JPH08232924A

JPH08232924A - 拡開アンカー

Info

Publication number: JPH08232924A
Application number: JP8009097A
Authority: JP
Inventors: Franz-Paul Mayr; マイヤーフランツ−パウル
Original assignee: Hilti AG
Current assignee: Hilti AG
Priority date: 1995-01-23
Filing date: 1996-01-23
Publication date: 1996-09-10
Anticipated expiration: 2016-01-23
Also published as: EP0723085B1; DE59501414D1; DE19501911A1; JP3852971B2; EP0723085A1; KR960029648A; US5791846A

Abstract

(57)【要約】【課題】高い引抜き抵抗値を実現すると共に亀裂の入
ったコンクリート中でも所要の最小引抜き抵抗値を達成
できる、改良された拡開アンカーを提案することであ
る。【解決手段】本発明の拡開アンカー（１）は円筒形状
のスリーブ部材（２）を具える。このスリーブ部材
（２）は、長手方向スリット（７）が設けられた拡開領
域（６）を有すると共に拡開部材（３）を収めるための
テーパ形状孔（５）を有している。拡開領域（６）には
略Ｖ字断面形状の円周方向溝（９）が設けられ、これら
円周方向溝（９）は円筒部分（８）により互いに分離さ
れている。円周方向溝（９）の両側壁（10，11）は約 1
20〜140° の角度（α）を互いになす配置とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は、円筒形状のスリーブ部材を具
え、該スリーブ部材は、長手方向スリットが設けられた
拡開領域を有すると共に拡開部材を収めるためのテーパ
形状孔を有し、さらに、前記拡開領域に略Ｖ字断面形状
の円周方向溝が設けられた拡開アンカーに関するもので
ある。

【０００２】

【背景技術】このような構成を有する拡開アンカーは、
その打設方向前方に向けて内径が漸減するテーパ形状孔
をスリーブ部材における拡開領域に有している。円錐形
状又は円筒形状の外周面を有する拡開部材をスリーブ部
材のテーパ形状孔内に打ち込むと、スリーブ部材の拡開
領域が半径方向外方に向けて拡開する。拡開領域の拡開
に際して、通常はコンクリート製の基材における受け孔
内に打設された拡開アンカーの周辺材料に高い半径方向
圧力が及ぼされる。そして、拡開アンカーの引抜き荷重
に対する抵抗値、いわゆる引抜き抵抗値は、基材の周辺
材料に対して押圧されたスリーブ部材の係止力に依存し
ている。

【０００３】拡開アンカーの引抜き抵抗値を高めるた
め、米国特許第 3,808,938号明細書は、スリーブ部材の
拡開領域に微細な円周方向溝を設けることを提案してい
る。略Ｖ字断面形状とした溝による鋸歯状表面は、スリ
ーブ部材の拡開領域が拡開する際に基材の周辺材料中に
押し込まれる。その結果、スリーブ部材の拡開領域と基
材の周辺材料との間の形状結合により係止力が達成さ
れ、これにより拡開アンカーの引抜き抵抗値が向上する
ことを意図したものである。しかし、微細な円周方向溝
による拡開領域の鋸歯状表面は、多くの場合には基材中
へのスリーブ部材の打設に際して損傷し、さらに、拡開
領域円における高い圧力の作用下で周方向溝の間の鋭角
な接続部が変形を生じる。その結果、十分な形状結合が
行われず、所要の引抜き抵抗値の達成が不可能となる。
さらに、微細な円周方向溝による鋸歯状表面は、基材の
周辺材料に対して押圧される周方向溝の間の鋭角な接続
部が周辺材料中に亀裂や破砕を生じさせるため、十分な
係止力が達成されなくなり、溝が設けられていない拡開
アンカーと対比して引抜き抵抗値がかえって低下する欠
点を伴うものである。

【０００４】このような欠点に鑑み、ドイツ連邦共和国
特許出願公開第 25 56 019号公報には、平坦で鋭角部の
ない断面形状とした円周方向溝をスリーブ部材の拡開領
域に設けることを提案している。この提案に係るスリー
ブ部材の外周面構成は、スリーブ部材のテーパ孔および
拡開部材の対応する形状と相俟って、既知の解決手段よ
りも改善された引抜き抵抗値の実現を意図したものであ
る。鋭角部のない円周方向溝の断面形状は、基材におけ
る周辺材料の損傷を防止すると共に、溝領域におけるス
リーブ部材の破断、曲げ又は破損をも防止する機能をも
発揮する。しかし、この提案による拡開アンカーは、亀
裂の入ったコンクリート中では所要の最小引抜き抵抗値
が発現されない場合がある。このような場合には、完全
な係止性能を期待することが不可能となる。すなわち、
従来技術に基づく上記の拡開アンカーは、安全上の理由
から、コンクリート基材における引張荷重の作用領域で
は使用することができない。

【０００５】

【発明の開示】したがって、本発明の課題は、本文冒頭
に記載した形式の拡開アンカーにさらなる改良を加え、
より高い引抜き抵抗値を実現すると共に、亀裂の入った
コンクリート中でも所要の最小引抜き抵抗値を達成可能
とすることである。本発明による拡開アンカーは、安全
性を損なうことなく、コンクリート基材における引張荷
重の作用領域でも使用可能とし、使用時にスリーブ部材
の形状安定性を維持すると共に基材における周辺材料の
損傷又は変形を防止し得る構成とする。

【０００６】このような課題を解決するため、本発明
は、円筒形状のスリーブ部材を具え、該スリーブ部材
は、長手方向スリットが設けられた拡開領域を有すると
共に拡開部材を収めるためのテーパ形状孔を有し、さら
に、前記拡開領域に略Ｖ字断面形状の円周方向溝が設け
られた拡開アンカーにおいて、前記円周方向溝（９）を
円筒部分により互いに分離したこと、並びに、該円周方
向溝の両側壁を約 120〜140° の角度を互いになす配置
としたことを特徴とするものである。

【０００７】本発明の上記構成によれば、前述した課題
を一挙に解決することができ、特に、亀裂の入ったコン
クリート中でも所要の安全性を確保することが可能とな
る。円周方向溝は凹凸面を有するとは言え、本発明によ
る鈍角の構成に基づき、打設時に溝領域におけるスリー
ブ部材の破断、曲げ又は破損を生じることはない。

【０００８】本発明の好適な実施例においては、スリー
ブ部材の拡開領域に少なくとも２本の円周方向溝を設け
ると共に対応する数の円筒部分を設ける。

【０００９】本発明の他の好適実施例においては、円周
方向溝の幅を円筒部分の幅の約３〜10倍とする。この場
合には、特に良好な引抜き抵抗値を達成することが可能
となる。

【００１０】スリーブ部材の形状安定性を向上すると共
に拡開領域における基材の損傷を防止するため、円周方
向溝の深さを、スリーブ部材のテーパ形状孔に連なるね
じ孔を設けた領域における肉厚の1/2 以下とするのが有
利である。

【００１１】本発明のさらに他の好適実施例において
は、円周方向溝の深さを、円筒部分の幅とほぼ一致させ
る。この場合には、溝領域でスリーブ部材に直接接触す
る基材が、溝の間の円筒部分においては荷重が負荷され
ないことに基づいて、より高い摩擦結合力を発現するの
みならず、より良好な形状結合をも達成するものであ
る。

【００１２】本発明による拡開アンカーの一般的構成に
おいては、スリーブ部材の拡開領域に４本以下の前記円
周方向溝を設ける。この場合には、スリーブ部材の拡開
領域に均衡のとれた摩擦結合および形状結合が実現さ
れ、特に、亀裂の入ったコンクリート基材に対して拡開
アンカー有利に適用することが可能となる。

【００１３】

【最良の実施形態】以下、本発明を図示の好適実施例に
ついて詳述する。

【００１４】図１および図２に示した実施例による拡開
アンカーは、その全体が図１において参照数字１で表さ
れており、スリーブ部材２および拡開部材３を具えてい
る。スリーブ部材２の打設方向前方に位置する領域は、
拡開領域６として形成されている。拡開領域６は、長手
方向スリット又は切り溝７が設けられ、さらに、拡開部
材３を収めるべく前端に向けて円錐状に内径が漸減する
テーパ形状の孔５を有している。スリーブ部材２の後部
領域には負荷支持手段が設けられている。この負荷支持
手段は、例えば、固定ボルト等を締結し得るねじ孔４と
して構成することができる。ねじ孔４を貫通させてスリ
ーブ部材２内に外部より導入し得る拡開部材３は、打設
方向前方に向けて円錐状に外径が漸減するテーパ形状と
する。拡開部材３をスリーブ部材２の孔５内に打ち込む
際にテーパ形状孔５の内面と拡開部材３の外面とを協動
させて拡開領域６を、拡開アンカー１が受け孔内に確実
の保持されるまで半径方向外方に向けて均等に拡開させ
る。

【００１５】基材の受け孔内での拡開アンカー１の保持
特性を向上するために拡開領域６に円周方向溝９を設
け、これらの円周方向溝９を円筒部分８により互いに分
離する。円周方向溝９を略Ｖ字断面形状とし、その両側
面10，11は互いに約 120〜140°の角度αをなす配置と
する。少なくとも２本の円周方向溝９と、これらを互い
に分離する円筒部分８との組み合わせにより、拡開アン
カー１を受け孔内に容易にセット可能である。この場
合、円筒部分８は受け孔の内面に沿って滑動させること
ができ、受け孔の内面が損傷することはない。拡開部材
３をスリーブ部材２の孔５内に打ち込む際、拡開領域６
は均等に拡開して拡開アンカー１を受け孔内に確実に保
持する機能を発揮する。スリーブ部材２の拡開領域６に
おける円筒部分８と円周方向溝９の独自の断面形状によ
り、拡開領域６の拡開に際して受け孔の周辺材料の破砕
が防止され、周辺材料の構造がほぼ完全に維持される。
また、拡開領域６における円周方向溝９の両側面10，11
が受け孔の内壁に対して押圧されるため、基材が円筒部
分８および円周方向溝９に対応して変形され、受け孔内
での拡開アンカー１の摩擦結合に加えて、拡開領域６に
おいて拡開したスリーブ部材２を受け孔の内壁に対して
形状結合させる機能も発揮される。

【００１６】本発明の好適な実施例において、円周方向
溝９の幅ｂは、溝９を互いに分離する円筒部分８の幅ａ
の約３〜10倍とする。また、溝９の深さｃは、スリーブ
部材２におけるねじ孔４を設けた領域での肉厚ｄの1/2
以下とする。図示例では、溝９の深さｃと円筒部分８の
幅ａをほぼ等しく設定する。スリーブ部材２の拡開領域
６における円周方向溝９の数は少なくとも２本、例えば
図示例におけるごとく３本とするが、最大本数は４本と
する。これらの円周方向溝９は、対応する数の円筒部分
８により互いに分離する。この場合、第１の円筒部分８
は、スリーブ部材２の打設方向前方領域で第１の円周方
向溝９の前方に配置することができる。

【００１７】本発明による拡開アンカーは金属製アンカ
ーとして構成することができるが、プラスチック製とし
ても良い。本発明による拡開アンカーは、従来のアンカ
ーよりも高い係止力を発現するものであり、亀裂の入っ
たコンクリート基材中においても引抜き荷重に対する所
要の最小抵抗値を達成し得るものである。スリーブ部材
の拡開領域に円周方向溝と、円筒部分とを交互に配置し
た独自の断面形状により、スリーブ部材の形状安定性を
保証すると共に拡開領域における基材の不所望の変形又
は損傷を確実に防止し得るものである。さらに、本発明
による拡開アンカーは、コンクリート基材における引張
荷重の作用領域でも十分な安全性を維持しつつ使用する
ことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、スリーブ部材および拡開部材を具える
拡開アンカーの好適実施例を一部破断して示す側面図で
ある。

【図２】図２は、スリーブ部材におけるび拡開部分を一
部破断して示す側面図である。

【符号の説明】１拡開アンカー２スリーブ部材３拡開部材４負荷支持手段（ねじ孔）５テーパ形状孔６拡開領域７長手方向スリット８円筒部分９円周方向溝 10，11 円周方向溝の側壁 α 円周方向溝の両側壁のなす角度ａ円筒部分の幅ｂ円周方向溝の幅ｃ円周方向溝の深さｄスリーブ部材の肉厚

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】円筒形状のスリーブ部材（２）を具え、
該スリーブ部材（２）は、長手方向スリット（７）が設
けられた拡開領域（６）を有すると共に拡開部材（３）
を収めるためのテーパ形状孔（５）を有し、さらに、前
記拡開領域（６）に略Ｖ字断面形状の円周方向溝（９）
が設けられた拡開アンカー（１）において、前記円周方
向溝（９）を円筒部分（８）により互いに分離したこ
と、並びに、該円周方向溝（９）の両側壁（10，11）は
約 120〜140 °の角度（α）を互いになす配置としたこ
とを特徴とする拡開アンカー。
【請求項２】請求項１記載の拡開アンカーにおいて、
前記拡開領域（６）に少なくとも２本の円周方向溝
（９）を設けると共に、対応する数の円筒部分（８）を
設けたことを特徴とする拡開アンカー。
【請求項３】請求項１又は２に記載の拡開アンカーに
おいて、前記円周方向溝（９）の幅（ｂ）を円筒部分
（８）の幅（ａ）の約３〜10倍としたことを特徴とする
拡開アンカー。
【請求項４】請求項１〜３のいずれか一項に記載の拡
開アンカーにおいて、前記円周方向溝（９）の深さ
（ｃ）を、スリーブ部材（２）のテーパ形状孔（５）に
連なるねじ孔（４）を設けた領域における肉厚（ｄ）の
1/2 以下としたことを特徴とする拡開アンカー。
【請求項５】請求項４記載の拡開アンカーにおいて、
前記円周方向溝（９）の深さ（ｃ）を、円筒部分（８）
の幅（ａ）とほぼ一致させたことを特徴とする拡開アン
カー。
【請求項６】請求項１〜５のいずれか一項に記載の拡
開アンカーにおいて、前記スリーブ部材（２）の拡開領
域（６）に４本以下の前記円周方向溝（９）を設けたこ
とを特徴とする拡開アンカー。