JPH08236686A - ベアボンド用銅合金リードフレーム - Google Patents

ベアボンド用銅合金リードフレーム

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JPH08236686A
JPH08236686A JP6208595A JP6208595A JPH08236686A JP H08236686 A JPH08236686 A JP H08236686A JP 6208595 A JP6208595 A JP 6208595A JP 6208595 A JP6208595 A JP 6208595A JP H08236686 A JPH08236686 A JP H08236686A
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alloy lead
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム線を用いたワイヤボンディング
に適するベアボンド用銅合金リードフレームを得る。 【構成】 FeとPを含みFe2P金属間化合物で析出
強化された高強度な銅合金リードフレームであって、Z
n:0.005〜0.150重量%、Ni:0.005
〜0.050重量%のうち少なくとも1種類を合計で
0.20重量%以下含有し、導電率を85%IACS以
上、表面硬さをビッカース硬度(Hv)120未満、ダ
イボンド部の鏡面反射率を30%以上、リードフレーム
表面の酸化皮膜厚みを80A(オングストローム)以下
としたベアボンド用銅合金リードフレーム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、めっきを施さない状
態で使用されるベアボンド用銅合金リードフレームにお
いて、半導体チップとのはんだダイボンディング性が優
れ、かつアルミニウム線によるワイヤボンディング性に
優れるとともに、加熱によるアルミニウム線接合部の接
合強度低下を抑制したベアボンド用銅合金リードフレー
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば特公昭55ー2454号公報に記
載されたFe:0.02〜0.50重量%、P:0.0
2〜0.10重量%を含み残部が本質的にCuからなる
銅合金、あるいは特公昭58ー53057号公報に記載
されたFe:0.04〜0.15重量%、P:0.02
5〜0.04重量%を含み、かつ第3添加元素を含み残
部が本質的にCuからなる銅合金は、Fe2Pが微細析
出することによって強化された高強度な銅合金であり、
小型化、薄肉化が進行するIC用銅系リードフレームと
して広く用いられている。
【0003】これらの材料よりなるリードフレームは、
従来より、表面にニッケルめっきや貴金属めっき(銀め
っき)を施されたものがボンディングに供されている
が、ダイボンディング技術やワイヤボンディング技術の
発達によりリードフレームがボンディング工程中に受け
る熱量が減少して、銅合金表面においてダイレクトボン
ディング性を低下させる酸化膜の成長が抑制されるよう
になり、さらに生産性向上及びコストダウンの観点か
ら、ニッケルめっきや貴金属めっきを省略することが考
えられるようになった。そして、まず、信頼性確保のた
めに金線を用い、高温(200℃)の不活性雰囲気下で
超音波を印加しながらワイヤボンディングする技術が実
用化された。
【0004】ダイレクトボンディングに用いる金線は1
5〜35μmφ程度の細線が使用されており、ワイヤボ
ンド部の面積も小さいため、接合強度を安定させるため
にはリードフレームの表面が平滑な方がよいとされてい
る。例えば特公昭62−46071号公報には、銅合金
リードフレームの最大表面粗さ(Rmax)を0.5μm
以下に調整することが記載され、特開昭64ー5774
1号公報には、ダイレクトボンディング用ICリードフ
レームとしてワイヤボンド部の面粗さ(Rmax)を0.
2μm以下に仕上げることが記載されている。
【0005】そして、特開平2ー173227号公報に
は、ダイレクトボンディング性の良好な銅合金として、
Fe:0.05〜0.5重量%、P:0.01〜0.3
重量%と、強度と耐食性を向上させるため任意に第3添
加成分0.001〜2.0重量%を含み、残部が銅およ
び不可避不純物からなり、表面硬さがHv120以上、
表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で0.15μm以
下、最大高さ(Rmax)で0.8μm以下に調整した銅
合金が示されている。また、ここでは、銅細線を用いて
良好なワイヤボンディング性が得られたことが記載され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、コス
トダウンの観点より金線をアルミニウム線に変え、これ
を常温の大気中で、メッキを省略した銅合金リードフレ
ームに対しワイヤボンディングすることが考えられるよ
うになったが、銅合金リードフレームの表面粗さ等の表
面状態がワイヤボンディング性(接合強度)に影響する
ことを指摘したこれまでの文献は、いずれも細い金線や
銅線を用いることを想定したものであり、100〜50
0μm径と太いアルミニウム線のワイヤボンディング性
とリードフレームの表面状態との関係は未だ明確になっ
ていない。
【0007】また、半導体チップは高温はんだで銅合金
リードフレームと接合されるが、近年、信頼性の向上の
ためにフラックスレス化が進んでおり、銀などの貴金属
をめっきしたものでははんだ濡れ性が良いためこれまで
問題にされていなかったところ、メッキを省略する場合
においては、フラックスの使用の抑制に伴うはんだと銅
合金リードフレームの濡れ広がり性低下が問題となって
きた。
【0008】例えば、上記特開平2−173227号公
報において必須の要件とされる表面硬さHv120以上
となるような高強度材料を得るには銅中への添加元素を
増やす必要があるが、添加元素の量が増えるとはんだの
濡れ広がり性、すなわちはんだダイボンディング性が悪
くなり、フラックスレス化の流れに沿わなくなる。併せ
て、添加元素を増やすことで導電率が低下し、また酸化
膜の密着性が低下してアセンブリ工程中に酸化膜が剥離
しやすくなるという問題が出てくる。
【0009】さらに、最近アセンブリ後のリードフレー
ムの受ける熱量はさらに増加する傾向にあり、熱放散性
の観点からも導電率を高く保つ必要があるとともに、1
75℃〜200℃の温度に長期間さらされたときのアル
ミニウム線接合部の信頼性を向上させる技術が必要とな
ってきている。しかし、導電率が高い材料である錫入り
銅やりん脱酸銅、ジルコニウム入り銅などは、アルミニ
ウム線接合部の信頼性が低く、さらに酸化膜が剥離しや
すい、はんだ濡れ広がり性が悪いなどの問題を持ってい
る。なお、アルミニウム線接合部の信頼性を向上させる
意味で、組み立て工程中にアルミニウム線を少し溶か
し、アルミニウム線と銅の接合強度を向上させる技術も
報告されているが、この場合、組み立て工程を変更する
ことによる生産性の低下や新たな設備投資などの問題が
でてくる。
【0010】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたもので、FeとPを含みFe2P金属間化合
物で析出強化された銅合金リードフレームにおいて、高
い導電率をもち、はんだダイボンディング性(はんだ濡
れ広がり性)、アルミニウム線によるワイヤボンディン
グ性(ワイヤ接合強度)、アルミニウム線接合部信頼性
(加熱後の接合強度保持)、及び酸化膜の密着性に優れ
たベアボンド用銅合金リードフレームを得ることを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、めっきを施さ
ない状態でアルミニウム線を用いてワイヤボンディング
されるFeとPを含む銅合金リードフレームにおいて、
Zn:0.005〜0.150重量%、Ni:0.00
5〜0.050重量%のうち少なくとも1種類を合計で
0.20重量%以下含有し、導電率を85%IACS以
上、表面硬さをビッカース硬度(Hv)120未満、ダ
イボンド部の鏡面反射率を30%以上、リードフレーム
表面の酸化皮膜厚みを80A(A=オングストローム、
以下同じ)以下としたことを特徴とするはんだダイボン
ディング性、ワイヤボンディング性、及び接合部信頼性
に優れるベアボンド用銅合金リードフレームに関する。
【0012】
【作用】本発明においては、FeとPを含みFe2P金
属間化合物で析出強化された銅合金リードフレームの、
微量添加元素、導電率、表面硬さ、鏡面反射率、酸化膜
厚みの5条件が相互に関係し、はんだダイボンディング
性(はんだ濡れ広がり性)、アルミニウム線によるワイ
ヤボンディング性(ワイヤ接合強度)、アルミニウム線
接合部信頼性(加熱後の接合強度保持)、及び酸化膜の
密着性というベアボンド用リードフレームとして最も必
要な4つの特性を向上させる。
【0013】FeとPを含む本発明の銅合金リードフレ
ームにおいて、導電率を85%IACS以上、好ましく
は90%IACS以上とすることにより、上記特性の全
てが向上することが実験的に確認された。FeとPを含
み導電率85%IACS以上である本発明の銅合金リー
ドフレームを得るには、FeとPの重量%比(Fe/
P)を2〜4に制御するとともに、P含有量を0.05
重量%以下とするのが望ましい。そして、このような銅
合金素材を50%以上の断面積比率で冷間圧延し、その
後最終焼純処理として450〜550℃の温度で熱処理
することによりFe2Pを均一且つ微細に析出させて得
ることができる。
【0014】ここで、550℃を超える温度で熱処理す
るとFe2Pの析出物が粗大化するとともに分布状態が
粗になり所望の特性が得られない。また、析出しないP
の量、他の添加元素や不純物の種類や量に応じて導電率
は急激に低下する。例えば、前記特開平2ー17322
7号公報に示されるようなFe:0.05〜0.5重量
%、P:0.01〜0.3重量%を含み残部が銅および
不可避不純物からなる銅合金でも、FeとPの重量%比
(Fe/P)や製造条件により、またFeやPの含有量
が多いと導電率が85%IACS未満となり、副成分と
してAs、Sbなどを0.001〜2.0重量%添加し
た場合、導電率がさらに低下する。
【0015】Fe2Pとして析出しなかったPや、他の
添加元素や不純物(Snなど)が多く導電率が85%I
ACS未満となるようなとき上記特性が低下する理由
は、表面酸化膜にこれらの元素の濃縮層ができそこが酸
化物剥離の起点となったり、また、Snなどの不純物の
酸化物がダイボンディング前の還元加熱処理で十分還元
されず、これがはんだ濡れ広がり性やワイヤボンディン
グ性を阻害するとともに未接合部分を形成したりするた
めと考えられる。
【0016】純アルミニウム線の表面硬さはビッカース
硬度(Hv)50程度であり、銅合金リードフレームの
硬さはアルミニウム線に近いほど接合性がよい。そのた
めリードフレームの表面硬さをビッカース硬度(Hv)
120より小さい硬度とする。この硬度において、アル
ミニウム線と大気中、常温の超音波ウエッジボンディン
グで良好なワイヤ接合強度が得られる。しかし、銅合金
リードフレーム自体が柔らかすぎるとハンドリング時の
曲がりなどの問題があるので、硬度(Hv)85以上と
するのが望ましい。
【0017】なお、最近、耐食性や強度向上の目的でア
ルミニウムに微量のニッケルやマグネシウムを添加した
アルミニウム合金線が増えているが、このようなアルミ
ニウム合金線にも本発明の銅合金リードフレームは有効
である。また、銅合金リードフレームははんだダイボン
ディング前に還元雰囲気中で300℃以上の温度で加熱
され、表面の有機物や酸化膜が除かれるが、このアセン
ブリ工程中の加熱で表面硬さをビッカース硬度(Hv)
120より小さい硬度としてもよい。
【0018】次に、銅合金リードフレームの鏡面反射率
はダイボンディング性、すなわちはんだ濡れ広がり性に
関係し、ダイボンド部の鏡面反射率を30%以上とする
ことによりフラックスなしでのはんだ濡れ広がり性が向
上する。ダイボンド部の鏡面反射率はスタンピング時の
加工により、あるいは圧延仕上げ時の加工を強くするこ
とにより高めることができる。
【0019】なお、銅合金リードフレームの表面性状に
関しては、前記特開昭64−57741号公報や特開平
2ー173227号公報において表面粗さが規定されて
いるが、これまで、表面粗さとはんだ濡れ広がり性との
間に明確な関係は見い出されていない。これは、銅合金
の製造工程で圧延方向に存在する研磨目と最終仕上げ圧
延加工で圧延方向に垂直に発生するオイルピットではは
んだ濡れ広がり性に及ぼす影響が異なり、表面粗さが研
磨目とオイルピットのどちらを測定しているか明確にで
きないため、表面粗さを規定しても十分なはんだ濡れ広
がり性を保証できないからである。
【0020】また、鏡面反射率はワイヤボンディング性
にも関係し、ワイヤボンド部に汚れ、防錆皮膜、酸化膜
などができるだけ少ない方が望ましい。なお、上記公報
では銅合金リードフレームの表面粗さが規定され、表面
が平滑なほどワイヤボンディング性がよいとされてき
た。これは、ワイヤボンド部の表面が粗くなるとワイヤ
ボンディング時の超音波は凸部のみに集中してワイヤと
リードフレームの接合面積が減少し、これが接合強度の
低下を招くため、ワイヤボンド部の接合強度を安定させ
るためにはリードフレーム表面を平滑にする必要がある
との認識に立つものであるが、これは15〜35μm径
の細い金線又は銅線を用いたワイヤボンディングにおい
て適用されるとしても、主として100〜500μm径
の太線が使用されているアルミニウム線のワイヤボンデ
ィングに直ちに適用されるものではない。
【0021】逆に、アルミニウム線(太線)では高荷重
をかけることができるため、ワイヤボンド部のRmax
0.8〜1.0μm程度に粗いほうがアンカー効果等に
より接合性が良くなる場合がある。つまり、100〜5
00μm径程度のアルミニウム線を用いる銅合金リード
フレームの場合、ワイヤボンド部の面積が大きくボンデ
ィング時の荷重も大きいため、Rmaxが0.2μmより
大きく1μm以下の通常生産されている銅製品表面で十
分な接合強度を得ることができるので、本発明において
はあえて表面粗さを規定する必要がない。
【0022】次に、酸化膜の厚みはワイヤボンド部の接
合強度に関係している。つまり、銅合金リードフレーム
の初期酸化が少ないほどアセンブリ工程の還元加熱処理
において還元されやすく、ワイヤボンディング時の酸化
膜が薄くなるためワイヤボンド部の接合強度が向上する
ものである。酸化膜の厚みを機器分析やカソード還元法
によって測定した結果、アセンブリ工程前の酸化膜の厚
みが80A以下であればワイヤボンド部の接合強度が良
好となり、逆に酸化膜の厚みが80Aを越えると還元に
時間がかかるだけでなく、ワイヤボンド部の接合強度が
低下する。
【0023】また、酸化膜の厚みが大きくなると、はん
だの濡れ広がり性を低下させる原因となる。つまり、ベ
アボンディングにおいては、銅合金リードフレームは通
常、アセンブリ工程において水素を含む窒素中(水素含
有量:4〜15%、酸素:1000ppm以下)、300
〜380℃で15秒以上の還元加熱処理を受けるが、酸
化膜が厚く還元時間が長くなると銅合金リードフレーム
に含まれる不純物が表面へ拡散し、これがはんだ濡れ広
がり性を低下させる。従って、はんだの濡れ広がり性の
点からも、ベアボンド用銅合金リードフレームでは初期
酸化を少なくすることが不可欠である。そして、酸化膜
の厚みを80A以下とすることで良好なはんだ濡れ広が
り性を確保できる。さらに、酸化膜の厚みが大きくなる
と酸化膜の密着性が悪くなるが、本発明では銅合金リー
ドフレーム表面の初期酸化膜厚みを80A以下としてそ
の剥離を抑制する。なお、初期酸化を少なくする方法と
して研磨、酸洗浄、エッチング、還元処理などが考えら
れる。
【0024】本発明の銅合金リードフレームは、Zn:
0.005〜0.150重量%、Ni:0.005〜
0.050重量%のうち少なくとも1種類を合計で0.
20重量%以下含有するが、これらの元素はアルミニウ
ム線接合部信頼性(加熱後の接合強度保持)を向上させ
る作用を持つ。
【0025】先に述べたように、アセンブリ後のリード
フレームの受ける熱量は近年増加する傾向にあり、アル
ミニウム線を使用する場合、ワイヤボンド部が175℃
〜200℃の温度に長期間さらされたときの接合強度低
下がこれまで問題となっていた。本発明者は、アルミニ
ウム線を使用したワイヤボンド部において、200℃で
加熱すると500時間加熱後で約1μm、2000時間
加熱後には2μm程度のアルミニウムー銅合金層が成長
し、この合金層がアルミニウム線より脆く接合強度を低
下させる原因となっていることを知り、この知見を元に
鋭意検討を加えた結果、FeとPを含む銅合金リードフ
レームに微量のニッケル及び/又は亜鉛を添加すること
により、アルミニウム線接合部の接合強度低下を抑制で
きることを見い出した。
【0026】Zn添加量が0.005重量%以下ではア
ルミニウム線接合部信頼性向上効果が少なく、0.15
0重量%を超えると導電率が85%IACSより小さく
なるとともにはんだ濡れ広がり性が低下し、さらに表面
硬度が高くなることから、Zn添加量は0.005〜
0.150重量%とした。また、Ni添加量が0.00
5重量%以下ではアルミニウム線接合部信頼性向上効果
が少なく、0.05重量%を超えるとはんだ濡れ広がり
性が低下することから、Ni添加量は0.005〜0.
050重量%とした。NiとZnの双方を添加する場合
は合計で0.01〜0.20重量%とするが、その場合
も導電率85%IACS以上になるように調整する。な
お、これらの添加元素はアルミニウム線を用いないで金
線や銅線でワイヤボンディングする時には添加する必要
はないものである。
【0027】また、本発明の銅合金リードフレームには
微量のPb、Ag、Cr、Mg、Zr、Ti、B、T
e、Co、Mnなどを添加してもよいが、添加量が多く
なると導電率が低下しはんだの濡れ広がり性が低下する
ため、その添加量は導電率85%IACS以上を満たす
範囲内としなくてはならない。Snはダイボンディング
時の加熱により酸化し、はんだが均一に濡れ広がらなく
なるとともに酸化膜が剥離しやすくなるため、0.02
重量%以下が望ましい。
【0028】上記のように、FeとPを含みFe2P金
属間化合物で析出強化された銅合金リードフレームにお
いて、微量元素添加、高導電率、低表面硬さ、高鏡面反
射率、薄酸化膜厚みの5条件を満たすことによって、は
じめて、従来使われていたりん脱酸銅やSn入り銅、ジ
ルコン入り銅などより優れた特性を示すベアボンド用銅
合金リードフレームを得ることができ、今後進展すると
予想されるはんだダイボンディング時のフラックスレス
化やアルミニウム線によるワイヤボンディングに適し、
アルミニウム線接合部信頼性に優れるベアボンド用銅合
金リードフレームを供給できるものである。
【0029】
【実施例】本実施例では、Fe:0.1重量%、P:
0.03重量%を含み、さらにNi又はZnのいずれか
一方又は双方を含む銅合金を、インゴットから熱間圧
延、冷間圧延、焼鈍等を経て洗浄・研磨、仕上げ圧延
し、洗浄後さらにスリッティング、スタンピングを施
し、高純度のマトリックス中にFe2P金属間化合物を
微細に析出させたリードフレームを得て、その導電率、
表面硬度、鏡面反射率、酸化膜厚み、及び酸化膜密着性
を調べ、さらに、この銅合金リードフレームに対し還元
加熱処理を施した後、アルミニウム線ワイヤボンディン
グ性(接合強度、ワイヤ破断率)、はんだダイボンディ
ング性(はんだ広がり面積)、アルミニウム線接合部信
頼性(1000時間後の接合強度)を調べた。
【0030】本実施例において、異なる導電率、表面硬
度、鏡面反射率、又は酸化膜厚みのリードフレームは、
焼鈍条件や仕上げ圧延条件、洗浄・研磨条件、あるいは
スタンピング条件(コイニング強さ)等を変えるといっ
た方法で作られた。また、還元加熱処理は、水素:10
%を含有した窒素雰囲気(酸素:50〜70ppm以下)
中において、350℃、30秒間行われた。なお、以下
の表における各特性の数値は後述する試験方法により測
定したものである。
【0031】表1は、Fe:0.1重量%、P:0.0
3重量%のほか、Ni:0.020%、及びSn:0.
010重量%を含む銅合金リードフレームの導電率、表
面硬度、及び鏡面反射率の各特性と、接合強度、ワイヤ
破断率、及びはんだ広がり面積の関係を示すもので、導
電率、表面硬度、及び鏡面反射率の全てが本発明で規定
する範囲内に入っているものを実施例1〜3、いずれか
の特性が本発明で規定する範囲外のものを比較例1〜3
として示している。ただし、いずれも酸化膜厚みは40
Aである。
【0032】
【表1】
【0033】表1において、導電率85%IACS以
上、表面硬度(Hv)が120未満、鏡面反射率が30
%以上であるリードフレーム(実施例1〜3)は、接合
強度、ワイヤ破断率、はんだ広がり面積共に優れてい
る。また、粘着テープに酸化膜の付着はなく酸化膜密着
性は良好であった。一方、比較例1は導電率が低いた
め、接合強度、ワイヤ破断率、はんだ広がり面積がいず
れも劣り、酸化膜の密着性も悪かった。比較例2は表面
硬度がHv125と硬いため、接合強度、ワイヤ破断率
が低く、アルミニウム線ワイヤボンディング性の低下が
確認された。比較例3は鏡面反射率が低いためはんだ広
がり面積が小さく、はんだダイボンディング性の低下が
確認された。
【0034】表2は、Fe:0.1重量%、P:0.0
3重量%を含むほか、Znを0.050〜0.250%
の範囲内で変化させた銅合金リードフレームの導電率、
Zn含有量、及び酸化膜厚みと、接合強度、ワイヤ破断
率、及びはんだ広がり面積の関係を示すもので、導電
率、Zn含有量、及び酸化膜厚みの全てが本発明で規定
する範囲内に入っているものを実施例4、5、いずれか
が本発明で規定する範囲外のものを比較例4、5として
示している。ただし、いずれも表面硬度はHv115、
鏡面反射率は35%である。
【0035】
【表2】
【0036】表2において、導電率85%IACS以
上、Zn含有量が0.005〜0.150%の範囲内に
あり、酸化膜厚みが80A以下であるリードフレーム
(実施例4、5)は、接合強度、ワイヤ破断率、はんだ
広がり面積共に優れている。一方、比較例4は酸化膜が
厚く、接合強度、ワイヤ破断率、はんだ広がり面積が低
下する問題があった。比較例5は導電率85%IACS
以下で、亜鉛含有量が高く、はんだ広がり面積の低下が
確認された。
【0037】表3は、Fe:0.1重量%、P:0.0
3重量%を含むほか、Znを0.250%まで、Niを
0.065%までの範囲内で変化させた銅合金リードフ
レームの導電率、Zn及びNiの含有量と、接合強度、
1000時間後の接合強度、及びはんだ広がり面積の関
係を示すもので、導電率、Zn及びNiの含有量の全て
が本発明で規定する範囲内に入っているものを実施例6
〜8、いずれかが本発明で規定する範囲外のものを比較
例6〜8として示している。ただし、いずれも表面硬度
はHv115、酸化膜厚みは40A、鏡面反射率は35
%である。
【0038】
【表3】
【0039】表3において、導電率85%IACS以
上、Zn及びNiを規定範囲内含有するリードフレーム
(実施例6〜8)は、200℃で1000時間加熱後の
接合強度低下が少なく、はんだ広がり面積も優れてい
た。一方、比較例6は亜鉛やニッケルを適量含有してい
ないため、アルミニウム線と銅の界面で剥離が発生し、
1000時間加熱後の接合強度が低下した。比較例7、
8は亜鉛やニッケルを多く含有しているため、導電率が
低下するとともに、はんだ広がり面積が低下した。
【0040】以上表1〜表3に示したように、本発明の
実施例の銅合金リードフレームは、還元雰囲気中で加熱
後、フラックスなしで良好なはんだ濡れ広がり性を示
し、アルミニウム線による常温、大気中でのワイヤボン
ディングでも高い接合強度を示した。また、200℃で
1000時間加熱後にも良好なアルミニウム線接合強度
を保持していた。なお、表1〜表3中の◎○△×は各数
値に対する評価であり、◎は優れていること、○は使用
可能であること、△及び×は使用不可能であることを表
す。
【0041】以下に本実施例における試験方法について
述べる。接合強度は、次のようにして調べた。まず、5
mil(125μm)径のアルミニウム線(99.99
%、annealed)を用い、大気中25℃において超音波
(パルス60kHz)印加法によるワイヤボンディング
(ボンディング時間:100ms、荷重:250g、U
V出力:5.5W)を行い、続いて、接合されたアルミ
ニウム線を真中で切断し、アルミニウム線が銅合金リー
ドフレームと接合されている2ndボンド部の接合強度
を調査した(ツイザー強度)。また、破断箇所を調べ、
下記式によるワイヤ破断率を求めた。 ワイヤ破断率(%)=(ワイヤ破断した本数/全試験本
数)×100
【0042】はんだ広がり面積は、還元加熱処理(銅合
金リードフレームを10%水素を含む酸素濃度50〜7
0ppmの窒素雰囲気中にて350℃のプレート上で3
0秒加熱)後、直径1mmのはんだ(Sn:5重量%、
Ag:2.5重量%、鉛:残部)ボールを載せ、フラッ
クスなし、攪はんなしで、5秒後までにはんだボールが
広がった面積を測定した。
【0043】1000時間後の接合強度は、アルミニウ
ム線にてワイヤボンディングした上記試料を200℃の
炉内に保管し、1000時間経過後、ワイヤ接合強度を
測定した。酸化膜の密着性は、銅合金リードフレームを
大気中、ホットプレート上にて350℃で1分間加熱
し、その後粘着テープ(商品名、スリーエムNo.81
0)を張り付け、次いで剥離したとき、粘着テープに酸
化膜の付着があるかどうかで判定した。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、メッキを省略してもフ
ラックスなしで十分なはんだ濡れ広がり性を示し、アル
ミニウム線を用いても良好な接合強度が得られ、接合部
の耐熱信頼性にも優れ、また酸化膜の密着性にも優れた
ダイボンド用銅合金リードフレームを得ることができ
る。その結果、コストを低減し、生産性、作業性を向上
させることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっきを施さない状態でアルミニウム線
    を用いてワイヤボンディングされるFeとPを含む銅合
    金リードフレームにおいて、Zn:0.005〜0.1
    50重量%、Ni:0.005〜0.050重量%のう
    ち少なくとも1種類を合計で0.20重量%以下含有
    し、導電率を85%IACS以上、表面硬さをビッカー
    ス硬度(Hv)120未満、ダイボンド部の鏡面反射率
    を30%以上、リードフレーム表面の酸化皮膜厚みを8
    0A(オングストローム)以下としたことを特徴とす
    る、はんだダイボンディング性、ワイヤボンディング
    性、及び接合部信頼性に優れるベアボンド用銅合金リー
    ドフレーム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2865478A1 (fr) * 2004-01-23 2005-07-29 Kobe Steel Ltd Alliage de cuivre de haute resistance mecanique et haute conductivite
FR2880358A1 (fr) * 2005-01-06 2006-07-07 Trefimetaux Alliages de cuivre et produits lamines correspondants pour applications electroniques
JP2013072128A (ja) * 2011-09-29 2013-04-22 Mitsubishi Shindoh Co Ltd 導電性、耐熱性及び曲げ加工性に優れたCu−Fe−P系銅合金板及びその製造方法
JP2013139623A (ja) * 2011-12-09 2013-07-18 Kobe Steel Ltd ベアボンディング性に優れたリードフレーム用銅合金
CN103243231A (zh) * 2013-04-23 2013-08-14 中色(宁夏)东方集团有限公司 一种高强度高导电铜基合金及其制备方法

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