JPH08243315A - フィルター装置付きモールド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来は、フィルター材料およびきモールドが
異なる材料で作られていたため、接合やリサイクルが困
難であり、本発明は、コストが安く、かかる問題の無い
フィルター装置付きモールドおよびその製造方法を提供
することにある。 【解決手段】本発明は、フィルター装置付きモールドで
あって、フィルターとモールドが同じ熱可塑性樹脂材料
からできている構成であり、かかるフィルター材料の結
合方法もまた本発明に含まれるものである。本発明のフ
ィルター装置は、同一の材料で、鉱物オイル、加熱され
たオイルあるいはモーター燃料等の初期的清浄に使用可
能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、集積されたフィルター
装置付きのモールドに関し、モールドおよびフィルター
が、同一の熱可塑性樹脂からできていることを特徴とす
るものである。

【０００２】また、本発明は、かかるフィルター装置付
きのモールドの製造方法に関するものである。

【０００３】

【従来の技術】自動車において、インジェクションポン
プの圧力発生エレメントやインジェクションノズルは、
お互いに、１ｍｍあたり数千分の１程度の正確で、適合
するように作られていなければならない。

【０００４】このことは、燃料中のかかるサイズの不純
物が凝集してかす化したり、あるいは精密な機械部品の
機能を損なうおそれが生じる場合があることを意味して
いる。

【０００５】従って、フィルター機能が乏しいと、ポン
プ装置、圧力バルブ、およびインジェクションノズルを
損傷させることになるのである。

【０００６】このような場合、一般的には、二つの異な
るフィルターが使用されていた。一方のフィルターは、
ある程度粗くて、初期的に使用され、しばしば繊維物か
らできており、そして燃料ゲージユニットに接続され
て、燃料供給ポンプからの上昇流に提供されることにな
る。

【０００７】また、もう一方のフィルターは、細かく、
メインフィルターであり、燃料供給ポンプとそれに続く
部品、例えば、圧力制御バルブ、インジェクションノズ
ルとの間、あるいは、もし適当ならば、別のインジェク
ションポンプを設け、かかるポンプとの間に提供される
ことになる。

【０００８】すなわち、異常なかす発生が続くと、不適
切な燃焼、早い燃料消費、煙発生、発進不良、アイドル
リングの不安定、低エンジン出力の原因となるものであ
る。

【０００９】よって、燃料の清澄化は極めて重要なもの
であるが、個別の部品の必要性に応じた、特別なフィル
ターによって実施されなければならない。すなわち、個
別部品についての使用方法に応じて、一段階フィルター
の間か、多段階フィルターの間か、あるいは平行フィル
ターの間に、水貯蔵タンクとともに、あるいは水貯蔵タ
ンクとは関係なく配置されることとなる。

【００１０】ここで、初期的に使用されるフィルターと
して、二つのポプュラーなタイプがある。

【００１１】ポプュラーなタイプのフィルターの一つ
は、フィルターが支持材に集積されているものである。
かかるフィルターは、しばしば、射出成型によって他の
プラスチックにより、支持材として、包囲されたポリア
ミド製繊維物を含んでいる。従って、射出成型用の型の
中に、当該繊維物を催置しなければならないため、製造
費用が高くつくという問題がある。

【００１２】加えて、異種の材料を接合させることは多
くの場合容易なことではなく、従って支持材とフィルタ
ー繊維物との間を、シールしなければならないというこ
とにも問題があることがわかっている。

【００１３】もう一つの別なポプュラーなタイプのフィ
ルターは、繊維物のバッグが支持材の中に挿入されてい
るものである。バッグは、クランプや溶接により、支持
材と接合されているものである。従って、バッグが支持
材にクランプされている場合や押圧されている場合に
は、組み込むために作業している間に抜け出すというお
それがある。

【００１４】特に、メインフィルターとしてポプュラー
なものは、微細孔を有するフィルター（平均孔サイズ
は、エンジンの設計によるが、約５〜１５μｍ）がハウ
ジング内に設置された構造ユニットである。ここで、金
属あるいは熱可塑性樹脂が、一般的には、ハウジング材
として使用されている。

【００１５】そして、フィルターが挿入された側のクリ
ーン面とフィルターの反対側とを完全に区別するため
に、ハウジングとフィルターの挿入された側とを、完全
にシールする必要がある。このため、一般には、特別な
接着剤が使用され、時には、耐燃料性のあるエラストマ
ーから作られたシール材とともに接着剤が使用されてい
る。

【００１６】また、同様に、ハウジングカバーからハウ
ジングを取り外す場合には、一般的にはエラストマーか
ら作られたシール材のみが使用されることとなる。

【００１７】すなわち、接着剤を使用することにより、
また接着剤の可使時間のために、製造上、かなりのコス
ト高となるという問題があり、それはまた、エラストマ
ーから作られたシール材にもあてはまる問題であった。

【００１８】そして、このタイプのフィルターは、一定
の使用期間後、完全に取り替えられることとなる。

【００１９】燃料用フィルターの他のタイプのフィルタ
ーも、いわゆる挿入タイプのフィルターとともに使用さ
れる。

【００２０】フェルトあるいは紙のフィルターは内側お
よび外側の金属製支持材の間に配置され、この支持材の
上部および下部は閉じられている。また、挿入タイプの
フィルターはこのように設けられており、汚れた側と清
浄面とを完全に区別するためにシール材および／または
接着剤を使用しなければならないのである。

【００２１】この構造ユニットは、その後、ネジでお互
いに上部と下部がネジ留めされて結合される構造のハウ
ジング内に収められている。

【００２２】そしてこのタイプのフィルターは、一定の
使用期間後、ネジ留めを緩めて、挿入されたフィルター
を完全に取り替えられることとなる。

【００２３】今までに使用されてきた、フィルターの全
ての種類は、種々の異なる材料を含み、その結果、実際
的に、完全にリサイクルすることが困難であるという問
題があった。資源保護の観点から、いろいろな研究活動
が行われて入るが、それは使用されたフィルターから金
属部品や非金属部品を取り除くという考え方に基づいて
行われて来たものである。

【００２４】従って、確かに、多量の金属部品について
は公知の方法によって、最調整可能である。しかしなが
ら、取り除かれる多量の非金属部品については、フィル
ター紙、フェルト、接着剤、エラストマーおよび／また
は完全にポリマーのみではない混合物が含まれており、
実際的方法としては、埋め立てたりあるいは焼却により
処理せざるを得ないという問題があった。

【００２５】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上述した不利益、問題を除き、かかる問題のないフ
ィルター装置付きのモールドおよびその製造方法を提供
することにある。

【００２６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、フ
ィルター装置付きのモールドに関し、モールド、フィル
ターおよびフィルター装置が、同一の熱可塑性樹脂から
できていることを特徴とするものである。

【００２７】さらに、本発明は、フィルター材料を含
め、熱可塑性樹脂からできたフィルターに関し、一つま
たはそれ以上の部品を含むものである。

【００２８】本発明において、フィルター装置と言う場
合には、フィルター材料も含んでいる。

【００２９】例えば、フィルター材料は、繊維物、マッ
ト状物、不織布、焼結材であって焼結して固化したもの
や焼結シート、空孔膜、プラスチックフォームであっ
て、熱可塑性樹脂を含むものである。

【００３０】フィルター装置あるいは、フィルターは、
ガスや液体物の清浄に使用可能である。すなわち、清浄
している間に、微粒子あるいはダストのような固体物が
除去されるのである。特に燃料の清浄は、本発明のフィ
ルターに好適な使用分野である。

【００３１】なお、本発明によるフィルター装置を定義
すれば、ハウジング、フィルター用材料、支持材、ある
いはコネクターを含むものである。

【００３２】次に、本発明に使用される熱可塑性樹脂と
しては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステ
ル、液晶ポリマー（ＬＣＰ）、ポリウレタン、ポリフェ
ニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド、
ポリオキシメチレン等のポリアセタールである。そし
て、本発明の熱可塑性樹脂はこれらポリマーの混合物で
あっても良い。

【００３３】特に、ポリアセタールは、好適な熱可塑性
樹脂であり、最適なポリアセタールは、ポリオキシメチ
レンである。ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単
位を含んでおれば、ホモポリマーでも良く、コポリマー
でも良い。

【００３４】ポリオキシメチレンの具体例に関しては、
“ウルマン辞典、工業化学、Ｂ．エレバーズ著、５版、
Ｖｏｌ Ａ２１、“ポリオキシメチレン”ＶＣＨ バー
ルアグスゲセルシャント，ウェインハイム１９９２年出
版、ページ５９１〜６０３”に特徴および製造方法が記
載されており、ここでも参照される。

【００３５】ポリアセタールは、完全に合致するモール
ド部分の製造に適している。

【００３６】本発明のモールドおよびフィルターは、ひ
とつの材料からできていることを特徴とする。すなわ
ち、可能なリサイクルプロセスにおいて再調整すること
が容易になり、また接着剤やエラストマーのシール材を
使用しなくてすむという利点がある。特に、分別された
ポリアセタールのスクラップは、完全に再調整すること
が可能であり、何ら問題がない。その結果、製造や可能
な廃棄が特に安くなるという利点があるものである。

【００３７】また、フィルターの構造上必要な、固いモ
ールド部品の製造には、別の操作における射出成型によ
り、あらかじめ場所が必要とされる。

【００３８】本発明のフィルターの構造エレメントの間
の接続には、液状物により強固な接続が必要とされるの
に対し、例えば、フィルタ−材料の間、フィルター底あ
るいはフィルターカバー（いわゆる挿入型フィルターの
場合）、フィルター材料、フィルター用支持材およびフ
ィルター用ハウジングとの接合が溶接により行えるとい
う利点がある。

【００３９】実際的に、熱可塑性樹脂用に開発された全
ての溶接プロセスが使用可能であり、溶接用加熱治具も
また好適である。

【００４０】本発明のフィルターは、鉱物オイル、特に
はモーター燃料、加熱されたオイルに好適であるが、他
の無機あるいは有機物液体の不純物除去にもまた使用可
能である。

【００４１】本発明はまた、フィルターの製造方法にも
関しており、予め作られた固い成型部品の、フィルター
材料と接合する面側に突起物構造を設け、熱可塑性樹脂
の融点以上に少なくとも構造物を加熱しておき、その
後、非加熱のフィルター材料と接合するものである。

【００４２】ここで、一般的なことを言えば、固い部品
を同一の材料から作られたフィルター材料に溶接するこ
とは、困難さが伴うものである。なぜならば、このよう
な部品の熱容量は、フィルター材料とはかなり異なるた
めであり、またフィルター材料はしばしば大変壁厚が薄
かったり、微細構造を有しているためである。

【００４３】もし、フィルター材料（例えば、繊維物）
とフィルターカバー（固い部品）が同時におよび／また
は同様に加熱された場合、フィルター材料が急激に解け
て、フィルター材料のフィルター特性にかなりの影響を
与えるのである。

【００４４】本発明のモールドあるいはフィルターによ
れば、フィルター材料と面する固い部品の側に、突起物
構造（リブ、スタッド、リッジ、ビーズ、突出したエッ
ジ、ピン、ニードルあるいは同様な機能を有する突起
物）が設けられて入る。

【００４５】そして、熱可塑性樹脂の融点以上の温度に
少なくとも突起物構造を加熱後、これらの可塑化された
構造と非加熱のフィルター材料がいっしょに接合される
ものである。

【００４６】それから、固い部品の可塑化された材料
が、部分的または完全に、フィルター材料中に入りこん
でいき、接合部分において、フィルター材料を上記融点
まで加熱し、こうして優れた溶接が完成することとな
る。

【００４７】溶接において、固い部品の加熱状態が途中
であっても、同様な加熱により可塑化されるため、その
結果、フィルター材料と加圧下接合可能である（例えば
０．１５Ｎ／ｍｍ^２）。

【００４８】固い部品とフィルター材料との接合は必ず
しも、優れた溶接をする必要はない。なぜならば、固い
部品の溶融材料が、フィルター材料のキャビティや穴に
入り込んで行き、すなわちフィルター材料へのアンカー
効果を発揮すれば十分な場合もあるのである。

【００４９】固い部品とフィルター材料との接合は、フ
ィルター材料を、当業者に公知の一般的な射出成型によ
り周囲を包囲することによっても可能である。

【００５０】さらに、固い部品とフィルター材料との接
合は、全ての部品が同様の熱可塑性樹脂からできていた
としても、クランプ、押し込み、あるいは留め金を利用
することによっても可能である。

【００５１】

【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて、本発明を
具体的に説明する。

【００５２】（溶接テストの説明）シリンダー状のカッ
プ（内径２４ｍｍ、外径３０ｍｍ、高さ２４ｍｍ）に溶
接して、粗い繊維フィルターと細かな繊維フィルターを
取り付けた。

【００５３】そして、カップは、ポリオキシメチレン
（ヘキスト社製、ヘスタフォーム、Ｃ９０２１ナチュラ
ル）を射出成型して作成したものである。

【００５４】カップは、マニュアルで加熱治具で加圧し
て開口し、溶けて接触部分（カップの縁）ができるまで
続ける。従って、カップを繊維の上で、表１に示された
力で加圧し、溶融したものが固化するまで保持する。

【００５５】そして、溶接パラメーターを変えて、異な
る性質を有する結果が得られた。テストＮｏ１〜５の接
着力測定結果を表１に示す。

【００５６】なお、接着力は、５段階基準で判断し、１
段階は、接着力に乏しいことを意味し、５段階は、接着
力が大変高いことを意味する。その結果、細かなフィル
ター繊維は、特に溶接に適したものであることがわか
る。

【００５７】なお、次の繊維がフィルターの接着力試験
において使用された。

【００５８】（細かな繊維）モノフィラメントは、直径
０．１ｍｍのポリオキシメチレンコポリマーから作られ
ている。すなわち、ウルマン辞典、ＶＯＬ７、セクショ
ン：“繊維およびブリストル”、サブセクション：“溶
融状態からの製造”ページ２７１等、１９５６年刊行に
よって、溶融状態から製造した。

【００５９】そして、平織 Ｌ１／１の繊維織物が、か
かる繊維から作られた。製造技術およびデザインとして
は、ウルマン辞典、ＶＯＬ１７、セクション：“テキス
タイル技術”、サブセクション：“織り方”ページ２４
５等、“織り方デザイン”図面３１、ページ２４６等、
１９６６年刊行に記載された同様の方法によった。

【００６０】（粗い繊維）モノフィラメントは、直径
０．１７ｍｍのポリオキシメチレンコポリマーから作ら
れており、ＭＦＲ（２．１６圧力；１９０℃条件）が、
２．５ｇ／１０ｍｉｎであった。また、同様に、ウルマ
ン辞典の“溶融状態からの製造”を参考にし、そして、
平織の繊維織物が作られた。

【００６１】

【表１】溶接テスト−ポリオキシメチレン製のカップ／
フィルター繊維を溶接加熱治具を用いて溶接試験した
（加熱治具温度：２００℃） テスト 手法 加圧力 接着力Ｎｏ 細かい繊維 粗い繊維 １ カップリムを約１０秒 約１ｂａｒ ３ ２〜３ 加熱溶融、その後、 加熱治具で、約２秒 繊維物に加圧 ２ カップリムを約１０秒 約１ｂａｒ ４ − 加熱溶融、その後、 加熱治具で、約５秒 繊維物に加圧 ３ カップリムを約１０秒 約１ｂａｒ ４〜５ − 加熱溶融、その後、 加熱治具で、約１．５秒 繊維物に加圧 ４ カップリムを約１０秒 約１ｂａｒ ５ − 加熱溶融、その後、 加熱治具で、約３０秒 繊維物に加圧 ５ カップリムを約１０秒 約２ｂａｒ − ２〜３ 加熱溶融、その後、 予備加熱繊維物に加圧

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フィルター装置付きモールドであって、
   モールド、フィルター装置およびフィルターの材料が同
   じ熱可塑性樹脂からできていることを特徴とする前記フ
   ィルター装置付きモールド。
2. 【請求項２】 フィルターが、フィルター材料を含め
   て、同じ熱可塑性樹脂からできていることを特徴とする
   フィルター。
3. 【請求項３】 請求項１に記載されたモールドあるいは
   請求項２に記載されたフィルターにおいて前記熱可塑性
   樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、
   液晶ポリマー、ポリウレタン、ポリアリーレンサルファ
   イド、ポリアセタール、あるいはこれらの少なくとも一
   つのポリマーを含む混合物であることを特徴とする、前
   記モールドあるいはフィルター。
4. 【請求項４】 請求項２に記載されたフィルターにおい
   て、フィルターハウジング、ハウジングカバー、フィル
   ター材料、スクリーン、支持材、そしてもし適当なら
   ば、さらにコンポーネント部材を含むことを特徴とす
   る、前記フィルター。
5. 【請求項５】 請求項１に記載されたモールドあるいは
   請求項２に記載されたフィルターにおいて繊維、マット
   状物、フェルト、焼結材、空孔膜、プラスチックフォー
   ム、あるいは不織布をフィター材料として含むことを特
   徴とする、前記モールドあるいはフィルター。
6. 【請求項６】 請求項１に記載されたモールドあるいは
   請求項２に記載されたフィルターにおいてフィター材料
   が、溶接あるいは射出成型によるカプセル化により結合
   されていることを特徴とする、前記モールドあるいはフ
   ィルター。
7. 【請求項７】 フィルターの製造方法において、予め作
   られた固い成型部品の、フィルター材料と接合する面側
   に突起物構造を設け、熱可塑性樹脂の融点以上に少なく
   とも構造物を加熱しておき、その後、非加熱のフィルタ
   ー材料と接合することを特徴とする、前記フィルターの
   製造方法。
8. 【請求項８】 請求項１に記載されたモールドあるいは
   請求項２に記載されたフィルターの、無機あるいは有機
   液体の清浄に対しての使用方法。
9. 【請求項９】 鉱物オイル、モーター燃料、あるいは加
   熱オイルの清浄に対して使用することを特徴とする請求
   項８に記載の使用方法。