JPH08208301A - コンクリートの白華現象を防止する方法 - Google Patents
コンクリートの白華現象を防止する方法Info
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- JPH08208301A JPH08208301A JP3175095A JP3175095A JPH08208301A JP H08208301 A JPH08208301 A JP H08208301A JP 3175095 A JP3175095 A JP 3175095A JP 3175095 A JP3175095 A JP 3175095A JP H08208301 A JPH08208301 A JP H08208301A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 産業廃棄物として多量に発生している石炭フ
ライアッシュ等の無機質材を有効に再利用して、コンク
リートの白華現象を有効に阻止する。 【構成】 シリカとアルミナを含む無機質材をアルカリ
水溶液で処理して得られた陽イオン吸着性を有するアル
カリ処理無機粉体を生コンクリートに混入し、添加した
アルカリ処理無機粉体でもってコンクリート表面に白華
を生成させるアルカリイオンを吸着させて、コンクリー
ト表面の白華現象を防止する。
ライアッシュ等の無機質材を有効に再利用して、コンク
リートの白華現象を有効に阻止する。 【構成】 シリカとアルミナを含む無機質材をアルカリ
水溶液で処理して得られた陽イオン吸着性を有するアル
カリ処理無機粉体を生コンクリートに混入し、添加した
アルカリ処理無機粉体でもってコンクリート表面に白華
を生成させるアルカリイオンを吸着させて、コンクリー
ト表面の白華現象を防止する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンクリートの表面に発
生する白華を防止する方法に関する。
生する白華を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーフルな景観に対する関心が高まっ
ているなか、道路法面擁壁、海岸消波ブロック、都市空
間を構築するビルや路面等にコンクリート構造物や二次
製品を着色する技術が広がってきた。コンクリート製品
には、白華と呼ばれる不都合な現象がしばしば生じる。
この現象は、セメントで硬化させたコンクリート構築
物、あるいはコンクリート製二次製品の表面に白い面状
の吹出物や斑点が生じるものである。コンクリートは、
表面の白華現象により品質が著しく低下するのみなら
ず、表層部が溶解、欠落して粗骨材が露出し、コンクリ
ート構造物や二次製品を劣化させる原因にもつながる。
カラーコンクリートに白華が生じると、色を淡くするだ
けでなく、色合いが極端に悪化して、着色面を汚染した
り、外観を極端に損ねる。とくに、暗色のカラーコンク
リートでは白華した部分が目だつので、着色面の見かけ
が著しく悪くなる。
ているなか、道路法面擁壁、海岸消波ブロック、都市空
間を構築するビルや路面等にコンクリート構造物や二次
製品を着色する技術が広がってきた。コンクリート製品
には、白華と呼ばれる不都合な現象がしばしば生じる。
この現象は、セメントで硬化させたコンクリート構築
物、あるいはコンクリート製二次製品の表面に白い面状
の吹出物や斑点が生じるものである。コンクリートは、
表面の白華現象により品質が著しく低下するのみなら
ず、表層部が溶解、欠落して粗骨材が露出し、コンクリ
ート構造物や二次製品を劣化させる原因にもつながる。
カラーコンクリートに白華が生じると、色を淡くするだ
けでなく、色合いが極端に悪化して、着色面を汚染した
り、外観を極端に損ねる。とくに、暗色のカラーコンク
リートでは白華した部分が目だつので、着色面の見かけ
が著しく悪くなる。
【0003】白華現象を防止する方法として、ゼオライ
ト結晶を含む緑色凝灰岩を粉砕した混和剤を添加する方
法が開発されている(特開昭62-21739号公報)。この公
報に記載される方法は、ゼオライト結晶を含む緑色凝灰
岩を粉砕し、これをロ−タリ−キルンにて、300〜6
50℃で、10〜20分間加熱して焼成し、表面水と結
晶水を除去して顆粒および粉末にしたモルタル・コンク
−ト混和剤を1〜20重量%の割合でコンクリ−トに混
和する。
ト結晶を含む緑色凝灰岩を粉砕した混和剤を添加する方
法が開発されている(特開昭62-21739号公報)。この公
報に記載される方法は、ゼオライト結晶を含む緑色凝灰
岩を粉砕し、これをロ−タリ−キルンにて、300〜6
50℃で、10〜20分間加熱して焼成し、表面水と結
晶水を除去して顆粒および粉末にしたモルタル・コンク
−ト混和剤を1〜20重量%の割合でコンクリ−トに混
和する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この公報に記載される
方法は、緑色凝灰岩に含まれるゼオライトで、NaやK
等の陽イオンを吸着して白華を防止することができる。
ゼオライトがコンクリートに含まれる陽イオンを吸着す
る能力があるからである。しかしながら、緑色凝灰岩の
粉末は、陽イオンの吸着性能を示す塩基置換容量が低い
ので、コンクリートの白華現象を効果的に防止するため
には、多く添加する必要がある。緑色凝灰岩は、Naや
K等のアルカリ金属を含有するので、添加量を多くする
と、アルカリ骨材反応が心配されるようになる。緑色凝
灰岩に含まれるNaやK等のアルカリ金属がコンクリー
トに添加されると、これがコンクリート中のシリカと反
応して非晶質のケイ素化合物となる。このケイ素化合物
は吸水性があるので、ケイ素化合物によってコンクリー
トは局部的に吸水して膨潤し、コンクリートのひび割れ
や崩壊原因となる。アルカリ骨材反応は経時的に次第に
進行して、コンクリートの強度を局部的に著しく低下さ
せるので、発見が難しく、極めて恐ろしい現象である。
方法は、緑色凝灰岩に含まれるゼオライトで、NaやK
等の陽イオンを吸着して白華を防止することができる。
ゼオライトがコンクリートに含まれる陽イオンを吸着す
る能力があるからである。しかしながら、緑色凝灰岩の
粉末は、陽イオンの吸着性能を示す塩基置換容量が低い
ので、コンクリートの白華現象を効果的に防止するため
には、多く添加する必要がある。緑色凝灰岩は、Naや
K等のアルカリ金属を含有するので、添加量を多くする
と、アルカリ骨材反応が心配されるようになる。緑色凝
灰岩に含まれるNaやK等のアルカリ金属がコンクリー
トに添加されると、これがコンクリート中のシリカと反
応して非晶質のケイ素化合物となる。このケイ素化合物
は吸水性があるので、ケイ素化合物によってコンクリー
トは局部的に吸水して膨潤し、コンクリートのひび割れ
や崩壊原因となる。アルカリ骨材反応は経時的に次第に
進行して、コンクリートの強度を局部的に著しく低下さ
せるので、発見が難しく、極めて恐ろしい現象である。
【0005】さらに、コンクリートの白華現象とは別の
問題として、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却
灰、廃珪藻土等の多量の粉体が産業廃棄物として多量に
発生している。石炭フライアッシュは、製鉄プロセスに
おける鉄鉱石の還元剤として使用済みの石炭灰、あるい
は、火力発電所や工場等のボイラーの燃料から膨大な量
が発生している。火力発電所からでも毎年約380万ト
ンにのぼる石炭フライアッシュが廃棄されている。石炭
フライアッシュは、一部をセメント原料等に使用してい
るが、適切な処理方法がほとんどないことから、大部分
が利用価値のない産業廃棄物として一緒に埋め立て地に
投棄処分されている。最近では埋め立て地の確保に困難
をきたしていることなどから、廃棄物としての石炭フラ
イアッシュが、社会的にもまた環境保全の立場からも全
国的に大きな問題となっている。このような情勢のなか
で、これからますます増加するであろう石炭フライアッ
シュの処理問題を解決することが急務となっており、そ
の有効的なリサイクルあるいは再資源化を目指して新し
い技術を速やかに開発、確率することが強く切望されて
いる。
問題として、石炭フライアッシュ、製紙スラッジ焼却
灰、廃珪藻土等の多量の粉体が産業廃棄物として多量に
発生している。石炭フライアッシュは、製鉄プロセスに
おける鉄鉱石の還元剤として使用済みの石炭灰、あるい
は、火力発電所や工場等のボイラーの燃料から膨大な量
が発生している。火力発電所からでも毎年約380万ト
ンにのぼる石炭フライアッシュが廃棄されている。石炭
フライアッシュは、一部をセメント原料等に使用してい
るが、適切な処理方法がほとんどないことから、大部分
が利用価値のない産業廃棄物として一緒に埋め立て地に
投棄処分されている。最近では埋め立て地の確保に困難
をきたしていることなどから、廃棄物としての石炭フラ
イアッシュが、社会的にもまた環境保全の立場からも全
国的に大きな問題となっている。このような情勢のなか
で、これからますます増加するであろう石炭フライアッ
シュの処理問題を解決することが急務となっており、そ
の有効的なリサイクルあるいは再資源化を目指して新し
い技術を速やかに開発、確率することが強く切望されて
いる。
【0006】さらに、製紙産業からは多量に廃棄される
製紙スラッジ焼却灰についても、また、ビールの濾過等
にフィルターとして使用済みの廃珪藻土も膨大な量にの
ぼり、これ等を廃棄するのではなくて、有効に再利用で
きる技術が切望されている。
製紙スラッジ焼却灰についても、また、ビールの濾過等
にフィルターとして使用済みの廃珪藻土も膨大な量にの
ぼり、これ等を廃棄するのではなくて、有効に再利用で
きる技術が切望されている。
【0007】本発明の目的は、これら従来の弊害を防止
すると共に、産業廃棄物として多量に発生している石炭
フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、廃珪藻土等の無
機質材を有効に再利用することが可能で、しかも、アル
カリ骨材反応を助長させることなく、コンクリートの白
華現象を有効に阻止できる方法を提供することにある。
すると共に、産業廃棄物として多量に発生している石炭
フライアッシュ、製紙スラッジ焼却灰、廃珪藻土等の無
機質材を有効に再利用することが可能で、しかも、アル
カリ骨材反応を助長させることなく、コンクリートの白
華現象を有効に阻止できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のコンクリートの
白華現象を防止する方法は、前述の目的を達成するため
に下記の構成を備える。本発明のコンクリートの白華現
象を防止する方法は、シリカとアルミナを含む無機質材
をアルカリ水溶液で処理して得られた陽イオン吸着性を
有するアルカリ処理無機粉体を生コンクリートに混入
し、添加したアルカリ処理無機粉体でもって、コンクリ
ートに含まれるNaやK等のアルカリ金属をイオン吸着
してコンクリート表面の白華現象を防止する。
白華現象を防止する方法は、前述の目的を達成するため
に下記の構成を備える。本発明のコンクリートの白華現
象を防止する方法は、シリカとアルミナを含む無機質材
をアルカリ水溶液で処理して得られた陽イオン吸着性を
有するアルカリ処理無機粉体を生コンクリートに混入
し、添加したアルカリ処理無機粉体でもって、コンクリ
ートに含まれるNaやK等のアルカリ金属をイオン吸着
してコンクリート表面の白華現象を防止する。
【0009】本発明の方法は、好ましくは、シリカとア
ルミナを含む無機質材に、石炭フライアッシュ、製紙ス
ラッジ焼却灰、または珪藻土のいずれか使用して、膨大
な発生量の産業廃棄物を有効利用する。これ等の無機質
材は、ゴミのように嫌われている産業廃棄物であるが、
よく調べて見ると、実は非常に高いポテンシャルをもつ
貴重な「未使用資源」である。このように無機質材を有
効に利用できるなら、もはや「廃棄物」の汚名を着せる
ことはできない。本発明の方法によって、これ等の無機
質材を簡単な処理で、極めて有効な添加材として使用で
きるからである。
ルミナを含む無機質材に、石炭フライアッシュ、製紙ス
ラッジ焼却灰、または珪藻土のいずれか使用して、膨大
な発生量の産業廃棄物を有効利用する。これ等の無機質
材は、ゴミのように嫌われている産業廃棄物であるが、
よく調べて見ると、実は非常に高いポテンシャルをもつ
貴重な「未使用資源」である。このように無機質材を有
効に利用できるなら、もはや「廃棄物」の汚名を着せる
ことはできない。本発明の方法によって、これ等の無機
質材を簡単な処理で、極めて有効な添加材として使用で
きるからである。
【0010】コンクリートに混入されるアルカリ処理無
機粉体は、陽イオン吸着量を、たとえば、100〜60
0meq/100g、好ましくは200〜400meq/100gの範囲
とするようにアルカリ処理される。陽イオン吸着性能に
優れるアルカリ骨材反応は、添加量を少なくして、有効
にコンクリートの白華現象を防止できる特長がある。ア
ルカリ処理無機粉体は、陽イオン吸着量を大きくするこ
とで、白華現象を有効に防止できるが、陽イオン吸着量
を大きくすると、無機質材のアルカリ処理コストが高く
なる。無機質材をアルカリ処理液に浸漬する時間が長く
なると共に、アルカリ処理液の使用量や洗浄液量が増加
するからである。アルカリ処理無機粉体の陽イオン吸着
量は、処理コストと要求される白華現象の抑制力とを考
慮して前記の範囲に調製する。
機粉体は、陽イオン吸着量を、たとえば、100〜60
0meq/100g、好ましくは200〜400meq/100gの範囲
とするようにアルカリ処理される。陽イオン吸着性能に
優れるアルカリ骨材反応は、添加量を少なくして、有効
にコンクリートの白華現象を防止できる特長がある。ア
ルカリ処理無機粉体は、陽イオン吸着量を大きくするこ
とで、白華現象を有効に防止できるが、陽イオン吸着量
を大きくすると、無機質材のアルカリ処理コストが高く
なる。無機質材をアルカリ処理液に浸漬する時間が長く
なると共に、アルカリ処理液の使用量や洗浄液量が増加
するからである。アルカリ処理無機粉体の陽イオン吸着
量は、処理コストと要求される白華現象の抑制力とを考
慮して前記の範囲に調製する。
【0011】さらに、コンクリートに混合されるアルカ
リ処理無機粉体の添加量は、セメント100重量部に対
して、たとえば7〜200重量部、好ましくは10〜1
00重量部、さらに好ましくは15〜80重量部、最適
には15〜50重量部とする。アルカリ処理無機粉体の
添加量が少な過ぎると、白華現象を有効に防止できなく
なる。反対にアルカリ処理無機粉体の添加量が多すぎる
と、セメント量が少なくなって強度が低下すると共に、
原料コストが高なる。アルカリ処理無機粉体のコスト
が、骨材に比較して高いからである。アルカリ処理無機
粉体の添加量は、白華現象の抑制効果と、コンクリート
強度と、原料コストとを考慮して最適値に調製する。
リ処理無機粉体の添加量は、セメント100重量部に対
して、たとえば7〜200重量部、好ましくは10〜1
00重量部、さらに好ましくは15〜80重量部、最適
には15〜50重量部とする。アルカリ処理無機粉体の
添加量が少な過ぎると、白華現象を有効に防止できなく
なる。反対にアルカリ処理無機粉体の添加量が多すぎる
と、セメント量が少なくなって強度が低下すると共に、
原料コストが高なる。アルカリ処理無機粉体のコスト
が、骨材に比較して高いからである。アルカリ処理無機
粉体の添加量は、白華現象の抑制効果と、コンクリート
強度と、原料コストとを考慮して最適値に調製する。
【0012】コンクリートに添加されるアルカリ処理無
機粉体は、アルカリ金属含有量を少なくするのが望まし
い。それは、アルカリ処理無機粉体に多量のアルカリ金
属が含有されていると、これがアルカリ骨材反応の原因
となって、コンクリートの強度を経時的に低下させるか
らである。好ましくは、アルカリ処理無機粉体のアルカ
リ金属含有量を4重量%以下に調製する。
機粉体は、アルカリ金属含有量を少なくするのが望まし
い。それは、アルカリ処理無機粉体に多量のアルカリ金
属が含有されていると、これがアルカリ骨材反応の原因
となって、コンクリートの強度を経時的に低下させるか
らである。好ましくは、アルカリ処理無機粉体のアルカ
リ金属含有量を4重量%以下に調製する。
【0013】
【作用】コンクリートの白華現象は、コンクリート中
に、硫酸ナトリウムや塩化ナトリウム等アルカリ硫酸塩
やアルカリ塩化物が多く含まれたり、また、コンクリー
トの孔隙が大きいと、外部の炭酸ガスの溶けた溶液移動
が活発になり、可溶性塩を表面に溶かし出すことで生じ
る。本発明のコンクリートの白華現象を防止する方法
は、白華現象を防止するために、シリカとアルミナを含
む無機質材をアルカリ水溶液で処理して得られた陽イオ
ン吸着性を有するアルカリ処理無機粉体を生コンクリー
トに添加する。
に、硫酸ナトリウムや塩化ナトリウム等アルカリ硫酸塩
やアルカリ塩化物が多く含まれたり、また、コンクリー
トの孔隙が大きいと、外部の炭酸ガスの溶けた溶液移動
が活発になり、可溶性塩を表面に溶かし出すことで生じ
る。本発明のコンクリートの白華現象を防止する方法
は、白華現象を防止するために、シリカとアルミナを含
む無機質材をアルカリ水溶液で処理して得られた陽イオ
ン吸着性を有するアルカリ処理無機粉体を生コンクリー
トに添加する。
【0014】コンクリートにアルカリ処理無機粉体を混
入して、白華現象が抑制できるのは、アルカリ処理無機
粉体が、コンクリートに含まれて白華現象の原因となる
NaやK等のアルカリ陽イオンをイオン吸着して、コン
クリート溶液中のこれらイオン量を減少させるからであ
る。
入して、白華現象が抑制できるのは、アルカリ処理無機
粉体が、コンクリートに含まれて白華現象の原因となる
NaやK等のアルカリ陽イオンをイオン吸着して、コン
クリート溶液中のこれらイオン量を減少させるからであ
る。
【0015】さらに、アルカリ処理無機粉体の原料に、
石炭フライアッシュや珪藻土を使用すると、サブミクロ
ンオーダーの超微粒子となり、これがコンクリートの孔
隙に深く侵入して、孔を塞ぐことができる。アルカリ処
理無機粉体が孔隙を詰めることは、コンクリート溶液の
移動を抑える。このため、可溶性塩類の表面への移行と
析出を防止して白華現象を有効に阻止する。また、孔隙
を塞ぐことはコンクリートの機械的強度も上昇するの
で、好都合である。
石炭フライアッシュや珪藻土を使用すると、サブミクロ
ンオーダーの超微粒子となり、これがコンクリートの孔
隙に深く侵入して、孔を塞ぐことができる。アルカリ処
理無機粉体が孔隙を詰めることは、コンクリート溶液の
移動を抑える。このため、可溶性塩類の表面への移行と
析出を防止して白華現象を有効に阻止する。また、孔隙
を塞ぐことはコンクリートの機械的強度も上昇するの
で、好都合である。
【0016】さらにまた、アルカリ処理無機粉体の原料
に、石炭フライアッシュや濾過に使用した使用済みの廃
珪藻土を使用すると、有効な廃棄方法がなくて困ってい
る膨大な発生量の産業廃棄物を有効に利用できる特長が
ある。
に、石炭フライアッシュや濾過に使用した使用済みの廃
珪藻土を使用すると、有効な廃棄方法がなくて困ってい
る膨大な発生量の産業廃棄物を有効に利用できる特長が
ある。
【0017】
【実施例】以下、本発明のコンクリートの白華現象を防
止する方法を説明する。ただし、以下に示す例は、本発
明の技術思想を具体化するための方法を例示するもので
あって、本発明は、コンクリートの白華現象を防止する
方法を下記のものに特定するものでない。本発明の方法
は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えること
ができる。
止する方法を説明する。ただし、以下に示す例は、本発
明の技術思想を具体化するための方法を例示するもので
あって、本発明は、コンクリートの白華現象を防止する
方法を下記のものに特定するものでない。本発明の方法
は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えること
ができる。
【0018】[実施例1]下記のようにして、発電所等
で多量に産業廃棄物として発生している石炭フライアッ
シュを無機質材に使用して、優れた陽イオン吸着力のア
ルカリ処理無機粉体を製造し、これを使用してコンクリ
ートブロックを成形する。
で多量に産業廃棄物として発生している石炭フライアッ
シュを無機質材に使用して、優れた陽イオン吸着力のア
ルカリ処理無機粉体を製造し、これを使用してコンクリ
ートブロックを成形する。
【0019】 陽イオン吸着性に優れたアルカリ処理
無機粉体を製造する工程 石炭フライアッシュをアルカリ処理無機粉体とするに
は、石炭フライアッシュを、1Nの苛性ソーダ水溶液
(液温90℃)に数時間浸漬して攪拌する。ただし、苛
性ソーダ水溶液の濃度は0.5N〜3N、液温は40〜
95℃とすることができる。その後、水洗、乾燥して、
粉末状のアルカリ処理無機粉体とする。苛性ソーダ水溶
液に浸漬された石炭フライアッシュは、SiとAlとが
Oを介して結合されたアルカリ処理無機粉体となる。こ
のようにして製造されるアルカリ処理無機粉体は、Si
とAlに4個のOが結合さる。Siはプラスの4価、A
lはプラスの3価であるので、Alの部分で電子が1個
余剰になってこの部分がマイナスにチャージする陽イオ
ン吸着性に優れるアルカリ処理無機粉体となる。このア
ルカリ処理無機粉体は、Alのマイナスにチャージする
部分に、コンクリート中のプラスイオンが結合されるの
で、陽イオン吸着性を有する。このようにして製造され
たアルカリ処理無機粉体は、陽イオン交換容量が約20
0meq/100gとなる。
無機粉体を製造する工程 石炭フライアッシュをアルカリ処理無機粉体とするに
は、石炭フライアッシュを、1Nの苛性ソーダ水溶液
(液温90℃)に数時間浸漬して攪拌する。ただし、苛
性ソーダ水溶液の濃度は0.5N〜3N、液温は40〜
95℃とすることができる。その後、水洗、乾燥して、
粉末状のアルカリ処理無機粉体とする。苛性ソーダ水溶
液に浸漬された石炭フライアッシュは、SiとAlとが
Oを介して結合されたアルカリ処理無機粉体となる。こ
のようにして製造されるアルカリ処理無機粉体は、Si
とAlに4個のOが結合さる。Siはプラスの4価、A
lはプラスの3価であるので、Alの部分で電子が1個
余剰になってこの部分がマイナスにチャージする陽イオ
ン吸着性に優れるアルカリ処理無機粉体となる。このア
ルカリ処理無機粉体は、Alのマイナスにチャージする
部分に、コンクリート中のプラスイオンが結合されるの
で、陽イオン吸着性を有する。このようにして製造され
たアルカリ処理無機粉体は、陽イオン交換容量が約20
0meq/100gとなる。
【0020】 アルカリ処理無機粉体に含まれるNa
をAlに置換する工程 の工程で得られたアルカリ処理無機粉体は、苛性ソー
ダを使用してアルカリ処理するので、この工程で多少の
Naが添加されるのを皆無にできない。含有されるNa
は、アルカリ処理無機粉体を塩化アルミニウム水溶液に
浸漬して攪拌することによって極減できる。アルカリ処
理無機粉体を浸漬する塩化アルミニウム水溶液の濃度
は、好ましくは約0.3N、液温90℃とする。ただ、
塩化アルミニウム水溶液の濃度は0.1〜2N、液温は
40〜95℃とすることができる。塩化アルミニウム水
溶液に浸漬する時間は、好ましくは約3時間とするが、
1〜72時間とすることもできる。塩化アルミニウム水
溶液に浸漬されたアルカリ処理無機粉体は、数時間でN
aの含有量が平衡状態となる。このため、製造能率を考
慮すると、アルカリ処理無機粉体を塩化アルミニウム水
溶液に浸漬する時間は数時間が最適である。アルカリ処
理無機粉体を塩化アルミニウム水溶液に浸漬すると、N
aがAlに置換されて、Na含有量の少ないアルカリ処
理無機粉体となる。塩化アルミニウム水溶液に浸漬した
後、水洗、乾燥すると、Na含有量の極めて少ない粉末
状のアルカリ処理無機粉体が製造される。たとえば、
0.3Nの塩化アルミニウム水溶液に3時間浸漬された
アルカリ処理無機粉体は、Naの含有量を0.5重量%
以下に極減できた。
をAlに置換する工程 の工程で得られたアルカリ処理無機粉体は、苛性ソー
ダを使用してアルカリ処理するので、この工程で多少の
Naが添加されるのを皆無にできない。含有されるNa
は、アルカリ処理無機粉体を塩化アルミニウム水溶液に
浸漬して攪拌することによって極減できる。アルカリ処
理無機粉体を浸漬する塩化アルミニウム水溶液の濃度
は、好ましくは約0.3N、液温90℃とする。ただ、
塩化アルミニウム水溶液の濃度は0.1〜2N、液温は
40〜95℃とすることができる。塩化アルミニウム水
溶液に浸漬する時間は、好ましくは約3時間とするが、
1〜72時間とすることもできる。塩化アルミニウム水
溶液に浸漬されたアルカリ処理無機粉体は、数時間でN
aの含有量が平衡状態となる。このため、製造能率を考
慮すると、アルカリ処理無機粉体を塩化アルミニウム水
溶液に浸漬する時間は数時間が最適である。アルカリ処
理無機粉体を塩化アルミニウム水溶液に浸漬すると、N
aがAlに置換されて、Na含有量の少ないアルカリ処
理無機粉体となる。塩化アルミニウム水溶液に浸漬した
後、水洗、乾燥すると、Na含有量の極めて少ない粉末
状のアルカリ処理無機粉体が製造される。たとえば、
0.3Nの塩化アルミニウム水溶液に3時間浸漬された
アルカリ処理無機粉体は、Naの含有量を0.5重量%
以下に極減できた。
【0021】 アルカリ処理無機粉体を使用してコン
クリート構築物を製造する工程 アルカリ処理無機粉体をセメントと骨材に混合する。ア
ルカリ処理無機粉体の混合量は、混合するセメント10
0重量部に対して、0、3、7、15、50、100、
200、300重量部とする。アルカリ処理無機粉体と
セメントを、骨材に混合し、さらにこれに水を添加し
て、混練りして生コンクリートとする。骨材には砂と砂
利とを使用する。砂と砂利と水の混合率は、セメントお
よびアルカリ処理無機粉体の混合体100重量部に対し
て、砂を150重量部、砂利を300重量部、水を50
重量部とする。さらに、暗色に着色して白華現象をわか
りやすくするために、少量の黒褐色無機顔料(バイフェ
ロックス313)を添加する。
クリート構築物を製造する工程 アルカリ処理無機粉体をセメントと骨材に混合する。ア
ルカリ処理無機粉体の混合量は、混合するセメント10
0重量部に対して、0、3、7、15、50、100、
200、300重量部とする。アルカリ処理無機粉体と
セメントを、骨材に混合し、さらにこれに水を添加し
て、混練りして生コンクリートとする。骨材には砂と砂
利とを使用する。砂と砂利と水の混合率は、セメントお
よびアルカリ処理無機粉体の混合体100重量部に対し
て、砂を150重量部、砂利を300重量部、水を50
重量部とする。さらに、暗色に着色して白華現象をわか
りやすくするために、少量の黒褐色無機顔料(バイフェ
ロックス313)を添加する。
【0022】アルカリ処理無機粉体を添加した生コンク
リートを型枠に入れて、縦20cm、横10cm、高さ
4cmの直方体ブロックを形成した。
リートを型枠に入れて、縦20cm、横10cm、高さ
4cmの直方体ブロックを形成した。
【0023】以上のようにして試作したブロックに経時
的に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、ア
ルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメ
ント100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機
粉体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、7重量部以上としたブロックは、24時
間経過、ならびに48時間経過後に白華現象が認められ
なかった。
的に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、ア
ルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメ
ント100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機
粉体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、7重量部以上としたブロックは、24時
間経過、ならびに48時間経過後に白華現象が認められ
なかった。
【0024】とくに、実施例1に使用したアルカリ処理
無機粉体は、NaをAlに置換している。このアルカリ
処理無機粉体はNaの含有量が少ない。このため、アル
カリ骨材反応をより確実に防止できる特長がある。さら
に、このアルカリ処理無機粉体は、コンクリート溶液中
のNaやK等の陽イオンをイオン結合して吸着すること
に加えて、その一部をアルミニウムイオンにイオン交換
する。イオン交換で浸出したアルミニウムイオンは、高
pH条件下でアルミン酸となり、これがコンクリート硬
化中の水和反応で生じた水酸化カルシウムと反応して、
アルミン酸カルシウムを生成して安定化する。コンクリ
ート溶液中に硫酸イオンが存在する場合は、エトリンガ
イト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)
を生じて、硫酸イオンも安定化する。つまり、白華現象
を引き起こす主要成分の水溶性アルカリ硫酸塩が不活性
になる。コンクリート中に塩化物イオン(Cl-)が含
まれる場合には、フリーデル氏塩(3CaO・Al2O3
・CaCl2・10H2O)が生じ、Cl-が安定化す
る。硫酸イオンと塩化物イオンの両方がコンクリート中
に存在するときは、エトリンガイトと、フリーデル氏塩
の両方が生成する。以上のように、NaをAlに置換し
たアルカリ処理無機粉体は、理想的な状態でコンクリー
トの白華現象を防止できる特長がある。ただ、本発明の
コンクリートの白華現象を防止する方法は、アルカリ処
理無機粉体を前記の方法で処理したものに特定しない。
たとえば、下記のようにアルカリ処理した無機質材も使
用できる。
無機粉体は、NaをAlに置換している。このアルカリ
処理無機粉体はNaの含有量が少ない。このため、アル
カリ骨材反応をより確実に防止できる特長がある。さら
に、このアルカリ処理無機粉体は、コンクリート溶液中
のNaやK等の陽イオンをイオン結合して吸着すること
に加えて、その一部をアルミニウムイオンにイオン交換
する。イオン交換で浸出したアルミニウムイオンは、高
pH条件下でアルミン酸となり、これがコンクリート硬
化中の水和反応で生じた水酸化カルシウムと反応して、
アルミン酸カルシウムを生成して安定化する。コンクリ
ート溶液中に硫酸イオンが存在する場合は、エトリンガ
イト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)
を生じて、硫酸イオンも安定化する。つまり、白華現象
を引き起こす主要成分の水溶性アルカリ硫酸塩が不活性
になる。コンクリート中に塩化物イオン(Cl-)が含
まれる場合には、フリーデル氏塩(3CaO・Al2O3
・CaCl2・10H2O)が生じ、Cl-が安定化す
る。硫酸イオンと塩化物イオンの両方がコンクリート中
に存在するときは、エトリンガイトと、フリーデル氏塩
の両方が生成する。以上のように、NaをAlに置換し
たアルカリ処理無機粉体は、理想的な状態でコンクリー
トの白華現象を防止できる特長がある。ただ、本発明の
コンクリートの白華現象を防止する方法は、アルカリ処
理無機粉体を前記の方法で処理したものに特定しない。
たとえば、下記のようにアルカリ処理した無機質材も使
用できる。
【0025】[実施例2] 陽イオン吸着性に優れたアルカリ処理無機粉体を製
造する工程 この工程は実施例1と同じ処理をする。
造する工程 この工程は実施例1と同じ処理をする。
【0026】 アルカリ処理無機粉体に含まれるNa
をFeに置換する工程 の工程で得られたアルカリ処理無機粉体に含まれるN
aをFeに置換する。アルカリ処理無機粉体に含有され
るNaは、アルカリ処理無機粉体を塩化鉄水溶液に浸漬
して攪拌することによって極減できる。この工程は、実
施例1においてアルカリ処理無機粉体を浸漬する溶液
を、塩化アルミニウム水溶液から塩化鉄水溶液とする以
外、実施例1のの工程と同じ処理をして、NaをFe
に置換する。アルカリ処理無機粉体が塩化鉄水溶液に浸
漬されると、NaがFe置換されて、Na含有量の少な
いアルカリ処理無機粉体となる。たとえば、0.3Nの
塩化鉄水溶液に3時間浸漬されたアルカリ処理無機粉体
は、Naの含有量が0.7重量%以下となった。
をFeに置換する工程 の工程で得られたアルカリ処理無機粉体に含まれるN
aをFeに置換する。アルカリ処理無機粉体に含有され
るNaは、アルカリ処理無機粉体を塩化鉄水溶液に浸漬
して攪拌することによって極減できる。この工程は、実
施例1においてアルカリ処理無機粉体を浸漬する溶液
を、塩化アルミニウム水溶液から塩化鉄水溶液とする以
外、実施例1のの工程と同じ処理をして、NaをFe
に置換する。アルカリ処理無機粉体が塩化鉄水溶液に浸
漬されると、NaがFe置換されて、Na含有量の少な
いアルカリ処理無機粉体となる。たとえば、0.3Nの
塩化鉄水溶液に3時間浸漬されたアルカリ処理無機粉体
は、Naの含有量が0.7重量%以下となった。
【0027】 アルカリ処理無機粉体を使用してコン
クリート構築物を製造する工程 この工程も実施例1のの工程と同じ。
クリート構築物を製造する工程 この工程も実施例1のの工程と同じ。
【0028】以上のようにして試作したブロックに経時
的に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、ア
ルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメ
ント100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機
粉体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、7重量部以上としたブロックは、24時
間経過、ならびに48時間経過後に白華現象が認められ
なかった。
的に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、ア
ルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメ
ント100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機
粉体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、7重量部以上としたブロックは、24時
間経過、ならびに48時間経過後に白華現象が認められ
なかった。
【0029】この実施例に使用されるアルカリ処理無機
粉体は、アルカリ処理無機粉体に含まれるNaをFeに
置換している。このため、アルカリ処理無機粉体はNa
の含有量が少ない。したがって、この実施例で試作され
たブロックも、アルカリ骨材反応をより確実に防止でき
る特長がある。
粉体は、アルカリ処理無機粉体に含まれるNaをFeに
置換している。このため、アルカリ処理無機粉体はNa
の含有量が少ない。したがって、この実施例で試作され
たブロックも、アルカリ骨材反応をより確実に防止でき
る特長がある。
【0030】[実施例3]さらに、下記のようにアルカ
リ処理した無機質材も使用できる。 陽イオン吸着性に優れたアルカリ処理無機粉体を製
造する工程 この工程は実施例1と同じ処理をする。
リ処理した無機質材も使用できる。 陽イオン吸着性に優れたアルカリ処理無機粉体を製
造する工程 この工程は実施例1と同じ処理をする。
【0031】 アルカリ処理無機粉体に含まれるNa
をHに置換する工程 の工程で得られたアルカリ処理無機粉体に含まれるN
aをHに置換する。アルカリ処理無機粉体に含有される
Naは、アルカリ処理無機粉体を塩酸の希釈溶液に浸漬
して攪拌することによって極減できる。この工程は、実
施例1においてアルカリ処理無機粉体を浸漬する溶液
を、塩化アルミニウム水溶液から塩酸の希釈液とする以
外、実施例1のの工程と同じ処理をして、NaをHに
置換する。アルカリ処理無機粉体が塩酸の希釈液に浸漬
されると、NaがHに置換されて、Na含有量の少ない
アルカリ処理無機粉体となる。たとえば、0.3Nの塩
酸の希釈液に3時間浸漬されたアルカリ処理無機粉体
は、Naの含有量が0.6重量%以下となった。
をHに置換する工程 の工程で得られたアルカリ処理無機粉体に含まれるN
aをHに置換する。アルカリ処理無機粉体に含有される
Naは、アルカリ処理無機粉体を塩酸の希釈溶液に浸漬
して攪拌することによって極減できる。この工程は、実
施例1においてアルカリ処理無機粉体を浸漬する溶液
を、塩化アルミニウム水溶液から塩酸の希釈液とする以
外、実施例1のの工程と同じ処理をして、NaをHに
置換する。アルカリ処理無機粉体が塩酸の希釈液に浸漬
されると、NaがHに置換されて、Na含有量の少ない
アルカリ処理無機粉体となる。たとえば、0.3Nの塩
酸の希釈液に3時間浸漬されたアルカリ処理無機粉体
は、Naの含有量が0.6重量%以下となった。
【0032】 アルカリ処理無機粉体を使用してコン
クリート構築物を製造する工程 この工程も実施例1のの工程と同じ。
クリート構築物を製造する工程 この工程も実施例1のの工程と同じ。
【0033】以上のようにして試作したブロックに経時
的に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、ア
ルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメ
ント100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機
粉体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、7重量部以上としたブロックは、24時
間経過、ならびに48時間経過後に白華現象が認められ
なかった。
的に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、ア
ルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメ
ント100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機
粉体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、7重量部以上としたブロックは、24時
間経過、ならびに48時間経過後に白華現象が認められ
なかった。
【0034】この実施例に使用されるアルカリ処理無機
粉体は、アルカリ処理無機粉体に含まれるNaをHに置
換している。このため、アルカリ処理無機粉体はNaの
含有量が少ない。したがって、この実施例で試作された
ブロックも、アルカリ骨材反応をより確実に防止できる
特長がある。
粉体は、アルカリ処理無機粉体に含まれるNaをHに置
換している。このため、アルカリ処理無機粉体はNaの
含有量が少ない。したがって、この実施例で試作された
ブロックも、アルカリ骨材反応をより確実に防止できる
特長がある。
【0035】[実施例4]さらに実施例1において、
の工程を省略する以外は、実施例1と同様にしてコンク
リートブロックを製造する。試作したブロックに経時的
に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、アル
カリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメン
ト100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機粉
体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、15重量部以上としたブロックは、24
時間経過後、ならびに48時間経過後に白華現象が認め
られなかった。アルカリ処理無機粉体の添加量を7重量
部としたブロックは、24時間経過後には白華現象は現
れなかったが、48時間経過後には、表面の一部に白っ
ぽい粉状物が現れてわずかな白華現象が確認された。
の工程を省略する以外は、実施例1と同様にしてコンク
リートブロックを製造する。試作したブロックに経時的
に発生する白華現象の様子を観察した。その結果、アル
カリ処理無機粉体を添加しなかったブロックと、セメン
ト100重量部に対して3重量部のアルカリ処理無機粉
体を添加したコンクリート構造物は、24時間経過後
に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認められ、
48時間経過後には、全面に白華現象が認められた。こ
れに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント100重
量部に対して、15重量部以上としたブロックは、24
時間経過後、ならびに48時間経過後に白華現象が認め
られなかった。アルカリ処理無機粉体の添加量を7重量
部としたブロックは、24時間経過後には白華現象は現
れなかったが、48時間経過後には、表面の一部に白っ
ぽい粉状物が現れてわずかな白華現象が確認された。
【0036】[実施例5]さらに実施例1において、
の工程を省略しての工程を下記の工程とする以外は、
実施例1と同様にしてコンクリートブロックを製造す
る。
の工程を省略しての工程を下記の工程とする以外は、
実施例1と同様にしてコンクリートブロックを製造す
る。
【0037】 陽イオン吸着性に優れたアルカリ処理
無機粉体を製造する工程 石炭フライアッシュをアルカリ処理無機粉体とするに
は、石炭フライアッシュを、1Nの水酸化アルミニウム
水溶液に10時間浸漬し、加圧、加熱状態に保持して攪
拌する。圧力は5kg/cm2、液温は90℃に設定す
る。水酸化アルミニウム水溶液の濃度は0.5N〜3N
とすることができ、また、圧力は2〜10kg/c
m2、温度は40〜95℃とすることができる。このよ
うに無機質材をアルカリ処理すると、Na含有量の少な
いアルカリ処理無機粉体が得られる。水酸化アルミニウ
ム水溶液に浸漬した後、水洗、乾燥すると、陽イオン吸
着性に優れた粉末状のアルカリ処理無機粉体が製造され
る。
無機粉体を製造する工程 石炭フライアッシュをアルカリ処理無機粉体とするに
は、石炭フライアッシュを、1Nの水酸化アルミニウム
水溶液に10時間浸漬し、加圧、加熱状態に保持して攪
拌する。圧力は5kg/cm2、液温は90℃に設定す
る。水酸化アルミニウム水溶液の濃度は0.5N〜3N
とすることができ、また、圧力は2〜10kg/c
m2、温度は40〜95℃とすることができる。このよ
うに無機質材をアルカリ処理すると、Na含有量の少な
いアルカリ処理無機粉体が得られる。水酸化アルミニウ
ム水溶液に浸漬した後、水洗、乾燥すると、陽イオン吸
着性に優れた粉末状のアルカリ処理無機粉体が製造され
る。
【0038】以上のようにアルカリ処理した無機質材を
使用して製作されたブロックの経時的に発生する白華現
象の様子を観察した。その結果は実施例1と同じよう
に、アルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロック
と、セメント100重量部に対して3重量部のアルカリ
処理無機粉体を添加したコンクリート構造物は、24時
間経過後に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認
められ、48時間経過後には、全面に白華現象が認めら
れた。これに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント
100重量部に対して、7重量部以上としたブロック
は、24時間経過後、ならびに48時間経過後に白華現
象が認められなかった。
使用して製作されたブロックの経時的に発生する白華現
象の様子を観察した。その結果は実施例1と同じよう
に、アルカリ処理無機粉体を添加しなかったブロック
と、セメント100重量部に対して3重量部のアルカリ
処理無機粉体を添加したコンクリート構造物は、24時
間経過後に、表面に白い紛状物が析出して白華現象が認
められ、48時間経過後には、全面に白華現象が認めら
れた。これに対し、アルカリ処理無機粉体を、セメント
100重量部に対して、7重量部以上としたブロック
は、24時間経過後、ならびに48時間経過後に白華現
象が認められなかった。
【0039】以上の実施例は、無機質材に石炭フライア
ッシュを使用したが、本発明の方法は、無機質材として
シリカとアルミナを含む全ての粉体、たとえば、廃珪藻
土や製紙スラッジ焼却灰等も使用できる。さらに、水ガ
ラスのように液状の無機質材を使用し、これをアルカリ
処理して微粒子のアルカリ処理無機粉体を沈澱させて使
用することもできる。
ッシュを使用したが、本発明の方法は、無機質材として
シリカとアルミナを含む全ての粉体、たとえば、廃珪藻
土や製紙スラッジ焼却灰等も使用できる。さらに、水ガ
ラスのように液状の無機質材を使用し、これをアルカリ
処理して微粒子のアルカリ処理無機粉体を沈澱させて使
用することもできる。
【0040】
【発明の効果】本発明のコンクリートの白華現象を防止
する方法は、白華現象を防止するために、シリカとアル
ミナを含む無機質材をアルカリ水溶液で処理して得られ
た陽イオン吸着性を有するアルカリ処理無機粉体を生コ
ンクリートに添加する。コンクリート添加されたアルカ
リ処理無機粉体は、コンクリートに含まれて白華現象の
原因となるNaやK等のアルカリ陽イオンをイオン吸着
して、コンクリート溶液中のこれ等のイオン量を減少さ
せて、白華現象を有効に防止する。
する方法は、白華現象を防止するために、シリカとアル
ミナを含む無機質材をアルカリ水溶液で処理して得られ
た陽イオン吸着性を有するアルカリ処理無機粉体を生コ
ンクリートに添加する。コンクリート添加されたアルカ
リ処理無機粉体は、コンクリートに含まれて白華現象の
原因となるNaやK等のアルカリ陽イオンをイオン吸着
して、コンクリート溶液中のこれ等のイオン量を減少さ
せて、白華現象を有効に防止する。
【0041】さらに、本発明の請求項2に記載されるコ
ンクリートの白華現象を防止する方法は、無機質材に、
石炭フライアッシュ、珪藻土、石炭フライアッシュ等を
使用してサブミクロンオーダーの超微粒子であるアルカ
リ処理無機粉体とする。このため、膨大な発生量であっ
て廃棄処分に困っているこれらの産業廃棄物を、有効に
リサイクルして再利用できる特長がある。さらに、コン
クリート構造物はその使用量が極めて多いので、この用
途に石炭フライアッシュ等の産業廃棄物が有効利用でき
るなら、埋め立て等に使用することなく、再資源化して
効率よく使用できる特長がある。
ンクリートの白華現象を防止する方法は、無機質材に、
石炭フライアッシュ、珪藻土、石炭フライアッシュ等を
使用してサブミクロンオーダーの超微粒子であるアルカ
リ処理無機粉体とする。このため、膨大な発生量であっ
て廃棄処分に困っているこれらの産業廃棄物を、有効に
リサイクルして再利用できる特長がある。さらに、コン
クリート構造物はその使用量が極めて多いので、この用
途に石炭フライアッシュ等の産業廃棄物が有効利用でき
るなら、埋め立て等に使用することなく、再資源化して
効率よく使用できる特長がある。
【0042】さらに、石炭フライアッシュ、廃珪藻土、
製紙スラッジ焼却灰をアルカリ処理して得られるアルカ
リ処理無機粉体は微粒子であるために、これがコンクリ
ートの孔隙に深く侵入して、孔を塞ぐことができる。ア
ルカリ処理無機粉体が孔隙を詰めることは、コンクリー
ト溶液の移動を抑えて白華現象を抑制し、さらに、コン
クリートの機械的強度も上昇させる。
製紙スラッジ焼却灰をアルカリ処理して得られるアルカ
リ処理無機粉体は微粒子であるために、これがコンクリ
ートの孔隙に深く侵入して、孔を塞ぐことができる。ア
ルカリ処理無機粉体が孔隙を詰めることは、コンクリー
ト溶液の移動を抑えて白華現象を抑制し、さらに、コン
クリートの機械的強度も上昇させる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 18:08 B 14:08) 111:21 (72)発明者 篠原 学 福岡県福岡市南区多賀二丁目9−923 (72)発明者 益田 茂明 徳島県板野郡松茂町豊岡字山ノ手16番地の 7
Claims (4)
- 【請求項1】 シリカとアルミナを含む無機質材をアル
カリ水溶液で処理して得られた陽イオン吸着性を有する
アルカリ処理無機粉体を生コンクリートに混入し、添加
したアルカリ処理無機粉体でもってコンクリート表面に
白華を生成させるアルカリイオンを吸着させて、コンク
リートの白華現象を防止する方法。 - 【請求項2】 シリカとアルミナを含む無機質材が、石
炭フライアッシュ、または廃珪藻土のいずれかを含む請
求項1に記載のコンクリートの白華現象を防止する方
法。 - 【請求項3】 コンクリートに混入されるアルカリ処理
無機粉体の陽イオン吸着量が100meq/100g以上で、コ
ンクリートに混合するアルカリ処理無機粉体量、セメン
ト100重量部に対して、7〜200重量部とする請求
項1に記載のコンクリートの白華現象を防止する方法。 - 【請求項4】 コンクリートに添加されるアルカリ処理
無機粉体のアルカリ金属含有量が4重量%以下である請
求項1に記載のコンクリートの白華現象を防止する方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3175095A JP2827090B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | コンクリートの白華現象を防止する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3175095A JP2827090B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | コンクリートの白華現象を防止する方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08208301A true JPH08208301A (ja) | 1996-08-13 |
JP2827090B2 JP2827090B2 (ja) | 1998-11-18 |
Family
ID=12339706
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3175095A Expired - Fee Related JP2827090B2 (ja) | 1995-01-26 | 1995-01-26 | コンクリートの白華現象を防止する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2827090B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0970931A1 (en) * | 1998-07-08 | 2000-01-12 | Rohm And Haas Company | Compositions useful for suppressing efflorescence on mineral substrates |
JP2013075788A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Railway Technical Research Institute | アルカリシリカ反応抑制材料及びその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0497933A (ja) * | 1990-08-15 | 1992-03-30 | Nippon Steel Corp | 改良c種高炉セメント |
-
1995
- 1995-01-26 JP JP3175095A patent/JP2827090B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0497933A (ja) * | 1990-08-15 | 1992-03-30 | Nippon Steel Corp | 改良c種高炉セメント |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0970931A1 (en) * | 1998-07-08 | 2000-01-12 | Rohm And Haas Company | Compositions useful for suppressing efflorescence on mineral substrates |
JP2013075788A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Railway Technical Research Institute | アルカリシリカ反応抑制材料及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2827090B2 (ja) | 1998-11-18 |
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