JPH08216274A - 耐熱性合成樹脂製歯車 - Google Patents

耐熱性合成樹脂製歯車

Info

Publication number
JPH08216274A
JPH08216274A JP7021986A JP2198695A JPH08216274A JP H08216274 A JPH08216274 A JP H08216274A JP 7021986 A JP7021986 A JP 7021986A JP 2198695 A JP2198695 A JP 2198695A JP H08216274 A JPH08216274 A JP H08216274A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gear
resin
resistant synthetic
synthetic resin
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7021986A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Fukuzawa
覚 福澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP7021986A priority Critical patent/JPH08216274A/ja
Publication of JPH08216274A publication Critical patent/JPH08216274A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Gears, Cams (AREA)
  • Polyethers (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 定着装置用または現像装置用に適用できる耐
熱性合成樹脂製歯車を、長期間の使用においても安定し
て耐摩耗性を発揮できるようにし、特に、繊維状強化材
を多量に添加した場合でも、そのような耐摩耗性が良好
で安定した正確な高速動作が維持できるようにする。 【構成】 ガラス繊維等の繊維状強化材を充填したポリ
フェニレンサルファイド樹脂などからなる合成樹脂製歯
車の噛合面に、一般式 −Cx 2x−O−〔xは1〜4の整数〕 で示される主要構造単位を有し、平均分子量1000〜
50000で、好ましくは末端に官能基を有するフルオ
ロポリエーテル重合体からなる表面処理部分を形成した
耐熱性合成樹脂製歯車とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐熱性合成樹脂製歯
車に関し、特に電子式写真装置の定着装置または現像装
置に適用される耐熱性合成樹脂製歯車に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機などの電子式写真装置
は、光学装置で形成された静電潜像に現像工程でトナー
を付着させ、このトナー像をコピー用紙に転写し、さら
に定着工程においてヒートローラでトナー像をコピー紙
上に加熱融着させるものである。
【0003】図1に示すように、この場合に用いられる
定着装置Aは、ヒータ1を内蔵するヒートローラ2と、
これに平行に配置されて前記ローラ面に配送されるコピ
ー紙を介して圧接する加圧ローラ3を有し、ヒートロー
ラ2の一端には合成樹脂製の歯車4が固定されている。
【0004】歯車4は、図外のモータで回転駆動される
駆動歯車5と噛合しており、回転力をヒートローラ2に
伝導し、ヒートローラ2と加圧ローラ3との対接する外
周面間に挟持されたトナー像付きのコピー紙は、移送さ
れつつ加熱加圧された条件で定着処理される。
【0005】図2〜図4に示す電子式写真装置の現像装
置Bは、トナー、キャリアなどの粉末現像剤Tを攪拌
し、これを感光ドラム表面に移送して、その表面の静電
潜像に現像剤を付着させるものである。
【0006】すなわち、図2に示すように、現像装置の
現像槽6内には現像剤Tを攪拌する複数の攪拌ローラ
7、8が平行に配置されており、セレンなどの金属周面
を有する感光ドラム9に対接する位置には現像ローラ1
0が配置されている。
【0007】図3および図4に示すように、各ローラの
7、8、10または感光ドラム9の軸端部は、現像槽6
の外側に突出しており、それぞれに合成樹脂製の歯車1
1を取り付けて、モータ12からの回転動力を入力また
は伝導する。
【0008】上記した合成樹脂製の歯車11は、トナー
の溶融定着または現像に必要な温度(いずれも約100
℃前後)まで加熱されるので、耐熱性が必要であると共
に連続して正確に動作する必要性があり、耐熱性のある
合成樹脂にガラス繊維などの繊維状強化材を充填して耐
摩耗性を確保していた。
【0009】このような歯車11は、近年特に動作の高
速化が求められ、しかも回転時の静粛性についても良好
であることが要求されており、そのために、歯車同士の
噛合面にはグリースを塗布するようにしていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の合成樹脂製の歯車4、11は、摩耗し易くて耐久性が
充分ではなく、正確な動作をすることを前提とする動作
の高速化に対応できないという問題点を有していた。
【0011】本願の発明者は、このような傾向は、歯車
の耐摩耗性をさらに向上させるべく、合成樹脂にガラス
繊維などの繊維状強化材を多量に添加した結果、繊維状
強化材の摩耗粉がグリースに保持されて噛合面に滞留す
るので、逆に歯車自身が摩耗し易くなって耐久性を充分
に改善できないためであると考えた。
【0012】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、定着装置用または現像装置用に適用でき
る耐熱性合成樹脂製歯車を、耐熱性および低騒音で駆動
できるものとすると共に、長期間の使用においても安定
して耐摩耗性を発揮できるようにし、特に、繊維状強化
材を多量に添加した場合でも、そのような耐摩耗性が良
好で安定した正確な高速動作が維持できるようにするこ
とである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明においては、耐熱性合成樹脂製歯車の噛合
面に、一般式 −Cx 2x−O−〔xは1〜4の整数〕 で示される主要構造単位を有し、平均分子量1000〜
50000のフルオロポリエーテル重合体からなる表面
処理部分を形成したのである。
【0014】または、繊維状強化材を充填した耐熱性合
成樹脂製歯車の噛合面に、一般式 −Cx 2x−O−〔xは1〜4の整数〕 で示される主要構造単位を有し、平均分子量1000〜
50000のフルオロポリエーテル重合体からなる表面
処理部分を形成したのである。
【0015】以下に、その詳細を述べる。この発明に用
いる歯車の基材用の耐熱性合成樹脂は、定着装置の通常
の連続使用温度(約200℃程度)以上の耐熱性を有す
るものであれば、特に限定されるものではないが、実用
上は射出成形ができ溶融成形可能な熱可塑性樹脂が好ま
しく、具体例としては、ポリフェニレンサルファイド系
樹脂(PPS)、ポリエーテルケトン系樹脂(PE
K)、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂(PEE
K)、ポリイミド系樹脂(PI)、ポリアミドイミド系
樹脂(PAI)、芳香族ポリエステル系樹脂(LC
P)、66ナイロン系樹脂(PA66)、46ナイロン
系樹脂(PA46)、フェノール系樹脂、ポリエーテル
イミド系樹脂(PEI)などが挙げられる。
【0016】また、これらの樹脂のそれぞれの特徴を引
き出すために、適度な配合比、例えば約1:10〜5:
5程度の範囲の配合比でPAIとPEI、PIとPA
I、PA46とPAIまたはPPS、その他にLCPや
PIなどの前記樹脂材を、それぞれ2種類以上混合した
ポリマーアロイであってもよい。このようなアロイ比で
耐熱性と寸法精度、弾性力、強度などが改善される。
【0017】そして、これら耐熱性合成樹脂に対して繊
維状強化材を添加してもよい。添加する繊維状強化材の
具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維または周知の有
機材料系の繊維であってよい。繊維の形態としては、成
形用樹脂組成物を歯車の形状に射出成形する際に、支障
がないようにするため、短繊維またはウィスカなどが好
ましい形態である。
【0018】繊維状強化材の前記樹脂材に対する添加量
は、約10〜40重量%程度、好ましくは約20〜30
重量%程度であればよい。なぜなら、繊維状強化材が上
記した所定量未満の少量では、噛合面にかかる繰り返し
応力などに耐える強度が充分になく、上記した所定量を
越える多量では、射出成形が困難になったり、所定の歯
車形状に成形できなくなるからである。
【0019】この発明に用いるフルオロポリエーテル重
合体は、歯車材料である前記した耐熱性合成樹脂に対し
て、親和性(密着性)の高い官能基で末端結合されてい
るものを採用することが好ましい。そのような官能基と
しては、例えばカルボキシル基(−COOH)、アミノ
基(−NH2 )、水酸基(−OH)、メルカプト基(−
SH)、イソシアネート基(−NCO)、サルホン基
(−SO3 H)、ビニル基(−CH=CH2 )、エポキ
シ基などが挙げられる。フルオロポリエーテル重合体の
具体例をまとめて下記の化1の式に示した。なお、式中
のm、n、p、qはそれぞれ整数である。
【0020】
【化1】
【0021】このようなフルオロポリエーテル重合体
は、単独で用いてもよいが、その場合にはエポキシ基ま
たはイソシアネート基を含有したものが好ましく、エポ
キシ基含有のフルオロポリエーテル重合体を用いる場合
には、アミン類または酸無水物を加えてエポキシ基同士
を反応させれば、官能基同士が反応して分子量が増大し
て好ましい。また、イソシアネート基を単独で用いる場
合は、スズ化合物などのイソシアネート三量化触媒を加
えると、高分子量化されて好ましい。
【0022】また、異なる官能基を有するフルオロポリ
エーテル重合体を2種類以上併用する場合には、組み合
わされた基を互いに反応させて、重合体をより高分子量
化し、耐摩耗性の優れた表面処理部分が得られるように
することが望ましい。そのような組合わせの例として
は、エポキシ基含有のフルオロポリエーテル重合体に対
して、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト
基その他の官能基を有するフルオロポリエーテル重合体
との組み合わせ、またはカルボキシル基を含有するフル
オロポリエーテル重合体と、アミノ基もしくは水酸基ま
たは両者の基を有するフルオロポリエーテル重合体を組
み合わせ、またはイソシアネート基含有のフルオロポリ
エーテル重合体と、アミノ基、カルボキシル基、水酸
基、メルカプト基、その他の官能基を有するものを組み
合わせが挙げられる。
【0023】さらにまた、上記したような官能基を有す
るフルオロポリエーテル重合体に対して、それぞれの官
能基と化学反応を起こすような官能基を有する有機化合
物を加え、フルオロポリエーテル重合体を高分子量化さ
せてもよい。この場合の例としては、イソシアネート基
含有のフルオロポリエーテル重合体に対して、エチレン
グリコールやジアミノジフェニルメタンなどを添加する
例が挙げられる。
【0024】以上述べたフルオロポリエーテル重合体
は、それ自体で樹脂製歯車の表面にかなりの親和性(密
着性)を示すものであるが、樹脂の種類によっては必ず
しも充分な密着強度がない場合も想定される。その場合
には、フルオロポリエーテル重合体からなる表面処理部
分と樹脂製歯車表面の両者に対して親和性のあるプライ
マを介在させるとよい。そのようなプライマの具体例と
しては、ポリメチルメタクリレートを枝成分とし、メチ
ルメタクリレート単位またはヒドロキシルメタクリレー
ト単位を幹成分とするグラフト重合体が挙げられる。
【0025】上記したフルオロポリエーテル重合体から
なる表面処理部分を形成するには、樹脂製歯車表面に、
適当な溶剤に溶解したフルオロポリエーテル重合体をス
プレー、浸漬などの通常の塗布方法にしたがって塗布し
た後、溶剤を蒸発させて表面処理部分を硬化させればよ
く、表面処理部分を形成した後に加熱してその成分の高
分子量化を図ることも可能である。
【0026】樹脂製歯車の表面の面粗さの谷部に付着す
るフルオロポリエーテルの表面谷部と、表面処理前の樹
脂製歯車基材の谷部との高さの差(すなわち表面谷部の
高さ、または谷部のフルオロポリエーテルの厚み)は、
好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下であ
れば、寸法精度に悪影響を及ぼさずに精密な樹脂製歯車
となる。
【0027】表面処理部分を設ける対象である歯車基材
の噛合歯面の表面粗さは、JISのRmax.Ra、R
zなどの表面粗さの測定にて、約25μm程度以下、好
ましくは約8μm程度以下、より好ましくは、約3μm
程度以下であり、例えば約25μm〜8μm程度の範囲
や、約8μm〜3μm程度の範囲であればよい。
【0028】歯車の噛合歯面の表面粗さが前記表面粗さ
よりも大きい(粗い)と、互いにかみ合う歯面同士が互
いに損傷し、摩耗が進行することが考えられる。また、
表面粗さは小さいほうが好ましいが、前記のようなフル
オロポリエーテル重合体を歯車噛合面の表面粗さ部分の
谷部に付着させるためには、適度な粗さがあるほうがよ
い。その場合には、前記フルオロポリエーテル重合体
が、歯車の噛合などによって摩耗粉となって剥がれ落ち
難いと考えられる。
【0029】また、初期の歯車のかみ合いで若干の初期
摩耗によって表面山部が僅かに削りとられても、適度に
歯車噛合面の表面粗さの山部に前記フルオロポリエーテ
ル重合体が供給されることになり、早期に理想的な摺動
状態になると考えられる。
【0030】また、歯車の噛合面を射出金型で作成する
場合に、歯車の1つ1つの歯面の表面粗さを前記の表面
粗さよりも平滑に小さくする作業を伴うため、金型作成
時において非常に時間を費やし、また、高度で精密な表
面研磨作業と技術を必要とするため、効率的でなく、コ
ストダウンにもつながり難い。
【0031】このために、耐熱・断熱性樹脂製歯車の少
なくとも噛合歯面の表面粗さは、前記のような範囲内の
表面粗さとしてもよく、また、約25μm〜3μm程度
の範囲であってもよい。
【0032】また、パーフルオロポリエーテル重合体は
非粘着性に優れているので、このような重合体を用いて
表面処理を行なうことにより、複写機装置内の若干漏れ
たトナーや、塵埃や、他のギアや摺動部から歯車を伝わ
って回転伝達されてくる摩耗粉が、歯車の表面に付着し
難くなり、このような異物などが歯車に付着して噛合面
が摩耗する不具合をほぼ解消することができる。
【0033】前記フルオロポリエーテル重合体の表面処
理部分の形成方法としては、スプレー法、浸漬法、刷毛
で塗布するなどのいずれの方法であってよいが、浸漬法
は以下の点で好ましい。なぜなら、浸漬法は、スプレー
法のような塗液の無駄がほとんどなく、また、刷毛塗り
のような塗りむらが生じることもなく、効率的に精度の
よいフルオロポリエーテル重合体の表面処理部分を形成
することができるからである。
【0034】また、このような非粘着性のフルオロポリ
エーテル重合体の表面処理部分を歯車の噛合面に形成す
ることに加えて、前記充填材の繊維状強化材または粉末
状添加剤物性としては、比抵抗がおよそ10-2Ωcm程
度以下の導電性物質または半導電性物質、また好ましく
は、比抵抗が約10-4Ωcm程度以下の導電性物質であ
ることが好ましく、これらは前記配合量と同じ程度か、
または約5〜15重量%を別途混合してもよい。
【0035】このような導電性物質としては、例えば、
鉄系金属、非鉄系金属、無機系材料などが挙げられ、具
体例としては、以下のものが挙げられる。なお、(
)内には、各々の比抵抗値を示した。
【0036】鉄(約9.71×10-6Ωcm)、酸化鉄
(約4×10-3Ωcm)、アルミニウム(約2.65×
10-6Ωcm)、カーボン(約4×10-5〜7×10-5
Ωcm)。
【0037】このなかでも、アルミニウム繊維や炭素繊
維等は、導電性、半導電性の特性を持ちつつ、補強繊維
の役割をも担うので好ましい。
【0038】このような導電性物質を前記のような範囲
量で充填することにより、フルオロポリエーテル重合体
の非粘着特性に加えて、導電性を有する歯車成形体とす
ることができるため、電子写真装置の現像装置または定
着装置などのように、帯電装置による電荷の影響による
静電気や、各動作部分から発生する静電気を各アース部
材を介して取り除くことができる。これによって、歯車
には、静電気によって前記のような塵埃などの異物が歯
車の噛合部に付着して異常摩耗が発生する事態を防止で
きると考えられる。
【0039】また、このような歯車に対して、少なくと
も隣り合ってかみ合う歯車も、このような導電物質、半
導電物質であれば、静電気は各歯車を伝わって最終的に
金属等の導電性の歯車軸から逃げて静電気を取り除くこ
とができるので、各アース部材等を省略することがで
き、例えば、静電式複写機の定着装置や現像装置を小型
化、軽量化でき、また、コストダウンにもつながる。
【0040】このような導電性、半導電性の歯車成形体
の体積抵抗率は、約10〜108 Ωcm程度以下とな
り、およそ108 Ωcm程度以下の体積抵抗率、好まし
くは約106 Ωcm程度以下のものであれば導電性が認
められ、アース部材としての役割をも担う。
【0041】もちろん、ガラス繊維等の絶縁性繊維で強
化された歯車であっても、フルオロポリエーテル重合体
の非粘着性特性により、異物は歯車に付着し難く、異物
による歯車噛合面の異常摩耗を防止できることはいうま
でもない。
【0042】
【作用】この発明の耐熱性合成樹脂製歯車は、噛合面が
フルオロポリエーテル重合体からなる表面処理部分で形
成されていて摩擦係数が低いので、噛合面をグリースで
もって潤滑する必要がなくなり、すなわち、噛合面にグ
リースが存在しないので、摩耗粉が滞留せず、摩耗粉に
よる異常摩耗が起こり難い。この傾向は、歯車を形成す
る合成樹脂に繊維状強化材を配合した場合にも同様に現
れて、良好な結果が得られる。
【0043】また、フルオロポリエーテル重合体からな
る表面処理部分で形成された噛合面は、摩擦係数が低く
なるので、歯車同士の接触抵抗が小さくなり騒音防止作
用があると予想される。
【0044】
【実施例】
〔実施例1〕ポリフェニレンサルファイド樹脂(東レ社
製:トレリナA504X90、ガラス繊維約40重量%
程度含有)を成形材料とし、射出成形によって平歯車
(内径約25mm、外径約40mm、厚さ約10mm、
モジュール1)を形成した。
【0045】成形した歯車を、イソシアネート基含有の
フルオロポリエーテル重合体(モンテカチーニ社製:フ
ォンブリンZ−DISOC、前記した化1の一般式で
示されるもの)をフレオン溶剤(旭硝子社製:アサヒク
リーン225)で100倍に希釈した塗液に浸漬し、約
60mm/分程度の速度で引上げた。そして、これを約
70℃程度で約1時間程度乾燥して表面全体にフルオロ
ポリエーテル重合体の表面処理部分が形成された試験用
歯車を得た。
【0046】乾燥温度は、約50〜80℃程度であれば
よい。約50度程度未満では、例えば溶剤の揮発温度よ
りも低いため、溶剤が充分に揮発されず、約80℃程度
を越える温度では、歯車基材に熱の影響が加わると考え
られ、樹脂製歯車基材の寸法安定性を期待出来なくなる
と考えられる。
【0047】得られた試験用歯車について、耐摩耗性と
噛合した際の相手歯車の摩耗を調べるため、以下の摩耗
試験を行ない、この結果を表1に示した。
【0048】[耐摩耗試験]試験用歯車を装着した軸を
モータにて回転数約158rpm程度で回転させると共
に、この軸をその軸表面温度が約195℃程度となるよ
うにカートリッジヒータにて加熱した。そして、試験用
歯車に噛合する相手歯車として、ナイロン66(約35
重量%程度のガラス繊維含有)からなる樹脂製歯車を採
用し、この相手歯車にパウダーブレーキの軸を組み込ん
だポリアセタール製の負荷用歯車にて約4kgf・cm
程度のトルクを負荷して約140時間程度の連続摩耗試
験を行なった。なお、前記負荷トルクは、トルクメータ
にて測定した。
【0049】この測定結果は、投影機により観察し、摩
耗が歯先の約1/3以下(○印)、摩耗が歯先の約1/
2以上(△印)、摩耗が歯先の約2/3以上(×印)の
三段階に評価し表1中に併記した。
【0050】
【表1】
【0051】〔実施例2〕実施例1における成形した歯
車に表面処理するフルオロポリエーテル重合体として、
水酸基含有のフルオロポリエーテル重合体(モンテカチ
ーニ社製:フォンブリンZ−DOL、前記した化1の一
般式で示されるもの)を採用したこと以外は、実施例
1と全く同様にして表面にフルオロポリエーテル重合体
の表面処理部分が形成された試験用歯車を得た。
【0052】得られた試験用歯車について、前記の摩耗
試験を行ない、この結果を表1中に併記した。
【0053】〔実施例3〕実施例1における成形した歯
車に浸漬表面処理するフルオロポリエーテル重合体とし
て、カルボキシル基含有のフルオロポリエーテル重合体
(モンテカチーニ社製:フォンブリンZ−DIAC、前
記した化1の一般式で示されるもの)を採用したこと
以外は、実施例1と全く同様にして表面にフルオロポリ
エーテル重合体の表面処理部分が形成された試験用歯車
を得た。
【0054】得られた試験用歯車について、前記の摩耗
試験を行ない、この結果を表1中に併記した。
【0055】〔比較例1〕実施例1における成形した歯
車に浸漬処理するフルオロポリエーテル重合体に代え
て、フッ素短鎖重合体(デュポン社製:バイダックスA
R)を採用し、これをフレオン溶剤(旭硝子社製:アサ
ヒクリーン225)に10重量%の割合で混合した塗液
に実施例1と全く同様に形成した樹脂製歯車を浸漬し、
60mm/分の速度で引上げた。そして、これを約70
℃程度で1時間乾燥し、さらに約230℃程度で約5時
間加熱処理して平歯車の表面全体にフッ素短鎖重合体の
表面処理部分が形成された試験用歯車を得た。
【0056】得られた試験用歯車について、前記の摩耗
試験を行ない、この結果を表1中に併記した。
【0057】〔比較例2〕実施例1における成形した歯
車に浸漬処理するフルオロポリエーテル重合体に代え
て、フッ素グリース(デュポン社製:クライトックスG
PL225)を採用し、これを実施例1と全く同様にし
て形成したPPS樹脂製の平歯車の噛合部に0.5g均
一に塗布した試験用歯車を採用した。
【0058】得られた試験用歯車について、実施例1と
全く同じ摩耗性試験を行ない、結果を表1中に併記し
た。
【0059】表1の結果から明らかなように、実施例1
においては、試験用歯車および噛合相手歯車の双方に充
分な耐摩耗性があることがわかる。また、試験時間中に
騒音は発生しなかった。
【0060】これに対して、所定のフルオロポリエーテ
ル重合体の表面処理部分を形成していない比較例1、2
のうち、比較例1は、相手歯車に殆ど摩耗が認められな
いものの、試験用歯車そのものが摩耗した。また、比較
例2は、試験時間が100時間を経過すると、徐々に摩
耗した。また、比較例2は、試験時間が30時間を経過
した後に摩耗が認められ、騒音も発生して140時間以
後に使用が不可能になった。
【0061】
【効果】この発明は、以上説明したように、定着装置用
または現像装置用に適用できる耐熱性合成樹脂製歯車の
噛合面を所定の分子量からなるフルオロポリエーテル重
合体の表面処理部分を形成したので、これらの歯車が、
噛合面に摩耗粉が滞留しないものとなり、耐熱性を備え
て低騒音で駆動できるようになると共に、長期間の使用
においても安定して耐摩耗性を発揮できるようになり、
特に、繊維状強化材を多量に添加した場合でも、そのよ
うな耐摩耗性が良好で安定した正確な高速動作が維持で
きるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐熱性合成樹脂製歯車を定着装置へ装着した例
を説明する定着装置の断面図
【図2】耐熱性合成樹脂製歯車を現像装置へ装着した例
を説明する現像装置の断面図
【図3】耐熱性合成樹脂製歯車の使用状態を説明する現
像装置の要部斜視図
【図4】耐熱性合成樹脂製歯車の使用状態を説明する感
光ドラムの斜視図
【符号の説明】
A 定着装置 B 現像装置 1 ヒータ 2 ヒートローラ 3 加圧ローラ 4、11 歯車 5 駆動歯車 6 現像槽 7、8 攪拌ローラ 9 感光ドラム 10 現像ローラ 12 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08G 18/50 NED C08G 18/50 NED

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性合成樹脂製歯車の噛合面に、一般
    式 −Cx 2x−O−〔xは1〜4の整数〕 で示される主要構造単位を有し、平均分子量1000〜
    50000のフルオロポリエーテル重合体からなる表面
    処理部分を形成してなる耐熱性合成樹脂製歯車。
  2. 【請求項2】 繊維状強化材を充填した耐熱性合成樹脂
    製歯車の噛合面に、一般式 −Cx 2x−O−〔xは1〜4の整数〕 で示される主要構造単位を有し、平均分子量1000〜
    50000のフルオロポリエーテル重合体からなる表面
    処理部分を形成してなる耐熱性合成樹脂製歯車。
  3. 【請求項3】 上記フルオロポリエーテル重合体が、そ
    の末端に官能基を有する重合体である請求項1または2
    に記載の耐熱性合成樹脂製歯車。
  4. 【請求項4】 上記耐熱性合成樹脂製歯車が電子写真装
    置の現像装置または定着装置用の歯車である請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の耐熱性合成樹脂製歯車。
JP7021986A 1995-02-09 1995-02-09 耐熱性合成樹脂製歯車 Pending JPH08216274A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7021986A JPH08216274A (ja) 1995-02-09 1995-02-09 耐熱性合成樹脂製歯車

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7021986A JPH08216274A (ja) 1995-02-09 1995-02-09 耐熱性合成樹脂製歯車

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08216274A true JPH08216274A (ja) 1996-08-27

Family

ID=12070358

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7021986A Pending JPH08216274A (ja) 1995-02-09 1995-02-09 耐熱性合成樹脂製歯車

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08216274A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004035656A1 (ja) * 2002-10-18 2006-02-16 旭硝子株式会社 ペルフルオロポリエーテル誘導体
JP2006132726A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 歯車装置及びこれを利用する調和型減速機
US7348701B2 (en) * 2003-12-27 2008-03-25 Samsung Electronics Co., Ltd. Driving unit and image forming apparatus

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004035656A1 (ja) * 2002-10-18 2006-02-16 旭硝子株式会社 ペルフルオロポリエーテル誘導体
US7348701B2 (en) * 2003-12-27 2008-03-25 Samsung Electronics Co., Ltd. Driving unit and image forming apparatus
JP2006132726A (ja) * 2004-11-09 2006-05-25 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 歯車装置及びこれを利用する調和型減速機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7299733B2 (ja) 電子写真用部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
EP0217528B1 (en) Release agent donor member
US5695878A (en) Fluoroelastomer members
JP5986472B2 (ja) 電子写真用部材
CN102754037B (zh) 导电性环带
EP0911704B1 (en) Developing roller
EP1093032B1 (en) Fuser member with epoxy silane cured fluoroelastomer layer, imaging process and image forming apparatus
EP0982335A4 (en) CONDUCTIVE ROLE
EP0953886B1 (en) Fuser components with polyphenylene sulfide layer
US7294377B2 (en) Fluoroelastomer members and curing methods using biphenyl and amino silane having amino functionality
JPH08216274A (ja) 耐熱性合成樹脂製歯車
JP4509274B2 (ja) 導電部材
US7127205B2 (en) Fluoroelastomer members and curing methods using biphenyl and monofunctional amino hydrocarbon
JP6341979B2 (ja) 電子写真用部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP3889891B2 (ja) ブレード
US9939746B2 (en) Electrophotographic member, process cartridge, and electrophotographic apparatus
JP4000220B2 (ja) 導電部材
JP3814361B2 (ja) 電子写真装置の現像ローラおよび現像装置
JP6363260B2 (ja) ポリウレタンエラストマーの研磨方法
US8367175B2 (en) Coating compositions for fusers and methods of use thereof
JP2008083408A (ja) 導電性ロール及びその製造方法
JP4885614B2 (ja) 導電性ローラ
JP6170828B2 (ja) ポリウレタンエラストマーからなる弾性層を有する現像ローラ
JP2001166657A (ja) クリーニングブレード
JP5013510B2 (ja) 導電性ローラ及び画像形成装置