JPH08238838A - カラーインクジェット記録方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 効率的に黒画像領域とカラー画像領域の隣接
判定を行ない、高画質の記録を行なうカラーインクジェ
ット記録方法を提供する。 【構成】 イメージングシステム２は、文書７の描画デ
ータから、１回目の展開で、プリンタ６で記録する解像
度よりも低い解像度を有する黒マップ８およびカラーマ
ップ９への展開を行なう。マップ作成システム４は、黒
マップ８およびカラーマップ９をもとに、カラー領域と
隣接する黒領域を検出して指示マップ１０を作成する。
その後、イメージングシステム２は２回目の展開を開始
し、プリンタ６の解像度と同等のビットマッププレーン
１１への展開を行なう。出力データ生成システム５は、
マップ作成システム４で作成した指示マップ１０に従
い、滲みを抑えるための処理をビットマッププレーン１
１に対して行ない、出力データを生成する。そして、生
成した出力データをプリンタ６で記録する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、黒インクと、黒とは異
なる色のカラーインクを、描画データに基づき記録媒体
に吐出して所望のカラー画像を前記記録媒体上に形成す
るカラーインクジェット記録方法に関するものであり、
特に、記録媒体上に付着した複数のインクが互いに混合
することなく、鮮明な画像が得られるカラーインクジェ
ット記録方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、カラーインクジェット記録方法
では、例えば、シアン、マゼンタ、イエローなどの３色
のカラーインク、またはこれに黒インクを含めた４色の
インクを記録媒体に吐出してカラー画像を形成する。３
色のカラーインクを用いる場合、カラーインクは、色を
重ねて多くの色を表現する必要性から、速乾性のインク
が用いられている。この３色のカラーインクを用いて黒
を形成する場合には、３色のカラーインクをすべて重ね
て記録する。しかし、このようにして記録された黒の領
域では、十分な濃度が得られず、また、不鮮明になると
いう問題がある。そのため、後者のように、黒インクを
別に設け、黒領域では黒インクを用いて記録を行なって
いる。

【０００３】４色を用いて記録を行なう場合、黒の濃度
を上げ、鮮明な記録を行なうため、黒インクとして遅乾
性のインクが使用される。このように、黒インクとカラ
ーインクは、通常、記録媒体に浸透定着するまでの時間
が異なる。そのため、黒インクとカラーインクが隣接し
て記録される場合には、その浸透速度の差から遅乾性の
黒インクが滲むいわゆるフェザリングが発生してしまう
という問題がある。

【０００４】これを解決するため、例えば、特開平６−
１３５０１２号公報では、黒画像領域に隣接してカラー
画像領域が存在するか否かを判定し、判定結果に応じて
本来黒領域である部分をカラーインクによって記録を行
なうように記録データを置き換えて記録を行なってい
る。このように黒領域をカラーインクで記録するように
置き換えることを、以下、プロセスブラック化と呼ぶ。
また、別の方法として、黒画像の滲みを防ぐために、下
地色として黒以外のカラーインクを併せて形成するカラ
ーインクジェット記録方法もある。

【０００５】また、特開平５−２７６３７３号公報に記
載されている方法では、各色ごとのビットマップデータ
から黒テーブルおよびカラーテーブルをあらかじめ作成
しておき、この黒テーブルとカラーテーブルを用いて黒
画像領域に隣接したカラー画像領域を判定する。そし
て、カラー画像領域と接する黒画像領域の黒は、プロセ
スブラック化して印刷している。この方法では、黒テー
ブルおよびカラーテーブルの作成には、あらかじめ画像
をプリント時と同様にビットマップに展開し、８×８ド
ットの領域上のドットの有無を調べ、１点でも存在すれ
ばその領域にはドットが存在するとしてそれを１ビット
で表現する。これによって、縦横ともに１／８に縮小さ
れたテーブルを作成している。そのため、全ての黒画素
に対し、カラー画像領域と隣接するか否かの検査を行な
うため、黒領域の面積が広い場合や、ほとんどモノクロ
だけで構成されるテキスト画像ほど処理効率が低下す
る。また、一旦、プリント時と同様のビットマップに展
開するため、メモリやＣＰＵパワー、時間等のリソース
を多く必要とするという問題がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点に鑑みてなされたもので、効率的に黒画像領域とカ
ラー画像領域の隣接判定を行ない得るカラーインクジェ
ット記録方法を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、黒インクと黒
とは異なる色のカラーインクを描画データに基づき記録
媒体に吐出して所望のカラー画像を前記記録媒体上に形
成するカラーインクジェット記録方法において、最終的
に記録する解像度よりも荒い解像度で前記描画データか
ら前記黒インクにより記録される画像の黒マップ画像お
よび前記カラーインクにより記録される画像のカラーマ
ップ画像を作成し、前記黒マップ画像および前記カラー
マップ画像を用い前記カラーインクにより記録されるカ
ラー領域と前記黒インクにより記録される黒領域が隣接
あるいは重なる可能性のある黒領域を判定し、判定され
た黒領域については前記描画データから記録する解像度
で作成されたビットマップデータに対して変換処理を行
なって記録データを作成し、該記録データに基づき記録
を行なうことを特徴とするものである。

【０００８】前記描画データから前記黒マップ画像およ
び前記カラーマップ画像を作成する際には、請求項２に
記載の発明のように、最小線幅を変化させ、最終的に記
録する解像度よりも荒い解像度において線が欠落しない
線幅に変換してから前記黒マップ画像および前記カラー
マップ画像を作成することができる。また、請求項３に
記載の発明のように、文字を特定のパターンに置き換え
てから前記黒マップ画像および前記カラーマップ画像を
作成することができる。

【０００９】

【作用】本発明によれば、カラー領域と黒領域の隣接の
判定に用いる黒マップ画像およびカラーマップ画像は、
最終的に記録する解像度よりも荒い解像度で前記描画デ
ータから直接生成する。そのため、黒マップ画像および
カラーマップ画像の生成のために、従来のようにデータ
量の多いビットマップデータを処理する必要はなく、少
ないリソースで効率的に黒マップ画像およびカラーマッ
プ画像を生成することができる。なお、黒マップ画像お
よびカラーマップ画像の解像度としては、最終的に記録
する解像度の１／８程度とすることができる。

【００１０】そのまま粗い解像度で描画データを展開し
たのでは、細い線や小さな文字が消えてしまうという不
具合を生じる可能性がある。そのため、請求項２に記載
の発明では画像を展開する際の線幅の最小値を、また、
請求項３に記載の発明では文字の大きさの最小値を、粗
い解像度でも消えない程度に設定しておく。これによ
り、粗い解像度で展開しても、細い線や小さな文字等の
情報を損なうこと無く黒マップ画像およびカラーマップ
画像を作成でき、黒の細い線や小さな文字が他の色と隣
接あるいは重なった場合でも判定を行なうことが可能と
なる。

【００１１】また、荒い解像度の黒マップ画像およびカ
ラーマップ画像を作成するだけならば文字の形状等は無
意味なので、請求項３に記載の発明では、文字の大きさ
を示す矩形領域を塗りつぶすような特殊な単純なフォン
トを使用して展開する。これにより、文字の展開が簡略
化され、より効率的に黒マップ画像およびカラーマップ
画像の生成処理を行なうことができる。

【００１２】

【実施例】図１は、本発明のカラーインクジェット記録
方法を実現するシステムの一例を示す構成図である。図
中、１はアプリケーション、２はイメージングシステ
ム、３はイメージング設定部、４はマップ作成システ
ム、５は出力データ生成システム、６はプリンタ、７は
文書、８は黒マップ、９はカラーマップ、１０は指示マ
ップ、１１はビットマッププレーンである。

【００１３】アプリケーション１は、文書７の記録をイ
メージングシステム２に指示する。文書７は、テキスト
データ、グラフィックデータ、あるいは、イメージデー
タなどを含むことができる。

【００１４】イメージングシステム２は、文書７を記述
するテキストデータ、グラフィックデータ、イメージデ
ータをもとに、２回の展開を行なう。１回目の展開で
は、プリンタ６で記録する解像度よりも低い解像度を有
する黒マップ８およびカラーマップ９への展開を行な
う。また、２回目の展開では、プリンタ６で記録する解
像度を有するビットマッププレーン１１への展開を行な
う。１回目の展開では、黒で記録する部分のみを黒マッ
プ８へ展開し、黒を除く他の色の少なくとも１色で記録
する部分をカラーマップ９へ展開する。黒マップ８およ
びカラーマップ９の解像度としては、プリンタ６で記録
する解像度の１／８とすることができる。また、黒マッ
プ８およびカラーマップ９への展開時には、後述するよ
うに、イメージング設定部３で設定されている最小線幅
を用いて細い線の線幅を補正したり、すべてのフォント
を大きさだけを表わす特殊なフォントに置き換える等の
処理も行なう。２回目のビットマッププレーン１１への
展開では、プリンタ６で用いる色、例えば、シアン、マ
ゼンタ、イエロー、黒の各色ごとに分解してそれぞれの
ビットマッププレーン１１に展開する。

【００１５】マップ作成システム４は、イメージングシ
ステム２で作成された黒マップ８およびカラーマップ９
をもとに、カラー領域と隣接あるいは重なる黒領域を検
出して指示マップ１０を作成する。指示マップ１０は、
黒領域とカラー領域が隣接しているために起こる滲みを
抑えるための処理を行なう必要のある領域を示すマップ
である。

【００１６】出力データ生成システム５は、マップ作成
システム４で作成した指示マップ１０に従い、滲みを抑
えるための処理をビットマッププレーン１１に対して行
ない、出力データを生成する。そして、生成した出力デ
ータをプリンタ６で記録する。滲みを抑えるための処理
としては、例えば、プロセスブラック化の処理や、黒の
下地色として黒以外のカラーインクを併せて形成する処
理等を用いることができる。プロセスブラック化の処理
を行なう場合には、指示マップ１０が処理を指示してい
る領域に対して、イメージングシステム２で２回目の展
開で得られた黒のビットマッププレーン１１中の指示さ
れた領域のデータを他の色のビットマッププレーン１１
に移し、黒の領域を他の色を用いて記録する出力データ
を生成する。また、黒の下地色として黒以外のカラーイ
ンクを併せて形成する処理を行なう場合には、指示マッ
プ１０が処理を指示している領域のある特定色のビット
マッププレーン１１に対して、黒インクを滴下する前あ
るいは後に、黒領域に特定色のインクが滴下されるよう
なデータを書き込み、出力データを作成する。

【００１７】プリンタ６に送られるデータは、ページ中
のインクを配置する位置をビットマップで表わしたビッ
トマッププレーン１１で示されている。カラープリンタ
の場合は、このビットマッププレーンがそれぞれの色に
ついて設けられる。例えば、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、黒の４色を用いるカラープリンタでは、合計４プレ
ーン分のビットマッププレーン１１が必要となる。

【００１８】黒マップ８およびカラーマップ９は、黒の
ビットマッププレーンおよびその他の色のビットマップ
プレーンに展開される画像よりも低い解像度で展開され
た画像を示している。このような低い解像度のマップを
用いることで、マップ作成システム４における指示マッ
プ１０の作成時の処理時間の短縮や、指示マップ１０の
容量の削減など、効率的な処理を実現している。

【００１９】図２は、ビットマッププレーン１１と、黒
マップ８およびカラーマップ９との関係の説明図であ
る。図２（Ａ）は、ある１色のビットマッププレーン１
１の一部のみを示している。また、図２（Ｂ）は黒マッ
プ８またはカラーマップ９の一部を示している。黒マッ
プ８とカラーマップ９は同様の構成であるので、ここで
は区別せずにマップと呼ぶことにする。マップの解像度
をビットマッププレーンの解像度の１／８とするとき、
マップの１ドットは、ビットマッププレーンの８×８ド
ットに対応する。すなわち、ビットマッププレーンの８
×８ドットごとの各領域ごとにマップのドットが対応づ
けられている。

【００２０】基本的には、ビットマッププレーンの８×
８ドットのうち、１ドットでも１であるドットが存在す
る場合、対応するマップのドットが１となるように、イ
メージングシステム２は１回目の展開を行なう。この１
回目の展開により、図２（Ａ）に示した線の描画を指示
するグラフィックデータから、図２（Ｂ）に示すマップ
が作成される。この段階では、図２（Ａ）に示すビット
マッププレーンは作成されない。マップ作成システム４
は、１回目の展開により作成された黒マップ８およびカ
ラーマップ９をもとに指示マップ１０を作成するが、こ
の指示マップ１０も黒マップ８およびカラーマップ９と
同様のビットマッププレーン１１との対応関係を有して
いる。そして、２回目の展開時に、図２（Ａ）に示すよ
うなビットマッププレーンへの展開が行なわれる。

【００２１】次に、本発明のカラーインクジェット記録
方法を実現するシステムの一例における動作を説明す
る。イメージングシステム２は、アプリケーション１か
ら文書７の記録が指示されると、文書７のデータから１
回目の展開を行なって、黒マップ８およびカラーマップ
９を作成する。図３は、黒マップ８およびカラーマップ
９の作成処理の説明図である。図３において太い実線の
枠が黒マップ８、カラーマップ９を作成する際の解像度
に対応した画素の大きさを示している。また、細い破線
は、プリンタ６で記録を行なう際の解像度に対応した画
素の大きさを参考のため示している。ここでは、黒マッ
プ８およびカラーマップ９を作成する際の解像度を、プ
リンタ６で記録を行なう際の解像度の１／８とした場合
の例を示している。

【００２２】イメージングシステム２は、１回目の展開
において、文書７のデータのうち、黒で記録を行なうデ
ータをもとに、プリンタ６で記録を行なう解像度の１／
８の解像度で展開を行なって、黒マップ８を作成する。
図３（Ａ）に示すように、左端の画素に線が描画される
際には、黒マップ８の左端の画素の値が「１」となる。
同様に、黒以外の色で記録を行なうデータをもとに、カ
ラーマップ９を作成する。このとき、黒以外のどの色で
描画される場合でも、カラーマップ９への展開が行なわ
れる。図３（Ｂ）では、シアンにより左から２番目の画
素に線が描画されている。ほかのマゼンタやイエローな
どに描画されなくても、カラーマップ９の左から２番目
の画素は「１」となる。このようにして、文書７のデー
タに基づき、描画する色に応じて、黒マップ８およびカ
ラーマップ９への展開を行なう。

【００２３】このようにして作成された黒マップ８およ
びカラーマップ９は、次のような意味を持っている。例
えば、図３（Ａ）に示す黒マップ８の例では、黒マップ
８の第１ビットが「１」であるので黒のビットマッププ
レーン１１の左上８×８ドット中に黒インクを滴下する
べき画素が存在することを意味する。また、黒マップ８
の第２ビットが「０」であるので、黒のビットマッププ
レーン１１の左上から２番目の８×８ドット中には黒イ
ンクを滴下するべき画素が存在しないことを意味してい
る。同様に、カラーマップの第１ビットの「０」は、Ｃ
ＭＹビットマッププレーンのいずれにも左上８×８ドッ
ト中にはインクを滴下するべき画素が存在しないことを
意味し、第２ビットの「１」は、シアン、マゼンタ、イ
エローのビットマッププレーン１１のいずれかにインク
を滴下するべき画素があることを意味している。

【００２４】ここで、図２（Ａ）に示すように黒マップ
８およびカラーマップ９の解像度における画素の大きさ
よりも線幅の細い線を、黒マップ８およびカラーマップ
９への展開時に単純に展開すると、線幅が１ドットに満
たないために、処理の方法によっては図２（Ｂ）に示す
ようなマップデータが得られない場合がある。これは、
図３に示した例においても同様である。例えば、解像度
が６００ｄｐｉ（２５．４ｍｍ当たりのドット数）のプ
リンタのために画像を展開するとき、黒マップ８、カラ
ーマップ９の解像度を１／８とすれば、７５ｄｐｉで展
開することになる。その場合、本来のプリンタの持つ解
像度で表現できる細線は、理論上１／６００インチ線幅
（１インチ＝２５．４ｍｍ。以下同じ）であるが、７５
ｄｐｉで展開した場合は表現できる線幅は１／７５イン
チ線幅となってしまう。そうすると、文書７中で、例え
ば、１／２００インチ線幅の線を描画するコマンドが存
在すると、黒マップ８およびカラーマップ９への展開で
線は消えてしまい、６００ｄｐｉで展開した場合の８×
８ドット中のビット情報を保持しているはずのマップ情
報に誤りが生じてしまう。

【００２５】これを回避するため、イメージングシステ
ム２の持つ展開条件を変えることによって対処する。す
なわち、イメージングシステム２における線を描画する
グラフィックデータの黒マップ８、カラーマップ９への
展開時には、イメージング設定部３で設定されている最
小線幅を用いて線幅の修正を行なう。図４は、線幅補正
処理の一例を示すフローチャートである。文書７中の線
や矩形などはグラフィックコマンドを使って表現されて
おり、そのコマンドの中で描画しようとする線の幅が指
定されている。イメージングシステム２は、Ｓ２１にお
いて、描画しようとする線の幅がイメージング設定部３
で設定されている最小線幅以下か否かを判定する。そし
て、最小線幅以下の場合には、Ｓ２２において、イメー
ジング設定部３で設定されている最小線幅を用い、線幅
を最小線幅に設定し、Ｓ２３で展開を行なう。例えば、
黒マップ８およびカラーマップ９の解像度が１／７５ｄ
ｐｉのとき、イメージング設定部３で最小線幅を１／７
５インチ線幅に指定してやれば、グラフィックコマンド
中の例えば１／２００インチ線幅の線も、イメージング
システム３によって１／７５インチ線幅まで太くして展
開されることになる。このような処理によって、最小線
幅よりも細い線幅が指定されていても、展開する際には
線幅を最小線幅まで太くして描画するので、確実に細い
線が黒マップ８およびカラーマップ９に反映されること
になる。

【００２６】また、イメージングシステム２における文
字を描画するデータの黒マップ８、カラーマップ９への
展開時には、すべてのフォントを大きさだけを表わす特
殊なフォントに置き換える。線や矩形の場合と同様に、
黒マップ８およびカラーマップ９への展開では、低解像
度のために文字情報が正しく展開されないことがある。
文書７においては、文字は文字のコードとともに文字の
大きさとフォントのタイプ等の情報が含まれている。黒
マップ８およびカラーマップ９に対する処理は、文字フ
ォントや文字タイプとは無関係に行なわれるので、それ
ぞれの文字のフォント、タイプに応じて展開を行なうこ
とは無駄である。そのため、黒マップ８およびカラーマ
ップ９への展開時には、文字コードやフォントのタイプ
に関係なく、全てのフォントを大きさだけを表す特殊な
フォントに置き換えてしまう。このとき、置き換えるフ
ォントの大きさは、黒マップ８およびカラーマップ９に
おいて反映される大きさとする。

【００２７】図５は、フォントの置き換え処理の一例の
説明図である。例えば、図５（Ａ）に示すように、「あ
いうえお」と記録する描画データが与えられたとき、こ
れを図５（Ｂ）に示すようにすべて「■」に置き換えて
展開する。このとき、例えば、明朝体やゴシック体とい
った文字のタイプも区別しない。また、「■」の大きさ
は、描画する文字の大きさに従った大きさとすることが
できる。例えば、１０ポイントの明朝体と、２４ポイン
トのゴシック体を使って文書を記述していたとすると、
略１０ポイントの大きさの「■」と、略２４ポイントの
大きさの「■」に展開される。また、黒マップ８および
カラーマップ９の解像度よりも小さな文字、例えば、１
／７５インチよりも小さな文字は、１／７５インチの大
きさの「■」に置き換える。「■」の大きさは、１／７
５インチの倍数とすることもできる。もちろん、置き換
える記号は「■」に限らない。

【００２８】このようにして作成された黒マップ８およ
びカラーマップ９を用い、マップ作成システム４は指示
マップ１０を作成する。指示マップ１０は、上述のよう
に、黒インク領域と色インク領域が隣接しているために
起こる滲みを抑えるための処理をどの画素に施すかを示
したものである。指示マップ１０は、まず黒マップ８と
カラーマップ９を用いて仮の指示マップを作成する処理
を行ない、その後、黒マップ８と仮の指示マップから最
終的な指示マップを作成するという２段階の処理によっ
て作成される。

【００２９】図６は、仮の指示マップを作成する処理の
一例を示すフローチャート、図７は、仮の指示マップを
作成する処理の具体例の説明図である。図７に示すよう
に、黒マップ８のあるドットに注目し、そのドットを注
目ドットａとする。そして、その周囲８ドットをドット
ｂないしドットｉとする。これらの注目ドットａおよび
ドットｂないしｉに対応するカラーマップのドットをド
ットａ’ないしｉ’とし、さらに、対応する指示マップ
のドットをドットａ”ないしｉ”とする。

【００３０】Ｓ３１において、黒マップ８の注目ドット
ａを参照し、その値が「０」であればＳ３５までスキッ
プする。注目ドットａの値が「０」でなければ、Ｓ３２
において、注目ドットａに対応するカラーマップ９のド
ットｂ’ないしｉ’を参照する。そして、それらのドッ
トのうちで１つでも値が「１」であるビットが存在する
か否かを判定する。１つでも値が「１」のドットが存在
すれば、Ｓ３３において、指示マップ１０の対応するド
ットａ”の値を「１」とし、黒マップ８の注目ドットａ
の値を「０」にする。また、ドットｂ’ないしｉ’のい
ずれのドットの値も「０」である場合には、Ｓ３４にお
いて、指示マップ１０の対応するドットａ”の値を
「０」にする。

【００３１】Ｓ３５において、黒マップ８の各ドットを
注目ドットとした処理が終了したか否かを判定し、未処
理のドットが存在する場合には、Ｓ３６で注目ドット
を、例えば、右にずらし、最右端の場合には次のライン
の最左端に設定し、Ｓ３１へ戻って新たな注目ドットに
ついての処理を行なう。このようにして黒マップ８中の
全てのドットについて上述の処理を行なうことによっ
て、仮の指示マップができあがる。

【００３２】図７に示した具体例では、黒マップ８の注
目ドットの値は「１」である。そのため、Ｓ３１からＳ
３２へ進み、カラーマップ９のドットｂ’ないしｉ’を
参照する。この例では、ドットｃ’が「１」であるの
で、Ｓ３３に進み、指示マップ１０の注目ドットに対応
するドットａ”を「１」とし、黒マップ８の注目ドット
ａを「０」に変更する。

【００３３】このようにして作成された仮の指示マップ
は、黒領域とカラー領域とが隣接している場合の接点と
なるドットを示している。次の最終的な指示マップを作
成する処理によって、接点となるドットをもとに、カラ
ー領域と隣接する黒領域全体を処理対象とするように、
指示マップを書き換える。

【００３４】図８は、仮の指示マップから最終的な指示
マップを作成する処理の一例を示すフローチャート、図
９は、最終的な指示マップを作成する処理の具体例の説
明図である。図９に示すように、仮の指示マップのある
ドットに注目し、そのドットを注目ドットｊ”とする。
そして、その周囲８ドットをドットｋ”ないしドット
ｒ”とする。これらの注目ドットｊ”およびドットｊ”
ないしｒ”に対応する黒マップのドットをドットｊない
しｒとする。

【００３５】Ｓ４１において、仮の指示マップ内のビッ
トｊ”に注目する。注目ドットｊ”が「０」か否かを判
定し、「０」の場合にはＳ４４に進む。「０」でない場
合には、注目ドットｊ”周囲の８つのドットｋ”ないし
ｒ”に対応する黒マップ８のドットｋないしｒを参照す
る。Ｓ４２において、ドットｋないしｒの値が「１」の
ドットがあるか否かを判定し、値が「１」のドットがあ
る場合には、Ｓ４３において、そのドットの値を「０」
に変更し、対応する指示マップ１０のドットの値を
「１」にする。

【００３６】Ｓ４４において、指示マップ１０の各ドッ
トを注目ドットとした処理が終了したか否かを判定し、
未処理のドットが存在する場合には、未処理のドットの
一つを注目ドットして、Ｓ４１へ戻って新たな注目ドッ
トについての処理を行なう。このようにして、仮の指示
マップのドットの値が「１」のドットの周囲８ドットに
は、黒マップのドットの値が「１」であるドットが存在
しなくなるまで繰り返し処理を行ない、最終的な指示マ
ップが生成される。

【００３７】例えば、図９に示した具体例では、仮の指
示マップ１０における注目ドットｊ”の値は「１」であ
る。注目ドットｊ”に対応する黒マップ８のドットｊの
周囲のドットｋないしｒを参照し、値が「１」のドット
を探すと、ドットｌおよびｑの値が「１」である。そこ
で、ドットｌおよびｑの値を「０」に変更するととも
に、指示マップ１０の対応するドットｌ”およびｑ”の
値を「１」にする。このような処理を、指示マップ１０
の値が「１」のドットについて、その周囲のドットに対
応する黒マップ８のドットの値が「１」で無くなるまで
処理を繰り返すことによって、指示マップ１０には、カ
ラー領域と隣接する黒領域の部分のドットの値が「１」
として示される。

【００３８】このようにして生成された指示マップ１０
だけをメモリ中に保持して、イメージングシステム２は
２回目の展開を開始する。出力データ生成システム５
は、指示マップ１０を参照し、指示マップ１０のドット
の値が「１」の場合には、その指示マップ１０のドット
に対応した８×８ドットのビットマップデータについ
て、滲みを抑えるための処理を行ない、出力データを生
成する。そして、生成した出力データをプリンタ６で記
録する。

【００３９】滲みを抑えるための処理としてプロセスブ
ラック化の処理を行なう場合、黒の８×８のビットマッ
プデータのうち、値が「１」のドットについて、これら
を「０」とするとともに、シアン、マゼンタ、イエロー
の各色の対応するドットの値をそれぞれ「１」にする。
このようにして作成した出力データをプリンタ６に送っ
て記録を行なうことにより、カラー領域に隣接する黒領
域は、速乾性のカラーインクによって記録され、滲みを
減少させることができる。

【００４０】また、黒の下地色として黒以外のカラーイ
ンク、例えば、シアンを併せて形成する処理を行なう場
合には、黒の８×８ドットのビットマップデータのう
ち、値が「１」のドットの部分について、０より大きな
割合でシアンのビットマップデータとして値が「１」の
ドットを追加する。このようにして作成した出力データ
をプリンタ６に送って記録を行なうことにより、黒領域
では黒インクによる記録の前あるいは後にシアンのイン
クが重ねて記録される。シアンのインクが先に記録され
る場合には、シアンのインクによって記録紙は吸湿性が
向上しているため、遅乾性の黒インクの記録時にも滲み
は少ない。また、シアンのインクを後に記録する場合、
速乾性のシアンのインクによって遅乾性の黒インクの浸
透が促進され、やはり滲みを少なくすることができる。
もちろん、黒インクと重ねて記録するインクは、シアン
に限らない。

【００４１】上述の滲みを抑えるための処理は、指示マ
ップ１０の値が「１」のドットに対応するビットマップ
データに対して行なわれる。そのため、カラー領域に隣
接しない黒領域については、そのまま黒インクのみによ
って記録される。これにより、鮮明な記録を行なうこと
ができる。

【００４２】上述の説明では、カラー領域に隣接する黒
領域を、指示マップという形で抽出し、滲みを抑えるた
めの処理を行なったが、仮の指示マップからカラー領域
に隣接するある一定範囲の黒領域のみに対して滲みを抑
えるための処理を行なうように構成してもよい。さら
に、仮の指示マップから黒領域の輪郭線を抽出し、カラ
ー領域と隣接する輪郭線部分あるいは輪郭線全体に対し
て、滲みを抑えるための処理を行なうように構成するこ
ともできる。

【００４３】また、上述の処理は、１ページ分の描画デ
ータごとに行なってもよいし、また、ある領域ごとに分
割して行なうように構成してもよい。分割して行なう場
合には、ビットマッププレーンも小容量で済むので、一
旦ビットマップデータに展開してから黒マップ８および
カラーマップ９を作成するように構成してもよい。

【００４４】図１０は、本発明のカラーインクジェット
記録方法を実現するシステムの具体的な機器構成の一例
を示す構成図である。図中、５１はホストコンピュー
タ、５２はプリンタドライバ、５３は受信バッファ、５
４は大容量記憶装置、５５はＣＰＵ、５６は主記憶装
置、５７は入出力装置、５８，６２はプリンタＩ／Ｆ
部、６１はプリンタ、６３は記録部である。この具体例
では、ホストコンピュータ５１とプリンタ６１によって
実現した構成を示している。もちろん、これに限らず、
プリンタ６１単体で構成することもできる。

【００４５】ホストコンピュータ５１は、大容量記憶装
置５４、ＣＰＵ５５、主記憶装置５６、入出力装置５
７、プリンタＩ／Ｆ５８等を含んでいる。また、主記憶
装置５６には、プリンタドライバ５２の機能を実現する
プログラム、および、外部から転送されてくる記録すべ
き文書などのデータを一時記憶する受信バッファ５３等
が格納されている。

【００４６】外部からホストコンピュータ５１に転送さ
れてくる記録すべき文書などの画像データは、一括し
て、あるいは分割領域単位で、受信バッファ５３へ格納
される。その後、大容量記憶装置５４などに転送しても
よい。プリンタドライバ５２のプログラムはＣＰＵ５５
で実行され、受信バッファ５３上の画像データをプリン
タ６１で使われる黒とカラーインク（例えば、シアン、
マゼンタ、イエロー）に色分解し、黒画像領域について
はさらに２値化を施す。そして、上述のような黒マップ
８およびカラーマップ９への展開、黒マップ８およびカ
ラーマップ９を用いた指示マップ１０の生成、ビットマ
ッププレーンへの展開と指示マップを用いた滲みを抑制
する処理等を行なう。これらの処理によって生成された
出力画像データは、プリンタＩ／Ｆ部５８から、プリン
タ６１のプリンタＩ／Ｆ部６２を介して記録部６３に送
られ、記録部６３において実際の記録が行なわれる。

【００４７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、カラー領域と黒領域が隣接する場合、黒領域
に対して滲みを抑えるような変換処理を行なうことによ
って、記録品質を向上させている。カラー領域と黒領域
の隣接の判定の際には、黒マップ画像およびカラーマッ
プ画像を用いるが、この黒マップ画像およびカラーマッ
プ画像は、最終的に記録する解像度よりも荒い解像度で
描画データから直接生成する。そのため、黒マップ画像
およびカラーマップ画像の生成のために、従来のように
データ量の多いビットマップデータを処理する必要はな
く、少ないリソースで効率的に黒マップ画像およびカラ
ーマップ画像を生成することができる。このように、本
発明によれば、記録速度と画質の向上を両立させたカラ
ーインクジェット記録方法を提供することができる。

【００４８】また、黒マップ画像およびカラーマップ画
像を作成する際に、そのまま粗い解像度で描画データを
展開した場合に、細い線や小さな文字が黒マップ画像、
カラーマップ画像から消えてしまうという不具合を解消
し、細い線や小さな文字であっても、粗い解像度のマッ
プ画像で黒領域とカラー領域との判定を行なうことがで
き、滲みを抑えた記録を行なうことができるという効果
がある。このとき、文字をある特定のフォントに展開す
ることにより、さらに効率的に記録処理を実行すること
ができるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のカラーインクジェット記録方法を実
現するシステムの一例を示す構成図である。

【図２】 ビットマッププレーン１１と、黒マップ８お
よびカラーマップ９との関係の説明図である。

【図３】 黒マップ８およびカラーマップ９の作成処理
の説明図である。

【図４】 線幅補正処理の一例を示すフローチャートで
ある。

【図５】 フォントの置き換え処理の一例の説明図であ
る。

【図６】 仮の指示マップを作成する処理の一例を示す
フローチャートである。

【図７】 仮の指示マップを作成する処理の具体例の説
明図である。

【図８】 仮の指示マップから最終的な指示マップを作
成する処理の一例を示すフローチャートである。

【図９】 最終的な指示マップを作成する処理の具体例
の説明図である。

【図１０】 本発明のカラーインクジェット記録方法を
実現するシステムの具体的な機器構成の一例を示す構成
図である。

【符号の説明】

１…アプリケーション、２…イメージングシステム、３
…イメージング設定部、４…マップ作成システム、５…
出力データ生成システム、６…プリンタ、７…文書、８
…黒マップ、９…カラーマップ、１０…指示マップ、１
１…ビットマッププレーン。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 黒インクと黒とは異なる色のカラーイン
   クを描画データに基づき記録媒体に吐出して所望のカラ
   ー画像を前記記録媒体上に形成するカラーインクジェッ
   ト記録方法において、最終的に記録する解像度よりも荒
   い解像度で前記描画データから前記黒インクにより記録
   される画像の黒マップ画像および前記カラーインクによ
   り記録される画像のカラーマップ画像を作成し、前記黒
   マップ画像および前記カラーマップ画像を用い前記カラ
   ーインクにより記録されるカラー領域と前記黒インクに
   より記録される黒領域が隣接あるいは重なる可能性のあ
   る黒領域を判定し、判定された黒領域については前記描
   画データから記録する解像度で作成されたビットマップ
   データに対して変換処理を行なって記録データを作成
   し、該記録データに基づき記録を行なうことを特徴とす
   るカラーインクジェット記録方法。
2. 【請求項２】 前記描画データから前記黒マップ画像お
   よび前記カラーマップ画像を作成する際に、最小線幅を
   変化させ、最終的に記録する解像度よりも荒い解像度に
   おいて線が欠落しない線幅に変換してから前記黒マップ
   画像および前記カラーマップ画像を作成することを特徴
   とする請求項１に記載のカラーインクジェット記録方
   法。
3. 【請求項３】 前記描画データから前記黒マップ画像お
   よび前記カラーマップ画像を作成する際に、文字を特定
   のパターンに置き換えてから前記黒マップ画像および前
   記カラーマップ画像を作成することを特徴とする請求項
   １に記載のカラーインクジェット記録方法。