JPH08189451A - 水力機械の電動サーボモータ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水力機械の流量調節手段であるガイドベーン
を開閉操作する電動サーボモータ装置において、主電動
機の故障や電源喪失等の不測の事態が発生しても、確実
にガイドベーンを閉口できる。構造が簡単で、かつ保守
性、信頼性に優れた電動サーボモータ装置を得る。 【構成】 減速機２の入力軸側にクラッチ17を装着し、
このクラッチ17を介して第２の減速機18を連結し、第２
の減速機18の入力軸に保護用電動機19を連結するととも
に、保護用電動機19の電源を、主電動機１の電源とは異
なる非常電源20に開閉器21を介して接続した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水車、ポンプ、ポンプ
水車等の水力機械の流量調節手段であるガイドベーン等
を開閉操作する電動サーボモータ装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】水車、ポンプ、ポンプ水車等の水力機械
の流量調節手段であるガイドベーン等を開閉操作するサ
ーボモータ装置は、従来の油圧サーボモータ装置に代わ
って、近年では電動サーボモータ装置が多用されるよう
になっている。図３は従来の水力機械の電動サーボモー
タ装置に一例を示す構成図で、図中１は駆動源である主
電動機であり、この主電動機１と減速機２を介して連結
され、主電動機１の回転運動を直線運動に変換する駆動
機構３とで電動サーボモータユニット15を構成してい
る。駆動機構３には接続リンク４が接続され、さらに接
続リンク４の他端にはゲートアーム５が回動自在に連結
されている。

【０００３】また、ゲートアーム５は支承部６に回動自
在に取着され、かつ２本の駆動リンク８でガイドリング
７と連結されている。さらにガイドリング７には複数本
の操作リンク９が回動自在に取着され、この操作リンク
９の他端はガイドベーン10に連結されている。また、ガ
イドアーム５にはシリンダーリンク11が回動自在に連結
され、シリンダーリンク11の他端には流体シリンダー12
が連結されていると共に、この流体シリンダー12には電
磁導13を介して圧力源であるアキュムレータ14が接続さ
れている。

【０００４】上記の様な構成の電動サーボモータ装置に
おいて、通常運転時は電動サーボモータユニット15で、
接続リンク４、ゲートアーム５および駆動リンク８を介
してガイドリング７を回動させ、操作リンク９を介して
ガイドベーン10を開閉操作する。一方、主電動機１の断
線等の故障や電源喪失等の不測の事態によって、主電動
機１での駆動が不能になった場合には、電磁導13を切替
えて、アキュムレータ14から高圧流体を流体シリンダー
12に供給し、シリンダーリンク11、ゲートアーム５およ
び駆動リンク８を介してガイドリング７を回動させ、操
作リンク９を介してガイドベーン10を強制的に閉口す
る。

【０００５】また、図４は他の従来例を示す構成図で、
ガイドベーン10が閉方向になるように、ゲートアーム５
又はガイドリング７に重錘16を懸垂しておくことによ
り、上記した不具合発生時でもガイドベーン10を強制的
に閉口する事ができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た電動サーボモータ装置においては、流体シリンダ12お
よび電磁導13等可動部を有する部品や、アキュムレータ
14等の多くの構成部品からなり複雑で、かつアキュムレ
ータ14の保守が必要である。さらにアキュムレータ14の
圧力低下や、前記した可動部のカジリや固着等に起因す
る動作不良で、主電動機１に不具合が発生した際に充分
に機能しない等の問題点を有している。また、図４に示
す重錘16を備えた装置では、常に重錘16の負荷があるの
で、ガイドベーン10を開口操作する時には、ガイドベー
ン10自体の開口操作力にこの重錘16の負荷を加えた容量
が必要になる。したがって電動サーボモータユニット15
は勿論、接続リンク４やガイドリング７の耐荷重容量が
大きくなる欠点があった。もしも、ガイドベーン10の閉
口操作が不能になった場合には、水力機械の過回転数に
よる水路破損や、水力機械に直結された発電機関係の電
気事故ならびに、水力機械や発電機等の回転体の破損な
どの重大事故に発展する恐れがある。

【０００７】そこで、本発明は上記した問題点を解決す
るためになされたもので、主電動機の故障や電源喪失等
の不測の事態が発生しても、確実にガイドベーンを閉口
できる、構造が簡単で、かつ保守性、信頼性に優れた水
力機械の電動サーボモータ装置を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に対応する発明は、主電動機を駆動源と
し、この主電動機と、減速機を介して連結された駆動機
構とから成る電動サーボモータユニットで、水車、ポン
プ、ポンプ水車等の水力機械の流量調節手段であるガイ
ドベーン等を開閉操作する電動サーボモータ装置におい
て、前記電動サーボモータユニットを構成する減速機の
入力軸側に保護用電動機を連結し、かつこの保護用電動
機の電源を、前記主電動機の電源と異なる非常電源に接
続したものである。

【０００９】請求項２に対応する発明は、請求項１記載
の水力機械の電動サーボモータ装置において、保護用電
動機と減速機との間に、連結切離しが自在で、かつ主電
動機電駆動が不能になった時に連結するクラッチを設け
たものである。

【００１０】請求項３に対応する発明は、請求項２記載
の水力機械の電動サーボモータ装置において、主電動機
と減速機との間に、連結切離しが自在で、かつ主電動機
での駆動が不能になった時に切離す第２のクラッチを設
けたものである。

【００１１】

【作用】請求項１および請求項２に対応する発明によれ
ば通常運転時は主電動機を駆動させることにより、ガイ
ドベーン等の流量調節手段の開閉操作を問題なく確実に
行う事ができる。一方、主電動機の断線等の故障や電源
喪失等の不測の事態によって、主電動機での駆動が不能
になった場合には、クラッチを連結し、バッテリ等の非
常電源に接続された保護用電動機に電源を投入すること
により電動サーボモータユニット等を介してガイドベー
ンを強制的に閉口できる。

【００１２】また請求項３に対応する発明によれば、主
電動機と減速機とを切離す事ができるので、主電動機の
断線等の故障や電源喪失以外の回転不能、例えば軸受の
焼付きや、回転子と固定子との固着等の不測の事態が発
生しても保護用電動機でガイドベーンを閉口できる。

【００１３】

【実施例】以下本発明による水力機械の電動サーボモー
タ装置の一実施例について図１を用いて説明する。図中
１は駆動源である主電動機であり、この主電動機１と、
減速機２を介して連結され、主電動機１の回転運動を直
線運動に変換する駆動機構３とで電動サーボモータユニ
ット15を構成している。駆動機構３には接続リンク４が
接続され、さらに接続リンク４の他端にはゲートアーム
５が回動自在に連結されている。またゲートアーム５は
支承部６に回動自在に取着され、かつ２本の駆動リンク
８でガイドリング７と連結されている。さらにガイドリ
ング７には複数の操作リンク９が回転自在に取着され、
この操作リンク９の他端はガイドベーン10に連結されて
いる。一方減速機２の入力軸側にはクラッチ17が装着さ
れ、このクラッチ17を介して第２の減速機18が連結さ
れ、この第２の減速機18の入力軸に保護用電動機19が連
結されている。さらに、この保護用電動機19の電源は、
前記の主電動機１の電源とは異なる非常電源20例えばバ
ッテリー等の無停電電源に開閉器21を介して接続されて
いる。また22は制御器で、主電動機１の故障や主電動機
１の電源喪失およびクラッチ17の連結切離し等の信号に
対応して開閉部21を開閉制御するものである。

【００１４】なお、クラッチ17としては電磁クラッチ又
はカムクラッチ等の機械クラッチが使用できるが、制御
が容易な電磁クラッチの使用が望ましい。次に上記の様
に構成された実施例の作用効果について説明する。

【００１５】通常運転時には、主電動機１を駆動するこ
とにより、駆動機構３によって主電動機１の回転運動は
直線運動に変換され、駆動機構３に連結された、接続リ
ンク４、ゲートアーム５、駆動リンク８、ガイドリング
７および操作リンク９を介してガイドベーン10を開閉操
作する。なお、この時クラッチ17は連結しておいても、
切離しておいても良いが、誤操作防止から切離しておい
た方が望ましい。一方、主電動機１の断線等の故障や電
源喪失等の不測の事態によって、主電動機での駆動が不
能になった場合には、この信号を制御器22で受けて、ま
ずクラッチ17を連結し、非常電源20に接続された保護用
電動機19に電源を投入する事により、第２の減速機18、
クラッチ17を介して電動サーボモータユニット15を駆動
し、ガイドベーン10を強制的に開口する。

【００１６】なお、上記の不測の事態での動作はガイド
ベーン10の閉方向動作であるため、駆動荷重は小さくさ
らに第２の減速機を有しているので保護用電動機19の容
量は小さくてよく、したがって非常電源20の容量も小さ
くできる。

【００１７】このように、本実施例によれば、高圧流体
を用いる必要もなく、構造が簡単で保守性に優れ、かつ
不測の事態でも確実にガイドベーンを閉口できる。ま
た、調整試験時には手動操作用としても使用可能であ
り、労力削減にも寄与できる。

【００１８】図２は本発明の他の実施例を示す構成図
で、主電動機１と減速機２との間に第２のクラッチ23を
装着したものである。この様な構成にすることにより、
上記した不測の事態が発生し保護用電動機１で駆動する
場合には、第２のクラッチ23を切離す事ができるので、
保護用電動機１の負荷をさらに小さくできると共に、主
電動機１の断線等の故障や電源喪失以外の回転不能、例
えば軸受の焼付きや、回転子と固定子との固着等の不測
の事態が発生しても保護用電動機19で確実に駆動できる
ので、さらに信頼性を向上させる事ができる。なお、本
発明は上記した実施例に限定するものではなく、保護用
電動機19の取付位置や連結手段は適宜変更可能である。
例えば主電動機１の出力軸側に、チェーンやベルト等の
動力伝達部材を介して保護用電動機19を並設してもよ
い。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、主
電動機の故障や電源喪失等の不測の事態が発生しても、
確実にガイドベーンを閉口できる、構造の簡素化や保守
性および信頼性に優れた水力機械の電動サーボモータ装
置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の水力機械の電動サーボモータ装置の一
実施例を示す構成図。

【図２】本発明の他の実施例を示す構成図。

【図３】従来の水力機械の電動サーボモータ装置の一例
を示す構成図。

【図４】従来の他の一例を示す構成図。

【符号の説明】

１…主電動機 ２…減速機 ３…駆動機構 10…ガイドベーン 15…電動サーボモータユニット 17…クラッチ 18…第２の減速機 19…保護用電動機 20…非常電源 21…開閉器 22…制御器 23…第２のクラッ
チ 24…手動ハンドル

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水車、ポンプ、ポンプ水車等の水力機械
   の流量調節手段であるガイドベーン等を開閉操作する電
   動サーボモータ装置であって、駆動源である主電動機
   と、この主電動機に減速機を介して連結された駆動機構
   とから成る電動サーボモータユニットで、前記ガイドベ
   ーンを開閉操作するように構成したものにおいて、前記
   減速機の入力軸側に保護用電動機を連結し、かつ、この
   保護用電動機の電源を、前記主電動機の電源と異なる非
   常電源に接続した事を特徴とする水力機械の電動サーボ
   モータ装置。
2. 【請求項２】 保護用電動機と減速機との間に、連結切
   離しが自在で、かつ主電動機での駆動が不能になった時
   に連結するクラッチを設けた事を特徴とする請求項１記
   載の水力機械の電動サーボモータ装置。
3. 【請求項３】 主電動機と減速機との間に、連結切離し
   が自在で、かつ主電源機での駆動が不能になった時に切
   離す第２のクラッチを設けた事を特徴とする請求項２記
   載の水力機械の電動サーボモータ装置。