JPH08208643A - 6−メトキシ−1h−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド誘導体及びそれを含有する医薬組成物 - Google Patents

6−メトキシ−1h−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド誘導体及びそれを含有する医薬組成物

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JPH08208643A
JPH08208643A JP7326402A JP32640295A JPH08208643A JP H08208643 A JPH08208643 A JP H08208643A JP 7326402 A JP7326402 A JP 7326402A JP 32640295 A JP32640295 A JP 32640295A JP H08208643 A JPH08208643 A JP H08208643A
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宏 山崎
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俊哉 森江
Naoyuki Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制吐作用と消化管機能亢進作用を併有する消
化管機能改善薬の提供。 【解決手段】 下記化1で表される6−メトキシ−1H
−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド誘導体又は
その生理的に許容される酸付加塩及びその中間体、並び
に化1の化合物又はその生理的に許容される酸付加塩を
含有する医薬組成物。 【化1】 〔式中、R1 はエチル基又はシクロプロピルメチル基を
意味し、R2 は水素原子、メチル基又はエチル基を意味
し、nは1、2又は3を意味し、波線(〜)はそれが結
合している炭素原子の立体配置がRS、R又はSである
ことを意味する。〕 【効果】 本発明の化合物は、優れた制吐作用と消化管
機能亢進作用を併有し、かつ中枢抑制作用が弱いので、
消化管機能改善薬として各種の疾患、治療等に伴う種々
の消化器機能異常の治療及び予防に用いることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた制吐作用と
消化管機能亢進作用の併有及び弱い中枢抑制作用によっ
て特徴づけられる、新規な6−メトキシ−1H−ベンゾ
トリアゾール−5−カルボキサミド誘導体、さらに詳し
くはアミド部分(−CONH−)の窒素原子が7、8又
は9員環の1−置換−アザシクロアルカン−3−イル基
で置換された6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール
−5−カルボキサミド誘導体、それを含有する医薬組成
物及び新規中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平2-104572号公報には、下記化3で
表される化合物が消化管機能亢進作用を有し、制吐剤あ
るいは消化管機能亢進剤として有用であると記載されて
いる。
【0003】
【化3】 〔式中、R1 は低級アルキル基又は非置換もしくは置換
基を有するアリール(低級)アルキル基を意味し、R2
はヒドロキシ基,アルコキシ基,アルケニルオキシ基,
シクロアルキルオキシ基又は置換基を有するアルコキシ
基(該置換基はハロゲン原子,ヒドロキシ基又はオキソ
基である)を意味し、R3 はアミノ基,ジ置換アミノ基
又はアシルアミノ基を意味し、R4 はハロゲン原子を意
味するか、或いはR3 及びR4 が一緒になって−NH−
N=N−を形成してもよく、R5 は水素原子又は低級ア
ルキル基を意味し、Xは単結合又は低級アルキレン基を
意味し、Yは単結合,−CH2 −,−O−,−S−,−
SO−,−SO2 −又は−NR6 −で表される基を意味
し、ここにおいてR6 は低級アルキル基又は非置換もし
くは置換基を有するアリール(低級)アルキル基を意味
するか、あるいはR1と一緒になってエチレン基を形成
していてもよく、nは0又は1を意味し、破線はYが−
CH2 −でnが0であるときは場合により存在する二重
結合を意味する。但し、(i)Yが−NR6 −又は単結
合であるとき、nは0を意味し、(ii)Yが−O−であ
るとき、nは1を意味し、(iii) Yが単結合又は−CH
2 −であり、nが0であるとき、R1 は非置換もしくは
置換基を有するアリール(低級)アルキル基を意味し、
(iv)nが0であるとき、Xは低級アルキレン基を意味
する。〕
【0004】しかし上記公開公報には、後記式(I)で
表される1H−ベンゾトリアゾール骨格と、窒素含有7
員−、8員−又は9員−脂肪族環とを合わせ持つ本発明
の化合物、殊に光学活性体及びそれらの薬理作用につい
ては何ら具体的に開示されていない。
【0005】特開昭52-83737号公報には、下記化4で表
される化合物が強力な条件回避抑制作用、アポモルヒネ
常同行動抑制作用及びメタンフェタミン常同行動抑制作
用を有し、中枢抑制薬、殊に抗精神病薬として有用であ
ると開示されている。
【0006】
【化4】
【0007】〔式中、A−COは4−アミノ−5−クロ
ル−2−メトキシベンゾイル基、5−エチルスルホニル
−2−メトキシベンゾイル基又は2−メトキシ−4,5
−アジミドベンゾイル基を、Bはアリル基(allyl基)又
は置換基を有し若しくは有しないベンジル基を、またm
は1又は2を意味する。〕
【0008】また、特開昭52-100473 号公報においても
下記化5で表される化合物について同様の開示がなされ
ている。
【0009】
【化5】 (式中、R1 は低級アルコキシ基をR2 は置換基を有し
若しくは有しないベンジル基を、またはmは1又は2を
意味する。)
【0010】しかし、これら化4及び化5で表される化
合物は、アミド(−CONH−)に結合する環が5員環
又は6員環であり、かつその環構成窒素原子がアリル基
又はベンジル基で置換されていることにおいて、本発明
の後記式(I)を有する化合物とは構造が相違し、しか
もその薬理作用も本発明の化合物の薬理作用とは全く異
なる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】4−アミノ−5−クロ
ロ−N−〔2−(ジエチルアミノ)エチル〕−2−メト
キシベンズアミド〔一般名 メトクロプラミド;例えば
Merck Index,第11版,6063 (1989) 参照]は、制吐作用
と消化管機能亢進作用を併有するので、古くから消化管
機能改善薬として各種の消化器系疾患或いは治療に伴う
種々の消化器機能異常の治療及び予防に使用されてい
る。しかしながら、メトクロプラミドは副作用としてド
ーパミンD2 受容体拮抗作用に基づく中枢抑制作用が認
められるため、臨床上使いづらい面がある。社会生活の
複雑化、高齢化社会の到来等により消化器系不定愁訴に
苦しむ患者が増加してきているので、中枢抑制作用が弱
く、かつ優れた制吐作用と消化管機能亢進作用を併有す
る化合物の開発が望まれている。
【0012】本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ア
ミド部分(−CONH−)の窒素原子が7、8又は9員
環の1−置換−アザシクロアルカン−3−イル基で置換
された6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−
カルボキサミド誘導体、殊に立体配置がRである(R)
−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−カル
ボキサミド誘導体は優れた制吐作用と消化管機能亢進作
用を併有するにもかかわらず、意外にも中枢抑制作用が
弱いことを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記式
(I)で表される6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾ
ール−5−カルボキサミド誘導体及びその生理的に許容
される酸付加塩並びにそれを含有する医薬組成物が提供
される。
【0014】
【化6】
【0015】〔式中、R1 はエチル基又はシクロプロピ
ルメチル基を意味し、R2 は水素原子、メチル基又はエ
チル基を意味し、nは1、2又は3を意味し、波線
(〜)はそれが結合している炭素原子の立体配置がR
S、R又はSであることを意味する。〕
【0016】本発明はまた、式(I)においてR2 が水
素原子である化合物を製造するための中間体として有用
な式(II)の化合物(以下、「本発明の中間体」という
こともある)及びその酸付加塩を提供するものである。
【0017】
【化7】
【0018】(式中、R1 はエチル基又はシクロプロピ
ルメチル基を意味し、R3 はアミノ基の保護基を意味
し、n及び波線は前掲に同じものを意味する。)
【0019】式(I)の化合物の生理的に許容される酸
付加塩としては、例えば塩酸塩,臭化水素酸塩,ヨウ化
水素酸塩,硫酸塩,リン酸塩等の無機酸塩、及びシュウ
酸塩,マレイン酸塩,フマル酸塩,乳酸塩,リンゴ酸
塩,クエン酸塩,酒石酸塩,安息香酸塩,メタンスルホ
ン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。式(I)の化合物及
び並びにその酸付加塩は水和物又は溶媒和物として存在
することもあるので、これらの水和物及び溶媒和物も本
発明に包含される。
【0020】本発明の中間体である式(II)の化合物の
酸付加塩としては、例えば上記で述べた生理的に許容さ
れる酸付加塩が挙げられる。式(II)の化合物及びその
酸付加塩は水和物又は溶媒和物として存在することもあ
るので、これらの水和物及び溶媒和物も本発明に包含さ
れる。
【0021】式(I)の化合物及びその酸付加塩が結晶
として得られるときには、数種の結晶多形が存在する場
合があるので、これらの結晶多形も本発明に包含され
る。
【0022】式(I)においてR2 が水素原子である化
合物は、式(I′)又は式(I″)で表される互変異性
体の形で存在することもあるので、これらの互変異性体
もまた本発明の化合物に包含される。
【0023】
【化8】 〔式中、Azは化9で表される基を意味する。
【0024】
【化9】 (式中、R1 ,n及び波線は前掲に同じものを意味す
る。)〕
【0025】以下の記載において、本発明の化合物の構
造は式(I)で表し、化学名もそれに基づいて命名する
ことにする。
【0026】本明細書においては、「ハロゲン原子」と
は、フッ素,塩素,臭素又はヨウ素を意味する。「アル
キル基」の具体例として、メチル,エチル,プロピル,
イソプロピルが挙げられる。「アルコキシ基」の具体例
として、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポ
キシが挙げられる。「低級アルカノイル基」の具体例と
して、アセチル,プロピオニルが挙げられる。「低級ア
ルコキシカルボニル基」具体例として、メトキシカルボ
ニル、エトキシカルボニルが挙げられる。「置換されて
いてもよいベンジル基」としては、上述のハロゲン原
子,C1 〜C3 のアルキル基及びC1 〜C3 のアルコキ
シ基の1個又は2個でフェニル部分が置換されていても
よいベンジル基が好ましく、例えばベンジル,2−,3
−又は4−クロロベンジル,3−ブロモベンジル,4−
フルオロベンジル,2,4−又は3,4−ジクロロベン
ジル,4−メチルベンジル,2−,3−又は4−メトキ
シベンジル等が挙げられる。「置換されていてもよいベ
ンジルオキシカルボニル基」とは、例えば上述のハロゲ
ン原子,C1 〜C3 のアルキル基,C1 〜C3 のアルコ
キシ基及びニトロ基等の1個又は2個でフェニル部分が
置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基を意
味し、例えばベンジルオキシカルボニル,4−クロロベ
ンジルオキシカルボニル,4−ブロモベンジルオキシカ
ルボニル,2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニ
ル,4−メトキシベンジルオキシカルボニルが挙げられ
る。「アミノ基の保護基」とは、加水分解又は加水素分
解により脱離し得る保護基を意味し、例えば上述の低級
アルカノイル基、トリフルオロアセチル、低級アルコキ
シカルボニル基、置換されていてもよいベンジル基、置
換されていもよいベンジルオキシカルボニル基が挙げら
れるが、特にベンジル及びアセチルが好ましい。
【0027】前記式(I)で表される本発明の化合物の
好適なものとしては、例えば下記の化合物及びその生理
的に許容される酸付加塩が挙げられる。N−(1−エチ
ル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−6−メ
トキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミ
ド、(R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロア
ゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミド、N−(1−エチル−1
H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ
−1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボ
キサミド、(R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒ
ドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1−メチル
−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、1
−エチル−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼ
ピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリア
ゾール−5−カルボキサミド、(R)−1−エチル−N
−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イ
ル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−
カルボキサミド、N−(1−エチル−1H−ヘプタヒド
ロアゾシン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾ
トリアゾール−5−カルボキサミド、N−(1−エチル
−1H−ヘプタヒドロアゾシン−3−イル)−6−メト
キシ−1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カ
ルボキサミド、N−(1−エチル−1H−オクタヒドロ
アゾニン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾト
リアゾール−5−カルボキサミド、(R)−N−(1−
シクロプロピルメチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−
3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール
−5−カルボキサミド、及び(R)−N−(1−シクロ
プロピルメチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イ
ル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリア
ゾール−5−カルボキサミド。
【0028】さらに好適な化合物としては、前記式
(I)においてR1 がエチル基であり、R2 が水素原子
又はメチル基である化合物が挙げられる。
【0029】立体配置に関しては、式(I)において波
線が結合している炭素原子の立体配置がRS又はRであ
る化合物が好ましく、特にRである化合物が好ましい。
【0030】また、アザシクロアルカン環の大きさに関
しては7員環、8員環及び9員環のいずれの環も好まし
いが、特に7員環、即ち式(I)においてnが1である
化合物が好ましい。
【0031】上記の化合物の中で特に好適な化合物とし
ては、以下に示す化合物及びその生理的に許容される酸
付加塩が挙げられる。
【0032】(R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、及び(R)−
N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−
イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミド。
【0033】前述の化合物に加えて本発明に含まれる他
の好適な化合物の具体例として、例えば下記の化合物及
びその生理的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0034】(R)−N−(1−エチル−1H−ヘプタ
ヒドロアゾシン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、(R)−N−
(1−エチル−1H−オクタヒドロアゾニン−3−イ
ル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−
カルボキサミド、(R)−N−(1−エチル−1H−ヘ
プタヒドロアゾシン−3−イル)−6−メトキシ−1−
メチル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミ
ド、及び(R)−N−(1−エチル−1H−オクタヒド
ロアゾニン−3−イル)−6−メトキシ−1−メチル−
1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド。
【0035】本発明の化合物は、例えば以下の方法によ
り製造することができる。
【0036】製法(a) 式(I)の化合物は、下記式(III)
【0037】
【化10】
【0038】(式中、R2aは水素原子、メチル基、エチ
ル基又はアミノ基の保護基を意味する。)
【0039】で表される化合物又はその反応性誘導体
と、下記式(IV)
【0040】
【化11】
【0041】(式中、R1 ,n及び波線は前掲に同じも
のを意味する。)
【0042】で表される化合物とを反応させることによ
り、そしてこの場合式(III)においてR2aがアミノ基の
保護基である化合物を用いた場合には、該生成物を加水
分解又は加水素分解してR2aを水素原子に変換すること
により式(I)の化合物を製造することができる。
【0043】式(III)の化合物の反応性誘導体として
は、例えば低級アルキルエステル(特にメチルエステ
ル),活性エステル,酸無水物,酸ハライド(特に酸ク
ロリド)を挙げることができる。〔但し、式(III)にお
いてR2aが水素原子である化合物を用いる場合には、酸
無水物及び酸ハライドを除く〕活性エステルの具体例と
してはp−ニトロフェニルエステル,2,4,5−トリ
クロロフェニルエステル,ペンタクロロフェニルエステ
ル,シアノメチルエステル,N−ヒドロキシコハク酸イ
ミドエステル,N−ヒドロキシフタルイミドエステル,
1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル,N−ヒド
ロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミ
ドエステル,N−ヒドロキシピペリジンエステル,8−
ヒドロキシキノリンエステル,2−ヒドロキシフェニル
エステル,2−ヒドロキシ−4,5−ジクロロフェニル
エステル,2−ヒドロキシピリジンエステル,2−ピリ
ジルチオールエステルが挙げられる。酸無水物として
は、対称酸無水物又は混合酸無水物が用いられ、混合酸
無水物の具体例としてはクロル炭酸エチル,クロル炭酸
イソブチルのようなクロル炭酸アルキルエステルとの混
合酸無水物、クロル炭酸ベンジルのようなクロル炭酸ア
ラルキルエステルとの混合酸無水物,クロル炭酸フェニ
ルのようなクロル炭酸アリールエステルとの混合酸無水
物、イソ吉草酸,ピバル酸のようなアルカン酸との混合
酸無水物が挙げられる。
【0044】R2aのアミノ基の保護基とは、例えば加水
分解又は加水素分解により脱離し得る保護基を使用する
ことができ、例えば低級アルカノイル基、トリフルオロ
アセチル基、低級アルコキシカルボニル基、置換されて
いてもよいベンジル基、置換されていてもよいベンジル
オキシカルボニル基が挙げられるが、アセチルが特に好
ましい。
【0045】式(III)の化合物自体を用いる場合には、
N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド,1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミ
ド塩酸塩,N,N′−カルボニルジイミダゾール,N,
N′−カルボニルジコハク酸イミド,1−エトキシカル
ボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン,ジ
フェニルホスホリルアジド,プロパンホスホン酸無水物
のような縮合剤の存在下に反応させることができる。縮
合剤としてN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド
又は1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド塩酸塩を用いる場合には、N−ヒドロキ
シコハク酸イミド,1−ヒドロキシベンゾトリアゾー
ル,3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−
4(3H)−オン,N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン
−2,3−ジカルボキシイミド等を添加して反応させて
もよい。
【0046】式(III)の化合物又はその反応性誘導体と
式(IV)の化合物との反応は、溶媒中又は無溶媒下に行
われる。使用する溶媒は、原料化合物の種類等に従って
適宜選択されるべきであるが、例えばベンゼン,トルエ
ン,キシレンのような芳香族炭化水素類、ジエチルエー
テル,テトラヒドロフラン,ジオキサンのようなエーテ
ル類、塩化メチレン,クロロホルムのようなハロゲン化
炭化水素類、エタノール,イソプロピルアルコールのよ
うなアルコール類、酢酸エチル、アセトン、アセトニト
リル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、
エチレングリコール、水が挙げられ、これらの溶媒はそ
れぞれ単独で、或いは2種以上混合して用いられる。本
反応は必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体
例としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムのよう
な水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム,炭酸カリウムのよ
うな炭酸アルカリ、重炭酸ナトリウム,重炭酸カリウム
のような重炭酸アルカリ、或いはトリエチルアミン,ト
リブチルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,N−メ
チルモルホリンのような有機塩基が挙げられるが、式
(IV)の化合物の過剰量で兼ねることもできる。反応温
度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常約
-30 ℃〜約200 ℃、好ましくは約-10 ℃〜約150 ℃であ
る。
【0047】式(III)においてR2aが、アミノ基の保護
基であって、例えば低級アルカノイル基、トリフルオロ
アセチル基、低級アルコキシカルボニル基又は置換され
ていてもよいベンジルオキシカルボニル基である化合物
と式(IV)の化合物との反応により、式(I)において
2 が対応する保護基である化合物が得られるときは、
該生成物を加水分解することにより式(I)においてR
2 が水素原子である化合物に変換することができる。本
加水分解反応は常法に従って行うことができ、例えば適
当な溶媒中で酸性又は塩基性条件下に水と接触させるこ
とにより行われる。溶媒としては、例えばメタノール,
エタノール,イソプロピルアルコールのようなアルコー
ル類、ジオキサン、水又はこれらの混液が用いられる。
酸性にするための酸の具体例としては、例えば塩酸,臭
化水素酸,硫酸のような鉱酸、ギ酸,酢酸,プロピオン
酸,シュウ酸のような有機酸、シリカゲルが挙げられ
る。式(III)においてR2aがアセチル基である化合物を
用いる場合には、シリカゲルを用いることによりアセチ
ル基を脱離してR2 が水素原子である化合物に容易に変
換することができる。また、塩基性にするための塩基の
具体例としては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムの
ような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム
のような炭酸アルカリが挙げられる。反応温度は通常約
20℃〜約100 ℃である。
【0048】式(III)においてR2aが、アミノ基の保護
基であって、例えば置換されていてもよいベンジル基又
は置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基で
ある化合物と式(IV)の化合物との反応により、式
(I)においてR2 が対応する保護基である化合物が得
られるときは、該生成物を加水素分解することにより式
(I)においてR2 が水素原子である化合物に変換する
ことができる。この加水素分解反応は常法に従って行う
ことができ、例えば適当な溶媒中、パラジウム−炭素、
ラネーニッケル等の触媒の存在下、水素と反応させるこ
とにより行われる。溶媒としては、例えばメタノール,
エタノールのようなアルコール類、酢酸、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、水又はこれらの混液が用いられ
る。反応温度は通常、約0℃〜約80℃であり、常圧又は
加圧下に行われる。
【0049】式(III)において、R2aが水素原子又はア
ミノ基の保護基(低級アルカノイル基、トリフルオロア
セチル基、低級アルコキシカルボニル基又は置換されて
いてもよいベンジルオキシカルボニル基)である化合物
及びその反応性誘導体は、例えば特開昭51-80858号公報
(米国特許第 4,039,672号明細書)に記載の方法又はそ
れに準じた方法により製造することができる。
【0050】式(III)において、R2aがメチル基、エチ
ル基又はアミノ基の保護基(置換されていてもよいベン
ジル基)である化合物は、4−クロロ−2−メトキシ−
5−ニトロ安息香酸を出発原料とし、後記化16の工程
1の方法によりプロピルアミンのような適当なアミン類
を用い対応する適当なアミド体に導いた後、後記化16
の工程2及び工程3の方法によりR2 にメチル基、エチ
ル基又は置換されていてもよいベンジル基を導入後生成
物を還元し、さらに後記製法(b)に記載の方法により
対応する6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5
−カルボキサミド誘導体を製造し、次いで常法に従って
加水分解することにより製造することができる。
【0051】以下に式(IV)の化合物の製造法について
説明する。
【0052】式(IV)において、nが1である化合物
は、例えば下記化12で示される方法により製造するこ
とができる。
【0053】
【化12】
【0054】(式中、Trはトリフェニルメチル基を意
味し、Xはアルコールの反応性エステル残基を意味し、
1 及び波線は前掲に同じものを意味する。)
【0055】工程1: 式(A)の化合物とクロロトリ
フェニルメタンとの反応は通常適当な溶媒中、塩基の存
在下で行われる。使用する溶媒及び塩基としては、上記
製法(a)で述べた具体例をそのまま挙げることができ
る。反応温度は、通常約-10 ℃〜約150 ℃、好ましくは
約0℃〜約100 ℃である。なお、原料化合物である式
(A)のR及びS異性体は、市販のラセミ体を用いて、
例えばJ. Org. Chem., 44,4841-4847 (1979)に記載の方
法で光学分割するか、或いは光学活性なリジンを用いて
例えばSynthesis, 1978, 614-616 に記載の方法に従っ
て製造することができる。
【0056】工程2: 式(C)の化合物は、式(B)
の化合物を水素化ジイソブチルアルミニウム,水素化リ
チウムアルミニウム,水素化ビス(2−メトキシエトキ
シ)アルミニウムナトリウムのような金属水素化物を用
いて還元することにより製造することができる。使用す
る溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル,テトラヒ
ドロフランのようなエーテル類、ベンゼン,トルエンの
ような芳香族炭化水素類、塩化メチレン,クロロホルム
のようなハロゲン化炭化水素類が挙げられる。反応温度
は用いる金属水素化物の種類等により異なるが、通常約
-10 ℃〜約100 ℃、好ましくは約0℃〜約50℃である。
【0057】工程3: 式(C)の化合物と式:R1
Xで表されるR1 導入剤との反応は通常適当な溶媒中、
塩基の存在下で行われる。Xで表されるアルコールの反
応性エステル残基としては、例えば塩素,臭素,ヨウ素
のようなハロゲン原子、メタンスルホニルオキシのよう
な低級アルキルスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニ
ルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げら
れる。溶媒の具体例としては、ベンゼン,トルエンのよ
うな芳香族炭化水素類、アセトン,メチルエチルケトン
のようなケトン類、テトラヒドロフラン,ジオキサンの
ようなエーテル類、エタノール,イソプロピルアルコー
ルのようなアルコール類、アセトニトリル、クロロホル
ム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド又はこれらの混液が挙げられる。使用する塩基
の具体例としては、上記製法(a)で述べた具体例をそ
のまま挙げることができる。また、R1 導入剤において
Xが塩素又は臭素であるときは、ヨウ化ナトリウム,ヨ
ウ化カリウムのようなアルカリ金属ヨウ化物を添加する
と反応は円滑に進行する。反応温度は用いるR1 導入剤
の種類等により異なるが、通常約0℃〜約200 ℃、好ま
しくは約80℃〜約150℃である。
【0058】工程4: 本工程の反応は通常適当な溶媒
中、希塩酸、希硫酸等の鉱酸を用いて行われる。使用す
る溶媒の具体例としては、メタノール,エタノールのよ
うなアルコール類、ジエチルエーテル,テトラヒドロフ
ランのようなエーテル類、アセトン、アセトニトリル、
エチレングリコール又はこれらの混液が挙げられる。反
応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通
常約0℃〜約100 ℃である。
【0059】式(IV')の化合物は、上記化12における
工程2の還元反応と工程3のR1 導入反応を入れ換える
ことによっても製造することができる。即ち、式(B)
の化合物にR1 を導入(工程2′)した後、還元する
(工程3′)ことにより式(D)の化合物に導くことが
できる。この場合の工程2′の反応には、上記製法
(a)で述べた塩基の代わりに水素化ナトリウムのよう
な強塩基を用いるのが好ましく、また、工程3′の還元
反応には、例えば水素化ビス(2−メトキシエトキシ)
アルミニウムナトリウムを用いることが好ましい。
【0060】式(IV)において、nが2又は3である化
合物は、例えば下記化13で示される方法により製造す
ることができる。
【0061】
【化13】
【0062】(式中、Yはハロゲン原子を意味し、n′
は2又は3を意味し、R1 及びXは前掲に同じものを意
味する。)
【0063】上記化13における工程1は、例えば市販
されている2−アザシクロオクタノン又はアザシクロノ
ナノンを出発物質として、前記化12で示される方法の
変法における工程2′と同様にして行うことができる。
工程2のハロゲン化は、例えばJ. Am. Chem. Soc., 80,
6233-6237 (1958)に記載の方法に従って行うことがで
き、工程3及び工程4は、例えば、Helv. Chim. Acta,
41, 181-188 (1958)に記載の方法に従って行うことがで
きる。
【0064】式(IV)の化合物は、また下記化14で示
される方法によっても製造することができる。
【0065】
【化14】
【0066】(式中、R1 、Tr及びnは前掲に同じも
のを意味する。)
【0067】上記化14における工程1は、適当な溶媒
中、式(E)の化合物に強塩基でアニオンを発生させた
後、ドライアイスを反応させることにより行うことがで
きる。工程2のカルボキシル基からアミノ基への変換
は、適当な溶媒中、式(F)の化合物にクロル炭酸エチ
ルとナトリウムアジドを反応させ、次いで生成したアシ
ルアジド体を加熱してイソシアネート体にした後、酸を
作用させることにより行うことができる。工程3のトリ
フェニルメチル化、工程4の還元及び工程5のトリフェ
ニルメチル基の脱保護は、それぞれ前記化12の工程
1、工程2及び工程4と同様に行うことができる。
【0068】なお、式(E)の原料化合物はε−カプロ
ラクタム、2−アザシクロオクタノン又は2−アザシク
ロノナノンを出発原料として、化13の工程1の方法に
より製造することができる。
【0069】前記化12で示される方法によれば、原料
化合物(A)における立体配置は式(IV')で表される最
終生成物において保持されている。一方、化13又は化
14で示される方法により製造される式(IV'') 又は
(IV''')の最終生成物はラセミ体である。ラセミ体であ
る式(IV) の化合物は、常法に従って2種の光学異性体
に分割することができる。例えば、式(IV)の化合物を
光学活性酸で処理して、ジアステレオマー塩を形成させ
た後、2種のジアステレオマー塩に分離し、次いでこれ
を遊離塩基に変換させることにより行われる。
【0070】製法(b) 式(I)の化合物は、下記式(V)
【0071】
【化15】
【0072】(式中、R1 ,R2 ,n及び波線は前掲に
同じものを意味する。)で表される化合物をジアゾ化し
てベンゾトリアゾール環を形成することにより製造する
ことができる。
【0073】ジアゾ化による式(V)の化合物から式
(I)の化合物への閉環反応は、芳香族アミンのジアゾ
化に通常用いられる条件下に行われる。ジアゾ化剤とし
ては、例えば亜硝酸ナトリウム或いは亜硝酸tert−ブチ
ル,亜硝酸イソアミルのような亜硝酸アルキルエステル
が挙げられる。亜硝酸による閉環反応の場合には、通常
式(V)の化合物又はその酸付加塩の水溶液に過剰の鉱
酸(例えば、塩酸)又は有機酸(例えば、酢酸)を加え
た後、亜硝酸ナトリウムの水溶液を加えることにより行
われる。反応温度は通常約−20℃〜約60℃、好ましくは
約0℃〜約40℃である。亜硝酸アルキルエステルによる
閉環反応の場合には、通常、適当な溶媒中で式(V)の
化合物又はその酸付加塩(例えば、塩酸塩,酢酸塩)と
亜硝酸アルキルエステルとを反応させることにより行わ
れる。溶媒としては、例えばメタノール,酢酸,酢酸−
ジオキサン,1,2−ジメトキシエタン,テトラヒドロ
フラン,アセトン,塩化メチレンが用いられ、反応温度
は通常約0℃〜約100 ℃、好ましくは約30℃〜約80℃で
ある。
【0074】式(V)で表される原料化合物は、例え
ば、下記化16で示される方法により製造することがで
きる。
【0075】
【化16】
【0076】(式中、Zはハロゲン原子を意味し、
2 ,Az及び波線は前掲に同じものを意味する。)
【0077】工程1: 式(J)の化合物又はその反応
性誘導体と式(IV)の化合物との反応は、製法(a)と
同様にして行うことができる。なお、原料化合物である
式(E)の化合物は、例えば、Helv. Chim. Acta, 40,
369-372 (1957)に記載の方法に従って製造することがで
きる。
【0078】工程2: 式(K)の化合物と式:H2
−R2 で表される化合物との反応は、無溶媒下又は適当
な溶媒中で行われる。使用する溶媒としては、例えばメ
タノール,エタノールのようなアルコール類、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水が挙げられ
る。反応温度は、通常約0℃〜約150 ℃である。
【0079】工程3: 式(L)の化合物の還元は常法
に従って行われる。例えば、適当な溶媒中、式(L)の
化合物を還元剤で処理することにより行われる。還元剤
の具体例としては、金属(例えば、スズ,亜鉛,鉄)又
は金属塩(例えば、塩化第一スズ)と酸(例えば、塩
酸,酢酸)との組み合わせが挙げられるが、鉄又は塩化
第一スズは単独でも還元剤として使用することができ
る。あるいは、式(L)の化合物を適当な溶媒中で触媒
の存在下に水素添加することによっても行われる。触媒
の具体例としては、パラジウム炭素,ラネーニッケル,
酸化白金が挙げられる。使用する溶媒は、還元剤又は還
元手段に応じて適宜選択されるべきであるが、例えばメ
タノール,エタノールのようなアルコール類、酢酸エチ
ル、アセトン、酢酸、ジオキサン、水又はこれらの混液
が挙げられる。反応温度は、還元剤又は還元手段により
異なるが、通常約10℃〜約100 ℃であり、接触還元の場
合には、好ましくは約10℃〜約50℃である。
【0080】生成する式(V)の化合物は、単離・精製
することなく、製法(b)の原料化合物として用いるこ
とができる。
【0081】製法(c) 式(I)において、R2 が水素原子である化合物は、下
記式(IIa)、
【0082】
【化17】
【0083】〔式中、R3aはアミノ基の保護基(例えば
置換されていてもよいベンジル基又は置換されていても
よいベンジルオキシカルボニル基)を意味し、R1 、n
及び波線は前掲に同じものを意味する。〕
【0084】で表される化合物を加水素分解することに
よっても製造することができる。
【0085】本加水素分解は常法に従って行うことがで
き、例えば適当な溶媒中でパラジウム炭素,ラネーニッ
ケル等の触媒の存在下、水素と反応させるか、或いはパ
ラジウム炭素等の触媒の存在下、水素供与体(例えば、
ギ酸アンモニウム,シクロヘキセン)と反応させること
により行われる。溶媒としては、例えばエタノール,メ
タノールのようなアルコール類、水、酢酸、ジオキサ
ン、テトラヒドロフランが用いられる。反応温度は通常
約0℃〜約80℃であり、常圧又は加圧下に行われる。
【0086】式(IIa)において、R3aが置換されていて
もよいベンジル基である化合物は、式(V)においてR
2 が置換されていてもよいベンジル基である化合物を原
料化合物として用い、前記製法(b)により製造するこ
とができる。一方、原料化合物(V)は、前記化16で
示される方法に従って製造することができる。この場
合、工程3の還元反応は、金属又は金属塩と酸との組み
合わせ或いは鉄又は塩化第一スズで還元するのが好まし
い。
【0087】式(IIa)においてR3aが置換されていても
よいベンジルオキシカルボニル基である化合物は、式
(III)においてR2aが置換されていてもよいベンジルオ
キシカルボニル基である化合物を原料化合物として用
い、前記製法(a)により製造することができる。式
(III)においてR2aが置換されていてもよいベンジルオ
キシカルボニル基である化合物は、例えば特開昭51-808
58号公報(米国特許第 4,039,672号明細書)に記載の方
法又はそれに準じた方法により製造することができる。
【0088】製法(d) 式(I)において、R2 が水素原子である化合物は、下
記式(IIb)、
【0089】
【化18】
【0090】〔式中、R3bは、アミノ基の保護基(例え
ば低級アルカノイル基、トリフルオロアセチル基、低級
アルコキシカルボニル基又は置換されていてもよいベン
ジルオキシカルボニル基)を意味し、R1 、n及び波線
は前掲に同じものを意味する。〕
【0091】で表される化合物を加水分解することによ
っても製造することができる。
【0092】本加水分解反応は常法に従って行うことが
でき、例えば適当な溶媒中で酸性又は塩基性条件下に水
と接触させることにより行われる。溶媒としては、例え
ばメタノール,エタノール,イソプロピルアルコールの
ようなアルコール類、ジオキサン、水又はこれらの混液
が用いられる。酸の具体例としては、塩酸,臭化水素
酸,硫酸のような鉱酸、ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シ
ュウ酸のような有機酸、シリカゲルが挙げられる。式
(IIb)においてR3bがアセチル基である化合物を用いる
場合には、シリカゲルを用いることによりアセチル基を
脱離して式(I)においてR2 が水素原子である化合物
に容易に変換することができる。塩基の具体例として
は、水酸化ナトリウム,水酸化カリウムのような水酸化
アルカリ、炭酸ナトリウム,炭酸カリウムのような炭酸
アルカリ等が挙げられる。反応温度は通常約20℃〜約10
0 ℃である。
【0093】本発明の中間体である式(IIb)の化合物
は、式(III)においてR2aが低級アルカノイル基、トリ
フルオロアセチル基、低級アルコキシカルボニル基又は
置換されていてもよいベンジルオキシカルボニル基であ
る化合物を原料化合物として用い、前記製法(a)によ
り製造することができる。式(III)においてR2aが低級
アルカノイル基、トリフルオロアセチル基、低級アルコ
キシカルボニル基又は置換されていてもよいベンジルオ
キシカルボニル基である化合物は、例えば特開昭51-808
58号公報(米国特許第 4,039,672号明細書)に記載の方
法又はそれに準じた方法により製造することができる。
【0094】製法(a)、(b)、(c)及び(d)に
よれば、原料化合物である式(IV)の化合物、式(V)
の化合物及び式(IIa)及び式(IIb)の化合物における立
体配置は、生成物である式(I)の化合物において保持
されている。従って、所望の立体配置を有する式(I)
の化合物は、対応する立体配置を有する原料化合物を用
いることにより、或いはラセミ体である原料化合物を用
いて、ラセミ体である式(I)の化合物を製造した後、
常法に従って光学分割することにより製造することがで
きる。
【0095】上記各製法により生成する化合物は、クロ
マトグラフィー,再結晶,再沈澱等の常法により単離,
精製される。
【0096】式(I)の化合物は、原料化合物の選定,
反応・処理条件等により、遊離塩基又は酸付加塩の形で
得られる。酸付加塩は、常法、例えば炭酸アルカリ,水
酸化アルカリのような塩基で処理することにより、遊離
塩基に変えることができる。一方、遊離塩基は、常法に
従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くこ
とができる。
【0097】以下に本発明の代表的化合物並びに市販の
消化管機能改善薬であるメトクロプラミド塩酸塩1水和
物(化合物A)についての試験結果を示し、本発明の化
合物の薬理作用の特徴について説明する。
【0098】試験例 1:アポモルヒネ誘発嘔吐に対す
る抑制作用―― 1群3〜4匹のビーグル犬(体重8〜15 kg)を用い、Ch
enとEnsor の方法〔J.Pharmacol. Exp. Ther., 98, 245
-250 (1950)参照〕に準じて、アポモルヒネにより誘発
される嘔吐に対する試験化合物の抑制作用を検討した。
0.5 %トラガント溶液に溶解又は懸濁した所定用量の試
験化合物を経口投与し、2時間後に塩酸アポモルヒネ
(0.3 mg/kg)を背部皮下に注射し、その後1時間にわた
って嘔吐回数を数えた。試験化合物投与群の嘔吐回数を
対照群のそれと比較して抑制率を算出した。結果を表1
に示す。
【0099】
【表1】
【0100】表1から明らかなように、試験した本発明
のほとんどすべての化合物はアポモルヒネ誘発嘔吐に対
してメトクロプラミド塩酸塩1水和物(化合物A)と同
等或いはそれ以上の嘔吐抑制作用を示した。
【0101】試験例 2:胃排出能亢進作用―― 本試験は、Scarpignato らの方法〔Arch. Int. Pharmac
odyn., 246, 286-294(1980)参照〕に準じて行った。ウ
ィスター系雄性ラット(体重130 〜150 g )を18時間絶
食した後、フェノールレッドを0.05%の割合で含有する
1.5 %メチルセルロース溶液1.5 mlを経口投与した。投
与15分後に胃を摘出し、胃内に残存するフェノールレッ
ド量を測定した。なお、試験化合物は0.5 %トラガント
溶液に溶解又は懸濁し、フェノールレッド投与の60分前
に経口投与した。胃内残存フェノールレッド量に基づい
て胃排出率を算出し、さらに対照群の胃排出率と比較し
て亢進率を求めた。使用した動物数は対照群及びメトク
ロプラミド塩酸塩1水和物(化合物A)投与群について
は5匹、それ以外は4匹である。結果を表2に示す。
【0102】
【表2】 * )実施例2の化合物を意味する(以下同じ)。
【0103】表2から明らかなように、試験した本発明
の化合物はいずれもメトクロプラミド塩酸塩1水和物
(化合物A)と同等或いはそれ以上の胃排出能亢進作用
を示した。
【0104】試験例 3:コレシストキニン又はモルヒ
ネ誘発胃排出遅延に対する作用―― 本試験は、Scarpignato らの方法〔Arch. Int. Pharmac
odyn., 246, 286-294 (1980)参照〕に準じて行った。ウ
ィスター系雄性ラット(体重130 〜150 g)を18時間絶食
した後、フェノールレッドを0.05%の割合で含有する1.
5 %メチルセルロース溶液1.5 mlを経口投与した。投与
15分後に胃を摘出し、胃内に残存するフェノールレッド
量を測定した。なお、試験化合物10, 30又は100 mg/kg
はそれぞれ0.5 %トラガント溶液に溶解又は懸濁し、フ
ェノールレッド投与の60分前に経口投与した。コレシス
トキニン 3μg/kg又はモルヒネ3 mg/kg をフェノールレ
ッド投与の5分前に皮下投与し、胃排出の遅延を誘発さ
せた。使用した動物数は5〜10匹である。結果を表3
に示す。
【0105】
【表3】 + :軽度から中程度改善 ++:顕著に改善 ± :改善なし* )実施例2の化合物を意味する(以下同じ)。
【0106】表3から明らかなように、コレシストキニ
ンで誘発した胃排出遅延に対し、実施例2の化合物は30
及び100 mg/kg の投与量で有意に改善した。コレシスト
キニン又はモルヒネで誘発した胃排出遅延に対し、実施
例7bの化合物は10, 30及び100mg/kgの投与量でいずれ
も有意に改善し、コレシストキニン又はモルヒネで誘発
される胃排出遅延にも顕著な消化管機能亢進作用を示し
た。一方、コレシストキニン又はモルヒネで誘発した胃
排出遅延に対し、メトクロプラミド塩酸塩1水和物(化
合物A)は10, 30及び100mg/kgの投与量で改善作用を示
さなかった。
【0107】試験例 4:覚醒イヌ消化管運動促進作用
―― 各群4匹の雌雄ビーグル犬(体重10〜12 kg)を用い、ペ
ントバルビタールナトリウム(ネンブタール 30 mg b.w
t.) の静脈内投与により麻酔し、無菌的に開腹した。It
ohらの方法〔Gastrointerol. Japan. 12, 275-283 (197
7)参照〕に従い、張力トランスジューサーを幽門部より
3 cm 近位の胃前庭部、十二指腸、空腸上部、空腸中
部、回腸の終末の近位結腸の漿膜筋層に輪走筋の収縮が
測定できる方向に縫着した。胃内投与のためにシリコン
チューブ(Fr. size 6.5)を胃体部に挿入し、近傍の漿
膜に固定した。トランスジューサーの導線及び胃内チュ
ーブは腹腔を通して両肩骨間の皮膚切開部から取り出
し、これらの外端は切開部の皮膚近傍に縫着した。手術
後、ジャケット型プロテクターを着用させ、導線及びチ
ューブを保護した。イヌは個々の実験用ケージで飼育
し、餌を午前10時に与え、水は自由に与えた。
【0108】試験化合物 3又は10 mg/kgを0.5 %トラガ
ント液で懸濁し、シリコンチューブを通して胃内に投与
した。
【0109】実施例2及び実施例7bの化合物は、それ
ぞれ3 及び10 mg/kgの投与量で、覚醒イヌの空腹期にみ
られる伝播性強収縮運動に類似した作用を示し、顕著な
消化管機能亢進作用を有することが判明した。一方、化
合物Aは伝播性強収縮運動を全く示さなかった。
【0110】試験例 5:探索行動抑制作用―― 各群5匹の Std-ddY系雄性マウス(体重20〜25 g)を使
用した。0.5 %トラガント溶液に溶解又は懸濁した試験
化合物を経口投与し、2時間後にマウスを1匹ずつAnim
ex運動量測定装置(Farad 社製)上測定ケージ(23×35
×30 cm)に入れ、3分間の探索行動量を測定した。試験
化合物投与群の探索行動量(カウント/3分)の平均値
を求め、対照群のそれと比較して抑制率を算出し、プロ
ビット法により50%抑制する用量(ID50)を求めた。
結果を表4に示す。
【0111】
【表4】 * )実施例1の化合物を意味する(以下同じ)。
【0112】表4から明らかなように、試験した本発明
の化合物はいずれもメトクロプラミド塩酸塩1水和物
(化合物A)よりもはるかに弱い探索行動抑制作用を示
した。この結果は、これらの本発明の化合物の中枢抑制
作用が化合物Aのそれに比べてはるかに弱いことを示し
ている。
【0113】試験例 6:急性毒性―― 各群5匹の Std-ddY系雄性マウス(体重25〜30 g)を使
用した。0.5 %トラガント溶液に溶解又は懸濁した試験
化合物を経口投与し、投与後7日間にわたり、死亡の有
無を観察し、50%致死量(LD50)を求めた。結果を表
5に示す。
【0114】
【表5】 * )実施例2の化合物を意味する(以下同じ)。
【0115】上記試験結果から明らかなように、本発明
の式(I)で表される化合物及びその生理的に許容され
る酸付加塩は、優れた制吐作用と消化管機能亢進作用を
併有するにもかかわらず、中枢抑制作用が弱く、かつ毒
性が低いので、消化管機能改善薬として各種の疾患、治
療等に伴う種々の消化器機能異常の治療及び予防に用い
ることができる。具体的には、急・慢性胃炎、逆流性食
道炎、胃・十二指腸潰瘍、胃神経症、胃下垂、術後の麻
痺性イレウス、老人性イレウス、胃切除後症候群、強皮
症、糖尿病、食道・胆道系疾患、小児の周期性嘔吐症、
上気道感染症などの疾患における食欲不振、悪心、嘔
吐、腹部膨満感、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、曖気等
の治療及び予防に、また過敏性腸症候群、便秘、乳幼児
下痢症の治療及び予防に用いることがきる。更に、各種
抗癌剤もしくはレボドーパ製剤投与時又は放射線照射時
の悪心又は嘔吐の治療及び予防に用いることができる。
【0116】本発明の式(I)で表される化合物のう
ち、実施例2の化合物並びに実施例7aの化合物及び実
施例7bの化合物は、特に優れた消化管機能改善作用を
示す。
【0117】その投与経路としては、経口投与,非経口
投与或いは直腸内投与のいずれでもよい。投与量は、化
合物の種類,投与方法,患者の症状・年齢等により異な
るが、通常0.01〜10 mg/kg/ 日、好ましくは0.1 〜3 m
g/kg/ 日の範囲である。
【0118】式(I)の化合物又はその生理的に許容さ
れる酸付加塩は上記の如き医薬用途に使用する場合、通
常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与され
る。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、
かつ本発明の化合物と反応しない物質が用いられる。具
体的には、例えば乳糖,イノシトール,ブドウ糖,マン
ニトール,デキストラン,ソルビトール,シクロデキス
トリン,デンプン,部分アルファー化デンプン,白糖,
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,合成ケイ酸アルミ
ニウム,結晶セルロース,カルボキシメチルセルロース
ナトリウム,ヒドロキシプロピルデンプン,カルボキシ
メチルセルロースカルシウム,イオン交換樹脂,メチル
セルロース,ゼラチン,アラビアゴム,プルラン,ヒド
ロキシプロピルセルロース,低置換度ヒドロキシプロピ
ルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,
ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコール,アルギ
ン酸,アルギン酸ナトリウム,軽質無水ケイ酸,ステア
リン酸マグネシウム,タルク,トラガント,ベントナイ
ト,ビーガム,カルボキシビニルポリマー,酸化チタ
ン,ソルビタン脂肪酸エステル,ラウリル硫酸ナトリウ
ム,グリセリン,脂肪酸グリセリンエステル,精製ラノ
リン,グリセロゼラチン,ポリソルベート,マクロゴー
ル,植物油,ロウ,水,プロピレングリコール,エタノ
ール,塩化ナトリウム,水酸化ナトリウム,塩酸,クエ
ン酸,ベンジルアルコール,グルタミン酸,グリシン,
パラオキシ安息香酸メチル,パラオキシ安息香酸プロピ
ル等が挙げられる。
【0119】剤型としては、錠剤,カプセル剤,顆粒
剤,散剤,シロップ剤,懸濁剤,注射剤,坐剤等が挙げ
られる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお
液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な媒体に溶
解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤,顆粒剤は
周知の方法でコーティングしてもよい。
【0120】式(I)において、R2 が水素原子である
化合物は、水溶性が良好であることから、液体製剤には
特に好都合である。
【0121】これらの製剤は、式(I)の化合物又はそ
の生理的に許容される酸付加塩を0.01%以上、好ましく
は0.1 〜70%の割合で含有することができる。これらの
製剤はまた、治療上価値ある他の成分を含有していても
よい。
【0122】
【実施例】以下に参考例及び実施例を挙げて本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。化合物の同定は元素分析値,マ
ス・スペクトル,UVスペクトル,IRスペクトル,N
MRスペクトル等により行った。
【0123】また、以下の参考例及び実施例において、
記載の簡略化のために次の略号を使用することもある。
【0124】〔再結晶溶媒〕 A :エタノール、 E :ジエチルエーテル。
【0125】〔置換基〕 Me :メチル基、 Et :エチル基、 △ :シクロプロピル基、 Ph :フェニル基。
【0126】〔NMR〕 J :結合定数、 s :一重線、 d :二重線、 dd :二重の二重線、 t :三重線、 q :四重線、 m :多重線、 br-s :幅広い一重線。
【0127】〔その他〕 ee :鏡像体過剰率。
【0128】参考例 1―― 3−アミノ−1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン
の製造:
【0129】(1) α−アミノ−ε−カプロラクタム
125 gとトリエチルアミン 118 gのクロロホルム 600 m
l 懸濁液に、クロロトリフェニルメタン 288 gを氷冷下
で攪拌しながら加えた。この混合物を同条件下で、さら
に1時間攪拌した後、室温で2時間攪拌した。析出物を
濾取し、これをアセトンで十分に洗浄後、乾燥してα−
トリフェニルメチルアミノ−ε−カプロラクタム 330 g
を得た。 融点 240 〜241 ℃
【0130】(2) 上記生成物 100 gとヨードエタン
65 g のジメチルホルムアミド 500 ml 溶液に、60%水
素化ナトリウム 12 g を室温で攪拌しながら徐々に加
え、同条件下で4時間攪拌した後、氷水中に注いだ。反
応液をジエチルエーテルで抽出し、抽出液を水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で濃縮
した。得られた結晶を濾取し、乾燥して1−エチル−3
−トリフェニルメチルアミノ−1H−ヘキサヒドロアゼ
ピン−2−オン 88 g を得た。 融点 120 〜121 ℃
【0131】(3) 水素化ビス(2−メトキシエトキ
シ)アルミニウムナトリウムの70%トルエン溶液 180 g
にトルエン 800 ml を加え、これに上記生成物83 gを氷
冷下攪拌しながら加え、同条件下で1時間攪拌した後、
室温でさらに2時間攪拌した。反応液に氷冷下、水と48
%水酸化ナトリウム水溶液を加えた後、有機層を分取し
た。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧で留去した。得られた油状の残渣をエタ
ノールで結晶化させた後、結晶を濾取し、乾燥して1−
エチル−3−トリフェニルメチルアミノ−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピン65gを得た。 融点 85〜86℃
【0132】(4) 上記生成物 134 gのテトラヒドロ
フラン 30 ml溶液に10%塩酸 500 mlを加え、室温で2
時間攪拌した。反応液をジエチルエーテルで洗浄し、次
いで水層に過剰の炭酸カリウムを加えた後、クロロホル
ムで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧で留去して目的物48 gを油状物として得
た。
【0133】1H-NMRスペクトル(CDCl3,δppm): 1.0
4 (3H, t, J=7.5Hz), 1.3-1.9 (8H, m), 2.42 (1H, dd,
J=13.5Hz, J=6.9Hz), 2.5-2.6 (4H, m), 2.70 (1H, d
d, J=13.5, J=3.5Hz), 2.98 (1H, m).
【0134】参考例 2―― (R)−3−アミノ−1−エチル−1H−ヘキサヒドロ
アゼピンの製造:
【0135】参考例1(1)におけるα−アミノ−ε−
カプロラクタムの代わりに(R)−α−アミノ−ε−カ
プロラクタムを用い、参考例1と同様に反応・処理して
目的物を油状物として得た。
【0136】参考例 3―― (S)−3−アミノ−1−エチル−1H−ヘキサヒドロ
アゼピンの製造:
【0137】参考例1(1)におけるα−アミノ−ε−
カプロラクタムの代わりに(S)−α−アミノ−ε−カ
プロラクタムを用い、参考例1と同様に反応・処理して
目的物を油状物として得た。
【0138】参考例 4―― (R)−3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−1H
−ヘキサヒドロアゼピンの製造:
【0139】(1) (R)−α−トリフェニルメチル
アミノ−ε−カプロラクタム 37 g のトルエン 370 ml
溶液に、室温で水素化ジイソブチルアルミニウムの1M
トルエン溶液 1000 mlを滴下し、16時間攪拌した。反応
終了後、水を滴下し、余剰の水素化ジイソブチルアルミ
ニウムを分解した。析出塩を濾去し、濾液を飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧
で留去して(R)−3−トリフェニルメチルアミノ−1
H−ヘキサヒドロアゼピン 34 g を油状物として得た。
【0140】(2) 上記生成物 10 g のメチルエチル
ケトン 100 ml 溶液に、炭酸カリウム10.5 g 及び臭化
シクロプロピルメチル 5.1 gを加え、5時間加熱還流し
た。反応終了後、不溶物を濾去し、濾液を減圧で濃縮し
た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付
し、クロロホルム−メタノール(10:1) で溶出・精製し
て(R)−1−シクロプロピルメチル−3−トリフェニ
ルメチルアミノ−1H−ヘキサヒドロアゼピン 10 g を
油状物として得た。
【0141】(3) 上記生成物 9.0 gのテトラヒドロ
フラン 10 ml溶液に、10%塩酸 100 ml を加え、室温で
5時間攪拌した。反応液をジエチルエーテルで洗浄し、
水層を炭酸カリウムで飽和させた後、クロロホルムで抽
出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒
を減圧で留去して目的物 4.0 gを油状物として得た。
【0142】参考例 5―― 3−アミノ−1−シクロプロピルメチル−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピンの製造:
【0143】実施例4(1)における(R)−α−トリ
フェニルメチルアミノ−ε−カプロラクタムの代わりに
α−トリフェニルメチルアミノ−ε−カプロラクタムを
用い、実施例4と同様に反応・処理して目的物を油状物
として得た。
【0144】参考例 6―― 3−アミノ−1−エチル−1H−ヘプタヒドロアゾシン
の製造:
【0145】(1) 2−アザシクロオクタノン 27 g
とヨードエタン 50 g のテトラヒドロフラン 250 ml 溶
液に、60%水素化ナトリウム 10 g を氷冷下で攪拌しな
がら徐々に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した
後、氷水中に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。抽出
液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去
し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付
し、クロロホルム−メタノール(100:1)で溶出・精製し
て1−エチル−1H−ヘプタヒドロアゾシン−2−オン
36 g を油状物として得た。
【0146】1H-NMRスペクトル(CDCl3,δppm): 1.1
5 (3H, t, J=7Hz), 1.4-1.7 (6H, m),1.82 (2H, m), 2.
48 (2H, m), 3.38 (2H, q, J=7Hz), 3.47 (2H, m).
【0147】(2) 上記生成物 25 g のクロロホルム
200 ml 溶液に、五塩化リン 34 g を氷冷下で攪拌しな
がら徐々に加え、同条件下で30分間攪拌した。この混合
液にヨウ素 0.4 gを氷冷下で攪拌しながら加え、次いで
臭素25 gを同条件下でゆっくり滴下した後、2時間加熱
還流した。溶媒を減圧で留去し、残渣を酢酸エチルに溶
解後、水、チオ硫酸ナトリウム水溶液で順に洗浄した。
酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒
を減圧で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーに付し、n−ヘキサン−酢酸エチル(4:1)
で溶出・精製し、得られた結晶をn−ヘキサンから再結
晶して3−ブロモ−1−エチル−1H−ヘプタヒドロア
ゾシン−2−オンと3−クロロ−1−エチル−1H−ヘ
プタヒドロアゾシン−2−オンの混合物 10 g を得た。
【0148】(3) 上記混合物 10 g 、アジ化ナトリ
ウム 12 g とヨウ化ナトリウム2.0 gのジメチルホルム
アミド 100 ml 溶液を80℃で一晩攪拌した後、氷水にあ
け、ジエチルエーテルで抽出した。抽出液を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去した。残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、n−ヘキサ
ン−酢酸エチル(4:1)で溶出・精製して3−アジド
−1−エチル−1H−ヘプタヒドロアゾシン−2−オン
4.8 gを油状物として得た。
【0149】1H-NMRスペクトル(CDCl3,δppm): 1.1
8 (3H, t, J=7Hz), 1.5-1.8 (6H, m),2.2 (2H, m), 3.0
8 (1H, m), 3.28 (1H, m), 3.53 (1H, m), 3.76 (1H,
m), 4.0 (1H, dd, J=10.5Hz, J=5.6Hz).
【0150】(4) 水素化ビス(2−メトキシエトキ
シ)アルミニウムナトリウムの 70 %トルエン溶液 36.
4 g にトルエン 100 ml を加え、これに上記生成物4.8
g を氷冷下攪拌しながらゆっくり加え、室温で2時間攪
拌した。反応液に水と48%水酸化ナトリウム水溶液を氷
冷下で攪拌しながらゆっくり加えた後、ジエチルエーテ
ルで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧で留去して目的物 3.8 gを油状物として
得た。
【0151】参考例 7―― 3−アミノ−1−エチル−1H−オクタヒドロアゾニン
の製造:
【0152】(1) 2−アザシクロノナノン 17 g と
ヨードエタン 29 g の1,2−ジメトキシエタン 200 m
l 溶液に、60%水素化ナトリウム 6.0 gを室温で攪拌し
ながら徐々に加え、同条件下で4時間攪拌した後、水を
加えてクロロホルムで抽出した。抽出液を水で洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去し、
1−エチル−1H−オクタヒドロアゾニン−2−オン 2
0 g を油状物として得た。
【0153】(2) 上記生成物 20gのテトラヒドロフ
ラン 200 ml 溶液に2Mリチウムジイソプロピルアミド
のテトラヒドロフラン 78 ml溶液を氷冷下に滴下し、1
時間攪拌した。反応液をドライアイス中に注ぎ、得られ
た混合液を水で希釈し、これを酢酸エチルで洗浄した。
水層を濃塩酸で酸性とした後、クロロホルムで抽出し、
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を減圧で留去して3−カルボキシ−1−エチル−1
H−オクタヒドロアゾニン−2−オン 14 g を得た。
融点 109 〜110 ℃(ジエチルエーテル−n−ヘキサン
から再結晶)
【0154】(3) 上記生成物 12 g のアセトン 100
ml 溶液に水 12 ml、トリエチルアミン 7.0 ml を加え
た。この混合液に、氷冷下、クロロ炭酸エチル 8.0 gの
アセトン溶液 30 mlを滴下し、30分間攪拌後、さらにア
ジ化ナトリウム 6.1 gの水溶液約 30 mlを滴下し、1.5
時間攪拌した。反応混合物を氷水にあけ、ジエチルエー
テルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去した。残渣
にトルエン 200 ml を加え、70℃で加熱攪拌し、発泡が
止まった時点で、100 ℃まで温度を上げ、2時間攪拌し
た。反応終了後、溶媒を減圧で留去し、残渣に20%塩酸
120 ml を氷冷下に攪拌しながら加え、1.5 時間還流し
た。反応混合物を酢酸エチルで洗浄し、水層を過剰の炭
酸カリウムでアルカリ性にした後、クロロホルムで抽出
した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去して3−アミノ−1−
エチル−1H−オクタヒドロアゾニン−2−オン 8.5 g
を油状物として得た。
【0155】(4) 上記生成物 8.5 gのクロロホルム
100 ml 溶液にトリエチルアミン 7.0ml を加え、氷冷
下、クロロトリフェニルメタン 14 g を少しずつ加え、
室温で3時間攪拌した。反応混合物を飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去
した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付
し、酢酸エチル−n−ヘキサン(1:10)で溶出・精製
して3−トリフェニルメチルアミノ−1−エチル−1H
−オクタヒドロアゾニン−2−オン 14 g を固体として
得た。 融点 160 〜162 ℃(n−ヘキサン−酢酸エチ
ルから再結晶)
【0156】(5) 水素化ビス(2−メトキシエトキ
シ)アルミニウムナトリウムの 70 %トルエン溶液 30
g にトルエン 100 ml を加え、これに上記生成物 14 g
を氷冷下攪拌しながらゆっくり加えた後、室温で一昼夜
攪拌した。冷後、反応液に2N水酸化ナトリウム水溶液
を滴下し、さらに48%水酸化ナトリウム水溶液を加えた
後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗し、飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減
圧で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーに付し、酢酸エチル−n−ヘキサン(1:10)で溶
出・精製して3−トリフェニルメチルアミノ−1−エチ
ル−1H−オクタヒドロアゾニン 13 g を得た。
【0157】(6) 上記生成物 13 g のテトラヒドロ
フラン 3 ml 溶液に10%塩酸 45 mlを加え、室温で5時
間攪拌した。反応液をジエチルエーテルで洗浄し、水層
を過剰の炭酸カリウムでアルカリ性にした後、クロロホ
ルムで抽出した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧で留去して目的物 5.0 gを油状物として
得た。
【0158】参考例 8―― 4−クロロ−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロア
ゼピン−3−イル)−2−メトキシ−5−ニトロベンズ
アミドの製造:
【0159】4−クロロ−2−メトキシ−5−ニトロ安
息香酸 14.7 g 、クロロホルム 300ml 及びジメチルホ
ルムアミド 1 ml の懸濁液に塩化チオニル 22.7 g を加
え、1時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を減圧で留
去し、残渣を塩化メチレン 200 ml に溶解した。これに
トリエチルアミン 12.9 g と3−アミノ−1−エチル−
1H−ヘキサヒドロアゼピン 9.0 gを加えた後、室温で
15時間攪拌した。反応液を水、10%塩酸及び飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧
で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーに付し、クロロホルム−メタノール(9:1)で溶出
・精製して目的物 9.8 gを固形物として得た。
【0160】参考例 9―― (R)−4−クロロ−N−(1−エチル−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキシ−5−ニト
ロベンズアミドの製造:
【0161】(R)−3−アミノ−1−エチル−1H−
ヘキサヒドロアゼピンを用い、参考例8と同様に反応・
処理して目的物を固形物として得た。
【0162】参考例 10―― (S)−4−クロロ−N−(1−エチル−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキシ−5−ニト
ロベンズアミドの製造:
【0163】(S)−3−アミノ−1−エチル−1H−
ヘキサヒドロアゼピンを用い、参考例8と同様に反応・
処理して目的物を固形物として得た。
【0164】参考例 11―― 5−アミノ−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロア
ゼピン−3−イル)−2−メトキシ−4−メチルアミノ
ベンズアミドの製造:
【0165】(1) 4−クロロ−N−(1−エチル−
1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキ
シ−5−ニトロベンズアミド 4.9 gのエタノール 100 m
l 溶液に、30%メチルアミンエタノール溶液 50 mlを加
え、1.5 時間加熱還流した。溶媒を減圧で留去後、残渣
に水を加え、結晶を濾取した。結晶を水で洗浄し、乾燥
してN−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−
3−イル)−2−メトキシ−4−メチルアミノ−5−ニ
トロベンズアミド 3.6 gを得た。
【0166】(2) 上記生成物 3.3 gを20%含水メタ
ノール 200 ml に溶解した後、10%パラジウム炭素を加
え、常圧、室温で接触還元を行った。理論量の水素が吸
収された後、パラジウム炭素を濾去し、濾液中のメタノ
ールを減圧で留去して目的物を含む水溶液を得た。
【0167】参考例 12〜15―― 5−アミノ−4−置換アミノ−N−(1−エチル−1H
−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキシ−
ベンズアミド又はその光学異性体の製造:
【0168】目的物と同じ立体配置を有する(R)−,
(S)−もしくは(RS)−4−クロロ−N−(1−エ
チル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−2−
メトキシ−5−ニトロベンズアミド、と対応するアミン
類を用い、参考例11と同様に反応・処理して、化19
で表される表6の化合物の水溶液を得た。
【0169】
【化19】
【0170】
【表6】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 参考例 立体配置 R2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12 R Me 13 S Me 14 RS Et 15 R Et ━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0171】参考例 16―― 5−アミノ−4−ベンジルアミノ−N−(1−エチル−
1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキ
シベンズアミドの製造:
【0172】(1) 4−クロロ−N−(1−エチル−
1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキ
シ−5−ニトロベンズアミド 2.0 gのエタノール 50 ml
溶液に、ベンジルアミン 6.0 gを加え、22時間加熱還流
した。溶媒を減圧で留去後、残渣に水を加え、クロロホ
ルムで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去した。残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホ
ルム−メタノール(12:1) で溶出・精製して4−ベンジ
ルアミノ−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼ
ピン−3−イル)−2−メトキシ−5−ニトロベンズア
ミド 2.4 gを固形物として得た。
【0173】(2) 上記生成物 1.6 gに濃塩酸 6 ml
とエタノール 3 ml を加え、さらに塩化第一スズ・2水
和物 2.6 gのエタノール 3 ml 溶液を加え、80℃で1時
間攪拌した。反応終了後、エタノールを減圧で留去して
目的物を含む塩酸水溶液を得た。
【0174】参考例 17―― 6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール
−5−カルボン酸の製造:
【0175】(1) 参考例8における3−アミノ−1
−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピンの代わりにプロ
ピルアミンを用い、参考例8と同様に反応・処理し、4
−クロロ−2−メトキシ−5−ニトロ−N−(1−プロ
ピル)ベンズアミドを固体として得た。
【0176】(2) 参考例11(1)における4−ク
ロロ−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン
−3−イル)−2−メトキシ−5−ニトロベンズアミド
の代わりに上記生成物を用い、参考例11と同様に反応
・処理し、5−アミノ−2−メトキシ−4−メチルアミ
ノ−N−(1−プロピル)ベンズアミドを固体として得
た。
【0177】(3) 後記実施例1における5−アミノ
−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3
−イル)−2−メトキシ−4−メチルアミノベンズアミ
ドの代わりに上記生成物を用い、後記実施例1と同様に
反応・処理し、6−メトキシ−1−メチル−N−(1−
プロピル)−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキ
サミドを固体として得た。
【0178】(4)上記生成物 6.9 g及び濃塩酸 100 m
l の混合物を5.5 時間加熱還流した。反応液を冷却後、
減圧で濃縮し、析出する結晶を濾取し、これを水洗した
後、乾燥して目的物 3.2 gを得た。
【0179】実施例 1―― N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−
イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0180】参考例11で得られた5−アミノ−N−
(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イ
ル)−2−メトキシ−4−メチルアミノベンズアミドを
約 3.0 g含む水溶液 40 mlに酢酸 5 ml を加えた後、5
℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム 0.8g の水溶液 10 mlを
加え、同温度で1時間攪拌した。反応液を水酸化ナトリ
ウム水溶液でアルカリ性とした後、クロロホルムで抽出
した。抽出液を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧で留去して油状物を得た。この油状物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホ
ルム−メタノール(9:1)で溶出・精製した後、得ら
れた固体をトルエン−n−ヘキサンから再結晶して目的
物 2.3 gを得た。 融点 103 〜104 ℃
【0181】実施例 2―― (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0182】参考例12で得られた(R)−5−アミノ
−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3
−イル)−2−メトキシ−4−メチルアミノベンズアミ
ドを含む酢酸水溶液を、5℃に冷却した後、亜硝酸ナト
リウム 6.6 gの 50 ml水溶液を滴下し、同温度で1時
間、室温で2時間攪拌した。反応液を水酸化ナトリウム
水溶液でアルカリ性とした後、酢酸エチルで抽出した。
抽出液を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒
を減圧で留去して油状物を得た。この油状物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メ
タノール(9:1)で溶出・精製した後、得られた固体
をトルエン−n−ヘキサンから再結晶して目的物 26.7
g を得た。 融点 118 〜120 ℃ [α]D 27 −70.6°( c=1.0,エタノール)
【0183】実施例 3―― (S)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0184】参考例13で得られた(S)−5−アミノ
−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3
−イル)−2−メトキシ−4−メチルアミノベンズアミ
ドの水溶液を用い、実施例1と同様に反応・処理し、生
成物をトルエン−n−ヘキサンから再結晶して目的物を
得た。 融点 119 〜120 ℃
【0185】実施例 4―― 1−エチル−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロア
ゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0186】参考例14で得られた5−アミノ−N−
(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イ
ル)−4−エチルアミノ−2−メトキシベンズアミドの
水溶液を用い、実施例1と同様に反応・処理し、生成物
をトルエン−n−ヘキサンから再結晶して目的物を得
た。 融点 84〜85℃
【0187】実施例 5―― (R)−1−エチル−N−(1−エチル−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0188】参考例15で得られた(R)−5−アミノ
−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3
−イル)−4−エチルアミノ−2−メトキシベンズアミ
ドの水溶液を用い、実施例1と同様に反応・処理して目
的物を油状物として得た。マススペクトル(m/z):346
(MH + )
【0189】実施例 6―― N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−
イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5
−カルボキサミドの製造:
【0190】6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール
−5−カルボン酸 0.85 g のジメチルホルムアミド 10
ml溶液にN,N’−カルボニルジイミダゾール0.78 gを
加え、室温で6時間攪拌した。反応液に3−アミノ−1
−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン 0.75 g を加
え、室温で14時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧で
留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに
付し、クロロホルム−メタノール(10:1)で溶出・精製
し、エタノール−ジエチルエーテルから再結晶して目的
物 1.3 gを得た。
【0191】融点 156 〜158 ℃1 H-NMRスペクトル(CDCl3,δppm): 1.09 (3H, t, J=
7Hz), 1.5-2.1 (6H, m),2.5-3.1 (6H, m), 3.83 (3H,
s), 4.4(1H, m), 6.4 (1H, br-s), 7.07 (1H, s), 8.05
(1H, d, J=8Hz), 8.78 (1H, s).
【0192】実施例 7―― (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾ
ール−5−カルボキサミドの製造:
【0193】(a) 6−メトキシ−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボン酸 10 g のジメチルホルムアミ
ド 150 ml 溶液にN,N’−カルボニルジイミダゾール
9.0 gを加え、室温で6時間攪拌した。反応液に(R)
−3−アミノ−1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン 8.8 gを加え、室温で14時間攪拌した。反応終了後、
溶媒を減圧で留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(10:1)
で溶出・精製し、ジエチルエーテル−n−ヘキサンから
再結晶して目的物 12 g を得た。 融点 127 〜128 ℃
【0194】(a′) 上記目的物を再度酢酸エチル−
n−ヘキサンから再結晶して目的物を得た。融点 142
〜144 ℃ [α]D 25 −71.9°(c=1.0 ,メタノール) 該化合物は、下記条件下の高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)で保持時間 37.2 分を示し、光学純度は99
%ee以上であった。 〔HPLC条件〕HPLCカラム:住化分析センター製
SUMICHIRAL OA-4900; 4.6 mm× 250 mm 移動相:n−ヘキサン−塩化メチレン−エタノール−ト
リフルオロ酢酸(400:100:100:0.6)流速:1.0 ml/分 温度:25℃ 検出:230 nm
【0195】(b) 上記(a)で得られた生成物をフ
マル酸で処理してフマル酸塩とし、イソプロピルアルコ
ール−メタノールから再結晶して目的物の3/2フマル
酸塩を得た。 融点 131 〜133 ℃
【0196】(b′) 上記(a)で得られた生成物を
フマル酸で処理してフマル酸塩とし、イソプロピルアル
コールから再結晶して目的物の3/2フマル酸塩を得
た。融点 162 〜163 ℃
【0197】(b″) 上記(a)で得られた生成物を
フマル酸で処理してフマル酸塩とし、エタノール−イソ
プロピルアルコールから再結晶して目的物の3/2フマ
ル酸塩・1/4水和物を得た。融点 166 〜168 ℃
【0198】(c) 1−アセチル−6−メトキシ−1
H−ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸 31.5 g にト
リエチルアミン 20.3 g 及び酢酸エチル 400 ml を加
え、−7〜−10℃でクロル炭酸エチル 17.5 g を滴下し
た。−5℃〜−7℃で2時間攪拌した後、(R)−3−
アミノ−1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン 22.
8g の酢酸エチル 80 ml溶液を滴下し、1時間攪拌後、
室温で16時間攪拌した。反応液を水及び飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去
した。残渣にクロロホルム−メタノール(8:1)の混
合液 1000 mlを加えた後、シリカゲル 180 gを加え室温
で16時間攪拌した。シリカゲルを濾去し、クロロホルム
−メタノール(5:1)の混合液 1000 mlで洗浄し、溶
媒を減圧で留去して目的物の粗生成物 32 g を得た。
【0199】上記粗生成物 24 g に対し、フマル酸 2.5
〜3倍量(22.5 g)使用し、イソプロピルアルコール−
メタノールから再結晶して目的物の3/2フマル酸塩 2
5 gを得た。 融点 131 〜133 ℃
【0200】実施例 8―― (S)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾ
ール−5−カルボキサミドの製造:
【0201】実施例7における3−アミノ−1−エチル
−1H−ヘキサヒドロアゼピンの代わりに(S)−3−
アミノ−1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピンを用
い、実施例7と同様に反応・処理し、次いで生成物をフ
マル酸で処理してフマル酸塩とし、イソプロピルアルコ
ールから再結晶して目的物の3/2フマル酸塩を得た。
融点 156 〜158 ℃
【0202】別途に、上記生成物をフマル酸で処理して
フマル酸塩とし、エタノール−イソプロピルアルコール
から再結晶して目的物の2フマル酸塩・1/2水和物を
得た。融点 148 〜151 ℃
【0203】表題化合物は、実施例7と同条件下のHP
LCで保持時間 44.0 分を示し、光学純度は99%ee以上
であった。
【0204】実施例 9〜12―― 実施例6における3−アミノ−1−エチル−1H−ヘキ
サヒドロアゼピンの代わりに、対応する3−アミノ−1
−置換−アザシクロアルカン類を用い、実施例6と同様
に反応・処理して化20で表される表7の化合物を得
た。
【0205】
【化20】
【0206】
【表7】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 立体配置 R1 n Q 融点( ℃) 再結晶溶媒 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9 RS Et 2 1/4H2O 169-171 E 10 RS Et 3 200-202 A-E 11 RS CH2△ 1 アモルファス 12 R CH2△ 1 アモルファス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0207】実施例 13―― (R)−N−(1−シクロプロピルメチル−1H−ヘキ
サヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1−メ
チル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド
の製造:
【0208】対応する原料化合物を用い、参考例4、8
及び11と同様に反応・処理して得られる(R)−5−
アミノ−N−(1−シクロプロピルメチル−1H−ヘキ
サヒドロアゼピン−3−イル)−2−メトキシ−4−メ
チルアミノベンズアミドの水溶液を用い、実施例1と同
様に反応・処理し、生成物をトルエンから再結晶して目
的物を得た。 融点 127 〜128 ℃
【0209】実施例 14―― N−(1−エチル−1H−ヘプタヒドロアゾシン−3−
イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0210】実施例6における6−メトキシ−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボン酸及び3−アミノ−1
−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピンの代わりに6−
メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−5
−カルボン酸及び3−アミノ−1−エチル−1H−ヘプ
タヒドロアゾシンをそれぞれ用い、実施例6と同様に反
応・処理し、生成物をエタノール−ジエチルエーテルか
ら再結晶して目的物を得た。 融点 116 〜118 ℃
【0211】実施例 15―― N−(1−エチル−1H−オクタヒドロアゾニン−3−
イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリ
アゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0212】実施例6における6−メトキシ−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボン酸及び3−アミノ−1
−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピンの代わりに6−
メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−5
−カルボン酸及び3−アミノ−1−エチル−1H−オク
タヒドロアゾニンをそれぞれ用い、実施例6と同様に反
応・処理し、生成物を酢酸エチルから再結晶して目的物
を得た。融点 155 〜156 ℃
【0213】実施例 16―― 1−ベンジル−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロ
アゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾト
リアゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0214】参考例16で得られた5−アミノ−4−ベ
ンジルアミノ−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロ
アゼピン−3−イル)−2−メトキシベンズアミド約
1.5 gを含む塩酸水溶液 6 ml に5N塩酸 30 mlと水 70
mlを加え、氷冷下に亜硝酸ナトリウム0.29 gの水溶液
1mlを加え、同条件で30分間、さらに室温で1時間攪拌
した。反応液を48%水酸化ナトリウム水溶液でアルカリ
性とした後、クロロホルムで抽出した。抽出液を飽和食
塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を
減圧で留去して油状物を得た。この油状物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタ
ノール(20:1)で溶出・精製した後、得られた固体を
ジエチルエーテルから再結晶して目的物 1.1 gを得た。
融点 136 〜137 ℃
【0215】実施例 17―― (R)−1−アセチル−N−(1−エチル−1H−ヘキ
サヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−
ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミドの製造:
【0216】1−アセチル−6−メトキシ−1H−ベン
ゾトリアゾール−5−カルボン酸 31.5 g にトリエチル
アミン 20.3 g 及び酢酸エチル 400 ml を加え、−7〜
−10℃でクロル炭酸エチル 17.5 g を滴下した。−5℃
〜−7℃で2時間攪拌した後、(R)−3−アミノ−1
−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン 22.8 g の酢酸
エチル 80 ml溶液を滴下し、同温度で1時間攪拌後、室
温で16時間攪拌した。反応液を水及び飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧で留去し
て目的物 36 g を固体として得た。 融点 134 〜135
℃(酢酸エチルから再結晶)
【0217】1H−NMRスペクトル(CDCl3,δppm): 1.
04 (3H, t, J=7.0Hz), 1.5-2.1 (6H,m), 2.45-2.95 (6
H, m), 3.00 (3H, s), 4.09 (3H, s), 4.35 (1H, m),
7.76 (1H, s), 8.60 (1H, d, J=9.0Hz), 8.95 (1H, s)
【0218】製剤例 1:―― 錠剤の製造: (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミド(5 g)、乳糖
(80 g)、トウモロコシデンプン(30 g)、結晶セルロ
ース(25 g)、ヒドロキシプロピルセルロース(3 g
)、軽質無水ケイ酸(0.7 g )、及びステアリン酸マ
グネシウム(1.3 g )。
【0219】上記成分を常法により混合、造粒した後、
1錠あたり145 mgで打錠、1000錠を製する。
【0220】製剤例 2:―― カプセル剤の製造: (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾ
ール−5−カルボキサミド・3/2フマル酸塩(10
g)、乳糖(160 g )、トウモロコシデンプン(22
g)、ヒドロキシプロピルセルロース(3.5 g )、軽質
無水ケイ酸(1.8 g )、及びステアリン酸マグネシウム
(2.7 g )。
【0221】常法により、上記成分を混合造粒し、1000
カプセルに充填する。
【0222】製剤例 3:―― 散剤の製造: (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピ
ン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾ
ール−5−カルボキサミド・3/2フマル酸塩(10
g)、乳糖(960 g )、ヒドロキシプロピルセルロース
(25 g)、及び軽質無水ケイ酸(5 g )。
【0223】常法により、上記成分を混合した後、散剤
に製する。
【0224】製剤例 4:―― 注射剤の製造(100
0アンプルあたり):
【0225】
【表8】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・(R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−イル)− 6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド・3/2フマル 酸塩(10 g) ・ソルビトール (100 g) ・注射用水(適量) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 全量 2000 ml ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0226】(R)−N−(1−エチル−1H−ヘキサ
ヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベ
ンゾトリアゾール−5−カルボキサミド・3/2フマル
酸塩及びソルビトールを注射用水の一部に溶解した後、
残りの注射用水を加えて全量調製する。この溶液をメン
ブランフィルター(0.22μm )で濾過し、濾液を2 mlア
ンプル中に充填し、次いでこれを121 ℃で20分間滅菌す
る。
【0227】
【発明の効果】以上説明したように、式(I)で表され
る本発明の化合物及びその生理的に許容される酸付加塩
は、優れた制吐作用と消化管機能亢進作用を併有し、か
つ中枢抑制作用が弱いので、消化管機能改善薬として各
種の疾患、治療等に伴う種々の消化器機能異常の治療及
び予防に用いることができる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で表される6−メトキシ−1H
    −ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド誘導体又は
    その生理的に許容される酸付加塩。 【化1】 〔式中、R1 はエチル基又はシクロプロピルメチル基を
    意味し、R2 は水素原子、メチル基又はエチル基を意味
    し、nは1、2又は3を意味し、波線(〜)はそれが結
    合している炭素原子の立体配置がRS、R又はSである
    ことを意味する。〕
  2. 【請求項2】 R1 がエチル基である請求項1記載の化
    合物。
  3. 【請求項3】 R2 が水素原子又はメチル基である請求
    項2記載の化合物。
  4. 【請求項4】 立体配置がRである請求項1〜3のいず
    れか1項記載の化合物。
  5. 【請求項5】 立体配置がRSである請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の化合物。
  6. 【請求項6】 N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロ
    アゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾト
    リアゾール−5−カルボキサミド、 N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロアゼピン−3−
    イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリ
    アゾール−5−カルボキサミド、 1−エチル−N−(1−エチル−1H−ヘキサヒドロア
    ゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリ
    アゾール−5−カルボキサミド、 (R)−1−エチル−N−(1−エチル−1H−ヘキサ
    ヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベ
    ンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、 N−(1−エチル−1H−ヘプタヒドロアゾシン−3−
    イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5
    −カルボキサミド、 N−(1−エチル−1H−ヘプタヒドロアゾシン−3−
    イル)−6−メトキシ−1−メチル−1H−ベンゾトリ
    アゾール−5−カルボキサミド、 N−(1−エチル−1H−オクタヒドロアゾニン−3−
    イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5
    −カルボキサミド、 N−(1−シクロプロピルメチル−1H−ヘキサヒドロ
    アゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−ベンゾト
    リアゾール−5−カルボキサミド、 (R)−N−(1−シクロプロピルメチル−1H−ヘキ
    サヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−
    ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、及び(R)
    −N−(1−シクロプロピルメチル−1H−ヘキサヒド
    ロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1−メチル−
    1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミドから選
    ばれるいずれかの化合物又はその生理的に許容される酸
    付加塩。
  7. 【請求項7】 (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキ
    サヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H−
    ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド又はその生理
    的に許容される酸付加塩。
  8. 【請求項8】 (R)−N−(1−エチル−1H−ヘキ
    サヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1−メ
    チル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド
    又はその生理的に許容される酸付加塩。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項記載の6−
    メトキシ−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサ
    ミド誘導体又はその生理的に許容される酸付加塩を含有
    する医薬組成物。
  10. 【請求項10】 (R)−N−(1−エチル−1H−ヘ
    キサヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1H
    −ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド又はその生
    理的に許容される酸付加塩を含有する医薬組成物。
  11. 【請求項11】 (R)−N−(1−エチル−1H−ヘ
    キサヒドロアゼピン−3−イル)−6−メトキシ−1−
    メチル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミ
    ド又はその生理的に許容される酸付加塩を含有する医薬
    組成物。
  12. 【請求項12】 下記化2で表される6−メトキシ−1
    H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド誘導体又
    はその酸付加塩。 【化2】 〔式中、R1 はエチル基又はシクロプロピルメチル基を
    意味し、R3 はアミノ基の保護基を意味し、nは1、2
    又は3を意味し、波線(〜)はそれが結合している炭素
    原子の立体配置がRS、R又はSであることを意味す
    る。〕
JP32640295A 1994-11-21 1995-11-20 6−メトキシ−1h−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド誘導体 Expired - Fee Related JP3222051B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1999002522A1 (fr) * 1997-07-11 1999-01-21 Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd. (r)-n-(1-ethyl-1h-hexahydroazepine-3-yl)-6-methoxy-1h-benzotriazole-5-carbooxamide monofumarate monohydrate et son procede de production

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