JPH08200163A - ディーゼルエンジンの燃料供給装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃料供給装置

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JPH08200163A
JPH08200163A JP7010790A JP1079095A JPH08200163A JP H08200163 A JPH08200163 A JP H08200163A JP 7010790 A JP7010790 A JP 7010790A JP 1079095 A JP1079095 A JP 1079095A JP H08200163 A JPH08200163 A JP H08200163A
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fuel
water
pump
emulsion
engine
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JP7010790A
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Takashi Nakamura
孝 中村
Koichi Sugita
晃一 杉田
Shuichi Shimotori
秀一 霜鳥
Hideaki Ishioka
英明 石岡
Hitoshi Ouchi
仁 大内
Shigemi Bito
重実 尾藤
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Techno Bio Co Ltd
Original Assignee
Techno Bio Co Ltd
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B47/00Methods of operating engines involving adding non-fuel substances or anti-knock agents to combustion air, fuel, or fuel-air mixtures of engines
    • F02B47/02Methods of operating engines involving adding non-fuel substances or anti-knock agents to combustion air, fuel, or fuel-air mixtures of engines the substances being water or steam
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水と燃料油とのエマルジョンを生成可能であ
り、しかも簡易、小型な構成の燃料供給装置を提供す
る。 【構成】 燃料噴射ポンプ3、燃料噴射ポンプ5、燃料
供給ポンプ7を備えたディーゼルエンジン1の燃料供給
ポンプに燃料油を供給する燃料配管13に水インジェク
タ107を設け、水タンク101、水ポンプ105から
供給される水を燃料配管13に直接注入する構成とし、
水インジェクタからの注水量を制御回路10により制御
する。燃料中に注入された水は燃料供給ポンプと燃料噴
射ポンプとで微粒化され、均一なエマルジョン燃料とな
って燃料噴射弁からエンジンに噴射される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はディーゼルエンジンの燃
料供給装置に関し、詳細にはディーゼルエンジン燃焼室
に、水と燃料油とのエマルジョンを供給する燃料供給装
置、及びディーゼルエンジンに使用されるエマルジョン
燃料に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料油中に水を混合したエマルジョン燃
料でディーゼルエンジンを運転し、燃焼室内の燃焼温度
を低下させることにより排気中のNOX 成分を低減させ
るとともにエンジンノックを防止する技術が従来より知
られている。また、エマルジョン燃料運転時にディーゼ
ルエンジンの良好な性能を維持するためには、エマルジ
ョン燃料中の水粒子をできるだけ微粒化して燃料中に均
一に分散させる必要があることが知られている。
【0003】通常、エマルジョン燃料を使用してエンジ
ンを運転する場合には、燃料に水と乳化剤とを加えてミ
キサ等で攪拌混合して均一なエマルジョン燃料を別途製
造しておき、このエマルジョン燃料を通常の燃料の代わ
りにエンジンの燃料タンクに補給して予混合されたエマ
ルジョン燃料を用いて通常と同様の運転を行う。しか
し、このように、予め製造したエマルジョン燃料を使用
する場合には、エマルジョン燃料の製造、貯蔵、補給等
の設備が別途必要となるとともに、燃料の取扱が煩雑に
なる問題がある。
【0004】そこで、予め製造したエマルジョン燃料を
使用するのではなく、エンジンの燃料系統にエマルジョ
ン燃料生成装置を設け、運転中にエンジンに供給される
燃料中に水を混合してエマルジョン燃料を製造すること
により、エンジン運転中にエマルジョン燃料を製造する
ようにした燃料供給装置が開発されている。この種の燃
料供給装置の例としては、例えば特開平6−15914
9号公報に記載されたものがある。同公報の装置は、燃
料油を貯蔵する燃料タンクとエマルジョン燃料生成用の
水を貯蔵する水タンクとを備えており、エンジン運転時
に燃料タンクからの燃料と水タンクからの水を別々に混
合装置に供給し、混合装置内で生成したエマルジョン燃
料をエンジンの燃料噴射ポンプに供給するようにしたも
のである。すなわち同公報の装置では、電動モータによ
り駆動されてハウジング内を回転するインペラと、ハウ
ジング内に加圧水を噴射するウォータジェットノズルと
を有するエマルジョン生成装置を設け、上記ハウジング
内に連続的に供給される燃料油内にウォータジェットノ
ズルから微細な粒子の水を噴射するとともにインペラに
より水微粒子を燃料油中に拡散させて均一なエマルジョ
ン燃料を生成するようにしている。
【0005】同公報の燃料供給装置は、燃料と水とを別
個に貯蔵してエンジン運転時に必要な量だけエマルジョ
ン燃料を製造するようにしたことにより、予め製造した
エマルジョン燃料を使用する場合の補給、貯蔵等の問題
を解決している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平
6−15914号公報の装置では、運転中にエマルジョ
ン燃料を製造するために、特殊なエマルジョン生成装置
を設ける必要があることから、装置が複雑化するのみな
らず、装置コストの上昇や設置スペースの増大等の問題
が生じる。
【0007】特に、車両用エンジンにエマルジョン燃料
を使用するような場合には、装置コストや設置スペース
には厳しい制限が課されるため、上記公報のような特殊
なエマルジョン生成装置を採用することが困難な場合が
ある。本発明は上記問題に鑑み、特殊なエマルジョン生
成装置を用いることなく、均一なエマルジョン燃料を生
成することが可能であり、しかも小型、且つ簡易な構成
の燃料供給装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、ディーゼルエンジンの燃料供給装置であって、
気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁
に高圧燃料を供給する燃料噴射ポンプと、前記燃料噴射
ポンプに低圧燃料を供給する燃料供給ポンプと、前記燃
料供給ポンプに燃料油を供給する燃料配管と、前記燃料
供給ポンプ上流側の燃料配管中に直接水を注入する水注
入手段と、前記水注入手段による水の注入量を制御する
制御手段と、を備えたディーゼルエンジンの燃料供給装
置が提供される。
【0009】また、請求項2に記載の発明では、上記燃
料供給装置は、更に前記燃料噴射ポンプ及び前記燃料噴
射弁からの余剰エマルジョン燃料を前記燃料供給ポンプ
入口に循環させる循環手段を備えている。さらに、請求
項3に記載の発明によれば、ディーゼルエンジン用燃料
であって、ディーゼル油と水との混合物からなり、該デ
ィーゼル油に混合される水は、添加剤として炭素数10
以上の水溶性脂肪酸塩を含むディーゼルエンジン用燃料
が提供される。
【0010】また、請求項4に記載の発明では、請求項
3に記載の燃料において、前記水溶性脂肪酸塩の添加量
は、前記水に対して0.1から1重量パーセントとする
ことが好ましい。
【0011】
【作用】請求項1の発明では、水注入手段は燃料供給ポ
ンプに燃料を供給する燃料配管中に水を注入する。ま
た、水の注入量は制御手段により制御される。燃料配管
中に供給された水は比較的大きな粒子となっており、こ
の段階ではエマルジョンを生成していない。この燃料と
水との混合物は燃料供給ポンプと燃料噴射ポンプとを通
過する間に激しく攪拌され、燃料噴射弁から気筒内に噴
射される際には均一なエマルジョン燃料となる。
【0012】また、請求項2の発明では、上記燃料供給
ポンプと燃料噴射ポンプとに供給された燃料のうち、エ
ンジンに噴射されなかった余剰エマルジョン燃料を再度
燃料供給ポンプの入口に循環させる循環手段を設けて、
余剰エマルジョン燃料を再度燃料供給ポンプと燃料噴射
ポンプとを通過させるようにすれば、燃料と水との攪拌
が良好になり更に均一なエマルジョン燃料が生成され
る。
【0013】更に、請求項3の発明では、ディーゼルエ
ンジンにディーゼル油と水との混合エマルジョン燃料を
使用する場合に、ディーゼル油と混合する水に炭素数1
0以上の水溶性脂肪酸塩を添加することにより、油水エ
マルジョンの生成が良好になるとともに燃料噴射ポンプ
や燃料噴射においてキャビテーションエロージョンや応
力腐食割れ等が発生しにくくなる。この場合の添加量は
水に対して0.1から1パーセント程度とすればキャビ
テーションエロージョンや応力腐食割れを防止する効果
が現れる。
【0014】
【実施例】以下添付図面を用いて本発明の実施例につい
て説明する。図1は本発明の燃料供給装置を適用する機
関の燃料系統図を示す図である。図1において、1はデ
ィーゼルエンジン、3はディーゼルエンジン1の気筒内
に燃料を噴射する燃料噴射弁、5は燃料噴射弁3に高圧
燃料を供給する燃料噴射ポンプ、7は燃料噴射ポンプ5
に燃料を供給する燃料供給ポンプである。また、図1に
9で示すのはエンジン1の燃料タンク、11は燃料フィ
ルタである。本実施例では、燃料噴射ポンプ5としてエ
ンジン1により駆動される、エンジンの気筒数と同数の
プランジャ5aを備えた通常の列型燃料噴射ポンプが使
用されており、供給ポンプ7としては同じくエンジン1
により駆動されるプランジャ型のポンプが使用される。
【0015】また、燃料油は通常のディーゼルエンジン
の燃料系統と同様、燃料供給ポンプ7により燃料タンク
9から汲みだされ、燃料フィルタ11で燃料油中の異物
を除去した後、燃料配管13と配管15を通って燃料供
給ポンプ7から燃料噴射ポンプ5に供給される。燃料油
は、燃料噴射ポンプ5の各気筒に対応するプランジャ5
aで昇圧、計量され、高圧の燃料油が噴射配管17を通
って各気筒の燃料噴射弁3に供給され、噴射弁3からエ
ンジン1の気筒内に噴射される。また、燃料噴射ポンプ
5と燃料供給ポンプ7との容量は、燃料油により燃料噴
射ポンプ5や燃料噴射弁3の各部の潤滑、冷却を行うた
め、エンジン1への燃料噴射量よりかなり大きく設定さ
れており、エンジン1に噴射されなかった余剰燃料は燃
料噴射弁3と燃料噴射ポンプ5とからそれぞれリターン
配管19、21に吐出される。
【0016】図に10で示すのはエンジン1の制御回路
である。制御回路10については後に詳述する。なお、
図1の上記3から21に示した機器、配管の構成及び作
用は、いずれも通常のディーゼルエンジンの燃料系統の
ものと同一である。本実施例では、上記の通常の燃料系
統と共通の機器、配管に加え、エマルジョン燃料をエン
ジン1に供給するために以下に説明する機器、配管等が
設けられている。
【0017】図1において、101はエマルジョン生成
用の水を貯蔵する水タンク、103は水中の異物を除去
するための水フィルタ、105は水ポンプ、107は燃
料配管13中に水を噴射する水インジェクタ、109
は、インジェクタ107下流側の燃料配管13と15と
の接続部に配置された三方切換弁である。また、本実施
例では図に110で示すバッファタンクが設けられてお
り、燃料噴射弁3と燃料噴射ポンプ5からリターン配管
19、21に吐出される前述の余剰燃料をバッファタン
ク110内に一時的に貯留するようになっており、更に
バッファタンク110は配管125により前述の三方切
換弁109に接続されている。バッファタンク110は
本実施例では金属製とされ、図示しないベントにより大
気と連通しており、バッファタンク110内の圧力は大
気圧に保たれている。
【0018】三方切換弁109は、ソレノイド、負圧ア
クチュエータ等の適宜な形式のアクチュエータに駆動さ
れ、制御回路10からの信号により、燃料供給ポンプ7
の入口配管を燃料配管13に接続する位置と、後述する
バッファタンク110からの配管125に接続する位置
とに切換えられ、燃料供給ポンプ7に供給する流体の切
換を行う。
【0019】本実施例では、水ポンプ105はモータ駆
動の遠心型ポンプとされ、一定の回転数で回転し、水ポ
ンプ105と水インジェクタ107との間のポンプ吐出
配管106内の水を加圧している。図2は水インジェク
タ107の動作を示す略示図である。図2において、2
01はインジェクタ107のシリンダ、203はシリン
ダ内を摺動する磁性体からなる弁体、205はシリンダ
201の外側に配置されたソレノイドを示す。また、2
07はシリンダ201の吐出口、209はシリンダの吸
入口、211はシリンダ201内に配置され、弁体20
3を吐出口207に向けて常時付勢するスプリングであ
る。
【0020】本実施例では、シリンダ201の吸入口2
09は前述の水ポンプ105の吐出配管106に接続さ
れており、シリンダ201内にはポンプ105作動中は
常時加圧水が供給されている。またシリンダ201の吐
出口207は燃料配管13に直接接続されている。図2
はソレノイド205に通電時の状態を示す。図2に示す
ように、弁体203はソレノイド通電時にはソレノイド
電磁力により吸引され、付勢スプリング211の付勢力
に抗して図の上方に移動する。これにより吐出口207
が開放され、水ポンプ105から供給された水がシリン
ダ入口20及び弁体203の水通路215を通って流
れ、吐出口207から燃料配管13中に直接注入され
る。
【0021】一方、ソレノイド205の非通電時には弁
体203は付勢スプリング211の付勢力により図の下
方に移動し、シリンダ201の吐出口207を閉鎖す
る。このため、燃料配管13への水の注入は停止する。
本実施例では、制御回路10はソレノイド205をパル
ス状の電圧で駆動しており、この駆動パルスのデューテ
ィ比(パルス1周期に占める電圧印加時間の比)を変化
させることにより水インジェクタ107から燃料配管1
3への注水流量を配管13内の燃料流量に応じて調節す
る。この制御のために、燃料配管13には、例えばオー
バル型流量計等の適宜な形式の流量センサ115が設け
られており、配管13内の燃料流量に応じた信号を制御
回路10に供給している。
【0022】制御回路10は、例えば、ROM(リード
オンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、
CPU(マイクロプロセッサユニット)入出力インター
フェイスを双方向性バスで接続した公知の構成のデジタ
ルコンピュータとされ、後述するエマルジョン燃料の含
水率制御や、エマルジョン燃料と通常の燃料との切換等
の制御を行う。この制御のため、制御回路10の入出力
インターフェイスには流量センサ115からの燃料信号
と、バッファタンク110に設けたレベルセンサ113
からの液面レベル信号が入力されている。また、制御回
路10の入出力インターフェイスは水ポンプ105の駆
動モータと、三方切換弁109と水インジェクタ107
のソレノイド205とに図示しない駆動回路を介して接
続されており、水ポンプ105の発停、三方切換弁10
9の切換及び水インジェクタ107の注水量等を制御し
ている。
【0023】次に、本実施例の燃料供給制御について説
明する。本実施例では、三方切換弁109の切換によ
り、エンジン1の通常燃料油(軽油)運転と、エマルジ
ョン燃料運転とを行うことができる。すなわち、三方切
換弁109を燃料配管13と燃料供給ポンプ入口配管1
5とを接続する位置に切換え、水インジェクタ107と
水ポンプ105への通電を停止すると、燃料供給ポンプ
入口配管15には、燃料タンク9からの燃料油のみが供
給され、エンジンは通常のディーゼルエンジンと全く同
一の状態で運転される。
【0024】また、三方切換弁109を上記の位置に切
換えたまま水ポンプ105と水インジェクタ107への
通電を開始すると、燃料配管13を流れる燃料中に水イ
ンジェクタ107から水が注入される。後述するよう
に、制御回路10は燃料配管13に設けられた流量セン
サ115の出力信号に基づいて配管13中を流れる燃料
流量を算出し、エマルジョン燃料の含水率を所定値とす
るために必要な注水量を算出するとともに、水インジェ
クタ107の駆動パルスのデューティ比を調節して上記
により算出された量の水を水インジェクタ107から燃
料配管13中に注水する。なお、エマルジョンの含水率
は機関負荷等に応じて変更することが好ましく、通常0
から20パーセント程度の範囲内とされる。
【0025】ところで、この状態では燃料と水とは比較
的均一に混合されるものの、注入された水粒子が大きい
ため水と燃料の混合物はエマルジョン状態にはなってい
ない。この水と燃料との混合物は三方切換弁109から
配管15を通って燃料供給ポンプ7に流入し、更に燃料
噴射ポンプ5で昇圧されてインジェクタ3に送られる。
この過程で水と燃料との混合物は燃料供給ポンプ7や燃
料噴射ポンプ5を通過する際に激しく攪拌され、燃料に
混合した水粒子が微粒化するため、燃料噴射ポンプ5か
ら各気筒の噴射配管17に吐出される際には均一なエマ
ルジョンとなる。
【0026】ポンプ5、7を通過時に水と燃料との混合
物がエマルジョン化するメカニズムは完全には判明して
いないが、混合物がそれぞれのポンプのシリンダに吸入
され、プランジャにより加圧されて吐出される際に、そ
れぞれのポンプシリンダ(プランジャバレル)の入口ポ
ート、出口ポート等の比較的径の小さい部分を通過する
際の流れの急拡大、急縮小、及びシリンダ内でのプラン
ジャの運動等により流れが激しく乱れ、大きな剪断力が
働いて燃料油中の水粒子が細かく分断され、燃料油中に
分散するためと考えられる。
【0027】従来、エマルジョン燃料でエンジンを運転
するためには、燃料噴射ポンプ5に供給する際に完全な
水−燃料エマルジョンが生成されている必要があると考
えられており、このため、予め製造したエマルジョン燃
料を燃料タンクに貯蔵したり、前述の特開平6−159
149号公報の燃料供給装置のように特殊なエマルジョ
ン生成装置を設けて燃料噴射ポンプに完全なエマルジョ
ン燃料を供給することが行われていた。
【0028】本発明の発明者は、研究を進めた結果、予
め完全なエマルジョン状態になっていない水−燃料混合
物を燃料噴射ポンプに供給した場合でも燃料噴射ポンプ
5により均一なエマルジョンが生成されることを発見し
た。また、水−燃料混合物は直接燃料噴射ポンプ5に供
給しても均一なエマルジョンが生成されるが、燃料供給
ポンプ7を経由して燃料噴射ポンプ5に供給した方がエ
マルジョン中の水粒子の微細化が進むことが判明してい
る。また、水インジェクタ107から燃料中に注入され
る水は、微粒化している必要はないが燃料油中に比較的
大きな水の団塊が偏在することは好ましくなく、水と燃
料とができるだけ均一に混合することが好ましい。この
ため、本実施例では上記水インジェクタ107により1
回のプランジャストローク毎に比較的少量の水を燃料油
中に注入することにより、水の大きな団塊が形成される
ことを防止している。なお、図2に示した水インジェク
タ107の代わりに市販の内燃機関用燃料噴射弁等を使
用することも可能である。
【0029】また、本実施例では、上記により生成され
たエマルジョンの水粒子を更に微細化するために、燃料
噴射ポンプ5と燃料噴射弁3からの余剰燃料を燃料供給
ポンプ7入口に再循環させることが可能となっている。
前述したように、燃料供給ポンプ7及び燃料噴射ポンプ
5の吐出流量は実際に機関に噴射される燃料量よりかな
り大きく設定されており、機関に噴射されなかった燃料
は、燃料噴射弁3と燃料噴射ポンプ5からそれぞれのリ
ターン配管19、21に吐出される。通常の機関では、
これらのリターン配管は燃料タンクに接続され、余剰燃
料は直接燃料タンクに還流されるが、本実施例では、リ
ターン配管19、21はバッファタンク110に接続さ
れ、余剰燃料(すなわち、燃料噴射ポンプ5を通過して
エマルジョン化した燃料)は一時的にバッファタンク1
10に貯留されるようになっている。
【0030】上述のようにエンジン1の、水インジェク
タ107からの注水によるエマルジョン燃料運転を行っ
た場合には、三方切換弁109によりバッファタンク1
10からの配管125は閉鎖されているため、バッファ
タンク110の余剰エマルジョン燃料の貯蔵量は増大し
続ける。本実施例では、バッファタンク110のレベル
センサ113出力により、タンク110内の余剰エマル
ジョン燃料量が所定量以上になった場合に、三方切換弁
109を切換えて、バッファタンク110からの配管1
25を燃料供給ポンプ7の入口配管15に接続するとと
もに、水インジェクタ107からの注水を停止する。こ
れにより燃料供給ポンプ7にはバッファタンク110内
に貯留されたエマルジョン燃料が供給されることにな
る。
【0031】前述のように、燃料供給ポンプ7に供給す
る水−燃料混合物中の水粒子の径が小さいほど燃料噴射
ポンプ5からは良好なエマルジョンが吐出されるが、本
実施例のように、既にエマルジョン化した燃料を燃料噴
射ポンプ5に供給することにより燃料噴射弁3に供給さ
れる燃料を極めて良好なエマルジョン状態とすることが
可能となる。さらに、この運転状態でも燃料噴射弁3、
燃料噴射ポンプ5からは余剰燃料が生じ、バッファタン
ク110に戻されるため、タンク内の燃料の大部分は何
度も燃料噴射ポンプ5を通過した後燃料噴射弁3から気
筒内に噴射されることになる。このため、完全なエマル
ジョン状態の燃料でエンジン1を運転することが可能と
なる。
【0032】また、バッファタンク110内に貯留され
た余剰エマルジョン燃料がエンジン1に消費され、タン
ク110内のエマルジョン燃料の貯留量が所定量以下に
なると、再度三方切換弁109を切り換えて水インジェ
クタ107からの注水によるエマルジョン燃料運転が行
われ、バッファタンク110内に余剰エマルジョン燃料
が貯留される。すなわち、本実施例では、エマルジョン
燃料運転時には水インジェクタ109からの注水による
運転と、バッファタンク110内のエマルジョン燃料の
循環による運転とが所定の間隔で繰り返される。
【0033】図3、図4は制御回路10により実行され
る上記燃料供給制御動作を表すフローチャートである。
本ルーチンは制御回路10によりエンジン1の運転中一
定時間毎に実行される。図3においてルーチンがスター
トすると、ステップ301ではエンジン1停止信号が入
力しているか否かが判定される。エンジン停止信号は、
運転者の運転停止スイッチの操作による通常停止時、ま
たは保護装置の作動による非常停止時に入力され、ステ
ップ301で停止信号が入力していた場合には図4ステ
ップ337以下のエンジン停止操作が行われる。エンジ
ン停止操作については後述する。
【0034】ステップ301で停止信号が入力していな
い場合には、次いでステップ303で現在エンジン始動
後所定時間が経過しているか否か(エンジン始動後十分
な時間が経過しておりエンジン運転状態が安定している
か否か)が判定される。ステップ303でエンジン始動
後所定時間が経過していない場合にはステップ305か
らステップ309で燃料油(軽油)のみの運転が行われ
る。すなわち、ステップ305では三方切換弁109を
配管13と15とを接続する位置に切り換えるととも
に、ステップ307、309で水インジェクタ107と
水ポンプ105を停止して、燃料タンク9から燃料供給
ポンプ7に燃料のみを供給する。これにより、始動後所
定の時間はエンジン1が燃料油のみにより運転されるこ
とになり、始動直後のエンジン1の運転が不安定な状態
におけるラフアイドルやエンジンストールの発生が防止
される。
【0035】ステップ303でエンジン始動後所定時間
が経過していた場合には、ステップ311以下で、上述
したエマルジョン燃料運転が行われる。すなわち、ステ
ップ311では、バッファタンク110のレベルセンサ
113で検出した液面レベルFLが所定のハイレベルH
L以上になっているか否かが判定され、FL≧HLの場
合、つまりバッファタンク110内に十分な量の余剰エ
マルジョン燃料が貯留されている場合には、ステップ3
13でフラグXの値を1にセットしたあと、ステップ3
15から319の余剰エマルジョン燃料による運転を行
う。
【0036】すなわち、ステップ315では、三方切換
弁109を配管125と15とを接続する位置に切り換
えるとともに、ステップ317、319で水インジェク
タ107と水ポンプ109を停止し今回のルーチン実行
を終了する。これにより、燃料供給ポンプ7にはバッフ
ァタンク110内に貯留した余剰エマルジョン燃料のみ
が供給されるようになり、バッファタンク110内のエ
マルジョン燃料が、燃料供給ポンプ7、燃料噴射ポンプ
5によりさらに微細なエマルジョンとなり燃料噴射弁3
からエンジン1に噴射される。なお、フラグXについて
は後述する。
【0037】ステップ313から319は、エンジン1
に消費されてバッファタンク110内の余剰エマルジョ
ン燃料量が所定値以下になるまで実行される。すなわ
ち、バッファタンク110内のエマルジョン燃料レベル
が低下し、ステップ311でFL<HLと判定される
と、次にステップ321でバッファタンク110内の余
剰エマルジョン燃料が所定量以下に低下したか否か、す
なわち液面レベルFLが所定のローレベルLL以下にな
ったか否か、が判定される。
【0038】ステップ321でFL≦LLであった場合
には、バッファタンク110内の余剰燃料が残り少なく
なっているため、ステップ325で前述のフラグXの値
を0にセットした後ステップ327から335の水イン
ジェクタ107からの注水によるエマルジョン燃料運転
を実施する。すなわち、ステップ327では三方切換弁
109を配管13と15とを接続する位置に切換え、ス
テップ329では流量センサ115出力から配管13内
を流れる燃料流量を算出し、ステップ329ではこの燃
料流量に基づいて、所定の含水率のエマルジョンを得る
のに必要とされる注水量を算出する。
【0039】また、ステップ331では水ポンプ105
を運転し、ステップ333では水ポンプ105の運転を
開始してから所定時間が経過して水配管106の圧力が
十分に上昇していることを確認する。上記所定時間が経
過している場合には、ステップ335で、水インジェク
タ107のソレノイド205に印加する駆動パルス電圧
のデューティ比を調節し、ステップ329により算出さ
れた量の水を水インジェクタ107から配管13内に注
入する。
【0040】これにより、燃料供給ポンプ7には所定の
混合比の水−燃料混合物が配管15を介して供給され、
燃料供給ポンプ7、燃料噴射ポンプ5を通過することに
より所定の含水率のエマルジョンが生成される。また、
このエマルジョンの一部は余剰燃料としてバッファタン
ク110に流入するため、ステップ327から335実
行中、バッファタンク110の液面レベルは上昇する。
【0041】また、ステップ321でバッファタンク1
10の液面レベルFLがFL>LLであった場合、すな
わち液面レベルがローレベルとハイレベルとの中間にあ
る場合には、ステップ323に進みフラグXの値が1に
セットされているか否かを判断する。ステップ323で
X=1であった場合には、すなわち液面が一旦ハイレベ
ルに到達した後の、バッファタンク110内の余剰エマ
ルジョン燃料による運転を実施中であるため(ステップ
311、313)、ステップ315から317に進み、
余剰エマルジョン燃料による運転を継続する。また、ス
テップ323でX=0であった場合は、現在液面がロー
レベル以下になった後の注水運転実施中であり、バッフ
ァタンク110内に余剰エマルジョン燃料を貯留しつつ
ある状態であるため、ステップ327以下の注水運転を
継続する。
【0042】すなわち、本実施例では、バッファタンク
110内の液面レベルがハイレベル以上になるとバッフ
ァタンク110内の余剰エマルジョン燃料による運転を
開始し、この運転により液面レベルがローレベル以下に
なると、水インジェクタ107からの注水によるエマル
ジョン運転への切換を行い、バッファタンク110内に
余剰燃料を貯留する。また、水インジェクタ107から
の注水運転によりバッファタンク110内の余剰エマル
ジョン燃料量が増大して液面がハイレベルを越えると、
再度バッファタンク110内の余剰エマルジョン燃料に
よる運転を実施する。
【0043】これにより、水インジェクタ107からの
注水によるエマルジョン燃料運転と、バッファタンク1
10内の余剰エマルジョン燃料によるエマルジョン燃料
運転とが所定の時間ずつ交互に繰り返されることにな
る。前述のフラグXは所定の時間毎に運転の切換を行う
ために設けたフラグである。次に、本実施例のエンジン
停止操作について説明する。
【0044】前述のステップ301でエンジン停止信号
が入力している場合には、ステップ337に進み、この
停止信号が、運転者の停止操作による通常停止信号か、
保護装置の作動による非常停止信号かを判別し、非常停
止信号であった場合にはステップ355に進み、直ちに
エンジンを停止する。また、通常の停止信号であった場
合には、ステップ339でバッファタンク110の液面
レベルFLががローレベルLL以下か否かを判定し、F
L≧LLである場合にはステップ341から345を実
行して、バッファタンク110内の余剰エマルジョン燃
料の循環によるエンジン運転をバッファタンク110の
液面レベルがローレベルに到達するまで継続する。これ
により、バッファタンク110液面レベルがローレベル
以下になると、ステップ339からステップ347以下
のステップを実行し、燃料油のみによる運転を実行す
る。すなわち、ステップ347では三方切換弁109を
配管13と15とを接続する位置に切り換えて燃料供給
ポンプ7に燃料タンク9からの燃料を供給するととも
に、ステップ349と351で水インジェクタ107と
水ポンプ105との作動を停止する。また、ステップ3
53では、ステップ347で三方切換弁109を切換え
てから所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が
経過するまで燃料油のみの運転を継続し、所定時間が経
過後にステップ355でエンジンを停止する。
【0045】すなわち、エンジンの通常停止操作では、
バッファタンク110内に残留するエマルジョン燃料量
が最小になるようにするとともに、配管15や燃料供給
ポンプ7、燃料噴射ポンプ5、燃料噴射弁3等に残留し
たエマルジョン燃料を燃料油で置換してからエンジンを
停止するようにしている。水エマルジョン燃料が配管や
各機器に残留した状態でエンジン1を長時間停止すると
錆の発生等が生じるおそれがあるが、本実施例では上述
のように、通常の停止操作では各機器、配管等に残留し
たエマルジョン燃料を燃料油で置換してからエンジン1
を停止することにより上記の錆等の問題の発生が防止さ
れる。
【0046】次に、水インジェクタ107から注水され
る水に添加する添加剤について説明する。エマルジョン
燃料製造には水のみを使用することも可能であるが、水
のみのエマルジョンを使用してディーゼルエンジンを長
時間運転すると、燃料噴射弁、燃料噴射ポンプ等の部材
に応力腐食割れや摩耗、キャビテーションエロージョン
等の問題が生じ易くなることが判明している。
【0047】応力腐食割れは、燃料噴射弁のノズルスプ
リングや燃料噴射ポンプのデリバリバルブスプリング等
に発生し、摩耗は特に燃料噴射ポンプのプランジャ部分
に発生し易い。また、キャビテーションエロージョンは
燃料噴射ポンプのプランジャやプランジャシリンダ(プ
ランジャバレル)の燃料吐出口付近に発生する。本発明
の発明者の研究によれば、エマルジョン燃料製造に使用
する水に少量の水溶性脂肪酸塩を添加した場合に、上記
応力腐食割れ、摩耗、キャビテーションエロージョン等
の発生が大幅に低下することが新たに判明している。
【0048】添加する水溶性脂肪酸塩としては、炭素数
が10以上のものが効果があり、炭素数10から20の
ナトリウム塩またはカリウム塩のものが特に好ましく、
具体的には、オレイン酸ナトリウム(C1733COON
a)、オレイン酸カリウム(C1733COONa)、ラ
ウリン酸カリウム(C1423COOK)、ラウリン酸ナ
トリウム(C1423COOK)、ミリスチン酸カリウム
(C1327COOK)、ミリスチン酸ナトリウム(C13
27COONa)等が良好な効果を発揮する。これらの
脂肪酸塩は一般に油水エマルジョン生成のための乳化剤
として使用されるが、上記応力腐食割れ等の防止のため
の添加量は乳化剤としての添加量(例えばエマルジョン
燃料に対して通常1重量パーセント程度)よりはるかに
少量の添加量で効果を発揮する。すなわち、応力腐食割
れ等の防止のための添加量としては、上記水溶性脂肪酸
塩を水に対して0.1から1.0パーセント程度添加す
れば十分な効果が得られる、これはエマルジョン燃料の
含水率によってもことなるがエマルジョン燃料に対して
は0.02〜0.5重量パーセントに相当する。
【0049】水溶性脂肪酸塩を水に添加することによ
り、エマルジョン燃料使用時の上記応力腐食割れや摩
耗、キャビテーションエロージョンの発生が防止される
メカニズムについては明らかでない部分もあるが、概ね
以下のようなメカニズムによるものと考えられる。例え
ば、応力腐食割れが生じるメカニズムは、引張応力を受
けた金属表面の粒界部分や表面処理の不均一な部分が腐
食環境に曝されると、この部分に電池が形成されて電気
的に腐食が進むことにより生じたり(電気化学的溶解
説)、或いは金属に割れ感受性を与える特定の環境成分
が吸着されることにより、金属表面の原子間結合力が弱
くなるために生じる(応力吸着説)と考えられる。
【0050】一方、水溶性脂肪酸塩は親水基が金属表面
に吸着され、同時に疎水基が燃料中の油脂成分を吸着し
て金属表面に油脂被膜を形成することが知られている
が、上記脂肪酸塩により金属表面に油脂被膜が形成され
ると、イオンの金属表面への到達が油脂被膜により阻止
されるため、金属表面での電池の形成が生じなくなり電
気的な腐食が防止され、また、同様に、上記油脂被膜に
より特定成分の金属表面への吸着が防止される。このた
め、脂肪酸塩の添加によりエマルジョン燃料による応力
腐食割れが防止されるのである。また、プランジャの摩
耗等は、燃料油中に分散した水粒子のため燃料の潤滑性
が低下して生じるが、上記のように脂肪酸塩により摺動
部の金属表面に油脂被膜が形成されると、この油脂被膜
により摺動部の潤滑性が向上する。このため上記脂肪酸
塩の添加により摺動部の摩耗が防止される。
【0051】さらに、エマルジョン燃料を使用するとキ
ャビテーションエロージョンが生じ易くなるのは、エマ
ルジョン中の水に溶存する酸素や、或いは水分子自体が
金属表面に吸着されるために金属表面の耐エロージョン
性が低下することによると考えられるが、上記のように
脂肪酸塩の添加により金属表面に油脂被膜が形成される
結果、酸素や水分子の吸着が阻止されるため、金属表面
の耐エロージョン性の低下が防止されると考えられる。
このため、上記脂肪酸塩の添加によりキャビテーション
エロージョンの発生が防止されるのである。
【0052】本実施例では、水タンク101内の水に予
め上記水溶性脂肪酸塩を0.1重量パーセント程度の量
添加しておくことにより、エマルジョン燃料使用時の上
記問題を解決している。なお、上記実施例では水インジ
ェクタ107により水粒子がある程度微粒化した状態で
燃料配管13中に水を注入しているが、前述のように燃
料配管13中に水を注入する際には、均一な水−燃料混
合物ができれば水粒子はかなり大きいままでも燃料噴射
ポンプ5でエマルジョンが生成される。このため、上記
実施例のように水インジェクタ107を用いずに吐出流
量を微調節可能な水ポンプを用いて直接燃料配管13に
注水を行うことも可能である。
【0053】図5は、水インジェクタを用いずに水ポン
プから直接燃料配管中に注水を行う場合の構成を示す図
である。図5において、図1と同じ参照符号は図1と同
一の要素を示すため、ここでは説明は省略する。図5の
実施例では、図1の水ポンプ105と水インジェクタ1
07の代わりに、吐出流量を微調節可能なソレノイドポ
ンプ51を使用している点が図1の実施例と相違してい
る。
【0054】図6は本実施例で使用するソレノイドポン
プ51の概略構成を示す図である。図6において、53
はポンプハウジング、55はハウジング53内に形成さ
れたシリンダ、57はシリンダ内に滑動自在に設けられ
た磁性体からなるプランジャ、59はシリンダ55下部
に形成されたポンプ室、61はポンプ吸入口、63はポ
ンプ吐出口を示す。ポンプ吸入口61及び吐出口63に
は、それぞれ吸入逆止弁65と吐出逆止弁67とが設け
られている。また、図6に69で示すのはシリンダ55
外周に配置されたソレノイド、71で示すのはシリンダ
内に配置され、プランジャ57をポンプ室59側に押圧
付勢する付勢スプリングである。
【0055】図6において、ソレノイド69に電圧が印
加されると、プランジャ57はソレノイド69に吸引さ
れ、スプリング71の付勢力に抗して図の上方に移動
し、ポンプ吸入口61から吸入逆止弁65を押し開けて
水がポンプ室59内に流入する。また、この状態でソレ
ノイド69への通電を停止すると、プランジャ57はス
プリング71に押動されて図の下方へ移動する。このた
め、ポンプ室59内の水は吐出逆止弁67を押し開けて
吐出口63から外部に吐出される。
【0056】従って、上記ソレノイドポンプ51は、制
御回路10によりソレノイド69に印加するパルス電圧
のデューティ比を変化させることにより、プランジャ5
9の上下動の周期を変えてソレノイドポンプ51から吐
出される水量が調節可能である。本実施例では、ソレノ
イドポンプ51の吐出口63は直接燃料配管13に接続
されており燃料配管中に注水を行っている。
【0057】本実施例によれば、ソレノイドポンプ51
のみで注水量を制御することが可能となるため、図1に
較べて装置の構成が簡素化される利点がある。また、図
1、図5の実施例では、バッファタンク110を設けた
ことにより、以下のような利点がある。すなわち、通
常、燃料噴射弁3や燃料噴射ポンプ5からは高圧でリタ
ーン燃料が吐出されるが、図1、図5の実施例では、前
述のようにバッファタンク110内の圧力はベント(図
示せず)により大気圧に維持されている。このため、燃
料噴射弁3や燃料噴射ポンプ5からのリターン配管1
9、21及び燃料供給ポンプ7への燃料供給配管15内
の圧力は低く維持されるのでこれらの配管や機器(例え
ば三方切換弁125やバッファタンク110)の設計圧
力を低く設定することが可能となる。また、バッファタ
ンク110内の余剰燃料の循環による運転をおこなった
場合、燃料噴射ポンプ5、燃料供給ポンプ7などを通過
することにより燃料温度が上昇するおそれがあるが、図
1、図5の実施例ではバッファタンク110は熱伝導の
良好な金属製とされているため、バッファタンクからの
放熱により余剰エマルジョン燃料の循環によるエマルジ
ョン燃料の加熱が生じない。
【0058】更に、上記実施例では、制御回路10は流
量センサ115により検出される燃料配管13中の燃料
流量に応じた量の水を燃料中に注入しているが、本発明
はこれに限定されるわけではない。例えば、水の注入量
はエンジン燃焼状態に応じて調節するようにしても良
く、この場合には、制御回路10はエンジン燃焼状態を
代表する燃焼パラメータ(例えば気筒内燃焼圧力、ノッ
クの発生の有無、排気ガス温度、エンジン回転数、出力
トルク等)を検出し、このパラメータの値に応じてた量
の水を燃料配管13中に注入するようにすれば良い。
【0059】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、特殊な
エマルジョン生成装置を使用することなく、従来のディ
ーゼルエンジンの燃料系に水供給系統を付加するのみで
均一なエマルジョン燃料を生成することが可能となるた
め、装置全体が簡素かつ小型なものとなり、装置コスト
や設置スペースを大幅に低減することが出来るという共
通の効果を奏する。
【0060】また、請求項2に記載の発明によれば、更
に、燃料噴射ポンプ、燃料噴射弁等の余剰エマルジョン
燃料を燃料噴射ポンプ入口に循環させるようにしたこと
により、上記の効果に加え、エンジンに供給するエマル
ジョン燃料を更に微粒化し、均一化することができると
いう効果を奏する。更に請求項3と請求項4に記載の発
明によれば、上記のように水とディーゼル油のエマルジ
ョン燃料を使用してディーゼルエンジンを運転する際
に、エマルジョン生成用の水に水溶性脂肪酸塩を添加す
るようにしたことにより、エマルジョン燃料での運転に
伴う燃料噴射ポンプや燃料噴射弁等の燃料系統の機器に
おける応力腐食割れや、摩耗、キャビテーションエロー
ジョンの発生を防止し、燃料系統の機器の耐久性低下を
防止することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料供給装置の一実施例を説明する図
である。
【図2】水インジェクタの概略構成を示す図である。
【図3】図1の実施例の燃料供給制御を説明するフロー
チャートの一部である。
【図4】図1の実施例の燃料供給制御を説明するフロー
チャートの一部である。
【図5】本発明の燃料供給装置の他の実施例を説明する
図である。
【図6】図5のソレノイドポンプの概略構成を説明する
図である。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン 3…燃料噴射弁 5…燃料噴射ポンプ 7…燃料供給ポンプ 10…制御回路 105…水ポンプ 107…水インジェクタ 109…三方切換弁 110…バッファタンク
フロントページの続き (72)発明者 石岡 英明 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 テク ノバイオ株式会社内 (72)発明者 大内 仁 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 テク ノバイオ株式会社内 (72)発明者 尾藤 重実 東京都新宿区西新宿1丁目26番2号 テク ノバイオ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディーゼルエンジンの燃料供給装置であ
    って、 気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁
    に高圧燃料を供給する燃料噴射ポンプと、前記燃料噴射
    ポンプに低圧燃料を供給する燃料供給ポンプと、前記燃
    料供給ポンプに燃料油を供給する燃料配管と、 前記燃料供給ポンプ上流側の燃料配管中に直接水を注入
    する水注入手段と、 前記水注入手段による水の注入量を制御する制御手段
    と、 を備えたディーゼルエンジンの燃料供給装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の燃料供給装置におい
    て、更に前記燃料噴射ポンプ及び前記燃料噴射弁からの
    余剰エマルジョン燃料を前記燃料供給ポンプ入口に循環
    させる循環手段を備えたディーゼルエンジンの燃料供給
    装置。
  3. 【請求項3】 ディーゼルエンジン用燃料であって、デ
    ィーゼル油と水との混合物からなり、該ディーゼル油に
    混合される水は、添加剤として炭素数10以上の水溶性
    脂肪酸塩を含むディーゼルエンジン用燃料。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の燃料において、前記水
    溶性脂肪酸塩の添加量は、前記水に対して0.1から1
    重量パーセントであるディーゼルエンジン用燃料。
JP7010790A 1995-01-26 1995-01-26 ディーゼルエンジンの燃料供給装置 Pending JPH08200163A (ja)

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