JPH08198420A - 金属条コイルの姿勢変換用補助具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水平状態で積み重ねた複数の金属条コイル
を、反転機等で反転させてその姿勢を垂直状態に変換す
る際に、その姿勢変換を円滑しするとともに、姿勢変換
後の取扱いも円滑に行える姿勢変換用補助具を提供する
こと。 【構成】 ほぼ垂直姿勢で複数平行に並べられた金属条
コイルを、当該金属条コイルの下部外周の少なくとも二
箇所が接触する状態に載置し得る載置部が上面に形成さ
れた支持台と、この支持台の前記載置部の一端へ直立す
るように設けられたフォーク部材とを備え、前記載置部
は前記フォーク部材側に向け所定角度で下り傾斜してい
ることを特徴としている。支持台には、前記フォーク部
材と相対する位置に金属条コイルの転倒防止手段を設け
るのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コイル状に巻いたア
ルミニウム，銅や鉄などの複数の金属条コイルを取り扱
うのに便利な姿勢変換用補助具に関するものである。さ
らに具体的には、水平姿勢で複数積み重ねられている金
属条コイルの姿勢を、水平状態から垂直状態に変換する
ときに便利な姿勢変換用補助具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】圧延された金属板を、スリッタにより所
定の幅にスリットしてコイル条に巻き取った金属条コイ
ルは、所定数ずつ梱包されてユーザの加工工場に輸送さ
れ、加工工場では、その使用目的に応じてプレスその他
の加工機械によりさらに加工される。加工機械に供され
る金属条コイルは、通常加工機械に設置されているアン
コイラ（巻戻しリール）に取り付けられ、巻戻しながら
加工される。加工工場において金属条コイルをアンコイ
ラに取り付ける際には、ハンドリフタと称される運搬機
のフックを金属条コイルの中央の孔に通して引っ掛け、
この状態で加工機械まで運搬し、ほぼ垂直な状態でアン
コイラに取り付けられる。

【０００３】前述のように、金属条コイルの搬出からア
ンコイラへの取り付けまでの一連の作業を容易にするた
めに、従来金属条コイルは、図６のような鉄鋼構造の金
属ラック２によって梱包されている。金属ラック２は隅
角に４本の脚２０を有し、その内底部には金属条コイル
１をほぼ垂直な状態で複数並べて載せる載置台２１が固
定されている。そして、それぞれ図示しないポリエチレ
ン製の袋に入れられた複数の金属条コイル１は、前記載
置台２１の上にほぼ垂直に並べて詰められ、各金属条コ
イル１の間には、相互の擦れによる損傷を防止するた
め、木製のライナ３を介在させている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】金属条コイル１を図６
のような金属ラック２によって梱包するのは、この梱包
状態のままで、図示しないハンドリフタなどの運搬機の
フックに金属条コイル１を引っ掛けて運搬するのに便利
だからであるが、このような梱包には以下のような問題
があった。すなわち、梱包状態の金属条コイルを多段積
みすることができないこと、及び、金属ラック２へ梱包
される金属条コイルの数が限られることによって、輸送
や倉庫への保管の際の空間効率が極めて悪かった。ま
た、金属ラックは木製の物に比べて高価であるととも
に、それ自体の重量が大きく、一度に輸送できる製品数
が限られるので輸送価格が高くなっていた。

【０００５】例えば図５のように、木製の梱包台４の上
に木製のライナ３を介してポリエチレン袋入りの金属条
コイル１を水平な状態で積み上げ、その最上部に押さえ
板５を載せ、これを金属製の結束バンド６などで結束す
ると、前述のような問題は解決できる。しかしながら従
来は、金属条コイルを水平状態に積み重ねて梱包したも
のを加工工場へ輸送後、ハンドリフタで金属条コイルを
運搬してアンコイラへ取り付けるに当り、その姿勢を水
平な積み重ね状態から垂直状態に姿勢を変換するとにき
便利な補助具がないために、図５のように梱包すること
ができなかった。この発明の目的は、金属条コイルを水
平な状態で積み重ねて梱包するのを可能にするため、積
み重ねられている複数の金属条コイルを、水平状態から
垂直状態にその姿勢を変換させるのに便利な補助具を提
供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、請求項１の発明による補助具は、ほぼ垂直姿勢で複
数平行に並べられた金属条コイルを、当該金属条コイル
の外周の少なくとも二箇所が接触する状態に載置し得る
載置部が上面に形成された支持台と、この支持台の前記
載置部の一端へ直立するように設けられたフォーク部材
とを備えており、前記載置部を前記フォーク部材側に向
け所定角度で下り傾斜させたことを特徴としている。フ
ォーク部材は、複数の棒や複数又は一枚の板で構成され
るのが好ましい。前記補助具は金属製であるのが好まし
いが、梱包されている複数の金属条コイルを支持できる
程度に丈夫なものであれば、木製ないし合成樹脂製でも
差し支えない。

【０００７】請求項２の発明は、請求項１の補助具にお
いて、前記支持台の前記フォーク部材と相対する位置に
金属条コイルの転倒防止手段を設けたものである。この
転倒防止手段は、例えば前記支持台に孔を形成し、この
孔に挿入される棒あるのが好ましいが、金属条コイルの
転倒を防止できるものであれば必ずしも前述のような棒
でなくてもよい。

【０００８】

【作用】請求項１の発明による補助具は、前述のように
構成されているので、反転機（以下、この明細書で「反
転」とは、所定のものを９０°反転させてその姿勢を変
換することを言う。）ないし反転機能付き運搬機ととも
に使用して、水平姿勢で積み重ねられている複数の金属
条コイルを円滑に垂直姿勢に変換する。

【０００９】圧延工場で圧延されたアルミニウム，銅又
は鋼などの金属薄板を所定の幅にスリットし、これをコ
イル状に巻いた複数の金属条コイルは、相互の間にスペ
ーサ兼用のライナを介して水平状態で複数積み重ねら
れ、最上部に押さえ板を置いて全体を結束バンドで結束
して梱包される。梱包された金属条コイルはユーザの加
工工場へ輸送され、プレスなどの加工機械で加工される
まで保管される。

【００１０】前記のように梱包されている金属条コイル
を加工機械へ供する際には、この発明による補助具を、
前記フォーク部材が水平状態であって、前記支持台が直
立するように反転機ないし反転機能付きの運搬機（以下
「反転機等」という。）に載せる。次いで、フォークリ
フトその他の運搬機により、前記金属状コイルを梱包状
態のまま（金属状コイルが水平状態のまま）前記フォー
ク部材の上に載せ、梱包の結束バンドを解除し、前記反
転機等を作動させて前記補助具を前記金属条コイルとと
もに９０°反転させる。このように反転させると、支持
台が上を向いた状態で水平になるとともに、フォーク部
材が支持台の端部で直立姿勢になるので、各金属条コイ
ルはその姿勢が変換され、平行に並んだ状態で前記支持
台の載置部へほぼ直立する。このとき、前記載置部はフ
ォーク部材側へ先下がり状に傾斜しており、各金属状コ
イルは、その重心がフォーク部材の方向に加わって当該
フォーク部材の方向へ倒れかかる状態になるので、前記
フォーク部材から離れる方向への転倒が防止される。

【００１１】請求項２の発明は、前記支持台のフォーク
部材と相対する位置に転倒防止手段を設けたので、前記
のように積み上げられた水平姿勢の金属条コイルの姿勢
を変換したとき、当該金属条コイルの転倒がさらに良く
防止される。

【００１２】

【実施例】図１〜図４を参照しながら、この発明による
金属条コイルの姿勢変換用補助具の好ましい実施例を説
明する。補助具７は、下面に補強材７２が固定され、上
面にほぼ緩Ｖ字状断面の溝形の載置部７３を有する金属
（鉄鋼）製の支持台７０と、この載置部７３の端部へほ
ぼ直立するように固定された二枚の金属（鉄鋼）板から
なるフォーク部材７１とから構成されている。

【００１３】前記載置部７３は、フォーク部材７１の方
向へ所定の傾斜角度θで下り傾斜するように形成されて
いる。この実施例における載置部７３の傾斜角度θは、
ほぼ５°に設計されている。前記載置部７３の前記フォ
ーク部材７１と相対する位置には穴５４が形成され、こ
の穴７４には、棒状の転倒防止手段が抜き差し自在に挿
入されるように構成されている。

【００１４】以上のように構成された姿勢変換用補助具
７は、図３の反転機等８とともに使用され、水平状態で
積み重ねて梱包された金属条コイルの姿勢を以下説明す
る要領で変換する。

【００１５】図２のように、圧延工場で製造された多数
の金属条コイル１（肉厚０．２mm、幅５０mm、コイル外
径８００mm、コイル外径３００mm）を、相互の間に木製
のライナ３を介在させた状態で、木製の梱包台４の上に
水平な状態で積み重ねられ、最上部に押さえ板５を載せ
て全体を図５とほぼ同様な結束バンド（図２は図示しな
い）で結束して梱包する。各金属条コイル１を前述のよ
うに積み重ねるとき、下位の金属条コイル１と隣合う上
下の金属条コイル１相互は、図示のように右方向から左
方向へ前記載置部７３の傾斜角度θとほぼ同様な角度で
傾斜するように、ややずらせた状態で積み重ねる。

【００１６】前述のように梱包された金属条コイル１
は、ユーザの加工工場へ輸送されて保管されるが、これ
を図示しない加工機械に供するときは、図３で例示した
ように、先ず補助具７を反転機等８の反転架台８０，８
１の水平な一方の架台８０の上に載せる。図３で例示し
た反転機等８は、支軸８２を中心として反転架台８０，
８１が図の右側へ９０°回動する構造であるので、フォ
ーク部材７１が架台８０へ水平に載置され、支持台７０
が架台８１と平行かつ近接した状態になるように補助具
７を反転機等８に載せる。次いで、梱包状態の多数の金
属条コイル１を、それらの金属条コイル１全体の縦方向
の傾きと載置部７３の傾きとがほぼ沿う状態に、前記補
助具７のフォーク部材７１の上に載せる。

【００１７】そして、金属条コイル１の結束バンド（図
３には図示しない）による結束を解除するとともに、支
持台７０へ転倒防止手段７５を取り付け、この状態で反
転架台８０，８１を図３の右方向へ９０°回動させる
と、図４のように、各金属条コイル１の姿勢は、梱包台
４とともに支持台７０の載置部７３へほぼ直立姿勢で平
行して並んだ状態に変換される。金属状コイル１の姿勢
を変換したならば、図３における転倒防止手段を取り除
き、図４のように、ハンドリフタ９のフック９０を金属
条コイル１の中央の孔１０の部分へ引っ掛け、当該金属
状コイル１をハンドリフタ９により加工機械まで運搬
し、図示しない加工機械のアンコイラへ垂直姿勢のまま
取り付ける。

【００１８】この実施例の補助具７は、載置部７３がフ
ォーク部材７１の方向へ下り傾斜していて、各金属条コ
イル１の重心はフォーク部材７１の方向へ偏っているの
で、図４の状態で金属状コイル１が転倒することはな
く、金属条コイルの姿勢を円滑に変換して後の作業を進
めることができる。また、支持台７０へ転倒防止手段７
５を設けたことにより、金属条コイル１の姿勢変換時の
転倒をいっそう良く防止することができる。したがっ
て、この補助具７を使用することによって、複数の金属
条コイル１を水平状態で積み重ねて梱包してもその後の
取扱いの困難性は解決されるため、金属条コイル１を空
間効率良く輸送したり保管したりできるばかりでなく、
梱包材料としてより軽量で低コストの木材を使用し、金
属条コイル１をより経済性良く輸送することができる。

【００１９】前記実施例では、フォーク部材７１を二枚
の金属板としたが、このフォーク部材７１は一枚の板で
も実施することができるし、あるいは、数本の棒でも差
し支えない。また、ライナ３は隣合う金属条コイル１相
互の擦れによる損傷を防止するための物であるから、前
述の実施例のような木製の角材に代えて紙を使用するこ
とができる。

【００２０】

【発明の効果】請求項１の発明による金属条コイルの姿
勢変換用補助具は、複数の金属条コイルをほぼ直立状態
で複数ならべて載置し得る載置部を上面に有する支持台
と、この載置部の一端部へ直立するように設けられたフ
ォーク部材とを備え、前記載置部を前記フォーク部材側
へ所定角度で下り傾斜させたものであるから、反転機等
とともに使用することにより、水平状態で積み重ねられ
た複数の金属条コイルを要領よく姿勢変換することがで
き、姿勢変換後の金属条コイルの転倒が防止されて、姿
勢変換後も金属条コイル円滑に取り扱うことができる。
このように、金属条コイルを水平状態で複数重ねた状態
で梱包することができるから、金属条コイルの輸送効率
や保管効率を高め、それらの経済性を高めることができ
る。

【００２１】請求項２の発明による補助具は、金属条コ
イルの姿勢変換時にその転倒をよりいっそう良く防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による金属条コイル姿勢変換用補助具
の一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１の姿勢変換用補助具を使用する場合に、金
属条コイルを梱包のため積み重ねた状態の一部切断正面
図である。

【図３】図１の補助具と反転機等とを使用して図２の金
属条コイルの姿勢を変換する前の状態を示す部分正面図
である。

【図４】図１の補助具と反転機等とを使用して、図２の
金属条コイルの姿勢を変換した後の状態を示す一部切断
正面図である。

【図５】金属条コイルの好ましい梱包状態の一例を示す
斜視図である。

【図６】金属条コイルの従来の梱包要領を示す斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 金属条コイル １０ 孔 ２ 金属ラック ２０ 脚 ２１ 載置台 ３ ライナ ４ 梱包台 ５ 押さえ板 ６ 結束バンド ７ 補助具 ７０ 支持台 ７１ フォーク部材 ７２ 補強材 ７３ 載置部 ７４ 孔 ７５ 転倒防止手段 ８ 反転機等 ８０，８１ 反転架台 ９ ハンドリフタ ９０ フック θ 傾斜角度

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 喜明 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ垂直姿勢で複数平行に並べられた金
   属条コイルを、当該金属条コイルの下部外周の少なくと
   も二箇所が接触する状態に載置し得る載置部が上面に形
   成された支持台と、この支持台の前記載置部の一端へ直
   立するように設けられたフォーク部材とを備え、前記載
   置部は前記フォーク部材側に向け所定角度で下り傾斜し
   ていることを特徴とする、金属条コイルの姿勢変換用補
   助具。
2. 【請求項２】 前記支持台には、前記フォーク部材と相
   対する位置に金属条コイルの転倒防止手段が設けられて
   いる、請求項１に記載の金属条コイルの姿勢変換用補助
   具。