JPH08203152A - 光磁気記録媒体の再生方法および再生装置 - Google Patents

光磁気記録媒体の再生方法および再生装置

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JPH08203152A
JPH08203152A JP1406195A JP1406195A JPH08203152A JP H08203152 A JPH08203152 A JP H08203152A JP 1406195 A JP1406195 A JP 1406195A JP 1406195 A JP1406195 A JP 1406195A JP H08203152 A JPH08203152 A JP H08203152A
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light
temperature
magnetic
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JP1406195A
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Shinichi Tachibana
信一 立花
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光磁気記録媒体の磁壁を移動し磁区を拡大す
るための良好な温度勾配を簡易且つ正確に形成し、再生
装置を更に小型化する。 【構成】 所望の温度勾配により磁壁が移動する光磁気
記録媒体の再生方法において、再生レーザ光(41)の
一部を位相シフト素子(42)等で分離し、温度勾配形
成用ビームとして媒体(44)上に照射することを特徴
とする再生方法;およびその様な手段を備えた再生装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気光学効果を利用して
レーザ光により光磁気記録媒体の情報を再生する方法お
よびこれに用いる再生装置に関し、更に詳しくは、再生
に必要な媒体上の温度勾配を簡易且つ正確に形成でき、
装置の小型化が可能な光磁気記録媒体の再生方法および
再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】書き換え可能な高密度記録方法として、
半導体レーザの熱エネルギーを用いて、磁性薄膜に磁区
を書き込んで情報を記録し、磁気光学効果を用いて、こ
の情報を読み出す光磁気記録媒体が注目されている。ま
た、近年この光磁気記録媒体の記録密度を高めて更に大
容量の記録媒体とする要求が高まっている。
【0003】光磁気記録媒体等の光ディスクの線記録密
度は、再生光学系のレーザ波長および対物レンズの開口
数に大きく依存する。すなわち、再生光学系のレーザ波
長λと対物レンズの開口数NAが決まるとビームウェス
トの径が決まるため、信号再生時の空間周波数は2NA
/λ程度が検出可能な限界となってしまう。
【0004】したがって従来の光ディスクで高密度化を
実現するためには、再生光学系のレーザ波長を短くし、
対物レンズの開口数NAを大きくする必要がある。この
ため、記録媒体の構成や読み取り方法を工夫し、記録密
度を改善する技術が開発されている。
【0005】例えば、特開平3−93058号において
は、磁気的に結合される再生層と記録保持層とを有して
なる多層膜の、記録保持層に信号記録を行うとともに、
再生層の磁化の向きを揃えた後、レーザ光を照射して加
熱し、再生層の昇温領域に、記録保持層に記録された信
号を転写しながら読み取る信号再生方法が提案されてい
る。
【0006】この方法によれば、再生用のレーザのスポ
ット径に対して、このレーザによって加熱されて転写温
度に達し信号が検出される領域は、より小さな領域に限
定できるので、再生時の符号間干渉を減少させ、光の回
折限界以下の周期の信号が再生可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平3−9
3058号記載の再生方法では、再生用のレーザスポッ
ト径に対して有効に使用される信号検出領域が小さくな
るので、再生信号振幅が大幅に低下し、十分な再生出力
が得られない。また再生層の磁化をレーザ光が照射する
前に一方向に揃えなければならないので、従来の装置に
再生層の初期化用磁石を追加することが必要となる。し
たがって前記再生方法は、記録装置が複雑化し、コスト
が高くなる、小型化が難しい等の問題を有している。
【0008】本願出願人は、この様な問題を解消する記
録媒体として、磁性層の温度勾配に伴い磁壁の移動が可
能な記録媒体について先に出願した(特開平6−290
496号)。この記録媒体を用いれば、再生信号振幅を
低下させることなく光の回折限界以下の周期の信号が高
速で再生可能となり、記録密度並びに転送速度を大巾に
向上でき、再生装置の小型化も可能となる。ただし、こ
の記録媒体の再生の際には所望の温度勾配を媒体の磁性
層に形成する必要があり、その温度勾配を形成するため
の手段に改良の余地があった。
【0009】本発明の目的は、この様な光磁気記録媒体
を用いた場合に、良好な温度勾配を簡易且つ正確に形成
でき、しかも光学系の調整が容易であり、再生装置を更
に小型化できる光磁気記録媒体の再生方法および再生装
置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発
明により達成される。
【0011】少なくとも、第1、第2、第3の磁性層が
順次積層され、該第1の磁性層は、該第3の磁性層に比
べて相対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きな垂
直磁化膜からなり、該第2の磁性層は、該第1の磁性層
および第3の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性層か
らなり、該第3の磁性層は垂直磁化膜である光磁気記録
媒体に対し、再生ビームを相対的に移動させながら前記
第1の磁性層の側から照射し、該媒体上に該再生ビーム
のスポットの移動方向に対して勾配を有する温度分布を
形成し、該温度分布を少なくとも該第2の磁性層のキュ
リー温度よりも高い温度領域を有する温度分布とするこ
とによって該第1の磁性層に形成されていた磁壁を移動
させ、該再生ビームの反射光の偏光面の変化を検出して
記録情報を再生する方法において、前記再生ビームのた
めの光源からの光の一部を分離し、該分離した光を前記
勾配を有する温度分布を形成するための温度勾配形成用
ビームとして前記媒体に照射することを特徴とする再生
方法。
【0012】少なくとも、第1、第2、第3の磁性層が
順次積層され、該第1の磁性層は、該第3の磁性層に比
べて相対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きな垂
直磁化膜からなり、該第2の磁性層は、該第1の磁性層
および第3の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性層か
らなり、該第3の磁性層は垂直磁化膜である光磁気記録
媒体から記録情報を再生する装置であって、再生ビーム
のための光源からの光の一部を分離し、該分離した光
を、該再生ビームのスポットの移動方向に対して勾配を
有する温度分布を形成するための温度勾配形成用ビーム
として前記媒体に照射する手段を有することを特徴とす
る再生装置。
【0013】
【作用】図1は、本発明の光磁気記録媒体の再生方法に
おける作用を説明するための模式図である。
【0014】図1(a)は、本発明に用いる光磁気記録
媒体の模式的断面図である。この媒体の磁性層は、第1
の磁性層11、第2の磁性層12、第3の磁性層13が
順次積層されてなる。各層中の矢印14は原子スピンの
向きを表わしている。スピンの向きが相互に逆向きの領
域の境界部には磁壁15が形成されている。また、この
記録層の記録信号も下側にグラフとして表わす。
【0015】このような光磁気記録媒体に対する記録、
即ち記録磁区の形成は、この種の記録媒体の記録方法と
して知られる通常の方法で行なえばよい。例えば、所望
のレーザ光照射により初期状態における第1〜第3の磁
性層をそのキュリー温度以上に加熱し、かつレーザ光走
査が去った後の冷却時に外部磁界および浮遊磁界等によ
り一方向に反転されたバブル磁区を形成する記録法等が
可能である。
【0016】図1(b)は、本発明に用いる光磁気記録
媒体に形成される温度分布を示すグラフである。スポッ
トの後方に温度のピークが来るような温度分布は、再生
用の光ビームのスポットの手前側から温度を上昇させれ
ば形成できる。ここで位置x s においては、媒体温度が
第2の磁性層のキュリー温度近傍の温度Ts になってい
る。
【0017】図1(c)は、図1(b)の温度分布に対
応する第1の磁性層の磁壁エネルギー密度σの分布を示
すグラフである。この様にx方向に磁壁エネルギー密度
σ1の勾配があると、位置xに存在する各層の磁壁に対
して下記式から求められる力F1 が作用する。
【0018】
【数1】 この力F1 は、磁壁エネルギーの低い方に磁壁を移動さ
せるように作用する。第1の磁性層は、磁壁抗磁力が小
さく磁壁移動度が大きいので、単独では、磁壁が温度分
布の勾配に従い高温側に容易に移動する。しかし、位置
s より手前(図では右側)の領域では、まだ媒体温度
がTs より低く、磁壁抗磁力の大きな第3の磁性層と交
換結合しているので、第3の磁性層中の磁壁の位置に対
応した位置に第1の磁性層中の磁壁も固定されている。
【0019】図1(a)に示す様に、媒体が矢印18の
方向に移動して磁壁15が位置xsにくると、温度が第
2の磁性層のキュリー温度近傍の温度TS まで上昇し、
第1の磁性層と第3の磁性層との間の交換結合が切断さ
れる。この結果、第1の磁性層の磁壁15は、矢印17
で示した様に、より温度が高く磁壁エネルギー密度の小
さな領域へと“瞬間的に”に移動し磁区を拡大すること
が可能となり、再生ビームのスポット内の磁性層の原子
スピンは全て一方向に揃う。
【0020】そして、媒体の移動に伴い、磁壁15が位
置xs に来る度に、スポットの下を磁壁15が瞬間的に
移動拡大し、スポット内の原子スピンの向きが反転して
一方向に揃う。この結果、再生信号振幅は記録されてい
る磁壁の間隔(即ち記録マーク長)によらず、常に一定
かつ最大の振幅になり、光学的な回折限界に起因した波
形干渉等の問題から完全に解放される。また、磁壁を移
動拡大しない再生方法では、磁区がスポット径よりも狭
い場合には、再生用スポット全体が磁区内に納まらず、
得られる再生信号も不明瞭となる。これに対し、図1に
示す再生方法においては、再生用スポットが記録マーク
の磁壁にほぼ差し掛った段階で、磁壁が逐次移動・拡大
するので、極めて明瞭な再生信号が得られる。
【0021】このような原理の再生方法において記録を
高速で読み出すには、磁壁を高速で移動させる必要があ
る。すなわち、磁壁に大きな力を作用させる必要があ
る。一般に、磁壁エネルギー密度の温度依存性は、キュ
リー温度に近づく程大きくなる。従って、キュリー温度
近傍の温度範囲で温度勾配を与えた方が、x方向の磁壁
エネルギー密度の勾配を大きくすることができ、磁壁に
大きな力を作用させることができる。また、光ビーム走
査方向への温度勾配を大きくすることにより、磁壁を高
速で移動拡大できる。
【0022】ここで、上記の温度勾配を大きくする目的
で、加熱用のレーザ光源を再生光学系に付加して用いる
方法が考えられる。図2は、一般的な光学的ディスク記
録再生装置の光学系に加熱用のレーザを付加した再生装
置を例示する模式図である(特開平6−290496号
に記載の光学系)。この図において、記録再生用のレー
ザ光源21は波長780nmで、記録媒体27に対して
P偏光が入射するように配置されている。加熱用のレー
ザ光源22は波長1.3μmで、同じく記録媒体27に
対してP偏光が入射されるように配置されている。ダイ
クロックミラー23は、780nm光を100%透過
し、1.3μm光を100%反射するように設計されて
いる。偏向ビームスプリッタ24は、780nm光、
1.3μm光、各々のP偏光は70〜80%透過し、S
偏光は100%反射するよう設計されている。1.3μ
m光の光束径は、対物レンズ26の開口径よりも小さく
なるようにしてあり、全開口部を通過して集光される7
80nm光に比べて、NAが小さくなるようにしてあ
る。また、1.3μm光が、信号検出系にもれ込まない
ようにするために、ダイクロックミラー25を設けてい
る。このダイクロックミラー25は、780nm光を1
00%透過し、1.3μm光を100%反射するように
設計されている。
【0023】この光学系を用いると、記録媒体27の記
録面上に、図3に示すように、記録再生用のスポット3
4と加熱用のスポット35とを結像できる。加熱用のス
ポット35は、波長が長くNAが小さいので、記録再生
用のスポット34よりも径が大きくなる。これにより、
移動している媒体の記録面上の記録再生用のスポット3
4の領域に、所望の温度勾配を形成できる。
【0024】一方、本発明においては、図2に示した光
学系とは異なり、加熱用のレーザ光源22は用いず、記
録再生用のレーザ光源21からの再生光の一部を分離し
て、温度勾配形成用ビームとして用いる。これにより、
光学系を簡素化でき再生装置の更なる小型化を実現でき
る。また同時に所望の温度勾配を簡易且つ正確に形成で
き、しかも光学系の調整も容易となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら詳細に説明する。
【0026】図4(a)は、本発明に用いる再生光学系
であって、一般的な光学的ディスクの再生光学系に位相
シフト素子を付加したものを例示する模式図である。位
相シフト素子42は結像レンズ43の入射光側に組み入
れられており、レーザ光源(不図示)からの再生レーザ
光41は位相シフト素子42により2つのレーザビーム
(再生ビームと温度勾配形成用ビーム)に分離され、記
録媒体44上に2つのスポットが形成される。本例にお
いては、再生レーザ光41の波長は780nmとし、結
像レンズ43はNA0.55のものを用いた。
【0027】図4(b)は、位相シフト素子42の形状
を例示する模式図である。この例においては、ガラス基
板上に、λ/2n〜λ/16n(λは入射波長、nは屈
折率)の膜厚の帯状の誘電体膜マスク45を形成し、開
口部分の周りには遮光部分47を設けた位相シフト素子
42を用いた。
【0028】また、誘電体膜マスク45の部分の位相は
0°とし、誘電体膜マスクを設けない部分46の位相は
180°とした。この位相シフト素子42のガラス基板
の厚さは0.5mm〜5mmが望ましい。ガラス基板上
に設けられる誘電体膜マスク45は、SiO2 、SiO
2-ZnS等の誘電体が用いられる。誘電体膜マスク45
の膜厚がλ/2n(例えば入射波長が780nmの場合
は140nm)の場合に、特に十分な2ビームの分離が
可能となる。誘電体膜マスク45の幅W1 は、0.1μ
m〜2.0μmが望ましいが、2つのビームが十分な光
強度の分布を有するためには、更に0.2μm〜0.8
μmが好ましい。開口部分の半径は1.0μm〜5.0
μmが望ましいが、2つのビームが十分にシャープでか
つ十分な光強度の分布を有するためには、更に1.5μ
m〜3.0μmが好ましい。
【0029】図4(c)は、この位相シフト素子42
(誘電体膜マスク45の膜厚λ/2n)を用いた場合の
スポット形状を示すグラフである。すなわち、像面座標
(μm)に対する像面上強度I/I0 が図示の様な同一
の分布を有するスポットが記録媒体上の異なる位置に2
つ形成される。
【0030】図5は、本発明の方法における再生状態を
例示する模式図である。この例においては、案内溝52
間のランド51上に、温度勾配形成用スポット53、再
生用スポット54が形成され、スポット53により媒体
に形成された温度勾配に従い記録磁区55が移動拡大さ
れている。
【0031】本発明において誘電体膜マスク45の形状
は、図4(b)に示したような帯状に限定されない。図
6は、他の位相シフト素子の例を示す模式図である。こ
の例は、ガラス基板上に半円形の誘電体膜マスク65を
形成し、開口部分の周りには遮光部分67を設けたもの
であり、図4(b)の帯形状の例と同様の効果が得られ
る。この場合、誘電体膜マスク65の半径(図6におけ
る幅W2 )は0.1μm〜2.0μmが望ましい。2つ
のビームが十分な光強度の分布を有するためには、更に
0.2μm〜0.8μmが好ましい。開口部の半径は、
同様の理由により1.0μm〜5.0μmが望ましく、
特に1.5μm〜3.0μmが好ましい。
【0032】2つの分離スポット間の位置および形状
は、誘電体膜マスク45、65の膜厚t1 を調整するこ
とにより整形可能である(例えばλ/2n→λ/8nの
範囲内)。例えば、2つのスポット形状における像面上
光強度を均等にすることも可能であるし、また2つのス
ポット形状を不均等にし、一方の光強度を大とし、他方
の光強度を小とする調整も可能である。
【0033】誘電体膜マスク45の膜厚t1 をλ/2n
とすることで、2つの分離光の光強度をほぼ同じの対称
形、即ち2つの分離光の強度分布を1:1にできる。例
えば、入射光レーザパワーを8mWとした場合は、それ
ぞれ4mWずつになる。また、誘電体膜マスク45の膜
厚t1 をλ/4nとすることで、2つの分離光の強度分
布を1:3[2mW:6mW]の非対称にできる。ここ
で、膜厚t1 をλ/2n、λ/3n、λ/4nとした場
合の各々の光強度の変化を表わすグラフを図7として示
す。
【0034】また、誘電体膜マスク45、65の形状に
よる調整も可能である。例えば、誘電体膜マスク45の
幅W1 や誘電体膜マスク65の半径W2 を1.5μmと
し、開口部の半径を2.0μmとし、入射レーザ光41
のレーザパワーを8mWとした場合(マスクの膜厚t1
はλ/2n)、それぞれ4mWの光強度を有する2ビー
ムに分離される。
【0035】本発明において、温度勾配を急峻に与える
点から、温度勾配形成用ビームの光強度が、再生ビーム
の光強度よりも大きいことが望ましい。したがって、光
源からの光を2つに分離したうち、相対的強度が小さい
方を再生ビームとして用い、相対的強度が大きい方を温
度勾配形成用ビームとして用いるとよい。例えば、1:
3[2mW:6mW]の非対称に分離した場合は、2m
Wの光を再生ビームとして用い、6mWの光を温度勾配
形成用ビームとして用いるとよい。
【0036】また、上記のマスクの膜厚t1 をλ/2n
〜λ/16nの範囲で変えることにより、分離される2
つの光ビーム間の距離を変えることも可能である。
【0037】図8(a)は、上述の様にしての2つに分
離したレーザ光ビームを用いた再生状態を示す模式図で
ある。この例においては、案内溝82間のランド81上
に、温度勾配形成用スポット83および記録再生用スポ
ット84が照射され、移動拡大された記録磁区85が形
成されている。媒体の移動方向は矢印86として示し、
温度Ts の等温線87も同時に示す。図8(b)は、こ
の媒体の位置xと温度との関係を示すグラフである。こ
の図に示すように、温度勾配形成用スポット83により
媒体上の温度勾配を急峻なものとすることができ、記録
磁区85における磁壁のトラック線方向の移動速度をよ
り大きくすることが可能となる。その結果、再生信号振
幅を低下させることなく、光の回折限界以下の信号が高
速で再生可能となる。
【0038】図8ではランド81上にスポットを形成す
る例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、
記録トラックの隣接トラックに対して、2ビームを結像
させ、記録は記録トラック上に行ない、再生は隣接トラ
ックに記録トラック上の記録磁区を拡大させて行なう方
式を用いることも可能である。
【0039】次に、本発明に用いる光磁気記録媒体の例
について説明する。
【0040】図9は、本発明に用いる光磁気記録媒体の
層構成の一実施態様を示す模式的断面図である。この態
様においては、透明基板91上に、誘電体層92、第1
の磁性層93、第2の磁性層94、第3の磁性層95、
誘電体層96、保護層97が順次積層されている。
【0041】透明基板91としては、例えば、ガラス、
ポリカーボネート等を用いることができる。誘電体層9
2、96としては、例えば、Si34 、AlN、Si
2、SiO、ZnS、MgF2 などの透明誘電体材料
が使用できる。これらの各層は、例えばマグネトロンス
パッタ装置による連続スパッタリング、または連続蒸着
等によって被着形成できる。特に各磁性層は、真空を破
ることなく連続成膜されることで、互いに交換結合をし
ている。
【0042】上記媒体において、各磁性層93〜95
は、種々の磁性材料によって構成することが考えられる
が、例えば、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、S
mなどの希土類元素の一種類あるいは二種類以上が10
〜40at%と、Fe、Co、Niなどの鉄族元素の一
種類あるいは二種類以上が90〜60at%とで構成さ
れる希土類−鉄族非晶質合金によって構成し得る。ま
た、耐食性向上などのために、これにCr、Mn、C
u、Ti、Al、Si、Pt、Inなどの元素を少量添
加してもよい。
【0043】重希土類−鉄族非晶質合金の場合、飽和磁
化は、希土類元素と鉄族元素との組成比により制御する
ことが可能である。また、キュリー温度も、組成比によ
り制御することが可能であるが、飽和磁化と独立に制御
するためには、鉄族元素として、Feの一部をCoで置
き換えた材料を用い、置換量を制御する方法がより好ま
しく利用できる。即ちFe 1at%をCoで置換する
ことにより、6℃程度のキュリー温度上昇が見込めるの
で、この関係を用いて所望のキュリー温度となるように
Coの添加量を調整する。また、Cr、Tiなどの非磁
性元素を微量添加することにより、逆にキュリー温度を
低下させることも可能である。あるいはまた、二種類以
上の希土類元素を用いてそれらの組成比を調整すること
でもキュリー温度を制御できる。この他に、ガーネッ
ト、白金族−鉄族周期構造膜、もしくは白金族−鉄族合
金などの材料も使用可能である。
【0044】第1の磁性層としては、例えば、GdC
o、GdFeCo、GdFe、NdGdFeCoなどの
垂直磁気異方性の小さな希土類−鉄族非晶質合金や、ガ
ーネット等のバブルメモリ用材料が望ましい。
【0045】第3の磁性層としては、例えば、TbFe
Co、DyFeCo、TbDyFeCoなどの希土類−
鉄族非晶質合金や、Pt/Co、Pd/Coなどの白金
族−鉄族周期構造膜など、垂直磁気異方性が大きく安定
に磁化状態が保持できるものが望ましい。
【0046】以下に具体的な実施例をもって本発明を更
に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではない。
【0047】<実施例1>直流マグネトロンスパッタリ
ング装置に、BドープしたSi及びGd、Tb、Fe、
Coの各ターゲットを取り付け、トラッキング用の案内
溝の形成されたガラス基板を基板ホルダーに固定した
後、1×10-5Pa以下の高真空になるまでチャンバー
内をクライオポンプで真空排気した。真空排気をしたま
まArガスを0.3Paとなるまでチャンバー内に導入
し、基板を回転させながら、干渉層であるSiN層を8
00オングストローム成膜した。引き続き、第1の磁性
層としてGdFeCoを400オングストローム、第2
の磁性層としてTbFeCo層を100オングストロー
ム、第3の磁性層としてTbFeCo層を400オング
ストローム順次成膜した。最後に保護層としてSiN層
を600オングストローム成膜した。SiN層成膜時に
はArガスに加えてN2 ガスを導入し、直流反応性スパ
ッタにより成膜した。各磁性層は、Gd、Tb、Fe、
Coの各ターゲットに直流パワーを印加して成膜した。
【0048】各磁性層の組成は、全て補償組成近傍にな
るように調整し、キュリー温度は、第1の磁性層が30
0℃以上、第2の磁性層が70℃、第3の磁性層が20
0℃程度となるように設定した。
【0049】この様にして得た光磁気記録媒体につい
て、以下のようにして記録再生特性を評価した。
【0050】まず、記録再生用レーザを8mWでDC照
射しながら、磁界を±150 Oeで変調することによ
り、第3の磁性層のキュリー温度以上に加熱した後の冷
却過程で、磁界の変調に対応した上向き磁化と下向き磁
化との繰り返しパターンを形成した。記録磁界の変調周
波数は1〜10MHzまで変化させ、2.5〜0.25
μmの範囲のマーク長のパターンを記録した。
【0051】再生は、図4に示した光学系を備えた光学
的ディスク記録再生装置を用いて行なった。再生時の再
生レーザビームのパワーは1mWとし、温度勾配形成用
レーザビームを8mWのパワーで同時に照射しながら、
各マーク長のパターンについて、C/Nを測定した。
【0052】図10は、この測定結果を示すグラフであ
り、グラフ線aがこの測定結果を示す。また、比較のた
め特開平3−93058号に記載の従来の超解像再生方
法による測定結果をグラフ線bとして示し、超解像現象
の起こらない通常の再生方法による測定結果をグラフ線
cとして示す。この図からわかるように、本発明の再生
方法によると、マーク長が短くなっても再生用のスポッ
ト内の全磁化の反転が検出されるので、光の回折限界以
下の周期の信号が再生可能となるのみならず、C/Nの
マーク長依存性がほとんどなくなる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
再生光の一部を分離して温度勾配形成用ビームとして利
用するので、良好な温度勾配を簡易且つ正確に形成で
き、しかも光学系の調整が容易であり、特に再生装置を
更に小型化できる。
【0054】また同時に、磁壁を移動させる再生方法に
よって、再生信号振幅を低下させることなく、光の回折
限界以下の周期の信号が高速で再生可能となり、記録密
度並びに、転送速度を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体の再生方法における媒
体の状態を示す図であり、(a)は再生ビーム照射部分
近傍の模式的断面図、(b)はその媒体における位置と
温度の関係を示すグラフ、(c)は同媒体における位置
と磁壁エネルギー密度および磁壁に作用する力の関係を
示すグラフである。
【図2】従来の記録再生装置の光学系を示す模式図であ
る。
【図3】図2の光学系を用いた場合の再生状態を示す模
式図である。
【図4】(a)は本発明の再生装置の光学系の実施例を
示す模式図、(b)は位相シフト素子の模式図、(c)
は位相シフト素子を用いた場合のスポット形状を示すグ
ラフである。
【図5】本発明による再生状態を示す模式図である。
【図6】本発明の再生装置における位相シフト素子の他
の例を示す模式図である。
【図7】位相シフト素子を用いた場合のスポット形状を
示すグラフである。
【図8】(a)は本発明による再生状態を示す模式図で
あり、(b)は媒体の位置xと温度との関係を示すグラ
フである。
【図9】本発明に用いる光磁気記録媒体の層構成を模式
的に示す断面図である。
【図10】実施例1および従来の光磁気記録媒体のC/
N特性曲線の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
11 第1の磁性層 12 第2の磁性層 13 第3の磁性層 14 原子スピンの向き 15 磁壁 16 再生用の光ビームスポット 17 磁壁の移動方向 18 媒体移動方向 21 記録再生用レーザ光源 22 加熱用のレーザ光源 23 ダイクロックミラー 24 偏向ビームスプリッタ 25 ダイクロックミラー 26 対物レンズ 27 媒体 31 ランド 32 案内溝 33 記録磁区 34 記録再生用スポット 35 加熱用スポット 41 再生レーザ光 42 位相シフト素子 43 結像レンズ 44 記録媒体 45 誘電体膜マスク 46 誘電体膜マスクを設けない部分(ガラス基板) 47 遮光部 51 ランド 52 案内溝 53 温度勾配形成用スポット 54 再生用スポット 55 記録磁区 65 誘電体膜マスク 66 誘電体膜マスクを設けない部分(ガラス基板) 67 遮光部 81 ランド 82 案内溝 83 温度勾配形成用スポット 84 記録再生用スポット 85 記録磁区 86 媒体移動方向 87 温度Tsの等温線 91 基板 92 誘電体層 93 第1の磁性層 94 第2の磁性層 95 第3の磁性層 96 誘電体層 97 保護層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】発明による再生状態及び媒体の位置xと温度
との関係を示すである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、第1、第2、第3の磁性層
    が順次積層され、該第1の磁性層は、該第3の磁性層に
    比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きな
    垂直磁化膜からなり、該第2の磁性層は、該第1の磁性
    層および第3の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性層
    からなり、該第3の磁性層は垂直磁化膜である光磁気記
    録媒体に対し、再生ビームを相対的に移動させながら前
    記第1の磁性層の側から照射し、該媒体上に該再生ビー
    ムのスポットの移動方向に対して勾配を有する温度分布
    を形成し、該温度分布を少なくとも該第2の磁性層のキ
    ュリー温度よりも高い温度領域を有する温度分布とする
    ことによって該第1の磁性層に形成されていた磁壁を移
    動させ、該再生ビームの反射光の偏光面の変化を検出し
    て記録情報を再生する方法において、 前記再生ビームのための光源からの光の一部を分離し、
    該分離した光を前記勾配を有する温度分布を形成するた
    めの温度勾配形成用ビームとして前記媒体に照射するこ
    とを特徴とする再生方法。
  2. 【請求項2】 再生ビームのための光源からの光の一部
    を分離する手段として、位相シフト素子を用いる請求項
    1記載の再生方法。
  3. 【請求項3】 温度勾配形成用ビームの光強度が、再生
    ビームの光強度よりも大きい請求項1または2記載の再
    生方法。
  4. 【請求項4】 少なくとも、第1、第2、第3の磁性層
    が順次積層され、該第1の磁性層は、該第3の磁性層に
    比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きな
    垂直磁化膜からなり、該第2の磁性層は、該第1の磁性
    層および第3の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性層
    からなり、該第3の磁性層は垂直磁化膜である光磁気記
    録媒体から記録情報を再生する装置であって、 再生ビームのための光源からの光の一部を分離し、該分
    離した光を、該再生ビームのスポットの移動方向に対し
    て勾配を有する温度分布を形成するための温度勾配形成
    用ビームとして前記媒体に照射する手段を有することを
    特徴とする再生装置。
  5. 【請求項5】 再生ビームのための光源からの光の一部
    を分離する手段として、位相シフト素子を備える請求項
    4記載の再生装置。
  6. 【請求項6】 温度勾配形成用ビームの光強度が、再生
    ビームの光強度よりも大きい請求項4または5記載の再
    生装置。
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