JPH0818630A - 騒音抑圧用ハンドセットおよび騒音抑圧電話機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】騒音が通話信号に混入するこのような原因と経
路を考慮し、騒音防止機能を著しく向上するための騒音
抑圧用ハンドセットと騒音抑圧電話機を提供する。 【構成】騒音抑圧ハンドセットは、送話器と受話器とを
備えたハンドセットにおいて、受話口面に該受話口と耳
との間の音を検知するために設けられた実耳マイクロホ
ンと、該ハンドセットの外面に騒音を検知するために設
けられた騒音マイクロホンとを備えた構成を有してい
る。耳と受話口面との間に漏入する雑音が最小となるよ
うに騒音マイクロホンの出力は受話増幅回路で受話入力
に重畳される。また、送話信号に含まれる雑音が最小と
なるように騒音マイクロホンの出力は送話増幅回路で送
話出力に重畳される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、騒音抑圧用ハンドセッ
トおよび騒音抑圧ハンドセットを用いる騒音抑圧電話機
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、周囲騒音が存在する環境で使用す
る公衆電話機等において、騒音抑圧型ハンドセットが用
いられている。これは、騒音音響波がハンドセットの送
話器の位置で音響構造上打ち消し合うようにハンドセッ
トを構成するものである。しかしながら、この構造には
設計上の制約や騒音の種類及び到来方向の多様性のた
め、騒音除去の機能には限界があり、充分な騒音防止効
果を有するものはまだ提案されていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】騒音による通話妨害と
して、次のような受話騒音による妨害と送話騒音による
妨害とがある。 受話騒音による妨害 受話騒音とは、周囲騒音が受話口と耳の間から漏入する
などして、受話音に混入するものをいう。相手の声が小
さい場合など、それよりも大きな受話騒音があると、相
手の声が聞こえない状態である。 送話騒音による妨害 送話騒音とは、周囲騒音が送話器に入って各種妨害をす
るものをいう。相手が被害を受ける例には、送話器から
入った騒音が相手に伝わり、相手を不快にさせること、
および自分の声が騒音と混じって相手に伝わり、自分の
声が相手に充分伝わらないことがある。通話者自身が被
害を受ける例には、送話器から入った騒音が、自分の電
話機のハイブリッドや電話回線や相手の電話系により自
分の受話に回り込んで来て、結果的に受話信号の中に騒
音が入り、相手の声が聞こえなくなることがある。しか
し、従来技術にはこのような妨害に充分配慮した騒音抑
圧技術は提案されていない。

【０００４】本発明の第１の目的は、騒音が通話信号に
混入するこのような原因と経路を考慮し、騒音防止機能
を著しく向上するための騒音抑圧用ハンドセットを提供
することにある。本発明の第２の目的は、騒音が通話信
号に混入する上記原因と経路を考慮し、受話騒音と送話
騒音とを著しく軽減することができる騒音抑圧電話機を
提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明による騒音抑圧ハンドセットは、送話器と受
話器とを備えたハンドセットであって、該ハンドセット
の受話口の凹部表面に該受話口と耳との間の音を検知す
るために設けられた実耳マイクロホンと、該ハンドセッ
トの外面に騒音を検知するために設けられた騒音マイク
ロホンとを備えた構成を有している。また、本発明によ
る騒音抑圧電話機は、受話口面に該受話口と耳との間の
音を検知するために設けられた実耳マイクロホンと、該
ハンドセットの外面に騒音を検知するために設けられた
騒音マイクロホンと、送話器と、受話器とを有するハン
ドセットと、ラインに接続される通話回路と、前記騒音
マイクロホン出力を原信号とし前記実耳マイクロホン出
力を誤差信号とし耳と前記受話口との間に漏入する騒音
が最小となるように推定受話雑音信号を作成し前記受話
器に供給される受話信号に加えた後に前記受話器から出
力することで耳と前記受話口との間に漏入する受話騒音
を打ち消す受話騒音抑圧手段と、前記騒音マイクロホン
出力を原信号とし前記通話回路の送話側へ送出される送
話信号を誤差信号とし前記送話信号に含まれる雑音が最
小となるように推定送話雑音信号を作成し前記送話器か
ら出力される送話信号に加えて送話騒音を打ち消す送話
騒音抑圧手段とを備えた構成を有している。

【０００６】

【作用】騒音に対して、その騒音を打ち消すような信号
をつくり、騒音と相殺するようにたし合わせて騒音を抑
圧して、妨害の殆どない良好な通話が行われるようにす
る。

【０００７】

【実施例】図１は本発明による騒音抑圧電話機の一実施
例である。ハンドセット１の受話器３の近傍に、実耳マ
イクロホン４と騒音マイクロホン５を実装する。実耳マ
イクロホン４は、受話口凹部６と耳１０の受話音を検出
する。騒音マイクロホン５は、周囲騒音を検出する。こ
の周囲騒音は、騒音マイクロホン５へ、受話口凹部６と
耳１０の間に漏入し実耳マイクロホン４へ、また送話器
２へ入力する。騒音マイクロホン５の信号は、受話ノイ
ズおよび送話ノイズを打ち消すための、打ち消し信号の
もとになる信号として、増幅器１９で増幅された後受話
ノイズキャンセラ２１および送話ノイズキャンセラ２４
に入力される。受話ノイズキャンセラ２１の出力信号
は、加算器１７で、ライン（通話線）１５から通話回路
のハイブリッド１４と増幅器１６を介して与えられる受
話信号にたし合わされる。受話ノイズキャンセラ２１
は、実耳マイクロホン４の出力を増幅器２０で増幅した
出力で制御される。送話ノイズキャンセラ２４の出力信
号は、送話器２の出力を送話増幅器１１で増幅した送話
信号に加算器１２たし合わされる。送話ノイズキャンセ
ラ２４は、このたし合わされた結果の信号で制御され
る。

【０００８】図２は、ハンドセット１の受話器３の近傍
へのマイクロホン取付を示す正面斜視図（ａ）、背面斜
視図（ｂ）及び断面図（ｃ）である。実耳マイクロホン
４は、受話口凹部６の穴６ａのなるべく近くに実装す
る。騒音マイクロホン５は、ハンドセット１の背中の受
話部の裏側に当たる外面１Ａに実装する。送話器２から
なるべく離れた位置がよい。

【０００９】次に、本発明による騒音抑圧電話機の動作
について説明する。 （１）受話騒音を打ち消す動作 騒音マイクロホン５の信号は、受話騒音および送話騒音
を打ち消すための原信号として増幅器１９で増幅された
後、受話ノイズキャンセラ２１および送話ノイズキャン
セラ２４に入力される。なお図示されていないが前記各
々の信号はアナログ−ディジタル変換器を用いて変換さ
れており、以下で説明する信号処理はディジタル信号処
理として行われる。受話ノイズキャンセラ２１は、受話
口凹部６と耳１０で形成される空間に漏入する騒音に対
し逆極性となる信号（推定受話雑音信号）を、騒音マイ
クロホン５出力を原信号とし実耳マイクロホン４出力を
誤差信号として用い作成する。推定受話雑音信号は、ラ
イン１５から通話回路のハイブリッド１４および増幅器
１６を介して与えられる受話信号と加算器１７において
加算され、受話増幅器１８で増幅された後、受話器３か
ら騒音信号に変換され耳１０と受話口凹部６とで形成さ
れる空間に出力される。この空間の音響信号は実耳マイ
クロホン４によって電気信号に変換され誤差信号とな
る。耳１０と受話口凹部６とで形成される空間に漏入す
る雑音は以下のようにして抑圧される。騒音源Ｎで発生
する雑音は耳１０と受話口凹部６の隙間での反射等によ
り前記空間に漏入する（以下漏入雑音）。一方騒音源Ｎ
で発生する雑音は騒音マイクロホン５にも入る（以下検
出雑音）。明らかに漏入雑音と検出雑音の間には相関が
ある。従って、検出雑音を用いて漏入雑音を推定するこ
とができる。受話ノイズキャンセラ２１は、実耳マイク
ロホン４で検出される誤差信号が零になるように推定動
作を繰り返すことで、漏入雑音の伝搬経路の伝達関数に
検出雑音の伝搬経路の伝達関数を合わせることができ
る。受話ノイズキャンセラ２１を実現するアルゴリズム
としては学習同定法の如き適応方法を用いることができ
る。なお、受話信号が存在する場合、誤差信号に受話信
号が重畳されるため真の誤差信号とはなりえない。その
ため、受話検出回路２２により予め受話信号の存在を検
出し、受話信号の存在を検出した場合は、受話ノイズキ
ャンセラ２１の推定（適応）動作を停止させるように構
成されている。

【００１０】（２）送話騒音を打ち消す動作 送話ノイズキャンセラ２４は、送話器２に混入する雑音
と逆極性になるように推定した信号（推定送話雑音信
号）を、増幅器１９を介して増幅した騒音マイクロホン
５の出力信号（送話雑音）を原信号とし、通話回路の送
話側増幅器１３の入力端信号（送話信号）を誤差信号と
して用い作成する。送信増幅器１１を介して増幅された
送話器２の出力信号と推定送話雑音信号を加算器１２に
おいて加算すれば送話雑音が抑圧された送話信号を得る
ことができる。送話信号は通話回路の増幅器１３および
ハイブリッド１４を介してライン１５に送出する。ハイ
ブリッド１４を経由して受話側に回り込む雑音も当然の
ことながら抑圧される。推定送話雑音信号は以下のよう
にして作成される。騒音源Ｎで発生する雑音は唇あるい
はその周辺、送話口等での反射等により送話器２に混入
する（以下混入雑音）。一方騒音源Ｎで発生する雑音は
騒音マイクロホン５にも入る（以下検出雑音）。明らか
に混入雑音と検出雑音の間には相関がある。従って検出
雑音を用いて混入雑音を推定することができる。送話ノ
イズキャンセラ２４は、増幅器１３の入力端の送話信号
中の雑音すなわち誤差信号が零になるように推定動作を
繰り返すことで、混入雑音の伝搬経路の伝達関数に検出
雑音の伝搬経路の伝達関数を合わせることができる。送
話ノイズキャンセラ２４を実現するアルゴリズムとして
は学習同定法の如き適応方法を用いることができる。な
お、送話信号が存在する場合すなわち無音でない場合に
は、誤差信号に送話信号が重畳されることになるため真
の誤差信号としては扱えない。そのため、送話検出回路
２３により予め無音検出を行い、無音を検出した場合の
み送話ノイズキャンセラ２４に適応動作を行わせ、送話
信号の存在を検出した場合は適応動作を停止させるよう
に構成されている。

【００１１】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば騒音による受話信号への妨害を充分抑圧することが
できるとともに、送信信号への騒音の混入をも充分抑圧
することができるため、騒音レベルの高い環境における
通話品質の向上に対する効果は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による騒音抑圧電話機の実施例を示すブ
ロック図である。

【図２】図１の実施例に用いるハンドセットの構造例を
示す斜視図（ａ）（ｂ）及び断面図（ｃ）である。

【符号の説明】

１ ハンドセット １Ａ ハンドセットの外面 ２ 送話器 ３ 受話器 ４ 実耳マイクロホン ５ 騒音マイクロホン ６ 受話口凹部 ６ａ 受話口の穴 １１ 送話増幅器 １２，１７ 加算器 １３，１６，１９，２０ 増幅器 １４ ハイブリッド １５ ライン １８ 受話増幅器 ２１ 受話ノイズキャンセラ ２２ 受話検出回路 ２３ 送話検出回路 ２４ 送話ノイズキャンセラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐柄 和彦 東京都千代田区内幸町一丁目１番６号 日 本電信電話株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送話器と受話器とを備えたハンドセット
   であって、該ハンドセットの受話口面に該受話口と耳と
   の間の音を検知するために設けられた実耳マイクロホン
   と、該ハンドセットの外面に騒音を検知するために設け
   られた騒音マイクロホンとを備えたことを特徴とする騒
   音抑圧用ハンドセット。
2. 【請求項２】 受話口面に該受話口と耳との間の音を検
   知するために設けられた実耳マイクロホンと、該ハンド
   セットの外面に騒音を検知するために設けられた騒音マ
   イクロホンと、送話器と、受話器とを有するハンドセッ
   トと、 ラインに接続される通話回路と、 前記騒音マイクロホン出力を原信号とし前記実耳マイク
   ロホン出力を誤差信号とし耳と前記受話口との間に漏入
   する騒音が最小となるように推定受話雑音信号を作成し
   前記受話器に供給される受話信号に加えた後に前記受話
   器から出力することで耳と前記受話口との間に漏入する
   受話騒音を打ち消す受話騒音抑圧手段と、 前記騒音マイクロホン出力を原信号とし前記通話回路の
   送話側へ送出される送話信号を誤差信号とし前記送話信
   号に含まれる雑音が最小となるように推定送話雑音信号
   を作成し前記送話器から出力される送話信号に加えて送
   話騒音を打ち消す送話騒音抑圧手段とを備えた騒音抑圧
   電話機。