JPH08187097A - Rnaウィルスのプラス鎖又はマイナス鎖遺伝子の特異的検出方法 - Google Patents

Rnaウィルスのプラス鎖又はマイナス鎖遺伝子の特異的検出方法

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JPH08187097A
JPH08187097A JP6338535A JP33853594A JPH08187097A JP H08187097 A JPH08187097 A JP H08187097A JP 6338535 A JP6338535 A JP 6338535A JP 33853594 A JP33853594 A JP 33853594A JP H08187097 A JPH08187097 A JP H08187097A
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rna
strand
primer
reaction
temperature
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JP6338535A
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Kenjiro Yamaguchi
健次郎 山口
Yuka Matsunaga
有加 松永
Toyoji Fukutani
豊治 福谷
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Tonen General Sekiyu KK
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Tonen Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 RNAウィルスプラス鎖又はマイナス鎖を特
異的に検出することを提供する。 【構成】 本質的に、検体からのRNAの回収、cDN
A合成、PCR反応、PCR産物の分析からなるRNA
ウィルスマイナス鎖又はプラス鎖遺伝子の特異的検出方
法において、cDNA合成を、HCVマイナス鎖又はプ
ラス鎖遺伝子にハイブリダイズ可能な少なくとも15塩
基数のそれぞれセンスプライマー又はアンチセンスプラ
イマーの存在下、該プライマーの相補的配列以外の配列
への結合を阻止する温度に反応溶液を反応開始まで保持
し、かつ逆転写酵素の酵素活性を損わない温度で実施す
ることを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、RNAウィルス、特に
C型肝炎ウィルス(またはHCV とも称する)のプラス鎖
又はマイナス鎖をポリメラーゼ連鎖反応(PCR )で特異
的に増幅し、生物学的検体中でのウィルスの存在又は複
製を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】HCV は血液伝搬性の非A 非B 型肝炎の大
部分及び散発性非A 非B 型肝炎の半分以上の原因ウィル
スであるが、1988年カイロン社のHoughton等によってそ
の遺伝子の一部がクローニングされ(Choo, Q-L. et a
l., 1989, Science 244:359-362)ウィルスの蛋白など
の性質より、ウィルス遺伝子としての性質が明らかにな
った特異なウィルスである。
【0003】HCV の遺伝子はおよそ9400塩基からなる1
本鎖のプラス鎖のRNA ウィルスであり、その遺伝子構造
の類似性から黄熱病などのフラビウィルスあるいはペス
チウィルスに近縁のウィルスと考えられている(Mille
r, R. H. et.al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
87:2057-2061、Choo. Q-L. et al., 1991, Proc.Natl.
Acad. Sci. USA, 88, 2451-2455 )。HCV のゲノムは
プラス鎖のRNA のため、ウィルスが体内やあるいは感染
細胞内で増殖する場合にはプラス鎖のゲノムのRNA に相
補的なマイナス鎖のRNA を使ってゲノムのプラス鎖のRN
A を合成し、ウィルス粒子を形成していると推定される
(Cleaves G. R. et al., 1981, Virology, 111: 73-8
3、Rice, C. M. et al., 1985, Science, 229:726-73
3)。このHCVのゲノムのプラス鎖RNA を検出する方法は
アンチセンスプライマーでウィルスのプラス鎖RNA より
cDNAを合成し、その後ポリメラーゼ連鎖反応(PCR )法
を行い検出するもので、ウィルスゲノムを検出すること
により、ウィルス粒子そのものの存在を示すものであ
る。HCV は体内のウィルス量が少ないと考えられてお
り、ウィルス抗原を検出するシステムの開発が困難であ
ったためその代替法として、ウィルスの検出法として汎
用されてきている。
【0004】一方、マイナス鎖RNA を検出する方法はウ
ィルスの複製あるいは増殖を示すものであるが、最近プ
ラス鎖、マイナス鎖それぞれのRNA を特異的に検出する
方法が報告された(Fong,T.-L. et. al.,1991, J. Cli
n. Invest.,88:1058-1060、Takehara, T. et. al. ,199
2, Hepatology, 15:387-390)。これらの方法はプラス
鎖を検出する場合にはアンチセンスプライマーでcDNAの
合成を行い、その後PCRで検出する。一方、マイナス鎖
を検出する場合には、センスプライマーでcDNAの合成を
行い、その後同様にPCR で検出するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のプラス鎖、マイ
ナス鎖それぞれに特異的なRNA 検出の方法は図1の A、
B に示す原理に基づいている。たとえば、マイナス鎖を
検出する場合(図1のB)はこのマイナス鎖RNA の一部
に相補的な特異配列を持つセンスのオリゴヌクレオチド
プライマーの結合によってcDNA合成を行い、その後この
cDNAをテンプレートとしてPCR を行い検出する。この場
合このセンスのオリゴヌクレオチドプライマーはマイナ
ス鎖の配列に特異的に結合するため、もし検体の中にプ
ラス鎖のRNA が混在していても、その配列には結合しな
いため、プラス鎖のRNA からはcDNAが合成されないはず
である。一般的にプライマーとRNAのハイブリダイゼ
ーション(プライマーと核酸の結合の場合はアニーリン
グ、あるいは相補的DNA鎖の二本鎖形成過程と考える
場合はリアソシエーション)に影響を及ぼす因子は温
度、塩濃度、塩基形成対の誤り、DNA断片の長さ、多
様性などがある。また形成された二本鎖核酸の安定性は
融解温度Tm値(50%融解を起こす温度)で表わされ
るが、これに影響を及ぼす因子は塩濃度、塩基組成、ホ
ルムアミド、塩基対形成の誤り、断片の長さ、pHなど
に左右される。塩基対形成以外の条件が同じ場合に、T
m値はプライマーとRNAが50%融解を起こす温度で
あると考えると、プライマーとRNAの塩基配列が異な
るとTm値は低くなりハイブリダイズしなくなると考え
てよい。ところが、逆にハイブリダイズの温度が非常に
低くなるとTm値が低いものでもハイブリダイズする事
になる。cDNA合成を行う場合、最初にプライマーとRN
Aの結合が起こり、次いで逆転写酵素(RTase )による
cDNAの合成が始まる。この逆転写酵素としていくつ
かの種類のものが利用可能であるが、これらは酵素であ
るため至適温度、至適pH、至適塩濃度の範囲が決まって
いる。ほとんどのRTase の場合至適温度は 37-42℃、至
適pHは7.5-8.5、至適塩濃度はKCl で50-100mM程度と考
えられる。これらの条件はTTase によって規定されるた
めDNA配列の結合のために変更することは難しい。ま
たこれらの条件は核酸の結合の条件としては比較的甘い
条件だと考えられるため、RNA とオリゴヌクレオチドプ
ライマーが結合した場合、特異的な結合も起こるが、非
特異的な結合も十分起こりうる。つまり、図1のC に示
すようにマイナス鎖を検出する系にプラス鎖のRNA が混
在していた場合、センスのオリゴヌクレオチドプライマ
ーの3'末端の数塩基がプラス鎖のRNA と結合すると、cD
NA合成が開始されてしまう。合成が進むとRNA とプライ
マーから伸長したcDNAの結合は強くなりさらにcDNAの合
成が進む。さらにはcDNA合成後の検出は高感度のPCR 法
で行うため、このわずかなプラス鎖から合成された非特
異的cDNAでも検出可能であり、cDNAができてしまえばそ
れが非特異的なプラス鎖から合成されたものか、特異的
なマイナス鎖から合成されたものか判定できなくなる。
これらのことは後述の参考例3の実験で実際にプラス鎖
のみしか存在しない検体中からマイナス鎖の検出におい
てPCR の産物が検出されることからも明らかである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
めに鋭意検討した結果、本発明者等はRNAウィルスの
プラス鎖あるいはマイナス鎖に特異的なオリゴヌクレオ
チドプライマーとRNAの結合の特異性を上昇させ、プラ
ス鎖、マイナス鎖それぞれに特異的な検出方法を見出し
た。
【0007】すなわち、本願発明は、検体中のRNAウ
ィルスマイナス鎖又はプラス鎖遺伝子を特異的に検出す
る方法を提供する。この方法は、検体からRNAを回収
し、逆転写酵素、及び、該RNAウィルスマイナス鎖又
はプラス鎖遺伝子にハイブリダイゼーション可能な少な
くとも15塩基数のそれぞれセンスプライマー又はアン
チセンスプライマーの存在下、該プライマーの相補的配
列以外の配列への結合を阻止する温度に反応溶液を反応
開始まで保持し、かつ該逆転写酵素の酵素活性を損なわ
ない温度で、該RNA からcDNAを合成し、cDNAをPCR 反応
にかけてDNAを増幅し、PCR 産物を分析して該マイナ
ス鎖又はプラス鎖を検出するステップを包含する。
【0008】本発明方法は、C型肝炎ウィルス、AID
Sウィルス、成人T細胞白血病ウィルス等を含む全ての
RNAウィルスに適用できる。
【0009】本発明の方法は、cDNA合成時のオリゴヌク
レオチドプライマーの長さを長くしかつオリゴヌクレオ
チドプライマーとRNA の結合条件(特に、温度条件)を
厳しくし、かつcDNA合成の開始までの反応溶液をプ
ライマーがRNAの相補的配列以外の配列に結合するこ
とを阻止する温度に保持することによって、HCV マイナ
ス鎖又はプラス鎖を特異的に検出できることにその特徴
を有する。
【0010】図1に示したように、単にプラス鎖に結合
するアンチセンスプライマー又はマイナス鎖に結合する
センスプライマーをcDNA合成時に加え、反応を行わせる
だけでは非特異な合成も起こってしまうが、これは各プ
ラス鎖あるいはマイナス鎖に特異的に結合するプライマ
ーの3'末端がcDNAを合成する条件ではRNAと非特異的
に結合するためである。この非特異的結合を防ぐため
に、本発明者等は、まず第一に、RNA とオリゴヌクレオ
チドプライマーが混合されたときに非特異的結合が生起
しない条件として、使用するプライマーの3'末端が結合
しない比較的高い温度でcDNA合成を行うことが有効であ
ることを見出した。一般的にcDNA合成に用いられている
RTase は37-42 ℃に至適温度をもつが、この反応を、逆
転写酵素の酵素活性を損わない温度、通常45℃以上、
好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上で
行わせることにより特異的な結合のみを行わせて、非特
異的な結合を除くことができる。また、反応に使用する
酵素としてはSuper Script II R Nase H- 逆転写酵素
(BRL社)やその他の耐熱性の逆転写酵素が使用でき
る。また反応時の温度だけでなく、RNA とオリゴヌクレ
オチドプライマー及びRTase を混合させるまでの間、添
加すべき試薬溶液を上記に規定する温度に保つ場合に
は、さらに特異性が向上する。
【0011】第二に、cDNA合成に使用するセンス又はア
ンチセンスプライマーの塩基数を少なくとも15、好ま
しくは少なくとも20とすることによって、RNA とオリ
ゴヌクレオチドプライマーとの非特異的結合が抑制され
うることが判明した。
【0012】RNA とオリゴヌクレオチドプライマーの3'
側がわずかでも結合した状態でRTase が混在するとcDNA
合成が開始されてしまう。つまり溶液状態ではRNA とオ
リゴヌクレオチドプライマーは結合したり離れたりを繰
り返しているが、その結合状態でRTase が存在すると合
成が開始し、合成が開始するとcDNAが長くなりRNA との
結合が強くなり、さらにcDNAが伸長する。実際、cDNAを
合成する際には特異的なオリゴヌクレオチドプライマー
を使用する代わりにランダムプライマー(6塩基程度)
を用いる方法があるが、この方法でも十分なcDNA合成が
起こることが確認されている。これは37℃あるいはそ
れ以下の温度で反応溶液を保持し、その後37℃あるい
は42℃で反応を行わせるとランダムプライマーがその
温度条件でRNAとランダムに結合し、cDNA合成が
開始され、十分な長さのcDNAが合成されるからであ
る。つまり特異的なプライマーを用いてもこのランダム
プライマーを用いるのと非常に似た状況が起きうる。オ
リゴヌクレオチドプライマーの 3′末端がRNA と結合す
ることを防ぐために、cDNA合成が開始する前に反応
溶液をプライマーがRNAの相補的配列以外の配列に結
合することを阻止できる温度に保持し、さらには上記に
規定する塩基数のプライマーの使用が有効であることを
見出した。
【0013】さらに、非特異反応がなく、特異的で感度
のよい任意のプライマーを使用するのが好ましい。この
ようなプライマーの具体例として、HCVの場合下記の
ものが挙げられる。
【0014】マイナス鎖検出用センスプライマー: S−1:5′−CTGTCTTCACGCAGAAAG
CG−3′ T−25:5′−CACTCCCCTGTGAGGAAC
TACTGTC−3′ T−31:5′−T[GまたはA][GまたはA]ATC
ACTCCCCTGTGAGGAACTACTGTCT
−3′、及び KK25:5′−CTGTCTTCACGCAGAAAG
CGTCTAG−3′。
【0015】プラス鎖検出用アンチセンスプライマー: AS−1:5′−CACTCGCAAGCACCCTA
TCA−3′ cDNA合成に使用されるプライマーは、HCV マイナス鎖又
はプラス鎖遺伝子の任意の配列にハイブリダイズ可能で
あればよく、特に上記例示のものには限定されない。好
ましくは、マイナス鎖検出用センスプライマーとしてT
−25を使用するのがよい。またプラス鎖検出用アンチセ
ンスプライマーとしてAS−1が好適に使用しうる。
【0016】さらに、cDNA合成の際には、上述の特定の
条件以外には、慣用の条件(例えばpH、逆転写酵素等)
を使用できる。特に、pHは逆転写酵素の至適pH、例えば
7.5〜8.5 を使用するのがよい。
【0017】本発明の方法は、基本的に、検体からのRN
A の回収、cDNA合成、PCR 反応及び分析の4ステップか
ら成るが、RNA 回収、PCR 反応及び分析は慣用手段で実
施される。すなわち、RNA 回収は、検体として動物組織
あるいは血清等を用いる場合にはグアニジン超遠心法、
NP40を用いた方法、AGPC法(細胞工学実験プロトコ
ール秀潤社1991 p24-p37)等の手順で行うことができ
る。PCR 反応は例えば文献PCRテクノロジーHenryA.E
rlich 編宝酒造に記載される手順で行うことができる。
PCR 反応で使用するプライマーとしては、例えばマイナ
ス鎖検出系の場合上記の種類のアンチセンスプライマ
ー、プラス鎖検出系の場合上記の種類のセンスプライマ
ーを使用することができるが、特にこれらに限定されな
い。また、増幅の程度に応じて二段階PCR を実施しても
よい。さらに、PCR 産物の分析は、アガロースゲル電気
泳動、酵素抗体法、キャピラリー電気泳動法等の手段で
行うことができる。検体としては、RNAウィルスに汚
染された組織(例えば肝臓)、血液(特に、血清)、そ
の他の生物学的材料等が好適に使用し得る。
【0018】
【実施例】以下実施例により、本発明のさらに詳細な説
明を行うが、本発明は実施例にのみ限定されるものでは
ない。
【0019】実施例1.合成マイナス鎖RNA からの特異的マイナス鎖検出 参考例2で合成したマイナス鎖RNA 及びプラス鎖RNA を
用いて特異的なRNA の検出を行った。
【0020】プラス鎖RNA あるいはマイナス鎖RNA を10
0ng/mlのtRNA(Amersham社)を含むジエチルピロカーボ
ネート処理した滅菌蒸留水で希釈し、それぞれ5000コピ
ー/5μl 、500 コピー/5μl 、50コピー/5μl 、5 コピ
ー/5μl 、0.5 コピー/5μl、となるようにする。このR
NA5μl をシリコン処理したチューブ(0.5ml )に入
れ、ジエチルピロカーボネート処理した滅菌蒸留水5 μ
l 加える。ミネラルオイル(シグマ社)を1 滴重層し、
パーキンエルマーシータス社のDNA Thermal cycler PJ2
000 にセットし、70℃で3 分間加熱後、55℃で保温す
る。これに5xRT buffer (250mM Tris-HCl (pH 8.3), 3
75mM KCl, 15mM MgCl2 ) 4μl 、100mM ジチオスレト
ール 2μl 、20mMdNTPs 1 μl 、RNase インヒビター
(宝酒造、160単位/ μl )0.25μl 、,SuperScript II
RNase H-逆転写酵素(BRL 社、200 単位/ μl )1 μl
、ジエチルピロカーボネイト処理した蒸留水 1.55 μl
を混合し、これにマイナス鎖を検出する系にはセンス
プライマーS-1 (5′-CTG TCT TCACGC AGA AAG CG -
3′、100pmol/μl) 0.2μl 、またはプラス鎖を検出す
る系にはアンチセンスプライマーAS-1(5′-CAC TCG CAA
GCA CCC TAT CA -3′、100pmol/μl) 0.2μl を加え、
55℃で保温したものを10μl 添加する。このまま55℃で
1 時間保持しcDNA合成を行う。酵素を失活させるため、
99℃で30分間加熱する。これをcDNAとして使用する。
【0021】cDNA合成を終わったチューブに10xPCRバッ
ファー(100mM Tris-HCl (pH 8.3),500mM KCl, 15mM M
gCl2 )10μl 、Taq DNA Polymerase (宝酒造、5 単位/
μl )0.5 μl を加え、マイナス鎖検出の系にはアン
チセンスプライマーAS-1(5′-CAC TCG CAA GCA CCC TAT
CA -3′、100pmol/μl ) 0.2μl をプラス鎖検出の系
にはセンスプライマーS-1 (5′-CTG TCT TCA CGC AGA A
AG CG -3′、100pmol/μl) 0.2μl を加え、滅菌蒸留水
で100 μl にする。撹拌後軽く遠心する。これをパーキ
ンエルマーシータス社のDNA Thermal cycler PJ2000 に
セットし第一段階目のPCR 反応を行った。反応のプロフ
ァイルはDNA 変性94℃、1.5 分、アニーリング55℃、1.
5 分、伸長反応72℃、1.5 分でこの反応を35サイクル繰
り返した。35サイクル終了後72℃で7 分間保持し、4 ℃
に冷却した。次に第二段階目のPCR を行うために、PCR
チューブに10xPCRバッファー5 μl 、 2mM dNTP 5 μl
、センスプライマーKM1 (5′-CGT TAG TAT GAG TGT CG
T GC -3′、100pmol/μl )0.2μl 、アンチセンスプラ
イマーKM2 (5′-AGG CAT TGA GCG GGT TTA TC -3′、10
0pmol/μl) 0.2μl 、 Taq DNA Polymerase (宝酒造、
5 単位/ μl )0.25μl 、滅菌蒸留水を37.5μl を分注
する。これに第一段階PCR 反応産物を2.5 μl 加え、ミ
ネラルオイルを1 滴重層し、撹拌後軽く遠心する。これ
をパーキンエルマーシータス社のDNA Thermal cycler P
J2000 にセットし第二段階目のPCR 反応を行った。反応
のプロファイルはDNA 変性94℃、1.5 分、アニーリング
55℃、1.5 分、伸長反応72℃、1.5 分でこの反応を30サ
イクル繰り返した。終了後72℃で7 分間保持し、4 ℃に
冷却した。
【0022】PCR 産物10μl をアガロース電気泳動す
る。アガロースは 1×TAE バッファー(40mM Tris-acet
ate, 1mM EDTA )にNuSieve 3:1 Agarose(FMC 社) を3%
になるように加え、調製した。電気泳動はmupid 電気泳
動槽(コスモバイオ社)を用いて行った。100V、約30分
電気泳動後、アガロースゲルをエチジュウムブロマイド
で染色し、紫外線下でポラロイドカメラで撮影を行っ
た。陽性の検体は132bp のバンドが検出される。
【0023】表1 に示すようにプラス鎖のRNA からはプ
ラス鎖を検出するプライマーAS1 で50コピー/reaction
までPCR によるシグナルが得られたが、マイナス鎖を検
出するプライマーS1では5000コピー/reaction でもシグ
ナルは検出されなかった。一方マイナス鎖のRNA からマ
イナス鎖を検出するプライマーS1では50コピー/reactio
n までシグナルが得られたが、プラス鎖を検出するプラ
イマーAS1 では5000コピー/reaction でも検出されなか
った。このことはこの検出系が各プラス鎖、及びマイナ
ス鎖に特異的な検出を行っていると考えられる。
【0024】
【表1】 実施例2オリゴヌクレオチドプライマーの選択 マイナス鎖の検出の検出限界(感度)をあげるために3
種類の25から31塩基のオリゴヌクレオチドセンスプライ
マーを使い、マイナス鎖の検出を試み、検出限界の上昇
を試みた。
【0025】実施例1と同様にマイナス鎖の合成DNA
を、それぞれ5000コピー/5μl 、500コピー/5μl 、50
コピー/5μl 、5 コピー/5μl 、0.5 コピー/5μl 、と
なるように100ng/mlのtRNA(Amersham社)を含むジエチ
ルピロカーボネート処理した滅菌蒸留水で希釈する。こ
のマイナス鎖RNA を実施例1の方法に従い、マイナス鎖
の検出を行う。この際、cDNA合成時のセンスプライマー
をS1からT25 (5′-CAC TCC CCT GTG AGG AAC TAC TGT C
-3′) に、あるいはT31 (5′-T[GまたはA][GまたはA] A
TC ACT CCC CTG TGA GGA ACT ACT GTC T-3′) に、ある
いはKK25(5′-CTGTCT TCA CGC AGA AAG CGT CTA G-3′)
の3 種類を用いて比較した。
【0026】結果は表2に示したが、T25 が5 コピー/r
eaction まで、T31 が50コピー/reactionまで、KK25が
500 コピー/reaction まで検出された。このことよりT2
5 がマイナス鎖を検出するプライマーとしては好適と考
えられる。
【0027】
【表2】 実施例3肝臓組織からのマイナス鎖RNA の検出 (1)肝組織からのRNA の抽出 C型慢性肝炎患者と考えられる肝臓組織約10mgをガラス
製ホモジェナイザー(Radnoti 社)に入れる。これに I
SOGEN(ニッポンジーン)400μl を加え、ホモジェナイズ
する。これをピペットで1.5ml のマイクロチューブに移
し、室温で5 分放置後、クロロホルム100 μl を加え
る。10秒間ボルテックスで撹拌し、氷中に15分間静置す
る。冷却微量高速遠心機(TOMY MR150)で15000rpm、15
分間、4 ℃で遠心する。水溶液層をアシストチューブに
分取し、イソプロピルアルコールを等量加え、-20 ℃で
1 時間以上置く。
【0028】チューブを15000rpm、15分間、4 ℃で遠心
する。上清を捨て沈殿物に75% エタノールを0.5ml 加
え、15000rpm、5 分間、4 ℃で遠心する。上清を捨て、
5 分から10分間風乾させる。ジエチルピロカーボネイト
処理した蒸留水10μl に溶解する。
【0029】(2)血清からのRNA の抽出 2 検体のHCV 感染患者血清よりRNA の抽出を行った。 I
SOGEN-LS(ニッポンジーン)300 μl に酵母tRNA(ベー
リンガーマンハイム・ヤマノウチ社、5mg/ml)1 μl 、
クロロホルム80μl を加える。このチューブにC 型慢性
肝炎患者血漿を100 μl 加え、10秒間ボルテックスで撹
拌し、氷中に15分間静置する。冷却微量高速遠心機(TO
MY MR150)で15000rpm、15分間、4 ℃で遠心する。水溶
液層をアシストチューブに分取し、イソプロピルアルコ
ールを等量加え、-20 ℃で1 時間以上置く。
【0030】チューブを15000rpm、15分間、4 ℃で遠心
する。上清を捨て沈殿物に75% エタノールを0.5ml 加
え、15000rpm、5 分間、4 ℃で遠心する。上清を捨て、
5 分から10分間風乾させる。ジエチルピロカーボネイト
処理した蒸留水10μl に溶解する。
【0031】(3)マイナス鎖の検出 (1)及び(2)で抽出したRNA10μl を用いてマイ
ナス鎖の検出を行った。各RNA は100ng/mlのtRNA(Amer
sham社)を含むジエチルピロカーボネート処理した滅菌
蒸留水で10倍段階希釈し、それぞれx1、x10 、x100、x1
000 、x10000となるようにする。
【0032】RNA10 μl にミネラルオイル(シグマ社)
を1 滴重層し、パーキンエルマーシータス社のDNA Ther
mal cycler PJ2000 にセットし、70℃で3 分間加熱後、
55℃で保温する。これに5xRT buffer (250mM Tris-HCl
(pH 8.3), 375mM KCl, 15mMMgCl2 )4 μl 、100mM ジ
チオスレトール 2μl 、20mM dNTPs 1μl 、RNaseイン
ヒビター(宝酒造、160 単位/ μl )0.25μl 、,Super
Script II RNase H-逆転写酵素(BRL 社、200 単位/ μ
l )1 μl 、ジエチルピロカーボネイト処理した蒸留水
1.55 μl を混合し、これにマイナス鎖を検出するため
にセンスプライマーT25 0.2 μl 、を加え、55℃で保温
したものを10μl 添加する。コントロールとしてプラス
鎖検出のプライマーKM25(5′-GCA GTC GCA AGC ACC CTA
TCA GGC A-3′、100pmol/μl)を加え同じように反応さ
せた。このまま55℃で1 時間保持しcDNA合成を行う。酵
素を失活させるため、99℃で30分間加熱する。これをcD
NAとして使用する。
【0033】cDNA合成を終わったチューブに10xPCRバッ
ファー(100mM Tris-HCl (pH 8.3),500mM KCl, 15mM M
gCl2 )10μl 、 0.2μl, Taq DNA Polymerase (宝酒
造、5 単位/ μl )0.5 μl を加え、アンチセンスプラ
イマーAS-1 0.2μl を加え、滅菌蒸留水で100 μl にす
る。プラス鎖検出のコントロールはセンスプライマーS-
1 を0.2 μl 加えた。撹拌後軽く遠心する。これをPJ20
00にセットし第一段階目のPCR 反応を行った。反応のプ
ロファイルはDNA 変性94℃、1.5 分、アニーリング55
℃、1.5 分、伸長反応72℃、1.5 分でこの反応を35サイ
クル繰り返した。35サイクル終了後72℃で7 分間保持
し、4 ℃に冷却した。次に第二段階目のPCRを行うため
に、PCR チューブに10xPCRバッファー5 μl 、 2mM dNT
P 5 μl 、センスプライマーKM1 0.2 μl 、アンチセン
スプライマーKM2 0.2 μl 、 Taq DNAPolymerase (宝
酒造、5 単位/ μl )0.25μl 、滅菌蒸留水を37.5μl
を分注する。これに第一段階PCR 反応産物を2.5 μl 加
え、ミネラルオイルを1 滴重層し、撹拌後軽く遠心す
る。これをパーキンエルマーシータス社のDNA Thermal
cycler PJ2000 にセットし第二段階目のPCR 反応を行っ
た。反応のプロファイルはDNA 変性94℃、1.5 分、アニ
ーリング55℃、1.5 分、伸長反応72℃、1.5 分でこの反
応を30サイクル繰り返した。終了後72℃で7 分間保持
し、4 ℃に冷却した。
【0034】PCR 反応産物10μl をアガロース電気泳動
する。アガロースは 1×TAE バッファー(40mM Tris-ac
etate, 1mM EDTA )にNuSieve 3:1 Agarose(FMC 社) を
3%になるように加え、調製した。電気泳動はmupid 電気
泳動槽(コスモバイオ社)を用いて行った。100V、約30
分電気泳動後、アガロースゲルをエチジュウムブロマイ
ドで染色し、紫外線下でポラロイドカメラで撮影を行っ
た。
【0035】表3 に示すように、肝臓の組織から抽出し
たRNA からは、マイナス鎖の検出法(T25 )ではx100ま
で、プラス鎖の検出法(KM25)ではx1000 までPCR 反応
産物の増幅がみられた。ところが、血清1 、血清2 、で
はプラス鎖の検出法(KM25)はx1000 まで検出された
が、マイナス鎖の検出法(T25 )ではx1でも検出されず
血清中にはマイナス鎖は存在しないと考えられる。
【0036】
【表3】 参考例1プラスミドDNA の構築 (1)C 型慢性肝炎患者血漿からのRNA の抽出 ISOGEN-LS(ニッポンジーン)300μl に酵母tRNA(ベーリ
ンガーマンハイム・ヤマノウチ社、5mg/ml)1 μl 、ク
ロロホルム80μl を加える。このチューブにC型慢性肝
炎患者血漿を100 μl 加え、10秒間ボルテックスで撹拌
し、氷中に15分間静置する。冷却微量高速遠心機(TOMY
MR150)で15000rpm、15分間、4 ℃で遠心する。水溶液
層をアシストチューブに分取し、イソプロピルアルコー
ルを等量加え、-20 ℃で1 時間以上置く。
【0037】チューブを15000rpm、15分間、4 ℃で遠心
する。上清を捨て沈殿物に75% エタノールを0.5ml 加
え、15000rpm、5 分間、4 ℃で遠心する。上清を捨て、
5 分から10分間風乾させる。ジエチルピロカーボネイト
処理した蒸留水100 μl に溶解する。
【0038】(2)cDNA合成 抽出したRNA5μl をシリコン処理したチューブ(0.5ml
)に入れ、70℃で3 分間加熱後、氷中で急冷する。こ
れに5xRT buffer (250mM Tris-HCl (pH 8.3), 375mM K
Cl, 15mM MgCl2 )2 μl 、100mM ジチオスレトール 1
μl 、20mMdNTPs0.5 μl 、RNase インヒビター(宝酒
造、160 単位/ μl )0.125 μl 、アンチセンスプライ
マーAS-1(5′-CCG GGA ACT TGA CGT CCT GT -3′、100p
mol/μl) 0.2μl 、MMLV RTase(BRL 社、200 単位/ μ
l )0.5 μl 、ジエチルピロカーボネイト処理した蒸留
水 0.675μl を加え、42℃で1 時間保持する。酵素を失
活させるため、95℃で5 分間加熱する。これをcDNAとし
て使用する。
【0039】(3)PCR 反応 PCR 反応はLA PCR Kitを用い、添付のプロトコールに従
って行った。cDNA 10μl に10xLA PCR Buffer 5μl 、
センスプライマー(5′-GCG ACA CTC CAC CAT AGA TC -
3′、100pmol/μl ) 0.2μl, TaKaRa Ex Taq (宝酒
造、5 単位/ μl )0.25μl を加え滅菌蒸留水で50μl
にする。これにミネラルオイル(シグマ社)を1 滴重層
し、撹拌後軽く遠心する。これをパーキンエルマーシー
タス社のDNAThermal cycler PJ2000 にセットし、PCR
反応を行った。反応のプロファイルはDNA 変性94℃、1.
5 分、アニーリング55℃、1.5 分、伸長反応72℃、1.5
分でこの反応を35サイクル繰り返した。35サイクル終了
後72℃で7 分間保持し、4 ℃に冷却した。
【0040】PCR 反応産物10μl をアガロース電気泳動
する。アガロースは 1×TAE バッファー(40mM Tris-ac
etate, 1mM EDTA )にNuSieve 3:1 Agarose(FMC 社) を
3%になるように加え、調製した。電気泳動はMupid-2 電
気泳動槽(コスモ・バイオ株式会社)を用いて行った。
100V、約30分電気泳動後、アガロースゲルをエチジュウ
ムブロマイドで染色し、紫外線下でポラロイドカメラで
撮影を行った。約399bp の増幅産物が検出された。
【0041】(4)クローニング ミネラルオイルを除く為に、得られた399bp のPCR 反応
産物の入ったチューブにクロロフォルム200 μl を加え
転倒混和しエマルジョン様にする。冷却微量小型遠心機
で15000rpmで3 分間遠心する。ピペットを用いて上層の
水層をとり、別のチューブに移す。これに5 μl (1/
10量)の5M NaCl を加え、137.5 μl のエタノールを加
え-20 ℃で1 時間放置する。これを冷却微量小型遠心機
で4 ℃、15000rpm、10分遠心し水層を捨てる。ペレット
を真空エバポレーターで乾燥させる。このペレットを滅
菌蒸留水10μl に溶解する。
【0042】次にこのDNA フラグメントをベクターに連
結させる。ベクターシステムはPromega 社のpGEM-T Vec
tor System II を用いた。DNA フラグメントを含む溶液
7 μl にpGEM-T Vector (Promega :50ng/ml )1 μl
、T4 DNA Ligase 10x Buffer1μl 、T4 DNA Ligase
(1 Weiss units/μl )1 μl を加え、15℃、一昼夜イ
ンキュベートした。T4 DNA Ligase を失活させるために
70℃で10分間インキュベートした。
【0043】この連結したベクターを含む溶液2 μl を
滅菌した1.5ml マイクロチューブに分注した。-70 ℃に
凍結しておいた高効率JM109 コンピテントセルを氷中で
溶解させる。このコンピテントセルをベクター溶液の入
っているマイクロチューブに50μl 加え穏やかに撹拌
し、20分間氷中に静置する。42℃で45秒インキュベート
し、細胞にヒートショックを与え、さらに2 分間氷中に
静置する。これにLB培地450 μl を加え、37℃で1 時間
振とう培養する。50μl をLBプレートにアンピシリン、
IPTG、X-Gal を加えたものに塗布し、塗り広げる。37℃
で1 昼夜インキュベートする。白いコロニーがPCR のフ
ラグメントを含んだコロニーである。
【0044】このコロニーを滅菌した爪楊枝でかきと
り、アンピシリン25μg/ml含んだLB培地5ml の入った試
験管で37℃で1 昼夜インキュベートする。十分に菌が増
殖したところで自動DNA 回収装置(KURABO)でDNA を回
収した。
【0045】このDNA をSphIとPstIで切断し目的のサイ
ズのDNA 断片を含んだプラスミドを選択した。
【0046】参考例2RNA の合成 RNA の合成はRNA synshesis set (ニッポンジーン)を
用いて行った。プラスミド10μl (1 μg/10μl )に10
xRNA Polymerase buffer 2 μl 、200mMDTT 1μl 、BS
A (2mg/ml)1 μl 、10mM rATP 1 μl 、10mM rCTP 1
μl 、10mM rGTP 1 μl 、10mM rUTP 1 μl 、RNase In
hibitor 1 μl 、T7 RNA Polymerase 1μl を加え、37
℃で60分インキュベートする。さらにDNase 1 μl (ベ
ーリンガーマンハイム)を加え、37℃で15分インキュベ
ートする。
【0047】TE(10mM Tris-HCl, 1mM EDTA, pH7.5) を
100 μl 加え、TE飽和フェノールを200 μl 加え穏やか
に撹拌する。冷却小型微量高速遠心機で15000rpm、3 分
遠心し上清を1.5ml のマイクロチューブに移す。これに
TE飽和フェノールを200 μlを加え同じ作業を2 回繰り
返す。上清をマイクロチューブにとり、クロロフォルム
を200 μl 加え、穏やかに撹拌し、冷却小型微量高速遠
心機で15000rpm、3 分遠心する。上層を回収し、0.1vol
の3M Sodium acetate と2.5volのエタノールを加え、撹
拌し、-80 ℃で30分放置する。冷却小型微量高速遠心機
で4 ℃、15000rpm、10分遠心し、上清を捨てる。ペレッ
トに75% エタノールを加え、冷却小型微量高速遠心機で
4 ℃、15000rpm、3 分遠心し、上清を捨て、風乾する。
【0048】このRNA を分光光度計(日立Spectrophoto
meter )で260nm の吸光度を測定し、分子量からコピー
数を算定した。
【0049】参考例3従来法での血清あるいは合成プラス鎖RNA からのマイナ
ス鎖RNA の非特異的検出 従来のマイナス鎖検出 参考例で合成したプラス鎖及びマイナス鎖RNA をそれぞ
れ100ng/mlのtRNA(Amersham社)を含むジエチルピロカ
ーボネート処理した滅菌蒸留水で希釈し、5000コピー/5
μl 、500 コピー/5μl 、50コピー/5μl 、5 コピー/5
μl 、0.5 コピー/5μl 、となるようにした。
【0050】RNA5μl をシリコン処理したチューブ(0.
5ml )に入れ、70℃で3 分間加熱後、氷中で急冷する。
これに5xRT buffer (250mM Tris-HCl (pH 8.3), 375mM
KCl, 15mM MgCl2 )2 μl 、100mM ジチオスレトール
1μl 、20mMdNTPs 0.5 μl、RNase インヒビター(宝
酒造、160 単位/ μl )0.125 μl 、センスプライマー
S-2 0.2 μlMMLV RTase (BRL 社、200 単位/ μl )0.
5 μl 、ジエチルピロカーボネイト処理した蒸留水 0.6
75μl を加え、42℃で1 時間保持する。酵素を失活させ
るため、99℃で30分間加熱する。これをcDNAとして使用
する。
【0051】cDNA合成を終わったチューブに10xPCRバッ
ファー(100mM Tris-HCl (pH 8.3),500mM KCl, 15mM M
gCl2 )4 μl 、アンチセンスプライマーAS-1 0.2μl
、,Taq DNA Polymerase(宝酒造、5 単位/ μl )0.25
μl を加え滅菌蒸留水で50μl にする。これにミネラル
オイル(シグマ社)を1 滴重層し、撹拌後軽く遠心す
る。これをパーキンエルマーシータス社のDNA Thermal
cycler PJ2000 にセットし第一段階目のPCR 反応を行っ
た。反応のプロファイルはDNA 変性94℃、1.5 分、アニ
ーリング55℃、1.5 分、伸長反応72℃、1.5 分でこの反
応を35サイクル繰り返した。35サイクル終了後72℃で7
分間保持し、4 ℃に冷却した。次に第二段階目のPCR 反
応を行うために、PCR チューブに10xPCRバッファー5 μ
l 、 2mM dNTP 5 μl 、センスプライマーKM1 0.2 μl
、アンチセンスプライマーKM2 0.2μl 、 Taq DNA Pol
ymerase (宝酒造、5 単位/ μl )0.25μl 、滅菌蒸留
水を37.5μl を分注する。これに第一段階PCR 反応産物
を2.5 μl 加え、ミネラルオイルを1 滴重層し、撹拌後
軽く遠心する。これをパーキンエルマーシータス社のDN
A Thermal cycler PJ2000 にセットし第二段階目のPCR
反応を行った。反応のプロファイルはDNA 変性94℃、1.
5 分、アニーリング55℃、1.5 分、伸長反応72℃、1.5
分でこの反応を30サイクル繰り返した。終了後72℃で7
分間保持し、4℃に冷却した。
【0052】PCR 反応産物10μl をアガロース電気泳動
する。アガロースは 1×TAE バッファー(40mM Tris-ac
etate, 1mM EDTA )にNuSieve 3:1 Agarose(FMC 社) を
3%になるように加え、調製した。電気泳動はmupid 電気
泳動槽(コスモバイオ社)を用いて行った。100V、約30
分電気泳動後、アガロースゲルをエチジュウムブロマイ
ドで染色し、紫外線下でポラロイドカメラで撮影を行っ
た。
【0053】表4 に示すようにプラス鎖のRNA からプラ
ス鎖検出法(AS1 )で50コピー/reaction まで検出され
るが、マイナス鎖検出法(S1)でも500 コピー/reactio
n で検出され非特異的な反応が起きている。また、マイ
ナス鎖のRNA からマイナス鎖検出法(S1)で50コピー/r
eaction まで検出されるが、プラス鎖検出法(AS1 )で
も500 コピー/reaction で検出されこちらでも非特異的
な反応が起きており、従来の方法では完全に特異的な検
出は困難である。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明によりRNAウィルスのプラス鎖
とマイナス鎖を別々に特異的に検出することが可能とな
った。
【0056】前述したようにプラス鎖RNA はウィルスそ
のものの存在を、またマイナス鎖RNA はウィルスの増殖
を表わしているものと考えられる。一般にHCV ウィルス
は肝細胞に感染し、増殖していると考えられているが、
その感染や増殖のメカニズムは明らかになっているわけ
ではない。またHCV は慢性化し肝硬変、肝癌を引き起こ
すことが知られているが、その慢性化のメカニズムも明
らかになっていない。したがって、本発明の検出方法を
利用することにより、体内のどこでウィルスが増え、体
内のどこで持続感染しているのかが明らかになり、感染
経路の解明や、慢性化のメカニズムの解明に役立つもの
と考えられる。
【0057】さらに最近HCV 感染に対して、インターフ
ェロン(IFN )の投与が有効であり、治療に応用されて
いる。この治療効果の判定は主にGOT 、GPT の正常化で
判定されているが、HCV ウィルス自体の体内からの消失
を調べるためにはHCV-RNA が検出されなくなることが重
要であり、本発明の方法がIFN 効果の診断にも有効であ
る。
【0058】またHCV は現在 in vitro での有効な細胞
感染系が樹立されていない。この細胞感染系を構築する
上でも感染の証明にはマイナス鎖の検出が有効であり、
本発明はこの系の構築のために不可欠である。さらに将
来、IFN 以外の抗ウィルス薬を開発する場合、感染細胞
内あるいは体内でのウィルスの動態を調べ、治療薬の開
発及びその治療効果の診断にも有効と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】RNAウィルスプラス鎖、マイナス鎖にそれぞ
れ特異的な(A及びB)又は非特異的な(C)RNA検
出方法を示す一般的な原理図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体中のRNAウィルスプラス鎖又はマ
    イナス鎖遺伝子を特異的に検出するための方法であっ
    て、 検体からRNAを回収し、 逆転写酵素及び、該RNAウィルスプラス鎖又はマイナ
    ス鎖遺伝子にハイブリダイズ可能な少なくとも15塩基
    数のそれぞれアンチセンスプライマー又はセンスプライ
    マーの存在下、該プライマーの相補的配列以外の配列へ
    の結合を阻止する温度に反応溶液を反応開始まで保持
    し、かつ該逆転酵素の酵素活性を損わない温度で、該R
    NAからcDNAを合成し、 cDNAをPCR反応にかけてDNAを増幅し、 PCR産物を分析してそれぞれ該プラス鎖又はマイナス
    鎖を検出するステップを包含することを特徴とする前記
    方法。
  2. 【請求項2】 検体中のC型肝炎ウィルス(HCV)マ
    イナス鎖遺伝子を特異的に検出するための方法であっ
    て、 検体からRNAを回収し、 逆転写酵素及び、該HCVマイナス鎖遺伝子にハイブリ
    ダイズ可能な少なくとも15塩基数のセンスプライマー
    の存在下、該プライマーの相補的配列以外の配列への結
    合を阻止する温度に反応溶液を反応開始まで保持し、か
    つ該逆転写酵素の酵素活性を損わない温度で、該RNA
    からcDNAを合成し、 cDNAをPCR反応にかけてDNAを増幅し、 PCR産物を分析して該マイナス鎖を検出するステップ
    を包含することを特徴とする前記方法。
  3. 【請求項3】 cDNA合成開始までの反応溶液の温度
    及び反応温度が少なくとも45℃であることを特徴とす
    る請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 センスプライマーの塩基数が少なくとも
    15であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 センスプライマーが5′−CACTCC
    CCTGTGAGGAACTACTGTC−3′である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 検体中のHCVプラス鎖遺伝子を特異的
    に検出するための方法であって、 検体からRNAを回収し、 逆転写酵素及び、該HCVプラス鎖遺伝子にハイブリダ
    イズ可能な少なくとも15塩基数のアンチセンスプライ
    マーの存在下、該プライマーの相補的配列以外の配列へ
    の結合を阻止する温度に反応溶液を反応開始まで保持
    し、かつ該逆転写酵素の酵素活性を損わない温度で、該
    RNAからcDNAを合成し、 cDNAをPCR反応にかけてDNAを増幅し、 PCR産物を分析して該プラス鎖を検出するステップを
    包含することを特徴とする前記方法。
  7. 【請求項7】 cDNA合成開始までの反応溶液の温度
    及び反応温度が少なくとも45℃であることを特徴とす
    る請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 アンチセンスプライマーの塩基数が少な
    くとも15であることを特徴とする請求項6に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 アンチセンスプライマーが5′−CAC
    TCGCAAGCACCCTATCA−3′であること
    を特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
JP6338535A 1994-12-28 1994-12-28 Rnaウィルスのプラス鎖又はマイナス鎖遺伝子の特異的検出方法 Pending JPH08187097A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010008010A1 (ja) 2008-07-15 2010-01-21 株式会社先端生命科学研究所 Hcv/gbv-bキメラウイルス
EP2711427A1 (en) 2007-04-27 2014-03-26 Advanced Life Science Institute, Inc. HCV gene

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2711427A1 (en) 2007-04-27 2014-03-26 Advanced Life Science Institute, Inc. HCV gene
WO2010008010A1 (ja) 2008-07-15 2010-01-21 株式会社先端生命科学研究所 Hcv/gbv-bキメラウイルス

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