JPH082173B2 - 制動装置 - Google Patents

制動装置

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JPH082173B2
JPH082173B2 JP4196526A JP19652692A JPH082173B2 JP H082173 B2 JPH082173 B2 JP H082173B2 JP 4196526 A JP4196526 A JP 4196526A JP 19652692 A JP19652692 A JP 19652692A JP H082173 B2 JPH082173 B2 JP H082173B2
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巖 池上
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株式会社効率技術研究所
協進工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は各種車両や起重機等の
荷役機械、その他各種機械器具において、運動体の減速
や過度な速度上昇の抑制あるいは停止等のために用いら
れる制動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に制動装置としては、油圧や電磁力
等によって運動体の一部(例えばブレーキシュー)に固
定体側から制動部材(例えばブレーキパッド)を押し付
け、その間の機械的摩擦(摺動抵抗)により運動体に制
動力を与える装置が広く用いられている。また一部では
流体の粘性抵抗を利用した制動装置も用いられている。
さらには、電磁石を用いた発電機タイプの制動装置も知
られている。そのほかバスやトラック等の大型自動車に
おいて補助制動装置として用いられるリターダとして
は、電磁石の代りに永久磁石を用いた制動装置が知られ
ており、これは永久磁石が発生する磁束を導電材からな
るロータが横切ることによって渦電流を生ぜしめ、これ
によってロータに回転方向に対する電磁的な抵抗力を与
えるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述したような機械的
摩擦による制動装置では、制動時には運動体の運動エネ
ルギが摩擦部分で局部的に熱エネルギに変換されるた
め、局部的な温度上昇が生じて高温となり、そのため摩
擦部材やその周辺の部材の耐熱性の点で問題が多く、ま
た摩擦によって摩耗する問題もあり、さらには周囲の機
器に熱影響を与えてしまう問題もある。また流体の粘性
抵抗を用いた制動装置においては、運動体の運動エネル
ギが流体温度の上昇として熱エネルギに変換されるが、
この場合流体温度の上昇に伴ない粘性抵抗が小さくなっ
て制動力も小さくなってしまうから、流体を循環させま
た冷却するための別の装置が必要となるなどの問題があ
る。さらに電磁力を用いた発電機タイプの制動装置、あ
るいは前述のリターダに用いられる永久磁石を用いた制
動装置においては、誘導電流が生じて結局はこれがジュ
ール発熱により熱エネルギに交換されてロータ等の局部
的な温度上昇が生じるから、この場合も冷却のための装
置や放熱フィンなどを設ける必要がある。
【0004】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、局部的に高温となることがなく、そのため部
品の耐熱性も特に要求されず、また冷却のための装置も
不要となるような制動装置を提供することを目的とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、基本的に
は、固定部材と、その固定部材に対し所定の運動軌跡に
沿って運動する運動部材とを有し、固定部材の側から運
動部材に対して制動力を与えるための制動装置におい
て、前記固定部材には、複数の磁極が前記運動部材の運
動軌跡に沿って配列されるように、1または2以上の永
久磁石からなる永久磁石列が保持され、また前記運動部
材には、その運動に従って磁極が順次前記固定部材側の
永久磁石列の磁極に対向するべく、複数の磁極が前記運
動軌跡に沿って配列されるように、1または2以上の永
久磁石からなる永久磁石列が保持されており、しかも固
定部材側の永久磁石列と運動部材の永久磁石列とのう
ち、少なくとも一方の側の永久磁石列は、他方の側の永
久磁石列に対面する側に、前記運動軌跡の方向に交互に
異なる磁極が位置するように保持されており、さらに運
動部材の側の永久磁石列と固定部材の側の永久磁石列と
のうち、いずれか一方の側の永久磁石列は、それを保持
する部材の側に固定されており、他方の側の永久磁石列
もしくはそれを構成する各永久磁石は、その磁極と前記
一方の側の永久磁石列の磁極との間での磁気吸引力およ
び/または磁気反発力が前記運動部材の運動を加速させ
る方向へ作用する状態では、その他方の永久磁石列を保
持する部材に対して磁気吸引力および/または磁気反発
力の作用方向を含む方向へ相対的に移動可能となるよう
に、また前記一方の永久磁石列の磁極との間での磁気吸
引力および/または磁気反発力が前記運動部材を減速さ
せる方向へ作用する状態では、その他方の永久磁石列を
保持する部材に対する前記吸引力および/または磁気反
発力の作用方向を含む方向への相対移動が規制されるよ
うに、中間保持手段を介して保持されていることを特徴
とするものである。
【0006】
【作用】先ず理解を容易にするため、運動部材側の永久
磁石列は運動部材に固定され、固定部材側の永久磁石列
は固定部材に固定されていると仮定する。
【0007】固定部材側の永久磁石列と運動部材側の永
久磁石列とのうち、少なくとも一方の側の永久磁石列の
磁極は、他方の側の永久磁石列に対向する側に、運動軌
跡の方向に交互に異なる磁極が位置するように定められ
ているから、運動部材がその運動軌跡に沿って運動すれ
ば、それに伴なって運動部材側の永久磁石列の各磁極が
順次固定部材側の永久磁石列の各磁極に対向し、かつこ
のとき、運動部材側の永久磁石列の各磁極と固定部材側
の永久磁石の磁極との間では、同磁極同士で対向する状
態と、異磁極同士が対向する状態とが交番的に生じるこ
とになる。
【0008】運動部材側と固定部材側とで異磁極同士が
対向している状態から運動部材がさらに運動方向前方へ
移動しようとする際には、運動部材側の磁極が固定部材
側の磁極(異磁極)から離れることになるから、その異
磁極同士の磁気吸引力が運動部材の運動を妨げる方向す
なわち運動部材を減速させる方向へ作用する。続いて運
動部材側と固定部材側とで同磁極同士が対向する状態が
出現することになるが、その直前の状態では運動部材側
の磁極が固定部材側の同磁極に近接することになるから
両者間での磁気反発力が運動部材の運動を妨げる方向す
なわち運動部材を減速させる方向へ作用する。そして運
動部材側と固定部材側とで同磁極が対向した後、運動部
材がさらにその運動方向前方へ運動する際には、同磁極
同士が離れることになるから、同磁極同士の磁気反発力
が運動部材の運動を加速させる方向へ作用する。続いて
運動部材側と固定部材側とで異磁極同士が対向する状態
が出現することになるが、その直前の状態では運動部材
側の磁極が固定部材側の異磁極に近接することになるか
ら、両者間での磁気吸引力が運動部材の運動を加速させ
る方向へ作用することになる。
【0009】結局、運動部材側と固定部材側とで異磁極
同士が対向している状態から同磁極同士が対向している
状態まで運動部材が運動する間は、運動部材を減速する
方向へ磁気吸引力、磁気反発力が作用し、同磁極同士が
対向している状態から異磁極同士が対向している状態ま
で運動部材が運動する間は、運動部材を加速する方向へ
磁気反発力、磁気吸引力が作用することになる。したが
って運動部材の運動に伴なって、運動部材側の磁極と固
定部材側の磁極との間の磁気吸引力/磁気反発力が運動
部材を加速させる方向へ作用する状態と減速させる方向
へ作用する状態とが交番的に生じることになり、この場
合は一旦運動部材が減速されてもその後直ちに加速され
るから、トータルとしては運動部材に対して特に制動力
が作用しないことになる。
【0010】しかるにこの発明の制動装置では、運動部
材側の永久磁石列と固定部材側の永久磁石列とのうち、
いずれか一方の永久磁石列はこれを保持する部材(運動
部材、固定部材のいずれか一方)に固定されているが、
他方の永久磁石列もしくはそれを構成する各永久磁石
は、それを保持する部材(運動部材、固定部材の他方)
に対して所定の関係で移動を許容−規制する中間保持手
段を介して保持されているため、磁気吸引力/磁気反発
力を、運動部材を加速させる方向へは作用させず、減速
させる方向へのみ作用させ、これによって運動部材を制
動させることができる。
【0011】すなわち、前記中間保持手段は、前記他方
の永久磁石列を構成している永久磁石の磁極と前記一方
の永久磁石列の磁極との間での磁気吸引力/磁気反発力
が運動部材を加速させる方向へ作用する状態では、その
他方の永久磁石列もしくはそれを構成する永久磁石を、
それを保持する部材(運動部材または固定部材)に対し
て磁気吸引力/磁気反発力の作用方向を含む方向へ相対
的に移動可能となるよう前記他方の永久磁石列もしくは
それを構成する永久磁石を保持していることから、その
状態では前記他方の永久磁石列もしくはそれを構成する
永久磁石が前記磁気吸引力/磁気反発力によって相対移
動してその力を吸収し、その結果運動部材を磁気吸引力
/磁気反発力によって加速することが避けられる。また
前記中間保持手段は、前記他方の永久磁石列を構成して
いる永久磁石の磁極と前記一方の永久磁石列の磁極との
間での磁気吸引力/磁気反発力が運動部材を減速させる
方向へ作用する状態では、その他方の永久磁石列もしく
はそれを構成する永久磁石を、それを保持する部材(運
動部材または固定部材)に対する磁気吸引力/磁気反発
力の作用方向を含む方向への相対移動を規制するように
保持しているところから、その他方の永久磁石列もしく
はそれを構成する永久磁石を介して運動部材に対し磁気
吸引力/磁気反発力を減速力として伝達することがで
き、そのため運動部材を制動することができる。
【0012】ここで、前述のように運動部材には永久磁
石間の磁気吸引力、磁気反発力によって制動力が与えら
れることになる。この制動力に関しては、エネルギの観
点からは次のように考えられる。すなわち、運動部材が
磁気吸引力/磁気反発力によって制動される際には、運
動部材側の永久磁石が固定部材側の永久磁石に対して、
非弾性的衝突が生じていると考えられる。そして制動時
には、運動部材の運動エネルギが位置エネルギに変換さ
れることによって運動部材が制動され、蓄えられた位置
エネルギは、前述の非弾性的衝突による固定部材側の内
部変形による分子エネルギとして放散されることにな
る。このとき、分子エネルギの少なくとも一部は熱エネ
ルギとして放散されることになるが、この際の分子エネ
ルギは、固定部材側の永久磁石内部、それを保持する固
定部材の内部、さらにはその固定部材を支持する種々の
部材の内部のエネルギとして生じるものであるから、熱
エネルギは広い部分、多数の部材にわたって全体的に分
散して生じることになり、単位体積当りの熱エネルギ発
生量は極めて少なく、そのため局部的な温度上昇を招く
ことはない。すなわち従来の摩擦タイプのブレーキの場
合は、摩擦部分で局部的に発熱して、その部分が高温と
なってしまうが、この発明の場合は、前述のように局部
的な温度上昇による高温化を招くことがないのである。
【0013】
【実施例】図1〜図4にこの発明の一実施例の制動装
置、特に運動部材の運動を回転とし、かつ中間保持手段
に請求項2に記載したような一方向運動伝達機構を用い
た実施例の制動装置を示す。
【0014】図1〜図4において、運動部材1としての
回転体3およびそれに結合された回転軸5は、装置枠体
7に対して軸受部材9を介して回転可能に支持されてい
る。ここで回転体3は、要は制動対象となるものであっ
て、各種車両の車輪や車軸、あるいは各種装置・設備に
おけるローラ(例えば線材、板材の繰出用ローラ)など
が考えられる。
【0015】前記回転軸5には、ラチェット11が固定
されており、さらにそのラチェット11に近接する位置
の回転軸5の外周上には、中間回転体13がベアリング
15を介して回転軸5に対し相対的に回転可能に配設さ
れている。この中間回転体13の一方の側面には、前記
ラチェット11に係合するラチェット爪17が突設され
ており、またそのラチェット爪17に対し反対側の側面
には、磁性材からなるヨーク19を介して複数の永久磁
石21からなる永久磁石列22が設けられている。この
永久磁石列(以下これを運動側永久磁石列と記す)22
の永久磁石21は、図2に示すように、回転軸5の回転
中心軸線(中間回転体13の回転中心軸線)Oを中心と
する円周上に、交互にN極(N)、S極(S)が位置す
るように環状に配列されている。一方この中間回転体1
3の運動側永久磁石列22に対向する側には、固定部材
23として進退盤25が配設されている。この進退盤2
5には、回転軸5の回転中心軸線Oと平行な複数本の摺
動軸27が突設され、この摺動軸27が装置枠体7に設
けられた摺動受部材29を摺動可能に貫通しており、さ
らにその装置枠体7には油圧シリンダ等の進退駆動機構
31が設けられており、この進退駆動機構31によって
進退盤25が前記中間回転体13に接近・離隔する方向
へ進退せしめられるようになっている。さらに進退盤2
5には、前記運動側永久磁石列22に対面し得るよう
に、磁性材からなるヨーク33を介して複数の永久磁石
35からなる永久磁石列36が設けられている。この永
久磁石列(以下これを固定側永久磁石列と記す)36の
永久磁石35は、図2に示した運動側永久磁石列22と
同様に、回転軸5の回転軸線Oを中心とする円周上に、
交互にN極(N)、S極(S)が位置するように配列さ
れている。なお運動側永久磁石列22の隣り合う磁極間
の角度(回転中心軸線Oに対してなす角度)と、固定側
永久磁石列36の隣り合う磁極間の角度とは、等しい角
度に設定されている。
【0016】以上の実施例における動作、作用を、特に
図3、図4を参照しつつ以下に説明する。なお回転体3
等の回転方向は、図3、図4の実線矢印方向に定められ
ているものとする。
【0017】先ず図1の実線で示すように固定側の進退
盤25が後退している状態、すなわち運動側永久磁石列
22に対して固定側永久磁石列36が離隔している状態
では、両者間で磁力がほとんど作用しないため、回転体
3の回転に対して制動力は与えられず、フリーに回転し
得る状態となっている。
【0018】そして進退駆動機構31を作動させて、進
退盤25を前進させ、図1の仮想線で示すように固定側
永久磁石列36を運動側永久磁石列22に近接させれ
ば、図4の(A)〜(E)に示すように、回転体3の回
転(運動側永久磁石列22の回転)に伴なって、運動側
永久磁石列22の各磁極が固定側永久磁石列36の各磁
極に対して異磁極同士で対面する状態および同磁極同士
で対面する状態とが交番的に生じることになる。そこで
先ず図4の(A)に示すように、異磁極同士で対面して
いる状態から、実線矢印方向へ回転して図4の(B)の
状態を経て図4の(C)に示すように同磁極同士が対面
する状態に至る迄の過程を説明する。この過程では、例
えば運動側永久磁石21Aの磁極(N)には、固定側永
久磁石35Aの磁極(S)との間の磁気吸引力およびそ
れに隣り合う固定側永久磁石35Bの磁極(N)との間
の磁気反発力によって、図4の(B)、図3の破線矢印
Pで示すように回転方向に対し逆方向の力、すなわち減
速方向の力が加わる。これによって中間回転体13はそ
の回転が減速されようとする。このとき、図3の実線で
示すようにラチェット爪17がラチェット11に噛み合
うから、ラチェット11とそれに回転軸5を介して連結
された回転体3も減速されることになる。すなわち、制
動力が回転体3に与えられることになる。
【0019】一方、図4の(C)に示すように同磁極同
士が対面している状態から前記同様に実線矢印方向へ回
転して、図4の(D)の状態を経て図4の(E)に示す
ように異磁極同士が対面している状態に至る迄の過程に
おいては、例えば運動側永久磁石21Aの磁極(N)が
固定側永久磁石35Bの磁極(N)との間で磁気反発力
を受け、引続きそれに隣り合う固定側永久磁石35Cの
磁極(S)との間で磁気吸引力を受ける。すなわち回転
に対して加速方向の力(図4の(D)、図3の破線矢印
Q)を受けることになる。この状態では、加速方向の力
によって中間回転体13が回転体3よりも高速で回転す
ることになるが、その場合図3の仮想線で示すようにラ
チェット爪17がラチェット11に対してフリーな状態
となり、そのため回転体3の側の回転が加速されること
はない。
【0020】その後は、再び前記同様に運動側永久磁石
列22の磁極に減速方向に磁気吸引力/磁気反発力が作
用する状態となって、中間回転体13の回転が減速さ
れ、ラチェット爪17がラチェット11に噛合う状態と
なり、回転体3に制動力が働くことになる。
【0021】以上のようにして、図1〜図4に示す実施
例では、ラチェット11およびラチェット爪17による
一方向運動伝達機能によって、運動側、固定側の磁極間
の磁気吸引力/磁気反発力が加速方向に作用する際に
は、その力が回転体に伝達されず、一方磁気吸引力/磁
気反発力が減速方向に作用する際にはその力が回転体に
伝達されて、制動力が与えられることになる。したがっ
てラチェット11、ラチェット爪17、中間回転体13
の部分が請求項1の発明で規定する中間保持手段41を
構成しており、そのうちラチェット11およびラチェッ
ト爪17が一方向運動伝達機構43を構成していること
になる。
【0022】なお図1〜図4の例では、中間回転体13
の側の運動側永久磁石列22と、進退盤25の側の固定
側永久磁石列36とを、ともに異なる磁極が回転方向に
交番的に位置するように構成しているが、いずれか一方
の側の永久磁石列のみを異なる磁極が交番的に位置する
ように構成し、他方の側の永久磁石列は同じ磁極が並ぶ
ように構成しても良い。その場合の一例、すなわち固定
側永久磁石列36としては異磁極が交番的に配列され、
運動側永久磁石列22としては同磁極(N)が並ぶよう
にした例を図5に示す。但しこの場合は、同磁極が並ぶ
側の永久磁石列の磁極中心間角度α(図5の例では運動
側永久磁石列22の磁極Nの中心間角度)が、交番的に
異磁極が位置する側の永久磁石列における1つ置きの同
磁極の中心間角度β(図5の例では固定側永久磁石列3
6のN極中心間角度=S極中心間角度)と等しくなるよ
うに設定するのが通常である。
【0023】また上述の例では一方向運動伝達機構とし
てラチェット機構を用いているが、そのほか一方向ロー
ラクラッチなどの一方向クラッチを用いても良いことは
勿論である。
【0024】また、前述の例では一方向運動伝達機構を
運動側に設けているが、場合によっては一方向運動伝達
機構を運動側ではなく固定側に設けても良い。例えば図
6に示すように、固定側の進退盤25にラチェット45
を設けるとともに、その進退盤25に対して前記中間回
転体13と同様な中間円盤47を回転可能に取付けてお
き、その中間円盤47に、前記ラチェット45に係合す
るラチェット爪49を設けるとともに、固定側永久磁石
列36を設け、一方運動側の永久磁石列22は回転軸5
と常に一体に回転するように構成しておいても良い。
【0025】この場合には、運動側永久磁石列22の磁
極に対する固定側永久磁石列36の磁極からの磁気吸引
力/磁気反発力が運動側を加速させる方向へ作用する状
態においては、固定側の中間円盤47がラチェット4
5、ラチェット爪49の機能によって前記磁気吸引力/
磁気反発力の作用方向すなわち運動側に対する加速を吸
収する方向への回転が許容され、一方運動側永久磁石列
22の磁極に対する固定側永久磁石列36の磁極からの
磁気吸引力/磁気反発力が運動側を減速させる方向へ作
用する状態においては、固定側ラチェット45がラチェ
ット爪49に規制されて中間円盤47の回転が阻止され
るようにラチェット45、ラチェット爪49の方向性を
定めておけば良い。
【0026】図7〜図10には、この発明の他の実施例
の制動装置、特に運動部材1の運動を直線運動とし、か
つ中間保持手段41として請求項3に記載したような構
成を適用した実施例を示す。
【0027】図7〜図10において、運動部材1は、例
えば一対の直線状レール51上を車輪53に案内されて
走行する車両台車55とされている。一方固定部材23
は、一対のレール51の間の所定箇所に固定配置された
固定台57とされている。この固定台57には、車両台
車55の進行方向に沿って平行2列の固定側永久磁石列
36A,36Bが固定されている。これらの固定側永久
磁石列36A,36Bは、相互に対向する側の面に、そ
れぞれ長さ方向(車両台車進行方向)に交番的に異磁極
(N,S)が位置するように、かつ両者間の対向位置で
は互いに異なる磁極が向き合うように、それぞれ複数の
固定側永久磁石35を配列してなるものである。一方車
両台車55の下面側には、前述の2列の固定側永久磁石
列36A,36Bの間を通過し得る枠体59が固定され
ている。この枠体59は、複数の運動側永久磁石21か
らなる運動側永久磁石列22を保持する中間保持手段4
1として機能するものであり、各運動側永久磁石21を
それぞれ車両台車55の進行方向に沿った方向に所定距
離だけ摺動可能に保持する構成とされている。具体的に
は、枠体59には、車両台車55の進行方向に沿った長
矩形状の複数の長孔61が形成され、各長孔61にはそ
の長さ方向に摺動可能に各運動側永久磁石21が保持さ
れている。各運動側永久磁石21は、図9に拡大して示
すように、それぞれ一対の永久磁石片21a,21bを
磁性材からなるヨーク62によって連結して、両面側に
異磁極(N,S)があらわれるような構成とされてい
る。なおこの実施例では、各長孔61の間隔は、隣り合
う一対の長孔61における車両台車55の進行方向後方
側の縁部(以下これを規制縁部63と記す)の間の距離
1 が固定側永久磁石列36A,36Bにおける隣り合
う一対の固定側永久磁石35の磁極中心間距離L2 の4
倍に相当する距離となるように定められている。またこ
の実施例では、各運動側永久磁石21は、いずれも磁極
の方向性が同一とされている。
【0028】次に図7〜図10に示される実施例の動作
および作用を、図11、図12を参照しながら説明す
る。
【0029】図7、図8の実線で示すように車両台車5
5の枠体59に保持された運動側永久磁石列22が固定
台57の固定側永久磁石列36A,36Bの間の位置に
至っていない状態では、運動側永久磁石列22の各磁極
と固定側永久磁石列36の各磁極との間で実質的に磁力
が作用しないため、車両台車55には特に制動力は加え
られない。
【0030】そして車両台車55がさらに前進して、運
動側永久磁石列22が固定側永久磁石列36A,36B
の間の位置に至れば、次のようにして車両本体5に制動
力が与えられる。すなわち、先ず図11の(A)に示す
ように、例えば運動側永久磁石21Aの両面側の磁極
(S,N)が固定側永久磁石列36Aの永久磁石35A
Aの磁極(N)、固定側永久磁石列36Bの永久磁石3
5BAの磁極(S)に対面している状態(すなわち運動
側永久磁石21Aと固定側永久磁石35AA,35BA
とが異磁極同士で対向している状態)から、図11の
(B)の状態を経て、図11の(C)に示すように運動
側永久磁石21Aの両面側の磁極(S,N)が固定側永
久磁石35ABの磁極(S)、35BBの磁極(N)に
対面する状態(すなわち同磁極同士で対向する状態)に
至るまでの過程について説明する。この場合は、先ず運
動側永久磁石21Aの磁極と固定側永久磁石35AA,
35BAの各磁極との間で磁気吸引力が作用し、引続い
て運動側永久磁石21Aの磁極と固定側永久磁石35A
B,35BBとの間で磁気反発力が作用し、これらの磁
気吸引力/磁気反発力は、図11(B)の破線矢印Pで
示すように、車両台車55の進行を妨げる方向(車両台
車55の運動を減速させる方向)へ働く。すなわち、車
両台車55の前進に伴なって枠体59の長孔61の規制
縁部63が、前述の磁気吸引力/磁気反発力に抗して運
動側永久磁石21Aを枠体59とともに前進させ、この
とき前述の磁気吸引力/磁気反発力が制動力として枠体
59ひいては車両台車55に作用する。
【0031】次に図12の(A)に示すように例えば運
動側永久磁石21Aの磁極が固定側永久磁石35AB,
35BBの磁極に対向している状態(すなわち同磁極同
士で対向している状態)から、図12の(B)に示す状
態を経て、図12の(C)に示すように運動側永久磁石
21Aの磁極が固定側永久磁石35AC,35BCの磁
極に対向している状態(すなちわ異磁極同士で対向して
いる状態)に至る迄の間の過程を説明する。この過程で
は、図12の(A)の破線矢印Qで示すように運動側永
久磁石に対して磁気吸引力/磁気反発力が加速方向作用
するが、運動側永久磁石は長孔61内を摺動可能に保持
されているため、その加速力は枠体59、車両台車55
には与えられない。すなわち、先ず図12の(A)に示
すように同磁極同士で対向している状態から、運動側永
久磁石21Aが長孔61の規制縁部63によって若干で
も押されれば、運動側永久磁石21Aの磁極と固定側永
久磁石35AB,35BBの磁極との間の磁気反発力に
より運動側永久磁石21Aが長孔61内を枠体59に対
して相対的に前進摺動し、引続き運動側永久磁石21A
の磁極と固定側永久磁石35AC,35BCの磁極との
間の磁気吸引力によって、運動側永久磁石21Aの磁極
が固定側永久磁石35AC,35BCの磁極に対向する
位置に至る(この状態が図12の(B)の状態)。その
間も車両台車55、枠体59が前進し、最終的に図12
の(C)に示すように長孔61の規制縁部63が運動側
永久磁石21に当接するに至る。このように、運動側永
久磁石21Aに対して加速方向に磁気吸引力/磁気反発
力が作用する状態では、その磁気吸引力/磁気反発力に
より運動側永久磁石21が長孔61内を枠体59に対し
摺動し、そのため磁気吸引力/磁気反発力が枠体59、
車両台車55に対して加速方向に作用することはない。
【0032】以上のようにして、図11の(A)〜
(C)に示す状態と図12の(A)〜(C)に示す状態
とが交番的に繰返され、そのうち図11の(A)〜
(C)に示す状態において車両台車55に制動力が与え
られることになる。
【0033】図7〜図12に示される実施例では、隣り
合う一対の長孔61の規制縁部63間の距離L1 を固定
側永久磁石列36A,36Bの磁極の中心間距離L2
4倍として、1個の運動側永久磁石21に対し4個の固
定側磁石35を設けた構成としているが、隣り合う一対
の長孔61の規制縁部63間の距離L1 は要は固定側永
久磁石列36A,36Bの磁極中心間距離L2 の2倍以
上とすれば良く、例えば図13、図15に示すように固
定側永久磁石列36A,36Bの磁極の中心間距離L2
の3倍、あるいは図14、図16に示すように固定側永
久磁石列36A,36Bの磁極中心間距離L2 の2倍と
しても良い。
【0034】なおここで、長孔61の長さ(例えば図1
4のL5 )は、各運動側永久磁石21の磁極が固定側永
久磁石列36A,36Bのある永久磁石に対向する位置
から隣りの永久磁石に対向する位置まで摺動移動可能と
なるような長さとする必要があるが、図14、図16の
例では、各固定側永久磁石35の間にスペーサ38を設
けておくことによって、長孔61の規制縁部63間の距
離L1 が固定側永久磁石列36A,36Bの磁極中心間
距離L2 の丁度2倍でも、上述のような長孔61の長さ
(運動側永久磁石の摺動可能距離)L5 が確保される。
【0035】またここで、図7〜図12の例あるいは図
14の例で示すように、隣り合う一対の長孔61の規制
縁部63の間の距離L1 が、固定側永久磁石列36A,
36Bの磁極の中心間距離L2 の偶数倍の場合、全ての
運動側永久磁石21の磁極の向きを同一としておけば、
ある運動側永久磁石21Aの磁極とそれに対面する固定
側永久磁石列36A,36Bの磁極とが異磁極同士で対
向する状態では同時に他の運動側永久磁石の磁極も固定
側永久磁石列の磁極と異磁極同士で対向することにな
り、またある運動側永久磁石21Aの磁極とそれに対面
する固定側永久磁石列の磁極とが同磁極同士で対向する
状態では同時に他の運動側永久磁石も固定側永久磁石と
同磁極同士で対向することになる。したがってこの場合
は、各運動側永久磁石21を介して制動力が一斉に与え
られる状態が生じ、次の瞬間には全ての運動側永久磁石
21を介して制動力が与えられない状態(但し前述のよ
うに加速力も与えられない状態)が生じ、結局全体とし
て制動力が与えられる状態と制動力が与えられない状態
とが交番的に生じることになる。
【0036】これに対し、前記同様に隣り合う一対の長
孔61の規制縁部63の間の距離L1 が固定側永久磁石
列36A,36Bの磁極中心間距離L2 の偶数倍とされ
ているが、運動側永久磁石21の磁極の向きを、例えば
図16に示すように運動方向に交番的に異なる向きとな
るように設定しておいた場合には、ある運動側永久磁石
21Aの磁極が固定側永久磁石列36A,36Bの磁極
と同磁極同士で対向している状態では、隣りの運動側永
久磁石21Bの磁極が固定側永久磁石列36A,36B
の磁極に対し異磁極同士で対向することになり、逆に運
動側永久磁石21Aの磁極が固定側永久磁石列36A,
36Bの磁極と異磁極同士で対向している状態では、隣
りの運動側永久磁石21Bの磁極は固定側永久磁石列3
6A,36Bの磁極に対し同磁極同士で対向することに
なる。この場合は、ある運動側永久磁石21Aによって
制動力が与えられる状態では、隣りの運動側永久磁石2
1Bによっては制動力が与えられず(運動側永久磁石2
1Bが滑り移動して、加速力も与えない状態)、逆に運
動側永久磁石21Bによって制動力が与えられる状態で
は隣りの運動側永久磁石21Aによっては制動力が与え
られない状態が生じることになる。すなわちこの場合に
は、ある運動側永久磁石21Aとそれに対して1つ置き
に位置する運動側永久磁石とによって制動力が与えられ
る状態と、運動側永久磁石21Bとそれに対して1つ置
きに位置する運動側永久磁石とによって制動力が与えら
れる状態とが交番的に生じることになる。したがって車
両台車に対して制動力がほぼ連続的に与えられることに
なる。
【0037】一方、隣り合う一対の長孔61の規制縁部
63の相互間の距離L1 が固定側永久磁石列36A,3
6Bの磁極中心間距離L2 の奇数倍の場合には、前述の
ような偶数倍の場合とは丁度逆の関係となる。例えば距
離L1 が固定側永久磁石列36の磁極中心間距離L2
3倍の場合、図13に示すように複数の運動側永久磁石
21について、運動方向に交番的に異なる磁極が固定側
永久磁石列36A,36Bに対面するように設定されて
いる場合には、全ての運動側永久磁石21によって制動
力が与えられる状態と、全ての運動側永久磁石21によ
って制動力が与えられない状態とが交番的に生じ、これ
に対し図15に示すように複数の運動側永久磁石21に
ついて、各磁極の向きが同一に設定されていれば、ある
運動側永久磁石21Aおよびそれと1つ置きの運動側永
久磁石とによって制動力が与えられる状態と、前記運動
側永久磁石21Aの隣りの運動側永久磁石21Bおよび
それと1つ置きの運動側永久磁石とによつて制動力が与
えられる状態とが交番的に生じることになる。
【0038】さらに上述の関係を拡張すれば、隣り合う
一対の長孔61の規制縁部63の間の距離L1 を、固定
側永久磁石列36A,36Bの磁極の中心間距離L2
2倍以上でかつ整数倍ではない距離(磁極中心間距離L
2 の非整数倍)、例えば2.1倍、2.3倍等としてお
けば、各運動側永久磁石21ごとに固定側永久磁石列3
6A,36Bの各磁極に対面するタイミングが異なり、
そのため制動力が与えられるタイミングも各運動側永久
磁石21ごとに異なることになるから、時間と制動力と
の関係が平滑化され、滑らかに制動力が与えられること
になる。その場合の永久磁石の配列の例を図17に示
す。なおこの場合は、運動側永久磁石21の磁極の向き
は全て同一であっても、または運動方向に交互に逆方向
としても、実質的に同じ効果を得ることができる。
【0039】以上のような図7〜図17の例において
も、運動側と固定側とは全く相対的な関係にあり、した
がって固定側の永久磁石を摺動可能に保持し、運動側の
永久磁石を運動部材側に固定保持した構成としても良
い。その場合の一例を、図17の例に対応して図18に
示す。
【0040】図18における長孔61は固定台57(図
7参照)に形成されたものであって、その一方の縁部
(車両台車55の進行方向前方側の縁部)は規制縁部6
3とされている。これらの長孔61にはそれぞれ固定側
永久磁石35が摺動可能に保持され、全体として2列の
固定側永久磁石列36A,36Bが形成されている。実
際の固定側永久磁石35の保持の態様は、図9に示した
運動側永久磁石の保持の場合と同様であれば良い。さら
に複数の永久磁石21からなる運動側永久磁石列22
は、車両台車55(図7参照)の枠体59に固定されて
いる。
【0041】このような図18の例では、固定側永久磁
石35が長孔61内で運動方向前方の規制縁部63で規
制される際に制動力が与えられ、逆に長孔61内を運動
方向後方へ摺動して逃げることによって、加速力が与え
られないようになる。
【0042】もちろん図13〜図16の例も、図18の
例と同様に固定側永久磁石35を摺動させるようにする
場合に転用することがてきる。
【0043】ところで固定側、運動側の磁極間での磁気
吸引力/磁気反発力が加速方向に作用する際に、その磁
気吸引力/磁気反発力を車両台車55に作用させないよ
うにするために運動側永久磁石もしくは固定側永久磁石
を逃がす構成は、必ずしも図7〜図17に示すように車
両台車55の運動方向に沿った方向へ直線的に摺動させ
る構成とする必要はない。すなわち、要は運動側もしく
は固定側の永久磁石の逃げる方向の成分として、車両台
車55の運動方向の成分を含んでいれば良い。例えば運
動側永久磁石もしくは固定側永久磁石を回転(回動)に
よって逃がす構成とすることもできる。その場合の一例
を図19に示す。
【0044】図19において、複数の運動側永久磁石2
1からなる運動側永久磁石列22は車両台車55の枠体
59(図7参照)に固定されている。一方、固定側永久
磁石列36A,36Bを構成する固定側永久磁石35
は、それぞれ垂直な支軸71を中心として水平面内を回
動し得るように、固定台57(図7参照)に設けられて
いる。そして各固定側永久磁石35に対しては、その一
方の磁極が運動側永久磁石21の磁極に対して正面で対
向する位置から運動方向前方へは回動しないように規制
するための規制縁部63を有するストッパ73,75が
設けられている。
【0045】図19に示される実施例における動作、作
用を以下に説明する。
【0046】先ず図19の(A)に示すように、各運動
側永久磁石列22の磁極に対して各固定側永久磁石35
の磁極が異磁極でかつ正面方向に対面している状態か
ら、運動側永久磁石列22が実線矢印方向へ進行すれ
ば、例えば固定側永久磁石35AA,35BAは先ず運
動側永久磁石21Aとの間で磁気吸引力が作用し、引続
いて運動側永久磁石21Bとの間で磁気反発力が作用
し、このような磁気吸引力/磁気反発力によって固定側
永久磁石35AA,35BAは運動側永久磁石列22の
運動方向に従ってそれぞれ時計方向、反時計方向へ回動
しようとするが、その方向への回動はストッパ73,7
5の規制縁部63によって規制されているため回動せ
ず、そのため前述の磁気吸引力、磁気反発力が運動側永
久磁石列22に対して制動力として作用する。そして図
19の(B)に示すように運動側永久磁石列22の永久
磁石21Bの磁極に対して各固定側永久磁石35の磁極
が同磁極でかつ正面方向に対面する状態となる。この状
態からさらに運動側永久磁石列22が前方へ進行すれ
ば、図19の(C)に示すように、例えば固定側永久磁
石35AA,35BAと運動側永久磁石21Bとの間で
磁気反発力が作用して、固定側永久磁石35AA,35
BAが運動方向後方へ(それぞれ反時計方向、時計方向
へ)回動し、その磁極先端が、運動側永久磁石21Bの
磁極から離れる。これによって上述の磁気反発力が運動
側永久磁石列22に加速力として加わることが回避され
る。引続き運動側永久磁石列22がさらに前方へ進行す
れば、例えば固定側永久磁石35AA,35BAが、次
の運動側永久磁石21Cとの間の磁気吸引力によって運
動側永久磁石列22の進行に伴ない前述とは逆方向に回
動し、図19の(A)の状態に戻る。このときも、磁気
吸引力は固定側永久磁石35AA,35BAを復帰回動
させるための力として働くため、運動側永久磁石列2
2、車両台車55に加速力として作動しないことにな
る。
【0047】なお図19の例では、固定側永久磁石35
を回動させる構成としているが、既に述べたように固定
側と運動側とは単純に相対的な関係にあるから、固定側
永久磁石35を固定しておき、運動側永久磁石21を回
動させる構成としても良いことは勿論である。例えば図
19(A)において、符号21の永久磁石を固定側と
し、符号35の永久磁石を運動側とすれば良い。またこ
のほか、固定側永久磁石と運動側永久磁石との対応関係
(位置関係)についても、図7〜図18の各例について
述べたと同様に、種々の態様が考えられる。例えば図1
9(A)における隣り合う一対の固定側永久磁石35の
回動中心位置間の距離(すなわちストッパの規制縁部6
3の間隔と同じ)L3 を、運動側永久磁石列22の磁極
中心間距離L4 に対する2倍以上の非整数倍とすること
によって、滑らかな制動力を得ることができる。
【0048】なお以上の図7〜図19の例では、制動対
象となる直線運動部材として車両台車の例をとって説明
したが、その他の直線運動体にも適用できることは勿論
である。
【0049】また、運動部材が回転運動部材である場合
においても、図7〜図19の例を応用することができ
る。例えば、回転運動部材の側に、回転運動部材の回転
中心に対し円周方向に沿う複数の長孔を形成しておい
て、各長孔にそれぞれ運動側永久磁石を摺動可能に保持
するか、あるいは回転運動部材の側に複数の永久磁石を
それぞれ回転運動部材の回転中心と平行な軸線を中心と
して独立に回動可能に保持しておき、固定部材の側の永
久磁石列を回転運動部材の回転中心に対する円周上に固
定配列した構成とすれば良い。また逆に、固定部材の側
に回転運動部材の回転中心に対する円周に沿う長孔を設
けてこれに永久磁石を摺動可能に保持させるか、あるい
は固定部材の側に複数の永久磁石をそれぞれ回転運動部
材の回転中心と平行な軸線を中心として回動可能に保持
しておき、回転運動部材側に永久磁石列を運動部材の回
転中心に対する円周上に固定配列した構成としても良
い。
【0050】図20〜図22は、この発明のさらに他の
実施例の制動装置を示す。この実施例は、図1〜図4の
実施例と同様に運動部材が回転運動を行なう場合につい
て、一方向運動伝達機構を用いて構成したものであり、
図1〜図4の実施例と基本的に異なる点は、制動力が可
変とされている点である。
【0051】図20〜図22において、図示しない運動
部材としての回転体に結合されている回転軸5には、一
方向ローラクラッチ81を介して複数の円盤状支持体8
3が軸方向に並ぶように取付けられており、各円盤状支
持体83の外周には、フェライト磁石などの極異方性環
状磁石からなる運動側永久磁石列22が設けられてい
る。この極異方性環状磁石からなる運動側永久磁石列2
2は、図21に示すように、外周面に周方向に交番的に
異なる磁極(N,S)が位置するように着磁されたもの
である。一方、固定基台85上には、直線状をなすレー
ル状の直線ガイド87が設けられており、この直線ガイ
ド87上には、その長さ方向へ摺動可能となるように進
退枠89が設けられており、この進退枠89には回転軸
5の中心軸線の延長線上に位置するスクリュー軸91が
螺合されており、したがってこのスクリュー軸91を、
ギヤ機構95を介しサーボモータ等の回転駆動機構93
によって回転させることによって、進退枠89が前記回
転軸5の中心軸線方向に沿って進退する。前記進退枠8
9は回転軸5の中心軸線(延長線)を中心とする中空円
筒状をなすように作られており、その円筒の内周面に
は、フェライト磁石等の極異方性環状磁石からなる固定
側永久磁石列36が設けられている。この極異方性環状
磁石からなる固定側永久磁石列36は、図22に示すよ
うに、内面に周方向に交番的に異なる磁極(N,S)が
位置するように着磁されたものであり、かつその内径
は、運動側永久磁石列22の外径よりも若干大きい値に
定められている。
【0052】図20〜図22に示される実施例におい
て、進退枠89を後退させた状態、すなわち環状の運動
側永久磁石列22の外周面を同じく環状の固定側永久磁
石列36が全く取囲んでいない状態では、運動側永久磁
石列22と固定側永久磁石列36との間で磁力が実質的
に作用せず、したがって特に制動力は与えられず、回転
体はフリーに回転する状態となっている。
【0053】回転駆動機構93を駆動させて、スクリュ
ー軸91の回転により進退枠89を前進させれば、環状
の固定側永久磁石列36の内周面が環状の運動側永久磁
石列22の外周面を取囲む状態となる。そして進退枠8
9の前進量を調整することによって、環状の固定側永久
磁石列36が取囲む運動側永久磁石列22の数を変える
ことができる。環状の固定側永久磁石列36と、それに
よって取囲まれる運動側永久磁石列22との間において
は、既に図1〜図4の実施例で述べたと同様に、運動側
永久磁石列22の回転に伴なって順次磁気吸引力、磁気
反発力が作用し、かつその磁気吸引力/磁気反発力が運
動側永久磁石列22を減速させる方向へ作用する状態と
加速させる方向へ作用する状態とが交番的に生じる。そ
してその磁気吸引力/磁気反発力が減速方向へ作用する
状態では、一方向ローラクラッチ81の一方向運動伝達
機能によってその減速(したがって制動力)が回転軸5
に伝達されて回転体に制動力を与え、一方加速方向へ作
用する状態ではその加速力が回転軸5に伝達されず、結
局トータルとして制動力のみが回転体に作用することに
なる。そして、上述の磁気反発力、磁気吸引力は、環状
の固定側永久磁石列36によって取囲まれる運動側永久
磁石列22の数が多くなれば、それに伴なって大きくな
って、回転体に与えられる制動力も大きくなる。したが
って進退枠89の進退位置を調整することによって、制
動力を変えることができる。
【0054】なお上述の説明では、制動力が可変となる
理由について、環状の固定側永久磁石列36によって取
囲まれる運動側永久磁石列22の数の増減によって説明
したが、もちろん進退枠89の進退によって固定側永久
磁石列36と運動側永久磁石列22との対向面積も変化
するから、これによって制動力の微妙な調整も可能とな
っている。
【0055】また図20〜図22の実施例では、複数の
環状の運動側永久磁石列22がそれぞれ独立に一方向ロ
ーラクラッチ81を介して回転軸5に取付けられている
から、各運動側永久磁石列22の磁極の位相をずらせて
おけば(すなわち磁極中心位置をずらせておけば)、制
動力が加わるタイミングを各運動側永久磁石列ごとにず
らし、これによってトータルとして平滑な制動力を得る
ことができる。
【0056】もちろん場合によっては複数個の環状の運
動側永久磁石列を用いず幅広な1個の環状運動側永久磁
石列のみを用いても良く、この場合も既に述べたように
進退枠89の進退調整によって固定側と運動側の永久磁
石対向面積を変え、制動力を調整することができる。
【0057】さらに、図20の実施例においては、運動
側永久磁石列22の外周を固定側永久磁石列36が取囲
む構成としているが、逆に図21に示される極異方性環
状永久磁石を固定側永久磁石列として用い、図22に示
される極異方性永久磁石を運動側永久磁石列として用
い、固定側永久磁石列の外周を運動側永久磁石列が取囲
むように構成することもできる。
【0058】また図20〜図22の実施例において、一
方向ローラクラッチ81は一方向運動伝達機構を構成し
ているが、この場合も一方向ローラクラッチに代えて図
1〜図4の実施例と同様なラチェット−ラチェット爪を
用いても良いことは勿論である。さらに図20〜図22
の実施例に対する変形例として、運動側永久磁石列を運
動部材側に固定し、固定側永久磁石列を固定部材に対し
て一方向ローラクラッチもしくはラチェット−ラチェッ
チ爪を介して一方向へ回動可能に保持した構成としても
良い。
【0059】
【発明の効果】この発明の制動装置によれば、運動側、
固定側の永久磁石の相互間の磁気吸引力/磁気反発力を
利用して運動部材に制動力を与えることができ、この場
合運動部材の運動エネルギは、固定側の永久磁石や固定
部材、さらにはそれを支持する部材の内部変形により分
子エネルギとして放散されることになり、この分子エネ
ルギの少なくとも一部は熱エネルギとして放散される
が、この場合の熱エネルギは著しく広い部分、多数の部
材にわたって分散して放散されるから、単位体積当りの
熱エネルギ放散量は極くわずかに過ぎず、そのため局部
的な温度上昇を招くおそれが極めて少なく、したがって
各部材が高温となることが少ないから、各部材として耐
熱性の低い安価なものを用いることができるとともに、
耐久性も高く、そのほか冷却装置や放熱フィン等を設け
る必要もなく、さらには周囲に熱影響を及ぼすおそれも
少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の制動装置を示す部分縦断
正面図である。
【図2】図1の制動装置における運動側永久磁石列(固
定側永久磁石列)の側面図である。
【図3】図1の制動装置におけるラチェットおよびラチ
ェット爪を拡大して示す図で、図1中の矢印III の方向
で示す側面図である。
【図4】図1の制動装置における動作を説明するため
に、運動側永久磁石列と固定側永久磁石列との関係を段
階的に示す略解図である。
【図5】図1の実施例を若干変形した例について、図4
の(A)と対応して示す略解図である。
【図6】図1の実施例を変形して、一方向運動伝達機構
を固定側に設けた例について図1と対応して示す部分縦
断正面図である。
【図7】この発明の他の実施例の制動装置を示す正面図
である。
【図8】図7の制動装置の平面図である。
【図9】図7のIX−IX線における拡大断面図である。
【図10】図7のX−X線における拡大断面図である。
【図11】図7に示される制動装置の動作を、制動状態
について段階的に示すための、運動側−固定側の永久磁
石列の位置関係の略解図である。
【図12】図7に示される制動装置の動作を、非制動状
態について段階的に示すための、運動側−固定側の永久
磁石列の位置関係の略解図である。
【図13】図7の実施例を若干変形した例について、運
動側永久磁石列と固定側永久磁石列との位置関係で示す
略解図である。
【図14】図7の実施例を若干変形した例について、運
動側永久磁石列と固定側永久磁石列との位置関係で示す
略解図である。
【図15】図7の実施例を若干変形した例について、運
動側永久磁石列と固定側永久磁石列との位置関係で示す
略解図である。
【図16】図7の実施例を若干変形した例について、運
動側永久磁石列と固定側永久磁石列との位置関係で示す
略解図である。
【図17】図7の実施例を若干変形した例について、運
動側永久磁石列と固定側永久磁石列との位置関係で示す
略解図である。
【図18】図7の実施例を変形して、固定側永久磁石を
摺動可能に保持した例を、運動側永久磁石、固定側永久
磁石の部分について示す略解図である。
【図19】図7の実施例を変形して、固定側永久磁石が
回動可能に保持された例を、運動側永久磁石および固定
側永久磁石の部分についてその動作の各段階ごとに示す
略解図である。
【図20】この発明のさらに他の実施例の制動装置を示
す部分縦断正面図である。
【図21】図20の制動装置に用いられる運動側永久磁
石列を部分的に示す略解的な斜視図である。
【図22】図20の制動装置に用いられる固定側永久磁
石列を部分的に示す略解的な斜視図である。
【符号の説明】
1 運動部材 3 運動部材の一例としての回転体 11 ラチェット 13 中間保持手段の一例とての中間回転体 17 ラチェット爪 21 運動側永久磁石 22 運動側永久磁石列 23 固定部材 25 固定部材の一例としての進退盤 35 固定側永久磁石 36,36A,36B 固定側永久磁石列 41 中間保持手段 43 一方向運動伝達機構 55 運動部材の一例としての車両台車 57 固定部材の一例としての固定台

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定部材と、その固定部材に対し所定の
    運動軌跡に沿って運動する運動部材とを有し、固定部材
    の側から運動部材に対して制動力を与えるための制動装
    置において、 前記固定部材には、複数の磁極が前記運動部材の運動軌
    跡に沿って配列されるように、1または2以上の永久磁
    石からなる永久磁石列が保持され、また前記運動部材に
    は、その運動に従って磁極が順次前記固定部材側の永久
    磁石列の磁極に対向するべく、複数の磁極が前記運動軌
    跡に沿って配列されるように、1または2以上の永久磁
    石からなる永久磁石列が保持されており、しかも固定部
    材側の永久磁石列と運動部材側の永久磁石列とのうち、
    少なくとも一方の側の永久磁石列は、他方の側の永久磁
    石列に対面する側に、前記運動軌跡の方向に交互に異な
    る磁極が位置するように保持されており、さらに運動部
    材の側の永久磁石列と固定部材の側の永久磁石列とのう
    ち、いずれか一方の側の永久磁石列は、それを保持する
    部材の側に固定されており、他方の側の永久磁石列もし
    くはそれを構成する各永久磁石は、その磁極と前記一方
    の側の永久磁石列の磁極との間での磁気吸引力および/
    または磁気反発力が前記運動部材の運動を加速させる方
    向へ作用する状態では、その他方の永久磁石列を保持す
    る部材に対して磁気吸引力および/または磁気反発力の
    作用方向を含む方向へ相対的に移動可能となるように、
    また前記一方の永久磁石列の磁極との間での磁気吸引力
    および/または磁気反発力が前記運動部材を減速させる
    方向へ作用する状態では、その他方の永久磁石列を保持
    する部材に対する前記吸引力および/または磁気反発力
    の作用方向を含む方向への相対移動が規制されるよう
    に、中間保持手段を介して保持されていることを特徴と
    する制動装置。
  2. 【請求項2】 前記中間保持手段が、前記他方の永久磁
    石列とそれを保持する側の部材との間に介在する一方向
    運動伝達機構によって構成されている請求項1に記載の
    制動装置。
  3. 【請求項3】 前記中間保持手段が、前記他方の永久磁
    石列の各永久磁石をそれぞれ個別に移動可能に保持する
    とともに、各永久磁石についてそれぞれ予め定めた位置
    を越えては移動不能となるように規制する規制縁部を有
    する構成とされている請求項1に記載の制動装置。
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