JPH08228636A - 魚介類飼育水槽の浄化剤及び浄化器 - Google Patents

魚介類飼育水槽の浄化剤及び浄化器

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JPH08228636A
JPH08228636A JP6681195A JP6681195A JPH08228636A JP H08228636 A JPH08228636 A JP H08228636A JP 6681195 A JP6681195 A JP 6681195A JP 6681195 A JP6681195 A JP 6681195A JP H08228636 A JPH08228636 A JP H08228636A
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Masaki Kitamura
雅紀 北村
Yuko Fujita
雄耕 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水槽水中で発生する、魚類にとって有害なア
ンモニアを効率的に除去する。 【構成】 ゼオライトの等の少なくとも構成元素として
Si及びOを有する無機物質に光触媒を担持させる。こ
れにより、新たな機能を発現せしめ、従来用いられてき
た生物化学的な方法に代替することができ、化学的、光
化学的手法を用いた初めての安価で簡素な手段となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、淡水または海水の鑑賞
魚水槽、水生植物観賞用水槽、養魚水槽、などの水槽水
中で発生する、魚類にとって有害なアンモニウムイオン
および/またはアンモニアを吸着除去する飼育水の浄化
剤及び浄化器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】民生用の水槽中や水族館、養魚場などで
魚介類を飼育する際には、飼育温度、明るさなどととも
に、飼育する魚介類に適当な水質を確保することが非常
に重要である。ところが一般にこれらの水槽において
は、自然環境中に生息する場合と比較して、一定水量あ
たりに生育する魚介類が非常に多いため、飼料や魚介類
からの排泄物に由来する水質悪化がしばしば問題とな
る。
【0003】飼育にともなう汚染物質は、懸濁物質と溶
解物質に大別される。このうち溶解物質には、アンモニ
ア、塩素、硝酸、などの無機イオン、有機物などがあ
る。有機物は一般にそのままでは安定であるが、飼育水
中では酸素や微生物の存在により分解され、同時に炭酸
ガス、アンモニアなどが生成する。飼育生物からは直接
呼吸代謝により炭酸ガスやアンモニアが排泄されてお
り、有機物は炭酸ガス、水、アンモニアに最終的には変
化する。このアンモニアは微生物の生物学的硝化反応に
より、その一部が亜硝酸または硝酸に転換されるが、蓄
積すると飼育生物に障害を与え、場合によっては死滅す
ることが知られている。
【0004】従来、このアンモニアの除去または分解方
法には、吸着除去法、オゾン処理法、生物化学的浄化法
が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】吸着除去法は、活性炭
や鉱物質などの吸着剤に物理的に吸着除去するものや、
イオン交換樹脂やゼオライト等の吸着剤にイオン交換的
に吸着除去する方法である。このうち活性炭は、有機物
質や懸濁物質などの汚染物質の吸着能力には優れるもの
の、飼育水中のアンモニウムイオンや有機酸等の、イオ
ン性の物質の吸着能力が劣るといった問題点があった。
【0006】また、ゼオライトなどの鉱物質は、その吸
着能が該ゼオライトの製造方法、結晶相、表面積、ある
いは産地、粒度、不純物等に依存し、実際には比較的希
薄な不純物濃度を吸着除去するために十分な吸着能力、
容量を持つ材料がないといった問題点があった。さらに
は該ゼオライトの能力に関わらず、多くは表面積が大き
い場合に、ゼオライトそのものが水流により崩壊し、水
槽中に懸濁物質として浮遊し、水槽水を白濁したり濾過
フィルターを詰まらせてしまうといった問題があった。
【0007】また、ゼオライトを含むイオン交換材料
は、他のカチオンが共存する中から選択的にアンモニア
を交換する選択性の高さが要求され、既存の材料では実
用的な選択性が得難かった。また、このことは高濃度の
塩を多量に含む海水の場合にも、交換容量が不足して実
用的でないといった問題があった。
【0008】またいずれの場合も、吸着剤そのものには
吸着した溶存アンモニアを分解したり除去する機能がな
いため、吸着剤の吸着容量が一杯になると、それ以上吸
着できなくなるといった問題点があった。
【0009】また、オゾン処理法は、中性条件下では亜
硝酸の硝酸への酸化反応は進行するものの、アンモニア
の硝化反応はほとんど進行しないといった問題があっ
た。また装置が比較的大規模になり、排出する残留オゾ
ンの処理が必要となるといった問題点もある。
【0010】生物化学的処理法は、硝化細菌を用いる方
法で、硝化の能力は高いものの、処理水中のアンモニア
濃度の変化に弱く、また培養に数十日の時間を必要とす
るといった問題があった。また、水中有機物濃度の影響
を受けやすく、養魚槽などの急激な負荷変動に対して弱
いといった問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、少なくとも構成
元素としてSi及びOを有する無機物資に光触媒を担持
したことを特徴とする魚介類飼育水槽の浄化剤、光触媒
を、少なくとも構成元素としてSi及びOを有する無機
物資に、担持固定化材によって結着もしくは表面被覆し
たことを特徴とする、前記浄化剤、担持固定化材が金属
酸化物ゾル、カオリナイトもしくは有機ポリマー又はこ
れらの混合物であることを特徴とする前記浄化剤、光触
媒が酸化チタンである上記各浄化剤、少なくとも構成元
素としてSi及びOを有する無機物質が、少なくともA
l,Na,K,及びCaの元素で構成され、かつCuK
α線をX線源とするX線回折図において、2θが9.
8、22.3、25.6度、及びその近傍に主回折線を
示すことを特徴とする、上記各浄化剤、少なくとも構成
元素としてSi及びOを有する無機物質が、一般化学組
成式で(Zn6−nAl)(Si4−nAl)O
10(OH)/SiO・nHOで表されるアルミ
ノケイ酸塩、またはその水素イオン交換体の少なくとも
1種を含有することを特徴とする、上記各浄化剤、及
び、飼育水流入口と、飼育水を送水する送液ポンプと、
上記各浄化剤のどれかを充填し、かつ少なくとも一面が
光を透過することができる窓を備えた浄化槽と、処理水
出水口とを備えることを特徴とする、魚介類飼育水槽の
浄化器。少なくとも構成元素としてSiを有する物質に
光触媒を担持したことを特徴とする魚介類飼育水槽の浄
化剤、により前記課題を解決するものである。
【0012】
【作用】ゼオライトの等の少なくとも構成元素としてS
i及びOを有する無機物質(以下、Si及びO含有無機
物質と省略)の吸着作用を利用した水槽用浄化剤自体は
広く知られ、かつこれらの従来の材料が魚介類飼育水槽
用途に合致するものでないことは前述した。鑑賞魚等の
水槽中の溶存アンモニアの除去を目的とする場合、一般
には10ppm程度のアンモニアを1ppm以下の濃度
に低減する能力が必要とされる。つまり、このような希
薄な濃度のアンモニアを処理しなければならない。
【0013】また、一口にゼオライトといっても、シリ
カやアルミナを主成分とする様々な結晶相が知られてお
り、さらにはこのような複数の結晶相が混合した複雑な
材料が合成または産出されている。これらの材料の溶存
アンモニアの吸着性能は様々なものがあるが、未だこの
ような水槽用に応用可能な能力を持つ材料は実用に供さ
れていない。また、それぞれの吸着機構は複雑で、明確
に検証されていないままである。
【0014】さて、近年の環境問題意識の高まりから、
酸化チタンなどの金属酸化物を光触媒活性成分とした様
々な光酸化反応が注目されている。この酸化チタンを光
触媒とした酸化反応は非常に強い酸化力を持つことが知
られており、有機塩素化合物、界面活性剤、PCB等の
具体的な有害有機化合物の分解はもちろんのこと、アン
モニア、NOx等の無機化合物の分解、COD、TOC
の除去、流出原油の分解、殺菌、等のあらゆる酸化反応
の進行が確認され、実用化に向けた検討が行われてい
る。このうち、飼育水槽中の溶存アンモニアの分解は、
本発明者らが特願平5−172553号に示したよう
に、実用上極めて有効であることを発見した。
【0015】しかしながら、実際の飼育水槽中で発生す
る溶存アンモニアは、飼育条件によって大きく作用する
ため、さらに大きな分解速度が望まれていた。そこで本
発明者らは、飼育水槽中の溶存アンモニアを吸着する能
力のあるSi及びO含有無機物質を担体とし、該無機物
質表面に光触媒を担持した構成とした浄化剤を試作し、
飼育水槽への応用が可能かどうか検討した結果、水槽水
中に溶存するアンモニアを従来類を見ない速度で分解可
能で、かつ長寿命な浄化剤として作用することを見いだ
し、本発明に至った。そこで、以下に本発明の構成及び
その意義を詳述する。
【0016】まず、本発明において使用するSi及びO
含有無機物質は、水槽水の溶存アンモニアを吸着する能
力のある材料であれば何れも採用することができる。例
えば、人工または天然の多孔質な鉱物質で、シリカ、ア
ルミナなどの金属酸化物よりなるもので、シリカ4面体
層と金属8面体層が交互に重なったような層状化合物、
正6面体の合成ゼオライト、3層構造を有するモンモリ
ロナイト、セピオライト、モルデナイト、クリノプチロ
ライト、不定形な天然ゼオライト、等を含むケイ酸塩化
合物、複合酸化物またはこれらの混合物、等である。な
お、ここで、本明細書中でいうゼオライトとは、このよ
うなゼオライト類の総称であることを付記する。しかし
ながら、本発明に用いるSi及びO含有無機物質は、溶
存アンモニアの吸着剤として特に優れた能力を持つもの
が望ましい。例えば、少なくとも、Si,Al,Na,
K,Ca,Oの成分元素で構成され、かつCuKα線を
X線源とするX線回折図において、2θが9.8、2
2.3、25.6度及びその近傍に主回折線を示すゼオ
ライトや、一般化学組成式で(Zn6−nAl)(S
4− Al)O10(OH)/SiO・nH
Oで表わされるアルミノケイ酸塩またはその水素イオン
交換体の少なくとも1種を含有する物が好適である。
【0017】次に、光触媒には、TiO、TiBaO
、KNbO、ZnO、ZrO、CdS、GaA
s、金属ボルフィリン類、Cuイオン等、またはそれら
の混合物等、従来公知の材料は全て用いることができ
る。しかしながら、その光反応効率、酸化力、化学的安
定性などの理由から、TiOが好ましい。
【0018】次に、上述のSi及びO含有無機物質に光
触媒を担持して、目的の浄化剤を得る。本浄化剤は、S
i及びO含有無機物質上に光触媒粉末を混合あるいは付
着等の方法で担持させることでも用いることができる。
このとき、結着剤として、球状シリカゾル分散液、水ガ
ラス、等の金属酸化物ゾル、あるいは金属アルコキシド
を加水分解して得られる金属酸化物ゾルを用い、光触媒
を強固に担持させることが有効である。また、有機ポリ
マー、例えばフッ素樹脂、ポリスチレン、ポリエチレ
ン、アクリル樹脂等、あるいはカオリナイトのような無
機材料を結着剤として用いることもできる。また、光触
媒としての活性を持ちうる金属酸化物ゾルを用い、焼成
等ののちに光触媒として担持することも有効である。
【0019】より好ましくはいわゆるゾルゲル法を応用
した結着方法を用いる。すなわち、まず液相法で合成さ
れた金属酸化物ゾル中に、光触媒を分散し、光触媒−金
属酸化物ゾルを得る。この光触媒−金属酸化物ゾル中に
Si及びO含有無機物質を添加し、引き上げ、風乾、熱
風乾燥、熟成などの方法で、該金属酸化物ゾルをゲル化
する。この後、100℃以上、好ましくは300℃以上
の温度で焼成し、目的の浄化剤を得る。また、該ゾルを
結着剤として、光触媒及びSi及びO含有無機含有物質
の粉末を造粒することでも目的の浄化剤を得る。なお、
金属酸化物ゾルの合成にはアルコールを分散媒とし、金
属アルコキシドを加水分解する方法が好適であるが、こ
れに限定するものではない。このとき用いる金属アルコ
キシドには、シリコンテトラエトキシド、シリコンテト
ラプロポキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテト
ラプロポキシド、チタンテトラブトキシド等がある。
【0020】このようにゾルゲル法を用いる意義は4つ
ある。まず第1に、こうして得られた浄化剤は、その表
面積が大きいことである。例えば、ゾルゲル法で調製す
る金属酸化物の膜は、スパッタリングや溶射法などで作
成した膜と比較して、それ自体多孔性で、表面積が大き
いことが特徴である。このことから、ゾルゲル法で得ら
れた金属酸化物ゾルを結着剤として用いたSi及びO含
有無機物質成形体は、多孔質の粒界を持ち、処理しよう
とする水が浄化剤のすみずみにまでゆきわたり易く、そ
の結果ゼオライトの持つ本来のアンモニアの吸着能力を
失うことがないからである。第2に、結着強度が大きい
ことである。これは、前述のように表面積が大きいため
結着面積をとりやすいからである。第3に親水性が大き
いことである。できあがった多孔性のSi及びO含有無
機物質成形体は、その親水性を失うことがないため、処
理水がSi及びO含有無機物質の細孔付近にまでゆきわ
たりやすい。第4に、光の透明性が高いことである。S
i及びO含有無機物質上に担持する光触媒は、光を吸収
して初めて触媒として機能する。その反応の駆動力であ
る光を効率よく透過することができる、SiO,Al
等の材料を、簡便に結着剤として用いることができ
るからである。
【0021】こうして調製された本発明の浄化剤は、そ
のままで吸着剤として用いることができるが、ここに光
を照射することでSi及びO含有無機物質上に捕捉され
た溶存アンモニアを分解することができる。つまり、前
記物質上に担持された光触媒は、光を吸収してその内部
に電子−正孔ペアを生成する。これらはそれぞれ触媒の
表面上の水と反応し、O 及びOHラジカルを生成す
る。こうして生成した酸化種が、前記物質上を拡散する
溶存アンモニアを攻撃し、次のような反応を行う。
【0022】 NH + 6h + 2HO → NO + 7H NO + 2h + HO → NO + 2H ここで、hは酸化種または半導体中に生成した正孔を
示す。本反応の速度はpHの依存性があり、pHが9以
上でより速く進行する。したがって、本発明の浄化剤に
よる処理を行う前段に、アルカリイオン水生成器で使わ
れるような電解槽を導入し、浄化剤に送る処理水のpH
を9以上にすることも有効である。しかしながらこれに
限定するものではない。
【0023】こうして捕捉した溶存アンモニアを分解し
た後には、Si及びO含有無機物質上に新たに溶存アン
モニアを捕捉することができるようになる。ここで、光
を照射する手段には、自然光、蛍光ランプ、捕虫用ラン
プ、ブラックライト、殺菌ランプ、高輝度放電灯、等の
人工光源を連続的または間欠的に使用することができ
る。
【0024】本発明と類似の構成をとる材料は、気相の
場合において知られている(武田等,電気化学会第61
回大会講演要旨集,226(1994))。しかしなが
ら、本発明は次の点で大きく異なる。
【0025】まず第1に、液相反応とくに水溶液中の溶
存アンモニアを処理の対象としている点である。Si及
びO含有無機物質、特にゼオライト上に溶存アンモニア
が吸着する機構には差異がある。すなわち、例えばシリ
カの4面体層とアルミナの4面体層が交互に積み重なっ
た構造を持つゼオライト系クリノプチロライトの場合、
気相においてはその固体酸構造の部分にアンモニアの吸
着サイトがあることが知られている。一方液相特に水中
でのアンモニウムイオンの吸着の場合、固体酸構造部分
の吸着、アルミナの4面体層の負電荷を中和している対
イオン(例えばナトリウムなど)とのイオン交換作用、
あるいは浄化剤の持つ10〜40オングストローム程度
の細孔への分子ふるい的な排除効果、などの作用形態が
考えられる。つまり、同じアンモニアであっても、それ
が気相中と液相中で共に有効であるかどうかは必ずしも
一致しないといえよう。
【0026】第2に、飼育水中に発生する溶存アンモニ
アを処理対象物質としている点にある。さらに、飼育水
中には時間はかかるが溶存アンモニアを硝酸に転換する
硝化菌が発生する点も大きく異なる。すなわち、本発明
は発生し続ける処理対象物質をより速く処理する、つま
り単に反応速度を向上する目的だけではない。実施例に
おいても示すが、吸着剤上に捕捉した溶存アンモニア
を、徐々にではあるが分解し続けることで、吸着剤の再
生機能ともいうべき機能を持たせている点が、従来の構
成と異なる重要な点である。このようにすることで、よ
り弱い光源を長時間用いる構成の実用化が初めて可能と
なる。
【0027】本発明にかかる浄化剤は、水槽の底に配置
したり、濾過槽中に充填するだけでも、アンモニアの処
理効果がある。また、飼育水を循環する目的のポンプ
と、飼育水入口と出口を備えた密閉型の浄化槽とを備え
た装置を構成し、この浄化槽中に該充填剤を充填して、
用いるとさらに好適である。このとき飼育水は次のよう
に循環される。すなわち、水槽中の飼育水をポンプを経
て飼育水入口に送水し、浄化槽中の浄化剤と接触させな
がら流通し、浄化槽出口より排出せしめ、水槽に戻され
る。
【0028】
【実施例】
[実施例1]本発明の浄化剤の初期的な効果を調べるた
めに、次のような実験を行った。
【0029】まず、Si及びO含有無機物質には水澤化
学(株)製ミズカナイトHGを用いた。光触媒には日本
アエロジル(株)製P−25を用いた。また、光触媒の
前記無機物質上への担持は次のような手順で行った。す
なわち、テトラエトキシシラン200gに、エタノール
380ml、水188ml、濃塩酸0.2mlを混合し
た液を加え、3時間撹拌し続けてシリカゾルを得た。こ
こに、酸化チタン粉末10gを添加し、よく攪拌した。
次に、ここにSi及びO含有無機物質200gを漬積
し、引き上げて風乾し、300℃で2時間焼成して処理
剤とした。
【0030】そこで、水中に溶存するアンモニアの処理
量を測定するために、次のような実験を行った。まず、
密栓可能な試料瓶中に、精製水にNH 濃度が30p
pmとなるようNHClを溶解した水100mlと、
本発明にかかる処理剤の5.0gをとり、密栓した。こ
れを30℃の恒温、光未照射下、振とう器で24時間振
とうした。次に、三菱オスラム(株)製捕虫用蛍光ラン
プFL10SBL360からの光を照射しながら、引き
続き60時間振とうした。なお、比較のために、Si及
びO含有無機物質の代わりに、ガラスビーズを用いて光
触媒のみを担持したもの20g(ブランク1)、および
光触媒を担持していないSi及びO含有無機物質5.0
g(ブランク2)を用いて同様の実験を行った。
【0031】そこで、この間の上澄み液の溶存アンモニ
ア濃度の変化を調べたところ、図1のようになった。
【0032】[実施例2]図2に示したような浄化器を
試作した。ポンプ2には自吸能力のあるダイアフラム式
のものを用いた。ポンプ2の送水量は毎分1リットルと
した。処理槽1中には飼育水処理剤の1.2kgを充填
した。
【0033】そこで、処理水は残餌等の大きなごみを除
去しうるフィルター3から、処理水導入管4を通ってポ
ンプ2に吸入され、処理槽1中に導入される。処理槽1
に導入された飼育水は、飼育水処理剤に接触しながらそ
の空隙を通り、処理水排出管5を通り水槽へもどされ
る。飼育水中にある溶存アンモニアは、処理剤に接触を
繰り返す際に効率よく吸着除去される。また、処理槽1
には、本発明にかかる処理剤に光を照射することができ
る光源6を備えており、光源から連続的に光が照射され
る。処理剤上に担持された光触媒はこの光を吸収し、捕
捉した溶存アンモニアが徐々に分解される。
【0034】次に、本装置の魚介類飼育水中の溶存アン
モニアの除去効果とその長期安定性を調べるために、次
のような実験を行った。まず、送水量毎分10リットル
の濾過装置と20Wの照明を設置した、水量60リット
ルの水槽に、餌金40匹を飼育した水槽を2つ準備し
た。濾過装置には、ポリエチレン繊維の濾過剤のみを入
れ、砂利、活性炭等は入れなかった。このうち1つの水
槽に本浄化器を取り付け、連続に運転した。両水槽はい
ずれもヒーターで水温を25±1℃の一定温度に調節し
た。給餌は1日に1回のみ、1.2gとした。光源は連
続的に照射した。比較のために、同じ構成の装置で光源
を点灯しない装置を設置した水槽および本装置を取り付
けない水槽を、それぞれブランク3およびブランク4と
して同時に用意した。
【0035】これらの3つの水槽は、いずれも飼育開始
後3週間で水換えを行った。水換えの際には濾過装置中
の濾過剤をすべて新しいものと交換した。これは、濾過
剤に繁殖する硝化菌を系外に排出し、水換え後の飼育条
件を初期のものに近づけるためである。硝化菌は、通常
飼育開始2週間程度で繁殖するが、ブランク4の結果
は、これを支持するものとなった。
【0036】そこで、それぞれの水槽の溶存アンモニア
濃度の経時変化を調べた結果、図3に示すようになっ
た。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明にかかる浄
化剤及び浄化器は、従来の技術では到底得ることができ
ない溶存アンモニアの処理能力を得ることができる。こ
れは、その材料そのものは公知であるものの、これを組
み合わせ、新たな機能を発現せしめ水槽水の溶存アンモ
ニアの処理剤として適用することによって、初めて浄化
剤として実用に供することができた。さらには、従来用
いられてきた生物化学的な方法に代替することができ
る、化学的、光化学的手法を用いた初めての安価で簡素
な手段となりうる。本発明の工業的価値は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にかかる浄化剤の溶存アンモ
ニアの吸着特性を示す図である。
【図2】本発明にかかる浄化器の概略を示す図である。
【図3】本発明の実施例2にかかる浄化器の運転特性を
示す図である。
【符号の説明】
1 浄化槽 2 ポンプ 3 フィルター 4 処理水導入管 5 処理水排出管 6 光源 7 反射板 8 受光窓

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも構成元素としてSi及びOを
    有する無機物資に光触媒を担持したことを特徴とする魚
    介類飼育水槽の浄化剤。
  2. 【請求項2】 光触媒を、少なくとも構成元素としてS
    i及びOを有する無機物資に、担持固定化材によって結
    着もしくは表面被覆したことを特徴とする、請求項1記
    載の浄化剤。
  3. 【請求項3】 担持固定化材が金属酸化物ゾル、カオリ
    ナイトもしくは有機ポリマー又はこれらの混合物である
    ことを特徴とする請求項2記載の浄化剤。
  4. 【請求項4】 光触媒が酸化チタンである、請求項1、
    2もしくは3記載の浄化剤。
  5. 【請求項5】 少なくとも構成元素としてSi及びOを
    有する無機物質が、少なくともAl,Na,K,及びC
    aの元素で構成され、かつCuKα線をX線源とするX
    線回折図において、2θが9.8、22.3、25.6
    度、及びその近傍に主回折線を示すことを特徴とする、
    請求項1、2、3もしくは4記載の浄化剤。
  6. 【請求項6】 少なくとも構成元素としてSi及びOを
    有する無機物質が、一般化学組成式で(Zn6−nAl
    )(Si4−nAl)O10(OH)/SiO
    ・nHOで表されるアルミノケイ酸塩、またはその水
    素イオン交換体の少なくとも1種を含有することを特徴
    とする、請求項1、2、3、4もしくは5記載の浄化
    剤。
  7. 【請求項7】 飼育水流入口と、飼育水を送水する送液
    ポンプと、請求項1、2、3、4、5または6記載の浄
    化剤を充填し、かつ少なくとも一面が光を透過すること
    ができる窓を備えた浄化槽と、処理水出水口とを備える
    ことを特徴とする、魚介類飼育水槽の浄化器。
JP6681195A 1995-02-28 1995-02-28 魚介類飼育水槽の浄化剤及び浄化器 Pending JPH08228636A (ja)

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JP (1) JPH08228636A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0780158A1 (en) 1995-12-21 1997-06-25 Asahi Glass Company Ltd. Photocatalyst composition and process for its production, and photocatalyst composition attached substrate
JP2007061807A (ja) * 2005-08-04 2007-03-15 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 光触媒の活性化装置およびそれを用いた光触媒の活性化方法

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JP2007061807A (ja) * 2005-08-04 2007-03-15 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 光触媒の活性化装置およびそれを用いた光触媒の活性化方法

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