JPH08226156A - 水洗水循環式仮設トイレ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】機能室を２個設けるタイプの水洗水循環式仮設
トイレについて、使用時に使い心地のよいスペースを十
分に与えてなお且つ全体のサイズを最大限小さくでき、
さらに必要に応じて分割状態とすることで設置場所への
道路事情に応じた大きさのトラックでの運送ができるよ
うにする。 【構成】独立の屋体内に循環浄化装置を設けた１個の浄
化装置ブロック３と、同じく独立の屋体内に水洗式便器
などの機能要素を設けた２個の機能室ブロック２とで形
成すると共に、浄化装置ブロックに対し各機能室ブロッ
クを接続・分離可能とし、且つ機能室ブロックの屋体を
一対の部分円弧面状凸壁８、９で囲まれる筒状に形成す
ると共に、浄化装置ブロックの屋体を機能室ブロックの
屋体における部分円弧面状凸壁に対応する部分円弧面状
凹壁１３を両側に持つ筒状に形成し、浄化装置ブロック
にその部分円弧面状凹壁部分を介して機能室ブロックを
接続した状態で全体が楕円状の筒体となる構造としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水洗式便器からの水洗
排水を循環浄化装置で浄化した後に再び水洗水として循
環的に利用できるようにした水洗水循環式仮設トイレに
関する。

【０００２】

【従来の技術】水洗水循環式仮設トイレとしては、例え
ば特開平３−１００２４１号公報に開示の移動式の多人
数用全自動水洗便所が知られている。この移動式の多人
数用全自動水洗便所つまり水洗水循環式仮設トイレは、
ＦＲＰの成形品として横円筒形でトイレットハウスを形
成し、その内部に循環浄化装置を設けると共に、複数の
大便室や小便器を設けた構造となっている。そのため、
多人数の同時使用が可能となり、従来の水洗式仮設トイ
レが何れも一人用であり使用頻度の多い場所での利用に
何かと不便が多かったという問題点の改善を達成してい
る。また水洗水を浄化して連続的に循環させる構造であ
る故に、僅かな水量で効率的な水洗式とすることがで
き、仮設トイレを必要とする場所のように水の供給に何
かと制約の多い条件下でも、悪臭なども無く清潔感が高
くて使用心地のよい仮設トイレとすることができるとい
う利点も持っている。

【０００３】この特開平３−１００２４１号公報に開示
の水洗水循環式仮設トイレは、上記のように多人数の同
時使用を可能とすることを意図して構想されており、そ
こに示される構造は、例えば大小便の用を足すための機
能室が二つ程度である中間規模の仮設トイレとするには
必ずしも適していない。

【０００４】また仮設トイレには、工場から仮設地への
トラック搬送という問題が常につきまとい、仮設地への
道路事情により利用可能なトラックの大きさに限定を受
ける場合が多いことから全体サイズに制限を受けるとい
う問題があるが、この点について特開平３−１００２４
１号公報に開示の技術には不十分な点がある。即ち例え
ば山奥の工事現場やキャンプ場のようにそこへの道路が
狭くて２トン車程度であれば通行できるが４トン車にな
ると通行ができないという場所も仮設トイレの設置場所
としては少なくなく、その設置を必要とする場所への道
路事情から４トン車でなければ運べないか２トン車でも
運べるかと言うことが仮設トイレにとっては重要な問題
になる。そのため仮設トイレは全体サイズに限定を受け
ざるを得ず、したがってその限定された全体サイズの範
囲内で如何に使用時の使い心地のよいスペースを十分に
確保し、また循環浄化装置の各種要素をコンパクトに納
めるかということについて多くの工夫が求められる。こ
のような観点から見た場合に特開平３−１００２４１号
公報に開示の技術は不十分な点が少なくない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、機能室を２個設けるタイプの水洗水循環式仮設ト
イレとして、使用時に使い心地のよいスペースを十分に
与えてなお且つ全体のサイズを最大限小さくでき、さら
に必要に応じて分割状態とすることで設置場所への道路
事情に応じた大きさのトラックでの運送ができるように
した水洗水循環式仮設トイレを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による水洗水循環
式仮設トイレは、水洗式便器からの水洗排水を循環浄化
装置で浄化した後に再び水洗水として水洗式便器に供給
する構造を基本的に有し、独立の屋体内に循環浄化装置
を設けた１個の浄化装置ブロックと、同じく独立の屋体
内に水洗式便器などの機能要素を設けた２個の機能室ブ
ロックとで形成されると共に、浄化装置ブロックに対し
各機能室ブロックが接続・分離可能とされ、且つ機能室
ブロックの屋体が一対の部分円弧面状凸壁で囲まれる筒
状に形成されると共に、浄化装置ブロックの屋体が機能
室ブロックの屋体における部分円弧面状凸壁に対応する
部分円弧面状凹壁を両側に持つ筒状に形成され、浄化装
置ブロックにその部分円弧面状凹壁部分を介して機能室
ブロックを接続した状態で全体が楕円状の筒体となる構
造とされている。

【０００７】この本発明による水洗水循環式仮設トイレ
は、各ブロックの接続・分離可能な構造を活用すること
で、仮設地における需要に応じ、例えばその仮設地が海
水浴場などであれば、二つの機能室ブロックの一つを、
機能要素として例えばシャワー設備を設け機能室ブロッ
クに代えるようにすることも簡単にできる。

【０００８】また本発明の水洗水循環式仮設トイレによ
ると、浄化装置ブロックと機能室ブロックがそれぞれ独
立の要素となって互いに接続・分離できるようになって
いるので、必要に応じて各ブロックごとに運送すること
ができる。したがって設置場所への道路事情に応じて小
さなトラックでも運送することができる。つまり各ブロ
ックを接続した状態で例えば４トン車サイズとなるとし
た場合でも、各ブロックは一般的にその半分以下のサイ
ズとなるで、２トン積みやそれ以下のトラックでも運送
することを可能とする。

【０００９】さらに本発明の水洗水循環式仮設トイレに
よると、機能室ブロックの屋体が紡錘形の断面形状を持
つ筒体となるので、大便も可能な水洗式便器や上記のよ
うにシャワー設備を内部に設置した状態で機能室ブロッ
ク内の空間構成が便器やシャワー設備の一般的形状構造
に対し最も効率的なものとなり、したがって機能室ブロ
ックについて使用時に使い心地のよいスペースを十分に
与えてなお且つ全体のサイズを最大限小さくすることが
できる。と同時にこれらの機能室ブロックに対応させる
形状構造を浄化装置ブロックに与えて全体が楕円状の筒
体となるようにしていることにより、各ブロックの組み
合わせ状態での全体サイズも最大限小さくすることがで
きる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
１〜図７に示すのは、本発明の一実施例による水洗水循
環式仮設トイレである。この水洗水循環式仮設トイレ
は、それぞれ１個の水洗式便器１（図２）を有する２個
の機能室ブロック２を１個の浄化装置ブロック３に組み
合わせて形成されている。

【００１１】各機能室ブロック２は、図２及び図３に見
られるように、それぞれＦＲＰの成形品で独立に形成さ
れた屋体５の内部に水洗式便器１及びロータンク６を設
け、さらに手洗いユニット７を設けた構造となってお
り、その屋体５は、一対の部分円弧面状凸壁８、９で囲
まれる筒状に形成され、部分円弧面状凸壁９にはドア１
０が設けられている。

【００１２】浄化装置ブロック３は、図４及び図５にそ
の詳細を示すように、同じくＦＲＰの成形品で独立に形
成された屋体１１の内部に循環浄化装置１２を設けてな
っており、その屋体１１は、機能室ブロック２の屋体５
における部分円弧面状凸壁８に対応する部分円弧面状凹
壁１３を両側に持つ筒状に形成されている。

【００１３】したがって浄化装置ブロック３にその部分
円弧面状凹壁部分を介して機能室ブロック２、２を接続
した状態で全体が楕円状の筒体となるようなっている
（図１）。このような形状とした結果、機能室ブロック
２が図２に見られるような紡錘形の断面形状を持つ筒状
となる。そしてこのような形状が、大便も可能な水洗式
便器１をその内部に設置した状態で最も効率的な空間構
成であることを図２から理解できる。また浄化装置ブロ
ック３は、図２や図５に見られるように、前後がそれぞ
れ扇状に広がり且つ中間部が窄まった形状となり、後述
のような循環浄化装置１２の各要素の配置及びそれぞれ
に必要な容量を最小限のスペースに効率的に納めること
ができる。この点は以下の説明及びそれに関連する各図
に示された構造から容易に理解することができる。

【００１４】浄化装置ブロック３における循環浄化装置
１２は、流入室１５、ポンプアップ機構１６、定量分配
槽１７、第１浄化室１８、第２浄化室１９、オーバーフ
ロー樋２０、及び水洗水供給管路２１からなる循環系
と、貯留室２２とを備えてなっている。この循環浄化装
置１２における水洗排水や水洗水の循環及び浄化の状態
は以下の通りである。

【００１５】流入室１５へは機能室ブロック２における
水洗式便器１から水洗排水が自然流下して溜まる。流入
室１５に溜まった水洗排水は、ポンプ２３及び送水管路
２４からなるポンプアップ機構１６により定量分配槽１
７へポンプアップされる。

【００１６】定量分配槽１７は、図６に示すような構造
を持っている。即ち送水管路２４から第一室２５に流入
した水洗排水は、第二室２６との仕切り板２８の下部に
設けられている通水口２９を通って第二室２６に流入す
る。第二室２６は高さ調整を可能とした堰板３１により
水圧調整部３２とオーバーフロー部３３に区画され、ま
た第二室２６と第三室３４との仕切り板３５には水圧調
整部３２と対応する部分に所定の通水抵抗をもって通水
を許容する通水孔３６が複数個設けられている。

【００１７】したがって通水口２９を通った水洗排水
は、先ず水圧調整部３２に流入し、それから通水孔３６
による通水抵抗を受けつつ水圧調整部３２における水
位、つまり堰板３１の高さに応じた水圧により一定の水
量で第三室３４に流入し、その一方で通水孔３６による
通水抵抗で第三室３４への流入が制限されてオーバーフ
ローする分はオーバーフロー部３３に流入する。オーバ
ーフロー部３３に流入した水洗排水は、通常時は還流管
路３７により流入室１５に還流され、流入室１５の水位
が所定高さを超えたことが図示せぬ水位監視手段で検出
された場合には、還流管路３７に設けてある二方弁３７
ｖが作動してバイパス管路３８を介して貯留室２２に放
流する。つまり循環系から分水して過剰分を貯留室２２
に貯留する。この点については後にさらに詳しく説明す
る。

【００１８】定量分配槽１７の第三室３４に流入した水
洗排水は、第三室３４に接続されている給水管路４０を
通って第１浄化室１８に上側から散水的に供給される。
第１浄化室１８は、生物膜法により浄化処理を行なうよ
うになっており、生物膜を形成させるために線状体様の
生物膜定着体４１が多数垂下状態で設けられている。ま
た第１浄化室１８には、一対の仕切り板４２、４２で区
画されたエアレーションゾーン４３（図５）が設けら
れ、その下端部にはブロア４４ｂ（図５）に接続された
給気管４４が臨まされている。そして給気管４４から供
給される空気がエアレーションゾーン４３を上昇する際
に浄化処理中の水洗排水に上昇流を形成させ、これによ
り第１浄化室１８全体に一定の循環流が生じて効率的な
浄化処理がなされる。

【００１９】第２浄化室１９は、第１浄化室１８での処
理を受けた一次浄化処理済水から浮遊物などを沈降や濾
過により除去すると共に補助的に生物膜浄化を行なうた
めのもので、第１浄化室１８と同様の生物膜定着体４１
が多数垂下状態で設けられた浄化室本体４５の両側に仕
切り壁４６で導流室４７を区画形成した構造とされてい
る。その導流室４７は、図７に見られるように、第１浄
化室１８の上限水位面に沿って設けられたオーバーフロ
ー孔４８を介して第１浄化室１８と連通しており、オー
バーフロー孔４８を介して第１浄化室１８からオーバー
フローで導流室４７に流入した一次浄化処理済水が仕切
り壁４６の下端部に設けられている通水口５０を通って
浄化室本体４５に流入する。つまり浄化室本体４５には
底部から一次浄化処理済水が供給され、この一次浄化処
理済水は浄化室本体４５内を静かに上昇しつつ上記の処
理を受ける。

【００２０】第２浄化室１９での処理を受けた二次浄化
処理済水は、浄化室本体４５からオーバーフロー樋２０
にオーバーフローした後、オーバーフロー樋２０に接続
されている水洗水供給管路２１を介して機能室ブロック
２におけるロータンク６に水洗水として自然流下で供給
される。なおオーバーフロー樋２０にはオーバーフロー
管２０ｐが設けられており、何らかのトラブルで水洗水
供給管路２１を通しての給水が滞った場合の過剰水をこ
のオーバーフロー管２０ｐにより貯留室２２へ放流でき
るようになっている。

【００２１】機能室ブロック２のロータンク６は、一定
の貯水容量を持っており、その範囲で水洗水を貯留し、
この貯留分を必要時にまとめて水洗式便器１に流し、貯
水容量を超える分については水洗式便器１に常時流すよ
うになっている。そしてこの水洗式便器１における必要
時の流水及びロータンク６の貯水容量超過分の常時流水
により、循環浄化装置１２における循環系が閉じた循環
系となり、この閉じた循環系に対しし尿として外部的に
供給される増加分が上記のように定量分配槽１７での分
水により貯留室２２に貯留される。貯留室２２には予め
定めた貯水容量が与えられており、満杯になった場合に
はバキュームカーで抜き取ることになる。なおこの例で
は貯留室２２の貯水容量を1.1 ｍ³ とし、上記の循環系
が保有する初期循環水量を0.8 ｍ³ としている。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
機能室ブロックについて使用時に使い心地のよいスペー
スを十分に与えてなお且つ全体のサイズを最大限小さく
することができ、また設置場所への道路事情に応じた大
きさのトラックでの運送を可能とすることができ、さら
に必要に応じて機能室ブロックにシャワー機能などを付
加して多機能化させることも容易であり、悪臭なども無
く清潔感が高くて使用心地がよいと言う水洗水循環式仮
設トイレの利点をより有効に活かすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による水洗水循環式仮設トイ
レの外観斜視図。

【図２】図１中のＳＡ−ＳＡ線に沿う一部省略の断面
図。

【図３】機能室ブロックの内部構造を示す側面図。

【図４】浄化装置ブロックの内部構造を破断して示す斜
視図。

【図５】浄化装置ブロックの平面図。

【図６】定量分配槽の斜視図。

【図７】第１浄化室と第２浄化室の導流室との関係を示
す部分断面図。

【符号の説明】

１ 水洗式便器 ２ 機能室ブロック ３ 浄化装置ブロック ５ 屋体 8、 9 部分円弧面状凸壁 １１ 屋体 １２ 循環浄化装置 １３ 部分円弧面状凹壁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水洗式便器からの水洗排水を循環浄化装
   置で浄化した後に再び水洗水として水洗式便器に供給す
   るようにしてなる水洗水循環式仮設トイレにおいて、独
   立の屋体内に循環浄化装置を設けた１個の浄化装置ブロ
   ックと、同じく独立の屋体内に水洗式便器などの機能要
   素を設けた２個の機能室ブロックとで形成すると共に、
   浄化装置ブロックに対し各機能室ブロックを接続・分離
   可能とし、且つ機能室ブロックの屋体を一対の部分円弧
   面状凸壁で囲まれる筒状に形成すると共に、浄化装置ブ
   ロックの屋体を機能室ブロックの屋体における部分円弧
   面状凸壁に対応する部分円弧面状凹壁を両側に持つ筒状
   に形成し、浄化装置ブロックにその部分円弧面状凹壁部
   分を介して機能室ブロックを接続した状態で全体が楕円
   状の筒体となるようにしたことを特徴とする水洗水循環
   式仮設トイレ。