JPH08231635A - 光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法 - Google Patents

光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法

Info

Publication number
JPH08231635A
JPH08231635A JP3375995A JP3375995A JPH08231635A JP H08231635 A JPH08231635 A JP H08231635A JP 3375995 A JP3375995 A JP 3375995A JP 3375995 A JP3375995 A JP 3375995A JP H08231635 A JPH08231635 A JP H08231635A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
extruder
water
particles
abs resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3375995A
Other languages
English (en)
Inventor
Mutsuko Uchida
睦子 内田
So Iwamoto
宗 岩本
Akihiko Nakajima
明彦 中島
Masato Takaku
真人 高久
Hisao Morita
尚夫 森田
Tomofumi Shirafuji
朋史 白藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Priority to JP3375995A priority Critical patent/JPH08231635A/ja
Publication of JPH08231635A publication Critical patent/JPH08231635A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Devices And Processes Conducted In The Presence Of Fluids And Solid Particles (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 スチレン系単量体及びアクリロニトリル系単
量体、及びゴム状重合体を含む原料を重合工程に供給
し、ゴム状重合体粒子(ゴム粒子)形成を含む該単量体
の重合後、減圧室に導入して単量体および/または溶剤
を樹脂成分と分離する分離回収工程を経由し、該回収工
程の後押出機に導入し、押出機を通過させて製品を得
る、溶液または塊状重合法によるABS系樹脂の連続的
製造方法において、回収工程出口から押出工程出口まで
の間に、水を添加する部分、水を外部へ蒸発させる部
分、押出機内で樹脂に混練を与えるスクリューエレメン
ト部分よりなるX,Y,及びZ部の組み合わせを2セッ
ト以上有し、特定量の水の添加と除去を行うことを特徴
とするABS系樹脂の製造方法。 【効果】 成形後の衝撃強度、表面光沢等の物性バラン
スが飛躍的に向上した樹脂を容易に製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は衝撃強度と光沢バランス
の良好なABS系樹脂を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来ABS系樹脂は光沢に優れた樹脂と
して広く使用されている。しかしながら近年家庭電気製
品や電子製品においては、その商品価値を高めるため、
従来により増して光沢の高いABS系樹脂が求められて
いる。従来成形加工温度を低くすると製品の光沢は一般
的に低下するが成形加工時のサイクル向上のため加工温
度を低下させてなおかつ高い光沢を保持するABS系樹
脂が求められている。
【0003】一般的にABS系樹脂においては樹脂中の
ゴム粒子の大きさが光沢、及びその他の物性を決定する
上でのキーファクターとして知られており、用途毎に光
沢と、例えば衝撃特性、成形加工特性とバランスをとり
ながら、ゴム粒子径等をデザインしている。しかし、こ
れまでの方法ではABS系樹脂の諸物性を維持しながら
光沢を向上するのに限界があり、新たな方法が求められ
てきた。例えば樹脂そのものを改質するのではなく、成
形段階で成形条件、例えば金型温度を高くするというこ
とが行われてきた。この場合は成形条件が限定され、成
形射出サイクルが長くなり、生産性に重要な問題が残
る。
【0004】また特開昭62−164707 38頁
右上欄17行目〜 左下欄6行目までに乳化重合法によ
るABS系樹脂においてゴム粒子がゴムの表面に適切な
グラフト層を設け、その厚みが100〜200オングス
トロムとすることによって高光沢なABS系樹脂が得ら
れることについて記載がある。しかしながらこの方法は
化学組成を複雑にコントロールするので連続式の塊状重
合、又は溶液重合法には適さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、ABS系
樹脂の衝撃強度等を維持しながら表面光沢を高くする方
法を提供する事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、従来
とは全く異なる技術手段を用いて成形物表面の光沢を向
上させる。
【0007】即ち、本発明ではABS系樹脂の溶液もし
くは連続塊状重合法において、驚くべき事に、押し出し
工程で水を添加しつつ、混練を加えることによって得ら
れた樹脂の成形物表面の光沢が向上できることを見出し
本発明に至った。
【0008】即ち、本発明で溶液もしくは連続塊状重合
法のABS系樹脂の製造方法において、回収工程出口か
ら押出工程出口までの間に樹脂に水を添加する部分と、
添加した水を蒸発させる部分を有する。かかる方法によ
って、従来の方法で得られるABS系樹脂に比較し、卓
越した表面光沢と衝撃強度の高い樹脂を提供する。
【0009】即ち本発明は、少なくともスチレン系単量
体及びアクリロニトリル系単量体、及びゴム状重合体を
含む原料を重合工程に供給し、ゴム状重合体粒子(ゴム
粒子)形成を含む該単量体の重合後、重合体、未反応単
量体および/または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に
又は加熱の後減圧室に導入して単量体および/または溶
剤を樹脂成分と分離する分離回収工程を経由し、該回収
工程の後押出機に導入し、押出機を通過させて製品を得
る、溶液または塊状重合法によるABS系樹脂の連続的
製造方法において、回収工程出口から押出工程出口まで
の間に、 外部から樹脂に水を添加する部分(X部)、添加した
水を外部へ蒸発させる部分(Y部)、押出機内で樹脂に
混練を与えるスクリューエレメント部分(Z部)よりな
るX,Y,及びZ部の組み合わせをWセット有し、 なおかつ該Wセットは少なくとも2ヶ所以上設け、 X部のうち1ヶ所は押出機の入口以前、または押出機
内に設け、 且つセット内でX部はZ部と同位置もしくはZ部より
上流とし、 セット内でX部はY部よりも上流に位置させ、 添加した水は実質的に該当するWセットの中でY部よ
り蒸発させ、 各Wセット部での水の蒸発によって下記式で表される
Hの合計が10〜300となるように水の添加と除去を
行うことを特徴とするABS系樹脂の製造方法である。 H=Q/V Q:1時間当たりの樹脂から奪われた熱量(kcal/
H) V:1時間当たりの押し出し樹脂量(kg/H) ここでQは水の添加後の水または水蒸気の温度から計算
された熱量を用いる。
【0010】樹脂に添加する水の量は単位時間当たりの
押し出し樹脂量100重量部に対して1〜30重量部、
好ましくは2〜15重量部、より好ましくは2〜10重
量部である。水の添加量が30重量部を越えても樹脂と
の混練が十分行われず、奪うことができる熱量は変わら
なくなる。
【0011】また本発明で使用する押出機については本
発明の外部から樹脂に水を添加する部分(X部)、添加
した水を外部へ蒸発させる部分(Y部)、押出機内で樹
脂に混練を与えるスクリューエレメント部分(Z部)よ
りなるXを組み込むことのできる押出機であれば特に制
限はないが、特に2軸押出機が好ましい。
【0012】また本発明に方法において、(I)分離回
収工程後、押出機に導入する工程途上の樹脂が、該樹脂
を射出成形した時に得られる成形物(成形物1)におい
てその表面から0.5〜1.5μmの深さに存在するゴ
ム粒子が、成形物表面との平行面を超薄切片法による電
子顕微鏡写真で観察する時、 長径aと短径bの比率a/bが1.5以下の粒子A、
及び 長径aと短径bの比率a/bが5以上である粒子Bの
少なくとも2種類の形態を有し、且つ超薄切片法による
電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の全面積を100
%とした時に粒子Aの面積が少なくとも10%以上、粒
子Bの面積(B1 )が0.0001〜2%、好ましくは
0.001〜1.5%、より好ましくは0.001〜1
%であるABS系樹脂である。B1 が2%を越えると高
い光沢の成形物が得られなくなるため好ましくない。ま
た、本発明において成形物1の、以下の方法で測定した
ゴム粒子平均径が0.005〜1.5μm、好ましくは
0.01〜1.3μm、より好ましくは0.05〜1.
0μmであるものを用いる。
【0013】超薄切片法による電子顕微鏡写真を撮影
し、写真中のゴム粒子500〜700個の短径及び長径
をそれぞれ測定してその平均値を粒径とし、次式により
体積平均径を求めた。 体積平均径=ΣnD4 /ΣnD3 (但しnは粒径Dμm
のゴム粒子の個数である。) 該ゴム粒子径が0.005μmより小さいと衝撃強度が
低下し、また、1.5μmを越えると光沢が低下するた
め好ましくない。
【0014】又、押出機通過後の成形物を上記(I)と
同様の分析方法で観察したときの粒子Bの面積(B2
が下記関係式 B2 /B1 ×100≦50を満足するように押出機で処
理を行う。
【0015】本発明において、外部から樹脂に水を添加
する部分(X部)としては系内に水を強制的に供給する
ポンプにつながったラインを回収工程出口から押出機出
口までの間に設置する。添加した水を外部へ蒸発させる
部分(Y部)としては押出機にベント部を設け、真空装
置につなげる。真空度は5〜300mmHg、好ましく
は10〜100mmHgとすることが好ましい。押出機
のシリンダー温度は100〜250℃、好ましくは11
0〜240℃、さらに好ましくは120〜230℃であ
る。また押出機内には樹脂に混練を与えるスクリューエ
レメント部分(Z部)を設ける。
【0016】本発明における混練とは押出機中で流体内
各要素を均一に分散・混合する作用をいい、混練を与え
るスクリューエレメント部分として好ましいスクリュー
形状を例示すると、“現場で生かす押出機マニュアル”
濱田 博晟著 工業調査会148頁、図5.1には2軸
押出機のスクリューの種類の記載があり、151頁、図
5.2には2軸押出機のスクリューのエレメントについ
て記載されておりこれ等が使用できる。150頁 8行
目〜151頁7行目までにスクリューに装着するエレメ
ントについて順ねじ部と逆ねじ部とがあり、その中間に
混練を目的とするニーディングディスクと呼ばれるミキ
シング部分を設けることが記載され、またニーディング
ディスクの形状については例えば、前述の“現場で生か
す押出機マニュアル”150頁、14行目〜152頁、
14行目、151頁、図5.2に2条ディスク、3条デ
ィスク等の記載がある。これらのスクリュー形状を有す
る押出機も本発明での押出機として好ましく用いられ
る。また、同書155頁図5.5に示されるようなロー
ターも使用できる。
【0017】本発明においてはX部はY部と同位置、ま
たはZ部より上流に設置し、Y部よりも上流に設置す
る。上記X,Y,及びZ部の組み合わせをWセットと
し、Wセットは少なくとも2ヶ所以上に設ける。Wセッ
トが1ヶ所では添加した水が樹脂と十分混ざることな
く、除去されるので効率的ではない。Wセットは少なく
とも2ヶ所以上、好ましくは3ヶ所以上設ける。添加し
た水は実質的に該当するWセットの中で除去する。つま
り、1セット目のX部で添加した水は1セット目のY部
で除去する。このようにして少量の水を確実に樹脂に混
ぜ、除去する操作を繰り返すことによって本発明の効果
が現れる。
【0018】水の添加配分については特に制限はない
が、例えば水を3セットで添加する場合、水の合計量を
110重量%とすると、1セット目で40〜80重量
%、2セット目で20〜60wt%、3セット目で0〜
30wt%添加する方法などが例示できるが装置を工夫
して適宜好ましい配合割合で押出機を設計することがで
きる。
【0019】本発明における押出機とは押し出し成形や
コンパウンディングするために用いられる機器の一つ
で、材料をシリンダーと呼ばれる部分と、回転スクリュ
ーとの間で連続的に加熱、溶融、混練し、それをダイか
ら押し出し、成形あるいはペレット状にするものであ
り、回転スクリューの形状等により混練具合が異なる。
【0020】本発明は光沢以外の樹脂の性能とのバラン
スを勘案してゴム粒子の平均径が決められる。本発明の
方法では従来の光沢と他物性とのバランスを飛躍的に向
上するものである。
【0021】本発明においてはABS系樹脂は押出機内
で水を添加・蒸発させ樹脂から熱量、特に混練部での剪
断により生じた熱量を効率的に除去できるため押出機内
での樹脂の劣化が抑制され、製品の色相が良好となるメ
リットもある。
【0022】従来揮発成分を除去するために押出機に水
を添加する方法は知られていたが、溶液もしくは塊状の
連続的重合法のABS系樹脂の製造工程において、押出
機中で樹脂に水を添加し、混練を与えるという方法は全
く知られていなかった。
【0023】即ち一般的にABS樹脂はスチレン・アク
リロニトリルの共重合体とこれらの共重合体の一部がグ
ラフト及びオクルードされたゴム粒子から構成されるが
ゴム粒子はゴムが適度に架橋され、また粒子の表面がグ
ラフト部で覆われていることによりゴム粒子の形状を安
定させ、光沢や衝撃の性能発揮させるように構成されて
いる。しかしながら更に詳しく検討すると本発明の方法
によりさらに大きく光沢及び衝撃強度を改善できること
がわかった。本発明の効果の発現の理由は明確ではない
が、このゴム粒子の内の極めて少ない部分は上記のよう
に安定しておらず、このためこのゴム粒子のごく一部が
成形加工時に変質し、表面の光沢がいまだ改良の余地が
残され、本発明でいう押出機での処理により完璧にゴム
粒子が安定化し、効果がもたらされるものと推察する。
【0024】本発明の中で好ましい方法として、回収工
程後の押出機に入る樹脂の成形物(成形物1)には粒子
A及び粒子Bが観察され、なおかつ粒子Bが押出機の出
口において入口の50%以下に低減することを提案して
いるが、この粒子Bは、上記表面保護のなされ具合につ
いての指標になりうるものであると推定する。
【0025】本発明でいうABS系樹脂は、ゴム状重合
体とスチレン系単量体、アクリロニトリル系単量体及
び、必要であれば他の単量体の共重合体からなる樹脂で
ある。ここでスチレン系単量体としては、スチレン、α
−アルキルモノビニリデン芳香族単量体(例えばα−メ
チルスチレン;α−エチルスチレン;α−メチルビニル
トルエン;α−メチルジアルキルスチレン;など)、環
置換アルキルスチレン(例えばo−m−及びp−ビニル
トルエン;o−エチルスチレン;p−エチルスチレン;
2,4−ジメチルスチレン;p−第三級ブチルスチレ
ン;など)、環置換ハロスチレン(例えばo−クロロス
チレン;p−クロロスチレン;o−ブロモスチレン;
2,4−ジクロロスチレン;など)、環−アルキル,環
−ハロ置換スチレン(例えば2−クロロ−4−メチルス
チレン;2,6−ジクロロスチレン;など)ビニルナフ
タレン、ビニルアントラセンの一種又は混合物が用いら
れる。
【0026】一般にアルキル置換基は1〜4個の炭素原
子を有し、そしてイソプロピル及びイソブチル基を含
む。このモノビニリデン芳香族単量体の一種もしくは混
合物が用いられる。また、アクリロニトリル系単量体と
しては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタ
クリロニトリル、フマロニトリル及びこれらの混合物等
があげられる。
【0027】またゴム状重合体は常温でゴム状を示すも
のであれば良く特に限定を要しないが、好ましくは、共
役1,3−ジエン(例えばブタジエン;イソプレン;な
ど)などの重合体、例えばポリブタジエン類やスチレン
−ブタジエン共重合体又はEPDM(エチレン−プロピ
レン−ジエンメチレンリンゲージ)等があげられる。本
発明でいう他の単量体とは、スチレン、アクリロニトリ
ルと共重合可能な単量体であれば特に限定しないが、メ
チルメタクリレート等のアクリレート類や、N−フェニ
ルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミ
ド類があげられる。
【0028】ABS系樹脂の組成は樹脂中で、スチレン
50〜95重量部、アクリロニトリル5〜50重量部、
ブタジエン重合体、あるいはスチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体3〜30重量部、他の単量体0〜30重量
部が好ましい。
【0029】本発明では、上記のABS系樹脂と他の樹
脂、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテ
ル、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル
−スチレン共重合樹脂等の混合物や、ABS系樹脂と難
燃剤等の混合物、またガラスフィラー、タルク等の混合
物として使用するものも含むものである。
【0030】本発明の中で用いるABS系樹脂の成形物
とはABS系樹脂を成形加工した成形物であり、ABS
系樹脂の機械的、化学的特徴を利用して、機械部品とし
て、或いは文房具用品、玩具等それ自体が最終製品とし
て用いられるものである。成形加工はこれまで知られて
いる通常の樹脂の成形方法が用いられ、例えば射出成
形、押出成形などがあげられる。好ましくは射出成形法
である。好ましい射出成形条件としては、成形機のシリ
ンダー温度が170℃〜280℃、好ましくは180℃
〜260℃、更に好ましくは200℃〜250℃とし、
金型温度30〜90℃の条件によって行われる。本発明
では特に低温側の成形条件、例えば成形機のシリンダー
温度が190〜220℃で成形した場合光沢が向上して
いることが顕著である。
【0031】本発明においてゴム粒子の形態(モルフォ
ロジー)を定める領域を表面から0.5〜1.5μmの
深さとするのは、この範囲の深さに存在するゴム粒子を
従来にない特定のモルフォロジーにすることにより、成
形物の表面特性をコントロールできることを見い出した
ことに基づく。表面付近の0.5〜1.5μmというの
は、この深さの間ではゴム粒子の存在状態が、深さに対
して依存性がなく略一定であることを発見したことにも
基づいている。即ち、深さが0.5μmより浅い場合
は、ゴム粒子の形態のばらつきが多くまた、1.5μm
を越えると、深さにより存在状態が変化するため、表面
特性と相関のあるゴム粒子の形態を特定するのに向いて
いない。
【0032】本発明において、ゴム粒子の形態は成形物
表面の平行面において測定する。この平行な断面は、成
形物表面に平行にミクロトームを用いて超薄切片に成形
物を切り出して得られる。この時、ミクロトームによっ
て切り出す1枚あたりの試料の厚みは、0.05μmと
して表面から順に切り出し、11枚目以降30枚目まで
の試料を用いて形態を測定する。
【0033】本発明における粒子Aとは、かかる試料の
電子顕微鏡写真において、ゴム粒子の長径をaμm、短
径をbμmとする時、aとbの比であるa/bが1.5
以下のものを粒子Aと定める。Bはa/bが5以上であ
る粒子である。
【0034】本発明で言う長径aとは超薄切片法による
電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の周上の2点間の
距離の最大の長さを表し、短径bとは、長径aにおいて
a/2の点における、長径aに垂直なゴム粒子の長さを
示す。かかる制約条件において、粒子A,Bの面積を算
出する際、全面積は1000μm2 以上とれる様に電子
顕微鏡で観察する視野の大きさを定める。この数は特に
限定はしないが、前記の電子顕微鏡の視野はゴム粒子の
数として1000個以上含まれる視野の大きさである。
なお、B粒子が特に少ない場合は倍率を下げて視野を広
げ3000〜5000個程度の粒子を観察して測定す
る。
【0035】本発明において押出機に導入するABS系
樹脂は、回収工程出口で取り出した樹脂を成形物とした
ときに、表面付近の電子顕微鏡観察で粒子Bを含んでい
ることが特徴である。かかる粒子Bは、一例を挙げると
塊状重合法の場合回収工程での回収温度の変動により生
成する。例えば前記塊状重合法によるABS系樹脂製造
工程で未反応モノマー、溶液重合であれば溶剤を樹脂成
分から分離する分離回収工程での回収工程の出口の樹脂
平均温度(TAV)を170〜280℃の範囲とし、回収
工程の出口の樹脂の温度を変動させ、TAVに対する回収
の出口の温度の変動率(Tde)と1時間当たりの該温度
の変動回数(NCT)の積を調整することにより粒子Bが
生成される。本発明で言う回収温度の平均値(TAV)は
下記式(式1)で算出される。
【0036】
【数1】 本発明でいう温度変動率(Tde:1時間当たりの該温度
変動率)は下記式で算出される。 温度変動率(Tde)=((Tmax −Tmin )/TAV)×
100 (但しTmax は1時間当たりの回収温度の最大温度、T
min は最小温度) また1時間当たりの温度の変動回数を毎時温度変動回数
(NCT)と呼び(但し、温度変動率0.5%以内の変動
は無視する。)、時間に対し温度の微分値が正負に変動
する回数をさす。
【0037】本発明において回収温度の平均値TAV、温
度変動率Tde及び毎時温度変動回数は3時間以上の回収
温度の平均値を一定にして運転し、その区間の測定値か
ら算出する。
【0038】上記TdeとNCTの積(F)を調整すること
により粒子Bの割合がコントロールできる。本発明では
上記Fの値が0.5〜20の範囲に入るものが使用でき
る。本発明の方法により得られた樹脂の成形物は衝撃強
度等他の物性を低下することなく表面特性を向上するこ
とができるため、電機機器やコンピューター等の産業分
野の部品として幅広く有用であり、また化粧品容器や玩
具・文房具等の成形物として特に有用である。次に実施
例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれ
らの実施例により限定されるものではない。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。性能評価は下記の基準で測定した。 (1)光沢測定 JISK7105中の光沢度の測定(60°鏡面光沢)
の測定法に準じて100mm×50mmの試験片3個に
ついて測定し、その平均値を求めた。 (2)衝撃強度の測定 衝撃強度は成形物を切り出し試験片とし、Izod衝撃
試験法(JIS−K7110)で行った。 (3)ゴム粒子形態の測定 TEM(透過型電子顕微鏡)の超薄切片法により、ゴム
粒子形状を測定した。 (4)ゴム粒子平均径の測定 上記の超薄切片法による電子顕微鏡写真を撮影し、写真
中のゴム粒子500から700個の短径及び長径をそれ
ぞれ測定してその平均値を粒径とし、次式により体積平
均径を求めた。 体積平均径=ΣnD4 /ΣnD3 (但しnは粒径Dμm
のゴム粒子の個数である。) 実施例1 スチレン75重量部、アクリロニトリル25重量部、エ
チルベンゼン22重量部、ゴム状重合体(スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体 5%スチレン溶液25℃で
の溶液粘度 20cst)9重量部、有機過酸化物
[1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン]0.04重量部、メルカプ
タン0.18重量部よりなる原料溶液を作成した。この
原料を3段の攪拌式重合槽列反応器にて重合を行なっ
た。1段目の槽から原料溶液を連続的に供給した。1段
目の槽の反応温度105℃、2段目の槽では110℃、
3段目の槽では120℃とした。3段目の槽より重合液
を余熱器と減圧室より成る回収工程に導いた。分離回収
工程の出口での樹脂の平均温度(Tav)を250℃、温
度変動率(Tde)を3%、1時間あたりの変動回数
(N)2回とした。回収工程の出口から樹脂を一部抜き
だし、シリンダー温度200℃、金型温度50℃の条件
で射出成形した(成形物1)。得られた成形物の表面を
電子顕微鏡で観察した。分離回収工程から出た樹脂を表
1に示す押出機にて、スクリュー回転数3.2rp
s、シリンダー温度220℃の条件で、1時間当たりの
押し出し量10kgとした。
【0040】1時間当たりの樹脂の押し出し量100重
量部に対し、水を2ケ所からそれぞれ3重量部、5重量
部添加し、処理した後射出成形を行った(成形物2)。
成形条件は成形物1と同様、シリンダー温度200℃、
金型温度50℃で行い、以下同じとする。結果を表2に
示す。粒子BはB2 /B1 ×100=BD とするとB D
は35となった。光沢は成形物1は72%、成形物2は
86%となった。なお温度変動率及び1時間当たりの温
度変動率は、予熱器のジャケットの熱媒の平均温度及び
流量で調節した。また本実験に使用したペレットは、3
時間を1ロットとして混合して使用した。
【0041】実施例2 表1に示す押出機を用いて水を3ヶ所からそれぞれ5
重量部ずつを添加する以外は実施例1と同様にした。結
果を表2に示す。BD は22となり、成形物2の光沢は
93%となった。
【0042】実施例3 スチレン72重量部、アクリロニトリル28重量部、エ
チルベンゼン20重量部、ゴム状重合体(ブタジエン重
合体 5%スチレン溶液 25℃での溶液粘度35cs
t)8重量部、有機過酸化物[1,1−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン]0.035重量部、メルカプタン0.2重量部より
なる原料溶液を作成した。この原料を3段の攪拌式重合
槽列反応器にて重合を行なった。1段目の槽から原料溶
液を連続的に供給した。1段目の槽の反応温度105
℃、2段目の槽では110℃、3段目の槽では115℃
として回収工程、表1に示す押出機へ導入した。1時
間当たりの樹脂の押し出し量100重量部に対し、2ケ
所から水をそれぞれ4重量部、2重量部の水を添加し、
成形物を得た。結果を表2に示す。BD は38となり、
光沢は88%となった。
【0043】比較例1 表1に示す水を添加する部分のない押出機を用いるこ
と以外実施例1と同様とした。結果を表2に示す。
【0044】比較例2 表1に示す押出機を用いること以外実施例1と同様と
した。結果を表2に示す。
【0045】比較例3 分離回収工程の出口での樹脂の平均温度(Tav)を23
0℃、温度変動率(Tde)を5%、1時間あたりの変動
回数(N)7回とする以外は実施例1と同様にした。成
形物1に含まれる粒子Bの割合が多いため高光沢の製品
が得られなかった。
【0046】比較例4 1時間当たりの樹脂の押し出し量100重量部に対し、
2ケ所から水をそれぞれ20,20重量部の水を添加す
る以外は実施例1と同じとした。水は安定的に樹脂中に
混練されず、サンプルが得られなかった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】 本発明によればABS系樹脂の塊状重
合または溶液重合法において回収工程出口から押し出し
工程出口までの間に水を添加する部分、添加した水を蒸
発させる部分、樹脂に混練を与える部分を特定の位置に
2ケ所以上設けた押出機により処理することにより、成
形後の衝撃強度、表面光沢等の物性バランスが飛躍的に
向上した樹脂を容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高久 真人 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 森田 尚夫 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 白藤 朋史 大阪府高石市高砂1丁目6番地 三井東圧 化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともスチレン系単量体及びアクリ
    ロニトリル系単量体、及びゴム状重合体を含む原料を重
    合工程に供給し、ゴム状重合体粒子(ゴム粒子)形成を
    含む該単量体の重合後、重合体、未反応単量体および/
    または溶剤を含む混合液を加熱し、同時に又は加熱の後
    減圧室に導入して単量体および/または溶剤を樹脂成分
    と分離する分離回収工程を経由し、該回収工程の後押出
    機に導入し、押出機を通過させて製品を得る、溶液また
    は塊状重合法によるABS系樹脂の連続的製造方法にお
    いて、回収工程出口から押出工程出口までの間に、 外部から樹脂に水を添加する部分(X部)、添加した
    水を外部へ蒸発させる部分(Y部)、押出機内で樹脂に
    混練を与えるスクリューエレメント部分(Z部)よりな
    るX,Y,及びZ部の組み合わせをWセット有し、 なおかつ該Wセットは少なくとも2ヶ所以上設け、 X部のうち1ヶ所は押出機の入口以前、または押出機
    内に設け、 且つX部はZ部と同位置もしくはZ部より上流とし、 X部はY部よりも上流に位置させ、 添加した水は実質的に該当するWセットの中でY部よ
    り蒸発させ、 各Wセット部での水の蒸発によって下記式で表される
    Hの合計が10〜300となるように水の添加と除去を
    行うことを特徴とするABS系樹脂の製造方法。 H=Q/V Q:1時間当たりの樹脂から奪われた熱量(kcal/
    H) V:1時間当たりの押し出し樹脂量(kg/H)
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において添加する水の割
    合が単位時間当たりの樹脂の押し出し量100重量部に
    対して1〜30重量部であることを特徴とするABS系
    樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 押出機が2軸押出機であることを特徴と
    する請求項1及び2に記載のABS系樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1及び2の記載の方法において、
    (I)分離回収工程後、押出機に導入する工程途上の樹
    脂が、該樹脂を射出成形した時に得られる成形物(成形
    物1)において、その表面から0.5〜1.5μmの深
    さに存在するゴム粒子が成形物表面との平行面を超薄切
    片法による電子顕微鏡写真で観察するとき、 長径aと短径bの比率a/bが1.5以下の粒子A、
    及び 長径aと短径bの比率a/bが5以上である粒子B の少なくとも2種類の形態を有し、且つ超薄切片法によ
    る電子顕微鏡写真で観察されるゴム粒子の全面積を10
    0%とした時に粒子Aの面積が少なくとも10%以上、
    粒子Bの面積(B1 )が0.0001〜2%である事を
    特徴とするABS系樹脂の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の成形物1において以下
    の方法で測定したゴム粒子平均径が0.005〜1.5
    μmであるABS系樹脂の製造方法。超薄切片法による
    電子顕微鏡写真を撮影し、写真中のゴム粒子500〜7
    00個の短径及び長径をそれぞれ測定してその平均値を
    粒径とし、次式により体積平均径を求めた。 体積平均径=ΣnD4 /ΣnD3 (但しnは粒径Dμm
    のゴム粒子の個数である。)
  6. 【請求項6】 成形物1で観察される粒子Bの面積の割
    合(B1 )が0.0001〜2%であり、押出機通過後
    の成形物を観察したときの粒子Bの面積(B 2 )が下記
    関係式 B2 /B1 ×100≦50を満足することを特徴とする
    請求項1に記載のABS系樹脂の製造方法。
JP3375995A 1995-02-22 1995-02-22 光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法 Pending JPH08231635A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3375995A JPH08231635A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3375995A JPH08231635A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08231635A true JPH08231635A (ja) 1996-09-10

Family

ID=12395367

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3375995A Pending JPH08231635A (ja) 1995-02-22 1995-02-22 光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08231635A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4904730A (en) Rubber-modified resin blends
US3903200A (en) Continuous mass polymerization process for ABS polymeric polyblends
US4214056A (en) Method for preparing a monoalkenyl aromatic polyblend having a dispersed rubber phase as particles with a bimodal particle size distribution
EP0015752B1 (en) A continuous mass polymerization process for the production of polyblends having a dispersed rubber phase with bimodal rubber particle size
US3851014A (en) Method for making rubber modified resins
GB1571014A (en) Graft copolymer and process for producing the same
US4334039A (en) Process for preparing polymeric polyblends having a rubber phase as particles with a bimodal particle size distribution
JPS6351459B2 (ja)
US3903199A (en) Continuous mass polymerization process for ABS polymeric polyblends
JPS6356895B2 (ja)
US4125573A (en) Polymer polyblend composition
US4097549A (en) Polymer polyblend composition
US4419492A (en) Process for preparing ABS polymeric polyblends
EP0227098B1 (en) Method for producing rubber modified thermoplastic resins
JP2735660B2 (ja) 耐衝撃性スチレン系樹脂の連続的製造方法
JPH08231635A (ja) 光沢が改良されたabs系樹脂の連続的製造方法
JP3325406B2 (ja) 改良された高光沢abs系樹脂の連続的製造方法
JP3325405B2 (ja) 物性バランスの良好なabs系樹脂の連続的製造方法
EP0096555A2 (en) Rubber-modified thermoplastic resins and production thereof
JPH08120031A (ja) 超高光沢abs系樹脂の連続的製造方法
JPH08231634A (ja) 残存ニトリル成分が低減されたアクリロニトリル−スチレン系共重合体の製造方法
JP3325399B2 (ja) 多様な表面モルフォロジーを有するabs系樹脂の製造方法
EP0015751A2 (en) Process for the continuous production of polyblends derived from an alkenyl aromatic monomer and a diene rubber
JP3581173B2 (ja) Abs系樹脂の表面モルフォロジーを多様にコントロールする方法
JP3349859B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその製造方法