JPH08216282A - 高分子フィルムのノッチの貫通方法 - Google Patents

高分子フィルムのノッチの貫通方法

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JPH08216282A
JPH08216282A JP4256995A JP4256995A JPH08216282A JP H08216282 A JPH08216282 A JP H08216282A JP 4256995 A JP4256995 A JP 4256995A JP 4256995 A JP4256995 A JP 4256995A JP H08216282 A JPH08216282 A JP H08216282A
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film
polymer film
stretching
width
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JP4256995A
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Hitoshi Koizumi
等 小泉
Yasuhiko Tanaka
泰彦 田中
Naoyuki Kobayashi
直之 小林
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Japan Steel Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 未貫通部の厚さを薄くするという高度なノッ
チ形成技術を必要とすることなく、熱可塑性高分子フィ
ルム製の品質良好な網目状構造体を容易かつ確実に製造
することができる高分子フィルムのノッチの貫通方法の
提供。 【構成】 底部に未貫通部1aを有するノッチ2を長さ
方向に延在させて複数形成した熱可塑性高分子フィルム
1を加熱し、各ノッチ2の延在方向と同一方向に延伸さ
せてノッチ2を貫通させる高分子フィルムのノッチの貫
通方法において、前記フィルム1の長さ方向の一部の線
状ないし帯状の加熱領域Hにのみ加熱を施し、ノッチ2
の延在方向への延伸を与えて該加熱領域Hに変形を集中
させることにより、未貫通のノッチ2を貫通させると共
に、延伸状況に応じて該加熱領域Hを次第に移動させ、
最終的にフィルム1の全面の延伸及び各ノッチ2の貫通
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性高分子フィル
ムのノッチの貫通方法に関し、詳しくは例えば梱包用又
は農業、土木、建築用等に用いられる熱可塑性高分子フ
ィルムの網目状構造体を得るために、フィルムを延伸さ
せてノッチを貫通させる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】熱可塑性高分子フィルムの
網目状構造体を製作する従来方法として、例えば熱可塑
性高分子フィルムの片面側にリガメント(ノッチの底部
にある未貫通部)を有する複数のノッチを入れ、このフ
ィルムをノッチの延在方向と同一方向に延伸させたとき
にフィルムの非ノッチ部の断面収縮に伴つて発生する引
張り応力をリガメント部にノッチの延在方向と直角の方
向に作用させてリガメントを破壊し、ノッチを貫通させ
ると同時に非ノッチ部を糸状に伸ばし、縦糸と横糸とを
形成し、網目状とする方法が知られている。この方法
は、一般的に加熱された雰囲気中で行われるため、フィ
ルムは全体的に加熱温度になる。
【0003】このノッチの貫通方法の実施に際しては、
リガメントを有するノッチを多数形成したフィルムをノ
ッチの延在方向と同一方向に延伸させたときに、フィル
ムの非ノッチ部の断面収縮に伴つて発生する引張り応力
により、フィルムの幅が減少しようとする。このフィル
ムの幅減少に対して拘束力が作用した場合にリガメント
部に大きな応力が発生し、その値がリガメントの破壊強
度を超えたときにノッチは貫通する。
【0004】一方、熱可塑性高分子フィルムには、延伸
によつてネッキング現象を起こすものと起こさないもの
とがあることが知られている。ネッキング現象とは、フ
ィルムを延伸させたときに、フィルム全体が加熱温度に
なつていても最初に変形が始まつたところからくびれが
生じ、そのくびれが延伸方向に伝播する形で全体の延伸
が進む現象である。
【0005】しかして、フィルムがネッキングを起こす
場合はフィルム全体が同一温度であつても変形部分は局
所的であり、フィルム幅の減少に対して拘束力が発生す
るため、変形箇所のリガメント部分に大きな引張り応力
が集中して作用し、リガメントは比較的容易に破壊す
る。しかし、ネッキングを起こさないフィルムを延伸さ
せた場合、フィルム全体が同一温度のときは変形は全体
に及び、幅の減少に対する拘束力が小さくなるため、フ
ィルム幅が大きく減少する。そのため、リガメント部分
に作用する引張り応力は小さくなり、リガメントの破壊
強度を超えられない場合が生じてノッチの未貫通部が残
り、品質不良を生ずるという技術的課題がある。このよ
うな状況を避けるため、延伸時にフィルムの幅方向の減
少をジグ等で押さえる方法もあるが、これにあつては設
備費が増大し、機構が複雑になり、場合によつては実施
が困難になる等の理由により実用的とはいえない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構成
は次の通りである。請求項1の発明は、底部に未貫通部
1aを有するノッチ2を長さ方向に延在させて複数形成
した熱可塑性高分子フィルム1を加熱し、各ノッチ2の
延在方向と同一方向に延伸させてノッチ2を貫通させる
高分子フィルムのノッチの貫通方法において、前記フィ
ルム1の長さ方向の実質的に一部の線状ないし帯状の加
熱領域Hにのみ加熱を施し、該フィルム1にノッチ2の
延在方向への延伸を与えて該加熱領域Hに変形を集中さ
せることにより、未貫通のノッチ2を貫通させると共
に、延伸状況に応じて該加熱領域Hを次第に移動させ、
最終的にフィルム1の全面の延伸及び各ノッチ2の貫通
を行うことを特徴とする高分子フィルムのノッチの貫通
方法である。請求項2の発明は、線状ないし帯状の加熱
領域Hの加熱及び延伸は、フィルム1の全幅Wで同時又
は幅方向の一端部から他端部に向かつて連続的に行うこ
とを特徴とする請求項1の高分子フィルムのノッチの貫
通方法である。請求項3の発明は、線状ないし帯状の加
熱領域Hの幅dは、ノッチ2の長さLの5倍以下に設定
されていることを特徴とする請求項1又は2の高分子フ
ィルムのノッチの貫通方法である。請求項4の発明は、
熱可塑性高分子フィルム1は、延伸時にネッキングを起
こさない材料で製作されていることを特徴とする請求項
1,2又は3の高分子フィルムのノッチの貫通方法であ
る。
【0007】
【作用】請求項1の発明によれば、リガメント1aを有
する複数のノッチ2を入れた熱可塑性高分子フィルム1
は、ノッチ2の延在方向と同一方向に延伸させ、これに
よつてリガメント1a部にノッチ2方向と直角の方向に
引張り応力を作用させ、この引張り応力を利用してリガ
メント1aを破壊させる。かくして、ノッチ2が貫通す
ると同時に非ノッチ部3が糸状に伸ばされ、縦糸と横糸
を形成した網目状構造体が製作される。
【0008】そして、この高分子フィルムのノッチの貫
通方法によれば、フィルム1の延伸領域は、所定幅dの
加熱領域H、つまりフィルム1の長さ方向の実質的に一
部の線状ないし帯状に加熱された領域であり、変形が加
熱領域Hの部分に集中され、フィルム1の幅Wの減少が
加熱領域Hに隣接する箇所のフィルム1によつて拘束さ
れる。これにより、加熱領域Hに存在するリガメント1
a部分に作用させる引張り応力を大きくすることがで
き、リガメント1aが確実に破壊されるようになる。加
熱領域Hを延伸状況に対応させて移動させることによ
り、最終的にフィルム1の全面の延伸及びノッチ2の貫
通が行われる。
【0009】請求項2の発明によれば、線状ないし帯状
の加熱領域Hの加熱及び延伸を、フィルム1の全幅Wで
同時に行えば、フィルム1の幅Wの全部にわたる線状な
いし帯状に加熱された領域がフィルム1の延伸領域とな
り、この延伸領域に存在するリガメント1a部分に作用
させる引張り応力を大きくすることができ、リガメント
1aが確実に破壊されるようになる。また、線状ないし
帯状の加熱領域Hの加熱及び延伸を、フィルム1の幅方
向の一端部から他端部に向かつて連続的に行えば、フィ
ルム1の幅方向の一部の線状ないし帯状に加熱された領
域がフィルム1の延伸領域となり、この延伸領域に存在
するリガメント1a部分に作用させる引張り応力を大き
くすることができ、リガメント1aが確実に破壊される
ようになる。そして、加熱領域Hを延伸状況に対応させ
て移動させることにより、最終的にフィルム1の全面の
延伸及びノッチ2の貫通が行われる。
【0010】請求項3の発明によれば、加熱される線状
ないし帯状の加熱領域Hの幅dはノッチ2の長さの5倍
以下の範囲に設定したので、加熱領域Hの幅dが適当に
小さくなり、加熱領域Hに隣接する箇所のフィルム1に
よる拘束作用が未貫通部に良好に集中して作用する。
【0011】請求項4の発明によれば、フィルム1の延
伸領域は、所定幅dの加熱領域Hであり、変形が加熱領
域Hの部分に集中され、フィルム1の幅Wの減少が加熱
領域Hに隣接する箇所のフィルム1によつて拘束され
る。これにより、加熱領域Hに存在するリガメント1a
部分に作用する引張り応力が大きくなり、リガメント1
aが確実に破壊される。このため、熱可塑性高分子フィ
ルム1が延伸時にネッキングを起こさない材料で製作さ
れている場合であつても、リガメント1aが確実に破壊
されて網目状構造体が良好に製作される。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1〜図3は、本発明の第1実施例に係る
ノッチの貫通方法に使用する装置を示す。図中において
符号1は熱可塑性高分子フィルムを示し、予め、図6,
図7に示す未貫通部であるリガメント1aを有する複数
のノッチ2を入れた長尺の原反から所定長さだけを切り
出してある。各ノッチ2は、フィルム1の長さ方向に延
在させて形成されている。なお、ノッチ2は、図1,図
2上では楕円形で囲む部分にだけ記載してあるが、フィ
ルム1の全幅W及び全長さ方向に所定間隔で形成され、
かつ幅方向に隣接するもの同士を長さ方向に位置をずら
せて多数を散在させてある。このフィルム1は、図2に
示すように長さ方向の両端部をそれぞれチャック10,
11によつて把持させる。このチャック10,11の少
なくともいずれか一方は、フィルム1の長さ方向(図2
に示す延伸方向Y)に移動が可能である。
【0013】そして、フィルム1の一面側には、加熱手
段としてのヒータ5をフィルム1の長さ方向に移動可能
に設置する。加熱手段であるヒータ5としては、図1,
図2に示す所定幅dの加熱領域Hが得られるものであれ
ばよく、ニクロム線などの抵抗発熱体と石英パイプなど
の耐熱性材料で構成されている棒状ヒータが一般的に用
いられるが、これに限定されるものではなく、例えば熱
風をノズルから吹き付ける方法や、レーザや赤外線のよ
うな放射線を用いる方法なども考えられる。また、ヒー
タ5の形状も一体型が一般的であるが、分割ヒータを複
数個組み合わせたものでもよい。
【0014】このようなリガメント1aを有する多数の
ノッチ2を入れた熱可塑性高分子フィルム1は、一対の
チャック10,11に延伸方向Yの相対拡幅移動を与え
てフィルム1にノッチ2の延在方向と同一方向の延伸を
与え、これによつてリガメント1a部にノッチ2の延在
方向と直角方向の引張り応力を作用させ、この引張り応
力を利用してリガメント1aを破壊させる。かくして、
ノッチ2が貫通すると同時に隣接する非ノッチ部3が糸
状に伸ばされ、透孔の周囲に縦糸と横糸を形成した網目
状構造体が製作される。
【0015】この高分子フィルムのノッチの貫通方法に
よれば、フィルム1の延伸領域は、ヒータ5による所定
幅dの加熱領域H、つまりフィルム1の幅Wの全部にわ
たる線状ないし帯状に加熱された領域であり、変形がこ
の加熱領域Hの部分に集中し、フィルム1の幅Wの減少
が加熱領域Hに隣接するフィルム1の非ノッチ部3によ
つて拘束される。これにより、加熱領域Hに存在するリ
ガメント1a部分に作用させる引張り応力を大きくする
ことができ、リガメント1aが確実に破壊されるように
なる。そして、加熱領域Hを延伸状況に対応させてフィ
ルム1の長さ方向に次第に移動させることにより、最終
的にフィルム1の全面の延伸及びノッチ2の貫通が行わ
れる。
【0016】ここで、ノッチ2のリガメント1aの破壊
作用について従来方法と比較しながら詳述する。いま、
図8に示すように従来方法によつてネッキングを起こさ
ない材料で製作されているフィルム1を所定の倍率まで
延伸させた場合には、フィルム1が全体的に変形し、全
長さ方向にわたる加熱領域Hの中央部の断面Aにおいて
は幅Wの減少に対する拘束力が小さいため、フィルム1
の断面収縮に相当する2D1の幅Wの減少が両側で生じ
る。延伸倍率が同じであれば、本来、2D1の減少が生
じるはずであるが、本発明の方法の場合には図1に示す
ように加熱領域Hひいては変形が局所的であり、加熱領
域Hの中央部の断面Aにおける幅Wの減少に対する拘束
力が大きく実質的な減少量は両側で2D2となる。な
お、D1,D2は、それぞれ延伸後のフィルム1の幅W
の片側での減少量を示す。これにより、本発明の方法に
よれば、2D1−2D2に相当する量だけの幅方向の引
張りを与えたのとほぼ同じことになり、断面Aに存在す
る各リガメント1a部に作用する引張り応力も大きくな
る。従つて、同じ延伸倍率でも本発明の方法の方がリガ
メント1aを効果的に破壊することができる。
【0017】しかして、本発明の方法は、延伸時におけ
るフィルム1のネッキングの有無に係わらずリガメント
1aの破壊に効果があり、特にネッキングを起こさない
フィルム1に対しては、従来方法にあつては生じさせ難
いリガメント1aの破壊を効果的に生じさせることがで
きる。
【0018】ところで、本発明の方法と類似した方法と
して高分子フィルム1の延伸に用いるゾーン延伸法があ
るが、これはフィルム1の結晶性を制御して主にフィル
ム1の機械的性質の向上を目的としており、本発明の方
法のノッチ2の開口を目的としたものとは基本的に目的
が異なるものである。
【0019】なお、加熱される線状ないし帯状の加熱領
域Hの幅dは、図6に示すノッチ2の長さLの5倍以下
に設定し、好ましくは2倍から4倍の範囲に設定するこ
とが望まれる。加熱領域Hの幅dが大きくなると、加熱
領域Hに隣接する非ノッチ部3による拘束作用が減殺さ
れるためである。すなわち、フィルム1の線状ないし帯
状に加熱される加熱領域Hの幅dがノッチ2の長さLの
5倍より大きくなると徐々にフィルム1の幅Wの減少に
対する拘束力が弱くなるため、ノッチ2は開口し難くな
る。しかして、現実的には、加熱領域Hをノッチ2の長
さLの2倍から4倍の範囲に設定することが適切であ
る。
【0020】ここで、本発明の方法に対する比較例とし
て従来方法について具体的に説明する。厚さ0.2m
m、幅W500mmの長尺PET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルム原反に、長さLが8mm、リガメン
ト1aの厚さが50μm、ノッチ2の延在方向の間隔が
8mmのノッチ2を、ノッチ2の延在方向が延伸方向と
同一でかつ隣り合つた2例のノッチ2と非ノッチ部3と
がほぼ互い違いに位置するようにし、原反の全幅Wにわ
たり一定なノッチ列間隔として形成した。次にこの原反
より一辺が100mmの正方形のサンプルを切り出し、
これをフィルム1として実験用延伸機で一軸延伸を施し
た。先ず、雰囲気を90℃に保つてフィルム1全体を加
熱した後、200mm/minの速度で4倍延伸を行つ
た。このようにして、線状ないし帯状の加熱領域Hの加
熱及び延伸は、フィルム1の全幅W及び全長で同時に行
つた。その結果、延伸方向の中央部分の幅は約50mm
であり、もとの幅Wの半分になつており、全てのノッチ
2は貫通していなかつた。
【0021】次に、本発明の方法の第1実施例の具体例
として、図1〜図3に示すようにPET製のフィルム1
を延伸した場合について説明する。比較例で用いたもの
と同一の原反から一辺が100mmの正方形のサンプル
を切り出し、このフィルム1を図2に示すように実験用
延伸機にセットし、両端部をそれぞれチャック10,1
1によつて把持させた。また、石英管とニクロム線でで
きている棒状のヒータ5を、密着しないようにフィルム
1面から少し離して延伸方向Yの前側のチャック11付
近にサンプルの全幅Wを横断するように設置した。次
に、フィルム1面が90℃に達してから前記比較例と同
様の条件で延伸を開始し、延伸状況に合わせて逐次棒状
のヒータ5を反延伸方向側へ移動させた。すなわち、線
状ないし帯状の加熱領域Hの加熱及び延伸はフィルム1
の全幅Wかつ全長の一部で同時に行い、図3に示す延伸
完了状態にまで進行させた。その結果、延伸完了時には
フィルム1の幅Wは約10mm減少しただけで全てのリ
ガメント1aが破壊されて全てのノッチ2が貫通してい
た。
【0022】高分子フィルムのノッチの貫通方法の第2
実施例について、図4,図5を参照して説明する。PE
T製のフィルム1は、図4に示すように両端部をそれぞ
れ固定のチャック10及び分割チャック15によつて把
持させる。分割チャック15は、フィルム1の幅方向に
複数個(本例では10個)に分割されてそれぞれ独立に
延伸方向Yに移動するチャック片15a〜15jを有す
る。
【0023】そして、フィルム1の一面側には、加熱手
段としてのヒータ5aを延伸方向Yに対して傾斜(ほぼ
45°)させて設置する。ヒータ5aは、傾斜状態のま
まで、フィルム1の幅方向に移動可能である。しかし
て、ヒータ5aによつて得られる所定幅d(フィルム1
の長さ方向)の加熱領域Hは、図4に示すように傾斜し
て得られ、ヒータ5aの幅方向(W)への移動に伴つて
フィルム1の長さ方向にも次第に移動することになる。
ヒータ5aは、第1実施例で用いたものと同様の構造の
棒状のヒータ5aで、当初その先端がフィルム1の幅方
向の一端の分割チャック15a部分に対応して(1)位
置にあり、ヒータ5aの大部分がフィルム1の外側に位
置し、延伸開始と同時にフィルム1の幅方向に所定速度
で移動するようになつており、フィルム1の対角線上に
沿う中間部の(2)位置を経て、延伸完了時には、その
後端がフィルム1の幅方向の他端に達して(3)位置を
採り、フィルム1の全面を加熱できるようになつてい
る。
【0024】このような第2実施例によれば、フィルム
1の長さ方向(延伸方向Y)の基端は一体型の固定チャ
ック10に、他端は分割チャック15の複数個のチャッ
ク片15a〜15jにそれぞれ取付け、ヒータ5aを加
熱する。そして、図4に示すように各チャック片15a
〜15jに対応するフィルム1の部分が所定の温度に達
するようにして延伸を行う。フィルム1の延伸は、分割
チャック15の内で最もヒータ5aに近いチャック片1
5aから順に一定延伸速度で移動させて始め、所定倍率
まで延伸が終了した時点で隣のチャック片15bが同様
の速度で延伸移動を始める。この工程を順次連続させて
行い、ヒータ5aの中間位置(2)においては分割チャ
ック15がヒータ5aと逆傾斜の角度で直線状に並び、
1番目のチャック片15aはこの時点で延伸移動が完了
する。引き続いて、フィルム1の延伸が連続的に行わ
れ、ヒータ5aがフィルム1の全面を加熱し終わつたと
き全体の延伸が完了し、分割チャック15の各チャック
片15a〜15jは再度横一列に並ぶ。
【0025】このようにして、線状ないし帯状の加熱領
域Hの加熱及び延伸は、フィルム1の全幅Wの実質的な
一部かつ全長の実質的な一部で行う。厳密には、線状な
いし帯状の加熱領域Hによる加熱は、ヒータ5aが中間
位置(2)を採る場合を除いて全幅Wの一部かつ全長の
一部であり、ヒータ5aが中間位置(2)を採る際に
は、傾斜状態のヒータ5aによつてフィルム1の全幅W
かつ全長で行われる。また、フィルム1の延伸は、厳密
には、ヒータ5aが中間位置(2)を採る場合を除いて
全幅Wの一部かつ全長の一部であり、ヒータ5aが中間
位置(2)を採る際には、傾斜状態のヒータ5aに対応
してフィルム1の全幅Wかつ全長で行われる。但し、ヒ
ータ5aが中間位置(2)を採る際であつても、各チャ
ック片15a〜15jに対応する長さ方向では、線状な
いし帯状の加熱領域Hによる加熱及び延伸は、あくまで
もフィルム1の一部で行われ、従つてフィルム1の全面
で行われることはない。
【0026】次に、本発明の方法の第2実施例の具体例
として、図4,図5に示すようにPET製のフィルム1
を延伸させた場合について説明する。前記比較例で用い
たものと同一の原反から一辺が100mmの正方形のサ
ンプルを切り出し、フィルム1とした。次に、フィルム
1の長さ方向(延伸方向Y)の基端を一体型の固定チャ
ック10に、先端は分割チャック15の複数個のチャッ
ク片15a〜15jにそれぞれ取付けた。
【0027】ヒータ5aを加熱し、図4に示すように各
チャック片15a〜15jに対応するフィルム1部分が
順次に所定の温度に達するようにして、フィルム1の延
伸を連続的に行つた。すなわち、線状ないし帯状の加熱
領域Hによる加熱及び延伸は、フィルム1の全幅Wの実
質的な一部かつ全長の実質的な一部で、フィルム1の一
端部から他端部に向かつて連続的に行つた。その結果、
延伸完了時には全てのリガメント1aが破壊されて全て
のノッチ2が貫通していた。図5には第2実施例による
延伸後のフィルム1を示し、延伸後のフィルム1の形状
は第1実施例の場合と同様であり、フィルム1の幅Wの
減少量も小さい。
【0028】以上、第1,第2実施例として所定の大き
さのフィルム1を延伸させる場合について説明したが、
長尺な高分子フィルム原反に対して、所定長さのフィル
ム1毎に同様の作用を連続的に与えることができること
は勿論である。
【0029】
【発明の効果】以上の説明によつて理解されるように、
本発明に係る高分子フィルムのノッチの貫通方法によれ
ば、次の効果を奏することができる。すなわち、未貫通
部の厚さを薄く形成するという高度なノッチ形成技術を
必要とすることなく、簡素な構造によつてフィルムを部
分的に加熱し変形を局所的に行わせることにより、未貫
通部に作用する引張り応力を大きくさせてノッチを貫通
させることができる。その結果、熱可塑性高分子フィル
ム製の品質良好な網目状構造体を容易かつ確実に製造す
ることができるという著効が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る高分子フィルムの
延伸状況を示す概念図。
【図2】 同じく延伸開始前の高分子フィルムを示す概
念図。
【図3】 同じく延伸終了後の高分子フィルムを示す概
念図。
【図4】 本発明の第2実施例に係る高分子フィルムの
延伸状況を示す概念図。
【図5】 同じく延伸終了後の高分子フィルムを示す概
念図。
【図6】 同じく延伸前の高分子フィルムを拡大して示
す図。
【図7】 同じく延伸前の高分子フィルムの要部を拡大
して示す断面図。
【図8】 従来方法の説明図。
【符号の説明】
1:熱可塑性高分子フィルム、1a:リガメント(未貫
通部)、2:ノッチ、5,5a:ヒータ(加熱手段)、
H:加熱領域、L:ノッチの長さ、W:フィルムの幅、
d:加熱領域の幅。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部に未貫通部(1a)を有するノッチ
    (2)を長さ方向に延在させて複数形成した熱可塑性高
    分子フィルム(1)を加熱し、各ノッチ(2)の延在方
    向と同一方向に延伸させてノッチ(2)を貫通させる高
    分子フィルムのノッチの貫通方法において、前記フィル
    ム(1)の長さ方向の実質的に一部の線状ないし帯状の
    加熱領域(H)にのみ加熱を施し、該フィルム(1)に
    ノッチ(2)の延在方向への延伸を与えて該加熱領域
    (H)に変形を集中させることにより、未貫通のノッチ
    (2)を貫通させると共に、延伸状況に応じて該加熱領
    域(H)を次第に移動させ、最終的にフィルム(1)の
    全面の延伸及び各ノッチ(2)の貫通を行うことを特徴
    とする高分子フィルムのノッチの貫通方法。
  2. 【請求項2】 線状ないし帯状の加熱領域(H)の加熱
    及び延伸は、フィルム(1)の全幅(W)で同時又は幅
    方向の一端部から他端部に向かつて連続的に行うことを
    特徴とする請求項1の高分子フィルムのノッチの貫通方
    法。
  3. 【請求項3】 線状ないし帯状の加熱領域(H)の幅
    (d)は、ノッチ(2)の長さ(L)の5倍以下に設定
    されていることを特徴とする請求項1又は2の高分子フ
    ィルムのノッチの貫通方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性高分子フィルム(1)は、延伸
    時にネッキングを起こさない材料で製作されていること
    を特徴とする請求項1,2又は3の高分子フィルムのノ
    ッチの貫通方法。
JP4256995A 1995-02-08 1995-02-08 高分子フィルムのノッチの貫通方法 Pending JPH08216282A (ja)

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