JPH0822373B2 - ポリスルホン系複合膜の製膜方法 - Google Patents

ポリスルホン系複合膜の製膜方法

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JPH0822373B2
JPH0822373B2 JP61027383A JP2738386A JPH0822373B2 JP H0822373 B2 JPH0822373 B2 JP H0822373B2 JP 61027383 A JP61027383 A JP 61027383A JP 2738386 A JP2738386 A JP 2738386A JP H0822373 B2 JPH0822373 B2 JP H0822373B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、気体混合物から少なくとも一種類の気体を
分離、濃縮または希薄化せしめる気体分離用複合膜に関
する。
(従来の技術) 混合気体から特定の成分気体を分離することは、工業
的に重要なプロセスである。例えば、石油精製業界にお
いての水添プラントで発生する水素は、濃度が希薄、低
圧力、量が少量等の理由から、回収メリツトがなく、燃
料として用いられるか、廃棄すなわち、大気中で燃やさ
れていた。このような水素の回収、石炭ガスから発生す
る水素と一酸化炭素の混合気体のモル比調節、リフオー
マーから発生する水素の濃縮、アンモニア合成プラント
等のパージガスからの水素回収、アンモニア、水素の比
調節、メタノール合成プラント等のパージガスからの水
素回収、オキソ合成ガス中の水素と一酸化炭素のモル比
調節、空気中からの酸素濃縮、空気中から窒素の濃縮、
地下に埋められた廃棄ゴミ中からメタンの濃縮等であ
る。
最近、これらの気体分離に高分子膜が用いられるよう
になつてきた。高性能な高分子膜の出現と共に、在来プ
ロセスに比べ省エネルギーで、コンパクト、取扱いが簡
単等の理由により、さらに高性能の膜が要求されてい
る。
高分子膜の気体分離への応用については、均質膜、多
孔膜、複合膜等種々の膜についての研究が行われるよう
になつた。
気体分離膜として従来から知られているものには、三
つのタイプがある。
第一のタイプは、特開昭50-99971に見られるような芳
香族、イミド、エステル、アミド等を主鎖に持つ高分子
よりなる均一なフイルム、特公昭39-30141に見られるよ
うなポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等の均
質膜中空糸フイラメントよりなるものである。
第二のタイプは、所望の分離係数を有する高分子を適
当な多孔性支持体膜上に極薄膜として形成させるもので
あり、実用上有益な程度に気体の透過速度を大きくする
ためには、極薄膜の厚さを1μm以下、望ましくは0.1
μm以下の膜厚にしなければならない。シリコーン膜を
利用した例は、特開昭51-89564号等に開示されている。
しかし、このような極薄膜をピンホールなく工業的に生
産するためには、空気中のゴミ等の影響を受けるため
に、コーテイグポリマー溶液と空気を極限まで清浄化す
る必要があり、フリーンベンチを用いた高度な清浄化シ
ステムの導入、振動防止等を採用したとしても、潜在的
欠陥を埋めることはできず、支持体上にすくい上げ、さ
らに、二〜三層積層する必要があり、製造工程も複雑で
収率も悪くコスト高となり、工業的実施に不向きであ
る。
第三のタイプは、特開昭52-55719号や特開昭53-86684
号に開示されているように、気体に対して高い気体選択
性を有する高分子多孔膜上に、シリコーンゴムや液体の
ような低い気体選択性を有し、浸透性のあるゴムを多孔
膜に浸透させ、多孔膜表面にあるピンホールをゴムで閉
塞させる方法である。この方法では、コーテイングをす
る材質が浸透して、多孔膜表面にあるピンホールを全て
閉塞させないと、膜の選択透過性が上がらず、また、こ
のためには多孔膜の孔径も小さくしなければならず、こ
のため、多孔膜の気体透過度も低いものを使用せざるを
えない。これらの結果、コーテイング材が中空糸奥深く
まで侵入し、余分なコーテイング材が中空糸多孔膜のう
めなくてもよい孔まで閉塞して抵抗が増すし、多孔膜も
小さい気体透過度のものを用いなければならない。
(発明が解決しようとする問題点) 上に述べたように、従来の技術では、いずれも欠点を
有する。
特に最後に述べた方法について、さらに述べるなら
ば、多孔膜中空糸を紡糸する高分子溶液には、様々のゴ
ミ、触媒等の不純物が含まれており、これらのゴミは、
普通紡糸前に10〜100μm程度の孔を有するフイルター
で過除去されるが、0.1μm以下のゴミを除去するこ
とは、原液の粘度が高いこと、また、過すべき原液量
が多量であることから、過中目づまりによつて過圧
力が上昇し、不過能である。したがつて、不純物を含ん
だ原液から紡糸される中空糸多孔膜が多くの欠陥を持つ
ことは避けられない。それ故、膜上にできた大きな孔
(欠陥)を閉塞するために、浸透性シリコーンゴム、液
体等を使用するが、完全に大きな孔を閉塞することは、
過剰なシリコーン含浸を余儀なくされ、透過係数が小さ
くなる問題を有している。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、ポリスルホンよりなる支持体膜上の少なく
とも片側表面に、ポリスルホンと親和性の大きなポリス
チレンで、かつ高分子量のものをコーテイングしてなる
気体選択透過膜に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるポリスルホン系重合体は、耐熱
性、耐溶剤性、気体透過性、選択透過性にすぐれた重合
体であり、次の繰り返し構造単位を有する脂肪族または
芳香族ポリスルホンである。
ただし、R1、R2は同一または異なつた約1〜40の炭素
原子を含む脂肪族または芳香族炭素原子よりなる化合物
を表わす。さらに好ましい重合体は、下記の式(2),
(3)および(4)で示される芳香族ポリスルホンであ
る。
ただし、X,X1,X2,X3,X4,X5,X6,X7,X8はメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル等のアルキル基、フツ素、塩素、
臭素、沃素のハロゲン等の非解離性置換基、または−CO
OH、−SO3H、−NH3、−NH4 +等の置換基を表わし、i,m,
n,o,p,q,r,s,tは1または4以下の整数である。
ポリスルホン重合体の平均分子量は5000〜100000であ
り、好ましくは10000〜100000である。分子量が小さい
と製膜された膜の機械的強度が上がらず、また、糸に欠
陥が生じ易い。
ポリスルホン重合体を溶解する溶媒としては、ポリス
ルホン重合体を溶解させるものであれば、どれでも使用
できるが、好ましくはヘキサメチルホスホルアミド(HM
PAの略称)、シメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド
等、およびこれらのジプロピル、ジブチル化物、N−メ
チルピロリドン、ジメチルスルホオキシド、アセチルピ
ペリジン、ホルミルピペリジン、ホルミルモルホリン、
アセチルモルホリン、テトラメチルウレア、ジメチルイ
ミダゾリジリン、シクロヘキシルピロリドン等の任意に
水と相溶性のある極性有機溶媒がよい。
紡糸用の重合体溶液には、重合体の非溶媒を少量含有
させることもできる。非溶媒とは、重合体を溶解する能
力のほとんどない溶媒を云う。この非溶媒の添加によつ
て、得られる中空糸膜の気体透過性能の向上が期待でき
る。可能な非溶媒の添加量は、個々の非溶媒により異な
るが、多くの場合重合体溶液に対して20重量%以下であ
り、好ましくは15重量%以下、さらには1〜10重量%の
範囲である。20重量%を超える量の添加では、重合体溶
液の安定性を損ない、白濁や失透を生じさせるおそれが
ある。用いることのできる非溶媒としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜600
0)、テトラエチレングリコール等のグリコール類、ホ
ルムアミド、アセトアミド、水、トリメチルアミン、イ
ソプロピルアミン、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ニトロメタン、2−ピロリドン、酢酸、蟻酸、グ
リセリン、グリセロール等の多価アルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトンが挙げられる。また、塩化リチ
ウム、臭化リチウム、塩化ナトリウム、硝酸リチウム、
硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、塩化亜鉛、過塩素
酸マグネシウム等の低分子無機塩の添加も有用である。
無機塩を添加することにより、溶媒のポリマーに対する
溶解度が増大すると共に重合体溶液の安定性が増大す
る。
重合体溶液の重合体濃度は、17〜50重量%、好ましく
は20〜35重量%である。17重量%未満の濃度では低すぎ
て、中空糸を紡糸し、凝固させる際に、気体を選択的に
分離する表面活性層を形成することができず、選択透過
係数の著しい低下を引き起こす。また、重合体濃度が35
重量%を超えると、濃すぎて形成される膜表面の活性層
が厚くなるので、透過性が著しく低下する。
重合体溶液の粘度は、30℃において1000センチポイズ
以上106センチポイズ(cps)以下であることが望まし
い。粘度が1000cps未満では低すぎて、高分子重合体が
溶液中で充分に広がつていない状態か、または低濃度重
合体溶液であるために、良い中空糸は得られ難い。一
方、重合体溶液の粘度が106cpsを超えた場合、このよう
な粘稠な溶液をノズルから押し出すのに要する圧力が高
くなりすぎるばかりでなく、このような原液を過して
ゴミを除く際にも、高圧力下で過しなければならず、
容易にきれいな原液を得ることが困難である。
紡糸用原液の温度は、高い方がよく、普通50〜200
℃、好ましくは80〜150℃である。原液温度が低いと、
原液の粘度が上がり、過し難いだけでなく、中空糸用
紡口から原液を押し出す際に吐出圧力が高くなり、中空
糸を紡糸し難くなる。また、得られる中空糸膜の気体の
分離係数も低下するので好ましくない。一方、200℃を
超えると、多くの溶媒が沸点以上の温度となり、蒸発し
易くなるので好ましくない。しかし、200℃以上であつ
ても、沸点が200℃以上の溶媒を用いる場合は、好まし
い原液温度として採用することもできる。
紡糸原液は紡糸前に過される。材としては、金属
粉末を焼結した焼結多孔体、ステンレス等のメツシユフ
イルター、高分子材料のテフロン、ポリエチレンなどに
よつて作られた高分子多孔膜、繊維を集合させた紙等
が挙げられる。材の孔の大きさは小さいほどよく、10
μm以下、好ましくは2μm以下の孔径のものがよい。
孔径が10μmを超えると、中空糸表面の気体分離を行う
スキン層中に大きなゴミ、不純物等が混入し易く、気体
の選択透過性を上げることはできない。
凝固液としては、水、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール等のグリコール類、エー
テル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン等の
脂肪族炭化水素類、グリセリン等のグリセロール類など
ポリマーを溶解しないものであれば何でも用いることが
できる。好ましいのは、水、アルコール類またはこれら
の液体との2種以上の混合液体である。また、これらの
液体中に溶媒を加えて凝固速度を遅くすることも可能で
ある。例えば、水にヘキサメチルホスホルアミドを50重
量%混入させてもよい。これらの凝固液は、中空糸の外
部凝固液として用いられ、内部凝固液としても用いられ
る。
中空糸の内部凝固液は、前述の凝固液と同じものも用
いることができるが、さらに窒素、空気、不活性気体の
ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、
フロン系気体を注入してもよい。
凝固液温度は低いほどよく、30℃以下がよい。好まし
くは20℃以下である。30℃を超えると、得られる中空糸
膜の気体の選択分離性が悪くなり好ましくない。また、
あまり低すぎると、凝固液として用いている液体が固化
するので、液体の凝固点以上がよい。
紡糸速度は1〜50m/minがよく、1m/min未満の速度で
は、中空糸が紡口を離れて凝固液に達するまで空気中を
通過する時間が長くなり過ぎ、中空糸の形状を保たせる
ために内部凝固液注入速度をバランスさせるのが難しく
なり好ましくない。また、50m/minを超える速度では、
糸を高速で引つ張るために糸の伸延が生じ易く好ましく
ない。
空中走行距離、すなわち、ノズルから凝固液までの距
離は0.1〜50cm、さらには1〜15cmがよく、あまり長す
ぎても、中空形状が崩れるので好ましくない。また、0c
mにするとノズルの原液吐出口付近にノズルと凝固液の
温度差により気泡が発生し、中空糸膜の透過性能にばら
つきが生じ易く好ましくない。
原液は、ノズルより吐出後空気中に出ると、原液中に
空気中の水分が混入して、中空糸表面スキン層の孔径が
大きくなるので、ノズルより凝固液までの間は、窒素ガ
ス、ヘリウムガスなどの水分を含まない一定温度の気体
を満たしたフードで囲つて、一定流量で流してやるのが
よい。気体を流動させないと、原液中の溶媒蒸気が蒸発
して濃度が上がつてくるために、一定品質の中空糸を得
ることが難しい。あまり流量を上げすぎても、気体によ
つて中空糸が振動を始めるので好ましくない。また、気
体は1μm以下のフイルターでゴミを完全に除去しなけ
ればならない。
一般に、前記のような湿式製膜法により紡糸される中
空糸の構造は、スキン層、ボイド層等である。すなわ
ち、中空糸の少なくとも片面に存在するスキン層と、こ
れを支持する支持層よりなる。スキン層は高分子物質の
密に詰まつた集合体からなり、走査顕微鏡写真により20
0Å以上の空孔の存在は認められないものである。スキ
ン層の厚みは10μm以下である。支持層は均一な細胞よ
りなる場合もあるが、ボイドが存在する場合もある。ボ
イドの存在は、透過性を向上させるので好ましい。
このような多孔膜構造中、気体分離に有効なのは表面
のスキン層である。このスキン層は、多孔構造を有し、
孔径分布を持つている。気体分離を行なう際、孔径分布
のすその大きな孔の部分は、気体を透過させると、その
時の気体の圧力、温度等の透過条件により、自由分子流
れになつたり、粘性流れになり、いずれにせよ、気体分
離特性を低下させる。特に、孔径分布中最大孔径の部分
は、ピンホール等と呼ばれている。
ポリスルホン多孔膜上に存在するピンホールは、ガス
透過において、分離特性に悪い影響を与えることは言う
までもない。
ここで、再度従来技術と本技術の差について説明し明
確にする。上記のピンホールをうめるために、種々の工
夫がなされてきたが、室温重合タイプのシリコーン(RT
Vシリコーン)や、種々のゴム等を用いたり、液体を担
持させたりしている例が知られている。
しかし、これらのゴム類や液体等の気体に対する選択
透過性は非常に小さく、例えば、水素と窒素の分離に関
して、選択透過係数 は約2である。したがつて、支持多孔体の分離特性を出
させるようにピンホールをうめるためには、厚くコーテ
イングをして、この部分からの気体のもれを閉塞しなけ
ればならない。事実、RTVシリコーン等を多孔膜表面に
コーテイングすると、これらのゴム類は浸透性が大きい
ために、厚いコーテイングがなされると共に、中空糸内
部に入り込み、気体の透過に有効な支持多孔体中の貫通
孔までもふさぎ、透過性を低下させる。シリコーンは浸
透性が大きく、中空糸表面の孔から多量のシリコーンが
入りすぎ、また、選択透過性が小さすぎる。しかし、も
し、コーテイングを大きな気体選択性を有するもので行
えば、この部分からもれ出てくる気体も、選択されて出
てくるので、この部分のコーテイングを薄くすることが
できるばかりか、多孔膜自身、大きな孔径分布、大きな
平均孔径を有する膜でも、コーテイングにより高い選択
性を得ることができる。このため、複合膜の透過性を高
めることができる。
多少コーテイングが不完全であつてもかまわないわけ
である。
本発明においては、ポリスルホンと親和性の高い高分
子量のポリスチレンを用いることにより、高透過性、高
選択透過性を達成することができた。すなわち、孔径分
布を有する多孔膜表面と高分子量ポリスチレン溶液をす
い込ませると、高分子量であるために、大孔径の孔にう
まくはまり込み、この部分にポリスチレン膜を形成する
ことになる。
しかし、高分子量であるために、孔中内には侵入せず
に、うまく孔中に皮膜を形成するので、多孔膜自身の気
体透過性の減少を最少限にすることができる。
ポリスチレン樹脂をポリスルホン多孔膜上にコーテイ
ングする際に、いくつかの困難がある。一番の困難は、
コーテイング用溶媒の選択である。これは、ポリスルホ
ン樹脂が有機溶媒に侵されやすいという弱点を持つこと
にある。ベンゼン、スチレンモノマージビニルベンゼ
ン、キシレンなど芳香族系液体、ジクロルメタン等塩素
系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミ
ド等極性溶媒など多くの溶媒に容易に溶ける。また、ポ
リスルホン樹脂は溶解はしなくても、アセトン等では容
易にストレスクラツクを生じて、ヒビ割れ等を生じる。
ポリスルホン多孔膜は、樹脂に比べてさらに鋭敏であ
る。アクリロニトリル、ジオキサン等で、樹脂では長期
間にわたり変化のない溶媒中においても、容易に膨潤し
やすく、不可逆に膨潤しやすいために、ガス分離に有効
な表面孔は、これらの溶媒で容易に破壊されてしまい。
再生不能である。
ポリスルホン上にコーテイング可能な溶媒は、非常に
限定される。本発明では、ポリスルホン多孔膜がシクロ
ヘキサン中で特異的に溶媒に浸されず、ガス分離を行う
多孔膜表面孔がコーテイング乾燥操作で再生されるこ
と、また、高分子量ポリスチレン系樹脂がθ点以上で、
シクロヘキサン溶媒に安定に溶解し、均一溶液を形成さ
せること、さらに該ポリスチレン/シクロヘキサン希薄
溶液を、ガス分離膜に塗布し、乾燥すると、表面に均一
なコーテイングができることを確認した。低分子量ポリ
スチレン特にスチレンモノマー、1〜5量体ポリスチレ
ンは、ポリスルホンを溶解するか、膨潤させ好ましくな
い。高分子量ポリスチレンのみがコーテイングして、ポ
リスルホン上に相溶性よく、ピンホール上に膜を形成す
る。
本発明のポリスチレン系樹脂(I)は、線状ポリマー
であつて、以下の〔A〕,〔B〕および〔C〕よりなる
繰り返し単位を有するものであり、分子量が重量平均分
子量で105以上であるものである。
ここで、 はスチレンおよびその誘導体であつて、置換基R1として
は、水素または炭素数1〜10の直鎖あるいは分岐のアル
キル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)およびハロ
ゲン基(F,Cl,Br,I)であり、1〜5ケ置換基を導入で
きるが、一般的にはオルソないしパラ位の1置換体が得
られやすい。R1′は水素またはメチル基等、1ないし6
ケの炭素原子を有するアルキル基またはハロゲン基であ
る。
該化合物のうち代表的なものは、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンであ
る。
ここで、 において、R2は水素または炭素数1ないし8の炭化水素
基、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基等およ
びハロゲン基であるが、合成のしやすさから水素である
ことが好ましい。
また、ベンゼン核におけるエチレン主鎖とビニル基の
位置関係は、メタ位もしくはパラ位が好ましく、より好
ましくはパラ位である。
相当する具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニ
ルトルエン、ジビニルエチルベンゼン、ジビニルクロロ
ベンゼン等である。
ここで、 のビニル化合物において、Xは水素、メチル基、シアノ
基またはハロゲン基、YはCOOR3(R3は炭素数1ないし2
0の炭化水素基)、シアノ基、ニトロ基、ピリジル基、O
COR4(R4は炭素数1ないし12の炭化水素基)、CONR5R6
(R5,R6は炭素数1ないし12の炭化水素基、およびフエ
ニル基、シクロヘキシル基)であり、代表的な例として
は、下記のとおりである。
酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、メチルルタクリレート、メチルア
クリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
アクリルアミド、メタアクリルアミド、アルキル置換ア
クリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルプロピルケ
トン、ビニルメチルエーテル、イソプロペニルメチルケ
トン、ビニルエチルエーテル、ビニルヘキシルエーテ
ル、ニトロエチレン、ビニルピリジンアクリル酸、メタ
アクリル酸、けい皮酸、クロトン酸、ソルビン酸、イタ
コン酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸のエステ
ルまたは無水物、αシアノアクリル酸エチル、1,1−ジ
シアノエチレン等。
線状ポリマーの重合方法は、〔A〕,〔C〕の組み合
わせでは、イオン重合、ラジカル重合、熱重合など問わ
ない。重合操作も塊状、溶液、ケン濁、乳化重合等、一
般的な重合方法のいずれも用いることができる。
〔B〕が入つた組み合わせ〔A〕,〔B〕および
〔C〕の線状ポリマーを重合する時は、例えば、特開昭
56-16509等に示されるような、テトラヒロフラン中、ジ
イソプロピルアミン−アルキルリチウムを開始剤とした
イオン重合により得ることができる。
線状ポリマー中の〔C〕のモル%は0〜30モル%であ
り、好ましくは0〜10モル%、さらに好ましくは0〜5
モル%であり、30モル%以上入れると、〔A〕スチレン
〔B〕ジビニルベンゼンよりなるポリマーの性質が大き
く変化し、溶媒に溶けなくなつたり、また、コーテイン
グフイルムの選択透過性が著しく低下したりするので好
ましくない。
線状ポリマーの分子量は、重量平均分子量で105以上
であり、105以下のものは、コーテイング後、コーテイ
ング物にクラツクが入りやすいばかりでなく、長期安定
性に問題があり、また、コーテイングした複合膜の選択
透過係数、透過係数を上げにくい。好ましい分子量は、
ポリスチレン換算で105より大きく107より小さいものな
ら何でもよい。
重量平均分子量は、液体クロマトグラフイーを用い、
例えばTSK-GEL GMH6をカラム、テトラヒドロフランを溶
媒にすることにより得られたピークより求めることがで
きる。
共重合体およびブレンド物の割合は、スチレン〔A〕
およびジビニルベンゼン〔B〕については、その化学構
造の類似性から任意の割合で共重合またはブレンドして
もよい。しかし、ビニル化合物〔C〕は、〔A〕,
〔B〕に比べ化学的性質が異なる場合が多く、特に、支
持体のポリスルホン系樹脂を溶解せずに、〔A〕,
〔B〕および〔C〕よりなる共重合体、ブレンド物を溶
解させる溶媒、シクロヘキサン等に、〔C〕の量を増大
させると溶解できなくなることがある。鎖側に極性基を
導入した場合生じやすい。また、側鎖に長い鎖、バルキ
ーな鎖を導入した場合には、コーテイング物質の選択透
過係数が小さいために、複合膜の選択透過性能が上がら
ないこともある。
以上のことから、共重合体、ブレンド物中の〔A〕お
よび〔B〕の割合は任意に変化できるが、〔C〕を多く
入れると、共重合体、ブレンド物の性質が異なる場合が
生じるので好ましくない。好ましくは〔C〕は0〜30モ
ル%、さらに好ましくは0〜10モル%、特に好ましくは
0〜5モル%である。
架橋物を判定するには、まず、支持体ポリスルホン系
樹脂を溶解させる溶媒で支持体を溶解させた後、不溶分
が存在するか確認する。不溶分がない場合、組成分析は
架橋していないものに準ずる。
不溶分が存在する場合、これをミクロフイルターで
過分離後、よく支持体のポリスルホン系樹脂を洗浄し、
乾燥後、熱分解ガスクロマトガスグラフイー−マススペ
クトルにより、分解物のスペクトル分析から組成を推定
する方法を用いて、定性分析することが可能である。
(武内次夫,柘植新著「高分子の熱分析ガスクロマトグ
ラフイー」P79,1977,化学同人)。
コーテイング物の架橋について。
〔A〕,〔B〕および〔C〕よりなる共重合体および
ブレンド物をコーテイングした後、これらのコーテイン
グ物の耐熱特性を向上させるために架橋をすることがで
きる。
架橋方法としては、一般的に、架橋剤を混入したり、
UV等の光、電子線、熱による方法等知られており、いず
れの方法も使用することができる。特に好ましい架橋方
法としては、〔B〕を含まない組合せ、〔A〕ないし
〔A〕〔C〕では、鎖の中に二重結合がないために、UV
による方法がよい。〔B〕を含む場合には、熱、UV、電
子線等いずれも使用できるが、光分解型ラジカル開始剤
を加えることもできる。ベンゾフエノン、ビス(ジメチ
ルアミノ)ベンゾフエノン、ビス(ジエチルアミノ)ベ
ンゾフエノン、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフエノ
ン、クロロベンゾフエノン、ジクロロベンゾフエノン等
の置換ベンゾフエノン、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキル
エーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチ
ルケタール等のベンジルジアルキルケタール、ベンジ
ル、α−ヒドロキシルアセトフエノン、2,2′−ジエト
キシアセトフエノン、α−ヒドロキシイソブチロフエノ
ン、p−t−ブチルトリクロロアセトフエノン等の置換
アセトフエノン、1−クロロアントラキノン、2−エチ
ルアントラキノン等の置換アントラキノン、2−クロル
チオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、2−
メチルチオキサントン等の置換チオキサントン、フエニ
ルグリオキシレート、ジベンゾスバロン、アンスロン等
がある。各開始剤に応じた増感剤を併用することもでき
る。
開始剤量としては、ジビニルベンゼン〔B〕に対して
0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。
以上のような架橋方法を用いることにより、コーテイ
ング層を架橋、熱特性を向上できるばかりでなく、耐溶
剤特性も改善できる。
コーテイングポリマーの組成分析については、定性と
定量に分けられるが、まず定分析から述べる。
架橋されていない〔A〕,〔B〕および〔C〕よりな
るコーテイング物は、ポリスルホン系樹脂を溶解しない
溶媒で、コーテイング物のみ溶解する溶媒を選択するこ
とができる。シクロヘキサン、ジオキサン等がある。
まず、これらの溶媒でコーテイング物を溶解し、分
離、乾燥後、赤外線吸収スペクトルにより特性吸収を判
断すると共に、プロトンおよびC13NMRスペクトルを測定
し、熱分解ガスクロマトグラフイー−マススペクトル
(PGC-MS)により熱分解後のモノマーの分析をすること
によつて、化学構造が推定される。(「高分子分析ハン
ドブツク」日本分析化学編,藤原鎮男,P265,1985,朝倉
書店) また、定量分析については、複合膜を溶解する溶媒、
クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、キシレン、ト
ルエン、アセトン等により複合膜を溶解し、一定濃度の
均一溶液とする。本溶液を熱分解ガスクロ(PGC)によ
り、一定量打ち込み分析する。すなわち、ポリスチレン
〔A〕を含む共重合体、ブレンド物に対しては、ポリス
チレン〔A〕が0.01〜100μgになるように適当に希釈
した溶液がキユーリーポイントパイロライザー上に滴下
し、薄膜を製膜し、PGCにより分析する。
第1図および第2図に0.01μgおよび1μgポリスチ
レン溶液のパイログラム、また、第3図および第4図に
ポリスチレン濃度を種々変化させた時のパイログラムに
よるポリスチレンピーク2.7min付近の面積と、ポリスチ
レン濃度とのキヤリブレーシヨンカーブ、さらに、複合
膜としてポリスルホン上にポリスチレンを1.0重量%に
てコーテイングしたもののPGCスペクトル、およびポリ
スチレンをコーテイングしていない時のブランクのスペ
クトルを、それぞれ第5図および第6図に示した。
〔A〕,〔B〕および〔C〕よりなるポリスチレン系
樹脂コーテイング濃度は10〜10-4重量%、好ましくは5
〜10-3重量%である。これ以上の濃度でコーテイングし
た場合、コーテイング層が厚くなり、複合膜の透過性を
低下させる結果となり好ましくない。また、10-4重量%
以下では、コーテイング濃度が希薄すぎて、ポリスルホ
ン系多孔膜上に存在する欠陥が完全にうめられず、結果
として得られた複合膜の選択透過係数が小さく好ましく
ない。
また、上の濃度でコーテイングされたコーテイング層
の厚みは5μm以下であり、10-1重量%以下のコーテイ
ングでは、電子顕微鏡を用いても厚みを測定することは
不可能であるが、先に述べた熱分解ガスクロマトグラフ
法により分析が可能であり、表面に付着したスチレン量
を測定できる。本方法による定量限界は、10-3重量%コ
ーテイング濃度まで可能である。
コーテイング温度は、ポリスチレン系樹脂と溶媒の選
択、コーテイング溶液の濃度によつても多少異なるが、
θ点±35℃であることが好ましい。これ以下の温度(θ
点−25℃以下)では、ポリスチレン系樹脂は相分離して
しまい、コーテイングを均一にすることができないばか
りでなく、選択透過係数を増大させることはできない。
また、これ以上の温度、θ点+35℃以上では、溶媒の蒸
発等があり好ましくない。例えば、ポリスチレン系樹脂
として、ポリスチレン溶媒としてシクロヘキサンを選ん
だ場合、θ点は約35℃であり、0〜70℃が好ましい範囲
である。
コーテイング時間は、コーテイング溶液が膜上に存在
する欠陥を充分にうめられる時間であればよいが、だい
たい30秒〜24時間である。この際、膜の内外に圧力をか
けても、また、かけなくてもよい。好ましくは、膜の両
側に圧力差100〜760mmHgをかけるのがよい。
気体透過係数の測定は、高分子論文集Vol.34,No10,P7
29-P736(1977)に示されている方法によるものとす
る。温度は25℃にて測定した。
本発明によつて製膜される複合膜と、コーテイング
材、中空糸支持体素材のポリスルホン系樹脂のそれぞれ
の気体選択透過係数をαcomp、αcoat、αsupとする
と、三者の関係は、αcoat≧αsupであり、かつαcoat
>αcompである。コーテイング材、中空糸素材のα値が
大きいため、得られる複合膜のαも大きなものとなるば
かりか、透過性も大きい。
ポリスチレン樹脂コーテイングは、膜の片面または両
面にほどこすことも可能である。
(発明の効果) 本発明によれば極めて優れたポリスルホン複合膜が得
られ、実施例からも明らかなように、優れた透過性と選
択透過性を有している。
(実施例) 実施例1 ポリスルホン中空糸紡糸法 ポリスルホン樹脂としてユニオンカーバイト社(UCC
社と略称)のP-3500を用い、溶媒としてN−メチルピロ
リドンを用いて、均一なポリスルホン溶液25重量%を調
製した。本溶液を紡糸用原液として、以下の紡糸条件下
で中空糸紡糸を行つた。
原液温度80℃、中空用ノズル径は内側から0.3-0.4-0.
6mm、内部凝固液は精製水、内部凝固液温度10℃、外部
凝固液温度10℃、紡糸速度10m/min、空中走行距離1cm、
空中走行距離部は空気中湿度の影響をさけるために窒素
シール、原液フイルター2μm。
得られた中空糸はよく水洗した後、常温で強制水洗
後、脱溶媒を完全に行つた。その後、クリーンルーム中
で空気乾燥を行い、乾燥させた。本中空糸をHF-1とす
る。
実施例2 ポリスルホン樹脂としてUCC社製ポリスルホンP-350
0、溶媒としてN−メチルピロリドン、添加剤としてテ
トラエチレングリコールを、それぞれ25/9/66重量%の
割合で混ぜ、攪拌後、均一な溶液とした。HF-1と同一条
件下で中空糸紡糸を行つた後、クリーンベンチで乾燥
し、乾燥中空糸を得た。本中空糸をHF-2とする。
また、原液組成を上記組合せで、15/10/75重量%より
同一紡糸条件で中空糸紡糸を行ない、乾燥し、本中空糸
をHF-3とした。HF-1,2および3のデキストランMw70000
に対するカツト率は、それぞれ95,98,10%であつた。
実施例3〜5、比較例1および2 コーテイング溶液として、表1に示すような各種分子
量の異なる単分散ポリスチレン試料(ゲルパーミエーシ
ヨンクロマトグラフイー分別物)を用い、いずれもシク
ロヘキサン溶媒により、50℃で溶解し、1重量%溶液と
した。
本溶液を50℃に保温しながら、50℃の雰囲気下で、中
空糸表面にコーテイング操作を行つた。すなわち、中空
糸の片側を接着剤で目止めし、片側から真空に引き、膜
の内外表面に600mmHgの差圧をつけ、コーテイング液に
中空糸を全部漬けて2分間コーテイングを行つた後、50
℃雰囲気下で溶媒を蒸発させ、コーテイングを完了させ
た。この際、特にコーテイング溶媒が熱をうばうので、
膜表面の温度が下がらないようにした。中空糸としては
HF-1を使用した。
実施例6〜19、比較例3 コーテイング物として、実施例3に使用したものと同
様な単分散ポリスチレンMw25×104、溶媒としてシクロ
ヘキサンを用いて、10〜10-5重量%の濃度の種々異なる
コーテイング溶液を準備した後、実施例3〜5と同様な
方法にて、中空糸HF-1上に、種々異なる濃度のポリスチ
レンをコーテイングした。結果を表2に示す。
比較例4 ポリスルホン中空糸HF-3を用いて実施例6と同様な操
作を行つたところ、得られた中空糸および元の中空糸性
能は下記のとおりであつた。
実施例20〜26 コーテイング物として単分散ポリスチレンMw25×1
04、溶媒としてシクロヘキサンを用いて、0.0078重量%
溶液を準備した後、それぞれ10〜70℃として、実施例3
〜5と同様な方法にてコーテイングした後、20℃放置、
溶媒を乾燥させた。
結果を表3に示す。
実施例27 ポリスルホン樹脂としてICI社ポリエーテルスルホ
ン、溶媒としてヘキサメチルホスホルアミドを用いて、
20重量%の均一溶液とした。本溶液を紡糸用原液とし
て、実施例1と同一の紡糸条件下で中空糸紡糸を行い、
乾燥中空糸を得た。
本中空糸上に、実施例4で使用したと同様なポリスチ
レンを、実施例4と同一の方法でコートした。得られた
中空糸の性能は下記のとおりである。
実施例28 実施例6で得られた複合膜に種々の気体を通した時の
透過性、および各種ガスと水素ガスとの選択透過性を表
4に示す。
以上の結果は、本複合膜が各種ガス混合物を分離する
ことを示す。
実施例29 UV照射 先の実施例3において得られた複合膜中空糸(単分散
ポリスチレンコーテイングHF-1使用)の外表面コーテイ
ング層に、中空糸を6回転/分にてゆつくり回転させな
がら、中空糸より30cmの距離からUV光(東芝ネオライン
ラピツドマスター24.5W)を1/2時間、中空糸表面に均一
に照射した。
その後、水素および窒素の透過性を測定した。結果を
表5に示す。
実施30〜32 共重合体 スチレン−アクリロニトリル、スチレン−アクリル酸
メチル、スチレン−メタアクリル酸エチルヘキシル共重
合体、それぞれモノマー単位の割合は1モル%であつ
た。また、分子量はいずれもMw=25×104である。
本ポリマーをシクロヘキサンに溶解し、0.05重量%50
℃として、実施例3〜6と同様な方法でコーテイングを
行つた。使用中空糸はHF-1である。
得られた中空糸の水素、窒素の気体透過性を測定し結
果を表5に示した。
実施例33 中空糸紡糸 ポリスルホン樹脂として、ユニオンカーバイド社(以
下UCC社と略称)商品名ユーデルポリサルホンP-3500を
用い、溶媒としてN−メチルピロリドンを用いた。ポリ
スルホン樹脂25部、N−メチルピロリドン75部を80℃で
溶解し、均一な溶液とした。
本溶液を紡糸用原液として、以下の紡糸条件下で中空
糸紡糸を行つた。
原液温度80℃、内部および外部凝固液を精製水とし
て、温度10℃に保つた。紡糸速度10m/min、空中走行距
離1cm、空中空行距離部は窒素シールし30℃に保つた。
また、原液フイルターには2μmのものを用い、中空糸
紡糸用環状ノズルより紡糸を行つた。
中空糸は外径600μmであつた。本中空糸のデキスト
ランMw70000に対するカツト率測定値は95%であつた。
得られた中空糸は、よく洗浄した後、30℃で強制的に
精製水で水洗し、脱溶媒した後に水を切り、クリーンル
ーム(クラス100)にて乾燥させた。本中空糸をHF-4と
する。
コーテイング剤一線状ポリ−1,4−ジビニルベンゼン 攪拌機、滴下ロートを備えた2lの丸底フラスコに、モ
レキユラーシーブで乾燥したテトラヒドロフラン1lと、
ジイソプロピルアミン100gを加え、4℃まで冷却した
後、よく攪拌しながら、100mlのn−ブチルリチウム15
%n−ヘキサン溶液を加えた。溶液温度を20℃に保ちな
がら、130gの精製p−ジビニルベンゼンを加えた。1時
間攪拌を続けた後、20mlのメタノールを加えた。生じた
少量の白色沈殿を過により除去した後、メタノール20
lを加えて、白色沈殿の線状ポリ−1,4−ジビニルベンゼ
ンを単離した。メタノールで十分に洗浄した後、減圧下
乾燥を行つた。収率は90%であつた。ゲルパーミエーシ
ヨンクロマトグラフイー(GPC)によつて求めた分子量M
w=260000であつた。
複合膜中空糸 コーテイング溶液として、先の線状ポリ−1,4−ジビ
ニルベンゼンを乾燥したものを用いて、溶媒としてシク
ロヘキサンを用い、0.125重量%溶液を50℃にて調製し
た。本溶液を50℃に保温しながら、中空糸HF-4の内側を
減圧にして、内外に700mmHgの圧力差をつけて、外側よ
りコーテイング液中に浸漬し、3分間コーテイングを行
つた。3分後に中空糸を溶液からとり出し乾燥した。
本中空糸の水素、窒素に対する測定を25℃にて行つた
ところ、水素気体透過性 は4.0×10-4〔cm3(STP)/cmseccmHg〕、また、選択透
過性 は35であつた。
実施例34 実施例33と同様にしてコーテイングを施した複合膜を
製膜した後、本複合膜中空糸に低圧水銀灯(120V,270
W)を用いて中空糸を回転させながら、中空糸のまわり
に均一に紫外線があたるようにして3時間、水銀灯から
中空糸までの距離は30cmであつた。
本複合膜中空糸の水素および窒素の透過性を25℃にて
測定したところ、 を得た。
上と同一の条件下で測定した線状ポリジビニルベンゼ
ンフイルムの であつた。
実施例35,36 実施例1と同様にしてコーテイングを施した複合膜中
空糸を、熱風乾燥機中120℃にて24時間放置後、本複合
膜中空糸の水素および窒素の透過性を25℃にて測定した
ところ、 であつた。
上と同一条件下で測定した線状ポリジビニルベンゼン
であつた。また、実施例33と同様なコーテイングを施し
た複合膜中空糸を、0.1重量%ラウリルパーオキサイド
シクロヘキサン溶液に3秒間浸漬後、風乾した。さら
に、本中空糸を熱風乾燥機中120℃で24時間放置した。
本中空糸の水素および窒素の透過性を25℃にて測定した
ところ、 なるデーターを得た。
上と同一条件下で測定した線状ポリジビニルベンゼン
であつた。
実施例37 ポリメタジビニルベンゼンコーテイング コーテイングに用いるポリメタジビニルベンゼンは、
以下の方法にて作つた。
2l容積の三口フラスコに1000mlの乾燥したテトラヒド
ロフランと100gのジイソプロピルアミンを加え、次に、
n−ブチルアミンの15重量%n−ヘキサン溶液100mlを
加えた。この内容物を磁気攪拌しながら130gのメタジビ
ニルベンゼンを滴下した後、室温にて4時間攪拌を続け
た後、5lのメタノール中にあけ、得られたポリマーを
別し乾燥した。GPCにより分子量は220000であることが
わかつた。
本ポリメタジビニルベンゼンの0.125重量%シクロヘ
キサン溶液を50℃にて調製、HF-1中空糸の内外に700mmH
gの差圧をつけて、3分間外側にポリメタジビニルベン
ゼンをコーテイング後、とり出し乾燥した。本中空糸の
水素、窒素の透過性を25℃で測定したところ、 を得た。
また、本中空糸をさらに熱風乾燥機中120℃にて24時
間放置したところ、 を得た。
上と同一条件下で測定したポリメタジビニルベンゼン
であつた。
実施例38 コーテイングポリマーとして、市販ジビニルベンゼン
(メタジビニルベンゼン40.4%、パラジビニルベンゼン
17.4%、エチルビニルベンゼン38.4%、ジエチルベンゼ
ン3.5%含有)をモノマーとして用い、ブチルリチウム
を開始剤とすることにより、実施例1と同様な方法でポ
リジビニルベンゼンのメタ,パラ共重合体、分子量 Mw
160000を得た。
本メタパラ共重合体を乾燥した後、シクロヘキサンに
とかして0.125重量%溶液(50℃)とした。本溶液をコ
ーテイング溶液として、中空糸HF-1に先の実施例33と同
様な方法にてコーテイングを行つた後、120℃24時間放
置した。コーテイング後、水素、窒素の透過性を25℃に
て測定したところ、 を得た。
また、上と同一条件下で作つたフイルムの であつた。
実施例39 メタ,パラ体ブレンド 先の実施例33で作つた線状ポリパラジビニルベンゼ
ン、実施例37で作つたポリメタジビニルベンゼンを1対
1の重量比で混合して、シクロヘキサンに溶かし、0.1
重量%50℃の均一溶液を得た。本溶液をコーテイング溶
液として、中空糸HF-4上に実施例1と同様な方法にてコ
ーテイングを行つた後、120℃24時間放置した。その
後、水素と窒素の透過性を25℃にて測定したところ、 を得た。
上と同一条件下にて作つたフイルムの であつた。
実施例40 タツピング重合物 攪拌機、滴下ロートを備えた2l丸底フラスコに、乾燥
したテトラヒドロフラン1と、ジイソプロピルアミン
100gを加え、4℃まで冷却後、よく攪拌しながら100ml
のn−ブチルリチウム15重量%n−ヘキサン溶液を加え
た。溶液温度を20℃に保ちながら、130gの精製p−ジビ
ニルベンゼンを加え、1時間攪拌した後、100gのスチレ
ンを加えて24時間常温で攪拌した。本溶液に20lのメタ
ノールを加え白色沈殿を得、線状ポリ−p−1,4−ジビ
ニルベンゼン、ポリスチレンのタツピング重合物を得
た。収率は90%であつた。GPCによつて得られた分子量
は200000であつた。
本ポリマーをシクロヘキサン中にとかして、0.1重量
%50℃溶液を得、実施例1と同様な方法にて、HF-1中空
糸上にコーテイングを行つて複合膜中空糸を得た後、12
0℃24時間放置した。本中空糸の気体透過性を25℃にて
測定したところ、 を得た。
上と同一条件下で作つたフイルムの であつた。
実施例41 攪拌機、滴下ロートを備えた2l丸底フラスコに、乾燥
したテトラヒドロフラン1とジイソプロピルアミン10
0gを加え、4℃まで冷却後、よく攪拌しながら100mlの
n−ブチルリチウム15重量%n−ヘキサン溶液を加え
た。溶液温度を20℃に保ちながら、130gの精製p−ジビ
ニルベンゼンと100gのスチレンを加えて、24時間室温に
て重合した。その後、20lのメタノールを加えて、白色
沈殿を得た。収率は93%、GPCによつて得られた分子量
は210000であつた。
本ポリマーをシクロヘキサンにとかして0.05重量%50
℃溶液とし、実施例1と同様な方法にてHF-4中空糸上に
コーテイングを行つて、複合膜中空糸を得た後、120℃2
4時間放置した。本中空糸の気体透過性を測定したとこ
ろ、 を得た。
上と同一条件下で作つたフイルムの であつた。
実施例42 実施例33で得られた線状ポリ−1,4−ジビニルベンゼ
ンおよびポリスチレン(スタイロン685旭ダウ製重量平
均分子量260000)を重量比1:1でまぜ、シクロヘキサン
溶液に溶かして0.05重量%50℃溶液とした後、実施例33
と同様な方法にて、中空糸HF-4外側にコーテイングし
た。気体透過性を測定したところ、 であつた。コーテイングポリマーと同一条件下で測定し
たフイルムの であつた。また、本中空糸を熱風乾燥機中90℃48時間放
置したところ、 となつた。
コーテイングポリマーと同一条件下で測定したポリマ
ーの であつた。
実施例43〜45 共重合体 攪拌機、滴下ロートを備えた2l丸底フラスコに、乾燥
したテトラヒドロフラン2lとジイソプロピルアミン100g
を加え、4℃まで冷却後、よく攪拌しながら100mlのn
−ブチルリチウム15重量%n−ヘキサン溶液を加えた。
溶液温度を20℃に保ちながら、130gの精製p−1,4−ジ
ビニルベンゼンと1gの共重合体用モノマー(アクリロニ
トリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチルヘキシ
ル)を加えた後、24時間室温にて重合した。その後、20
lのメタノールを加え白色沈殿を得た。
得られたポリマーの元素分析C,H,O,N元素および赤外
吸収スペクトルにより、それぞれほぼ定量的に共重合体
に組み込まれたことが明らかとなつた。GPCによつて得
られた分子量Mwは、それぞれ220000,200000,180000であ
つた。
本ポリマーを、シクロヘキサンに溶解し、0.05重量%
50℃溶液として、実施例33と同様な方法でHF-4中空糸上
にコーテイングを行つて、複合膜中空糸を得た。本中空
糸の気体透過測定を行つたところ、水素の透過係数は、
それぞれ 水素と窒素の選択透過係数は、それぞれ であつた。
また、コーテイングポリマーをフイルムにして測定し
た水素、窒素の選択透過係数は、それぞれ であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は0.01μgポリスチレン溶液のパイログラム、第
2図は1μgポリスチレン溶液のパイログラム、第3図
および第4図はポリスチレン濃度を変化させた時のパイ
ログラムによるポリスチレンピーク2.7min付近の面積
と、ポリスチレン濃度とのキヤリブレーシヨンカーブ、
第5図はポリスチレンをコーテイングしたもののPGCス
ペクトル、第6図はポリスチレンをコーテイングしてい
ない時のスペクトルである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリスルホン系樹脂よりなる多孔膜上に、
    分子量が105以上である高分子量ポリスチレン系樹脂を
    コーティングする際、コーティング溶液の濃度が10〜10
    -4重量%であり、コーティング溶媒がシクロヘキサンで
    あることを特徴とする複合膜製膜方法。
  2. 【請求項2】ポリスルホン系樹脂多孔膜の孔径が、デキ
    ストラン分子量70000を90%以上カットする孔径である
    特許請求の範囲第1項記載の複合膜製膜方法。
  3. 【請求項3】ポリスルホン系樹脂多孔膜が中空糸である
    特許請求の範囲第1項または第2項記載の複合膜製膜方
    法。
  4. 【請求項4】ポリスチレン系樹脂が下記(I),(I
    I),(III)のいずれかである特許請求の範囲第1項な
    いし第3項のいずれかに記載の複合膜製膜方法。 (I)線状ポリマーであって、以下の〔A〕,〔B〕お
    よび〔C〕よりなる繰り返し単位を有し、分子量が少な
    くとも105以上であるもの。 〔A〕=0〜100モル% 〔B〕=100〜0モル% 〔C〕=0〜30 モル% 〔式中、R1は水素、炭素数1ないし10の直鎖あるいは分
    岐のアルキル基、またはハロゲン基、R1′は水素、炭素
    数1ないし6のアルキル基、またはハロゲン基、R2は水
    素、炭素数1ないし8の炭化水素基、またはハロゲン
    基、Xは水素、メチル基、シアノ基またはハロゲン基、
    YはCOOR3(R3は炭素数1ないし20の炭化水素基)、シ
    アノ基、ニトロ基、ピリジル基、OCOR4(R4は炭素数1
    ないし12の炭化水素基)、またはCONR5,R6(R5,R6は炭
    素数1ないし12の炭化水素基、フェニル基またはシクロ
    ヘキシル基)を表す。〕 (II)ブレンドポリマーであって、以下の〔A〕,
    〔B〕および〔C〕よりなる繰り返し単位を有し、分子
    量が少なくとも105以上である線状ポリマー。 〔A〕=0〜100モル% 〔B〕=100〜0モル% 〔C〕=0〜30 モル% 〔式中、R1,R1′,R2,X,Yは前記と同じ〕 (III)架橋物であって (i)〔A〕,〔B〕および〔C〕よりなる繰り返し単
    位を有し、分子量が少なくとも103以上の共重合体であ
    る線状ポリマーより架橋したもの。 〔A〕=0〜100モル% 〔B〕=100〜0モル% 〔C〕=0〜30 モル% 〔式中、R1,R1′,R2,X,Yは前記と同じ〕 または(ii)〔A〕,〔B〕および〔C〕よりなる繰り
    返し単位を有し、分子量が少なくとも103以上の線状ポ
    リマーからなるブレンドポリマーより架橋したもの。 〔A〕=0〜100モル% 〔B〕=100〜0モル% 〔C〕=0〜30 モル% 〔式中、R1,R1′,R2,X,Yは前記と同じ〕
JP61027383A 1986-02-10 1986-02-10 ポリスルホン系複合膜の製膜方法 Expired - Fee Related JPH0822373B2 (ja)

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