JPH08209208A - 急冷凝固金属粉末の製造方法及び製造装置 - Google Patents

急冷凝固金属粉末の製造方法及び製造装置

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JPH08209208A
JPH08209208A JP27921595A JP27921595A JPH08209208A JP H08209208 A JPH08209208 A JP H08209208A JP 27921595 A JP27921595 A JP 27921595A JP 27921595 A JP27921595 A JP 27921595A JP H08209208 A JPH08209208 A JP H08209208A
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彰一 吉野
Hiroshi Isaki
博 伊崎
Masanori Yoshino
正規 吉野
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文男 笠井
Naoji Isshiki
尚次 一色
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却効率のよい、しかも連続して急冷凝固金
属粉末の製造が可能な製造方法及びその製造装置を提供
できるようにする。 【解決手段】 高速移動する冷却液層12中に金属溶湯
18を供給し、急冷凝固させて金属粉末を得る急冷凝固
金属粉末の製造方法において、内周面が下方向に漸次径
小とされた漏斗部2を有する冷却容器1の漏斗部2上端
部外周側より、冷却液6を噴出供給して漏斗部2内周面
に沿って旋回させながら流下させると共に、その旋回に
よる遠心力作用で、中心側に空洞を有する層状の旋回冷
却液層12を形成し、この旋回冷却液層12の内周面側
より金属溶湯18を供給して急冷凝固させ、金属粉末を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミ合金等、各種金
属溶湯を高速移動する冷却液層中に供給することによ
り、溶湯を急冷凝固させて金属粉末を製造する急冷凝固
金属粉末の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の製造装置としては、図3に示さ
れる構造の装置があり、101 はコップ状の有底回転ドラ
ムで、上面に開口部102 が備えられている。回転ドラム
101 の底部103 中心下面側にはモータ等の駆動装置によ
って回転駆動される回転駆動軸104 が連結されており、
回転駆動軸104 の回転に伴って回転ドラム101 は上下方
向の軸心回りに回転駆動される。また回転ドラム101 内
には冷却液としての冷却水105 が収容されている。
【0003】106 は有底円筒状の噴射ルツボで、下端一
側には噴射ノズル107 が開孔形成されており、上端部の
投入口108 には密閉用の蓋体109 が着脱自在に装着され
ている。また蓋体109 には噴射ルツボ106 内に連通する
連通路110 が形成されており、アルゴンガス等の加圧圧
媒が噴射ルツボ106 内に供給できるよう構成されてい
る。
【0004】111 は噴射ルツボ106 の外周に設けられた
加熱装置としての高周波加熱コイルで、噴射ルツボ106
の上下方向略全長に亘って設置されている。そして、回
転ドラム101 を回転させれば、回転遠心力により内周面
側に水105が層状に張り付き保持される。一方、噴射ル
ツボ106 内には、高周波加熱コイル111 の作動により溶
解されて所定温度に加熱された金属溶湯112 が収容さ
れ、加圧圧媒による内圧上昇によって金属溶湯112 は噴
射ノズル孔107 を通じて噴出飛散され、前記高速移動す
る水105 の層の内周面側に衝突させることにより溶湯粒
子が急速冷却され、凝固し、ここに金属粉末が得られる
方法が採用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法によれば、回転ドラム101 の水105 内に噴出されて冷
却凝固した金属粉末が所定量に達すれば、一旦、回転ド
ラム101 の回転を停止して、製造された金属粉末を回転
ドラム101 内より取出す必要がある、所謂バッチ方式で
あるため、連続して金属粉末を製造することができず、
生産性が悪い欠点があった。また回転ドラム101 の回転
に伴って水105 が回転され、回転ドラム101 の内周面側
に回転遠心力によって水105 が層状に張り付き保持され
る方法であり、従って回転ドラム101 の内周面側に形成
された高速移動する水105 の層は、図4に示される如
く、溶湯粒子ないし、半凝固粒子が遠心力によりドラム
内面に達すると水105 の厚さ方向に対して相対的に静止
状と考えられる水105 中内に金属溶湯112 が供給された
状態と同等となり、溶湯粒子113 の周囲に発生する蒸気
が離脱され難く、冷却効率が悪い欠点があった。また常
に同一面上にて溶湯粒子が供給されるため、この部分の
水温が部分的に上昇し、冷却速度がバラツク原因にもな
っている。
【0006】そこで、本発明は上記問題点に鑑み、冷却
効率のよい、しかも連続して急冷凝固金属粉末の製造が
可能な製造方法及びその製造装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本発明の方法は、高速移動する冷却液層中に
金属溶湯を供給し、急冷凝固させて金属粉末を得る急冷
凝固金属粉末の製造方法において、内周面が下方向に漸
次径小とされた漏斗部を有する冷却容器の漏斗部上端部
外周側より、冷却液を噴出供給して漏斗部内周面に沿っ
て旋回させながら流下させると共に、その旋回による遠
心力作用で、中心側に空洞を有する層状の旋回冷却液層
を形成し、この旋回冷却液層の内周面側より金属溶湯を
供給して急冷凝固させ、金属粉末を得る点にある。
【0008】また、上記方法を実施するための本発明の
装置は、内周面が下方向に漸次径小とされた漏斗部を有
する冷却容器と、前記漏斗部の上端部外周側より、旋回
流を形成すべく冷却液を噴出供給すると共に、該冷却液
の旋回による遠心力作用で、漏斗部の内周面に中心側が
空洞とされた層状の旋回冷却液層を形成しながら流下さ
せる冷却液供給機構と、前記旋回冷却液層の内周面側よ
り該冷却液層中に金属溶湯を供給する金属溶湯供給機構
とを備えてなる点にある。
【0009】
【作用】上記した本発明の製造方法によれば、冷却容器
1 の漏斗部2 上端部外周側より冷却液6 を噴出供給する
ことによって、漏斗部2 内周面に沿って旋回しながら流
下する旋回冷却液層12を形成し、この旋回冷却液層12の
内周面側より金属溶湯18を順次供給すれば、連続して急
冷凝固金属粉末を製造することができる。
【0010】また旋回冷却液層12の厚さ方向の流速は旋
回中心に近づくに従ってより高速となる所謂、傾斜速度
分布となっているため、旋回冷却液層12中に侵入した溶
湯粒子は回動運動が付与されるとともに冷却容器内面に
溶湯粒子ないし半凝固粒子が達しても水と同様に移動す
るため、溶湯粒子の周囲に発生する蒸気は良好に離脱
し、冷却速度が向上する。また水は重力により常に下に
移動するため、常に同一条件の水の部分に溶湯粒子が供
給されるので冷却速度のバラツキも少なくなる。
【0011】一方、本発明の製造装置によれば、冷却容
器1 を固定状に設置し、冷却液供給機構の作動により漏
斗部2 の上端部外周側より冷却液6 を噴出供給すること
によって高速移動する旋回冷却液層12を容易に形成で
き、装置のコンパクト化が可能となる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の製造方法を実施するための製
造装置について説明すると、図1において、1 は冷却容
器で、上部に内周面が下方向に漸次径小とされた漏斗部
2を有し、漏斗部2 下端には下方向に漸次径大とされた
拡径部3 が延設状に備えられ、漏斗部2 の上端は中心に
適宜大きさの導入孔4 を有する蓋部5 で閉塞状とされて
いる。
【0013】そして漏斗部2 の軸心を適宜角度傾斜させ
た状態で、冷却容器1 は固定状に設置されている。また
冷却容器1 下端は、適宜、冷却液としての冷却水6 が収
容されるタンク7 に接続状とされている。8 は拡径部3
の下部に着脱自在もしくは固定状に装着されたメッシュ
部材で、冷却水6 を下方に通過可能として拡径部3 下部
を上下方向に仕切ると共に、一側方に傾斜状に配設さ
れ、傾斜方向下端側の拡径部3 周壁には急冷凝固された
金属粉末の案内口9 が適宜形成されている。
【0014】漏斗部2 の上端部外周側には、接線方向も
しくは若干中心向きに傾斜( 例えば接線方向に対し、θ
=0 〜20°程度) する冷却液導入路10が設けられてお
り、高圧ポンプ11の吐出口と冷却液導入路10とが配管接
続されている。また高圧ポンプ11の吸込口は前記タンク
7 内の冷却水6 を吸引すべく配管接続されている。そし
て高圧ポンプ11の作動により、タンク7 内の冷却水6 を
吸引して漏斗部2の上端部外周側より噴出供給し、旋回
流を形成する。この冷却水6 の旋回による遠心力作用
で、漏斗部2 の内周面に沿って、中心側が空洞とされた
層状の旋回冷却液層12を形成しながら流下し、ここに冷
却液供給機構を構成する。流下した冷却水6 はメッシュ
部材8 を通過してタンク7 内に戻される。
【0015】尚、タンク7 から高圧ポンプ11までの配管
途中に冷却水を冷却するための冷却器を適宜介在する方
式としてもよい。14は金属溶湯供給機構としての噴射ル
ツボで、有底円筒状に形成された黒鉛や窒化珪素等の耐
火物よりなり、上部には従来同様、蓋体や加圧圧媒供給
部が設けられている。また噴射ルツボ14の底部15には噴
射ノズル孔16が形成されている。17は噴射ルツボ14の外
周に設けられた加熱装置としての高周波加熱コイルであ
る。
【0016】そして高周波加熱コイル17の作動により噴
射ルツボ14内に収容されたアルミ合金等の金属塊を溶解
して所定温度に加熱されたアルミ合金等の金属溶湯18と
し、不活性ガス等の加圧圧媒による内圧上昇によって金
属溶湯18は噴射ノズル孔16より噴出飛散され、導入孔4
を通じて、漏斗部2 内周面側に張り付き状に形成された
旋回冷却液層12の内周面側より該冷却液層12中に供給さ
れる。
【0017】次に、上記装置を用いて、急冷凝固金属粉
末を製造する方法について説明する。まず、高圧ポンプ
11を作動させ、冷却容器1 の漏斗部2 内周面に高速移動
しながら流下する旋回冷却液層12を形成する。次に、噴
射ルツボ14内の所定温度とされた金属溶湯18を噴出飛散
させ、旋回冷却液層12の内周面側より該冷却液層12中に
供給する。
【0018】この冷却液層12中への供給により、溶湯粒
子が急速冷却され、凝固し、ここに金属粉末が得られ
る。そして金属粉末は冷却水6 と共に流下し、冷却容器
1 下部のメッシュ部材8 で受け止められて、メッシュ部
材8 の傾斜方向下方側に移動され案内口9 より排出案内
されて、適宜回収される。
【0019】一方、冷却水6 はメッシュ部材8 を通過し
てタンク7 内に戻され、循環使用される。以上の製造方
法によれば、金属溶湯18を連続状に供給すれば、連続し
て急冷凝固金属粉末を順次製造することが可能となり、
生産性が向上する。また、固定状に設置された冷却容器
1 の漏斗部2 上端部外周側より、冷却水6を噴出供給し
て高速移動する旋回冷却液層12を形成する方法であるた
め、ポテンシャルフローの原理によって流速は旋回中心
からの距離に反比例し、図2に示される如く、旋回冷却
液層12の厚さ方向の速度V1, V2, V3, V4……は旋回中心
側がより高速となる所謂傾斜速度分布となり、この傾斜
速度分布の流れの旋回冷却液層12中にその内周面側より
溶湯粒子19が供給された状態となる。
【0020】従って旋回冷却液層12が厚さ方向に流速が
異なるため、溶湯粒子19は回転運動を付与されるととも
に冷却容器内面に溶湯粒子ないし、半凝固粒子が達して
も水と同様に移動するため、溶湯粒子19の周囲に発生す
る蒸気は溶湯粒子19の回転により良好に離脱し、ここに
溶湯粒子19の冷却速度が向上し、熱伝達率がより大きく
なり冷却効率の向上が図れ、冷却能の高い高品質の急冷
凝固金属粉末が得られる。
【0021】また本装置によれば、冷却容器1 を固定状
に設置し、冷却水6 を噴出供給して旋回冷却液層12を形
成する方式であり、従来の如く、回転ドラム101 内に冷
却水を収容し、回転ドラム101 自体を回転させて冷却液
層を形成する方式と比較して、装置自体をコンパクトに
構成できる利点がある。尚、上記実施例において、噴射
ルツボ14より金属溶湯18を噴出飛散させる構造を示して
いるが、ルツボ下端の孔部より金属溶湯18を旋回冷却液
層12中に落下させる重力落下方式としてもよい。また漏
斗部2 の軸心を傾斜状に設置したものを示しているが、
前記軸心を上下方向として設置し、金属溶湯18を傾斜方
向から噴出飛散させる方式としてもよい。さらに高圧ポ
ンプ11の吐出量や吐出圧、漏斗部2 の形状、大きさ等は
適宜決定すればよい。
【0022】例えば、高圧ポンプ18として吐出量0.6 〜
1.0 m3 /min 吐出圧20kg/cm3 程度のものを使用し、
漏斗部2 の内周面の半径はr=(C/√y)+γ
0 (C,γ 0 は定数、y は下方向に大) として形成し、
漏斗部2 上端部直径を約300mm 、高さを約200mm 、下端
部直径を約104mm とし、冷却液導入路10の内径を約30mm
とし、旋回冷却液層12の内周面直径が約60mmとなるよう
漏斗部2 の上端部外周側より流速12m/sec で冷却水6
を噴出供給すれば、旋回冷却液層12の内周面側における
表面流速は約60m/sec となり、この表面での遠心加速
度αは
【0023】
【数1】
【0024】となり、重力加速度の1万2千倍が得ら
れ、従来の回転ドラム101 方式では、500 〜600G程度で
あったことと比較すると、より大きな遠心加速度αが得
られ、溶湯粒子19は急速に旋回冷却液層12中に浸透し、
急冷却されることが理解できる。そして溶湯落下方式で
アルミ合金の金属粉末を製造すれば、例えば落下溶湯径
がφ3mmの場合7.5 kg/min 、φ4mmの場合16kg/min
程度処理できる。
【0025】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の製造方法に
よれば、内周面が下方向に漸次径小とされた漏斗部を有
する冷却容器の漏斗部上端部外周側より、冷却液を噴出
供給して漏斗部内周面に沿って旋回させながら流下させ
ると共に、その旋回による遠心力作用で、中心側に空洞
を有する層状の旋回冷却液層を形成し、この旋回冷却液
層の内周面側より金属溶湯を供給して急冷凝固させ、金
属粉末を得るものであり、冷却効率がよく、冷却能の高
い高品質の急冷凝固金属粉末が得られると共に、連続し
て製造することが可能となり、生産性に優れる利点があ
る。
【0026】また、本発明の製造装置によれば、冷却容
器自体を高速回転させる必要がなく、容易に高速移動す
る旋回冷却液層が得られ、装置のコンパクト化が図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための製造装置の一例を示す
全体概略説明図である。
【図2】旋回冷却液層の一部説明図である。
【図3】従来例の装置を示す断面説明図である。
【図4】同冷却液層の一部説明図である。
【符号の説明】
1 冷却容器 2 漏斗部 6 冷却水 12 旋回冷却液層 14 噴射ルツボ 18 金属溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 正規 大阪府大阪市大正区南恩加島7丁目1番22 号 久保田鉄工株式会社恩加島工場内 (72)発明者 笠井 文男 大阪府大阪市大正区南恩加島7丁目1番22 号 久保田鉄工株式会社恩加島工場内 (72)発明者 一色 尚次 東京都世田谷区経堂2の29の6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速移動する冷却液層(12)中に金属溶湯
    (18)を供給し、急冷凝固させて金属粉末を得る急冷凝固
    金属粉末の製造方法において、内周面が下方向に漸次径
    小とされた漏斗部(2) を有する冷却容器(1) の漏斗部
    (2) 上端部外周側より、冷却液(6) を噴出供給して漏斗
    部(2) 内周面に沿って旋回させながら流下させると共
    に、その旋回による遠心力作用で、中心側に空洞を有す
    る層状の旋回冷却液層(12)を形成し、この旋回冷却液層
    (12)の内周面側より金属溶湯(18)を供給して急冷凝固さ
    せ、金属粉末を得ることを特徴とする急冷凝固金属粉末
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 内周面が下方向に漸次径小とされた漏斗
    部(2) を有する冷却容器(1) と、前記漏斗部(2) の上端
    部外周側より、旋回流を形成すべく冷却液(6) を噴出供
    給すると共に、該冷却液(6) の旋回による遠心力作用
    で、漏斗部(2)の内周面に中心側が空洞とされた層状の
    旋回冷却液層(12)を形成しながら流下させる冷却液供給
    機構と、前記旋回冷却液層(12)の内周面側より該冷却液
    層(12)中に金属溶湯(18)を供給する金属溶湯供給機構と
    を備えてなることを特徴とする急冷凝固金属粉末製造装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20230016451A1 (en) * 2021-07-06 2023-01-19 Tokin Corporation Manufacturing method of alloy powder

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