JPH08198789A - 抗酸化活性をもつカロチノイド含有エキス、その製造法及び抗酸化剤並びに着色料 - Google Patents

抗酸化活性をもつカロチノイド含有エキス、その製造法及び抗酸化剤並びに着色料

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JPH08198789A
JPH08198789A JP3134195A JP3134195A JPH08198789A JP H08198789 A JPH08198789 A JP H08198789A JP 3134195 A JP3134195 A JP 3134195A JP 3134195 A JP3134195 A JP 3134195A JP H08198789 A JPH08198789 A JP H08198789A
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JP
Japan
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extract
organic solvent
fruit
antioxidant
carotenoid
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JP3134195A
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English (en)
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Takashi Maoka
孝至 眞岡
Yoshihiro Ito
義博 伊藤
Akihiko Matsumura
昭彦 松村
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Research Institute for Production Development
Original Assignee
Research Institute for Production Development
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 食品、医薬品、化粧品に好適な安全性が高い
天然由来の優れた抗酸化活性をもつ新規抗酸化剤並びに
安全性が高い天然由来の鮮明な赤色を呈する新規着色料
を提供する。 【構成】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実から抗酸
化活性をもつカロチノイド含有エキス、ロドキサンチ
ン、エショルツキサントン及びエショルツキサンチンを
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イチイ(Taxus cuspid
ata )の果実(仮種皮)から得られる優れた抗酸化活性
をもつカロチノイド含有エキス、該カロチノイド含有エ
キスより抽出されるロドキサンチン、エショルツキサン
トン及びエショルツキサンチン並びにそれらの製造法に
関するものである。本発明に係る抗酸化活性をもつカロ
チノイド含有エキス、ロドキサンチン、エショルツキサ
ントン及びエショルツキサンチンはその優れた(強い)
抗酸化作用を有することから抗酸化剤として用いること
ができる。さらに、これらは鮮やかな赤色を呈するため
着色料として用いることができる。従って、本発明は、
食品、医薬品、化粧品等の各分野に広く利用できるもの
である。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、従来より食品、医薬品、化
粧品あるいは油脂等の酸化を防止するものとして酸化防
止剤が数多く発明され、製造されている。前記酸化防止
剤には、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)やブチ
ルヒドロキシルトルエン(BHT)に代表される合成系
の抗酸化剤とアスコルビン酸やトコフェロールに代表さ
れる天然由来の抗酸化剤とがある。しかし、前者におい
ては、その安全性に問題があることから、合成系の抗酸
化剤を成分とする各種製品に対する消費者の拒否反応が
強くなりつつあり、その使用量も減少傾向にある。その
結果、安全性が高い後者への需要が増加しているのが現
状である。しかも、近年、活性酸素によって生体内に生
成される過酸化物が、組織細胞の劣化、炎症、発癌等の
原因となっていることから、生体内における抗酸化的な
防御機能を支援する物質として、安全性が高い天然由来
の抗酸化剤が注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の通り、食品、医
薬品、化粧品等の各分野においては、安全性が高い天然
由来の抗酸化剤に対する需要が増加しているが、現在、
実用されている天然由来の抗酸化剤の種類は非常に限ら
れており、その使用に当たっても多岐に渡る処方が組み
難いという問題点がある。
【0004】また、現在、実用されている安全性が高い
天然由来の着色料の種類は、上記抗酸化剤の場合に比較
すれば多いが、それでも多様な変化に富む色彩を現出さ
せるには、限界があるという問題点がある。
【0005】本発明は、上記問題点に鑑み、安全性の高
い天然由来の新規抗酸化剤並びに新規着色料を大量且つ
安定して供給できる新規技術手段を提供することを技術
的課題とするものである。本発明者等は、上記課題を達
成するために、数多くの植物を対象として系統的な研究
・実験を重ねた結果、イチイ(Taxus cuspidata )の果
実に含まれるカロチノイドが優れた抗酸化活性をもつと
いう刮目すべき親知見を得、本発明を完成したものであ
る。
【0006】前記イチイ(Taxus cuspidata )は、イチ
イ科、イチイ属に属する常緑高木で、本州中部地方以北
の山間部に広く自生し、庭木、生け垣及び街路樹等に広
く用いられ、また、心材は床柱や天井板等の建築材や家
具材、彫刻材及び鉛筆材等として用いられている。材、
樹皮及び葉にはアルカロイドのタキシンの他、タクスシ
ン、タキシニンA,H,K,L及びフラボノイドのスチ
アドピチシンを含み、利尿、通経及び糖尿病に効くとさ
れている。一方、果実(種子を覆う仮種皮)は鮮やかな
赤色を呈し、甘味があるので、果実酒やジャム等にして
食用されている。しかし、果実成分の利用に関する報告
はまだ無い。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって解決できる。即ち、本発明に係る
優れた抗酸化活性をもつカロチノイド含有エキスは、イ
チイ(Taxus cuspidata )の果実から有機溶媒を用いて
抽出してなるものである。また、本発明に係るロドキサ
ンチン、エショルツキサントン又はエショルツキサンチ
ンは、イチイ(Taxus cuspidata )の果実から有機溶媒
を用いて抽出してなる抗酸化活性をもつカロチノイド含
有エキスを抽出源として有機溶媒を用いて抽出してなる
ものである。
【0008】また、本発明に係る抗酸化剤は、カロチノ
イド含有エキス、ロドキサンチン、エショルツキサント
ン又はエショルツキサンチンを有効成分とするものであ
る。また、本発明に係る着色料は、カロチノイド含有エ
キス、ロドキサンチン、エショルツキサントン又はエシ
ョルツキサンチンを含有してなるものである。
【0009】また、本発明に係る優れた抗酸化活性をも
つカロチノイド含有エキスの製造法は、イチイ(Taxus
cuspidata )の果実をメタノール、エタノール、酢酸エ
チル及びアセトンから選ばれる有機溶媒で抽出し、続い
て、該抽出液を濃縮するものである。
【0010】また、本発明に係るロドキサンチンの製造
法は、イチイ(Taxus cuspidata )の果実をメタノー
ル、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから選ばれる
有機溶媒で抽出し、該抽出液を濃縮し、続いて、該濃縮
液をシリカゲルクロマトグラフィーにより分画して70%
ジエチルエーテル・n−ヘキサンで溶出する赤色フラン
クションを濃縮するものである。
【0011】また、本発明に係るエショルツキサントン
の製造法は、イチイ(Taxus cuspidata )の果実をメタ
ノール、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから選ば
れる有機溶媒で抽出し、該抽出液を濃縮し、続いて、該
濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより分画して
90%ジエチルエーテル・n−ヘキサンで溶出する赤色フ
ランクションを濃縮するものである。
【0012】さらに、本発明に係るエショルツキサンチ
ンの製造法は、イチイ(Taxus cuspidata )の果実をメ
タノール、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから選
ばれる有機溶媒で抽出し、該抽出液を濃縮し、続いて、
該濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより分画し
て20%ジエチルエーテル・アセトンで溶出する赤色フラ
ンクションを濃縮するものである。
【0013】次に、本発明の構成を詳しく説明すれば次
の通りである。イチイの果実から抗酸化活性をもつカロ
チノイド含有エキスを得るに当たっての抽出・濃縮手段
自体は常法に従って行えばよいが、抽出するための溶媒
としては、メタノール、エタノール、酢酸エチル又はア
セトン等の有機溶媒を用いる必要がある。
【0014】イチイの果実から抽出した上記カロチノイ
ド含有エキスからロドキサンチン、エショルツキサント
ン及びエショルツキサンチンを得るに当たっての濃縮・
分画手段自体は、例えばカラムクロマトグラフィーを用
いて、常法に従って行えばよいが、ロドキサンチンはシ
リカゲルクロマトグラフィーによる70%ジエチルエーテ
ル・n−ヘキサンで溶出する赤色フランクションを濃縮
することにより、エショルツキサントンはシリカゲルク
ロマトグラフィーによる90%ジエチルエーテル・n−ヘ
キサンで溶出する赤色フランクションを濃縮することに
より、そして、エショルツキサンチンはシリカゲルクロ
マトグラフィーによる20%ジエチルエーテル・アセトン
で溶出する赤色フランクションを濃縮することにより得
ることができる。
【0015】なお、ロドキサンチン(化1)、エショル
ツキサントン(化2)及びエショルツキサンチン(化
3)の同定は、紫外・可視部吸収スペクトル、質量分析
スペクトル(EI-MS )及び水素核磁気共鳴スペクトル(
1H-NMR)によって行った。また、比較物質としてβ−カ
ロチン(市販品:SHIGMA社製)を用いた。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】
【0019】また、抗酸化剤及び着色料としては、イチ
イ果実の有機溶媒抽出エキス(エタノール、メタノール
及びアセトン等)の状態であってもよく、必要により適
宜精製して使用してもよい。
【0020】
【作用】本発明においては、イチイの果実から抗酸化活
性をもつカロチノイド含有エキス、ロドキサンチン、エ
ショルツキサントン及びエショルツキサンチンを抽出し
たので、アスコルビン酸やトコフェノールを用いる場合
と同様の使用形態によって、抗酸化剤として用いること
ができ、また、天然由来の着色料(例えば、パプリカ色
素やキャロットオイル等)を用いる場合と同様の使用形
態によって、着色料として用いることができる。
【0021】また、本発明においては、イチイの果実を
有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮するようにしたので、
抗酸化活性をもつカロチノイド含有エキスを容易に得る
ことができ、さらに、濃縮液から赤色フランクションを
溶出するようにしたので、ロドキサンチン、エショルツ
キサントン及びエショルツキサンチンを容易に抽出する
ことができる。
【0022】本発明に係るカロチノイド含有エキス、ロ
ドキサンチン、エショルツキサントン及びエショルツキ
サンチンの抗酸化作用はβ−カロチンのそれよりも強
い。
【0023】また、本発明に係る抗酸化活性をもつカロ
チノイド含有エキスは、鮮明な赤色を呈しており、天然
由来の着色料と同等の着色料をもっている。
【0024】
【実施例】実施例によって、本発明の構成、作用を具体
的に説明すれば、次の通りである。 実施例1. (抗酸化活性物質の分離)イチイの果実1kgを室温下
で、5リットルのメタノールにより2回抽出し、該抽出
液を濾過した後、該濾過液を約37℃で減圧濃縮して赤色
の抽出エキス10gを得た。続いて、前記抽出エキス20g
を、直径3cm・長さ30cmのシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーを用いてn−ヘキサン、ジエチルエーテルの混
合溶媒によって精密に溶出分画した。その後、上記で得
た溶離液を70%ジエチルエーテル・n−ヘキサンにより
溶出して赤色フラクションを得た。さらに、この赤色フ
ラクションをオクタドデシルシランを固定相、20%ジク
ロメタン−アセトニトリルによる高速液体クロマトグラ
フィーで精製し、37℃で減圧濃縮して赤色物質20mgを得
た。ここに得た赤色物質は、紫外・可視部吸収スペクト
ル(図1参照)、質量分析スペクトル(図2参照)及び
水素核磁気共鳴スペクトル(図3参照)の解析結果から
ロドキサンチンと同定できた。
【0025】また、上記で得た溶離液を90%ジエチルエ
ーテル・n−ヘキサンにより溶出して得た赤色フラクシ
ョンを上記と同じ方法により減圧濃縮して赤色物質2mg
を得た。ここに得た赤色物質を、上記と同じ方法によっ
て検討した(図4、5及び6参照)結果からエショルツ
キサントンと同定できた。
【0026】また、上記で得た溶離液を20%アセトン・
ジエチルエーテルにより溶出して得た赤色フラクション
を上記と同じ方法により減圧濃縮して赤色物質4mg を得
た。ここに得た赤色物質を、上記と同じ方法によって検
討した(図7、8及び、9参照)結果からエショルツキ
サンチンと同定できた。
【0027】次に、前記赤色の抽出エキスの抗酸化活性
の測定方法について説明する。 試薬:EDTA溶液(200mM Tris-HCl Buffer pH=6.0 に50
mM EDTA-2Na 200mMを溶かしたもの)、FeSO4 溶液(E
DTA溶液に500mM FeSO4・7H2Oを溶かしたもの)、 0.01
mM ,0.1mM のトコフェロールのアセトン溶液及びLinol
eic acid methyl ester溶液(Linoleic acid methyl es
ter 10 μlにアセトン 500μlとTween20 500μlを
加えたもの)を使用した。 分析装置:FID 検出器及びヘッドスペースサンプリング
装置(HS-6)付きガスクロマトグラフィー(パーキンエ
ルマー社製:8700型)(以下、「HS-GC 」という。)を
使用した。 カラム:長さ 30m 、I.D. 0.25mm、膜厚 1.5 μm
(GLサイエンス社製:NB-5)を使用した。 分析条件:カラム温度 100 ℃、FID 温度 200 ℃、ガ
ス圧 5気圧、ヘッドスペースサンプリング装置の温度
90℃で30分間加熱。
【0028】操作:反応容器はセプタム付バイヤルを用
いた。 Linoleic acid methyl ester溶液 20μlに比較のため
の標準物質トコフェロールのアセトン溶液または被検物
質のアセトン溶液を加え、次いで50mM EDTA溶液 1,78
0 μl、最後にFeSO4 溶液 100 μlを加えて、上記容
器を密閉し、37℃で60分間反応させた後、生じたヘキサ
ナールの量をHS-GC にて分析した。なお、被分析液中の
アセトンの総量は100 μlとなるようにした。
【0029】抗酸化能の表示方法:トコフェロールを加
えないヘキサナールの生成量を100%とし、各測定値の
阻害%を算出。対数正規確率紙の対数目盛りに濃度、正
規確率目盛りに阻害%をブロックし、50%阻害濃度を求
めた。
【0030】その結果、イチイ果実抽出エキスはFe2+
よるリノール酸メチルの過酸化に対する50%制御濃度は
0.0025%であった。また、同じ実験系でのβ−カロチン
の50%制御濃度は0.004 %であった。即ち、この数値に
よりイチイ果実抽出エキスは強い抗酸化作用を示してお
り、このことから、このイチイ果実抽出エキス中に強い
抗酸化活性物質が存在することが示唆された。
【0031】(抗酸化活性の検定) A.脂溶性アゾ化合物AMVN:2,2'−azobis(2,4 −dime
thylvaleronitrile )により誘導されるリノール酸メチ
ルの過酸化反応の抑制作用(脂質ペルオキシラジカルL
OO・による脂質の過酸化抑制作用)について。 対照区として、0.1Mリノール酸メチルのn−ヘキサン−
2−プロパノール(1:1)v/v溶液1mlに100mM AM
VNのn−ヘキサン溶液 0.1mlを加え、遮光下、37℃で浸
とうしながら、インキュベートする。インキュベート中
の反応溶液を、経時的に10μ宛を取り、各反応溶液につ
いて高速液体クロマトグラフィーによってリノール酸メ
チルヒドロパーオキシドの含量を測定した。一方、0.1M
リノール酸メチルのn−ヘキサン−2−プロパノール
(1:1)v/v溶液1mlに、予め抗酸化力を検定する
物質として、ここに得たロドキサンチンを0.1 μmol 添
加し、37℃で5分間インキューベトした後、AMVNを加え
てインキュベートし、同様に、高速液体クロマトグラフ
ィーによってリノール酸メチルヒドロパーオキシドの含
量を測定し、対照区と比較して抑制作用を検定した。
【0032】また、ここに得たエショルツキサントン及
びエショルツキサンチンについても、上記と同様にして
抑制作用を検定した。さらに、比較のため、β−カロチ
ンについても、上記と同様にして抑制作用を検定した。
【0033】以上の各検定結果として、図10にロドキ
サンチン、エショルツキサントン、エショルツキサンチ
ン及びβ−カロチンのそれぞれ150 μM 濃度におけるAM
VNによるリノール酸メチルの過酸化に対する抑制効果を
経時的に示した。同図によって、ここに得たロドキサン
チン、エショルツキサントン及びエショルツキサンチン
が共にβ−カロチンより優れた抗酸化活性をもっている
ことが確認できる。
【0034】また、過酸化反応開始36分における過酸化
物(LOOH)生成量を調べたところ、対照区に対して、β
−カロチンが36%、ロドキサンチンが20%、エショルツ
キサントンが11%及びエショルツキサンチンが8%の生
成比であった。即ち、β−カロチンに対してロドキサン
チンが約2倍、エショルツキサントンが約3倍、そして
エショルツキサンチンが約4倍の抗酸化活性効果を有し
ていることが確認できる。
【0035】B.t−ブチルヒドロペルオキシドによる
ウサギ赤血球膜ゴーストの過酸化反応の抑制作用につい
て。 対照区として、市販のウサギ赤血球膜100ml と等張液
(10mMリン酸緩衝液/152mM NaCl pH7.4)100ml を混和
して4℃, 1500×gで20分間遠心分離し、その上澄みと
沈査の最上部を除去した後、沈殿物を等張液により3回
洗浄する。続いて、洗浄した赤血球と低張液(リン酸緩
衝液 pH7.4)100ml を混和して4℃, 20,000×gで40分
間遠心分離し、ヘモグロビンを含む上澄みを除去し、沈
殿物(ゴースト部分)を得、さらに、得られたゴースト
を6回遠心分離し精製した。このゴースト(蛋白質量1
−1.2mg /ml)0.85mlにエタノール 0.1ml及び100mM t
−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を0.05ml加えてよく
混合し、37℃で浸透しながら30分間インキュベートし
た。その後、反応液に2.0mM トリクロロ酢酸−1.7mM 塩
酸 1ml及び0.67%の2−チオバルビツール酸水溶液2ml
を加えてよく混和し、沸騰水浴中で15分間加熱した後、
氷水で冷却して3,500rpmで15分間遠心分離し、上澄みを
得た。この上澄み溶液中の TBA(チオバルビツール酸)
反応物質を532nm の吸光度で測定した。
【0036】一方、前記ゴースト(蛋白質量1−1.2mg
/ml)0.85mlにエタノール 0.1mlを加える代わりに、抗
酸化力を検定する物質として、ロドキサンチン、エショ
ルツキサントン、エショルツキサンチン又はβ−カロチ
ンのエタノール溶液0.1ml をそれぞれ加えたものについ
て上記と同様の処理を行い、対照区と比較して抑制作用
を検定した。
【0037】その結果を、ロドキサンチン、エショルツ
キサントン、エショルツキサンチン又はβ−カロチンの
ウサギ赤血球膜ゴーストの過酸化反応の抑制効果を対照
区に対する過酸化物の生成量の比として表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、ロドキサンチンは200 μM でβ
−カロチン 400μM と同等の抑制効果を示していること
が確認できる。また、エショルツキサントンとエショル
ツキサンチンは200 μM でβ−カロチン 400μM よりも
さらに強い抑制効果を示していることが確認できる。
【0040】(着色力試験)ここに得た赤色の抽出エキ
スを用いて、次の通りの着色力試験を行った。赤色の抽
出エキス0.5mg をジエチルエーテル2mlに溶解したとこ
ろ、該溶液はマンセル色度で5R4/12の色調を示し
た。上記溶液を白色濾紙にしみ込ませた後、風乾したと
ころ、該濾紙はマンセル色度で5R4/12の色調に染
まった。この濾紙を水洗いしても色落ちは殆ど認められ
なかった。次に、前記赤色の抽出エキス0.5mg をジエチ
ルエーテル・エタノール(1:1)2mlに溶解した後、
0.5 % Tween20(商品名:界面活性剤)水溶液10mlを加
えて攪拌し、さらに、この溶液を精製水40mlに加えたと
ころ、該精製水はマンセル色度で5R4/12に着色さ
れた。
【0041】以上の試験結果から、ここに得た抽出エキ
スが、優れた着色力をもっていることが確認できる。
【0042】次に、ここに得たロドキサンチン、エショ
ルツキサントン及びエショルツキサンチンを用いて、着
色力試験を行った。ロドキサンチン0.5mg をジエチルエ
ーテル・エタノール(1:1)2mlに溶解した後、0.5
% Tween20水溶液10mlを加えて攪拌し、さらに、この溶
液を精製水40mlに加えたところ、該精製水はマンセル色
度で5R4/12に着色された。また、エショルツキサ
ントン0.5mg 、エショルツキサンチン0.5mg についても
上記と同様の試験を実施したところ、精製水はマンセル
色度で5R4/12に着色された。
【0043】以上の試験結果から、ここに得たロドキサ
ンチン、エショルツキサントン及びエショルツキサンチ
ンが、それぞれ優れた着色力をもっていることが確認で
きる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、実施例にも示した通
り、安全性が高い天然由来の優れた抗酸化活性をもつ新
規抗酸化剤並びに新規着色料が提供できる。そして、本
発明によって提供される新規抗酸化剤は、単独で使用す
ることは勿論、既存の天然由来の各種酸化剤と組み合わ
せて使用することもできるから、食品、医薬品、化粧品
等の各対象物に応じた多岐にわたる処方を組むことが可
能となる。また、本発明によって提供される新規着色料
も、単独で使用することができることは勿論、既存の天
然由来の各種着色料と組み合わせて使用することもでき
るから、多様な変化に富む色彩を現出させることが可能
となる。従って、本発明の産業上利用性は非常に高いと
いえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロドキサンチンの可視部吸収スペ
クトル図である。
【図2】本発明に係るロドキサンチンのエレクトロンイ
ンパクトマス・スペクトル(EI-MS )図である。
【図3】本発明に係るロドキサンチンの水素核磁気共鳴
スペクトル(1H-NMR)図である。
【図4】本発明に係るエショルツキサントンの可視部吸
収スペクトル図である。
【図5】本発明に係るエショルツキサントンのエレクト
ロンインパクトマス・スペクトル(EI-MS )図である。
【図6】本発明に係るエショルツキサントンの水素核磁
気共鳴スペクトル(1H-NMR)図である。
【図7】本発明に係るエショルツキサンチンの可視部吸
収スペクトル図である。
【図8】本発明に係るエショルツキサンチンのエレクト
ロンインパクトマス・スペクトル(EI-MS )図である。
【図9】本発明に係るエショルツキサンチンの水素核磁
気共鳴スペクトル(1H-NMR)図である。
【図10】脂溶性ラジカル発生剤AMVNにより誘導される
リノール酸メチルの過酸化反応に対する抑制作用を示す
グラフである。
【符号の説明】
なし。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 15/34

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実から
    有機溶媒を用いて抽出したことを特徴とする抗酸化活性
    をもつカロチノイド含有エキス。
  2. 【請求項2】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実から
    有機溶媒を用いて抽出してなる抗酸化活性をもつカロチ
    ノイド含有エキスを抽出源として有機溶媒を用いて抽出
    したことを特徴とするロドキサンチン。
  3. 【請求項3】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実から
    有機溶媒を用いて抽出してなる抗酸化活性をもつカロチ
    ノイド含有エキスを抽出源として有機溶媒を用いて抽出
    したことを特徴とするエショルツキサントン。
  4. 【請求項4】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実から
    有機溶媒を用いて抽出してなる抗酸化活性をもつカロチ
    ノイド含有エキスを抽出源として有機溶媒を用いて抽出
    したことを特徴とするエショルツキサンチン。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のカロチノイド含有エキス
    を有効成分とする抗酸化剤。
  6. 【請求項6】 請求項2記載のロドキサンチンを有効成
    分とする抗酸化剤。
  7. 【請求項7】 請求項3記載のエショルツキサントンを
    有効成分とする抗酸化剤。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のエショルツキサンチンを
    有効成分とする抗酸化剤。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のカロチノイド含有エキス
    を含有してなる着色料。
  10. 【請求項10】 請求項2記載のロドキサンチンを含有
    してなる着色料。
  11. 【請求項11】 請求項3記載のエショルツキサントン
    を含有してなる着色料。
  12. 【請求項12】 請求項4記載のエショルツキサンチン
    を含有してなる着色料。
  13. 【請求項13】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実を
    メタノール、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから
    選ばれる有機溶媒で抽出し、続いて、該抽出液を濃縮す
    ることを特徴とする抗酸化活性をもつカロチノイド含有
    エキスの製造法。
  14. 【請求項14】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実を
    メタノール、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから
    選ばれる有機溶媒で抽出し、該抽出液を濃縮し、続い
    て、該濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより分
    画して70%ジエチルエーテル・n−ヘキサンで溶出する
    赤色フランクションを濃縮することを特徴とするロドキ
    サンチンの製造法。
  15. 【請求項15】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実を
    メタノール、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから
    選ばれる有機溶媒で抽出し、該抽出液を濃縮し、続い
    て、該濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより分
    画して90%ジエチルエーテル・n−ヘキサンで溶出する
    赤色フランクションを濃縮することを特徴とするエショ
    ルツキサントンの製造法。
  16. 【請求項16】 イチイ(Taxus cuspidata )の果実を
    メタノール、エタノール、酢酸エチル及びアセトンから
    選ばれる有機溶媒で抽出し、該抽出液を濃縮し、続い
    て、該濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィーにより分
    画して20%ジエチルエーテル・アセトンで溶出する赤色
    フランクションを濃縮することを特徴とするエショルツ
    キサンチンの製造法。
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