JPH08218985A - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents

内燃機関の吸気装置

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Publication number
JPH08218985A
JPH08218985A JP7022165A JP2216595A JPH08218985A JP H08218985 A JPH08218985 A JP H08218985A JP 7022165 A JP7022165 A JP 7022165A JP 2216595 A JP2216595 A JP 2216595A JP H08218985 A JPH08218985 A JP H08218985A
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JP
Japan
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fuel
fuel injection
injection valve
intake
intake passage
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Application number
JP7022165A
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English (en)
Inventor
Hiroko Hishinuma
浩子 菱沼
Yasuo Takagi
靖雄 高木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 噴射燃料を微粒化しつつ燃料壁流の発生を抑
制し、排気エミッションや燃費を改善する。 【構成】 吸気通路6の途中には、それぞれ直径寸法の
異なる2個の噴孔が穿設された第1の燃料噴射弁11と
第2の燃料噴射弁12とが、互いに対向して設けられ、
共通の軸線O−Oは吸気通路6の軸線S−Sと直交して
いる。また、各燃料噴射弁11,12の各噴孔から噴射
された燃料が吸気通路6の壁面から離間した交差点CP
で衝突するように、噴射軸線が設定されており、この各
交差点CPでの衝突によって第1の燃料噴霧F1,第2
の燃料噴霧F2が形成される。そして、これら各燃料噴
霧F1,F2は、軸心S−S付近で衝突して合成燃料噴霧
T1を形成し、この合成燃料噴霧FT1は吸入空気の主流
Mによって運ばれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃焼室内に混合気を供
給する内燃機関の吸気装置に関し、特に、吸気通路の途
中に一対の燃料噴射弁を対向して配置した内燃機関の吸
気装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術による内燃機関の吸気装置で
は、例えば吸気ポートの外周側に燃料噴射弁を設け、こ
の燃料噴射弁から吸入空気の流れと大略平行になるよう
にして、燃料を噴射している。そして、この噴射された
燃料は、吸入空気に乗って気化しつつ燃焼室内に流入
し、混合気を形成する。
【0003】また、他の従来技術としては、例えば実開
昭61−179370号公報等に開示されている如く、
一対の燃料噴射弁を、略線対称となるように吸気ポート
に対向配置し、各燃料噴射弁から同時に燃料を噴射する
ことにより、これら各噴射燃料を吸気ポートの略軸心で
衝突させるようにしたものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による内燃機関の吸気装置では、吸気ポートの外
周側から吸入空気の流れに向けて燃料を噴射する構造の
ため、噴射直後に、燃料の一部が吸入空気に押し流され
て、吸気ポートの壁面等に付着し、燃料壁流を形成し易
い。つまり、従来技術では、吸気ポートの外側に燃料噴
射弁を設け、吸入空気の流れの外側から、吸気ポートの
軸中心を流れる吸入空気の主流に向けて浅い角度で燃料
を噴射するため、噴射燃料が吸入空気の主流に乗る前
に、その一部が、吸入空気の外側の流れにより押し流さ
れて、燃料噴射弁の下流側に位置する壁面に付着してし
まい、これにより燃料壁流が生じて、未燃焼のHCが増
大し、燃費が低下する可能性がある(仮に、燃料噴射弁
の噴射方向を吸入空気流に対して深い角度で設定する
と、噴射燃料が反対側の壁面に衝突して付着する確率が
高まるので、状況が一層悪化するおそれがある)。ここ
で、速やかな気化のためには、噴射燃料が微粒化されて
いる方が好ましいが、噴射燃料の微粒化を進めると、燃
料液滴の質量が少なくなって貫徹力も低下するため、吸
入空気の外側の流れによって吸気ポートの壁面に押し流
される可能性が増大する。即ち、かかる最も一般的な従
来技術では、燃料を微粒化するほど燃料壁流が生じ易い
傾向にあり、微粒化と燃料壁流の問題を同時に解決する
のが比較的難しい。
【0005】一方、前記公報に記載された他の従来技術
によるものでは、一対の燃料噴射弁を略線対称に対向配
置し、各燃料噴射弁から噴射された燃料を吸気ポートの
略軸心で衝突させているため、上述した燃料壁流の生成
を抑制し得る。しかし、かかる他の従来技術では、単
に、2つの噴射燃料を衝突させるに過ぎないため、噴射
燃料の微粒化が必ずしも十分ではなく、まだ、改善の余
地がある。
【0006】そこで、本発明は、かかる従来技術の問題
に鑑みてなされたもので、その目的は、噴射燃料を微粒
化しつつ、燃料壁流の生成を未然に防止することができ
るようにした内燃機関の吸気装置の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、粒径
の異なる燃料液滴同士が衝突する際に生じる共振現象を
利用して噴射燃料の微粒化を図りつつ、この微粒化され
た燃料噴霧を吸気通路内で衝突させることにより、燃料
壁流の生成を防止するようにした。即ち、本発明に係る
内燃機関の吸気装置が採用する構成は、吸気ポートを介
して燃焼室に連通する吸気通路と、この吸気通路に設け
られ、複数の噴孔からそれぞれ噴射された燃料が該吸気
通路内で衝突して第1の燃料噴霧を形成する第1の燃料
噴射弁と、この第1の燃料噴射弁に対向して前記吸気通
路に設けられ、複数の噴孔からそれぞれ噴射された燃料
が該吸気通路内で衝突して第2の燃料噴霧を形成する第
2の燃料噴射弁とを備え、前記第1の燃料噴霧と第2の
燃料噴霧とが前記吸気通路内で衝突するように、前記第
1の燃料噴射弁の噴射軸線と前記第2の燃料噴射弁の噴
射軸線とを設定したことを特徴としている。
【0008】また、前記各燃料噴射弁は、互いに噴孔径
の異なる一対の噴孔をそれぞれ備えているのが好まし
い。
【0009】さらに、前記各燃料噴射弁は、互いの噴孔
径の比が略2:3となる一対の噴孔をそれぞれ備えてい
るのがより好ましい。
【0010】一方、請求項4に係るものでは、吸気ポー
トを介して燃焼室に連通する吸気通路と、この吸気通路
に設けられた第1の燃料噴射弁と、この第1の燃料噴射
弁に対向して前記吸気通路に設けられた第2の燃料噴射
弁とを備え、前記第1の燃料噴射弁の噴孔径と第2の燃
料噴射弁の噴孔径とを違えると共に、前記第1の燃料噴
射弁から噴射された燃料と第2の燃料噴射弁から噴射さ
れた燃料とが前記吸気通路内で互いに衝突するように、
該各燃料噴射弁の噴射軸線を設定したことを特徴として
いる。
【0011】請求項5に係るものでは、二股に分岐した
吸気ポートを介して燃焼室に連通する吸気通路と、この
吸気通路に設けられた第1の燃料噴射弁と、この第1の
燃料噴射弁に対向して前記吸気通路に設けられた第2の
燃料噴射弁と、これら各燃料噴射弁よりも上流側に位置
して前記吸気通路の途中に設けられ、前記各吸気ポート
のうち一方の吸気ポートに対応する切欠部が形成された
吸気制御弁とを備え、前記第1の燃料噴射弁の噴孔径と
第2の燃料噴射弁の噴孔径とを違えると共に、前記第1
の燃料噴射弁から噴射された燃料と第2の燃料噴射弁か
ら噴射された燃料とが、前記吸気制御弁の切欠部に対応
した前記吸気通路の下流側で互いに衝突するように、該
各燃料噴射弁の噴射軸線を設定したことを特徴としてい
る。
【0012】また、前記第1の燃料噴射弁の噴孔径と第
2の燃料噴射弁の噴孔径との比を略2:3に設定するの
が好ましい。
【0013】
【作用】第1の燃料噴射弁が各噴孔から燃料を噴射する
と、これら各噴射燃料は、吸気通路内で衝突して第1の
燃料噴霧を形成する。これと略同時に、第2の燃料噴射
弁が各噴孔から燃料を噴射すると、同様にして、これら
各噴射燃料は、吸気通路内で衝突して第2の燃料噴霧を
形成する。ここで、第1の燃料噴射弁と第2の燃料噴射
弁とは、互いに対向して吸気通路に設けられているた
め、第1の燃料噴霧,第2の燃料噴霧は、吸気通路内の
略中心で互いに衝突する。従って、まず、各燃料噴射弁
の各噴孔から噴射されたときに第1段階の燃料微粒化が
行われ、この第1段階の微粒化によってそれぞれ得られ
た燃料噴霧が吸気通路の略中心で衝突することにより、
第2段階の微粒化が行われる。そして、このように2段
階で微粒化された燃料噴霧は、吸入空気の主流によって
燃焼室内に運ばれつつ気化し、混合気を形成する。
【0014】また、各燃料噴射弁は、互いに噴孔径の異
なる一対の噴孔をそれぞれ備えて構成すれば、粒径の異
なる燃料液滴を容易に得ることができ、この粒径の異な
る燃料液滴同士が衝突する際に生じる共振現象を利用し
て、第1段階の微粒化を一層促進することができる。
【0015】さらに、各燃料噴射弁は、互いの噴孔径の
比が略2:3となる一対の噴孔をそれぞれ備えて構成す
れば、異なる粒径の燃料液滴同士が衝突する際に、より
強い共振現象を得ることができ、この強い共振現象を利
用して第1段階の微粒化を促進することができる。
【0016】一方、請求項4に係る構成によれば、第1
の燃料噴射弁から噴射された燃料と第2の燃料噴射弁か
ら噴射された燃料とは、吸気通路の略中心で互いに衝突
し、この際に生じる共振現象によって微粒化する。そし
て、この微粒化された燃料噴霧は、吸入空気の主流に乗
って燃焼室内に運ばれつつ気化する。
【0017】請求項5に係る構成によれば、第1の燃料
噴射弁から噴射された燃料と第2の燃料噴射弁から噴射
された燃料とは、吸気制御弁の切欠部に対応した吸気通
路の下流側で互いに衝突し、この際に生じる共振現象に
よって微粒化する。そして、この微粒化された燃料は、
吸気制御弁の切欠部を通過する吸入空気に乗って燃焼室
内に運ばれ、スワールとして旋回しつつ気化する。
【0018】また、第1の燃料噴射弁の噴孔径と第2の
燃料噴射弁の噴孔径との比を略2:3に設定すれば、粒
径の異なる燃料液滴同士が衝突する際に生じる強い共振
現象を得ることができ、この強い共振現象を利用して燃
料の微粒化を促進することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図13に基づ
いて説明する。
【0020】まず、図1〜図6は本発明の第1の実施例
に係り、図1は本実施例に係る内燃機関の吸気装置の全
体構成を説明する構成説明図であって、シリンダブロッ
ク1には、例えば4個ないし6個等の複数のシリンダ2
(1個のみ図示)が所定寸法離間して形成され、これら
各シリンダ2の上側開口部は、シリンダブロック1の上
側に設けられたシリンダヘッド3によって気液密に施蓋
されている。また、シリンダ2内にはピストン4が軸方
向に移動可能に設けられ、このピストン4の冠面とシリ
ンダヘッド3との間には、例えば4弁ペントルーフ型の
燃焼室5が画成されている。
【0021】シリンダヘッド3には、互いに対向する吸
気通路6,排気通路7が各シリンダ2毎に設けられてい
る。ここで、吸気通路6は、その上流側が吸気集合通路
を介してエアフィルタ(いずれも図示せず)等に接続さ
れ、その下流側は図2にも示す如く、シリンダヘッド3
内で二股に分岐する一対の吸気ポート6Aとなり、これ
ら各吸気ポート6Aを介して燃焼室5に接続されてい
る。また、排気通路7は、その上流側がシリンダヘッド
3内で二股に分岐する一対の排気ポート7Aとなり、そ
の下流側は排気集合通路及び触媒コンバータを介してマ
フラ(いずれも図示せず)に接続されている。なお、各
吸気ポート6Aは、吸気通路6とシリンダヘッド3との
接続部から燃焼室5の上側に向けて縦方向に湾曲して設
けられており、シリンダ2内で縦方向のスワール(タン
ブル)を生成するタンブルポートとなっている。そし
て、吸気通路6,排気通路7は、各吸気ポート6A,各
排気ポート7Aをそれぞれ開閉する吸気弁8,排気弁9
を介して燃焼室5と連通するようになっており、これら
各一対の吸気弁8,排気弁9は、図外の動弁機構によっ
て所定タイミングで駆動されるようになっている。ま
た、これら各吸気弁8,排気弁9の間には、シリンダ2
の略軸心に対応して点火栓10が設けられ、この点火栓
10は、デストリビュータを介してコントロールユニッ
ト(いずれも図示せず)に接続されている。
【0022】第1の燃料噴射弁11と第2の燃料噴射弁
12とは、図2に示す如く、吸気通路6の途中に位置し
て各シリンダ2毎に設けられるもので、吸気通路6の壁
部を貫通して形成された噴射弁取付穴内にシール部材
(いずれも図示せず)を介して取り付けられている。こ
こで、第1の燃料噴射弁11と第2の燃料噴射弁12と
は、その軸線O−Oが吸気通路6の軸心S−Sと略直交
するようにして、互いに対向して設けられており、吸気
弁8が開弁する所定の期間中に、等量の燃料を略同時に
それぞれ噴射するものである。つまり、第1の燃料噴射
弁11と第2の燃料噴射弁12とは、その軸線O−Oが
一致するようにして対向配置され、これにより、両噴射
弁から略同時に噴射された燃料が、吸気通路6の好まし
くは軸心S−S付近で衝突するようになっている。な
お、図2中に示すP−Pは、吸気通路6のシリンダヘッ
ド3との接続境界、Vは各吸気ポート6Aを隔てる分離
隔壁をそれぞれ示す。
【0023】次に、図3及び図4に基づき、本実施例に
用いて好適な燃料噴射弁11,12の一具体例について
説明する。なお、各燃料噴射弁11,12は、同一構造
であるため、第1の燃料噴射弁11を中心に説明するこ
ととする。
【0024】即ち、図3は、燃料噴射弁11の要部を拡
大して示す断面図であって、噴射弁本体100の一部を
構成する段付筒状のケーシング101内には、コイル等
からなる電磁アクチュエータ102がヨーク103を介
して取り付けられ、電磁アクチュエータ102の内周側
中空部には、磁性材料から略円柱状に形成されたコア1
04が設けられている。
【0025】弁体105は、磁性材料から略半球状に形
成され、ケーシング101内に配設されている。この弁
体105の基端側外周には、弾性を有する薄肉な複数の
支持部105Aが径方向外向きに突出して一体的に形成
され、各支持部105Aの端部は、ヨーク103とケー
シング101との間で挾持固定されている。また、この
弁体105は、コイルスプリング106と板ばね107
とによって、常時閉弁方向に向けて付勢されており、電
磁アクチュエータ102が励磁されて吸引力を発生した
ときに、ばね力に抗して開弁するようになっている。
【0026】ケーシング101の一端側(先端側)に
は、弁体105が離着座するための弁座部108が径方
向内向きに突出して形成され、この弁座部108に弁体
105が着座することにより、流出口109が閉塞され
て、燃料供給配管(図示せず)からの燃料が溜まる燃料
溜まり110と後述のノズル部材111とが隔離される
ようになっている。
【0027】略段付円盤状に形成されたノズル部材11
1は、ケーシング101の一端側を施蓋して液密に装着
され、互いに口径(噴孔径)の異なる一方の噴孔11
2,他方の噴孔113がそれぞれ斜めに穿設されてい
る。具体的には、図4に示す如く、一方の噴孔112
は、その出口部112Aが直径寸法D1を有する小円状
に形成されて、その噴射軸線X1−X1は燃料噴射弁11
の軸線O−Oに対して所定角度θ1だけ傾斜している。
また、他方の噴孔113は、その出口部113Aが直径
寸法D2(D1<D2)を有する大円状に形成され、その
噴射軸線X2−X2は前記軸線O−Oに対して所定角度θ
2だけ傾斜している。また、各噴孔112,113の噴
射軸線X1−X1,X2−X2は、吸気通路6の壁面から離
間した所定の点CP上で交差し、この交差点CPで各噴
孔112,113からそれぞれ噴射された燃料が互いに
衝突して第1段階の微粒化が行われるようになってい
る。ここで、これら噴射軸線X1−X1,X2−X2は、必
ずしも厳密に同一平面上の一点で交差する必要はなく、
各噴射燃料の衝突に影響を与えない範囲で、各噴射軸線
1−X1,X2−X2間に多少の軸間距離が生じてもよ
い。
【0028】本実施例に係る内燃機関の吸気装置は、上
述の構成を有するもので、次に、その作用について説明
する。まず、各噴孔112,113の噴孔径D1,D2
比αと微粒化との関係について図5を参照しつつ説明す
る。
【0029】図5は、一方の噴孔112の噴孔径D1
他方の噴孔113の噴孔径D2との比であるα(α=D2
/D1)と、共振現象の強さとの関係を、所定の燃圧下
で観察した特性図である。具体的には、例えば噴孔径比
αが「1.0」のとき、即ち、一対の噴孔の噴孔径が等
しいときの共振の強さをM1とすると、共振の強さは、
噴孔径比αの上昇に伴って一時的に若干落ち込み、噴孔
径比αが「1.2」に達したときに、再びM1となる。
そして、ここから噴孔径比αを上げるにつれて、共振の
強さは、急速に増大していき、噴孔径比αが略「1.
5」に達すると、最大値M2をとる。さらに噴孔径比α
を上げていくと、共振の強さは、徐々に小さくなり、噴
孔径比αが「3.0」に達すると、再びM1となる。従
って、図5に示す特性から、噴孔径比αを「1.2」〜
「3.0」の範囲(即ち、D1:D2が1:1.2〜1:
3の範囲)で設定すると、粒径の異なる液滴を生成し
て、共振現象を得ることができ、この共振現象によって
燃料の微粒化を図りうることが理解できる。
【0030】さて、一方、図6は、噴孔径比αと燃料衝
突面積の割合との関係を示す特性図であって、噴孔径比
αが「1.0」のときに、各噴孔からそれぞれ噴射され
た燃料が衝突する面積の割合を「1.0」とすると、こ
の燃料衝突面積の割合は、噴孔径比αを上げるにつれて
指数関数的に急速に減少していく。より具体的には、噴
孔径比αが「1.2」の場合に燃料衝突面積の割合はβ
1となり、噴孔径比αが「3.0」の場合に燃料衝突面
積の割合はより小さいβ2となる。そして、これ以上、
噴孔径比αを上げると、一方の燃料液滴の粒径が大きく
なり過ぎて、粒径の極めて小さい他方の燃料噴霧を貫通
する割合が増大するため、実質的に燃料の微粒化を図る
ことができない。
【0031】従って、上述の通り、噴孔径比αを「1.
2」〜「3.0」の範囲で設定すれば、燃料衝突面積の
割合をβ1〜β2の範囲で確保しつつ共振現象を利用でき
るため、噴射燃料を微粒化することが可能となる。特
に、D1:D2を略2:3、即ち噴孔径比αを略1.5に
設定すれば、最も強い値M2の共振現象を得ることがで
き、燃料衝突面積の割合も比較的大きいβ3となるた
め、噴射燃料を一層有効に微粒化することができる。こ
こで、本明細書にいう「略2:3」とは、製造公差等を
加味して実質的に2:3であることをいい、例えば10
%程度(α=1.5±10%)、好ましくは5%程度
(α=1.5±5%)の許容範囲を含むものである。
【0032】次に、本実施例の作用について説明する。
まず、機関が吸気行程中の所定期間に達すると、図外の
コントロールユニットは、各燃料噴射弁11,12に向
けて同一パルス幅の燃料噴射信号をそれぞれ同時に出力
し、各燃料噴射弁11,12の電磁アクチュエータ10
2を励磁して、各弁体105をそれぞれ同時に開弁させ
る。ここで、各燃料噴射弁11,12に印加される燃料
噴射信号は、スロットル開度や回転数等の運転条件によ
り定まる機関要求燃料量を等分することにより求められ
る。
【0033】コントロールユニットからの燃料噴射信号
に応じて、各燃料噴射弁11,12が各一対の噴孔11
2,113を介して燃料をそれぞれ噴射すると、図2に
示す如く、これら各噴射燃料は、吸気通路6の壁面から
離れた交差点CP上でそれぞれ斜め方向から衝突し、上
述の共振現象により微粒化して、第1の燃料噴霧F1
第2の燃料噴霧F2をそれぞれ形成する。つまり、第1
の燃料噴射弁11の各噴孔112,113から噴射され
た燃料は、第1の燃料噴射弁11側の交差点CPで衝突
して微粒化し、対向する第2の燃料噴射弁12に向けて
広がる第1の燃料噴霧F1を形成する。これと同時に、
第2の燃料噴射弁12の各噴孔112,113から噴射
された燃料も、第2の燃料噴射弁12側の交差点CPで
衝突して微粒化し、対向する第1の燃料噴射弁11側に
向けて広がる第2の燃料噴霧F2を形成する。ここで、
各燃料噴射弁11,12は、その共通する軸線O−Oが
吸気通路6の軸心S−Sと直交しているため、吸気通路
6を横切って進む各燃料噴霧F1,F2は、吸気通路6内
を燃焼室5に向けて流れる吸入空気Aの流れを横方向か
ら受け、この吸入空気Aがアシストエアの役割を果たす
ことによっても微粒化される。
【0034】このように、互いに相手方の噴射弁に向け
て移動する各燃料噴霧F1,F2は、吸気通路6の軸心S
−S付近で衝突し、この衝突によって、合成燃料噴霧F
T1を形成する。そして、この最も微粒化が進んだ合成燃
料噴霧FT1は、吸入空気の主流AMに乗って燃焼室5内
に流入する。
【0035】かくして、本実施例によれば、以下の効果
を奏する。
【0036】第1に、複数の噴孔112,113から噴
射した燃料を交差点CP上で衝突させて第1の燃料噴霧
1,第2の燃料噴霧F2をそれぞれ形成する第1の燃料
噴射弁11,第2の燃料噴射弁12を、互いに対向させ
て吸気通路6に設け、各燃料噴霧F1,F2が吸気通路6
内で衝突するように、各燃料噴射弁11,12の噴射軸
線X1−X1,X2−X2を設定する構成としたため、交差
点CPでの衝突による第1段階の微粒化と、吸気通路6
の軸心S−S付近での衝突による第2段階の微粒化との
合計2段階で能動的に微粒化することができる。この結
果、特に、冷間始動時や過渡運転時には、未燃焼のHC
の生成を大幅に抑制して燃費等を向上することができ
る。
【0037】また、各燃料噴霧F1,F2を衝突させてな
る合成燃料噴霧FT1は、最も微粒化が進んで燃料液滴の
粒径が極めて小さくなっているため、吸入空気Aによっ
て流され易い。しかし、この合成燃料噴霧FT1は、吸気
通路6の壁面から離れた軸心S−S付近で生成され、ま
た、この軸心S−Sには吸入空気Aの主流AMが流れて
いるため、合成燃料噴霧FT1は、吸気通路6の壁面に付
着することなく、この主流AMによって速やかに燃焼室
5内に運ばれる。
【0038】第2に、各燃料噴射弁11,12を同一線
上(軸線O−O上)に配置すると共に、この軸線O−O
を吸気通路6の軸心S−Sに直交させる構成のため、互
いに相手方の燃料噴射弁に向けて吸気通路6を横切る各
燃料噴霧F1,F2に、吸入空気Aを横方向から接触させ
て、微粒化することができる。従って、本実施例による
微粒化の過程は、交差点CP上で衝突する際の共振現象
による微粒化と、吸気通路6を横切って移動する燃料噴
霧F1,F2に吸入空気Aが衝突することによる微粒化
と、これら各燃料噴霧F1,F2が互いに衝突して合成燃
料噴霧FT1を形成するときの微粒化との、合計3段階と
なる。
【0039】第3に、各燃料噴射弁11,12は、その
各噴孔112,113の噴孔径を違えているため、粒径
の異なる液滴同士が衝突する際の共振現象を十分期待す
ることができ、この共振現象によって燃料を微粒化する
ことができる。
【0040】第4に、具体的には、各燃料噴射弁11,
12の各噴孔112,113は、その噴孔径D1,D2
比が略2:3となるように構成したため、最も強い共振
現象を利用して第1段階の微粒化を一層促進することが
できる。
【0041】次に、本発明の第2の実施例について図7
を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施例では、上
述した第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号を付
し、その説明を省略するものとする。本実施例の特徴
は、吸気制御弁の切欠部の下流側で各燃料噴霧F1,F2
を衝突させた点にある。
【0042】即ち、本実施例による内燃機関の吸気装置
では、後述の各燃料噴射弁22,23よりも上流側に位
置して吸気通路6の途中に(より詳しくは、各燃料噴射
弁22,23と図外のスロットル弁との間)、所定の運
転条件下でスワールないしタンブルを生成するための吸
気制御弁21が設けられている。この吸気制御弁21
は、吸気通路6を横切って回動可能に挿通された弁軸2
1Aと、この弁軸21Aに固定して取り付けられた略楕
円板状の弁体21Bとから大略構成され、この弁体21
Bには、一方の吸気ポート6A(図7中の上側に位置す
るポート)に対応する部分を全弁体面積の略4分の1程
度だけ切り欠いてなる4分の1楕円状の切欠部21Cが
形成されている。また、この吸気制御弁21は、リンク
や連接棒等を介して吸気制御弁アクチュエータ(いずれ
も図示せず)に接続されいる。そして、この吸気制御弁
21は、例えば低回転低負荷等の所定の運転条件で閉弁
することにより、吸気通路6内の吸入空気の流れを切欠
部21Cで制限し、主として一方の吸気ポート6Aに向
けて吸入空気を導入させ、所定のスワール等を生成する
ものである。
【0043】本実施例による第1の燃料噴射弁22,第
2の燃料噴射弁23は、第1の実施例における各燃料噴
射弁11,12と同様に、互いに対向して吸気通路6の
途中に設けられ、一対の噴孔112,113から噴射さ
れた燃料を交差点CP上で衝突させて各燃料噴霧F1
2をそれぞれ生成するものである。しかし、本実施例
による各燃料噴射弁22,23は、その軸線O1−O1
2−O2が吸気通路6の軸心S−Sに直交する線O−O
に対して、それぞれ所定角度θ1,θ2だけ傾斜するよう
に、その取付角度が設定されている点で、第1の実施例
と相違する。
【0044】即ち、各燃料噴射弁22,23の各軸線O
1−O1,O2−O2が、吸気制御弁21の切欠部21Cに
対応した吸気通路6の下流側の点CPX1で交差するよう
に、第1の燃料噴射弁22は、その軸線O1−O1が直交
軸線O−Oに対して例えば60度程度の角度θ1だけ傾
斜して取り付けられ、第2の燃料噴射弁23は、その軸
線O2−O2が直交軸線O−Oに対して例えば30度程度
の角度θ2だけ傾斜して取り付けられている。ここで、
各軸線O1−O1,O2−O2の交差点CPX1は、切欠部2
1Cの幅方向の中心点PX1よりも寸法δ1だけ吸気通路
6の軸心S−S側に寄るように設定され、これにより、
合成燃料噴霧FT2を、吸気が許可される方の吸気ポート
6Aの略軸心S1−S1に位置せしめて、吸気通路6の壁
面とのクリアランスを十分に確保している。
【0045】次に、本実施例による作用を説明する。各
燃料噴射弁22,23が各噴孔112,113を介して
燃料を噴射すると、これら各噴射燃料は、交差点CP上
で衝突して微粒化し、各燃料噴霧F1,F2をそれぞれ形
成する。そして、これら各燃料噴霧F1,F2は、吸気制
御弁21の閉弁時に生じる吸入空気の主流AMSによって
微粒化されつつ、吸気通路6内を下流側に向けて斜めに
進み、交点CPX1で衝突して、さらなる微粒化を行いつ
つ合成燃料噴霧FT2を形成する。このようにして形成さ
れた合成燃料噴霧FT2は、吸気制御弁閉弁時の吸入空気
の主流AMSに乗って燃焼室5内に流入する。
【0046】このように構成される本実施例によれば、
各噴孔112,113から噴射した燃料を交差点CP上
で衝突させて第1の燃料噴霧F1,第2の燃料噴霧F2
それぞれ形成する第1の燃料噴射弁22,第2の燃料噴
射弁23を、互いに対向させて吸気通路6に設け、各燃
料噴霧F1,F2が吸気通路6内の点CPX1で衝突するよ
うに、各燃料噴射弁22,23の噴射軸線O1−O1,O
2−O2を設定する構成としたため、第1の実施例と同様
に、交差点CPでの衝突による微粒化と、吸入空気の主
流AMSによる微粒化と、交差点CPX1での衝突による微
粒化との合計3段階で微粒化することができ、排気エミ
ッションや燃費等を大幅に改善することができる。
【0047】これに加えて、本実施例では、各燃料噴射
弁22,23で形成された各燃料噴霧F1,F2が、吸気
制御弁21の切欠部21Cに対応した吸気通路6の下流
側の点CPX1で衝突するように構成したため、例えば低
回転低負荷等の所定の運転条件下で吸気制御弁21が閉
弁したときでも、燃料壁流の生成を抑制することがで
き、一層排気エミッション等を向上することができる。
つまり、吸気制御弁21が閉弁して吸入空気の流れに偏
流(AMS)が生じているにも拘わらず、第1の実施例の
ように、吸気通路6の軸心S−S付近で燃料噴霧F1
2を衝突させた場合、複数段階の微粒化によって粒径
が小さくなった合成燃料噴霧FT2は、この偏流である主
流AMSによって、分離隔壁Vや吸気通路6の壁面等に押
し流されて付着し、燃料壁流となる可能性がある。特
に、吸気制御弁21が閉弁するときは、低回転低負荷域
等の場合のため、燃料壁流が燃焼に与える影響は大き
く、燃焼状態の不安定化や排気エミッションの増大を招
くおそれがある。
【0048】これに対し、本実施例では、吸気制御弁2
1の閉弁時に生じる主流AMSが流れる方の吸気ポート6
Aの略軸心S1−S1上に位置する点CPX1で、これら各
燃料噴霧F1,F2を衝突させて合成燃料噴霧FT2を生成
することにより、吸気制御弁21の閉弁時に燃料の供給
を最適化する構成のため、燃料壁流による排気エミッシ
ョンの悪化等を未然に防止することができる。なお、吸
気制御弁21の開弁時には、図2中に示す主流AMによ
って、合成燃料噴霧FT2の一部が吸気通路6の壁面に押
し流されて燃料壁流を形成する可能性があるが、例えば
高回転高負荷等の安定した運転条件下で吸気制御弁21
は開弁するため、多少の燃料壁流が生じても、燃焼状態
に与える影響は小さい。従って、燃料壁流が与える影響
の大きい吸気制御弁21の閉弁時に燃料供給を最適化す
る方が、機関全体としてはより好ましい。
【0049】次に、図8〜図11に基づいて本発明の第
3の実施例を説明する。本実施例の特徴は、口径の異な
る単一の噴孔を備えた2個の燃料噴射弁を対向配置し、
これら各燃料噴射弁からそれぞれ噴射された燃料を吸気
通路内で衝突させて微粒化するようにした点にある。
【0050】即ち、本実施例による第1の燃料噴射弁3
1,第2の燃料噴射弁32は、第1の実施例で述べた各
燃料噴射弁11,12と同様に、その軸線O−Oが吸気
通路6の軸心S−Sに直交するようにして取り付けられ
ている。しかし、これら各燃料噴射弁31,32は、後
述の如く、それぞれ単一の噴孔121,122を備えて
いる点で、第1の実施例と相違する。次に、各燃料噴射
弁31,32の好ましい具体例について、図9を参照し
つつ説明すると、これら各燃料噴射弁31(32)のノ
ズル部材111には、それぞれ単一の噴孔121,12
2が、軸線O−Oと同軸に穿設されている。より具体的
には、第1の燃料噴射弁31の噴孔121は、直径寸法
3を有する小円状に形成され、第2の燃料噴射弁32
の噴孔122は、それより大きい直径寸法D4を有する
大円状に形成されている。ここで、前記各寸法D3,D4
は、第1の実施例で述べた最も強い共振現象を得るべ
く、略2:3の比(噴孔径比α≒1.5)となるように
設定されている。なお、各噴孔121,122の構成を
除いて、各燃料噴射弁31,32は同一の構造であるた
め、第1の実施例と同様に、図9では、第1の燃料噴射
弁31を中心に示している(従って、第2の燃料噴射弁
32の噴孔122を仮想線で示す)。
【0051】また、図8中の33は吸入空気量Qaを検
出するためのエアフローメータ、34は機関回転数Nを
検出するためのクランク角センサ、35は触媒コンバー
タの上流側に位置して排気通路7の途中に設けられた空
燃比センサをそれぞれ示し、これら各センサ33,3
4,35は、コントロールユニット36にそれぞれ接続
されている。このコントロールユニット36は、機関を
電気的に集中制御するもので、CPU等からなる演算回
路、ROM,RAM等からなる記憶回路及び入出力回路
等を備えたマイクロコンピュータシステムとして構成さ
れている。なお、これら各センサ33,34,35とコ
ントロールユニット36とは、当然のことながら、第
1,第2の実施例でも使用されるが、第1,第2の実施
例では、通常の燃料噴射量制御を予定するため、その図
示を割愛している。
【0052】次に、図10及び図11を参照しつつ本実
施例の作用を説明する。まず、図10は、コントロール
ユニット36によって実行される燃料噴射量の演算処理
を示すフローチャートであって、ステップ1では、エア
フローメータ33から吸入空気量Qaを読込み、ステッ
プ2では、クランク角センサ34から回転数Nを読込
み、ステップ3では、空燃比センサ35から排気ガス中
のA/F(空燃比)を読込む。次に、ステップ4では、
前記ステップ1〜3で得た各パラメータに基づいて、機
関の必要燃料量QTを演算し、この必要燃料量QTを、第
1の燃料噴射弁31からの燃料噴射量と第2の燃料噴射
弁32からの燃料噴射量とで達成すべく、以下の処理を
行う。即ち、ステップ5では、第1の燃料噴射弁31か
ら噴射すべき燃料噴射量(第1の燃料噴射量)と、第2
の燃料噴射弁32から噴射すべき燃料噴射量(第2の燃
料噴射量)とが、同一のパルス幅で前記必要燃料量QT
を噴射できるパルス幅Tiを、図11に示すマップから
求める。なお、空燃比フィードバック補正係数、水温増
量補正係数、無効電圧パルスTS等を考慮して補正を行
い、最終的に各燃料噴射弁31,32の噴射パルス幅を
決定する。
【0053】そして、上述した図10に示すフローチャ
ートによって演算された燃料噴射量(パルス幅)T
iが、電圧パルス信号として各燃料噴射弁31,32の
電磁アクチュエータ102に印加されると、各燃料噴射
弁31,32は、弁体105を開弁させ、各噴孔12
1,122を介してそれぞれ燃料を噴射する。これら各
噴射燃料は、図8に示す如く、まず、吸気通路6内の吸
入空気の流れAを軸心S−Sと平行な方向から受けて微
粒化しつつ相手方の燃料噴射弁に向けて吸気通路6内を
横切り、軸心S−S付近で互いに相手方の噴射燃料と衝
突する。これにより、各噴射燃料は微粒化されて合成燃
料噴霧FT3を形成し、吸入空気の主流AMによって燃焼
室5内に運ばれる。
【0054】このように構成される本実施例によれば、
以下の効果を奏する。
【0055】第1に、噴孔径を違えた第1の燃料噴射弁
31と第2の燃料噴射弁32とを互いに対向させて吸気
通路6に設け、各燃料噴射弁31,32からそれぞれ噴
射された燃料が吸気通路6内で衝突するように噴射軸線
たる軸線O−Oを設定する構成としたため、吸入空気の
主流AMが流れる吸気通路6の軸心S−S付近で噴射燃
料を微粒化することができる。従って、第1の実施例と
同様に、燃料壁流を生成することなく、この微粒化が進
んだ燃料噴霧FT3を燃焼室5内に速やかに供給すること
ができ、特に、冷間始動時や過渡運転時における排気エ
ミッションや燃費を大幅に改善することができる。
【0056】第2に、第1の実施例と同様に、各燃料噴
射弁31,32を同一線上(軸線O−O上)に配置する
と共に、この軸線O−Oを吸気通路6の軸心S−Sに直
交させる構成のため、吸気通路6の壁面近傍を流れる吸
入空気Aによっても噴射燃料を微粒化することができ
る。従って、本実施例による微粒化の過程は、吸気通路
6を横切って移動する燃料噴霧F1,F2に吸入空気Aが
衝突することによる微粒化と、これら各燃料噴霧F1
2が互いに衝突して合成燃料噴霧FT3を形成するとき
の微粒化との、合計2段階となる。
【0057】第3に、各燃料噴射弁31,32は、その
各噴孔121,122の噴孔径を違えているため、粒径
の異なる液滴同士が衝突する際の共振現象を十分期待す
ることができ、この共振現象によって燃料を微粒化する
ことができる。
【0058】第4に、具体的には、各燃料噴射弁31,
32の各噴孔121,122は、その噴孔径D3,D4
比が略2:3となるように構成したため、最も強い共振
現象を利用して第1段階の微粒化を一層促進することが
できる。
【0059】第5に、燃料噴射弁31,32にはそれぞ
れ単一の噴孔121,122のみが設けられているた
め、上述のように、微粒化段階が第1の実施例よりも少
ない2段階となるものの、ノズル部材111の構造を簡
素化でき、コストパフォーマンスを高めることができ
る。
【0060】次に、図12に基づいて、本発明の第4の
実施例を説明する。本実施例の特徴は、単一の噴孔を備
えた燃料噴射弁を吸気通路の途中に対向配置すると共
に、吸気制御弁の切欠部に対応した下流側で、各燃料噴
射弁からの噴射燃料を衝突させる点にある。
【0061】即ち、本実施例による第1の燃料噴射弁4
1,第2の燃料噴射弁42は、それぞれ単一で径の異な
る噴孔121,122を有しており、その機械的構造
は、第3の実施例で述べた燃料噴射弁31,32と同一
であるが、その配置関係は、第2の実施例と同様に設定
されている。具体的には、各燃料噴射弁41,42は、
その軸線O1−O1,O2−O2が吸気通路6の軸心S−S
に直交する線O−Oに対して、それぞれ所定角度θ
1(例えば約60度),θ2(例えば約30度)だけ傾斜
するように設定され、該各軸線O1−O1,O2−O2は、
吸気制御弁21の切欠部21Cに対応した吸気通路6の
下流側の点CPX2で交差している。また、この交差点C
X2は、切欠部21Cの幅方向の中心点PX1よりも寸法
δ2だけ吸気通路6の軸心S−S側に寄るように設定さ
れ、これにより、合成燃料噴霧FT4を、吸気が許可され
る方の吸気ポート6Aの略軸心S1−S1に位置せしめ
て、吸気通路6の壁面とのクリアランスを十分に確保し
ている。
【0062】このように構成される本実施例によれば、
第3の実施例と同様に、アシストエア効果による微粒化
と共振現象による微粒化との2段階の微粒化を行うこと
ができると共に、第2の実施例と同様に、吸入空気に偏
流(AMS)が生じた場合において燃料壁流の生成を未然
に抑制することができるため、冷間始動時等に排気エミ
ッションや燃費を一層向上することができる。
【0063】第2に、本実施例では、第2の実施例とは
異なり、各燃料噴射弁41,42は単一の噴孔121,
122のみを有するため、交差点CPでの共振現象によ
る微粒化段階が生じないが、このため、合成燃料噴霧F
T4を比較的狭い範囲に収束させることができる(つま
り、微粒化の度合いが若干低下している分だけ、図7に
示す合成燃料噴霧FT2よりも幅方向の広がりを抑えるこ
とができる)。従って、吸気ポート6Aの軸心S1−S1
付近の交差点CPX2で噴射燃料を衝突させる効果と相俟
って、合成燃料噴霧FT4が壁面に付着するのを一層効果
的に防止することができる。
【0064】なお、前記各実施例では、一対の燃料噴射
弁をシリンダ2の列方向と略平行に対向配置する場合を
例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、図13
に示す変形例のように、シリンダ2の軸方向と略平行に
一対の燃料噴射弁を対向配置してもよい。即ち、図8に
示す前記第3の実施例を例にとれば、単一の噴射孔12
1,122を有する燃料噴射弁31,32を、シリンダ
2の軸方向と略平行に配置し、かつその共通軸線O−O
を吸気通路6の軸心S−Sと直交させることによって
も、第3の実施例で述べたと同様の作用効果を得ること
ができる。また、この変形例は、前記第1,第2、第4
の実施例にも容易に適用できる。但し、このようにシリ
ンダ2の軸方向と平行に燃料噴射弁を配置した場合は、
重力の影響によって、噴射燃料の衝突点が吸気通路6の
軸心S−Sから若干下側にずれる可能性があるため、シ
リンダ2の列方向に配置する方が有利である。
【0065】また、前記各実施例では、好ましい燃料噴
射弁として、半球状の弁体を備えたものを例示したが、
本発明はこれに限らず、噴射ノズル内を上下動するニー
ドル弁を用いた噴射弁やいわゆるサックレス型噴射弁等
の他の燃料噴射弁であってもよい。但し、図3,図9に
示した燃料噴射弁は、その構造が比較的簡易なため、こ
れらを採用することにより、吸気装置の全体コストを低
減することができるという有利な効果を得られる。
【0066】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明に係る内燃機
関の吸気装置によれば、複数の噴孔から噴射した燃料を
衝突させて第1の燃料噴霧,第2の燃料噴霧をそれぞれ
形成する第1の燃料噴射弁,第2の燃料噴射弁を、互い
に対向させて吸気通路に設け、各燃料噴霧が吸気通路内
で衝突するように、各燃料噴射弁の噴射軸線を設定する
構成としたため、最初の衝突による第1段階の微粒化
と、吸気通路の軸心付近での衝突による第2段階の微粒
化との合計2段階で、能動的に微粒化することができ
る。この結果、特に、冷間始動時や過渡運転時には、未
燃焼のHCの生成を大幅に抑制して燃費等を向上するこ
とができる。ここで、各燃料噴霧を衝突させてなる合成
燃料噴霧は、最も微粒化が進んで燃料液滴の粒径が極め
て小さくなっているため、吸入空気によって流され易
い。しかし、この合成燃料噴霧は、吸気通路の壁面から
離れた軸心付近で生成され、また、この軸心付近では吸
入空気の主流が流れているため、合成燃料噴霧は、吸気
通路の壁面に付着することなく、この主流によって速や
かに燃焼室内に運ばれる。
【0067】また、各燃料噴射弁は、互いに噴孔径の異
なる一対の噴孔をそれぞれ備えて構成すれば、粒径の異
なる燃料液滴を容易に得ることができ、この粒径の異な
る燃料液滴同士が衝突する際に生じる共振現象を利用し
て、第1段階の微粒化を一層促進することができる。
【0068】さらに、各燃料噴射弁は、互いの噴孔径の
比が略2:3となる一対の噴孔をそれぞれ備えて構成す
れば、異なる粒径の燃料液滴同士が衝突する際に、より
強い共振現象を得ることができ、この強い共振現象を利
用して第1段階の微粒化を促進することができる。
【0069】一方、請求項4に係る構成によれば、第1
の燃料噴射弁から噴射された燃料と第2の燃料噴射弁か
ら噴射された燃料とを、吸気通路の略中心で互いに衝突
せしめ、この際に生じる共振現象によって微粒化するこ
とができる上に、噴孔が単一であるから、構造を簡素化
して製造コストを低減することができる。
【0070】さらに、請求項5に係る構成によれば、第
1の燃料噴射弁から噴射された燃料と第2の燃料噴射弁
から噴射された燃料とを、吸気制御弁の切欠部に対応し
た吸気通路の下流側で互いに衝突させ、この際に生じる
共振現象によって微粒化させることができるため、燃料
壁流による影響が大きい吸気制御弁の閉弁時に、燃料供
給を最適化することができ、全体として排気エミッショ
ン等を向上することができる。
【0071】また、第1の燃料噴射弁の噴孔径と第2の
燃料噴射弁の噴孔径との比を略2:3に設定すれば、粒
径の異なる燃料液滴同士が衝突する際に生じる強い共振
現象を得ることができ、この強い共振現象を利用して燃
料の微粒化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る内燃機関の吸気装
置の全体構成を示す構成説明図である。
【図2】燃料噴射弁の位置関係を示すシリンダヘッド側
からみた説明図である。
【図3】本実施例に用いて好適な燃料噴射弁を拡大して
示す断面図である。
【図4】図3中の燃料噴射弁のノズル部材の先端側から
みた平面図である。
【図5】噴孔径比と共振現象との関係を示す特性図であ
る。
【図6】噴孔径比と燃料の衝突面積との関係を示す特性
図である。
【図7】本発明の第2の実施例に係る内燃機関の吸気装
置を示すシリンダヘッド側からみた説明図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係る内燃機関の吸気装
置を示す図7と同様の説明図である。
【図9】第3の実施例に用いて好適な燃料噴射弁の要部
を拡大して示す図3と同様の断面図である。
【図10】燃料噴射量の演算処理を示すフローチャート
である。
【図11】燃料噴射時間と噴射される燃料の量との関係
を示す特性図である。
【図12】本発明の第4の実施例に係る内燃機関の吸気
装置を示すシリンダヘッド側からみた説明図である。
【図13】本発明の変形例に係る内燃機関の吸気装置の
全体を示す図1と同様の説明図である。
【符号の説明】
5…燃焼室 6…吸気通路 6A…吸気ポート 11,22,31,41…第1の燃料噴射弁 12,23,32,42…第2の燃料噴射弁 21…吸気制御弁 21C…切欠部 112,113,121,122…噴孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02M 69/04 F02M 69/04 P

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気ポートを介して燃焼室に連通する吸
    気通路と、この吸気通路に設けられ、複数の噴孔からそ
    れぞれ噴射された燃料が該吸気通路内で衝突して第1の
    燃料噴霧を形成する第1の燃料噴射弁と、この第1の燃
    料噴射弁に対向して前記吸気通路に設けられ、複数の噴
    孔からそれぞれ噴射された燃料が該吸気通路内で衝突し
    て第2の燃料噴霧を形成する第2の燃料噴射弁とを備
    え、 前記第1の燃料噴霧と第2の燃料噴霧とが前記吸気通路
    内で衝突するように、前記第1の燃料噴射弁の噴射軸線
    と前記第2の燃料噴射弁の噴射軸線とを設定したことを
    特徴とする内燃機関の吸気装置。
  2. 【請求項2】 前記各燃料噴射弁は、互いに噴孔径の異
    なる一対の噴孔をそれぞれ備えていることを特徴とする
    請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
  3. 【請求項3】 前記各燃料噴射弁は、互いの噴孔径の比
    が略2:3となる一対の噴孔をそれぞれ備えていること
    を特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
  4. 【請求項4】 吸気ポートを介して燃焼室に連通する吸
    気通路と、この吸気通路に設けられた第1の燃料噴射弁
    と、この第1の燃料噴射弁に対向して前記吸気通路に設
    けられた第2の燃料噴射弁とを備え、 前記第1の燃料噴射弁の噴孔径と第2の燃料噴射弁の噴
    孔径とを違えると共に、前記第1の燃料噴射弁から噴射
    された燃料と第2の燃料噴射弁から噴射された燃料とが
    前記吸気通路内で互いに衝突するように、該各燃料噴射
    弁の噴射軸線を設定したことを特徴とする内燃機関の吸
    気装置。
  5. 【請求項5】 二股に分岐した吸気ポートを介して燃焼
    室に連通する吸気通路と、この吸気通路に設けられた第
    1の燃料噴射弁と、この第1の燃料噴射弁に対向して前
    記吸気通路に設けられた第2の燃料噴射弁と、これら各
    燃料噴射弁よりも上流側に位置して前記吸気通路の途中
    に設けられ、前記各吸気ポートのうち一方の吸気ポート
    に対応する切欠部が形成された吸気制御弁とを備え、 前記第1の燃料噴射弁の噴孔径と第2の燃料噴射弁の噴
    孔径とを違えると共に、前記第1の燃料噴射弁から噴射
    された燃料と第2の燃料噴射弁から噴射された燃料と
    が、前記吸気制御弁の切欠部に対応した前記吸気通路の
    下流側で互いに衝突するように、該各燃料噴射弁の噴射
    軸線を設定したことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の燃料噴射弁の噴孔径と第2の
    燃料噴射弁の噴孔径との比を略2:3に設定したことを
    特徴とする請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の吸
    気装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009236095A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Denso Corp 燃料噴射装置

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