JPH08189995A - 使用済燃料集合体収納容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 除熱効果が高く、使用済燃料集合体を効率よ
く保管することができるようにする。 【構成】 使用済燃料集合体２を収納可能な容器胴部７
及び容器蓋部８よりなる容器本体６と、容器本体６に収
納される使用済燃料集合体２の外面に蒸発部１２が沿い
且つ凝縮部１３が容器本体６の外部に露出するように設
けられたヒートパイプ１０とを備え、使用済燃料集合体
２の崩壊熱をヒートパイプ１０によって容器本体６の外
部に除熱する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電所等の原子
炉で使用された使用済燃料を保管するための使用済燃料
集合体収納容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、原子力発電所等の原子炉で使用さ
れた使用済燃料集合体は、図７、図８に示すような、ス
テンレス鋼等の金属製の使用済燃料集合体収納容器に収
納される。

【０００３】使用済燃料集合体収納容器は、上部が開口
した中空構造で使用済燃料集合体２を収納することがで
きる容器胴部３と、この容器胴部３の上端に溶接等によ
り取り付けられて容器胴部３の中空部を外部に対して遮
断する容器蓋部４（図７参照）とから構成される容器本
体１を有している。

【０００４】この容器本体１に収納される使用済燃料集
合体２は、容器胴部３の内底部分に設けた仕切板５の上
に載置され、また容器本体１の内部には、ヘリウムガス
等の不活性ガスが封入される。

【０００５】上述した構成を有する使用済燃料集合体収
納容器は、強制通風が行われているピット等の保管場所
に保管されており、使用済燃料集合体２から放出される
崩壊熱は、容器本体１の内部に封入されているヘリウム
ガス等の不活性ガス、容器本体１を経て、容器本体１の
外部を流通する空気に伝達され、使用済燃料集合体２の
除熱が行われる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、図７、図８
に示す使用済燃料集合体収納容器では、使用済燃料集合
体２から放出される崩壊熱は、不活性ガス、容器本体１
を経て外部に伝達されるだけであるので、使用済燃料集
合体２に対する除熱効果が低く、容器本体１に収納する
使用済燃料集合体２の総発熱量を制限する必要がある。

【０００７】従って、容器本体１に収納可能な使用済燃
料集合体２の量が限定され、使用済燃料集合体２を効率
よく保管することに問題があった。

【０００８】本発明はこのような従来の問題を解決し、
除熱効果が高く、使用済燃料集合体を効率よく保管する
ことができるようにした使用済燃料集合体収納容器を提
供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の使用済燃料集合体収納容器においては、使用済
燃料集合体を収納可能な容器胴部及び容器蓋部よりなる
容器本体と、該容器本体に収納される使用済燃料集合体
の外面に蒸発部が沿い且つ凝縮部が該容器本体の外部に
露出するように設けられたヒートパイプとを備えてい
る。

【００１０】また、ヒートパイプは、容器本体に収納さ
れる使用済燃料集合体の外周を取り巻くように蒸発部を
螺旋状に形成し、凝縮部を複数に分岐させ、凝縮部の各
分岐させた部分を容器本体に設けたスリット部の周縁に
密着させて容器本体の外部に露出するようにすることが
できる。

【００１１】

【作用】使用済燃料集合体から放出される崩壊熱は、使
用済燃料集合体の外面に沿っているヒートパイプの蒸発
部から、容器本体の外部に露出しているヒートパイプの
凝縮部を経て容器本体の外部に伝達されるので、熱の伝
達効率が極めて良好になり、使用済燃料集合体に対する
除熱効果が高くなる。

【００１２】またヒートパイプの蒸発部を使用済燃料集
合体の外周を取り巻くように螺旋状に形成すると使用済
燃料集合体からヒートパイプへの崩壊熱の伝達効率がさ
らに高くなり、凝縮部を複数に分岐させ、凝縮部の各分
岐させた部分を容器本体に設けたスリット部の周縁に密
着させて容器本体の外部に露出するようにすると、除熱
効果がさらに高くなり、容器本体の外部に突出部がなく
なるので、使用済燃料集合体収納容器を上下方向に段積
みして、効率よく保管することができるようになる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照しつつ説明
する。

【００１４】図１は本発明の使用済燃料集合体収納容器
の第１の実施例を示す半裁縦断面図、図２は図１のＩＩ
−ＩＩ矢視図であって、本発明の使用済燃料集合体収納
容器は、上部が開口した中空構造で使用済燃料集合体２
を収納することができる容器胴部７と、この容器胴部７
の上端に溶接等により取り付けられて容器胴部７の中空
部を外部に対して遮断する容器蓋部８（図１参照）とか
ら構成される容器本体６を有している。

【００１５】この容器本体６に収納される使用済燃料集
合体２は、容器胴部７内底部分に設けた仕切板９の上に
載置され、また容器本体６の内部には、ヘリウムガス等
の不活性ガスが封入されるようになっている。

【００１６】この容器本体６には、従来の容器本体１
（図８参照）よりも多くの使用済燃料集合体２を収納す
る。

【００１７】図１に示すように、容器蓋部８にはヒート
パイプ１０が取り付けられている。

【００１８】ヒートパイプ１０は図３に示すように管状
のもので、内部に金網や焼結金属等の多孔質物質のウイ
ック１１を設けて、熱輸送媒体である作動流体を封入し
たものである。

【００１９】ヒートパイプ１０において熱が加わる部分
を蒸発部１２、熱を放出する部分を凝縮部１３、その他
を断熱部１４と呼び、蒸発部１２に熱が加えられると、
そこにある作動流体が蒸発して凝縮部１３との間に圧力
差を生じ、作動流体の蒸気は凝縮部１３に移動して凝縮
し、潜熱を放出する。

【００２０】潜熱を放出して液化した作動流体は、ウイ
ック１１の毛細管力により蒸発部１２に還流され、更に
蒸発凝縮を繰り返し、作動流体の液相、気相の変化に伴
う潜熱授受により、熱を蒸発部１２から凝縮部１３へと
移動させるもので、金属等の固体熱伝導よりも極めて大
きい熱量を運ぶことができるものである。

【００２１】図１、図２に示す実施例においては、ヒー
トパイプ１０の断熱部１４を容器蓋部８に固定し、図１
に示すように容器胴部７の上端を容器蓋部８で密封する
と、ヒートパイプ１０の蒸発部１２は、図１、図２に示
すように容器本体６に収納されたそれぞれの使用済燃料
集合体２の外面に沿うようになり、ヒートパイプ１０の
凝縮部１３は、容器蓋部８の上方に突出して容器本体６
の外部に露出するようにしたものである。

【００２２】これにより、使用済燃料集合体２から放出
される崩壊熱は、ヒートパイプ１０の蒸発部１２から凝
縮部１３を経て容器本体６の外部を流通する空気に伝達
され、極めて高い熱伝達効率で使用済燃料集合体２の除
熱が行われことになり、また外部からの動力を一切必要
としない。

【００２３】従って容器本体６に収納する使用済燃料集
合体２の量を従来よりも多くしても温度が高くなること
がなく、多くの使用済燃料集合体２を効率よく保管する
ことができるようになる。

【００２４】図４は本発明の使用済燃料集合体収納容器
の第２の実施例を示す半裁縦断面図、図５は図４のＶ−
Ｖ矢視図であって、使用済燃料集合体収納容器は、上部
が開口した中空構造で、複数の使用済燃料集合体２を収
納することができる容器胴部１５と、この容器胴部１５
上端に溶接等により取り付けられて容器胴部１５の中空
部を外部に対して遮断する容器蓋部１６とから構成され
る容器本体１７を有している。

【００２５】この容器本体１７に収納される使用済燃料
集合体２は、容器胴部１５内底部分に設けた仕切板９の
上に載置され、また容器本体１７の内部には、ヘリウム
ガス等の不活性ガスが封入されるようになっている。

【００２６】容器本体１７の内部に設けられるピートパ
イプ１８は仕切板９に固定されていて、ピートパイプ１
８の蒸発部１２は、容器本体１７に収納されたそれぞれ
の使用済燃料集合体２の外周を取り巻くように螺旋状１
９に形成されている。

【００２７】またピートパイプ１８の凝縮部１３は複数
に分岐していて、その各分岐部分は、図５にも示すよう
に容器胴部１５の上部に周方向に所定間隔をおいて設け
た縦方向のスリット部２０の周縁に密着されている。

【００２８】従ってピートパイプ１８の凝縮部１３は、
スリット部２０を通して容器本体１７の外部に露出され
ており、容器本体１７の内部に封入されている不活性ガ
スは、スリット部２０から外部に漏洩することはない。

【００２９】図４に示す使用済燃料集合体収納容器は、
ピートパイプ１８の蒸発部１２が螺旋状１９に形成され
ていて、使用済燃料集合体２の外周を取り巻いているの
で、蒸発部１２は使用済燃料集合体２から放出される崩
壊熱を効率良く吸収し、ピートパイプ１８の凝縮部１３
は複数に分岐していて、その各分岐部分が容器本体１７
の外部近くに設けられているので放熱効率も高く、使用
済燃料集合体２の除熱効果が極めて高くなる。

【００３０】さらに図４に示す使用済燃料集合体収納容
器は、ピートパイプ１８が容器蓋部１６の上方に突出し
ていないので、図６に示すように容器本体１７を収納ピ
ットの収納管２１内に上下方向に段積みして、効率よく
保管することができる。

【００３１】なお、図６において、２２は通風管であ
る。

【００３２】なお、本発明の使用済燃料集合体収納容器
は上述した実施例のみに限定されるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加え得
ることは勿論である。

【００３３】

【発明の効果】以上述べたように本発明の使用済燃料集
合体収納容器においては、下記のような種々の優れた効
果を奏し得る。

【００３４】本発明の請求項１及び請求項２に記載した
いずれの使用済燃料集合体収納容器においても、ヒート
パイプを備えているので除熱性能が高く、使用済燃料集
合体を従来よりも多く効率よく保管することができ、ま
た外部からの動力を一切必要としない。

【００３５】本発明の請求項２の発明に記載した使用済
燃料集合体収納容器においては、蒸発部が螺旋状に形成
されていて、使用済燃料集合体の外周を取り巻いている
ので、蒸発部は使用済燃料集合体から放出される崩壊熱
を効率良く吸収し、ピートパイプの凝縮部は複数に分岐
していて、その各分岐部分が容器本体の外部に露出され
ているので放熱効率も高く、使用済燃料集合体の除熱効
果が極めて高くなり、また、ピートパイプが容器蓋部の
上方に突出していないので、容器本体を上下方向に段積
みして、効率よく保管することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の使用済燃料集合体収納容器の第１の実
施例を示す半裁縦断面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ矢視図である。

【図３】ヒートパイプの作動を示す概念図である。

【図４】本発明の使用済燃料集合体収納容器の第２の実
施例を示す半裁縦断面図である。

【図５】図４のＶ−Ｖ矢視図である。

【図６】図４に示す使用済燃料集合体収納容器を段積み
して格納した状態を示す正面図である。

【図７】従来の使用済燃料集合体収納容器の一例を示す
半裁縦断面図である。

【図８】図７のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ矢視図である。

【符号の説明】

２ 使用済燃料集合体 ６ 容器本体 ７ 容器胴部 ８ 容器蓋部 １０ ヒートパイプ １２ 蒸発部 １３ 凝縮部 １５ 容器胴部 １６ 容器蓋部 １７ 容器本体 １８ ピートパイプ １９ 螺旋状 ２０ スリット部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 使用済燃料集合体を収納可能な容器胴部
   及び容器蓋部よりなる容器本体と、該容器本体に収納さ
   れる使用済燃料集合体の外面に蒸発部が沿い且つ凝縮部
   が該容器本体の外部に露出するように設けられたヒート
   パイプとを備えてなることを特徴とする使用済燃料集合
   体収納容器。
2. 【請求項２】 容器本体に収納される使用済燃料集合体
   の外周を取り巻くように蒸発部を螺旋状に形成し、凝縮
   部を複数に分岐させ、凝縮部の各分岐させた部分を容器
   本体に設けたスリット部の周縁に密着させて容器本体の
   外部に露出するようにヒートパイプを形成したことを特
   徴とする請求項１に記載の使用済燃料集合体収納容器。