JPH08197255A - 容器の溶接封止方法及びビスカスダンパ - Google Patents

容器の溶接封止方法及びビスカスダンパ

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JPH08197255A
JPH08197255A JP2736195A JP2736195A JPH08197255A JP H08197255 A JPH08197255 A JP H08197255A JP 2736195 A JP2736195 A JP 2736195A JP 2736195 A JP2736195 A JP 2736195A JP H08197255 A JPH08197255 A JP H08197255A
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JP
Japan
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welding
groove
sealing method
outer member
bead
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Application number
JP2736195A
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English (en)
Inventor
Motoji Hotta
元司 堀田
Harumichi Hino
治道 樋野
Masayuki Kobayashi
正幸 小林
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ケース等の外側材に蓋体等の内側材を溶接封
止し、液体及び気体に対する密封性が優れた封止部を得
る。 【構成】 アルミ製外側材(ケース20)にアルミ製内
側材(蓋19)を液密及び気密封止する際、外側材と内
側材との合せ面を溶接速度2〜7m/分でMIG溶接す
る。外側材又は内側材の合せ面に、開先角度30〜90
度で開先をつけてもよい。ダレを防止した健全な溶接ビ
ードが形成されるように、外側材の頂面を内側材の表面
より高く設定し、或いは外側材に側方に延びたツバ部を
つけることもできる。溶接条件は、溶接電流30〜28
0A及び溶接電圧10〜29.5Vで、好ましくは矩形
波パルスを使用したMIG溶接が採用される。 【効果】 幅が狭く形状の揃ったビードが形成され、外
観の良好なビスカスダンパ等の製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミ製外側材にアル
ミ製内側材を液密又は気密封止する容器の溶接封止方法
に関し、特にクランクシャフトに取り付けられる振動防
止用ダンパ等の容器を溶接封止する方法、及び溶接封止
されたビスカスダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】流体に対して密封状態で溶接封止する方
法として、特開平63−264282号公報で電子溶接
ビーム等の高エネルギー密度ビームで溶接することが紹
介されている。また、車両用エンジンの高出力化,高速
回転化に伴って、クランクシャフトの振動防止対策が重
要になってきている。振動防止用部材としては、ねじり
振動共振を制限する作用に優れたビスカスダンパが注目
されており、アルミをケーシング材料としたものも使用
され始めている。ビスカスダンパは、図1に示すよう
に、円形平板部1の周縁に矩形断面をもつ環状容器部2
を設けている。円形平板部1及び環状容器部2には、ア
ルミ材で一体的に成形したものが使用されている。鉄製
に代えてアルミ製ビスカスダンパを使用すると、オーバ
ラン領域の3次の共振が大幅に低減し、常用回転内のね
じり共振による振動が低減し、シリコーンオイル等の昇
温が抑制されオイル劣化が防止できる(社団法人自動車
技術会 学術講演会前刷集943号第45〜48頁参
照)。
【0003】円形平板部1は、クランクシャフトの軸部
が挿通される開口部3が中央に形成されている。環状容
器部2は、内部の空洞に鉄製リング4を収容し、鉄製リ
ング4と環状容器部2との間の隙間にシリコーンオイル
等が充填されている。また、鉄製リング4が環状容器部
2の内壁に直接衝突しないように、フッ素樹脂等の緩衝
材5を介在させている。シリコーンオイル等の充填に先
立って、鉄製リング4を収容した状態で環状容器部2が
封止される。すなわち、図2(a)に示すように、容器
本体6に鉄製リング4を入れた後、蓋7を装着する。蓋
7は、容器本体6の上部壁8を蓋7側に折り曲げるカシ
メ作業によって容器本体6に取り付けられる。このと
き、封止部におけるシリコーンオイル等の密封性を確保
するため、図2(b)に示すように蓋7の周縁下部から
突出しているツバ部9と上部壁8との間にシール材10
を挟み込んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】カシメによる接合で
は、容器本体6と蓋7との接合強度が弱く、高速回転に
よる遠心力や振動や衝撃が繰返し加えられるクランクシ
ャフトに装着された状態では、容器本体6と蓋7との接
合部にオイル漏れの原因となる隙間が生じ易い。しか
も、カシメ作業を容易にするため、図2(b)に示すよ
うに薄肉化した上部壁8やツバ部9を成形することが必
要になり、作業工数や作業時間の増加を招く。そこで、
最近では、カシメに代わる方法として溶接等が検討され
ている。たとえば、前掲した特開昭63−26482号
公報では、電子ビーム,レーザビーム等の高エネルギー
ビーム溶接で容器を封止する方法を紹介している。しか
し、これらの溶接法は、特殊な設備を必要とするため、
イニシャルコストやランニングコスト等が高くなる。
【0005】代表的な溶接法である通常のMIG溶接法
で容器を封止しようとすると、単位長さ当りの入熱量が
多いことから容器母材の熱変形が大きい。また、高温に
なるため、内部にフッ素樹脂,ゴム等の部品を装入でき
ない。大きな熱変形は、クランクシャフトに装着した場
合に所期の振動吸収特性を損なう原因ともなる。更に、
ビード幅や余盛りが大きくエッジ部のダレが大きくなり
易いことから、製品の外観が悪化する。このような問題
は、図1及び図2で示したアルミ製ビスカスダンパだけ
ではなく、アルミ製外側材にアルミ製内側材を溶接して
容器を作るものである限り、アキュームレータ,ウォー
タポンプ,トルクコンバータケース,ハーメチック端
子,液体及び気体のタンク類等においても同様に生じ
る。本発明は、このような問題を解消すべく案出された
ものであり、常用の溶接法であるMIG溶接法を採用
し、溶接速度を調節することにより、入熱量を減少さ
せ、一定した形状のビードを形成すると共に容器の熱変
形や内装部品の劣化を抑制し、簡便に液体,気体等の流
体に対して容器を密封することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の溶接封止方法
は、その目的を達成するため、外側材に内側材を液密又
は気密に封止する際、外側材と内側材との合せ面を溶接
速度2〜7m/分でMIG溶接することを特徴とする。
外側材及び内側材には、アルミニウム又はアルミニウム
合金が使用される。溶接速度は、好ましくは3〜5m/
分の範囲に設定される。外側材及び/又は内側材の合せ
面に、開先を形成してもよい。この場合、開先角度は、
30〜90度とする。開先の底部には、アールをつける
こともできる。
【0007】外側材の頂面を内側材の表面より高くした
継手設計を採用するとき、溶接によって生じたビードが
外側に流出することが防止される。この場合、外側材の
壁部肉厚をta (mm),外側材の頂面と内側材の表面
との高低差をtb (mm)とするとき、1/ta ≦tb
≦50/ta の関係を維持することが好ましい。また、
外側に張り出したツバが形成された上部壁をもつ外側材
を使用することによっても、溶接ビードの流出が防止さ
れる。溶接時に、Arと50体積%以上のHeとの混合
ガス又はHeガスを不活性ガスとして使用することが好
ましい。この不活性ガスの使用により、溶接速度が2〜
7m/分と高速であっても、ビード幅が狭く、溶込み深
さの大きなビードが形成される。MIG溶接は、溶接電
流30〜280A及び溶接電圧10〜29.5Vの溶接
条件を採用するとき、溶接速度が2〜7m/分と高速で
あるにも拘らず、安定した条件下で行われ、一定した幅
をもつ溶接ビードが形成され、気密性の高い溶接継手が
得られる。使用される溶加材は、JIS Z3604に
示されているように被溶接材料との関係で選択され、幅
の狭いビードを形成する上では直径0.6〜1.6mm
の溶加材が好ましい。
【0008】
【作用】アルミ材をMIG溶接するとき、溶接速度は、
JIS Z3604に規定されているように0.2〜
1.2m/分の範囲に通常設定されている。このような
溶接速度では、被溶接材料に加えられる単位長さ当りの
入熱量が多くなる。その結果、前述したように被溶接材
料の変形や内装材の劣化等の問題が生じ、特に振動吸収
部品としてクランクシャフトに装着されるビスカスダン
パのような製品に適用できない。本発明者等は、入熱量
の軽減を図るべく溶接速度を上昇させてMIG溶接し
た。溶接速度を2〜7m/分の範囲に維持するとき、ア
ークの不安定化や溶込み不足等の欠陥が発生することな
く、形状が整った幅の狭いビードが安定して形成される
ことを見い出した。しかも、生成した溶接ビードは、内
部に充填されるシリコーンオイル,ガソリン,水等の液
体や気体等の流体や内部を真空又は減厚した容器の漏洩
防止に十分な密封性を呈する溶込みをもっている。ま
た、入熱量が大幅に軽減されることから、被溶接材料の
変形も抑制され、優れた外観品質をもつ製品が得られ
た。このような溶接速度の上昇によってもたらされる効
果は、従来のMIG溶接法からは窺い知れないものであ
る。
【0009】本発明では、溶接速度を2〜7m/分の範
囲に維持している。この溶接速度の選定により、溶接に
よる変形や歪みが小さくなり、外観が良好で幅の狭い溶
接ビードが形成される。そのため、溶接後に矯正等の作
業を必要としない。また、余盛りも大きくなりすぎず、
溶接後の切削加工による修正も不要又は少量で済む。こ
の点、2m/分より遅い溶接速度では、ビード幅や余盛
りが大きくなり過ぎ、変形を生じがちである。他方、7
m/分を超える溶接速度では、溶込み深さが小さく、接
合強度の低い継手が形成される。溶接される外側材及び
内側材が薄い場合には、開先を設けなくても十分な溶込
み深さをもつ溶接継手が得られる。しかし、大きな肉厚
の外側材や内側材等を溶接する場合や、溶込みを促進さ
せる場合には、外側材及び/又は内側材の合せ面に開先
を形成することが好ましい。開先としては、図3に示す
ように同じ角度で開先面を形成したもの(a),片方だ
けに開先をつけたもの(b),それぞれに異なる開先角
度で開先面を形成したもの(c)等がある。
【0010】開先角度θによって、溶込み深さを変える
ことができる。必要な溶込み深さを得る上では、開先角
度θを30〜90度の範囲にすることが好ましい。開先
深さは、特に限定されるものではないが、好ましくは4
mm以下が良い。また、開先深さが1.0〜2.5mm
のとき、開先角度θを45〜75度の範囲で選定する
と、低入熱でも十分な溶込みをもった溶接部が得られ
る。開先の底部にアールRをつけるとき、開先底部から
の溶込み深さが0.3mm以上の融合部が形成され、接
合強度及び耐衝撃性が向上し、気密性に優れた接合部が
得られる。アールRは、開先角度θに依存し、小さな開
先角度θでは大きくし、大きな開先角度θでは小さく設
計する。たとえば、開先角度θが90度のときアールR
を0.2mmとし、開先角度θが30度のときアールR
を1mmとする。
【0011】図2に示した容器本体6に相当する外側材
の肉厚が薄い場合、図4(a)又は(b)に示すよう
に、外側材11と内側材12との間に高低差tb をつけ
ることが好ましい。開先は、内側材12のみ(b)、或
いは外側材11及び内側材12の双方(b)につけるこ
とができる。高低差tb は、外側材11の肉厚をta
するとき、1/ta 〜50/ta の範囲に維持される。
これにより、ビード13が外側材11に回り込むことな
く、図4(c)に示すように健全なビード13が形成さ
れる。高低差tb が1/ta より小さいと、図4(d)
に示すようにビード13が外側材11に回り込み、外観
を著しく劣化させるダレが生じる。逆に、50/ta
超える高低差tb では、内側材12の表面から突出する
外側材11の突出長さが大きく、隅溶接の形態となり溶
接性が劣る。また、高低差tb が5/ta を超えない寸
法では、溶接後に突出部を切り落とす加工が不要になる
ため、生産性を向上する上でより好ましい。薄い外側材
11に発生しがちなダレは、外側材の上部に側方に張り
出したツバ部を形成することによっても防止できる。図
5(a)は、肉厚tc'のツバ部14を外側材11の側方
に長さtb'だけ張り出して形成したものである。図5
(b)は、同様に形成したツバ部14の根本にアールR
をつけた場合である。この場合にも、開先は、外側材1
1及び内側材12の何れか一方又は双方につけることが
できる。
【0012】ツバ部14は、溶接時の入熱で外側材11
にダレが生じることを防止し、健全なビード13を形成
する作用を呈する。外側材11の肉厚をta'とすると
き、1/a'〜50/ta'の範囲にツバ部14の長さtb'
を設定すると、外側材11にダレの生じない健全なビー
ド13が形成される。また、ツバ部14の長さtb'は、
肉厚ta'の倍以内の長さに設計することにより、不要な
部分の後加工も少なくて済む。また、ツバ部14の肉厚
c'は、長さtb'の1〜5倍の範囲が好ましい。溶接条
件は、溶接速度や開先形状に応じて、溶接電流30〜2
80A及び溶接電圧10〜29.5Vの範囲で選定され
る。直流電流の使用も可能であるが、少ない入熱量で大
きな溶込み深さを得る上ではパルス電流が効果的であ
る。パルス電流としては、代表的なものに図6に示す矩
形波電流がある。実効電流IM に対して、ピーク電流I
P を(1〜2.5)×IM の範囲に、ベース電流IB
(0.2〜1)×IM の範囲に維持することが好まし
い。また、ピーク電流IP が供給される時間TP は、好
ましくは0〜2.3msの範囲で選定される。
【0013】ピーク電流IP が実効電流IM の2.5倍
を超えると、溶接欠陥であるアンダーカットがビード止
端部に生じ易くなる。ベース電流IB が実効電流IM
0.2倍に達しないと、アークが不安定化し、ビード形
状が不揃いになる。ピーク電流IP 及びベース電流IB
は、実効電流IM と同じレベルまで変化させることがで
き、それに応じてアンダーカットの発生が抑制される。
ピーク電流IP 及びベース電流IB が実効電流IM と同
じレベルにある、すなわち直流電流でも、溶込み深さ
0.3mmの溶接部が得られる。しかし、スパッタの軽
減,0.3mm以上の溶込み深さ,トータル入熱量の軽
減等の点から、パルス電流を使用した溶接の方が好まし
い。外側材11と内側材12との合せ目は、通常2パス
以下で溶接される。2パスを超える溶接回数では、溶加
材及び被溶融部を含めた溶着金属部にブロー,割れ等の
欠陥が発生し易くなる。また、入熱量が多くなり、変形
や歪みを0.3mm以内に抑えることができなくなる。
この点で、特に1パスの溶接が好ましい。不活性ガスと
して、Arと50体積%以上のHeとの混合ガス又はH
eガスを使用することが好ましい。不活性ガス中のHe
濃度を高くすることにより、ビード幅を狭くし、溶込み
深さを大きくすることができる。その結果、本発明の目
的に叶った健全なビードが形成される。
【0014】溶接に先立って、外側材と内側材とを焼き
嵌め,冷し嵌め,圧入等で嵌合しておくこともできる。
しかし、治具や仮付け等によって被溶接材料を拘束でき
るとき、嵌合方式によることなく外側材と内側材とを溶
接することができる。この場合、両者の合せ目に多少の
隙間があっても、溶接に支障をきたすことはない。溶接
時、図7(a)に示すように溶接トーチ15を開先16
に指向させる。このとき、前進角α(b)を3〜15度
の範囲に、溶接トーチ15の狙い角β(c)を0〜35
度の範囲に設定する。前進角αが3度未満になると、被
溶接材料のクリーニングゾーンが狭くなり、ビードの外
観が悪化する。逆に15度を超える前進角αでは、ビー
ド幅が広くなり、溶込み深さも浅くなる。また、狙い角
βが35度を超えると、被溶接材料のそれぞれに到達す
るアーク長のバランスが悪化し、アーク長が短い方のビ
ード止端部にアンダーカットが発生し易くなる。
【0015】
【実施例】
実施例1:外側材として、アルミ合金鍛造材6061か
ら一体成形した環状容器部2の内側に開口部3のある円
形平板部2を備えたものを使用した。環状容器部2の壁
部は、肉厚を4.1mmとし、高さ4mm及び厚み3.
5mmの段差部17を上部につけた。内側材として、ア
ルミ合金6061製の環状蓋18を使用した。環状容器
部2の壁部及び環状蓋18の何れか一方又は双方に、角
度50度及び深さ1.8mmの開先をつけた。開先底部
のRは、0.6mmとした。環状蓋18を環状容器部2
に収容し、段差部17に係止した。不活性ガスとしてA
rを流量25リットル/分で溶接域に供給しながら、矩
形波パルス電流を使用して、直径1.2mmの溶加材5
356WYで環状蓋18と環状容器部2との合せ目をM
IG溶接した。矩形波パルス電流は、実効電流IMを2
10A,ピーク電流IP を250A,ベース電流IB
60Aとし、ピーク電流供給時間TP を1.2msに設
定した。なお、溶接電圧は、23Vの一定値に維持し、
溶接トーチの前進角αを10度に、狙い角βを0度とし
た。
【0016】この溶接条件下で溶接速度を種々変更し、
図8(a)に矢印で、図8(b)に黒点で示す測定点
(溶接中心線より5mmの位置)で、各測定点における
溶込み深さ,変形量,余盛り高さ,溶接直後の温度等を
測定した。測定結果を平均化して溶接速度で整理したと
ころ、図9に実線で示す関係が得られた。溶込み深さ
(a)は、溶接速度の上昇に応じて浅くなり、7m/分
を超えたとき開先底からの深さが0.3mm未満になっ
た。変形量(b)は、溶接速度の低下に応じて大きくな
り、2m/分に達しない溶接速度では±0.3mm以上
になった。余盛り高さ(c)は、2m/分に達しない溶
接速度では過大なオーバラップとなり、7m/分を超え
る溶接速度ではアンダーカットとなる欠陥が発生した
が、溶接速度が2〜7m/分の範囲にあるとき適正な余
盛り高さをもつ健全なビードが形成された。溶接後温度
(d)は、2m/分に達しない溶接速度ではフッ素樹脂
ベアリング等の内装材を劣化させる140℃以上の高温
になったが、溶接速度の上昇に応じて十分に低い温度ま
で低下した。このようにして、本発明で規定した条件下
で溶接されたものにあっては、健全な溶接ビードで環状
蓋体18が環状容器部2に溶接されたビスカスダンパと
なった。また、環状蓋体18と環状容器部2との封止部
は密封性に優れ、接合強度も十分であり、耐久性に優れ
た製品として使用することができた。また、Arと50
体積%のHeとの混合ガスを不活性ガスとして流量25
リットル/分で溶接域に供給しながら、前述したものと
同じ条件下で溶接した。この場合には、図9に破線で示
す関係が得られた。この結果から分かるように、不活性
ガスにHeを混合することにより、ビード幅は減少し、
溶込み深さが増加することが判明した。また、Heガス
単体を不活性ガスとして使用すると、ビード幅の減少及
び溶込み深さの増加が更に進行することが確認された。
【0017】実施例2:形状及び寸法を図10に示した
ビスカスダンパを、本発明に従ったMIG溶接法及び炭
酸ガスレーザ溶接法で製造した。MIG溶接には、実施
例1と同じ溶接条件を採用した。炭酸ガスレーザ溶接
は、10インチの放物面ヘッドを使用し、Arガスを2
5リットル/分の流量で供給しながら出力4kWの溶接
条件で蓋19をケース20に溶接した。得られた各ビス
カスダンパについて軸に対する変形量を測定し、溶接方
法及び溶接速度で整理した。その結果を、カシメ法で蓋
19を固着した場合と比較して図11に示す。図11か
ら明らかなように、本発明に従ったMIG溶接法では、
溶接速度が1m/分のときには変形量が大きくなってい
るが、3m/分以上の溶接速度ではカシメ法に匹敵する
小さな変形量となっている。変形量は溶接速度が9m/
分のとき最も小さくなっているが、溶接速度9m/分で
は0.3mm以上の溶込み深さを得ることができなかっ
た。これに対し、炭酸ガスレーザ溶接法では、溶接速度
を上げても変形量の低下はそれほどみられなかった。な
お、本実施例で採用した炭酸ガスレーザ溶接法では、溶
加材の安定送給を確保する上から、2m/分を超える溶
接速度が採用できなかった。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、溶接速度を2〜7m/分に高めたMIG溶接を採用
することにより、被溶接材に加えられる入熱量を少なく
し、溶込みが十分で幅の狭い健全な溶接ビードを形成し
ている。軽減された入熱量は被溶接材の変形を抑制し、
健全な溶接ビードは溶接製品の外観及び密封性を向上さ
せる。このようにして、本発明によるとき、各種の内装
材を劣化させることなく、容器本体等の外側材に蓋体等
の内側材を密封した製品が得られ、振動吸収材として好
適なビスカスダンパ等として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鉄製リングを収容したビスカスダンパを一部
切り欠いた斜視図
【図2】 同ビスカスダンパの一部断面図(a)及び封
止部(b)
【図3】 各種溶接開先を示し、被溶接材料の双方に開
先をつけた例(a),片方の被溶接材料に開先をつけた
例(b)及び異なる開先角度をつけた例(c)
【図4】 外側材と内側材との間に高低差をつけること
によりダレが防止されることを説明する図であり、内側
材に開先をつけた例(a),外側材及び内側材の双方に
開先をつけた例(b),健全な溶接ビードが形成された
状態(c)及びダレが発生した溶接部(d)
【図5】 外側材につけたツバ部によりダレ発生が防止
されることを説明する図であり、内側材に開先をつけた
例(a),外側材及び内側材の双方に開先をつけた例
(b),健全な溶接ビードが形成された状態(c)
【図6】 溶接電流として使用される矩形パルス電流の
波形
【図7】 開先に指向させた溶接トーチ(a),進行角
αで傾斜させた溶接トーチ(b)及び狙い角βで傾斜さ
せた溶接トーチ(c)
【図8】 実施例1で作製したビスカスダンパの側断面
図(a)及び平面図(b)
【図9】 溶接速度が溶込み深さ(a),変形量
(b),余盛り高さ(c)及び溶接後温度(d)に及ぼ
す影響を表したグラフ
【図10】 実施例2で作製したビスカスダンパの一部
側断面図
【図11】 MIG溶接法及び炭酸ガスレーザ溶接法の
溶接速度が変形量に及ぼす影響をカシメ法と比較して表
したグラフ
【符号の説明】
1:円形平板部 2:環状容器部 3:開口部
4:鉄製リング 5:緩衝材 6:容器本体
7:蓋 8:上部壁 9:ツバ部 10:シール
材 11外側材 12:内側材 13:ビード
14ツバ部 15溶接トーチ 16:開先 1
7:段差部 18:環状蓋 19:蓋 20:ケース ta :外側材の肉厚 tb :外側材と内側材の高低差 IM :実効電流 IP :ピーク電流 IB :ベース
電流 TP :ピーク電流供給時間 θ:開先角度 α:前進角 β:狙い角
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【作用】アルミ材をMIG溶接するとき、溶接速度は、
JIS Z3604に規定されているように0.2〜
1.2m/分の範囲に通常設定されている。このような
溶接速度では、被溶接材料に加えられる単位長さ当りの
入熱量が多くなる。その結果、前述したように被溶接材
料の変形や内装材の劣化等の問題が生じ、特に振動吸収
部品としてクランクシャフトに装着されるビスカスダン
パのような製品に適用できない。本発明者等は、入熱量
の軽減を図るべく溶接速度を上昇させてMIG溶接し
た。溶接速度を2〜7m/分の範囲に維持するとき、ア
ークの不安定化や溶込み不足等の欠陥が発生することな
く、形状が整った幅の狭いビードが安定して形成される
ことを見い出した。しかも、生成した溶接ビードは、内
部に充填されるシリコーンオイル,ガソリン,水等の液
体や気体等の流体や内部を真空又は減圧した容器の漏洩
防止に十分な密封性を呈する溶込みをもっている。ま
た、入熱量が大幅に軽減されることから、被溶接材料の
変形も抑制され、優れた外観品質をもつ製品が得られ
た。このような溶接速度の上昇によってもたらされる効
果は、従来のMIG溶接法からは窺い知れないものであ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】ツバ部14は、溶接時の入熱で外側材11
にダレが生じることを防止し、健全なビード13を形成
する作用を呈する。外側材11の肉厚をt’とすると
き、1/t’〜50/t’の範囲にツバ部14の長
さt’を設定すると、外側材11にダレの生じない健
全なビード13が形成される。また、ツバ部14の長さ
’は、肉厚t’の5倍以内の長さに設計すること
により、不要な部分の後加工も少なくて済む。また、ツ
バ部14の肉厚t’は、長さt’の1〜5倍の範囲
が好ましい。溶接条件は、溶接速度や開先形状に応じ
て、溶接電流30〜280A及び溶接電圧10〜29.
5Vの範囲で選定される。直流電流の使用も可能である
が、少ない入熱量で大きな溶込み深さを得る上ではパル
ス電流が効果的である。パルス電流としては、代表的な
ものに図6に示す矩形波電流がある。実効電流Iに対
して、ピーク電流Iを(1〜2.5)×Iの範囲
に、ベース電流Iを(0.2〜1)×Iの範囲に維
持することが好ましい。また、ピーク電流Iが供給さ
れる時間Tは、好ましくは0〜2.3msの範囲で選
定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 33/00 Z // B23K 101:12 103:10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ製外側材にアルミ製内側材を液密
    又は気密に封止する際、外側材と内側材との合せ面を溶
    接速度2〜7m/分でMIG溶接することを特徴とする
    容器の溶接封止方法。
  2. 【請求項2】 溶接速度が3〜5m/分である請求項1
    記載の溶接封止方法。
  3. 【請求項3】 外側材及び/又は内側材の合せ面に開先
    を形成する請求項1記載の溶接封止方法。
  4. 【請求項4】 開先角度30〜90度で請求項3記載の
    開先を形成する溶接封止方法。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の開先の底部にアー
    ルをつける溶接封止方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の外側材の頂面を内側材の
    表面より高くする溶接封止方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の外側材の壁部肉厚をta
    (mm),外側材の頂面と内側材の表面との高低差をt
    b (mm)とするとき、1/ta ≦tb ≦50/ta
    関係を維持する溶接封止方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の外側材として、外側に張
    り出したツバが形成された上部壁をもつ外側材を使用す
    る溶接封止方法。
  9. 【請求項9】 不活性ガスとしてArと50体積%以上
    のHeとの混合ガス又はHeガスを使用する請求項1〜
    8の何れかに記載の溶接封止方法。
  10. 【請求項10】 溶接電流30〜280A及び溶接電圧
    10〜29.5VでMIG溶接する請求項1〜9の何れ
    かに記載の溶接封止方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れかに記載の溶接
    封止方法で蓋体を環状容器本体に固着したビスカスダン
    パ。
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