JPH08232897A - 軸流圧縮機の静翼 - Google Patents

軸流圧縮機の静翼

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JPH08232897A
JPH08232897A JP3632995A JP3632995A JPH08232897A JP H08232897 A JPH08232897 A JP H08232897A JP 3632995 A JP3632995 A JP 3632995A JP 3632995 A JP3632995 A JP 3632995A JP H08232897 A JPH08232897 A JP H08232897A
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進 寺本
Tomoki Kawakubo
知己 川久保
Kenji Kobayashi
健児 小林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 2次流れにより生じる境界層の蓄積を低減
し、これにより2次流れによる損失を減少させ圧縮機の
効率を向上させることができる軸流圧縮機の静翼を提供
する。 【構成】 半径方向翼端(チップT)において壁面14
と110°以上の鈍角をなすように円周方向に湾曲した
負圧面12を有し、これにより壁面境界層の負圧面翼端
部への集積を防いで剥離を抑制し、かつ軸線方向上流側
に傾斜するチップ側翼端部を有し、これにより負圧面に
半径方向内方への力成分を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジェットエンジン、ガ
スタービン等の軸流圧縮機の静翼に関する。
【0002】
【従来の技術】ジェットエンジン、ガスタービン等の産
業用軸流圧縮機において、効率向上は極めて重要な課題
である。しかし、軸流圧縮機の静翼列間の流体の3次元
的挙動は極めて複雑であり、依然として十分には解明さ
れていない。図6は、従来の軸流圧縮機静翼の模式図で
ある。この図に示すように、従来の静翼は、取付け部か
ら先端まで曲がりが少なくほぼ直線状に半径方向に延び
ていた。すなわち、従来の静翼は、2次元翼断面を半径
方向に直線状に積み重ねた2次元スタッキング翼構造が
用いられてきた。しかし、軸流圧縮機における静翼列で
は、図7に例示するように、隣接する静翼間の正圧面
側から負圧面側に流れる2次流れが発生し、この2次流
れによる渦損失により効率が低下する問題点があった。
【0003】かかる2次流れによる渦損失を低減するた
めに、従来種々の研究がなされ、例えば、特開昭60−
170707号(軸流流体機械の静翼)、米国特許4,
826,400号("CURVILINEAR TURBINE AIRFOIL" )
等が創案され、出願されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、タービンの静
翼と相違し、圧縮機の静翼では更に、2次流れにより
境界層が吹き寄せられて図7のA部に溜まり、この部分
の境界層が発達して厚くなり、これが剥離することによ
り効率が低下する問題点が明らかとなった。すなわち、
図8は従来の静翼損失分布図であり、上述した2次流れ
による渦損失を考慮に入れた設計値(破線)と、実際の
試験値(実線)とを比較するとチップ部において損失係
数が設計値より大きくなっている。この原因の少なくと
も1つは、圧縮機の翼列後縁部における2次流れの流速
分布図(図9)からわかるように、円周方向の2次流れ
の流速がA部(チップ部及びルート部)で大きく、この
2次流れによって輸送されたエンドウォール境界層内の
高損失流体が、負圧面とエンドウォール面(ケーシング
面又はハブ面)の角部に集積して剥離し、損失を増大さ
せることによると考えられる。この蓄積した境界層の厚
さは、通常の境界層の厚さの2倍以上に増加する。
【0005】これに対して、気体が膨張するタービンの
場合には、境界層が薄く、2次流れによる損失は、上述
した渦損失が主であり、境界層の蓄積は問題とされてい
なかった。
【0006】本発明はかかる新規な問題点を解決するた
めに創案されたものである。すなわち、本発明の目的
は、2次流れにより生じる境界層の蓄積を低減し、これ
により2次流れによる損失を減少させ圧縮機の効率を向
上させることができる軸流圧縮機の静翼を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、半径方
向翼端において壁面と110°以上の鈍角をなすように
円周方向に湾曲した負圧面を有し、これにより前記壁面
境界層の負圧面翼端部への集積を防いで剥離を抑制し、
かつ軸線方向上流側に傾斜する翼端部を有し、これによ
り負圧面に半径方向内方への力成分を発生させる、こと
を特徴とする軸流圧縮機の静翼が提供される。
【0008】本発明の好ましい実施例によれば、前記翼
端部はチップ側であり、前記半径方向端の壁面は、ケー
シング内面である。また、前記翼端部がルート側であ
り、前記半径方向端の壁面は、ハブ外面であってもよ
い。
【0009】
【作用】上述した本発明の構成によれば、半径方向翼端
における静翼負圧面と半径方向端の壁面(エンドウォー
ル)のなす角が110°以上の鈍角であるので、エンド
ウォール面と負圧面が幾何学的に滑らかに接続され、エ
ンドウォール境界層内の高損失流体が角部(負圧面翼端
部)に集積することなく拡散される。また、静翼の翼端
部(エンドウォール付近)が前方に傾斜しているので、
翼端部の等圧線が傾斜して負圧面に半径方向の力成分が
生じ、これにより、角部に集積した高損失流体が半径方
向内方に流されて拡散される。従って、高損失流体の集
積が防止されてその剥離が抑制され、損失を減少させる
ことができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照
して説明する。なお、各図において共通する部分には同
一の符号を付して使用する。図1(A)は、本発明によ
る静翼を有する軸流圧縮機の軸方向から見た部分図であ
り、図1(B)は、(A)のA−A線における矢視図で
ある。また、図2(A)は、本発明による軸流圧縮機の
静翼であり、同図(B)は従来の静翼である。各図にお
いて、左図は負圧面を示し、右図は静翼の前縁側からの
斜視図である。また、各図において、Tはチップ、Hは
ハブ、Fは前縁、Bは後縁を示している。
【0011】図1(A)及び図2(A)に示すように、
本発明の静翼10は、半径方向翼端において壁面と11
0°以上の鈍角θをなすように円周方向に湾曲した負圧
面12を有する。図1において、翼端部はチップ側であ
り、半径方向端の壁面すなわちエンドウォールは、ケー
シングの内面14である。また、図1(B)に示すよう
に、本発明の静翼10は、軸線方向上流側に傾斜する翼
端部(この図ではチップ側)を有する。なお、図2
(A)における矢印は、被圧縮流体の主流を示してい
る。また、図1において16は、ハブ外面である。
【0012】図3は、軸線方向からみた隣接する静翼間
の全圧分布図であり、(A)は本発明、(B)は従来例
を示している。なお、静翼10は、その後縁のみを示し
ている。図3(A)から明らかなように、半径方向翼端
(チップ側)における静翼負圧面12と半径方向端の壁
面(ケーシング内面14)のなす角θが110°以上
(この図では約150°)の鈍角であるので、ケーシン
グ内面14と負圧面12が幾何学的に滑らかに接続さ
れ、エンドウォール境界層内の高損失流体が角部(負圧
面翼端部)に集積することなく拡散される。すなわち、
図3においてC部は剥離部であるが、(B)の従来例に
比較して(A)の本発明では、角部(負圧面翼端部)に
おける境界層の厚さが薄くなっており、剥離部Cが減少
しているのがわかる。
【0013】図4は、静翼の負圧面における圧力の等圧
線図であり、(A)は本発明、(B)は従来例を示して
いる。この図から明らかなように、本発明によれば、静
翼10の翼端部(チップ側のエンドウォール付近)が被
圧縮流体の流れの前方(上流側)に傾斜しているので、
チップ側翼端部の等圧線が傾斜し、これにより矢印で示
すように負圧面に半径方向の力成分が生じる。従って、
この半径方向の力成分(圧力差)により、角部に集積し
た高損失流体が半径方向内方に流されて拡散される。
【0014】図5は、静翼の負圧面における流線図であ
り、(A)は本発明、(B)は従来例を示している。こ
の図から明らかなように、従来例(B)では、負圧面翼
端部Dの流線の方向が複雑に曲がっており、剥離部Cが
激しく生じていることがわかるが、本発明(A)では、
流線の方向は滑らかに変化し、剥離部Cも小さくなって
いる。
【0015】上述したように本発明の構成によれば、半
径方向翼端における静翼負圧面と半径方向端の壁面(エ
ンドウォール)のなす角が110°以上の鈍角であるの
で、エンドウォール面と負圧面が幾何学的に滑らかに接
続され、エンドウォール境界層内の高損失流体が角部
(負圧面翼端部)に集積することなく拡散される。ま
た、静翼の翼端部(エンドウォール付近)が前方に傾斜
しているので、翼端部の等圧線が傾斜して負圧面に半径
方向の力成分が生じ、これにより、角部に集積した高損
失流体が半径方向内方に流されて拡散される。従って、
高損失流体の集積が防止されてその剥離が抑制され、損
失を減少させることができる。
【0016】なお、上述した実施例では、翼端部はチッ
プ側であり、半径方向端の壁面はケーシング内面である
が、本発明はかかる実施例に限定されず、翼端部がルー
ト側であり、半径方向端の壁面がハブ外面であってもよ
い。すなわち、本発明は上述した実施例に限定されず、
本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは
勿論である。
【0017】
【発明の効果】上述したように、本発明の軸流圧縮機の
静翼は、2次流れにより生じる境界層の蓄積を低減し、
これにより2次流れによる損失を減少させ圧縮機の効率
を向上させることができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による静翼を有する軸流圧縮機の部分図
である。
【図2】本発明による軸流圧縮機の静翼の図である。
【図3】軸線方向からみた隣接する静翼間の全圧分布図
である。
【図4】静翼の負圧面における圧力の等圧線図である。
【図5】静翼の負圧面における流線図である。
【図6】従来の軸流圧縮機静翼の模式図である。
【図7】従来の軸流圧縮機の模式図である。
【図8】従来の静翼損失分布図である。
【図9】従来の翼列後縁部における2次流れの流速分布
図である。
【符号の説明】
A 境界層蓄積部 C 剥離部 D 負圧面翼端部 T チップ H ハブ F 前縁 B 後縁 10 静翼 12 負圧面 14 ケーシング内面 16 ハブ外面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半径方向翼端において壁面と110°以
    上の鈍角をなすように円周方向に湾曲した負圧面を有
    し、これにより前記壁面境界層の負圧面翼端部への集積
    を防いで剥離を抑制し、かつ軸線方向上流側に傾斜する
    翼端部を有し、これにより負圧面に半径方向内方への力
    成分を発生させる、ことを特徴とする軸流圧縮機の静
    翼。
  2. 【請求項2】 前記翼端部はチップ側であり、前記半径
    方向端の壁面は、ケーシング内面である、ことを特徴と
    する請求項1に記載の軸流圧縮機の静翼。
  3. 【請求項3】 前記翼端部はルート側であり、前記半径
    方向端の壁面は、ハブ外面である、ことを特徴とする請
    求項1に記載の軸流圧縮機の静翼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006022744A (ja) * 2004-07-08 2006-01-26 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd ステータセグメント、ステータ、及び静翼
CN102168685A (zh) * 2011-05-04 2011-08-31 南京航空航天大学 高效自备动力吸附式风扇/压气机及其工作方法

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