JPH08232467A - 架空送電鉄塔基礎工事用の脱水型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート打設後のコンクリートの脱水効
果を飛躍的に向上させてコンクリート打設から天端仕上
げまで短時間で作業することのできる架空送電鉄塔基礎
工事用の脱水型枠を提供すること。 【構成】 上面と下面が開口となる空洞の鋼製筒状型枠
の胴部１に所定の間隔で水抜き穴２を多数設け、胴部１
の内壁面には通水性の特殊織布から成る内張シートＳを
貼着した。また、脱水型枠の上端開口部と下端開口部の
外径部には、一定の間隔で多数のボルト穴Ｂを形成した
横リブＬ１を外側方向に突設させ、更に、脱水型枠の胴
部１は、多数のボルト穴Ｂを形成した縦リブ２を介して
３枚の湾曲型板１ａ，１ｂ，１ｃに分割できるようにな
っている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】架空送電線を設置する鉄塔の基礎
工事用型枠の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】送電線路には大気を絶縁に利用している
架空送電線路と絶縁材料を用いて地下に埋設する地中送
電線路に大別される。この内、架空送電線路は簡素堅牢
な構造を持ち地中送電線路に比べてはるかに経済的であ
るため、都市中心部などの余剰空間が少ない場所以外は
架空送電線路が用いられている。架空送電線路は電流を
流すための導体、導体を絶縁し保持する碍子、およびこ
れらを支持する鉄柱又は鉄塔から構成されている。導体
は中心部分に鋼のより線をもつ鋼心アルミより線が使わ
れている。碍子は陶磁器製のひだ付円盤と金具よりなる
懸垂碍子を送電電圧に応じて多数連結したものが用いら
れる。支持物としては鉄塔と鉄柱に別けられるが、鉄柱
は電圧が低い場合に使用し電圧が高い場合は鉄塔を使用
する。鉄塔は断面がＬ字形をした鉄の角材から組み立て
られるが、鉄パイプにコンクリートをつめた部材を用い
る場合もある。日本では３本の腕金をもつ２回線鉄塔が
一般的である。送電鉄塔には電力を送る導体のほかに、
鉄塔の上部に架空地線と呼ばれる金属線が張ってある
が、これは雷撃をここで受け止めて導体に直撃すること
を防ぐためである。導体の碍子との接続部付近にダンパ
ーが付けられる場合があるが、これは、導体が微風を受
けて振動すると素線切れを生ずるおそれがあるので、こ
の振動を防ぐためである。この送電鉄塔の施工は、ま
ず、鉄塔を設置する地面に穴を掘り、この穴に鉄塔の基
礎材を設置する。次に、穴の内部に設置した鉄塔の基礎
材にコンクリート打設用の型枠を複数枚装着し、型枠内
にコンクリート打設する。そして、型枠内のコンクリー
トが半乾きになった頃にコンクリートの天端（上面）を
仕上げる。その後、打設したコンクリートが乾燥硬化す
るのを待って型枠を取り外すようにしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
型枠では、コンクリート打設した型枠内の余剰水分が乾
燥するまでに長時間を要するために、例えば、早朝にコ
ンクリート打設をしたとしても、打設したコンクリート
の状態がある程度乾燥してコンクリートの天端仕上作業
を行なう頃は夕方や夜間になることが多い。特に冬季な
どの山間部で作業を行なう場合は、周辺が暗くなるだけ
でなく温度も急激に低下するため、危険を伴う作業をし
なければならないと言った安全上極めて重大な問題が解
決されていなかった。そこで、本発明はこのような問題
点を解決するために成されたもので、コンクリート打設
後のコンクリートの脱水効果を飛躍的に向上させてコン
クリート打設から天端仕上げまで短時間で作業すること
のできる架空送電鉄塔基礎工事用の脱水型枠の提供を目
的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に成された本発明は、上面円状開口部と下面円状開口部
の外径端部のそれぞれに、多数の穴部を形成した鍔部を
備えた所定の長さの筒状体であって、当該筒状体の胴部
を、多数の穴部を形成した接続端辺を介して着脱自在な
複数の円弧板で構成すると共に当該円弧板の板面には、
板面の内壁面から外壁面に貫通する水抜き穴を所定の間
隔で多数形成し、更に、内壁面には通水性織布シート部
材を装着したことを特徴とする架空送電鉄塔基礎工事用
の脱水型枠を要旨としている。最上段となる筒状体の胴
部の上面円状開口部の内径面の全周に、略三角形状のテ
ーパー断面を持つリング状の面木を着脱自在に取り付け
ると良い。

【０００５】

【作用】本発明の架空送電用鉄塔基礎工事用の脱水型枠
によれば、まず、分解した円弧板をコンクリート打設し
ようとする鉄塔の基礎材の周辺を囲む様に配設して接続
端辺をボルト等で接続して全体の形状を筒状に形成する
が、必要に応じて筒状体を数段重ねて接続する。次に、
筒状に形成した型枠の内部に通水性織布シート部材を装
着した後、最上段の上面円状開口部の内径面の全周に、
略三角形状のテーパー断面を持つリング状の面木を着脱
自在に取り付ける。次に、上面円状開口部から型枠内に
コンクリート打設する。すると、生コンクリートに含ま
れている余剰水分は、円弧板の内壁面に装着した通水性
織布シート部材を介して円弧板の板面に多数形成した水
抜き穴から型枠の外部に排水されると共に打設後のコン
クリートの天端面の外周面が、テーパー状に面落しをし
た形状となる。この作用により、型枠内の余剰水分が速
やかに外部に排出されてコンクリートの乾燥硬化が早ま
ると共にコンクリート打設後のコンクリートの天端仕上
げの面取り処理が不要となる。

【０００６】

【実施例】本発明の架空送電用鉄塔基礎工事用の脱水型
枠の実施例について、図面に基づき説明する。図１は本
実施例の架空送電用鉄塔基礎工事用の脱水型枠を、その
使用状態で表した斜視図である。本実施例の架空送電用
鉄塔基礎工事用の脱水型枠は、図１に示す如く、架空送
電用鉄塔の基礎材Ｔの周辺に配置してコンクリートを打
設するコンクリート打設用のいわゆる型枠であるが、本
実施例では、特に上面と下面が開口となる空洞の鋼製筒
状型枠の胴部１に所定の間隔で水抜き穴２を多数設け、
更に胴部１の内壁面には通水性の特殊織布から成る内張
シートＳを装着したものである。この脱水型枠は、図２
に示した如く、上端開口部と下端開口部の外径部に一定
の間隔で多数のボルト穴Ｂが形成された横リブＬ１が外
側方向に突設されていて、この横リブＬ１を他の脱水型
枠の横リブと重ねてボルト止めすれば上下方向に脱水型
枠を数段階に連通させることができる。尚、この脱水型
枠は、胴部１が均等な３分割の湾曲型板１ａ，１ｂ，１
ｃから構成され、その両端辺の外側方向に突設された縦
リブＬ２を合わせ、この縦リブＬ２に一定の間隔で開口
形成されている多数のボルト穴Ｂに、ボルトを貫通させ
て接続固定できるようになっている。尚、Ｆは持ち運び
用の取手である。

【０００７】次に、以上の構成からなる本実施例の架空
送電用鉄塔基礎工事用の脱水型枠の作用を現場での施工
手順に応じて説明する。まず、鉄塔の基礎材Ｔが設置さ
れている部分に、３枚に分解した湾曲型板１ａ，１ｂ，
１ｃを持ち込み基礎材Ｔの周辺に囲むように設置し、３
枚の湾曲型板１ａ，１ｂ，１ｃの両端辺の縦リブＬ２を
それぞれ合わせてボルトで固定する。１段目の脱水型枠
を基礎材Ｔに組み付けたら、基礎材Ｔのコンクリート打
設する高さに応じて、１段目の脱水型枠の上面横リブＬ
１に他の脱水型枠の下面横リブを載置し、ボルトで固定
して必要な段数だけ上方に連通させる。更に、最上段の
脱水型枠の上端開口部の内径面の全周にテーパー断面を
持つリング状の面木ＭＫを取り付ける。この様にして、
架空送電用鉄塔の基礎材Ｔに必要な個数の脱水型枠を組
み付けたら、組み付ける脱水型枠の大きさに合わせて、
長尺状に巻かれた特殊織布から内張シートＳを裁断し、
これを脱水型枠の内壁面に装着する。そして、最上位置
の脱水型枠の上端の開口からコンクリートを打設する。
すると、脱水型枠の内部に投入された生コンクリーの水
分は速やかに排出されて早期にコンクリートが乾燥硬化
するので、脱水型枠を取り外して最終の天端仕上げを行
なうことになるが、この際に、図３に示した如く、最上
段の脱水型枠の上端開口部の内径面に面木ＭＫを取り付
けたことで、打設コンクリートの天端の外端面にリング
状のテーパー面ＴＤが最初から形成されるので、天端仕
上げの面取り処理が不要になるだけでなく、このテーパ
ー面ＴＤにより、内張シートの上端片を型枠内に露出さ
せることができるため、型枠内のコンクリートが硬化し
て型枠を分解した際に、コンクリートに張り付いた内張
りシートを剥し易くすることもできる。このように、本
実施例の脱水型枠は、胴部１に所定の間隔で水抜き穴２
を多数設けると共に胴部１の内壁面には通水性の特殊織
布から成る内張シートＳを装着した作用により、 打設後のコンクリートが硬化するまでの時間が従来の
型枠に比較して大幅に短縮することができるため、コン
クリート打設後の天端（上面）仕上の作業に早期に移れ
るようになって夜間作業が不要とる。 最初のコンクリート打設工事の仕上がりが早期に完了
するため、速やかに次の作業に着手できるようになる。 打設後のコンクリートの余剰水の排水作用が速やか行
われるため、硬化後のコンクリートの強度が飛躍的に向
上する。 高価な早強コンクリートを使用することなく同様の効
果が得られるため、極めて経済的である。 全体の作業時間が短縮されて仕事効率が高くなるの
で、大幅な経費削減が実現できる。 作業における安全性が向上するため、作業員の職場環
境の改善に役立つ。といった数々の効果を得る事に成功
した。

【０００８】

【発明の効果】以上、詳述したように、本発明の架空送
電鉄塔基礎工事用の脱水型枠は、上面円状開口部と下面
円状開口部の外径端部のそれぞれに、多数の穴部を形成
した鍔部を備えた所定の長さの筒状体であって、筒状体
の胴部を、多数の穴部を形成した接続端辺を介して着脱
自在な複数の円弧板で構成すると共に円弧板の板面の内
壁面から外壁面に貫通する水抜き穴を所定の間隔で多数
形成し、その内壁面には通水性織布シート部材を装着
し、更に、最上段となる筒状体の胴部の上面円状開口部
の内径面の全周に、略三角形状のテーパー断面を持つリ
ング状の面木を着脱自在に取り付けたことで、本発明の
架空送電鉄塔基礎工事用の脱水型枠は、打設後のコンク
リートの天端（上面）仕上の作業に早期に移れ、また、
予め面落としができているので、作業時間の短縮が図れ
る。これらにより、夜間の危険な作業を無用にして作業
員の職場環境を大幅に改善することが可能になる。ま
た、コンクリート打設から仕上がりまでの工期が短縮さ
れるため、大幅な経費節約が実現した。更に、コンクリ
ート打設後の余剰水が効果的に排水されて最適な水分含
有率から乾燥硬化するため、コンクリート強度が飛躍的
に向上するといった極めて有益な効果を得る事に成功し
た画期的発明であり、その業界に与える恩恵は計り知れ
ないものがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例である架空送電用鉄塔基礎工事
用の脱水型枠を表わした斜視図である。

【図２】本実施例の架空送電用鉄塔基礎工事用の脱水型
枠を表わした平面図（ａ）と正面図（ｂ）である。

【図３】本実施例の架空送電用鉄塔基礎工事用の脱水型
枠の施工説明図である。

【符号の説明】

１ 胴部 １ａ，１ｂ，１ｃ 湾曲型板 ２ 水抜き穴 Ｔ 基礎材 Ｓ 内張シート Ｂ ボルト穴 Ｌ１ 横リブ Ｌ２ 縦リブ Ｆ 取手 ＭＫ 面木 ＴＤ テーパー断面

フロントページの続き (72)発明者 森川 英二 三重県津市高野尾町2386番地の114 (72)発明者 大畑 敏照 名古屋市港区千年３丁目１番地32号 株式 会社トーエネック本店別館内 (72)発明者 則竹 克哉 名古屋市港区千年３丁目１番地32号 株式 会社トーエネック本店別館内 (72)発明者 山本 弘 愛知県春日井市中央台６丁目７番地の14 (72)発明者 池本 政文 愛知県小牧市大字岩崎1500番地 県営住宅 ３街区７棟２号

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上面円状開口部と下面円状開口部の外径
   端部のそれぞれに、多数の穴部を形成した鍔部を備えた
   所定の長さの筒状体であって、当該筒状体の胴部を、多
   数の穴部を形成した接続端辺を介して着脱自在な複数の
   円弧板で構成すると共に当該円弧板の板面の内壁面から
   外壁面に貫通する水抜き穴を所定の間隔で多数形成し、
   更に、内壁面には通水性織布シート部材を装着したこと
   を特徴とする架空送電鉄塔基礎工事用の脱水型枠。
2. 【請求項２】 最上段となる筒状体の胴部の上面円状開
   口部の内径面の全周に、略三角形状のテーパー断面を持
   つリング状の面木を着脱自在に取り付けたことを特徴と
   する請求項第１項記載の架空送電鉄塔基礎工事用の脱水
   型枠。