JPH0821599A - 管網解析方法、ネットワーク最小費用流解析方法及び管網管理システム - Google Patents

管網解析方法、ネットワーク最小費用流解析方法及び管網管理システム

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JPH0821599A
JPH0821599A JP6181815A JP18181594A JPH0821599A JP H0821599 A JPH0821599 A JP H0821599A JP 6181815 A JP6181815 A JP 6181815A JP 18181594 A JP18181594 A JP 18181594A JP H0821599 A JPH0821599 A JP H0821599A
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健司 藤井
Hiromitsu Kurisu
宏充 栗栖
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照治 瀬古沢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大規模(ガス)管網に対しても、十分な精度
で、実用時間内に管網解析結果を得られる管網解析方法
とそれを用いた管網管理システムを提供する。 【構成】 図に示すようなループ構造部314とループ
を含まない木構造部315からなる(ガス)管網上でルー
プを含まない部分、即ち木構造部分については、(ガス)
圧力を考慮することなく需要量から一意に(ガス)流量を
決定することができ、木構造部分315の根となってい
る節点302の圧力さえ求まれば、木構造部分について
は末端へ向かって順次各節点の圧力を求めることがで
き、ループ構造部と木構造部を含む管網に対しての連立
方程式を解く必要はない。これに着目して、管網の木構
造部分を、根となっている節点で代表させて管網を縮約
する。木構造部分のデータは、記憶部に記憶し、元の管
網から削除し、根となっている節点には、木構造部分を
構成する全ての節点の需要量の総和量を割り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配水管網、ガス管網等
の大規模な輸送管網において、各管路の流量及び各節点
の圧力を算出する管網解析方法、ネットワーク最小費用
流解析方法と、それを用いた管網管理システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】水道事業、及びガス事業等の輸送事業に
おいて、適量の流体(水、ガス等)を製造し、需要家に
十分な圧力の流体を安定供給するために、管網内の流体
の圧力を適正に保つことが要求されている。また管路、
整圧機等の輸送施設の新増設において、適切な設備計画
立案のためには、設計段階で管網上の圧力分布の適正化
を図ることが必要とされている。よって適切な管網管理
を行うためには、管網上の圧力分布、及び流量分布を適
切に把握しておくことが必要不可欠である。管網上の圧
力流量分布を管網データに基づいて把握することを管網
解析という。管網解析問題は、各節点における流量収支
条件及び各管路における圧力平衡条件を表わす非線形代
数方程式を連立して解く問題にほかならない。
【0003】上記方程式は、通常扱われる現実の問題で
は非常に大規模で計算機負荷が大きいため、従来から求
解の高速化が試みられてきた。その一例として、電気学
会論文誌C101巻11号(昭和56年)第261頁、
論文56C−34「最小費用流計算による管路網解析
法」がある。この方法は、管網上の定常流が持つ損失エ
ネルギーに関する性質に着目して、管網解析問題をネッ
トワーク上の最小費用流問題に変換し、最小費用流問題
の高速解法であるPrimal−Dual法によりこれ
を解くものである。この方法では、流量と圧力の間に成
立する非線形な関係である圧力平衡条件を、流量に対す
る費用係数の関数とみなし、これを階段関数近似してい
る。この関数に基づいて、ネットワーク上の最小費用経
路(実際には最小費用経路木)を求め、その最小費用経
路に最大流を流し、各管路流量を変更する。上記処理を
流れが飽和するまで繰り返すことにより、最小費用の飽
和した流れを求める。上記論文では、精度を保証しかつ
計算の高速化を図るため、図2に示すような関数近似法
を提案している。流量と圧力に関し、それぞれの要求精
度から区間幅δ1、δ2を設定し、流量が小さい値のとき
は、流量軸を幅δ1で分割し、流量が大きな値になる
と、費用軸を幅δ2で分割している。これらの区間幅に
基づいて、元の関数201を、関数202のように階段
関数近似する。この方法では不必要に細かい分割がなく
なり、計算の高速化を図ることができる。
【0004】また情報処理学会論文誌29巻11号(1
988年)第1079頁、論文「最小コストフローアル
ゴリズムに基づく管路網解析問題の一解法」では、費用
係数の関数を階段関数近似するときに、費用軸を常に幅
δ2で分割するという制約を加えている。これにより、
Primal−Dual法実行時における毎回の最小費
用経路木は、前回の最小費用経路木に1回の木の初等変
換を施すことにより求まるという性質を示し、最小費用
経路木を求める計算時間を削減するアルゴリズムを提案
している。一方、特開平2−209700号公報には、
実際の管網を等価な管網モデルに縮約し、この縮約され
た管網モデルに対して管網解析を行い、管網解析結果を
元の管網に展開することにより、管網解析に要する計算
時間を削減する管網解析システムについて記載されてい
る。縮約方法の基本的な考え方は、同一の始点と終点に
接続する2本の管路を1本の管路に置き換えるというも
のである。縮約によって管網の規模を縮小することによ
り、管網解析に要する時間が短縮される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、管網の大規模
化、及び需要家へのきめ細かいサービス等のため、管網
解析を行うべき管網の規模が拡大する傾向にあり、それ
に伴って管網解析に要する時間が増加している。より適
切な管網管理を行うためには管網解析手法の高速化が必
要不可欠であり、数千個の節点を持つ大規模管網の管網
解析を、実用時間内に実行したいという要求が強まって
いる。ここで、実用時間とは、人間がストレスを感じる
ことなく、管網解析に対して待つことができる時間とし
て、例えば数分程度を考える。ダウンサイジングによる
計算機システム構成の変化から、管網解析をワークステ
ーション、さらにはパーソナルコンピュータといったよ
り小さな計算機上での実行や、計算のリアルタイム化と
いった要求が有り、より高速な解析手法が望まれてい
る。ところが大規模管網に対する解析を行うためには、
数千規模の非線形連立方程式を解かねばならない。しか
し、規模の大きさや方程式の非線形性という問題のた
め、従来の管網解析方法では実用時間内には求解できな
いという課題が生じてきた。
【0006】前掲の電気学会論文誌C101巻11号
(昭和56年)第261頁、論文56C−34「最小費
用流計算による管路網解析法」に記載の管網解析方法で
は、精度を保証しかつ計算の高速化を図るため、費用係
数の階段関数近似において、Primal−Dual法
実行中、管路流量が区間の端点に到達するたびに、次の
区間幅を、流量軸を幅δ1で分割するか、費用軸を幅δ2
で分割するか決定するための計算を行っている。全ての
管路に対してこの計算を繰り返すため、区間幅の決定に
ある程度の計算時間を必要とする。また、前掲の情報処
理学会論文誌29巻11号(1988年)第1079
頁、論文「最小コストフローアルゴリズムに基づく管路
網解析問題の一解法」に記載の管網解析方法では、Pr
imal−Dual法実行時における毎回の最小費用経
路木を求める計算時間を削減するため、費用係数を階段
関数近似するときに、費用軸を常に幅δ2で分割すると
いう制約を加えている。このとき十分な精度を保証する
ためには、分割の幅δ2を小さくする必要がある。しか
しδ2を小さくするほど、管路流量が大きくなったと
き、不必要に細かい分割が増え、Primal−Dua
l法の繰り返し計算回数が増加する。また、前掲の特開
平2−209700号公報に記載の管網解析システムに
よる縮約は非常に限られたもので効果が不充分であり、
大規模管網に対して実用時間内に管網解析を行うために
は、更に小規模の管網に縮約する必要がある。このよう
に、従来の管網解析方法では、実用時間内に十分な精度
で管網解析結果を得ることは困難であった。本発明は上
記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、
大規模管網に対しても、十分な精度で、実用時間内に管
網解析結果を得ることができる管網解析方法を提供する
ことにある。また、本発明の他の目的は、一入力一出力
のネットワーク最小費用流解析方法を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、上記管網解析方法を用
いた管網管理システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、流体を輸送する管網における各節点の需
給データと各管路の諸元データを処理装置に入力し、各
接点における圧力、および各管路における流量を求める
管網解析方法において、管網の木構造部分の接続状態と
該木構造部分の各節点の需要量を記憶手段に記憶し、各
木構造部分の根となっている節点に、木構造部分を構成
する全ての節点の需要量の総和量を割り付けて、各木構
造部分を1つの代表節点で代表させることによって管網
を縮約し、縮約された新たな管網について、各節点での
流量収支式と各管路での圧力平衡式からなる連立方程式
の解を求めることによって流力圧力分布を求め、各木構
造部分については、前記記憶手段に記憶した情報に基づ
き一意に決定される各管路の流量と各管路の諸元データ
により、木構造部分の根となっている節点の圧力から木
構造部分の末端に向かって順次各節点の圧力を求めるこ
とによって流量圧力分布を求め、管網全体の流量圧力分
布を出力するようにしている。また、仮想供給源である
ソースと各供給点および仮想消費点であるシンクと各需
要点をそれぞれ仮想管路で接続して拡張管網を求め、該
拡張管網について、全管路の流量を0に設定し、該諸元
データより得られる各管路の圧力平衡式の流量に対する
係数を費用関数とみなし、該関数を階段関数近似したと
きの関数値を各管路の費用関数として設定するステップ
1と、該費用関数に基づいてソースからシンクへの最小
費用経路木を探索するステップ2と、該最小費用経路木
から得られるソースからシンクへの最小費用経路上にお
いて、各管路の費用関数に対応した流量区間の区間幅か
ら求まる最大増加可能流量を、各管路の現在の流量に加
算するステップ3、全ての需要点からシンクへの仮想管
路の流量が需要量に等しくなったか否かを判定するステ
ップ4と、該ステップ4の判定が等しいとき、流量計算
を終了するステップ5と、該ステップ4の判定が等しく
ないとき、ステップ3の計算によって流量が現在の流量
区間の区間分割点に一致した管路については、隣接する
流量区間の区間分割点と新たな費用関数を求めるステッ
プ6と、前記最小費用経路木から、該ステップ6の処理
の対象となった管路からシンクまでを除いて残る木構造
部分のデータ記憶するステップ7と、シンクから該ステ
ップ7の処理で記憶した該木構造部分のいずれかの末端
節点に至る最小費用経路を探索して該木構造部分に接続
することによって最小費用経路木を更新するステップ8
と、前記ステップ3からステップ8の処理を、前記ステ
ップ4の判定が等しくなるまで反復することによって管
網全体の流量分布を計算し、各管路の諸元データを用い
てソースの圧力を基準にシンクに向かって順次各節点の
圧力を求め、管網全体の流量圧力分布を出力するように
している。また、前記ステップ6は、流量の許容誤差に
基づく第1の流量区間幅、圧力の許容誤差に基づく圧力
区間幅を予め決定しておき、各管路について該圧力区間
幅に対応する第2の流量区間幅が、第1の流量区間幅よ
り小さくなる境界流量値を予め求めて記憶しておき、絶
対値が該境界流量値より小さい区間では、第1の流量区
間幅を採用し、絶対値が該境界流量値より大きい区間で
は、第2の流量区間幅を求めることによって、前記隣接
する流量区間の区間分割点を求め、前記隣接する流量区
間の中点における前記流量に対する費用関数の関数値を
前記隣接する流量区間の費用関数とするようにしてい
る。また、輸送管網における各節点の需給データと各管
路の諸元データを処理装置に入力し、各接点における圧
力、および各管路における流量を求める管網解析におけ
る各管路の費用関数が増加関数で表されるような一入力
一出力ネットワーク最小費用流解析方法において、仮想
供給源であるソースと各供給点および仮想消費点である
シンクと各需要点をそれぞれ仮想管路で接続して拡張管
網を求め、該拡張管網について、全管路の流量を0に設
定し、与えられた増加費用関数を階段関数近似したとき
の関数値を各管路の費用関数として設定するステップ1
と、該費用関数に基づいてソースからシンクへの最小費
用経路木を探索するステップ2と、該最小費用経路木か
ら得られるソースからシンクへの最小費用経路上におい
て、各管路の費用関数に対応した流量区間の区間幅から
求まる最大増加可能流量を、各管路の現在の流量に加算
するステップ3、全ての需要点からシンクへの仮想管路
の流量が需要量に等しくなったか否かを判定するステッ
プ4と、該ステップ4の判定が等しいとき、流量計算を
終了するステップ5と、該ステップ4の判定が等しくな
いとき、ステップ3の計算によって流量が現在の流量区
間の区間分割点に一致した管路については、隣接する流
量区間の区間分割点と新たな費用関数を求めるステップ
6と、前記最小費用経路木から、該ステップ6の処理の
対象となった管路からシンクまでを除いて残る木構造部
分のデータ記憶するステップ7と、シンクから該ステッ
プ7の処理で記憶した該木構造部分のいずれかの末端節
点に至る最小費用経路を探索して該木構造部分に接続す
ることによって最小費用経路木を更新するステップ8
と、前記ステップ3からステップ8の処理を、前記ステ
ップ4の判定が等しくなるまで反復することによってネ
ットワーク上の最小費用流を求めるようにしている。ま
た、一入力一出力ネットワーク最小費用流解析方法にお
ける前記ステップ6は、流量の許容誤差に基づく第1の
流量区間幅、圧力の許容誤差に基づく圧力区間幅を予め
決定しておき、各管路について該圧力区間幅に対応する
第2の流量区間幅が、第1の流量区間幅より小さくなる
境界流量値を予め求めて記憶しておき、絶対値が該境界
流量値より小さい区間では、第1の流量区間幅を採用
し、絶対値が該境界流量値より大きい区間では、第2の
流量区間幅を求めることによって、前記隣接する流量区
間の区間分割点を求め、前記隣接する流量区間の中点に
おける前記流量に対する費用関数の関数値を前記隣接す
る流量区間の費用関数とするようにしている。また、需
要分布予測部と、管網データ作成部と、解析演算部と木
構造記憶部を備える管網解析部と、供給計画作成部と、
解析結果出力部を備える管網管理システムにおいて、解
析演算部は、管網データ作成部から流体を輸送する管網
における各節点の需給データと各管路の諸元データを入
力し、管網の木構造部分の接続状態と該木構造部分の各
節点の需要量を前記木構造記憶部に記憶し、各木構造部
分の根となっている節点に、木構造部分を構成する全て
の節点の需要量の総和量を割り付けて、各木構造部分を
1つの代表節点で代表させることによって管網を縮約
し、縮約された新たな管網について、各節点での流量収
支式と各管路での圧力平衡式からなる連立方程式の解を
求めることによって流力圧力分布を求め、各木構造部分
については、前記木構造記憶部に記憶した情報に基づき
一意に決定される各管路の流量と各管路の諸元データに
より、木構造部分の根となっている節点の圧力から木構
造部分の末端に向かって順次各節点の圧力を求めること
によって流量圧力分布を求め、管網全体の流量圧力分布
を出力するようにしている。
【0008】
【作用】木構造部分を記憶させて管網を縮約することに
より、解析処理を効果的に簡略化できる。そして、この
解析処理を適用することにより効率の良い管網管理シス
テムを得ることができる。また、前記解析処理を最小費
用流問題として処理し、このとき、木構造部分を記憶し
ておく方法を取ることにより、処理効率を上げることが
できる。そして、これを適用することにより一般のネッ
トワーク最小費用流問題を効率良く処理することができ
る。
【0009】
【実施例】
〈実施例1〉本発明の実施例としてガス事業における管
網管理システムを取り上げ、以下図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明を適用したガス管網管理システムの
全体構成を示す図である。本システムは、ガスの供給計
画や輸送施設の設備計画の立案を目的とし、この立案さ
れた計画に従って、ガスの製造供給やガバナ(制圧
機)、バルブの制御が行われる。十分な圧力のガスを供
給できない、また逆に圧力がかかり過ぎてしまいガス管
が破裂する、といった事態にならないために適切な計画
を立案する必要がある。本システムでは、以下のような
過程を経て、計画の立案を行っている。まず、需要分布
予測部106によって得られた需要分布に基づいて、供
給計画作成部108において、ガスの供給計画の作成を
行う。供給計画とは、各製造工場、各ホルダにおける
ガスの供給量や供給圧力、各ガバナ(整圧機)におけ
る圧力、バルブの開閉、等に関する情報を決定するこ
とである。次に、上記需要分布、及び上記供給計画に基
づいて、管網データ作成部107において、管網解析計
算のための入力とする管網データを作成する。管網デー
タとは、節点の需給データ、すなわち管網の各需要点に
おける需要量や各供給点における供給量または供給圧、
および管路の諸元データ、すなわち接続状態、抵抗係
数、管長、管径等である。最後に、上記管網データに基
づいて、管網解析部102において、管網解析を行い、
その解析結果を解析結果出力部109に表示する。同時
に、上記解析結果を供給計画作成部108に転送し、供
給計画作成部108において解析結果(圧力分布、流量
分布等)が適切であるかどうかの判断を行い、適切でな
ければ計画を修正する。適切な解析結果が得られるまで
上記処理を繰り返すことにより、適切な計画の立案を行
う。
【0010】以上のようにして、ある需要分布に基づい
た供給計画が立案される。しかし、需要分布は常に変化
するものであり、需要家に対してよりきめ細かいサービ
スを行うためには、より短い間隔で供給計画を立案し、
それに従ってガスの安定供給を図る必要がある。本シス
テムでは、本発明による管網解析手法を管網解析部10
2における管網解析計算に適用することにより、短時間
で管網解析を実行し、リアルタイムな計画の立案を可能
にしている。本発明による管網解析手法の特徴は、管網
解析の演算過程において管網の適切な木構造部分を記憶
しておき、それを用いることによって計算の効率化を実
現するものである。従って、管網解析部102は、解析
演算部104、木構造記憶部105によって構成され
る。解析演算部104で解析演算が実行され、木構造記
憶部105を用いて木構造部分のデータを記憶させた
り、読み出したりする。以下、管網解析部102におい
て行われる管網解析手法について説明する。
【0011】管網解析問題とは、管網データ、即ち各節
点の需給データ、各管路の諸元データが境界条件として
与えられたとき、各節点における圧力、及び各管路にお
ける流量を求める問題である。このとき、管路網の定常
流の性質より、各節点において、次の流量収支条件が成
り立つ。
【0012】
【数1】
【0013】ここに、 N :全節点の集合 NIN :供給点の集合 NOUT :需要点の集合(分岐点は需要量0の需要点
と考える) xj :管路jの流量(m3/h) wi :供給点iの供給量(m3/h) yi :需要点iの需要量(m3/h) A+(i):節点iを始点とする管路の集合 A-(i):節点iを終点とする管路の集合 節点が完全な供給点のときは、数1の左辺の第1項は
“0”になり、節点が完全な需要点のときは、数1の左
辺の第2項は“0”になり、節点が供給、需要に関係の
ない分岐点のときは、数1の右辺は“0”になる。更
に、各管路において、次の圧力平衡条件が成り立つ。
【0014】
【数2】
【0015】ここに、 B :全管路の集合 pi :節点iの圧力(kgf/cm2) s(j) :管路jの始点 e(j) :管路jの終点 Rj :管路jの抵抗係数 sgn(x):xの符号 である。ガスの場合r=2であり、Rjは、Weymo
uth氏の実験式によれば、以下のようになる。
【0016】
【数3】
【0017】
【数4】
【0018】ここに、 s:ガスの比重 Lj:管路jの管長(m) Dj:管路jの管径(cm) である。節点数をn、管路数をmとすると、式の数は
(数1)、(数2)で、計m+n個となる。一方、未知
数の数は、管路流量m個、供給点の供給量または圧力と
需要点の圧力でn個で、計m+n個である。よって、連
立方程式を解けば、管網上の流量、圧力分布を求めるこ
とができる。
【0019】管網の規模が増大して方程式の数が増す
と、上記方程式の解を求めるのは非常に困難となる。本
発明では、管網の中で木構造となっている部分のデータ
を記憶しておくことによって管網を効果的に縮約し、連
立させる方程式の数を大幅に削減して計算効率を上げ
る。一般に、管網上でループを含まない部分、すなわち
木構造部分については、圧力を考慮することなく需要量
から一意に流量を決定することができる。従って、木構
造部分の根となっている節点の圧力さえ求まれば、(数
2)を用いて末端へ向かって順次各節点の圧力を求める
ことができ、連立方程式を解く必要はない。このことに
着目して、管網の木構造部分を、根となっている節点で
代表させることにより管網を縮約する。木構造部分のデ
ータは、木構造記憶部105に記憶させておいて元の管
網から削除し、根となっている節点には、木構造部分を
構成する全ての節点の需要量の総和量を割り付ける。縮
約管網について(数1)および(数2)で表される方程
式を解くことによって、根となっている節点の圧力が求
まり、この圧力と木構造記憶部105のデータから削除
された木構造部分の流量と圧力も計算することができ
る。この方法では、縮約されたことによる誤差は全く生
じない。
【0020】図3に縮約の例を示す。実際の管網は、節
点301、302、及び管路308から構成されるルー
プ構造部314と、節点303〜307、管路309〜
313から構成される木構造部315とに分割できる。
木構造部315の総需要量を、木構造部315の根とな
っている節点302の需要量に加え、木構造部を削除す
ることにより、元の管網は、ループ構造部のみからなる
管網に縮約できる。
【0021】管網から木構造部分を見つけだして縮約す
るには、例えば図4のフローチャートで示す処理を用い
ればよい。まず、供給量、又は需要量が既知の節点を、
縮約可能節点(供給圧のみが既知の節点は対象外)とす
る(401)。次に、唯一の管路jの節点であり、かつ
管路jのもう一方の節点i2が縮約可能節点であるよう
な縮約実行節点i1を探す(402)。もし上記縮約実
行節点i1が存在しなければ、管網縮約処理を終了する
(403)。存在すれば、縮約実行節点i1と管路jを
管網から削除し、節点i2の需要量q2に、縮約実行節点
1の需要量q1を加えた量q1+q2を、新たに節点i2
の需要量とする(404)。但し、供給量は負の需要量
と考える。続いて、削除した管路の番号および縮約実行
節点の番号とその時点での需要量(即ち、修正後の需要
量)を順に木構造記憶部105に記憶する(405)。
再び、ステップ402に戻り、上記処理を繰り返す。
【0022】図3の(a)に示す管網モデルは(b)に
示す管網モデルに縮約される。(a)の管網のどの節点
も縮約可能節点であるとする。節点302〜307の需
要量をy2〜y7とすると、(b)の縮約管網では、節点
302の需要量がy2(管路309に流れる流量とは別
の節点302自体の需要量)からy2+y3+y4+y5
6+y7になる。縮約後の需要量が負の場合、その節点
は供給点と考える。木構造記憶部105に記憶されるデ
ータは、削除した節点と管路の番号、および削除された
節点のその時点での需要量の組である。これを削除した
順に記憶していく。図3に示した縮約の結果、(節点3
03、管路310:y3)、(節点306、管路31
2:y6)、(節点307、管路313:y7)、(節点
305、管路311:y5+y7)、(節点304、管路
309:y3+y4+y5+y6+y7)となる。y4は節点
304自体の需要量である。ここで記憶される需要量
は、削除された管路における流量も同時に意味してい
る。記憶されたときとは逆に、管路309、管路31
1、管路313、管路312、管路310の順に、各管
路における圧力平衡式を解くことにより、削除された節
点における圧力を求めることができる。本発明による木
構造部分のデータを記憶することにより管網を効果的に
縮約することについて上記に述べた。図8、図9に縮約
前と、縮約後の実際のガス管網データの例を示す。この
例では縮約によりノード数が283から104に減少
し、管路数が296から116に減少し、約1/3の規
模になる。
【0023】次に、縮約された管網について(数1)、
(数2)で記述された連立方程式を解く方法を説明す
る。この方法の中でも、木構造部分を記憶しておく方法
を応用することによってさらに計算効率を上げることが
できる。この方程式は、従来の最小費用流問題(ガス管
網解析問題においては、費用とは圧力の2乗の損失と考
えることができる。すなわち、流れにくさが費用に対応
する。)に帰着させることによって解くことができる。
最初にその定式化について説明する。まず、「仮想的な
供給点」(ソース)と「仮想的な需要点」(シンク)、
及びソースと供給点、需要点とシンクを接続する管路を
管網に新たに設定する。このとき、各管路jの単位流量
当りの費用関数uj(xj)を、以下のように設定する。
【0024】
【数5】
【0025】ここに、 BIN1:ソースと圧力指定供給点とを接続する管路の集
合 BIN2:ソースと供給量指定供給点とを接続する管路の
集合 BOUT:需要点とシンクとを接続する管路の集合であ
る。また、ソースと供給量指定供給点とを接続する管路
は、指定供給量が容量であるものとし、同じく需要点と
シンクとを接続する管路には、需要量が容量であるとす
る。その他の管路の容量は無制限とし、各管路jの容量
jを、以下のように設定する。
【0026】
【数6】
【0027】このとき、管網解析問題は、以下のような
最小費用流問題に定式化される。 制約条件:
【0028】
【数7】
【0029】
【数8】
【0030】目的関数:
【0031】
【数9】
【0032】ここで、A+(i)、A-(i)は、ソース、
シンクに流出入する仮想的な管路も含む集合とする。従
来法ではすべての供給点を圧力指定としていたが、供給
量指定の供給点についても、(数5)、(数6)に示す
ように、費用関数は十分小さく(−∝)、容量は供給量
に等しくすることで定式化可能である。
【0033】上記最小費用流問題は(数5)に示される
ように、非線形に可変な費用関数を有する。これを、階
段関数近似することにより、Primal−Dual法
を適用できるようにする。この近似方法について説明す
る。図2において201は、管路j∈Bの費用関数uj
(xj)を表しており、該費用関数は増加関数である。
流量軸を複数区間[aj(k),aj(k+1)]に分割
し、階段関数202によって費用関数202を近似す
る。区間幅を決定する場合、流量軸を等分割すると、流
量が増大したとき費用の誤差が増大する。しかし、最大
流量近傍での誤差が許容範囲に入るように区間幅を決め
ると、0近傍で不必要に細かい分割となり、計算量が増
える。費用軸を常に等分割すると逆に、流量が減少した
ときは流量の誤差が増大し、0近傍での誤差が許容範囲
に入るように区間幅を決めると、最大流量近傍で不必要
に細かい分割をすることになる。そこで、精度を保証し
かつ計算の高速化を図るため、両者を融合した区間幅決
定をする。流量軸と費用軸に関し、精度を保証するのに
十分な区間幅δ1、δ2を設定し、分割の起点をxj=0
にとる。分割点xj=aj(k)が求まっているとき、正
方向の次の分割点xj=aj(k+1)は、次式で求め
る。
【0034】
【数10】
【0035】但し、Δxjは次式の解である。
【0036】
【数11】
【0037】負方向の分割についても同様である。この
とき、区間[aj(k),aj(k+1)]におけるuj
(xj)を、次式で近似する。
【0038】
【数12】
【0039】この方法によれば、図2の階段関数202
が示すように、流量が小さい値のとき流量軸が幅δ1
分割され、流量が大きな値になると費用軸がδ2で分割
される。そこで、2種類の分割の境界点となる境界流量
値αj≧0を予め求めておき、流量軸に対して、区間
[−αj,αj]のときは、流量軸を幅δ1で分割し、そ
れ以外の区間のときは、費用軸を幅δ2で分割するよう
にして、次の分割点を決定する。αjは、次式を同時に
満たしかつδ1の整数倍であるという条件で一意に定ま
る。
【0040】
【数13】
【0041】
【数14】
【0042】ガスの場合r=2であるから、αjは解析
的に次式で得られる。
【0043】
【数15】
【0044】よって、各管路jに対して、境界流量値α
jを記憶しておくことにより、区間[−αj,αj]のと
きは、(数11)によるΔxjの計算を省略することが
できる。以降で述べるように、最小費用流問題の求解過
程において、管路の流量が更新される度に、次の分割点
を決定する計算が必要となるため、上記方法が効果的と
なる。
【0045】図5のフローチャートに基づいて、最小費
用流問題の解法であるPrimal−Dual法による
処理について説明する。この処理の特徴は、全ての管路
流量が0の状態から計算を開始し、最小費用経路問題と
最大流問題を交互に繰返し解いて流量を積み重ねてい
き、最小費用の飽和した流れを求める点にある。通常の
Primal−Dual法では、費用関数が一定である
ことを前提としているが、以下に示す方法は、前述した
ような階段関数状に可変な費用関数の場合に適用できる
ように拡張されている。各管路jの流量、容量、費用関
数をそれぞれxj、aj、Uj、所定の総需要量をv、計
算過程での総流出量をqとする。初めにq=0、即ち各
管路jの流量をxj=0とし、各管路jの正方向の費用
関数dj+、負方向の費用関数dj-を以下のように設定す
る(501)。
【0046】
【数16】
【0047】
【数17】
【0048】ただし、k=0である。上記費用関数に基
づいて、ソースからシンクに至る最小費用経路を求める
(502)。最小費用経路の探索においては、ソースか
ら各節点に至るまでの最小費用も共に算出される。その
ため、実際にはソースからシンクに至る最小費用経路木
が生成される。q=Qの時の各管路jの流量をxj(OLD)
とするとき、最小費用経路に沿って増加可能な最大量Δ
qを、次式によって算出し、
【0049】
【数18】
【0050】
【数19】
【0051】各管路jの新たな流量xj(NEW)を、
【0052】
【数20】
【0053】と変更し、q=Q+Δqとする(50
3)。ただし、 P+:最小費用経路に順方向で含まれる管路の集合 P-:最小費用経路に逆方向で含まれる管路の集合 である。このとき、流れが飽和しているかどうか、即ち
q=vかどうかを判定する(504)。もし流れが飽和
しているならば計算を終了する。飽和していないなら
ば、最小費用経路上で、変更後の流量が区間分割点に一
致した管路はkを更新して新たな区間分割点aj(k+
1)および費用関数Uj(k+1)を求め、再び(数1
6)、(数17)により正負両方向の費用関数を設定す
る(505)。但し、流量が区間の下限に一致したとき
はkをk−1に、上限に一致したときはkをk+1に更
新する。
【0054】従来法ではここでステップ502に戻り、
更新された費用関数に基づく最小費用経路木TNEWを新
たに生成していた。しかし、反復の度に新たな最小費用
経路木TNEWを生成するのは計算負荷が大きい。そこで
本発明では、前回の最小費用経路木TOLDの一部を木構
造データとして記憶しておき、これを利用することによ
って次回の最小費用経路木TNEWの生成の手間を省く。
ステップ505で費用を変更した管路以降の部分木T
SUB2をTOLDから除いて残る部分木TSUB1の木構造デー
タを記憶する(506)。そして、TSUB1のいずれかの
適当な節点から、シンクに至る最小経路木TSUB3を探索
し、記憶しておいたTSUB1に結合することによってT
NEWを生成する(507)。ここでステップ503に戻
りステップ504の条件が満たされるまで反復する。
【0055】図6は、本発明による方法の過程で、最小
費用経路木TOLDから新たな最小費用経路木TNEWが生成
される具体例を示したものである。図6(a)のネット
ワークの太線部分は、前回生成されたソース601から
シンク608に至る最小費用経路木TOLDを表してい
る。最小費用経路610、613、616、620に最
大流を流したとき、管路616において初めて、流量が
ある区間の端点に到達したとする。このとき、管路61
6以前の管路は費用が修正されないため、管路616以
降の部分木TSUB2(管路616、620)を木TOLD
ら除いた木構造部分TSUB1は、新たに生成される最小費
用経路木TNEWの部分木になる。残りの部分のネットワ
ーク(節点606、607、608、管路616、61
7、619、620、621)において、TSUB1のいず
れかの節点から、シンク608に至る最小経路木TSUB3
(管路617、620)を新たに生成する。例えば、シ
ンクからソースに向けて、TSUB1上の節点に到達するま
で最小費用経路木TSUB3の生成を行う。TSUB1とTSUB3
結合することにより、図6(b)のネットワークの太線
部分によって表されているTNEWを生成できる。ソース
からシンクに至る最小費用経路木が求まり、最小費用経
路探索の高速化を図ることができる。
【0056】以上述べてきた管網解析方法により、従来
に比べて高速に解析結果を得ることができる。本発明に
よる方法は、木構造部分を効果的に利用することが特徴
であり、図1に示したシステムでは、管網解析部102
において解析演算部104の他に木構造記憶部105を
設けたことが特徴である。通常の計算機上で、解析演算
部104はソフトウエアモジュールで、木構造記憶部1
05はメモリの一部分であってもシステムは構築可能で
あるが、専用の装置とすればさらに効果的である。高速
に解析結果を得ることができるため、運用計画を目的と
した管網管理システムでは、計画の周期を短縮できるよ
うになり、より正確な管理を行うことができる。また計
算手法の効率化であるため、解析演算を行う装置の低コ
スト化にも寄与する。
【0057】〈実施例2〉本発明の第2の実施例として
水道事業における管網管理システムを取り上げ、以下図
面に基づいて説明する。図7は、配水管網における流量
圧力分布の監視や制御を目的とした管網管理システムの
全体構成を示す図である。本システムによる監視制御の
ながれを図7に基づいて説明する。まず、需要分布予測
部706によって得られた需要分布および管網制御部7
10から出力されるポンプやバルブの操作指令値に基づ
き、管網データ作成部707において、管網解析計算の
入力とする管網データを作成する。管網データは、節点
の需給データ、すなわち管網の各需要点における需要量
や各供給点における供給量や供給圧力、および管路の諸
元データ、すなわち接続状態、抵抗係数、管長、管径等
である。操作指令値であるポンプの運転状態やバルブの
開度は、各管路の抵抗係数に反映される。上記管網デー
タを入力として、管網解析部102において管網解析を
行い、解析結果を出力する。管網制御部710では、解
析結果に基づいて操作指令値を決定し、ポンプ711や
バルブ712へ送信する。解析結果出力部709では、
図面データ管理部708から出力される図面データと解
析結果に基づいた流量圧力分布図を作成して表示や印刷
を行う。解析結果出力部709による出力は、管網監視
に用いられる。
【0058】管網解析部102において行われる管網解
析問題は、各節点における流量収支条件、
【0059】
【数21】
【0060】ここに、 N :全節点の集合 NIN :供給点の集合 NOUT :需要点の集合(分岐点は需要量0の需要点
と考える) xj :管路jの流量(m3/h) wi :供給点iの供給量(m3/h) yi :需要点iの需要量(m3/h) A+(i):節点iを始点とする管路の集合 A-(i):節点iを終点とする管路の集合 と、各管路における圧力平衡条件、
【0061】
【数22】
【0062】ここに、 B :全管路の集合 pi :節点iの圧力(kgf/cm2) s(j) :管路jの始点 e(j) :管路jの終点 Rj :管路jの抵抗係数 sgn(x):xの符号 からなる連立方程式である。実施例1のガスとの相違点
は、圧力平衡条件の左辺の節点圧力の指数が1で、右辺
の管路流量の指数がr=1.85である点である。ま
た、Rjは、Hazen−Williams氏の実験式
によれば、以下のようになる。
【0063】
【数23】
【0064】ここに、 Cj:管路jの流速係数 Lj:管路jの管長(m) Dj:管路jの管径(cm) である。この問題は、実施例1と全く同様にして解くこ
とができる。ただし、費用関数を階段関数近似する場合
の区間幅決定法において、境界流量値αjは、配水系の
場合r=1.85であるため、(数15)のように解析
的には得られない。しかし、Newton法等の繰り返
し計算により予め求めておくことは可能であるため、同
様の方法がとれる。従って、管網解析部102において
リアルタイムな管網解析を実行し、きめ細かい制御や監
視が可能となる。
【0065】尚、本発明の求解方法は、本実施例では管
網解析問題の求解方法として記述したが上記実施例1、
2から判るように、本来は最小費用流問題に対する求解
方法である。上記管網解析問題は実施例1で示したよう
に最小費用流問題に変換できるため本方法が適用できる
のであって、本方法はノード(節点)、及びアーク(管
路)からなるネットワークにおいて、各アークの費用関
数が増加関数で表わされるような全ての最小費用流問題
に対して適用可能である。「ネットワーク理論」 19
76年9月27日、日化技連発行、伊理正夫、古林 隆
著(p81〜)では、最小費用流問題の求解方法をいく
つか紹介し、最小費用流問題の一例であるヒッチコック
型輸送問題にその方法を適用している。本発明の方法は
勿論輸送問題に対しても適用可能であり、例えば、電力
事業において配電管網の電力分布を把握するには、電圧
が圧力、電流が流量に対応していると考えれば、上記水
やガスの管網解析方法がそのまま適用できる。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、大
規模管網に対しても、十分な精度でかつ短時間に管網解
析結果を得ることが可能になるため、よりきめ細かい管
網管理が可能になる。更に、高速かつ高価な計算機を使
う必要がなくなり、低価格な計算機へのダウンサイジン
グが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス管網管理システムの全体構成を示す図であ
る。
【図2】費用関数の階段関数近似を説明する図である。
【図3】管網縮約の例を示す図である。
【図4】本発明を適用した管網縮約処理のフローチャー
トを示す図である。
【図5】本発明を適用したPrimal−Dual法に
よる処理のフローチャートを示す図である。
【図6】最小費用径路木から新たな最小費用径路木が生
成される具体例を示す図である。
【図7】配水管網管理システムの全体構成図を示す図で
ある。
【図8】縮約前の実際のガス管網データを示す図であ
る。
【図9】縮約後の実際のガス管網データを示す図であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体を輸送する管網における各節点の需
    給データと各管路の諸元データを処理装置に入力し、各
    接点における圧力、および各管路における流量を求める
    管網解析方法において、 管網の木構造部分の接続状態と該木構造部分の各節点の
    需要量を記憶手段に記憶し、 各木構造部分の根となっている節点に、木構造部分を構
    成する全ての節点の需要量の総和量を割り付けて、各木
    構造部分を1つの代表節点で代表させることによって管
    網を縮約し、 縮約された新たな管網について、各節点での流量収支式
    と各管路での圧力平衡式からなる連立方程式の解を求め
    ることによって流力圧力分布を求め、 各木構造部分については、前記記憶手段に記憶した情報
    に基づき一意に決定される各管路の流量と各管路の諸元
    データにより、木構造部分の根となっている節点の圧力
    から木構造部分の末端に向かって順次各節点の圧力を求
    めることによって流量圧力分布を求め、 管網全体の流量圧力分布を出力することを特徴とする管
    網解析方法。
  2. 【請求項2】 流体を輸送する管網における各節点の需
    給データと各管路の諸元データを処理装置に入力し、各
    接点における圧力、および各管路における流量を求める
    管網解析方法において、 仮想供給源であるソースと各供給点および仮想消費点で
    あるシンクと各需要点をそれぞれ仮想管路で接続して拡
    張管網を求め、該拡張管網について、 全管路の流量を0に設定し、該諸元データより得られる
    各管路の圧力平衡式の流量に対する係数を費用関数とみ
    なし、該関数を階段関数近似したときの関数値を各管路
    の費用関数として設定するステップ1と、 該費用関数に基づいてソースからシンクへの最小費用経
    路木を探索するステップ2と、 該最小費用経路木から得られるソースからシンクへの最
    小費用経路上において、各管路の費用関数に対応した流
    量区間の区間幅から求まる最大増加可能流量を、各管路
    の現在の流量に加算するステップ3、 全ての需要点からシンクへの仮想管路の流量が需要量に
    等しくなったか否かを判定するステップ4と、 該ステップ4の判定が等しいとき、流量計算を終了する
    ステップ5と、 該ステップ4の判定が等しくないとき、ステップ3の計
    算によって流量が現在の流量区間の区間分割点に一致し
    た管路については、隣接する流量区間の区間分割点と新
    たな費用関数を求めるステップ6と、 前記最小費用経路木から、該ステップ6の処理の対象と
    なった管路からシンクまでを除いて残る木構造部分のデ
    ータ記憶するステップ7と、 シンクから該ステップ7の処理で記憶した該木構造部分
    のいずれかの末端節点に至る最小費用経路を探索して該
    木構造部分に接続することによって最小費用経路木を更
    新するステップ8と、 前記ステップ3からステップ8の処理を、前記ステップ
    4の判定が等しくなるまで反復することによって管網全
    体の流量分布を計算し、各管路の諸元データを用いてソ
    ースの圧力を基準にシンクに向かって順次各節点の圧力
    を求め、管網全体の流量圧力分布を出力することを特徴
    とする管網解析方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の管網解析方法において、 前記ステップ6は、 流量の許容誤差に基づく第1の流量区間幅、圧力の許容
    誤差に基づく圧力区間幅を予め決定しておき、 各管路について該圧力区間幅に対応する第2の流量区間
    幅が、第1の流量区間幅より小さくなる境界流量値を予
    め求めて記憶しておき、 絶対値が該境界流量値より小さい区間では、第1の流量
    区間幅を採用し、 絶対値が該境界流量値より大きい区間では、第2の流量
    区間幅を求めることによって、前記隣接する流量区間の
    区間分割点を求め、前記隣接する流量区間の中点におけ
    る前記流量に対する費用関数の関数値を前記隣接する流
    量区間の費用関数とすることを特徴とする管網解析方
    法。
  4. 【請求項4】 輸送管網における各節点の需給データと
    各管路の諸元データを処理装置に入力し、各接点におけ
    る圧力、および各管路における流量を求める管網解析に
    おける各管路の費用関数が増加関数で表されるような一
    入力一出力ネットワーク最小費用流解析方法において、 仮想供給源であるソースと各供給点および仮想消費点で
    あるシンクと各需要点をそれぞれ仮想管路で接続して拡
    張管網を求め、該拡張管網について、 全管路の流量を0に設定し、与えられた増加費用関数を
    階段関数近似したときの関数値を各管路の費用関数とし
    て設定するステップ1と、 該費用関数に基づいてソースからシンクへの最小費用経
    路木を探索するステップ2と、 該最小費用経路木から得られるソースからシンクへの最
    小費用経路上において、各管路の費用関数に対応した流
    量区間の区間幅から求まる最大増加可能流量を、各管路
    の現在の流量に加算するステップ3、 全ての需要点からシンクへの仮想管路の流量が需要量に
    等しくなったか否かを判定するステップ4と、 該ステップ4の判定が等しいとき、流量計算を終了する
    ステップ5と、 該ステップ4の判定が等しくないとき、ステップ3の計
    算によって流量が現在の流量区間の区間分割点に一致し
    た管路については、隣接する流量区間の区間分割点と新
    たな費用関数を求めるステップ6と、 前記最小費用経路木から、該ステップ6の処理の対象と
    なった管路からシンクまでを除いて残る木構造部分のデ
    ータ記憶するステップ7と、 シンクから該ステップ7の処理で記憶した該木構造部分
    のいずれかの末端節点に至る最小費用経路を探索して該
    木構造部分に接続することによって最小費用経路木を更
    新するステップ8と、 前記ステップ3からステップ8の処理を、前記ステップ
    4の判定が等しくなるまで反復することによってネット
    ワーク上の最小費用流を求めることを特徴とするネット
    ワーク最小費用流解析方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のネットワーク最小費用流
    解析方法において、 前記ステップ6は、 流量の許容誤差に基づく第1の流量区間幅、圧力の許容
    誤差に基づく圧力区間幅を予め決定しておき、 各管路について該圧力区間幅に対応する第2の流量区間
    幅が、第1の流量区間幅より小さくなる境界流量値を予
    め求めて記憶しておき、 絶対値が該境界流量値より小さい区間では、第1の流量
    区間幅を採用し、 絶対値が該境界流量値より大きい区間では、第2の流量
    区間幅を求めることによって、前記隣接する流量区間の
    区間分割点を求め、前記隣接する流量区間の中点におけ
    る前記流量に対する費用関数の関数値を前記隣接する流
    量区間の費用関数とすることを特徴とするネットワーク
    最小費用流解析方法。
  6. 【請求項6】 需要分布予測部と、管網データ作成部
    と、解析演算部と木構造記憶部を備える管網解析部と、
    供給計画作成部と、解析結果出力部を備える管網管理シ
    ステムにおいて、 解析演算部は、管網データ作成部から流体を輸送する管
    網における各節点の需給データと各管路の諸元データを
    入力し、管網の木構造部分の接続状態と該木構造部分の
    各節点の需要量を前記木構造記憶部に記憶し、 各木構造部分の根となっている節点に、木構造部分を構
    成する全ての節点の需要量の総和量を割り付けて、各木
    構造部分を1つの代表節点で代表させることによって管
    網を縮約し、 縮約された新たな管網について、各節点での流量収支式
    と各管路での圧力平衡式からなる連立方程式の解を求め
    ることによって流力圧力分布を求め、 各木構造部分については、前記木構造記憶部に記憶した
    情報に基づき一意に決定される各管路の流量と各管路の
    諸元データにより、木構造部分の根となっている節点の
    圧力から木構造部分の末端に向かって順次各節点の圧力
    を求めることによって流量圧力分布を求め、 管網全体の流量圧力分布を出力することを特徴とする管
    網管理システム。
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