した塗装機から塗料を噴霧して静
電塗装を行うワーク加電式静電塗装装置において、前記
ハンガは、案内レールに沿って走行するローラを配設し
た走行ベースに、ワークを吊り下げる下部フレームが絶
縁体を介して電気的絶縁状態に連結されて成り、前記走
行ベースには、塗装ゾーン内を走行する際に電磁波送信
手段から送信される電磁波を非接触で受信して低電圧を
出力する電源装置と、当該電源装置から出力された電圧
を所定電圧まで昇圧してワークに高電圧を印加する高電
圧発生器が搭載されていることを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明によれば、ワークＷを懸吊したハンガが
塗装ゾーンに到来すると、電磁波送信手段から送信され
た電磁波が走行ベースに搭載された電源装置で受信さ
れ、当該電源装置から出力された低電圧が高電圧発生器
で昇圧され、高電圧発生器から出力された高電圧がワー
クに印加される。したがって、高電圧が印加されたワー
クと、アース側に接続された塗装機との間に静電場が形
成されることとなり、塗装機に高電圧を印加せずに静電
塗装が行われる。

【００１０】この間、電源装置に対して非接触で給電さ
れるので、スパークを起こすことがなく、さらに、塗装
ゾーン内を走行する全てのハンガに対し電磁波を送信で
きるので、高電圧を印加した状態で移動する距離より搬
送ピッチの方が短くても、各ワークに確実に高電圧が印
加される。また、下部フレームは走行ベースに絶縁体を
介して電気的絶縁状態で連結されているので、ワークに
印加された高電圧が、下部フレームから走行ベースにリ
ークすることもない。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて
具体的に説明する。図１は本発明に係るワーク加電式静
電塗装装置の要部を示す正面図、図２はその全体を示す
平面図である。

【００１２】図中１は、案内レール２に沿って所定間隔
で走行するハンガ３，３・・によりワークＷを吊り下げ
て搬送するコンベアであって、搬送開始位置Ｓから塗装
ブース４内を通って搬送終了位置Ｇに至る往路を走行
し、搬送終了位置Ｇから塗装ブース４外を通って搬送開
始位置Ｓに至る復路を走行するようにエンドレスに形成
されている。

【００１３】また、塗装ブース４内の塗装ゾーンＺに
は、アース側に接続された塗装機５が配設されると共
に、前記塗装ゾーンＺには、電磁波を出力する誘電ケー
ブル（電磁波送信手段）６が案内レール２に沿って配設
されている。具体的には，誘電ケーブル６に例えば300
〜500 Ｖ程度の交流電流を供給することにより、誘電ケ
ーブル６の周囲に交流磁場を形成しておく。

【００１４】各ハンガ３は、案内レール２に沿って走行
するローラ７，７を配設した走行ベースＢに上部フレー
ム８Ｕが一体的に取り付けられると共に、ワークＷに接
触する電極アタッチメント９を形成した下部フレーム８
Ｄが絶縁体１０を介して前記上部フレーム８Ｕに対して
電気的絶縁状態に維持されて連結されている。なお、上
部フレーム８Ｕ及び下部フレーム８Ｄは金属パイプで形
成されると共に、絶縁体１０もパイプ状に形成されてい
る。また、電極アタッチメント９は下部フレーム８Ｄと
一体成形されているものであっても、下部フレーム８Ｄ
に別途取り付けられているものであってもよい。

【００１５】そして、走行ベースＢにはパイプ状の支柱
１５を介して台座１６が設けられ、当該台座１６には、
ハンガ３が塗装ゾーンＺを移動する際に誘電ケーブル６
と非接触に対峙するように取り付けられたピックアップ
コイル１１を接続した電源装置１２と、当該電源装置１
２から出力された電圧を所定電圧まで昇圧する高電圧発
生器１３が取り付けられて、台座１６ごと走行ベースＢ
に搭載されている。ピックアップコイル１１は、ハンガ
３の移動に伴って誘電ケーブル６の周囲に形成される交
流磁場の中を通過するときに電磁誘導作用により誘導起
電力を生じ、これを電源装置１２で安定化して高電圧発
生器１３に対して出力し、高電圧発生器１３で所定の高
電圧値まで昇圧させる。

【００１６】そして、高電圧発生器１３に接続された高
電圧ケーブル１４が上部フレーム８Ｕ及び絶縁体７の内
部空間に挿通されて下部フレーム８Ｄに接続され、当該
下部フレーム８Ｄに形成された電極アタッチメント９を
介してワークＷに高電圧を印加できるようになされてい
る。

【００１７】以上が本発明の一例構成であって、次にそ
の作用について説明する。まず、誘電ケーブル６に所定
電圧（例えば300 〜500 Ｖ程度）の交流電流を供給して
コンベア１を起動する。そして、ワークＷを懸吊したハ
ンガ３が案内レール２に沿って走行し、塗装ゾーンＺ内
に侵入すると、ピックアップコイル１１が誘電ケーブル
６と非接触に対峙した状態で移動される。

【００１８】誘電ケーブル６には所定電圧の交流電流が
供給されているので、電磁誘導によりピックアップコイ
ル１１で生じた誘導起電力が電源装置１２で安定化さ
れ、高電圧発生器１３の一次電源として供給され、高電
圧発生器１３で昇圧される。そして、高電圧発生器１３
から出力された高電圧は、上部フレーム８Ｕの上端部か
ら内部に挿通された高電圧ケーブル１４を介して下部フ
レーム８Ｄに供給され、電極アタッチメント９を介して
ワークＷに印加される。したがって、アースされた塗装
機５とワークＷとの間に静電場が形成されることとな
り、塗装機５から塗料を霧化するだけで静電塗装を行う
ことができる。

【００１９】このとき、各ハンガ３は上部フレーム８Ｕ
と下部フレーム８Ｄが絶縁体１０を介して連結されてい
るので、電極アタッチメント９に供給された高電圧が下
部フレーム８Ｄから、アース体である上部フレーム８Ｕ
や走行ベースＢにリークすることはなく、したがって、
ハンガ３を走行させる案内レール２等を絶縁支持する必
要もないので、既存の設備をそのまま使用することがで
きる。

【００２０】そして、ハンガ３が塗装ゾーンＺを通過し
てその外に出ると、ピックアップコイル１１と非接触で
対向していた誘電ケーブル６が途切れるので、誘導起電
力を生じなくなり、したがって、ワークＷへの高電圧の
印加が自動的に停止される。すなわち、ワークＷに高電
圧が印加されるのは、塗装ゾーンＺ内を走行している間
だけであって、ワークＷが塗装ゾーンＺ外にあるときに
高電圧が印加されることがないので、回路の断続操作を
行わなくても、被塗物Ｗに印加される高電圧の供給開始
／終了を自動的に行うことができる。

【００２１】しかも、誘電ケーブル６に接触することな
くピックアップコイル１１を介して電源電力を供給する
ことができるので、ハンガ３が塗装ゾーンＺに入るとき
や出るときにスパークを生ずることがない。また、誘電
ケーブル６には、電磁誘導によりピックアップコイル１
１に高電圧発生器１３の一次電源として必要な誘導起電
力を生じる程度の低電力が供給されていれば足りるの
で、塗装機５との間に強い静電場が形成されることもな
く、したがって誘電ケーブル６に塗料が静電塗着される
ことはない。

【００２２】なお、実施例では、ピッグアップコイル１
１を誘電ケーブル６に対峙させることにより高電圧の供
給開始／停止を行う場合について説明したが、走行ベー
スＢに制御装置を搭載して無線により所定のタイミング
オンオフ制御するようにしてもよい。また、電源装置１
２に対し電磁波を送信する電磁波送信手段として誘電ケ
ーブル６を用い、ピックアップコイル１１との電磁誘導
により誘導起電力を発生させる場合について説明した
が、本発明はこれに限らず、電磁波としてマイクロウェ
ーブを利用し、電磁波送信手段としての送信アンテナを
塗装ブース内に配設し、電源装置１２にはこれを受信す
る受信アンテナを接続したり、電磁波送信手段としてマ
イクロウェーブを導く導波管をコンベアに沿って配設
し、当該導波管の長手方向に形成したスリットに挿通さ
れた状態で走行される受信アンテナを電源装置１２に接
続する場合であってもよい。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電
極アタッチメントに高電圧を供給する高電圧発生器が各
ハンガに搭載されており、しかも、ハンガが塗装ゾーン
を走行している間だけ、高電圧発生器の一次電源が非接
触で供給されるので、集電レールや接触子が不要とな
り、スパークを発生させずに、塗装ゾーン内を搬送され
るワークに高電圧を印加することができるという大変優
れた効果がある。

【００２４】また、電磁波送信手段から送信された電磁
波を受信することにより非接触で電源の供給を受けるよ
うに成されており、二以上のハンガに対して同時に給電
することができるので、高電圧を印加した状態でワーク
を搬送する距離よりワークの搬送ピッチが短くても、各
ワーク対して確実に高電圧を印加することができるとい
う効果を有する。また、各ハンガはワークを吊り下げる
下部フレームが絶縁体を介して走行ベースに連結されて
いるので、ワークに印加された高電圧が下部フレームか
ら走行ベースへリークすることがなく、したがって、ハ
ンガを走行させる案内レール等を絶縁支持する必要もな
く、既存の設備をそのまま使用できるという効果もあ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るワーク加電式静電塗装装置の要部
を示す正面図。

【図２】その全体を示す平面図。

【図３】従来装置を示す側面図。

【符号の説明】

２・・・案内レール３・・・ハンガＷ・・・ワークＺ・・・塗装ゾーン５・・・塗装機６・・・誘電ケーブル（電磁波送信手段）７・・・ローラＢ・・・走行ベース８Ｕ・・上部フレーム８Ｄ・・下部フレーム１０・・・絶縁体１２・・・電源装置１３・・・高電圧発生器

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】案内レール（２）に沿って走行するハン
ガ（３）でワーク（Ｗ）を吊り下げて搬送しながら当該
ワーク（Ｗ）に高電圧を印加し、アース側に接続した塗
装機（５）から塗料を噴霧して静電塗装を行うワーク加
電式静電塗装装置において、前記ハンガ（３）は、案内レール（２）に沿って走行す
るローラ（７）を配設した走行ベース（Ｂ）に、ワーク
（Ｗ）を吊り下げる下部フレーム（8D）が絶縁体（10）
を介して電気的絶縁状態に連結されて成り、前記走行ベース（Ｂ）には、塗装ゾーン（Ｚ）内を走行
する際に電磁波送信手段（６）から送信される電磁波を
非接触で受信して低電圧を出力する電源装置（12）と、
当該電源装置（12）から出力された電圧を所定電圧まで
昇圧してワーク（Ｗ）に高電圧を印加する高電圧発生器
（13）が搭載されていることを特徴とするワーク加電式
静電塗装装置。