JPH08236137A - 固体電解質燃料電池の製法 - Google Patents

固体電解質燃料電池の製法

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JPH08236137A
JPH08236137A JP7035554A JP3555495A JPH08236137A JP H08236137 A JPH08236137 A JP H08236137A JP 7035554 A JP7035554 A JP 7035554A JP 3555495 A JP3555495 A JP 3555495A JP H08236137 A JPH08236137 A JP H08236137A
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anode
plate
solid electrolyte
cell
fuel cell
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English (en)
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Naoya Nakanishi
直哉 中西
Seiten Kadowaki
正天 門脇
Hiroyuki Kawamura
博行 河村
Shunsuke Taniguchi
俊輔 谷口
Koji Yasuo
耕司 安尾
Yukinori Akiyama
幸徳 秋山
Yasuo Miyake
泰夫 三宅
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セル板の反りを低減することにより、電池ス
タック組立時のセル板の割れを低減すると共に電池性能
の優れた固体電解質燃料電池の製法を提供することを目
的とする。 【構成】 アノード材料としてのNIO粉末とYSZ粉
末に、有機造孔材としてのメチルセルロースを混合し、
混合スラリーを作製する。この混合スラリーを、電解質
板の一方の面に塗布し焼成する。電解質板の他方の面に
ペロブスカイト型酸化物粉末と8YSZ粉末との混合物
を塗布し焼成する。このようにして生成したセル板とセ
パレータとを積層し、SOFCスタックを組立てる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平板型の固体電解質燃
料電池の製法に関し、特にセル板の製造工程の改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】平板型の固体電解質燃料電池(以下、S
OFCと記載する)は、燃料電池の中でも比較的体積あ
たりの出力密度が大きく、電池の大容量化が容易である
という利点を有している一方、安定化ジルコニア等から
なる固体電解質板を用いているため、電池の運転は10
00℃程度の高い温度で行われている。
【0003】このSOFCは、固体電解質板の中央部に
アノードとカソードを配したセル板を製造する工程や、
セル板とセパレータ板とを交互に積層して電池スタック
を組み立てる工程を通して製造される。セル板の製造工
程は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)をはじめ
とする安定化ジルコニア等を用いて固体電解質板を成形
し、1500℃程度で焼成して固体電解質板を製作する
ステップ、この固体電解質板にアノード材料として例え
ばNiO粉末と8mol%Y23−ZrO2(8YS
Z)粉末との混合物を塗布するステップ、カソード材料
(例えばランタンストロンチウムマンガネートとYSZ
との混合物)を塗布するステップ、固体電解質板上に形
成されたアノード塗布膜やカソード塗布膜を焼成するス
テップ等からなっている。
【0004】なお、アノードの焼成及びカソード塗布,
焼成の順番については、アノード塗布膜を1300℃程
度で焼成した後に、カソード材料を塗布して、より低い
温度(例えば1100℃程度)でカソード焼成を行うこ
とが多いが、カソードを高温焼成することが可能な場合
には、アノード材料及びカソード材料を塗布した後、両
者を1300℃程度で同時に焼成する方法をとることも
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来のSOFCの製法においては、セル板の製造工程
で、アノード側を内側にして反りが発生しやすいという
問題があった。セル板に反りが発生する主な原因として
は、アノード焼成時において、アノード塗布膜が収縮す
ることによって、アノード塗布膜が固体電解質板を引っ
張ることにより反りを引き起こすものと考えられる。
【0006】そして、セル板に反りが生じることによっ
て、セル板を電池スタックへ組み込むことが困難になっ
たり、また組み込んだとしても、セル板に割れが発生し
たりセパレータとの接触抵抗が大きくなることによって
電池性能が低下するという課題が生じていた。また、こ
のようなセル板の反りは、大面積のセル板において、或
はアノード焼成温度が高い場合は、特に顕著に現れるの
で、大型のSOFC或は高性能のSOFCを開発する上
において、特にその解決が望まれている。
【0007】本発明は、このような課題に鑑み、セル板
の反りを低減することにより、電池スタック組立時のセ
ル板の割れを低減すると共に電池性能の優れた固体電解
質燃料電池の製法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の固体電解質燃料電池の製法は、電解
質板の一方の面にアノードが、他方の面にカソードが形
成されたセル板を製造後、セル板とセパレータを積層し
て固体電解質燃料電池を製造する方法において、セル板
の製造工程は、アノード材料に有機造孔材を混合する混
合ステップと、有機造孔材が混合されたアノード材料を
電解質板の一方の面に塗布するアノード塗布ステップ
と、アノード材料が塗布された電解質板を焼成するアノ
ード焼成ステップと、を備えることを特徴としている。
【0009】また、請求項2記載の固体電解質燃料電池
の製法は、請求項1記載の固体電解質燃料電池の製法に
対して、混合ステップにおいて、アノード材料として、
金属触媒及びセラミックスを用いることを特徴としてい
る。また、請求項3記載の固体電解質燃料電池の製法
は、請求項2記載の固体電解質燃料電池の製法に対し
て、混合ステップにおいて、アノード材料としての金属
触媒及びセラミックスと、溶媒と、有機造孔材とを混合
して混合スラリーを形成し、混合スラリーの粘度を5×
103〜100×103cpsに調整することを特徴とし
ている。
【0010】また、請求項4記載の固体電解質燃料電池
の製法は、請求項2記載の固体電解質燃料電池の製法に
対して、混合ステップにおいて、有機造孔材として、メ
チルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ポリビ
ニルアルコール,ヒドロキシプロピルセルロース,セル
ロース,多糖類の中から選択されるものを用いることを
特徴としている。
【0011】また、請求項5記載の固体電解質燃料電池
の製法は、請求項2記載の固体電解質燃料電池の製法に
対して、混合ステップにおいて、金属触媒及びセラミッ
クスの混合物の還元時の体積に対して、5〜50vol
%の有機造孔材を混合することを特徴としている。
【0012】
【作用】セル板の製造工程で、アノード焼成時にアノー
ド塗布膜の収縮が原因で反りが発生する理由、また、本
発明によってこの反りが軽減される理由は、次のように
考えられる。アノード焼成時に、アノード塗布膜はアノ
ード材料の粒子(即ち、金属触媒やセラミックス)が焼
結することによって収縮する一方、固体電解質板は、既
に焼成済みであるため収縮が比較的小さいこと、また、
固体電解質板よりもアノードの方が、材質的に冷却時の
収縮率が大きいことから、アノード塗布膜が固体電解質
板を引っ張る。
【0013】一方、カソード焼成時においても、同様
に、カソード塗布膜は、収縮することによって固体電解
質板を引っ張るが、カソードの材質上、アノード塗布膜
のように強くは引っ張らない。従って、生成したセル板
には、アノード側を内側にして反りが生じる。請求項1
記載の固体電解質燃料電池の製法によれば、混合ステッ
プでは、アノード材料に有機造孔材が混合され、アノー
ド塗布ステップでは、有機造孔材が混合されたアノード
材料が電解質板の一方の面に塗布される。ここで、形成
されたアノード塗布膜においては、有機造孔材がアノー
ド材料同士の間に介在して、アノード材料同士の間に間
隔を保っている。
【0014】アノード焼成ステップでは、アノード材料
は固体電解質板上に焼結される。そして、焼成時に有機
造孔材は焼失して空間(孔)を形成するため、高多孔性
のアノードが形成される。また、有機造孔材により空間
を形成した分だけアノード材料同士の焼結を妨げるの
で、アノード塗布膜が電解質板を引っ張る力を低減させ
る。
【0015】従って、従来の固体電解質燃料電池の製法
と比べて、製造されたセル板は、反りが減少すると共
に、アノードのガス拡散性が優れる。また、請求項2記
載の固体電解質燃料電池の製法によれば、混合ステップ
では、アノード材料としての金属触媒及びセラミックス
に有機造孔材が混合され、アノード塗布ステップでは、
その混合物が電解質板の一方の面に塗布される。ここで
形成されるアノード塗布膜においては、有機造孔材が、
金属触媒粒子とセラミックス粒子の間に介在し、これら
の粒子間に間隔を保っている。
【0016】アノード焼成ステップでは、金属触媒及び
セラミックスは固体電解質板上に焼結されるが、有機造
孔材は焼失して空間(孔)を形成するため、高多孔性の
アノードが形成される。また、有機造孔材による空間を
形成した分だけ、粒子同士の焼結を妨げるので、アノー
ド塗布膜が電解質板を引っ張る力を低減させる。従っ
て、従来の固体電解質燃料電池の製法と比べて、製造さ
れたセル板は、反りが減少すると共に、アノードのガス
拡散性が優れる。
【0017】また、請求項3記載の固体電解質燃料電池
の製法によれば、混合ステップにおいて、アノード材料
としての金属触媒及びセラミックスと、溶媒と、有機造
孔材とを混合して、混合スラリーが形成され、混合スラ
リーの粘度は5×103〜100×103cpsに調整さ
れる。混合スラリーの粘度がこの範囲にあるとき、固体
電解質板に対する塗布適正が優れているので、アノード
塗布ステップで、割れや剥離の少ないアノード塗布膜を
形成することができる。
【0018】また、請求項4記載の固体電解質燃料電池
の製法によれば、混合ステップで用いる有機造孔材は、
メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ポリ
ビニルアルコール,ヒドロキシプロピルセルロース,セ
ルロース,多糖類の中から選択される。これらの材料
は、アノード塗布ステップで形成されるアノード塗布膜
において金属触媒粒子とセラミックス粒子の粒子間に間
隔を保ち、アノード焼成時には、焼失して空間(孔)を
形成する作用と、粒子同士の焼結を妨げる作用とを有す
る。
【0019】また、請求項5記載の固体電解質燃料電池
の製法によれば、混合ステップにおいて、金属触媒及び
セラミックスの混合物の還元時の体積に対して、5〜5
0vol%の有機造孔材を混合する。有機造孔材の混合
量がこの範囲にあるとき、金属触媒粒子とセラミックス
粒子の焼結を妨げる効果と、金属触媒及びセラミックス
の焼結体に対する造孔作用が優れているため、製造され
るセル板は、反りが効果的に減少すると共に、アノード
のガス拡散性が優れる。
【0020】
【実施例】以下、本発明のSOFCの製法について、図
面を参照しながら具体的に説明する。 (SOFCの構成についての説明)図1は、本発明の一
実施例に係るSOFCの構成を示す部分分解斜視図であ
る。
【0021】このSOFCスタックは、セル板1とセパ
レータ2とが交互に所定枚数積層され、上下から一対の
スタック板(不図示)で締め付けられて構成されてい
る。セル板1は、3mol%イットリアで安定化したジ
ルコニア(3YSZ)の緻密な焼成体からなる固体電解
質板11の一方の表面にLa0.9Sr0.1MnO3等(L
1-xxMnO3で示され、0.1≦x≦0.5、MとしてS
rが使用可能)のペロブスカイト型酸化物と8YSZと
の混合物からなるカソード12が配され、他方の表面に
NiOと8YSZとの混合物からなるアノード(図1で
は、固体電解質板11の背面にあって表れない)が配さ
れて構成されている。
【0022】固体電解質板11は、カソード12,アノ
ードよりも大面積であり、外周がカソード12およびア
ノードより外方に延在している。そして、カソード12
およびアノードより外方の固体電解質板11上には、ア
ノードガス,カソードガス給排用のマニホールドを形成
するための窓13〜18(但し、図1では窓16はセパ
レータ2の陰になって図中には現れていない)が開設さ
れている。
【0023】セパレータ2は、例えば、ニッケルクロム
合金などの耐熱性合金からなり、セル板1の固体電解質
板11と同一の外形寸法を持っている。このセパレータ
2のアノードと対向する表面Sa及びカソード12と対
向する表面(図1には表れない)には、複数のリブ21
…が並設されており、アノードガス及びカソードガスが
各リブ21…の間を流通してアノード及びカソード12
に供給されるようになっている。
【0024】また、セパレータ2上におけるリブ21…
形成部位より外方であって、固体電解質板11の窓13
〜18に相当する部位には、アノードガス,カソードガ
ス給排用のマニホールドとなる窓23〜28が開設され
ている。更に、セパレータ2の表面Sa側においては、
セパレータ2の全外周全周と窓23・25・27の周囲
には、固体電解質板11と接してシールできるようシー
ル部31が形成されている。このシール部31のシール
面(図1に斜線で示す領域)には、シール材(例えば、
ガラス)が配されている。
【0025】一方、セパレータ2の他方の表面(図にお
いては下側表面)においても、図には現れないが、セパ
レータ2の外周全周及び窓24・26・28の周囲に
は、同様のシール部が形成されている。このようなセル
板1とセパレータ2とが所定数積層された電池スタック
においては、窓13と23,窓15と25,窓17と2
7は、カソードガス給排用のマニホールドを形成する一
方、窓14と24、窓16と26、窓18と28は、ア
ノードガス給排用のマニホールドを形成している。そし
て、各マニホールドを通して、カソードガス,アノード
ガスがカソード12及びアノードに供給されるようにな
っている。
【0026】(SOFCの製法についての説明)図2
は、上記構成のSOFCの製法の説明図である。図2を
参照しながら、このSOFCの製法について説明する。
固体電解質板11の材料である3%イットリアで安定化
したジルコニア粉末を薄板状(0.2mm)に成形し、
1500℃程度で焼成した後、所定の形状と大きさ(1
50mm×150mm)に切断して固体電解質板11を
作製する。
【0027】一方、以下のようにしてアノード用の混合
スラリーを作製する。図3は、アノード用の混合スラリ
ーを作製する工程の説明図である。図3に示すように、
まず、NiO粉末を200重量部と、平均粒径0.5μ
mの8YSZ粉末を150重量部配合し、ボールミルで
混合,粉砕する。この配合では、還元時のNi金属と8
YSZとの重量比が、ほぼ1:1となっている。
【0028】次に、メチルセルロースを20重量部を加
え、更に、溶媒としてのテルピネオールを120重量部
と、バインダとしてのポリビニルブチラール(PVB)
樹脂を10重量部加えて混合する。ここで用いるメチル
セルロースは、水溶液とした時に比較的低粘度のものを
用いるのが望ましく、あまり高粘度のものを用いると後
の粘度調整で困難になることがある。ここでは、メチル
セルロースの2%水溶液(20℃)の粘度範囲が20〜
30cpsのもの(CPS25)を用いるが、この他
に、350〜550cpsのもの(CPS400),1
800〜2500cpsのもの(CPS2000)や、
これらを混合したものも用いることができる。
【0029】なお、上記の配合では、アノード材料(N
iO粉末と8YSZ粉末)の還元時の体積に対するメチ
ルセルロースの体積比率は、20vol%程度に相当し
ており、後述するように、有機造孔材の混合量として適
当な値である。生成した混合スラリー中には微少な気泡
が含まれているので、減圧下で撹拌することによってこ
れを除去する。そして、所定の粘度となるよう、少量の
溶媒或はバインダを添加することによって粘度調整を行
う。後述する実験からわかるように、混合スラリーの粘
度は、塗布に適した値、即ち5×103〜100×103
cpsの範囲に調整することが望ましい。
【0030】図2に戻って、次に固体電解質板11上の
所定の領域に、混合スラリーをスクリーン印刷で塗布
し、所定の厚さ(50μm)のアノード塗布膜を形成す
る。形成されたアノード塗布膜においては、PVB樹脂
は、NiO粉末と8YSZ粉末の粒子同士を結着させ
て、塗布膜を保持する作用をなしている一方、メチルセ
ルロースは、粒子同士の間隔を保つ作用をなしている。
【0031】次に、アノード塗布膜が形成された固体電
解質板11を、所定の焼成温度1300℃(1250〜
1450℃で変更可能)で、数時間焼成する。この焼成
によって、メチルセルロースやPVB樹脂は焼失する。
そして、NiO粉末と8YSZ粉末が焼結しようとする
が、メチルセルロースが形成していた粒子の間隔に空間
(孔)が形成され、その分だけ粉末同士の焼結が妨げら
れる。この焼結防止作用によって、アノード塗布膜が固
体電解質板11を引っ張る力が低減し、固体電解質板1
1に生ずる反りが低減される。また、孔が形成されるこ
とにより、ガス拡散性の優れたアノードが形成される。
【0032】なお、バインダとして用いられているPV
B樹脂は、メチルセルロースと比べて粉末同士の間隔を
保つ作用は小さいため、メチルセルロースのような造孔
作用は持たない、或は少ないものと考えられる。次に、
同様に、カソード用スラリーを作製し、固体電解質板1
1のアノードが形成された反対側の所定領域に塗布して
焼成することによって、カソード12を形成する。
【0033】但し、カソード材料であるペロブスカイト
型酸化物粉末と8YSZ粉末との混合物は、アノード材
料であるNiO粉末と8YSZ粉末との混合物と比べ
て、焼成時の熱収縮率が小さく、また焼成温度も低いの
で、焼成時に固体電解質板11を引っ張る力は弱い。従
って、カソード用スラリーの作製時においては、有機造
孔材(メチルセルロース)を添加しない。
【0034】具体的には、La0.9Sr0.1MnO3粉末
400重量部と8YSZ粉末150重量部と、バインダ
(PBB樹脂)10重量部と、溶媒(テルピネオール)
100重量部とをボールミにて十分混合,粉砕し、スラ
リー中に含まれる微小な気泡を減圧下で撹拌除去して、
カソード用スラリーを作製する。そして、そのカソード
用スラリーを塗布して厚さ50μmのカソード塗布膜を
形成した後、焼成温度1100℃(1100℃〜135
0℃で変更可能)でカソードの焼成を行う。
【0035】以上のようにして作製されたセル板1は、
反りが少なく、アノードのガス拡散性が優れている。S
OFCスタックは、このセル板1と、別途に作製したセ
パレータ2とを、シール面にシール材を配しながら交互
に所定枚数積層し、スタック板で締め付けることにより
組立てられる。
【0036】組立時においては、セル板1の反りが少な
いので、セル板1が割れることは少ない。また、組立て
られたSOFCスタックにおいて、セル板1とセパレー
タ2との接触状態が良好となる。特に、カソード12,
アノードと、リブ21…との間隔が均一に保たれること
により、セル板1とセパレータ2との接触抵抗が低減さ
れる。また、アノードのガス拡散性も優れているので、
電池特性も優れている。
【0037】(混合スラリーの粘度調整に関する実験)
上記アノード用の混合スラリーを作製する工程におい
て、粘度の値を変化させて調整し、各混合スラリーを同
様に固体電解質板11に塗布及び焼成して、アノード塗
布膜の状態を観察した。図4は、混合スラリーの粘度
と、形成されるアノード塗布膜の状態を示す表である。
【0038】図に示されるように、混合スラリーの粘度
が1×103cps未満では、均一に塗布することが困
難であって、5×103cps未満では、形成されたア
ノード塗布膜には、焼成時に割れや剥離が発生した。ま
た、粘度が5×103〜100×103cpsの範囲にお
いては、形成されたアノード塗布膜は良好であり、焼成
時に割れや剥離は見られなかった。
【0039】また、粘度が100×103cpsを越え
ると、塗布することが困難であった。従って、混合スラ
リーの粘度は、5×103〜100×103cpsの範囲
で調整することが望ましいことがわかる。 (メチルセルロースの添加量に関する実験)上記アノー
ド用の混合スラリーを作製する工程において、メチルセ
ルロースの添加量を変化させて混合スラリーを作製し、
各混合スラリーを用いて、同様にセル板1を作製し、S
OFCスタックを組立てた。そして、各SOFCスタッ
クについて、セル電圧を測定した。
【0040】セル電圧の測定は、アノードガス−加温水
素,カソードガス−空気,作動温度1000℃,電流密
度300mA/cm2で行った。図5は、この実験結果
を示すものであって、メチルセルロースの添加量とセル
電圧の関係を示す特性図である。図において、メチルセ
ルロースの添加量は、アノード材料の還元時の体積に対
するメチルセルロースの体積の比率(%)で示されてい
る。
【0041】図に示されるように、メチルセルロースの
添加量が5〜50vol%の範囲において、5vol%
未満或は50vol%を越える範囲と比較してセル電圧
が高くなっており、特に15〜40vol%の範囲にお
いて高いセル電圧を示している。この結果は、メチルセ
ルロースの添加量としては5〜50vol%が好まし
く、この範囲において、セル板1の反りを低減させる効
果やアノードに対する造孔作用が良好であることを示唆
している。
【0042】(その他の事項)なお、上記実施例におい
ては、有機造孔材としてメチルセルロースを用いる例を
示したが、有機造孔材としてはこの他に、カルボキシメ
チルセルロース(CMC),ポリビニルアルコール(P
VA),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC),セ
ルロース,多糖類等を同様に用いることができ、同様の
効果を奏する。また、これらの有機造孔材においても、
メチルセルロースと同様、添加量はアノード材料の還元
時の体積に対して5〜50vol%の範囲が好ましいと
考えられる。
【0043】また、上記実施例においては、アノード材
料の金属触媒としてNiO,セラミックスとして8YS
Zを用いる例を示したが、金属触媒としては、Ni,R
uやそれらの化合物を同様に用いることができる。ま
た、セラミックスとしては、Y23,CaO,Nd
23,Sm23,Yb23,Sc23,MgOの内の1
種又は数種をZr20に2〜20mol%ドープした安
定化ジルコニア、(CeO20.8(SmO30.2、(C
eO20.8(Y230.2、(CeO20.8(La
23)、PrOx(0<x≦3)、或はこれらの混合物を
用いても同様に実施することができる。
【0044】また、上記実施例においては、ボールミル
で金属触媒とセラミックスとを混合した後、有機造孔材
を添加し、バインダと溶媒を添加する例を示したが、添
加する順番は入れ替わっても同様に実施することができ
る。また、上記実施例においては、アノード焼成後にカ
ソードを塗布して焼成する例を示したが、アノード焼成
とカソード塗布の順番は入れ替わってもよく、例えば、
固体電解質板にアノード材料及びカソード材料を塗布
し、同時に焼成する場合においても同様に適用すること
ができ、同様の効果を奏する。
【0045】
【発明の効果】本発明の固体電解質燃料電池の製法によ
れば、反りの少ないセル板を製造することができるの
で、電池スタック組立時におけるセル板の割れが少なく
なる。また、組立てた電池スタックにおいても、セル板
の反りが少ないためセル板とセパレータとの接触抵抗が
低減され、また、アノードのガス拡散性も優れているの
で、電池特性が優れている。
【0046】また、セル板の面積が大きい場合や、アノ
ードの焼成温度が高い場合のようにセル板の反りが発生
しやすい条件下では、本発明による反りの低減効果が顕
著であるので、大面積のSOFCを製造したり、アノー
ドを1400℃程度の高温で焼成して高性能のSOFC
を開発する上において、特に価値のある技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るSOFCの構成を示す
部分分解斜視図である。
【図2】図1に示すSOFCの製法の説明図である。
【図3】アノード用の混合スラリーを作製する工程の説
明図である。
【図4】混合スラリーの粘度と、形成されるアノード塗
布膜の状態を示す表である。
【図5】メチルセルロースの添加量とセル電圧の関係を
示す特性図である。
【符号の説明】
1 セル板 2 セパレータ 11 固体電解質板 12 カソード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷口 俊輔 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 安尾 耕司 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 秋山 幸徳 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 三宅 泰夫 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質板の一方の面にアノードが、他方
    の面にカソードが形成されたセル板を製造後、該セル板
    とセパレータを積層して固体電解質燃料電池を製造する
    方法において、 前記セル板の製造工程は、 アノード材料に有機造孔材を混合する混合ステップと、
    有機造孔材が混合されたアノード材料を電解質板の一方
    の面に塗布するアノード塗布ステップと、アノード材料
    が塗布された電解質板を焼成するアノード焼成ステップ
    と、を備えることを特徴とする固体電解質燃料電池の製
    法。
  2. 【請求項2】 前記混合ステップにおいて、 アノード材料として、金属触媒及びセラミックスを用い
    ることを特徴とする請求項1記載の固体電解質燃料電池
    の製法。
  3. 【請求項3】 前記混合ステップにおいて、 アノード材料としての金属触媒及びセラミックスと、溶
    媒と、有機造孔材とを混合して混合スラリーを形成し、
    混合スラリーの粘度を5×103〜100×103cps
    に調整することを特徴とする請求項2記載の固体電解質
    燃料電池の製法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の混合ステップにおいて、 有機造孔材として、メチルセルロース,カルボキシメチ
    ルセルロース,ポリビニルアルコール,ヒドロキシプロ
    ピルセルロース,セルロース,多糖類の中から選択され
    るものを用いることを特徴とする請求項3記載の固体電
    解質燃料電池の製法。
  5. 【請求項5】 請求項2記載の混合ステップにおいて、 金属触媒及びセラミックスの混合物の還元時の体積に対
    して、5〜50vol%の有機造孔材を混合することを
    特徴とする請求項2記載の固体電解質燃料電池の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005056877A1 (de) * 2003-12-10 2005-06-23 Mtu Aero Engines Gmbh Keramisches material und verfahren zum reparieren von wärmedämmschichten mit lokalen beschädigungen
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