JPH08242043A - 希ガスエキシマを生成する方法 - Google Patents
希ガスエキシマを生成する方法Info
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- JPH08242043A JPH08242043A JP7042995A JP7042995A JPH08242043A JP H08242043 A JPH08242043 A JP H08242043A JP 7042995 A JP7042995 A JP 7042995A JP 7042995 A JP7042995 A JP 7042995A JP H08242043 A JPH08242043 A JP H08242043A
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- JP
- Japan
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- gas
- nozzle
- rare gas
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- cluster
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-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J2237/00—Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
- H01J2237/06—Sources
- H01J2237/08—Ion sources
- H01J2237/0812—Ionized cluster beam [ICB] sources
Landscapes
- Lasers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 希ガスエキシマ光の発光強度とその発光効率
を高めるための希ガスエキシマを生成する方法を提供す
る。 【構成】 希ガスを高速パルスバルブでノズルより超音
速で膨張させ、希ガスクラスターを生成させ、このクラ
スターから希ガスのエキシマを生成する方法であって、
該ノズルは、ラバールノズルであり、該ノズルから該ガ
スを超音速で噴射し該ノズル前方近傍空間領域に希ガス
のクラスターを生成せしめ、該空間領域をはさんで一対
の電極を配置し、該電極間の放電を利用して前記クラス
ターを励起して希ガスのエキシマを生成する方法におい
て、ガス膨張部の形状が円錐型で、スロートの区域の長
さを1mm未満、ガス導入部の開口角θ1が60°から
120°の範囲で、ガス膨張部の開口角θ2が10°か
ら30°の範囲で、ガス膨張部の長さLが3mmから2
0mmの範囲で設計する。
を高めるための希ガスエキシマを生成する方法を提供す
る。 【構成】 希ガスを高速パルスバルブでノズルより超音
速で膨張させ、希ガスクラスターを生成させ、このクラ
スターから希ガスのエキシマを生成する方法であって、
該ノズルは、ラバールノズルであり、該ノズルから該ガ
スを超音速で噴射し該ノズル前方近傍空間領域に希ガス
のクラスターを生成せしめ、該空間領域をはさんで一対
の電極を配置し、該電極間の放電を利用して前記クラス
ターを励起して希ガスのエキシマを生成する方法におい
て、ガス膨張部の形状が円錐型で、スロートの区域の長
さを1mm未満、ガス導入部の開口角θ1が60°から
120°の範囲で、ガス膨張部の開口角θ2が10°か
ら30°の範囲で、ガス膨張部の長さLが3mmから2
0mmの範囲で設計する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空紫外光を発生する
ランプやレーザ装置に関係するもので、希ガスの超音速
ジェットを利用して生成されたそのクラスターを放電励
起し、希ガスエキシマを生成し、その希ガスエキシマか
ら放射される光を利用する真空紫外光源のための希ガス
エキシマを生成する方法に関する。
ランプやレーザ装置に関係するもので、希ガスの超音速
ジェットを利用して生成されたそのクラスターを放電励
起し、希ガスエキシマを生成し、その希ガスエキシマか
ら放射される光を利用する真空紫外光源のための希ガス
エキシマを生成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連した技術としては、例え
ば、特開平5−136508号があり、そこには、希ガ
スをノズルを通して真空中に超音速で膨張させ、希ガス
クラスター(希ガス原子がファン・デル・ワールス力で
結合した原子集団)を生成し、このクラスターを放電励
起し、エキシマを発生させる方法が記載されている。具
体例を図1に示す。希ガスは、高速パルスバルブ1によ
りラバールノズルの一種の円錐型ノズル2から真空チェ
ンバー3の内部に噴射される。ノズルの前方4mmの位
置における空間領域にはそれを挟んで、一対の電極が配
置されており、陰極5には、直流高電圧電源7より負高
電圧(−3kV)が印加されている。なお、陰極5と高
電圧電源7の間に100kΩの電流制限抵抗6を挿入し
てある。陰極5は直径3mmのタングステン製であり、
その先端は円錐状に加工した。陽極4は直径10mmの
アルミニウム製である。電極間距離は、3.6mmであ
って、電極間距離は陽極4を前後動させることによって
調節する。陰極の先端はノズルの中心軸線上に位置する
とともに、その中心軸線は放電方向と直交している。こ
のノズルの前方の空間領域を放電空所として電極間にガ
スが満たせれると放電が開始する。
ば、特開平5−136508号があり、そこには、希ガ
スをノズルを通して真空中に超音速で膨張させ、希ガス
クラスター(希ガス原子がファン・デル・ワールス力で
結合した原子集団)を生成し、このクラスターを放電励
起し、エキシマを発生させる方法が記載されている。具
体例を図1に示す。希ガスは、高速パルスバルブ1によ
りラバールノズルの一種の円錐型ノズル2から真空チェ
ンバー3の内部に噴射される。ノズルの前方4mmの位
置における空間領域にはそれを挟んで、一対の電極が配
置されており、陰極5には、直流高電圧電源7より負高
電圧(−3kV)が印加されている。なお、陰極5と高
電圧電源7の間に100kΩの電流制限抵抗6を挿入し
てある。陰極5は直径3mmのタングステン製であり、
その先端は円錐状に加工した。陽極4は直径10mmの
アルミニウム製である。電極間距離は、3.6mmであ
って、電極間距離は陽極4を前後動させることによって
調節する。陰極の先端はノズルの中心軸線上に位置する
とともに、その中心軸線は放電方向と直交している。こ
のノズルの前方の空間領域を放電空所として電極間にガ
スが満たせれると放電が開始する。
【0003】図2に従来よく利用される円錐型ノズルの
断面図を示す。ガスは矢印8の方向に流れる。ノズルの
ガス導入部の開口角θ1 は、120°である。ノズルの
スロート(ノズルの断面積が最小となる部分)の径dは
0.3mmでその長さXは1mmである。また、ガス膨
張部の開口角θ2は45゜である。また、膨張部の長さ
Lは5mmである。
断面図を示す。ガスは矢印8の方向に流れる。ノズルの
ガス導入部の開口角θ1 は、120°である。ノズルの
スロート(ノズルの断面積が最小となる部分)の径dは
0.3mmでその長さXは1mmである。また、ガス膨
張部の開口角θ2は45゜である。また、膨張部の長さ
Lは5mmである。
【0004】特開平5−136508号において、ノズ
ルの形状は、スロートとテーパー状に開く膨張部からな
るとしている。この形状のノズルにスロートまでのテー
パー状に絞ったガスの導入部を含めた構造のノズルは、
一般にラバールノズルと呼ばれる。従って、上記の円錐
型ノズルもラバールノズルの一種である。これまで、上
記のノズルを用いて希ガスクラスターを生成し、そして
放電励起して希ガスエキシマ光を発生させた場合の問題
点は、発光強度が弱く発光効率が低いことであった。例
えば、キセノンエキシマ光で出力約16mW、発光効率
で約0.16%であった。
ルの形状は、スロートとテーパー状に開く膨張部からな
るとしている。この形状のノズルにスロートまでのテー
パー状に絞ったガスの導入部を含めた構造のノズルは、
一般にラバールノズルと呼ばれる。従って、上記の円錐
型ノズルもラバールノズルの一種である。これまで、上
記のノズルを用いて希ガスクラスターを生成し、そして
放電励起して希ガスエキシマ光を発生させた場合の問題
点は、発光強度が弱く発光効率が低いことであった。例
えば、キセノンエキシマ光で出力約16mW、発光効率
で約0.16%であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みなされたものであって、その目的とするところは、
希ガスエキシマ光の発光強度とその発光効率を高めるた
めの希ガスエキシマを生成する方法を提供することにあ
る。
鑑みなされたものであって、その目的とするところは、
希ガスエキシマ光の発光強度とその発光効率を高めるた
めの希ガスエキシマを生成する方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、希ガス
を高速パルスバルブでノズルより超音速で膨張させ、希
ガスクラスターを生成させ、このクラスターからエキシ
マを生成する方法であって、該ノズルは、ラバーノズル
であり、該ノズルから該ガスを超音速で噴射し該ノズル
前方近傍空間領域に希ガスのクラスターを生成せしめ、
該空間領域をはさんで一対の電極を配置し、該電極間の
放電を利用して前記クラスターを励起して希ガスのエキ
シマを生成する方法において、該ノズルをガス膨張部の
形状が円錐型で、スロートの長さが1mm未満で、ガス
導入部の開口角θ1が60°から120°で、ガス膨張
部の開口角θ2が、10°から30°で、ガス膨張部の
長さLが3mmから20mmの範囲内で設計することに
よって達成される。
を高速パルスバルブでノズルより超音速で膨張させ、希
ガスクラスターを生成させ、このクラスターからエキシ
マを生成する方法であって、該ノズルは、ラバーノズル
であり、該ノズルから該ガスを超音速で噴射し該ノズル
前方近傍空間領域に希ガスのクラスターを生成せしめ、
該空間領域をはさんで一対の電極を配置し、該電極間の
放電を利用して前記クラスターを励起して希ガスのエキ
シマを生成する方法において、該ノズルをガス膨張部の
形状が円錐型で、スロートの長さが1mm未満で、ガス
導入部の開口角θ1が60°から120°で、ガス膨張
部の開口角θ2が、10°から30°で、ガス膨張部の
長さLが3mmから20mmの範囲内で設計することに
よって達成される。
【0007】他の方法としては、該ノズルを、ガス膨張
部の形状が紡錐型で、ガスの導入部B1 −B2 からスロ
ートA1 −A2 まで直線A1 −B1 とA2 −B2 でむす
び、それぞれの直線の外側に少なくとも1ケ所の凸なる
部分があり、スロート部A1−A2 からガス膨張部C1
−C2 まで直線A1 −C1 とA2 −C2 でむすび、それ
ぞれの直線の内側に凸なる部分を少なくとも1ケ所ある
ノズルで、ガス膨張部の開口角θ2が10°から30°
の範囲で、ガス導入部の開口角θ1が60°から120
°の範囲で、スロートの長さが1mm未満で、ガス膨張
部の長さLが3mmから20mmの範囲で設計すること
によって達成される。
部の形状が紡錐型で、ガスの導入部B1 −B2 からスロ
ートA1 −A2 まで直線A1 −B1 とA2 −B2 でむす
び、それぞれの直線の外側に少なくとも1ケ所の凸なる
部分があり、スロート部A1−A2 からガス膨張部C1
−C2 まで直線A1 −C1 とA2 −C2 でむすび、それ
ぞれの直線の内側に凸なる部分を少なくとも1ケ所ある
ノズルで、ガス膨張部の開口角θ2が10°から30°
の範囲で、ガス導入部の開口角θ1が60°から120
°の範囲で、スロートの長さが1mm未満で、ガス膨張
部の長さLが3mmから20mmの範囲で設計すること
によって達成される。
【0008】
【作用】クラスターは、ガスの真空中への断熱膨張によ
る冷却で生成される。ガスの温度は、音速と流速の比で
あるマッハ数の関数となる。マッハ数が大きいほどガス
の温度は低下し、クラスターは生成しやすくなる。我々
は、スロート(実際には有限の距離を有するのでスロー
ト区域と言うべきところ、便宜上スロートと表現する)
の長さを1 mm未満、あるいは、スロートを曲面で構成
することにより、エキシマ光の発光強度と発光効率が高
められることを実験的に発見した。スロートの形状と発
光強度や発光効率の関係は、必ずしも明らかではない
が、次のように考えられる。
る冷却で生成される。ガスの温度は、音速と流速の比で
あるマッハ数の関数となる。マッハ数が大きいほどガス
の温度は低下し、クラスターは生成しやすくなる。我々
は、スロート(実際には有限の距離を有するのでスロー
ト区域と言うべきところ、便宜上スロートと表現する)
の長さを1 mm未満、あるいは、スロートを曲面で構成
することにより、エキシマ光の発光強度と発光効率が高
められることを実験的に発見した。スロートの形状と発
光強度や発光効率の関係は、必ずしも明らかではない
が、次のように考えられる。
【0009】ラバールノズルにおいて、流体力学によれ
ば、ガスを超音速に加速する場合、マッハ数0からマッ
ハ数1未満まで加速する場合、ガス導入部の断面積は、
ガスの進行方向に対して減少させなければならない。そ
して、スロートで、マッハ数1に達すると、さらにガス
を加速するために、今度はガス膨張部の断面積を増加さ
せなければならない。このことから、スロートが同一の
径の筒状に形成されている場合、その長さは、可能な限
り短い方がよく、出来ればスロートの区域のガスの進行
方向に沿った断面は曲面であることが望ましい。
ば、ガスを超音速に加速する場合、マッハ数0からマッ
ハ数1未満まで加速する場合、ガス導入部の断面積は、
ガスの進行方向に対して減少させなければならない。そ
して、スロートで、マッハ数1に達すると、さらにガス
を加速するために、今度はガス膨張部の断面積を増加さ
せなければならない。このことから、スロートが同一の
径の筒状に形成されている場合、その長さは、可能な限
り短い方がよく、出来ればスロートの区域のガスの進行
方向に沿った断面は曲面であることが望ましい。
【0010】従来の円錐型ノズルでは、スロートが単純
な筒状でしかもその長さが1mm以上あったので、ガス
の加速が十分に行われていない可能性があった。そこ
で、スロートの区域の長さが短い円錐型ノズルを石英ガ
ラスで製作した。図3にその断面図を示す。スロートの
区域の長さが0.1mm、スロートの径dは0.3mm
で、ガス導入部の開口角θ1が60°から120°で、
ガス膨張部の長さLが3mmから20mmのノズルであ
る。ここで、図4に示すように、スロートの区域の長さ
Xは、ガス導入部およびガス膨張部の内面の接線10
0,101がスロート付近で離れる点を結んだ距離とす
る。
な筒状でしかもその長さが1mm以上あったので、ガス
の加速が十分に行われていない可能性があった。そこ
で、スロートの区域の長さが短い円錐型ノズルを石英ガ
ラスで製作した。図3にその断面図を示す。スロートの
区域の長さが0.1mm、スロートの径dは0.3mm
で、ガス導入部の開口角θ1が60°から120°で、
ガス膨張部の長さLが3mmから20mmのノズルであ
る。ここで、図4に示すように、スロートの区域の長さ
Xは、ガス導入部およびガス膨張部の内面の接線10
0,101がスロート付近で離れる点を結んだ距離とす
る。
【0011】ガス導入部の開口角θ1は、論文「Cor
ona excited supersonic ex
pansion」(Rev.Sci.Instrum.
57(9),September 1986,pp22
74−2277)によれば、90゜が良いとされている
が、実験の結果、今回使用した寸法・形状のノズルで
は、60°から120°まで変化させても良好な実験結
果が得られることがわかった。
ona excited supersonic ex
pansion」(Rev.Sci.Instrum.
57(9),September 1986,pp22
74−2277)によれば、90゜が良いとされている
が、実験の結果、今回使用した寸法・形状のノズルで
は、60°から120°まで変化させても良好な実験結
果が得られることがわかった。
【0012】また、ガス膨張部の長さLは、論文「Pr
operties of cluster beams
formed with supersonic n
ozzles」(W.Obert:Rarefied
Gas Dinamics,Vol.11,1181−
1190)によれば、水素クラスターを生成する円錐型
ノズルで、28mm以上が提案されている。我々のノズ
ルの寸法形状の範囲内でキセノンガスで種々の実験を行
ったところ、キセノンクラスター/キセノンエキシマを
良好に得るには、Lは3mmから20mmが良いことが
わかった。
operties of cluster beams
formed with supersonic n
ozzles」(W.Obert:Rarefied
Gas Dinamics,Vol.11,1181−
1190)によれば、水素クラスターを生成する円錐型
ノズルで、28mm以上が提案されている。我々のノズ
ルの寸法形状の範囲内でキセノンガスで種々の実験を行
ったところ、キセノンクラスター/キセノンエキシマを
良好に得るには、Lは3mmから20mmが良いことが
わかった。
【0013】クラスターのサイズは、スロート径dに比
例することが知られている。しかし、スロート径dを大
きくすると、ガスの流量はdの2乗で増加する。真空チ
ェンバーの圧力によっては、残留ガスと噴射ガスとの衝
突によりチェンバー内にマッハディスクが形成される。
マッハディスクに超音速のクラスター流が衝突するとク
ラスターは破壊されてしまう。したがって、マッハディ
スクより手前に放電用電極を配置する必要がある。マッ
ハディスクのノズルからの位置Yは、希ガスの背圧PO
と残留気体の圧力Pbを用いて次式で表される。
例することが知られている。しかし、スロート径dを大
きくすると、ガスの流量はdの2乗で増加する。真空チ
ェンバーの圧力によっては、残留ガスと噴射ガスとの衝
突によりチェンバー内にマッハディスクが形成される。
マッハディスクに超音速のクラスター流が衝突するとク
ラスターは破壊されてしまう。したがって、マッハディ
スクより手前に放電用電極を配置する必要がある。マッ
ハディスクのノズルからの位置Yは、希ガスの背圧PO
と残留気体の圧力Pbを用いて次式で表される。
【0014】Y=(2/3)d(PO/Pb)1/2
【0015】したがって、ノズルのスロート径dはガス
の流量と排気ポンプの排気速度によってきめれば良い。
の流量と排気ポンプの排気速度によってきめれば良い。
【0016】ノズルのガス膨張部の開口角θ2は10°
から20°がよい。これは次のように考えられる。放電
励起を行う場合、電極間にガスが存在しなければならな
い。さらに、グロー放電を生じさせるためには陰極近傍
にもガスが必要である。電極間や陰極近傍でのガスの分
布は、開口角θ2とノズル−電極間距離に依存する。ク
ラスターのサイズ分布は、ノズルの開口角θ2と関係が
あり、開口角が小さいほどクラスターの平均サイズは大
きくなることが知られている。つまり、放電条件とクラ
スターの生成条件より、ノズルの開口角に最適角がある
ことが予想される。
から20°がよい。これは次のように考えられる。放電
励起を行う場合、電極間にガスが存在しなければならな
い。さらに、グロー放電を生じさせるためには陰極近傍
にもガスが必要である。電極間や陰極近傍でのガスの分
布は、開口角θ2とノズル−電極間距離に依存する。ク
ラスターのサイズ分布は、ノズルの開口角θ2と関係が
あり、開口角が小さいほどクラスターの平均サイズは大
きくなることが知られている。つまり、放電条件とクラ
スターの生成条件より、ノズルの開口角に最適角がある
ことが予想される。
【0017】次に、円錐型ノズルをさらに発展させて、
ガス膨張部のガスの流れに沿った方向の断面が曲面から
なる紡錘型ノズルについても、キセノンエキシマの生成
をこころみた。図5に紡錘型ノズルの概念図を示す。紡
錘型ノズルは、次のように定義される。ガスの導入部B
1 −B2 からスロート部A1 −A2 まで直線A1 −B1
とA2 −A2 でむすび、それぞれの直線の外側に少なく
とも1ヶ所凸なる部分があり、スロート部A1 −A2 か
らガス膨張部C1 −C2 まで直線A1 −C1 とA2 −C
2でむすび、それぞれの直線の内側に凸なる部分を少な
くとも1ヶ所あるノズルを紡錘型ノズルとする。
ガス膨張部のガスの流れに沿った方向の断面が曲面から
なる紡錘型ノズルについても、キセノンエキシマの生成
をこころみた。図5に紡錘型ノズルの概念図を示す。紡
錘型ノズルは、次のように定義される。ガスの導入部B
1 −B2 からスロート部A1 −A2 まで直線A1 −B1
とA2 −A2 でむすび、それぞれの直線の外側に少なく
とも1ヶ所凸なる部分があり、スロート部A1 −A2 か
らガス膨張部C1 −C2 まで直線A1 −C1 とA2 −C
2でむすび、それぞれの直線の内側に凸なる部分を少な
くとも1ヶ所あるノズルを紡錘型ノズルとする。
【0018】紡錘型ノズルが円錐型ノズルよりエキシマ
の生成に適している理由はまだよくわかっていない。し
かし、以下のように考えられる。クラスターは、ガスの
真空中への断熱膨張による冷却で生成される。その生成
過程において、ガスの進行方向でのノズルの断面積の変
化は、ガス流のマッハ数とガス分子の衝突頻度に影響を
与える。円錐型ノズルではノズルの膨張部の断面積が単
調に増加するが、紡錘型ノズルではそうではなく、高次
関数的に変化する。この変化の違いがクラスターのサイ
ズ分布に差が生じ、放電励起に適したクラスターのサイ
ズ分布が得られると思われる。
の生成に適している理由はまだよくわかっていない。し
かし、以下のように考えられる。クラスターは、ガスの
真空中への断熱膨張による冷却で生成される。その生成
過程において、ガスの進行方向でのノズルの断面積の変
化は、ガス流のマッハ数とガス分子の衝突頻度に影響を
与える。円錐型ノズルではノズルの膨張部の断面積が単
調に増加するが、紡錘型ノズルではそうではなく、高次
関数的に変化する。この変化の違いがクラスターのサイ
ズ分布に差が生じ、放電励起に適したクラスターのサイ
ズ分布が得られると思われる。
【0019】種々の紡錘型のノズルについてテストを試
みた結果、円錐型ノズルの場合よりもキセノンエキシマ
強度が強く、発光効率も高いものが発見された。そのノ
ズルはガス膨張部の開口角θ2が10°から30°で、
ガス導入部の開口角θ1が60°から120°で、ガス
膨張部の長さLが3mmから20mmの範囲のノズルで
ある。
みた結果、円錐型ノズルの場合よりもキセノンエキシマ
強度が強く、発光効率も高いものが発見された。そのノ
ズルはガス膨張部の開口角θ2が10°から30°で、
ガス導入部の開口角θ1が60°から120°で、ガス
膨張部の長さLが3mmから20mmの範囲のノズルで
ある。
【0020】
【実施例】図1に示した装置を用いた。希ガスは、高速
パルスバルブ1によりラバールノズル2から真空チェン
バー3の内部に噴射される。ガスのパルス時間幅は10
msで、繰り返し数は0.5Hzである。真空チェンバ
ー3は予め口径10インチの油拡散ポンプで10-5To
rr程度の圧力まで排気してある。PO=8atmでガ
ス噴射した際のチェンバーの圧力Pbは、3×10-3T
orrで、マッハディスクの位置は、Y=284mmと
なる。
パルスバルブ1によりラバールノズル2から真空チェン
バー3の内部に噴射される。ガスのパルス時間幅は10
msで、繰り返し数は0.5Hzである。真空チェンバ
ー3は予め口径10インチの油拡散ポンプで10-5To
rr程度の圧力まで排気してある。PO=8atmでガ
ス噴射した際のチェンバーの圧力Pbは、3×10-3T
orrで、マッハディスクの位置は、Y=284mmと
なる。
【0021】ノズルの前方4mmには、一対の電極が配
置されており、陰極5には、直流高電圧(−3kV)が
印加されている。放電電流の制限抵抗6は100kΩで
ある。陰極5は直径3mmのタングステン製であり、そ
の先端は円錐状に加工した。陽極4は直径10mmのア
ルミニウム製である。電極間距離は3.6mmである。
陰極の先端はノズルの中心軸線上に位置するとともに、
その中心軸線は放電方向と直交するようにした。電極間
にガスが満たせれると放電が開始する。発生したエキシ
マ光は、真空紫外分光器で分光した後、真空紫外用蛍光
体と光電子増倍管で検出した。
置されており、陰極5には、直流高電圧(−3kV)が
印加されている。放電電流の制限抵抗6は100kΩで
ある。陰極5は直径3mmのタングステン製であり、そ
の先端は円錐状に加工した。陽極4は直径10mmのア
ルミニウム製である。電極間距離は3.6mmである。
陰極の先端はノズルの中心軸線上に位置するとともに、
その中心軸線は放電方向と直交するようにした。電極間
にガスが満たせれると放電が開始する。発生したエキシ
マ光は、真空紫外分光器で分光した後、真空紫外用蛍光
体と光電子増倍管で検出した。
【0022】円錐型ノズルを用いて、キセノン圧力が1
2atmで、陰極の印加電圧を−3kV、ピーク放電電
流が3.3mAである時のキセノンエキシマから放射さ
れる光の分光スペクトルを図6に示す。中心波長172
nmのキセノンエキシマ光のスペクトルが観測される。
2atmで、陰極の印加電圧を−3kV、ピーク放電電
流が3.3mAである時のキセノンエキシマから放射さ
れる光の分光スペクトルを図6に示す。中心波長172
nmのキセノンエキシマ光のスペクトルが観測される。
【0023】図7に石英ガラス製円錐型ノズル(d=
0.3mm)についてスロートの区域の長さXとキセノ
ンエキシマ光の出力の関係を示す。この図からわかるよ
うに、スロートの区域の長さXが短いほどエキシマ光の
強度は増加している。
0.3mm)についてスロートの区域の長さXとキセノ
ンエキシマ光の出力の関係を示す。この図からわかるよ
うに、スロートの区域の長さXが短いほどエキシマ光の
強度は増加している。
【0024】図8に円錐型ノズルのガス膨張部の開口角
θ2とキセノンエキシマ光の強度と発光効率の関係を示
す。この図からわかるように、開口角が10゜より開口
角の増加とともにエキシマ光の強度と発光効率は向上す
るが、20゜でエキシマ光の強度と発光効率はピークと
なり、それ以上大きい開口角では、エキシマ光の強度と
効率は減少する。このことからノズルの開口角θ2は3
0°までがよい。開口角20゜でのエキシマ光の出力は
72mWで、発光効率は0.38%となり、従来の円錐
型ノズルの場合と比較して発光強度は約4.5倍で、効
率は約2.4倍となり、ともに改善された。
θ2とキセノンエキシマ光の強度と発光効率の関係を示
す。この図からわかるように、開口角が10゜より開口
角の増加とともにエキシマ光の強度と発光効率は向上す
るが、20゜でエキシマ光の強度と発光効率はピークと
なり、それ以上大きい開口角では、エキシマ光の強度と
効率は減少する。このことからノズルの開口角θ2は3
0°までがよい。開口角20゜でのエキシマ光の出力は
72mWで、発光効率は0.38%となり、従来の円錐
型ノズルの場合と比較して発光強度は約4.5倍で、効
率は約2.4倍となり、ともに改善された。
【0025】次に、図9に示す紡錘型ノズルの一例を示
す。この図は、ガスの進行方向に沿った断面の実際の形
状を図示したものであって、その曲線については近似の
数式は求めていないが、設計は、図5に示す形状のノズ
ルと同一の考え方である。このノズルを用いて実験した
ところ、エキシマ光の発光強度は130mWとなり、発
光効率は0.65%となった。従来の円錐型ノズルの場
合と比較して発光強度は約8.1倍で、効率は約4.1
倍となり、さらに改善された。
す。この図は、ガスの進行方向に沿った断面の実際の形
状を図示したものであって、その曲線については近似の
数式は求めていないが、設計は、図5に示す形状のノズ
ルと同一の考え方である。このノズルを用いて実験した
ところ、エキシマ光の発光強度は130mWとなり、発
光効率は0.65%となった。従来の円錐型ノズルの場
合と比較して発光強度は約8.1倍で、効率は約4.1
倍となり、さらに改善された。
【0026】
【発明の効果】この様に、本発明によれば、放電励起に
より、効率よく希ガスエキシマが得られ、簡単な方法で
希ガスエキシマランプや希ガスエキシマレーザのための
希ガスエキシマの生成方法が提供できる。
より、効率よく希ガスエキシマが得られ、簡単な方法で
希ガスエキシマランプや希ガスエキシマレーザのための
希ガスエキシマの生成方法が提供できる。
【図1】希ガスエキシマを生成するための装置の説明図
である。
である。
【図2】従来の円錐型ノズルの説明図である。
【図3】本発明の円錐型ノズルの説明図である。
【図4】スロートの区域の長さの定義の説明図である。
【図5】本発明の紡錘型ノズルの説明図である。
【図6】キセノンエキシマから放射される光の分光スペ
クトルの説明図である。
クトルの説明図である。
【図7】スロートの区域の長さとエキシマ光の強度の関
係を示すデータの説明図である。
係を示すデータの説明図である。
【図8】膨張部の開口角とエキシマ光の強度および発光
効率の関係を示すデータの説明図である。
効率の関係を示すデータの説明図である。
【図9】本発明の紡錘型ノズルの一例の説明図である。
1 高速パルスバルブ 2 ラバールノズル 3 真空チェンバー 4 陽極 5 陰極 6 電流制限抵抗 7 直流高電圧電源 8 ガスの進行方向
Claims (2)
- 【請求項1】 希ガスを高速パルスバルブでノズルより
超音速で膨張させ、希ガスクラスターを生成させ、この
クラスターから希ガスのエキシマを生成する方法であっ
て、該ノズルは、ラバールノズルであり、該ノズルから
該ガスを超音速で噴射し該ノズル前方近傍空間領域に希
ガスのクラスターを生成せしめ、該空間領域をはさんで
一対の電極を配置し、該電極間の放電を利用して前記ク
ラスターを励起して希ガスのエキシマを生成する方法に
おいて、 ガス膨張部の形状が円錐型で、スロートの長さが 1mm
未満で、ガス導入部の開口角θ1が60°から120°
の範囲で、ガス膨張部の開口角θ2が10°から30°
の範囲で、ガス膨張部の長さLが3mmから20mmの
範囲で設計され、このノズルを用いたことを特徴とする
希ガスエキシマを生成する方法。 - 【請求項2】 希ガスを高速パルスバルブでノズルより
超音速で膨張させ、希ガスクラスターを生成させ、この
クラスターから希ガスのエキシマを生成する方法であっ
て、該ノズルは、ラバールノズルであり、該ノズルから
該ガスを超音速で噴射し該ノズル前方近傍空間領域に希
ガスのクラスターを生成せしめ、該空間領域をはさんで
一対の電極を配置し、該電極間の放電を利用して前記ク
ラスターを励起して希ガスのエキシマを生成する方法で
あって、 ガス膨張部の形状が紡錘型で、ガスの導入部B1 −B2
からスロートA1 −A2 まで直線A1 −B1 とA2 −B
2 でむすび、それぞれの直線の外側に少なくとも1ケ所
の凸なる部分があり、スロート部A1 −A2 からガス膨
張部C1 −C2まで直線A1 −C1 とA2 −C2 でむす
び、それぞれの直線の内側に凸なる部分を少なくとも1
ケ所あるノズルで、ガス膨張部の開口角θ2が10°か
ら30°の範囲で、ガス導入部の開口角θ1が60°か
ら120°の範囲で、スロートの長さが1mm未満で、
ガス膨張部の長さLが3mmから20mmの範囲で設計
され、このノズルを用いたことを特徴とする希ガスエキ
シマを生成する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7042995A JPH08242043A (ja) | 1995-03-06 | 1995-03-06 | 希ガスエキシマを生成する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7042995A JPH08242043A (ja) | 1995-03-06 | 1995-03-06 | 希ガスエキシマを生成する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08242043A true JPH08242043A (ja) | 1996-09-17 |
Family
ID=13431239
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7042995A Pending JPH08242043A (ja) | 1995-03-06 | 1995-03-06 | 希ガスエキシマを生成する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08242043A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002030612A1 (en) * | 2000-10-12 | 2002-04-18 | Ase Americas, Inc. | Gas assisted laser cutting of thin and fragile materials |
JP2006517498A (ja) * | 2003-01-16 | 2006-07-27 | エルベ シモエン | エア噴射装置の付属品及び該付属品を備える噴射装置 |
KR100813699B1 (ko) * | 2006-10-12 | 2008-03-14 | 인하대학교 산학협력단 | 저온 분사 코팅용 초음속 노즐 및 이를 이용한 저온 분사코팅 방법 |
KR100813698B1 (ko) * | 2006-10-12 | 2008-03-14 | 인하대학교 산학협력단 | 저온 분사 코팅용 초음속 노즐 및 이를 이용한 저온 분사코팅 방법 |
JP2010099639A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-05-06 | Ricoh Co Ltd | 流体噴射ノズル、粉砕装置およびトナー製造方法 |
-
1995
- 1995-03-06 JP JP7042995A patent/JPH08242043A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002030612A1 (en) * | 2000-10-12 | 2002-04-18 | Ase Americas, Inc. | Gas assisted laser cutting of thin and fragile materials |
US6423928B1 (en) * | 2000-10-12 | 2002-07-23 | Ase Americas, Inc. | Gas assisted laser cutting of thin and fragile materials |
JP2006517498A (ja) * | 2003-01-16 | 2006-07-27 | エルベ シモエン | エア噴射装置の付属品及び該付属品を備える噴射装置 |
KR100813699B1 (ko) * | 2006-10-12 | 2008-03-14 | 인하대학교 산학협력단 | 저온 분사 코팅용 초음속 노즐 및 이를 이용한 저온 분사코팅 방법 |
KR100813698B1 (ko) * | 2006-10-12 | 2008-03-14 | 인하대학교 산학협력단 | 저온 분사 코팅용 초음속 노즐 및 이를 이용한 저온 분사코팅 방법 |
JP2010099639A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-05-06 | Ricoh Co Ltd | 流体噴射ノズル、粉砕装置およびトナー製造方法 |
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