JPH08187621A - 放電加工方法 - Google Patents

放電加工方法

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JPH08187621A
JPH08187621A JP220095A JP220095A JPH08187621A JP H08187621 A JPH08187621 A JP H08187621A JP 220095 A JP220095 A JP 220095A JP 220095 A JP220095 A JP 220095A JP H08187621 A JPH08187621 A JP H08187621A
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 放電加工中にその加工くず及び気泡等を排除
することができると共に、放電を安定して継続すること
ができ、迅速な放電加工と安定な放電加工とを両立させ
た放電加工方法を提供する。 【構成】 放電加工用電極20は、加工液中で被加工物
10と対峙し、被加工物との間に電圧を印加することに
より、放電を生じて被加工物を加工する。この放電加工
用電極20において、その電極先端部11には、被加工
物10の加工面に平行でない方向に延びる貫通孔12が
設けられている。この貫通孔12の断面積は0.2乃至
200mm2であり、20乃至80%の開口率で設けら
れている。この電極先端部11はグラファイト又はガラ
ス状カーボンハニカム等を使用することができる。この
放電加工用電極を被加工物の加工面に平行に往復移動さ
せることにより型彫り加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は型彫り放電加工等の放電
加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放電加工法は、火花放電によって生じる
クレータ状の放電痕の累積によって所定の形状を加工す
る方法であり、金型等の精密加工に広く使用されてい
る。
【0003】図3は放電加工装置を示す模式図である
(金属1989年6月号第74乃至79頁)。容器1内
に絶縁液体等の加工液3が貯留されており、容器底部に
は、被加工物2が載置されている。そして、容器上方に
は、電極昇降装置5が設置されていて、サーボ機構によ
りそのプランジャ6の下端に取り付けた電極4を昇降及
び下降駆動するようになっている。この電極4と被加工
物2との間には電源7が接続されている。電極4は銅又
はグラファイト等の軟らかい材料により形成されてお
り、鉄又はニューセラミックス等の硬い材料からなる被
加工物2と電極4との間にパルス状の電圧を印加する
と、放電パルス電流が両者間に流れて加工が進行する。
これにより、電極の形状が狭い極間距離を隔てて被加工
物2に転写される。この型彫り放電加工は、金型等の精
密加工に広く利用されており、切削加工及び研削加工と
異なり、材料の硬さに依存せずに精密加工が可能である
という利点を有する。
【0004】しかし、この型彫り放電加工法において
は、電極4と被加工物2との間に発生する加工くず及び
気泡が放電を不安定にするため、これらを放電過程の途
中で排除する必要があるという難点がある。そこで、図
4に示す噴流法、図5に示す吸引法及び図6に示す噴射
法等の種々の方法で加工液3を流すことにより、加工く
ず及び気泡を被加工物と電極との間から排除することが
提案されている。
【0005】図4(a)においては、電極4の中央部に
液通流孔4aを設け、この孔4aを介して加工液3を被
加工物2に向けて流す。孔4aから出た加工液3の流れ
は被加工物2の表面中央部に突き当たった後、その表面
に沿って周辺部に流れる。この加工液流により電極4と
被加工物2との間に存在する加工くず及び気泡が流し取
られる。
【0006】また、図4(b)においては、被加工物2
の下面にハウジング8を設置し、被加工物2の加工部に
液通流孔2aを形成し、ハウジング8から孔2aを介し
て加工液3を電極4の下面に向けて供給し、電極下面の
中央部から周辺部に流れる加工液3の流れを形成する。
この加工液流により加工くず及び気泡を排出する。
【0007】図5(a)においては、ハウジング8内に
加工液3を吸引することにより、電極4の中央の液通流
孔4aと、電極の周辺部とを介して、加工液3が被加工
物2の孔2aによりハウジング8内に流れ込む。
【0008】図5(b)においては、電極4に孔が形成
されていない点が図5(a)の場合と異なるが、同様
に、ハウジング8内に加工液3を吸引することにより、
電極4と被加工物2との間の加工くず等を排除する。
【0009】図5(c)においては、電極4の孔4aを
介して加工液3を上方に吸引することにより、加工液3
が電極周辺部から電極下端に回り込み、電極4と被加工
物2との間を電極中央部に流れ、電極中央部に設けられ
た孔4aを上方に通流する。
【0010】図6の噴射法は、電極4の下端近傍に噴射
ノズル9を設け、この噴射ノズル9により加工液を電極
4と被加工物2との間に噴射することにより、加工液3
を被加工物2の表面に沿って流し、これにより加工くず
及び気泡を排除する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来の加工くず及び気泡の除去方法においては、いずれ
も火花放電の方向と垂直の方向に加工液を流すことによ
り、加工くず及び気泡を除去している。この従来方法の
ように、火花放電の方向と垂直の方向に加工液を流す
と、火花放電の進行にブレを生じさせるものとなり、火
花放電を不安定にしてしまうという問題点がある。ま
た、液圧によっては、電極の消耗が激しくなったり、局
部的に異常放電が発生する虞があるなど、液圧調整には
熟練を必要とする。更に、従来方法においては、加工液
の偏流及びよどみ等について、何等考慮されておらず、
このため、加工液の偏流及びよどみにより放電の不安定
が生じるという欠点もある。
【0012】従来、放電加工中に加工くず及び気泡を排
除しようとすると、このような問題点が生じるので、通
常、加工くず及び気泡の排除には、放電を一旦停止し、
電極ジャンプといわれる操作を行う。即ち、放電を一旦
停止した後、電極を上昇させ、加工くず及び気泡を取り
除いた後、再度電極を設置して放電を再開する。
【0013】このような電極ジャンプの操作のために、
放電を一旦停止する時間が必要であり、このため、加工
生産性を著しく阻害することとなっていた。実際上、実
放電時間は全体の加工時間の中の30乃至50%であ
り、放電加工工程は、実際の放電時間の倍以上の時間を
費やしている。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、放電加工中にその加工くず及び気泡等を排
除することができると共に、放電を安定して継続するこ
とができ、迅速な放電加工と安定な放電加工とを両立さ
せた放電加工方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る放電加工方
法は、被加工面物の加工面に実質的に垂直に延びる複数
の貫通孔を有する電極を加工液中で被加工物と対峙さ
せ、被加工物との間に電圧を印加すると共に、前記電極
を前記加工面に平行に揺動させ、前記貫通孔を介して前
記加工液を連続的に循環させることを特徴とする。
【0016】なお、前記貫通孔の断面積は200mm2
以下であり、前記電極はこの貫通孔を20乃至80%の
開口率で形成したものであることが好ましい。この開口
率は、貫通孔の延長方向に垂直の方向の電極断面積に対
する貫通孔の断面積の総和である。
【0017】この場合に、前記貫通孔の断面積は、0.
2mm2以上であることが好ましい。また、前記放電加
工用電極はグラファイトを80%以上含有することが好
ましい。このグラファイトは粒子状をなし、固有電気抵
抗が0.1Ω・cm以下の物質で前記グラファイト粒子
を結合させて構成することができる。前記固有抵抗が
0.1Ω・cm以下の物質は、ガラス状カーボンとする
ことができる。
【0018】一方、本発明に係る放電加工方法は、その
先端部が20乃至80%の開口率で開口する貫通孔を備
えた放電加工用電極をその貫通孔の延長方向を被加工物
の加工面に平行でない方向にして前記被加工物に対峙さ
せ、加工液を前記貫通孔を介して通流させると共に、前
記被加工物と前記放電加工用電極との間に電圧を印加す
ることを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明においては、電極先端部に断面積が20
0mm2以下の微細な多数の貫通孔を電極断面積の20
乃至80%の開口率で形成してある。そこで、この貫通
孔を介して加工液を被加工物に向けて供給し、又は被加
工物側から加工液を吸引する。そうすると、加工液は従
来のように電極先端で被加工物の表面に沿う方向に流れ
る大きな流れとはならず、電極先端から被加工物に向か
う微細な流れ、即ち被加工物の表面に垂直の微細流が形
成される。このため、電極先端と被加工物との間に形成
されている放電は乱されず、安定した放電が継続され
る。また、電極と被加工物との間に生成した加工くず及
び気泡は、前記微細流により運び去られ、この部分に堆
積することはない。
【0020】そして、本発明においては、この電極を加
工面に沿って揺動させる。即ち、電極を加工面に平行に
往復移動させつつ、被加工物を彫っていく。このため、
見かけ上の電極の断面積は大きくなることで、加工速度
は大きくなり、加工時間を短縮することが可能となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について、添付の図面
を参照して具体的に説明する。図1は本発明の実施例に
係る放電加工方法を示す模式図である。被加工物10の
上方に、本実施例の放電加工用電極20が被加工物10
に対峙するようにして配設されている。この放電加工用
電極20はその電極本体13の下端に電極先端部11が
取り付けられた構造を有する。電極本体13はその下端
部が底部が開口した箱状をなしてハウジング14を構成
している。このハウジング14の下端開口部に電極先端
部11が嵌合され、導電接着剤等により電極先端部11
が電極本体13に固定されている。これにより、ハウジ
ング14及び電極先端部11に囲まれた空間が形成され
ている。ハウジング14の側壁には、加工液の通流のた
めの孔15が形成されている。
【0022】電極先端部11はハニカム成形体のよう
に、多数の微細な貫通孔12を有する導電性材料で構成
されている。そして、孔12は一方向に延びる貫通孔で
あり、この孔12の延長方向が被加工物10の表面に垂
直になるように電極先端部11が配設されている。
【0023】次に、このように構成された放電加工用電
極20の動作について説明する。電極20及び被加工物
10を容器(図示せず)内に配置し、容器内の加工液中
に浸漬する。そして、電極本体13の孔15を介して、
図1中矢印にて示す方向に加工液をハウジング14内に
送給する。そうすると、加工液はハウジング14内に一
旦充填された後、電極先端部11の微細な多数の孔12
内に進入し、この孔12を通流して電極先端部11の下
面から被加工物10の表面に向けて流れる。電極先端部
11と被加工物10との間では、加工液流は被加工物1
0の表面に垂直となり、被加工物10の表面で流れ方向
を変えて電極先端部11の周辺部へと流れていく。本実
施例においては、この加工液流の流れは電極表面から被
加工物10の近傍まで垂直流となっており、しかも電極
表面全体から流れ出てくるものとなっている。このた
め、火花放電が不安定になることはない。そして、加工
くず及び気泡は、この電極表面の全体から流れ出てくる
加工液の流れにのって、電極20と被加工物10との間
の領域から排出される。
【0024】図2は本発明の他の実施例を示す模式図で
ある。本実施例においては、加工液をハウジング14の
孔15から吸引することにより、被加工物10の表面か
らハウジング14内に抜ける加工液の流れを形成する。
即ち、加工液は電極先端部11の周辺部から電極20と
被加工物10との間の隙間に入り、電極先端部11の孔
12を上方に通流してハウジング14内に一旦入り、そ
の孔15を介して容器内に排出される。本実施例におい
ても、電極表面と被加工物10との間で加工液は電極表
面に垂直の流れとなる。このため、火花放電が乱れるこ
となく、加工くず及び気泡を排除することができる。
【0025】本発明においては、電極先端部11に設け
る貫通孔12の方向は必ずしも被加工物10の表面に垂
直である必要はない。貫通孔12は被加工物表面に対し
て傾斜していても良く、被加工物表面に平行でなければ
よい。
【0026】また、放電加工中に電極20を被加工物1
0の表面に沿って移動させることにより、被加工物10
の表面の広範な領域を加工することができ、被加工物1
0を任意の形状に加工することができる。
【0027】この貫通孔12の開口率、即ち、貫通孔1
2に垂直の電極断面の断面積に対する貫通孔の断面積の
総和の比は、20乃至80%であることが必要である。
開口率が20%未満であると、電極表面の全体から加工
液が流れ出てくる状態、又は電極表面の全域に均一に加
工液が吸引されていく状態にすることができず、火花放
電を安定して連続的に形成することができなくなる。ま
た、開口率が20%未満であると、加工くず及び気泡の
除去が不十分になる。一方、開口率が80%を超える
と、電極の消耗が激しくなると共に、加工中の電極移動
が困難となり、操作が煩雑となる。
【0028】また、貫通孔12の断面積は200mm2
以下であることが必要である。電極先端部11が孔断面
積が200mm2を超えるような大きな孔を有する場合
は、電極と被加工物との間に加工流の大きな流れが形成
され、火花放電を安定して継続することができなくな
る。また、この貫通孔12の断面積は0.2mm2以上
とすることが好ましい。貫通孔12の断面積が0.2m
2未満であると、加工くずにより目詰まりが生じる虞
がある。
【0029】更に、電極先端部はグラファイトが80%
以上含有されている材料により形成することが好まし
い。電極先端部におけるグラファイトの含有率が80%
未満の場合、固有電気抵抗が大きくなり、電極そのもの
が発熱体となるため、物理的強度が低下し、加工性が低
下する。
【0030】また、このグラファイトを含む電極は、グ
ラファイト粒子を固有電気抵抗が0.1Ω・cm以下の
物質で結合させることにより形成することができる。こ
の結合物質としては、ガラス状カーボンがある。この固
有電気抵抗が0.1Ω・cmを超えると、電極自体の固
有電気抵抗が大きくなり、加工速度が低下する。また、
このように粒子を結合することにより形成することによ
って、CIP等の特殊装置を使用することなく、押出成
形等の簡易な成形方法で高強度な電極を製造することが
できる。
【0031】更に、付言すれば、グラファイト100%
の電極を製造するには本来2000℃以上の高温が必要
であるが、グラファイト粒子をこのような結合剤で固結
する場合は、1300℃以下の温度で固結することが可
能となる。例えば、フェノール樹脂等を押出成形時に結
合剤として投入すれば、1200℃の焼成によってフェ
ノール樹脂がガラス状カーボンとなり、高強度の電極が
得られる。
【0032】なお、貫通孔12の断面形状は、ハニカム
形状の他に、丸及び四角等、種々の形状にすることがで
きる。また、この電極先端部11は押出方法又はプレス
成形等、種々の方法で製造することができる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電極先端部に被加工物の表面に平行でない方向に延びる
貫通孔を設け、この貫通孔を介して加工液の流れを形成
するから、電極と被加工物との間に形成される火花放電
を乱すことなく、加工くず及び気泡を加工液流により除
去することができ、安定した火花放電を連続的に形成す
ることができる。また、電極を加工面に平行に往復移動
させるので、見かけ上の電極の断面積は大きくなり、加
工速度が速くなるので、加工時間を短縮することが可能
となる。このため、本発明は、従来の電極ジャンプによ
り加工くず及び気泡を除去する場合に比して放電加工処
理に要する時間を著しく短縮することができる。また、
本発明は従来の噴流法、吸引法及び噴射法により加工く
ず及び気泡を排除する場合と異なり、火花放電が不安定
になることがなく、また、その設定に熟練を要すること
もない。このように、本発明によれば、迅速に且つ容易
に被加工物を高精度で放電加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す模式図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す模式図である。
【図3】型彫り放電加工法を説明する図である。
【図4】従来の噴流法による加工くず及び気泡の排除方
法を説明する模式図である。
【図5】従来の吸引法による加工くず及び気泡の排除方
法を説明する模式図である。
【図6】従来の噴射法による加工くず及び気泡の除去方
法を説明する模式図である。
【符号の説明】
2、10;被加工物 3;加工液 4;電極 7;電源 9;ノズル 11;電極先端部 12;貫通孔 13;電極本体 14;ハウジング 15;孔 20;電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松永 智彦 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工面物の加工面に実質的に垂直に延
    びる複数の貫通孔を有する電極を加工液中で被加工物と
    対峙させ、被加工物との間に電圧を印加すると共に、前
    記電極を前記加工面に平行に揺動させ、前記貫通孔を介
    して前記加工液を連続的に循環させることを特徴とする
    放電加工方法。
  2. 【請求項2】 前記貫通孔の断面積は200mm2以下
    であり、前記電極はこの貫通孔を20乃至80%の開口
    率で形成したことを特徴とする請求項1に記載の放電加
    工方法。
  3. 【請求項3】 前記貫通孔の断面積は、0.2mm2
    上であることを特徴とする請求項1に記載の放電加工方
    法。
  4. 【請求項4】 前記電極はグラファイトを80%以上含
    有することを特徴とする請求項2又は3に記載の放電加
    工方法。
  5. 【請求項5】 前記電極は固有電気抵抗が0.1Ω・c
    m以下の物質でグラファイト粒子を結合させて構成され
    ていることを特徴とする請求項4に記載の放電加工用電
    極。
  6. 【請求項6】 前記固有電気抵抗が0.1Ω・cm以下
    の物質がガラス状カーボンであることを特徴とする請求
    項5に記載の放電加工用電極。
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