JPH0823783A - 葉の成分量を基にした植物の生育管理方法 - Google Patents

葉の成分量を基にした植物の生育管理方法

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JPH0823783A
JPH0823783A JP18068494A JP18068494A JPH0823783A JP H0823783 A JPH0823783 A JP H0823783A JP 18068494 A JP18068494 A JP 18068494A JP 18068494 A JP18068494 A JP 18068494A JP H0823783 A JPH0823783 A JP H0823783A
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growth
leaf
plant
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JP18068494A
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English (en)
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Satoru Satake
覺 佐竹
Yukio Hosaka
幸男 保坂
Kiyoto Kagawa
清登 香川
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Satake Engineering Co Ltd
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Satake Engineering Co Ltd
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  • Cultivation Of Plants (AREA)
  • Fertilizing (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物の目的収穫物の生育管理を簡便にするた
めの植物の生育管理方法を得る。 【構成】 透過受光手段12と反射受光手段10とによ
り受光されA/D変換回路18から演算制御回路19に
送出される透過光量信号と反射光量信号とによって被測
定葉の吸光度を演算し、さらにこの吸光度をあらかじめ
定めた成分量推定式に代入することにより求める成分値
を演算する。またこの演算制御回路19には生育プログ
ラムが組み込まれており、成分量推定式により求めた成
分値と生育プログラムとによって生育目的に沿った最適
な施肥量と施肥時期とが判断されて表示され、正確な植
物の生育管理を誰でも簡単に行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】葉の成分量に基づいて施肥成分量
と施肥時期を決定する植物の生育管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物から目的収穫物を得るために、測定
した植物の葉緑素量を植物への施肥量を決める目安にす
ることは従来から行われてきた。その顕著な例が、葉緑
素計の利用である。これは、葉に含まれるクロロフィル
を光学的に測定する葉緑素計の測定値が、植物の生育に
深く関連する窒素濃度と相関があることを利用して、植
物の栄養状態を知り得た後、葉緑素計の測定値から、目
的収穫物を得るために今後必要な施肥成分量と施肥時期
とを経験的に実験的に推定したものである。
【0003】より具体的例として、水稲の場合、収穫時
期に稲が倒伏せず適当な草丈となり十分な穂数を実らせ
るため、葉緑素計によって幼穂形成期の葉色や出穂10
日前の葉色を測定して、いつどのくらいの穂肥や実肥を
施用すればよいかなどの目安にしていた。またこれら穂
肥や実肥をいつどのくらい施用するかなどについては、
農業関係研究施設などでこれまでの経験や様々な実験に
基づいて確立されつつある。
【0004】さらに別の例としては、柑橘類の葉色と、
その熟期の早晩や果実の品質あるいは収量などが深く関
係していることがこれまでの研究で知られている。この
ことから果樹林への窒素施肥量の判断のために、ある時
期の樹木の葉色を色板と比較しており、またある時期の
葉色によって収穫期における果実の収量や大きさとさら
に果実の味などの傾向をある程度予想することも可能と
なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまでの従来技術に
見られるものは、植物の生長に大きく関わる成分量を直
接測定したものではなく、あくまでも葉色や葉に含まれ
る葉緑素量を測定して窒素濃度を推定したものであり、
このことは次のような問題を引き出していた。
【0006】つまり一般的に葉緑素量は葉色の濃さに比
例しており、また常に葉緑素量と窒素濃度とは一様に相
関があると思われている。しかし葉の葉緑素量と窒素濃
度とは同じ植物であってもすべてに同じ相関が成り立つ
とは言えないのである。つまり品種によって葉色が同じ
ように淡いものでも葉の窒素濃度が他より高いものや、
逆に葉色が同じように濃いものでも葉の窒素濃度が他よ
り低いものがあり、同じ植物であったとしても、同じ葉
色や葉緑素量であることによって一律に同じ窒素濃度で
あると断定すること、あるいは肥料を施用するにあたっ
て葉緑素量を判断基準とすることは非常に危険である。
【0007】このように葉色や葉緑素量での施肥判断は
経験と知識を必要とし素人ではできないため、だれにで
もできる簡単な施肥判断のためには直接窒素濃度を測定
することが不可欠となる。しかもこれまで葉身の葉色や
葉緑素量に基づいた施肥判断の研究は続けられている
が、葉身から直接測定して得た窒素濃度に基づく施肥管
理の報告はなされていない。
【0008】以上のことから、葉身から直接測定した窒
素濃度に基づいた施肥管理によって、生産者が目標とす
る目的収穫物の味や収量、品質にコントロ−ルできる植
物の生育管理方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、植物の生育過
程の任意の時期に測定して得られる葉の任意成分量と、
あらかじめ前記任意成分を基に植物の生育目的ごとに定
めた生育プログラムとによって、現在から将来に亘る施
肥成分量と施肥時期とを決定する葉の成分量を基にした
植物の生育管理方法により前記課題を解決するための手
段とした。
【0010】また、前記生育プログラムは、植物の生育
過程における時期と、該時期に測定した葉の成分量とに
よって、目標とする植物の葉の大きさあるいは植物の丈
になるよう施肥成分量と施肥時期とを決定するものであ
る。
【0011】また、生育プログラムは、植物の生育過程
における時期と、該時期に測定した葉の成分量とによっ
て、植物の目的収穫物の味覚・食味を管理する施肥成分
量と施肥時期とを決定するものである。
【0012】あるいは、生育プログラムは、植物の生育
過程における時期と、該時期に測定した葉の成分量とに
よって、植物の目的収穫物の収量を管理する施肥成分量
と施肥時期とを決定するものである。
【0013】前記測定する葉の成分量は窒素濃度であ
り、この葉の成分量の測定は近赤外光分光分析により非
破壊で行うものである。
【0014】
【作用】本発明では、植物の生育過程の任意の時期に測
定して得られる葉の任意成分量と、あらかじめ前記任意
成分を基に植物の生育目的ごとに定めた生育プログラム
とによって、現在から将来に亘る施肥成分量と施肥時期
とを決定するようにしたので、植物の品種に関係なく生
育目的に直接関係する成分含有量を測定するだけで、未
経験者での判断が難しい適時の施肥成分量が誰でも手軽
に知ることができるようになった。
【0015】生育目的では目的収穫物の使用目的によっ
て、植物の丈の大小を生育目的にする、味よりも収量を
生育目的にするとか、付加価値目的で収量より味とか、
あるいは味の成分調整で甘いものとかすっぱいもの、ま
たは大きさなど、様々に消費者のニ−ズに答えるべく目
的が異なっている。一般的にこれら生育目的に沿った生
育プログラムを作成している。
【0016】従来の生育プログラムは、生育過程の任意
時期における植物の葉色によって、経験的にその後の施
肥時期を地域ごとに決めていただけに止まり、それ以外
は経験者や個々の勘に頼るしかなかった。また葉緑素計
を使用した場合でも葉色とこれに関係する成分含有量と
の相関が品種ごとに異なるため、葉緑素計の値をどのよ
うに見るかという点においては品種によって異なりこれ
も経験に頼るしかなかった。
【0017】しかし本発明では品種によって差のある葉
色や葉緑素量を測定するのではなく、植物の生育に関連
する成分含有量を直接測定するので、生育プログラムで
は多数の品種ごとではなく、むしろその植物の栽培様式
や栽培地帯、生育目的ごとに施肥量のプログラムを作成
することになる。さらに詳説すると、従来から行われて
きた試験研究により、生育過程の任意の時期における葉
の成分含有量のあるべき期待値とその時の植物の成分吸
収量とが明らかにされており、ある時期の植物の成分含
有量がこの期待値と異なる場合は、栽培様式や栽培地帯
ごとの期待値との差を成分含有量で容易に成分量で明ら
かにすることができるので、測定された葉の成分量が期
待値に対して多いのか少ないのかという判定も、少ない
場合にはどの時期にどのくらいの施肥量を施用すればよ
いのか等が容易に判断できるものとなる。
【0018】また、葉の成分含有量の測定は様々な方法
で実施できるが、近赤外線領域の特定波長光を照射して
得る分光分析値(吸光度)によって行えば、非破壊での
成分含有量の測定が可能であり、測定も短時間で行うこ
とができる。また従来の葉緑素計のような携帯式に成分
含有量測定装置を構成することは十分可能であることか
ら、植物の生育現場における成分含有量測定と生育プロ
グラムによる正確な施肥判断が可能となる。
【0019】以上のことから、本発明によって生育過程
の任意時期に測定して得られる成分含有量によって、誰
もが経験に頼らず容易に適切な施肥時期と施肥量とを植
物栽培の現場で即座に判断できる。
【0020】なお成分含有量の測定は、植物個々の生育
の違いから、測定する葉はその都度適切な部位の葉の測
定が必要となる。例えば水稲の場合、生育過程の中で最
高分げつ期までは茎葉の窒素濃度を測定し、それ以降は
葉身の窒素濃度を測定することもある。
【0021】
【実施例】まず本発明に係る葉の成分量測定装置を以下
の図1と図2において簡単に示す。図1には葉の成分量
測定装置の主要構成である光学測定部分1を示してい
る。まず、被測定葉2に任意波長の近赤外光を照射する
ための発光手段3を、発光ダイオ−ド等からなる近赤外
光発光素子4と任意波長の近赤外光のみが通過する狭帯
域フィルタ−5とから構成している。この発光手段3
は、葉の成分含有量と測定された成分値との相関によっ
て設置数が異なり、設置数と共に狭帯域フィルタ−5の
通過波長も異なる。またこの発光手段3にはこの構成の
他に集光レンズやスリットを設けることもある。本実施
例では、4種の波長を使用した例としたために4個の近
赤外光発光素子と4種の狭帯域フィルタ−からなる発光
手段3としてある。この波長と波長数についてはこの例
に限定されず、測定光量から得られた成分値と実際の成
分量との高い相関が得られるように決定すればよい。
【0022】次に被測定葉2の葉面に均一に近赤外光が
照射されるよう被測定葉を平面的に挟持すると共に、挟
持した被測定葉からの透過光と反射光とを測定するため
の測定窓6A,6Bを開設した葉保持手段7A,7Bを
設けてある。
【0023】この葉保持手段7Bの測定窓6Bと前記発
光手段3とは積分球8によって光学的に連絡してある。
つまり発光手段3は照射光を積分球8内部に照射して散
乱させるよう積分球8に固設してあり、さらに積分球8
には前記測定窓6Bに連通する開口部9と、他方にシリ
コンフォトダイオ−ドからなる反射受光手段10を固設
する開口部11を開設してある。このようにして、発光
手段3から照射された近赤外光は積分球8内で散乱し測
定窓6Bから被測定葉2面に照射される。また、被測定
葉2による反射光は積分球8内で散乱し反射受光手段1
0に受光される。更に被測定葉2に照射された近赤外光
のうち透過したものは、葉保持手段7Aの測定窓6A側
に固設してあるシリコンフォトダイオ−ドからなる透過
受光手段12に透過光として受光される。
【0024】図2に示すものは成分量測定装置のブロッ
ク図である。この場合、4個の近赤外光発光素子4と同
数の狭帯域フィルタ−5から発光手段3を構成した例を
そのまま示している。この発光手段3は発光制御回路1
5によって発光制御される。この発光制御は4個の近赤
外光発光素子4を順次、あらかじめ定めた時間発光させ
る。順次発光させる近赤外光発光素子4の光は狭帯域フ
ィルタ−5によって狭帯域波長の光として被測定葉2に
照射される。被測定葉2による透過光と反射光とは、透
過受光手段12と反射受光手段10とにそれぞれ受光さ
れる。ここで受光された信号は透過受光手段12と反射
受光手段10とそれぞれを連絡した切替回路16によっ
て透過光信号と反射光信号とに交互に切り替えられ次回
路に送出される。各信号は切替回路16を接続した増幅
回路17で増幅され、さらに増幅回路17を接続したA
/D変換回路18でアナログ/デジタル変換され、A/
D変換回路18を接続した演算制御回路19に送出され
る。前記切替回路16はこの演算制御回路19に連絡し
てありこの演算制御回路19によって切り替えられる。
【0025】この演算制御回路19には前記発光制御回
路15を接続してあり、発光制御回路15に発光開始信
号を送出し、発光制御回路15はこの発光開始信号を受
けて近赤外光発光素子4を発光制御する。また演算制御
回路19には記憶回路20を接続してあり、アナログ/
デジタル変換回路18からの光量信号や演算後の演算結
果、様々な基本デ−タを記憶する。この基本デ−タとし
ては、測定する葉の種類ごとの成分値が取りうる最大値
と最小値、被測定葉2が無い時に発光手段3の照射光を
受光した場合の透過光と反射光の光量範囲、被測定葉2
が無く発光手段3の照射光も無い場合に受光する透過光
と反射光の光量範囲、後述する入力デ−タなどである。
【0026】さらに演算制御回路19には表示回路21
が接続してあり、演算制御回路19で演算された成分値
結果あるいは関連する基本デ−タ等を表示する。また入
力回路22を接続してあり、成分値を求めようとする葉
の基本デ−タ、例えば測定しようとする葉の成分名、葉
の種、栽培方法、栽培地帯、生育目的、測定時期、気
温、測定時刻等を入力する。この入力回路22から入力
したデ−タも前記記憶回路20に記憶される。そして、
測定のための被測定葉への近赤外光の照射が終了したこ
とを知らせたり、光源異常や測定異常のときに測定者に
その旨を音で知らせる報知回路23を演算制御回路19
に接続してある。
【0027】ここで演算制御回路19の演算について説
明する。透過受光手段12と反射受光手段10とにより
受光されA/D変換回路18から演算制御回路19に送
出される透過光量信号と反射光量信号とによって被測定
葉の吸光度を演算する。さらにこの吸光度をあらかじめ
定めた成分量推定式に代入することにより求める成分値
を演算する。この成分値は前記のように表示回路21に
よって表示され測定者によって確認される。またこの演
算制御回路19には後に説明する生育プログラムが組み
込まれており、成分量推定式により求めた成分値と生育
プログラムによって生育目的に沿った最適な施肥量と施
肥時期とが判断されて表示され、正確な植物の生育管理
を誰でも簡単に行うことができる。
【0028】以上の構成における作用を測定手順の一例
として以下に述べる。まず電源を投入すると表示パネル
に手順が表示され、例えば測定しようとする葉の基本デ
−タを入力回路22から入力する。入力された基本デ−
タによって、記憶回路20に記憶してある複数の定めら
れた葉の成分量推定式の中から一義的に成分量推定式と
生育プログラムとが選択される。
【0029】使用者は葉保持手段7を開いて被測定葉2
を測定窓6を覆うように置き、葉保持手段7を閉じて保
持される。使用者はここで入力回路22から測定開始を
入力する。
【0030】演算制御回路19は発光制御手段15に発
光信号を送るとともに、発光制御手段15は近赤外光発
光素子4を順次一定時間点灯させ発光を切り替える。さ
らにそれぞれの近赤外光発光素子4が点灯するごとに切
替回路16によって透過受光手段12と反射受光手段1
0とに切替ながら、被測定葉2の透過光量と反射光量と
を測定する。発光手段3からの発光と受光手段(10,
12)の受光が終了したら、演算制御回路19は報知回
路23によって測定終了を使用者に知らせる。このよう
にしてここでは4個の近赤外発光素子4と4個の狭帯域
フィルタ−5とによって作られる4波長の近赤外光それ
ぞれによる被測定葉2からの透過受光量と反射受光量を
得ることができる。この時の透過受光手段12と反射受
光手段10の受光量を記憶回路20に記憶しておく。こ
こでの透過受光量と反射受光量は波長ごとに存在する。
以上における透過受光量と反射受光量とから、各波長に
おける被測定葉2の吸光度Xを演算制御回路19が演算
して求める。
【0031】このようにして得られた各波長における吸
光度Xは、演算制御回路19によって前記した葉の成分
量Nを求める成分量推定式に代入され、葉の成分量Nが
算出される。成分量Nは表示回路21によって使用者が
確認できるよう表示される。このように算出された成分
量Nは記憶回路20に記憶させておく。
【0032】記憶回路20の成分量Nは、たとえば植物
の種類、測定時期、生育目的等により選択された生育プ
ログラムによって、この時期にあるべき成分量の期待値
と比較され、成分量の過不足と成分量不足の場合の成分
施肥量と施肥時期とを明らかにする。
【0033】次に生育プログラムについて説明する。こ
こでの生育プログラムは水稲の生育過程を例にして説明
するが、果樹の生育過程についての生育プログラムも果
樹の生育に不可欠な成分量を中心に生育プログラムを作
成することになる。
【0034】さて、水稲の生育に関してはこれまでの様
々な研究から生育過程における窒素濃度の期待生育曲線
が作成されている。この期待生育曲線は生育過程全般に
亘る標準的な葉の窒素濃度の期待値の変移を示したもの
であり、品種ごとにあるいは栽培地帯ごとに作成されて
いる。ここで品種ごとに作成されているというのは、従
来技術にあるように品種に固有の葉色を基準にしてある
ことからである。これら従来のものは幼穂形成期、出穂
10日前の葉色によって、経験的にまた試験的に穂肥
1、穂肥2及び実肥等の施肥時期が地域ごとに決められ
ているだけに止まり、それ以外は経験者や個々の勘に頼
るしかなかった。また葉緑素計を使用した場合でも葉色
と窒素濃度との相関が品種によって異なるために葉緑素
計の値を品種ごとにどのように見るかという点において
はやはり経験に頼るしかなかった。
【0035】しかし葉色ではなく成分量つまり窒素濃度
を基準にするとこの期待生育曲線は栽培様式(少肥型品
種、多肥型品種)と栽培地帯(寒地、暖地、早期栽培)
とにより大きく分けることができる。つまり本発明では
品種によって差のある葉色や葉緑素量ではなく、直接測
定した水稲の生育に関連する成分量である窒素濃度を基
にするので、生育プログラムでは品種間差はなく、むし
ろ品種ではなく、その栽培様式や栽培地帯、生育目的ご
とに窒素施肥量のプログラムを作成することができる。
さらに詳説すると、従来から行われてきた試験研究によ
り、生育過程の任意の時期における葉の窒素濃度の期待
値とその時期の植物の窒素吸収量は明らかにされてお
り、植物の窒素濃度がこの時期の窒素量期待値と異なる
場合に、栽培様式や栽培地帯ごとに期待値との差を容易
に窒素濃度で明らかにすることができるので、測定され
た葉の窒素濃度が期待値に対して多いのか少ないのかと
いう判定も、少ない場合にはどの時期にどのくらいの窒
素肥料を施用すればよいのか等が容易に判断できるもの
となる。
【0036】より具体的に、栽培様式が少肥型品種の期
待生育曲線の一例を図3に示す。この図3は生育過程全
般に亘る葉の窒素含有曲線と窒素吸収量曲線とを示して
いる。このような期待生育曲線を基にして、収穫物の味
を管理するもの、収穫物の収量を管理するもの、またこ
れらを日本全国的に寒地と暖地と早期栽培とに分けてそ
れぞれ目的別に生育プログラムを作成することができ
る。すべての植物の生育が、このような期待生育曲線と
同じ窒素濃度変化をたどれば問題ないのであるが、違っ
てくるのが一般的である。
【0037】そこで水稲の収穫物の味を管理する生育プ
ログラムを一例として考えて説明することにする。味を
管理する生育プログラムは、栽培様式別にまた栽培地帯
別に作成された前述の期待生育曲線の中から、味を管理
するために生育過程の任意時期における窒素濃度の期待
値を抜き出してあり、これをまとめて表1に示した。
【0038】
【表1】 この表1を「味」の窒素量期待値として、収穫物の味を
管理するための栽培地帯別、栽培様式別の任意の生育時
期における窒素量期待値を明らかにしている。そして前
述した成分量測定装置により測定して得られた任意の生
育時期における葉の窒素濃度と、生育プログラムに定め
たこの任意の生育時期における「味」の窒素量期待値
(表1)とを比較することになる。
【0039】この窒素量期待値は「味」の他に、植物の
生育管理のために「長さ・丈」を管理する窒素量期待値
と「収量」を管理する窒素量期待値等を準備すること
で、他の葉の成分量を基にした植物の生育管理に対応で
きるものとなる。また本実施例では水稲の生育管理に限
定しているが、他の果樹(果実)の生育管理において
は、果樹における葉の成分量の期待生育曲線によって、
生育目的に関する成分量期待値を作成する。この場合も
樹木の丈、葉の大きさや、果樹の収量、あるいは味のそ
れぞれに関する成分量期待値を作成するものである。
【0040】さて、前記測定した水稲に追肥が必要かど
うかの判定は、表2に定めた「味」の追肥判定基準の窒
素施肥量によって行うようにする。
【0041】
【表2】 この「味」の追肥判定基準は、前記図3に示した「味」
の窒素量期待値の基になった期待生育曲線の中の窒素吸
収量曲線によって算出したものであり、前記生育プログ
ラムに組み込まれる。例えば暖地において少肥型品種の
生育管理を「味」について行っている場合、稲の幼穂形
成期の窒素濃度が2.4 %であったとすると、この「味」
の追肥判定基準から出穂20日前に1Kg/10aの窒素を
施用すればよいという判定となる。この追肥判定基準
も、「長さ・丈」や「収量」等に関する追肥判定基準を
準備することで、他の葉の成分量を基にした植物の生育
管理に対応できるものとなる。また果樹等についても同
様である。
【0042】以上、生育プログラムについて、水稲の生
育過程を例にして説明した。特に「味」の窒素量期待値
と「味」の追肥判定基準とを生育プログラムに組み込ん
であり、生育途中に測定して得た葉の窒素成分量と窒素
量期待値との比較が随時行えると共に、追肥判定時期
(この場合、幼穂形成期、出穂15日前)に測定して得た
葉の窒素濃度と追肥判定基準との比較により必要となっ
た追肥の施肥量と施肥時期とが判明するので、経験の有
無に関係なく植物の生育管理の失敗はなく、例の「味」
の管理だけでなく、「長さ・丈」「収量」の管理も同様
に可能となる。また、異常気象時において、異常気象を
考慮した上で多くの収量が確保できるよう「異常気象時
の収量」の管理を行う生育プログラムを作成し、異常気
象時でもせめて最低限の収量が確実に確保できるように
することも有益である。
【0043】植物の生育に関する成分量は窒素、リン
酸、カリの3要素であるが、様々な研究によっても生育
管理の追肥量を左右する主成分は窒素成分である。水稲
の場合でも追肥は窒素が中心となり、カリ量は窒素濃度
に比例した量で、リン酸は原則基肥でのみ使用するとあ
る。また柑橘においても葉色と生育との関係から窒素肥
料の適量試験が行われ、葉色と窒素施肥量との相関が明
らかとなっており、その窒素施肥量と収量及び窒素施肥
量と味との関連性も明らかにされている。このことか
ら、本発明による葉の成分量を基にした植物の生育管理
方法は、より具体的に植物の葉の窒素濃度を測定して、
これを基にした生育管理方法とすることでより的確な判
断が可能となる。
【0044】
【発明の効果】本発明では植物の品種等によって差のあ
る葉色や葉緑素量ではなく、直接測定した植物の生育に
関連する成分量を基にしているので、この成分量を基に
した生育プログラムでは品種間差はなく、品種間差を除
いた栽培様式や栽培地帯、生育目的ごとに施肥量のプロ
グラムを作成することができる。ここでいう生育目的と
は葉の大きさや植物の丈、収穫物の味、収穫物の収量で
あり、これを目標値に近づけるよう管理することである 従来から行われてきた試験研究により、生育過程の全般
に亘る葉の成分量の期待値と生育過程の全般に亘る植物
の成分吸収量とは明らかにされてきた。本発明では、植
物の成分量を測定して、前記期待値と比較して、栽培様
式や栽培地帯ごとに期待値との差を容易に成分量で明ら
かにすることができるので、測定された葉の成分量が期
待値に対して多いのか少ないのかという判定も、少ない
場合にはどの時期にどのくらいの施肥量を施用すればよ
いのか等が容易に判断できるようになった。
【0045】また、葉の成分量の測定は様々な方法で実
施できるが、近赤外線領域の特定波長光を照射して得る
分光分析値(吸光度)によって行えば、非破壊での成分
量測定が可能であり、測定も短時間で行うことができ
る。また従来の葉緑素計のような携帯式の計測器に成分
量測定装置を構成することは十分可能であることから、
植物の生育現場における成分量測定と生育プログラムに
よる正確な施肥判断が可能となる。
【0046】以上のことから、本発明によって生育過程
の任意時期に測定して得られる成分量によって誰もが経
験に頼らず容易に適切な施肥時期と施肥量とを植物栽培
の現場で即座に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の葉の成分量測定装置の光学部を示す断
面図である。
【図2】本発明の葉の成分量測定装置の制御ブロック図
である。
【図3】本発明の生育プログラムの基準となる期待生育
曲線である。
【符号の説明】
1 光学測定部分 2 被測定葉 3 発光手段 4 近赤外光発光素子 5 狭帯域フィルタ− 6 測定窓 7 葉保持手段 8 積分球 9 開口部 10 反射受光手段 11 開口部 12 透過受光手段 15 発光制御回路 16 切替回路 17 増幅回路 18 A/D変換回路 19 演算制御回路 20 記憶回路 21 表示回路 22 入力回路 23 報知回路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の生育過程の任意の時期に測定して
    得られる葉の任意成分量と、あらかじめ前記任意成分を
    基に植物の生育目的ごとに定めた生育プログラムとによ
    って、現在から将来に亘る施肥成分量と施肥時期とを決
    定することを特徴とする葉の成分量を基にした植物の生
    育管理方法。
  2. 【請求項2】 生育プログラムは、植物の生育過程にお
    ける時期と、該時期に測定した葉の成分量とによって、
    目標とする植物の葉の大きさあるいは植物の丈になるよ
    う施肥成分量と施肥時期とを決定することを特徴とする
    請求項1記載の葉の成分量を基にした植物の生育管理方
    法。
  3. 【請求項3】 生育プログラムは、植物の生育過程にお
    ける時期と、該時期に測定した葉の成分量とによって、
    植物の目的収穫物の味覚・食味を管理する施肥成分量と
    施肥時期とを決定することを特徴とする請求項1記載の
    葉の成分量を基にした植物の生育管理方法。
  4. 【請求項4】 生育プログラムは、植物の生育過程にお
    ける時期と、該時期に測定した葉の成分量とによって、
    植物の目的収穫物の収量を管理する施肥成分量と施肥時
    期とを決定することを特徴とする請求項1記載の葉の成
    分量を基にした植物の生育管理方法。
  5. 【請求項5】 生育プログラムは、植物の生育過程にお
    ける時期と、該時期に測定した葉の成分量及び異常気象
    とによって、植物の目的収穫物の収量を管理する施肥成
    分量と施肥時期とを決定することを特徴とする請求項1
    記載の葉の成分量を基にした植物の生育管理方法。
  6. 【請求項6】 生育プログラムは、栽培地帯別に寒地用
    と暖地用及び早期栽培用とを備えることを特徴とする請
    求項2から5記載の葉の成分量を基にした植物の生育管
    理方法。
  7. 【請求項7】 葉の成分量は窒素濃度であることを特徴
    とする請求項2から5記載の葉の成分量を基にした植物
    の生育管理方法。
  8. 【請求項8】 葉の成分量の測定は近赤外光分光分析に
    より非破壊で行うことを特徴とする請求項1記載の葉の
    成分量を基にした植物の生育管理方法。
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