JPH08178821A - 液体濃度センサとそのフロート - Google Patents

液体濃度センサとそのフロート

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JPH08178821A
JPH08178821A JP33374194A JP33374194A JPH08178821A JP H08178821 A JPH08178821 A JP H08178821A JP 33374194 A JP33374194 A JP 33374194A JP 33374194 A JP33374194 A JP 33374194A JP H08178821 A JPH08178821 A JP H08178821A
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concentration sensor
measured
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JP33374194A
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Shuichi Misumi
修一 三角
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Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 浮きばかり式の比重計と同様なきわめて簡便
な原理で動作するセンサ用のフロートを提供すること 【構成】 薄肉の外殻体で形成された中空の容器であ
り、かつ外殻体の少なくとも一部が柔軟に変形して容積
が変化する可変ボリューム容器1に、適宜な熱膨張率の
液体を封入して液体濃度センサ用フロートを構成する。
温度変化があると、測定対象液と同様にフロートも膨脹
・収縮するため、濃度は変わらない。従って、温度の影
響を受けることなく、測定対象液の濃度の方が高い場合
にはフロートは浮く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、測定対象の液体中にフ
ロートを浮かべて比重を計測する浮きばかりの原理を応
用した液体濃度センサとそのフロートに関する。
【0002】
【発明の背景】よく知られているように、液体の比重を
計測するのに浮きばかりが広く使用されている。一定体
積のガラス容器に水銀や鉛などの一定質量の錘を封入し
たフロートを測定対象液体に浮かべ、その浮沈程度によ
って比重を読み取る。液体中でのフロートの浮沈位置を
光電センサなどで非接触で検出する液体比重センサも知
られている。
【0003】この種の浮きばかり式の比重計の簡便さ
で、液体の比重ではなくて濃度を計測したいという要求
がある。液体の温度が一定に保たれているのであれば、
比重と濃度は比例するので、浮きばかりだけで簡単に濃
度を計測できる。しかし実際には温度が変われば、浮き
ばかりだけでは濃度を計測できず、液体の温度を測定し
て補正する必要がある。
【0004】液体濃度を簡便に計測することは、次のよ
うな分野で求められている。代表的なのは、鉛蓄電池の
電解液濃度の測定である。よく知られているように、電
解液の硫酸濃度は充電進行に伴って高くなり(比重も高
くなる)、放電進行に伴って低くなる(比重も低くな
る)。そこで従来から電池の充電状況を知るために、浮
きばかりで電解液の比重を、温度計で液温をそれぞれ測
定し、その測定値から濃度(電池の充電率)を求めるこ
とが行われている。ごく簡便な方法としては液温の測定
を省略し、電解液の比重をもって電池の充電状況の指数
とすることも多いが、これは大雑把で不正確な方法であ
る。特に、自動車のエンジンルームに設置されている鉛
蓄電池の場合、エンジンの運転状況に応じてその温度は
大きく変化する。この場合に温度を無視して比重だけ測
定しても、電池の充電状態を正確に知ることはできな
い。
【0005】また、イオン交換器により硬水を軟水化す
るプラントにおいては、逆洗用塩水の濃度をある範囲に
保つように自動制御する必要性がある。このような分野
において、所定の濃度に感応してオン・オフするような
簡便な液体濃度センサが求められているが、従来このよ
うな要求に応えるものはなかった。
【0006】本発明は、上記した背景に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、上記した問題を解決
し、浮きばかり式の比重計と同様なきわめて簡便な原理
で動作する液体濃度センサとそのフロートを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明に係る液体濃度センサ用フロートは、薄
肉の外殻体で形成された中空の容器であり、かつ外殻体
の少なくとも一部が柔軟に変形して容積が変化する可変
ボリューム容器に、適宜な熱膨張率の液体を封入したも
のである。ここで前記外殻体の一部または全部が蛇腹状
に形成され、この蛇腹部分の変形によって容積が変化す
るように構成されたり、前記外殻体の一部が特に薄肉に
形成されたダイヤフラム部となっており、このダイヤフ
ラム部の撓みによって容積が変化するように構成され
る。また、前記可変ボリューム容器内に前記封入液体よ
り比重の小さい所定体積の微調整部材を入れてもよい。
前記微調整部材は例えば容積の変化しない小さな中空容
器に気体を封入したものとする。また、気体が封入され
た小さな一定容積の微調整用中空部を前記外殻体と一体
的に形成してもよい。
【0008】また本発明の液体濃度センサは、測定対象
液中において、上記いずれかに記載のフロートが移動範
囲規制手段によって規制される範囲内で、その測定対象
液の濃度に応じて自由に浮沈できるように配置すること
である。そして、好ましくは前記配置されるフロート
は、濃度が異なる複数個のフロートから構成されること
である。また、前記移動範囲規制手段としては、例えば
所定形状のケースからなり、そのケースは外部と連通状
態となり、測定対象液が前記ケース内に流入自在となる
ように構成したり、あるいは前記フロートと前記測定対
象液が入った貯留手段内の所定位置を連結する紐状物と
してもよい。さらに好ましくは前記フロートの位置を非
接触で検出する位置センサを有することである。
【0009】
【作用】前記フロートを測定対象液中に入れておけば、
フロート内の封入液体は測定対象液体と同じ温度に保た
れる。測定対象液の温度が上昇して熱膨張すると、それ
と同じ膨張率で封入液体が膨張する。封入液体が膨張す
ると前記の可変ボリューム容器の体積がその分だけ増大
する。ただしフロート全体の質量は一定である。つま
り、フロートの質量は一定であるが、その体積が測定対
象液体とほぼ同じ割り合いで熱膨張する。そのため、測
定対象液体の温度が変化すれば、フロートの浮沈位置に
よる測定値は、液体の濃度に対応したものとなる。その
変化をセンサなどで検出すると、外部から簡単に濃度の
状態を知ることができ、濃度が基準値以上か否かの検出
に用いたり、或いは、濃度の異なるフロートを複数設け
ることにより、各フロートの浮沈状態から、その測定対
象液の濃度が検出される。
【0010】このようにフロートを用いて濃度を測定す
る場合に、請求項7〜11のように構成するとフロート
の移動範囲が抑制され浮沈状況を検出しやすくなる。
【0011】また、請求項2,3のように構成すると、
蛇腹状の部分やダイヤフラムの部分は、他の部分よりも
変形しやすいので、上記温度変化に伴い当該部分が変形
する。従って簡単にフロートの形状が変化し、熱膨張し
やすくなり、上記動作が確実に行なわれる。
【0012】フロート全体の比重と、そのフロートに充
填した液体の濃度と等しい測定対象液の比重は等しいの
が好ましい。仮に両者が大きく違うと、濃度が等しいに
も拘らずフロートが沈んでしまうことがある。係る場合
に、請求項4〜6のいずれかの構成を採り、フロート全
体の比重を小さくする(測定対象液と等しくする)こと
により対応できる。この時、特に熱膨張率の大きい気体
を用いた場合には、容積の変化しない中空容器内にその
気体を封入する。すると、熱膨張率の大きな気体は、た
とえ温度が変わったとしてもその容積は不変であるの
で、フロート全体の熱膨張率は、充填する液体と容器の
熱膨張率に基づき決定され、測定対象液体とほぼ等しく
することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明に係る液体濃度センサとそのフ
ロートの好適な実施例を添付図面を参照にして詳述す
る。図1は、本発明によるフロートの形態の4つの実施
例をそれぞれ示している。同図(A)に示す可変ボリュ
ーム容器1は全体的に蛇腹型に形成された外殻体からな
る。同図(B)に示す可変ボリューム容器1は容積が変
化しない球形部1aと小さな蛇腹部1bとからなる。球
形部1aの中空部と蛇腹部1bの中空部は連通してい
る。同図(C)に示す可変ボリューム容器1には他の部
分より薄肉になったダイヤフラム部1cが一体に形成さ
れている。同図(D)に示す可変ボリューム容器1は球
形の一部に他の部分より薄肉のダイヤフラム部1dが一
体に形成されている。
【0014】このような形態の可変ボリューム容器1に
適宜な熱膨張率の液体を隙間なく充填して封入する。容
器1を構成する外殻体の材料に求められる条件として
は、薄肉の容器を射出成形やブロー成形で高精度に製
作できる、広い温度範囲で安定である、使用する液
体に対して化学的に安定である、藻がつかない、漏
液しない、などが挙げられる。
【0015】この面から、PFAなどのフッ素樹脂が好
適であり、その他ではポリエーテルイミド(ウルテ
ム)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂
材料が適している。蓄電池の電解液の濃度センサ用とし
てはポリエーテルイミドが適しており、塩水の濃度セン
サ用としては高密度ポリエチレンやポリプロピレンが適
している。尚、上記の5つの条件のうち、の条件は特
になくてもよい。すなわち、例えば後述するようにバッ
テリー液の濃度を測定する場合には、バッテリー液は硫
酸であるので藻が発生しないためである。また、藻が付
着した場合、見た目が悪くなったり、フロートの位置を
外部から視認する場合に見にくくなったり、或いは藻の
付着によるフロートの比重の変化の影響が生じるなどの
問題が生じるが、係る問題が無視できる場合にはやはり
の条件は不要となる。
【0016】前記の可変ボリューム容器1に所望の液体
を充填・封入する。この封入する液体としては、その封
入液体と容器1の全体の比重および熱膨張率が測定対象
液体の平均比重および熱膨張率とできるだけ等しくなる
ように調整するのが好ましい。
【0017】但し、例えば、測定対象液体である硫酸
(バッテリー電解液)の20℃の温度での満充電状態の
時の比重は1.28であり、比重の変化量は0.007
/℃なので、体積膨張率(比重の変化量/比重)は5.
47×10−4/℃となる。また容器1の材料となるフ
ッ素樹脂の比重は2.14〜2.20であり、体積膨張
率は3.6×10−4/℃である。従って、仮に液体フ
ロートの容器1を直径50mmの球とし、膜厚が0.3
mmで均一とすると、フロート全体積に占める容器1の
体積は僅か3.6%となる。よって、合計体積膨脹率を
比例配分にて求めると5.40×10−4/℃となり、
硫酸そのものの98.7%となる。その結果、容器1内
に充填封入する液体として、基準濃度の測定対象液体
(硫酸)を用いたとしても、温度変化による誤差を1.
3%程度に抑制できる(従来のガラスを用いた容器で
は、体積膨脹率は限りなく0であるため、それに比べる
と非常に誤差が少なくなる)。このように、フッ素樹脂
により成形する容器1の内容積と容器肉厚を適宜に設計
し、その中に適宜な濃度の硫酸を充填することで本発明
の液体濃度センサ用フロートができる。
【0018】さらに、充填・封入される液体の性質とし
ては、使用中に発泡したり、腐食したりすることなく比
重等が一定に保たれるものが選択される。そして、発泡
や腐食をしない液体を製造するには、例えば所定の溶液
を一定時間沸騰させることにより行える。すなわち、沸
騰させることにより、液体中に溶存している空気が除去
されるため、その後の使用中に発泡することがなく、ま
た、煮沸による殺菌がされるため、その後に液体が腐食
することもなくなる。
【0019】ここで、封入液体と容器1の全体の比重お
よび熱膨張率が測定対象液体の平均比重および熱膨張率
とできるだけ等しくなるように調整するために、前記可
変ボリューム容器1内に封入液体より比重の小さい所定
体積の微調整部材を入れてもよい。微調整部材として
は、例えば図2に示すように、容積の変化しない小さな
中空容器2に気体を封入したものとする。また図示して
いないが、気体が封入された小さな一定容積の微調整用
中空部を容器1の外殻体と一体的に形成してもよい。な
お、このように微調整部材として比重の小さいものを選
択するのは、フッ素樹脂等の容器1を構成する材料の比
重が一般に溶液よりも重いので、係る容器1を含めたフ
ロート全体の比重を測定対象の液体と同じするためには
比重の小さな微調整部材を用いる必要があるからであ
る。従って、仮に液体の方が比重が大きい場合には、微
調整部材として比重の重いものを使用することもあり得
る。
【0020】次に前記のフロートを用いた液体濃度セン
サの実施例について説明する。図3の実施例では、鉛蓄
電池3の貯留手段たるケース内に2つの液体濃度センサ
4a,4bを設けている。このセンサ4a,4bは前述
した構成の本発明のフロート5a,5bを移動範囲規制
手段たる所定のガイド経路6a,6bに沿って自由に浮
沈できるように配置したものであり、そのフロート5
a,5bの位置が外側から目視できるように鉛蓄電池3
のケースに透明窓部を設けている。
【0021】そして、液体の濃度や容器の寸法形状など
を適宜調整することにより、一方のフロート5aは充電
率が20%の時の濃度に設定され、他方のフロート5b
は充電率が80%の時の濃度に設定される。具体的に
は、フロート5aは、温度20℃の時に比重1.12に
なるようなバッテリー液を充填し、フロート5bは温度
20℃の時に比重1.24になるようなバッテリー液を
充電する。
【0022】これは、鉛蓄電池3の充電状態の検査や寿
命判定等は、同一濃度によっても温度が変わると比重も
変わるため、従来は比較的簡単に測定できる比重と、温
度に基づいて20℃の時の比重に換算して行われる。そ
して図4に示すように、比重と充電状態の関係は、液温
が20℃とすると、放電状態(充電率が20%)の時の
比重が1.12であり、満充電に近い状態(充電率80
%)の時の比重が1.24であるからである。
【0023】従って、下記表1に示すように、鉛蓄電池
3内の硫酸濃度が予め設定した最小値を下回っている状
態(充電率が20%以下に相当する)では両フロート5
a,5bの両方ともが沈んでおり、硫酸濃度が最小値を
超えると一方のフロート5aが浮き上がり、さらに硫酸
濃度が予め設定した最大値を上回ると(充電率が80%
以上に相当する)、もう一方のフロート5bも浮び上が
る。このようにフロート5a、5bが調整・設定されて
いる。なお、比重の重いフロート5bのみが浮き上がる
ことは通常ではあり得ないため、係る現象が生じた場合
には、フロート側の異常であると確認できる。
【0024】
【表1】そして、上記したように、本発明では温度変化
の影響を受けない(或いは極めて少ない)ので、実際の
測定時の温度が20℃でなくても、上記した判定基準を
適用できる。
【0025】図5の実施例では、図3と同じ原理で動作
する2つの濃度センサ4a,4bを鉛蓄電池3の電解液
補充用のキャップ7に一体的に設けている。但し、この
実施例はフロート5a,5bの位置を光電センサにより
検出し、2つのフロート5a,5bがそれぞれ浮上して
いるか沈下しているかの検知を、電気信号を用いて自動
的に検出可能としている。
【0026】つまり同図に示すように、キャップ7に前
記反射型光電センサの構成要素であるファイバ光電セン
サ8a,8bを取り付けて、それぞれフロート5a,5
bが浮上したときにフロートからの反射光が受光素子に
戻るように構成されている。なお、キャップ7には透明
窓部9もあり、フロート5a,5bが浮上していること
を外部から目視確認できるようにしてもよい。
【0027】上記の方式により、充電率を検出すること
ができるが、一定時間充電したにもかかわらず充電率が
上昇(80%以上)にならない場合には、電池が劣化し
た恐れが高い。従って、例えば充電時間とその後の充電
率の相関から、蓄電池の寿命の有無を判定することがで
き、簡便な寿命計としても用いることができる。
【0028】以上の実施例は鉛蓄電池の電解液の濃度に
感応するセンサであったが、同じ原理で作動する液体濃
度センサをさまざまな分野に適用することができる。例
えば前述したように、イオン交換器により硬水を軟水化
するプラントにおいては、逆洗用塩水の濃度をある範囲
に保つように自動制御する必要性がある。
【0029】図6は、係る装置における塩水濃度の判定
装置に適用した例を示している。同図に示すように、貯
留手段である塩水タンク10内に測定対象液である塩水
11が貯留されており、この塩水11に浸漬するように
して本発明に係るフロート5を配置する。このフロート
5内に充填された液体の濃度は、必要な塩水の濃度と等
しいか、若干小さくしている。この時、移動範囲を規制
し、どの場所に存在しているかをセンサで検出するため
に、移動範囲規制手段たる所定のケース12内に挿入さ
せた状態で、そのケース12ごと塩水タンク10内に浸
漬させている。
【0030】そして、このケース12は、側面がメッシ
ュ上とし、測定対象の円錐11がケース11内に自由に
流入可能となっている。これにより、ケース11内の塩
水の濃度と、塩水タンク10内(ケース11の外)の塩
水の濃度は同一のものとなる。
【0031】ケース12の側面下方にファイバ光電セン
サ8aを配置し、ケース12の側面上方にファイバ光電
センサ8bを配置する。そして、この光電センサ8a,
8bは上記した実施例と相違して透過型のセンサを用い
ている。
【0032】従って、タンク10内の塩水の濃度が所望
の値以上である場合には、フロート5は浮くため、光電
センサ8aがオンになる。一方、塩水濃度が不足してい
る場合には、濃度の大きいフロート5の重量が大きいの
で沈み、その結果上方の光電センサ8bがオンになり、
下方の光電センサ8aはオフになる。
【0033】そして、各光電センサ8a,8bの出力が
塩水濃度判定器13に送られ、そこにおいてタンク10
内の塩水11の濃度が一定値以上か否かを判断し、濃度
が不足(一定値未満)する場合には、所定の警報信号を
出力する。上記判定器13における判定処理は、上記し
たフロート5の位置とセンサ出力の関係に基づきフロー
ト8aの信号がオフで、フロート8bの信号がオンの時
に濃度不足と判定し、異常信号を出力する。
【0034】なお、本実施例では、フロート5を、ケー
ス12内に挿入配置したが、本発明はこれに限る必要は
ない。そしてこのように、移動範囲をある程度規制した
のは、センサでそのフロートの位置を確実に検出するた
めである。従って、例えば、図7に示すように、フロー
ト5の外形状とほぼ同じ内形状を有する筒状の保持体1
2′を用い、その保持体12′内にフロート5を挿入配
置しても良い。この場合、保持対12′の側面や、上面
等がメッシュ状,孔開きその他のタンク10内の塩水1
1が、保持体12′内に流入可能な構成となっている。
これにより、塩水11の濃度と、フロート5のそれの大
小関係に基づき、フロート5は保持体12′にガイドさ
れて、昇降移動する。また、移動範囲規制手段として、
保持対12′に替えて同図に示すように、フロート5に
紐13(他端はタンク10の底面に固定されている)を
取付けても良い。また、外部から視認可能であれば、必
ずしも係るケース,保持体,紐等の移動範囲規制手段を
設けることなく、そのまま単独で供給しても良い。
【0035】さらに、本発明に係るフロートの利用態様
としては、上記した実施例に限ることなく、たとえば自
動車のラジエターに供給される不凍液(冷却水)の凍結
温度を知ることに用いることができる。すなわち、本発
明のフロートをラジエターまたはラジエターに接続され
るホース内等の不凍液が存在する部分に、濃度の異なる
フロートを複数挿入配置する。すると、現在の冷却水の
濃度よりも小さい濃度の基準液が封入されたフロートが
浮上するため、各フロートの浮沈状態から、その不凍液
の濃度を検出することができる。そして、濃度が求まる
と、所定の演算式(濃度が高い(不純物が多い)ほど凍
結温度は低くなることに鑑みた式)に基づいて凍結温度
を求めることができる。すると、本発明のフロートは温
度依存性がなく、その液体(不凍液)の濃度を正確に求
めることができるので、ラジエターのように使用時の温
度変化が大きく(0〜100℃或いはその範囲以上)て
も、精度良く測定できる。
【0036】
【発明の効果】本発明によるフロートを測定対象液体に
入れておけば、フロート内の封入液体は測定対象液体と
同じ温度に保たれる。測定対象液体の温度が上昇して熱
膨張すると、それと同じ膨張率で封入液体が膨張する。
封入液体が膨張すると前記の可変ボリューム容器の体積
がその分だけ増大する。ただしフロート全体の質量は一
定である。つまり、フロートの質量は一定であるが、そ
の体積が測定対象液体とほぼ同じ割り合いで熱膨張す
る。そのため、測定対象液体の温度が変化した場合のフ
ロートの浮沈位置による測定値は液体の質量に対応しな
いが、液体の濃度に対応したものとなる。
【0037】つまり、本発明の液体濃度センサは浮きば
かり式の比重計と同様なきわめて簡便な原理で動作し、
従来のように浮きばかり式の比重計で液体の比重を測定
し、また温度計で液温を測定して液体濃度に換算すると
いう面倒な測定操作と後処理が不必要で、液温に係わり
なく液体濃度を直接的に測定できる。
【0038】従って、例えば蓄電池のバッテリー液の濃
度を測定することができ、従来比重と温度から演算(換
算)処理して求めていた充電率や寿命判定を、フロート
の浮き沈みの状態により簡単に求めることができる。
【0039】また、濃度の異なる液体を充填したフロー
トを複数用意し、それを測定対象液中に供給するように
した場合は、その各フロートの浮沈によりおよその濃度
を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液体濃度センサ用フロートのいく
つかの実施例を示す図である。
【図2】微調整部材を内蔵した本発明のフロートの実施
例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例による液体濃度センサを備え
た鉛蓄電池の構成図である。
【図4】比重と充電状態の関係を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例による液体濃度センサを備
えた鉛蓄電池の構成図である。
【図6】本発明の他の実施例による液体濃度センサを備
えた塩水濃度測定器の構成図である。
【図7】本発明の他の実施例による液体濃度センサを備
えた塩水濃度測定器の構成図である。
【符号の説明】
1 可変ボリューム容器 1a 球形部 1b 蛇腹部 1c ダイヤフラム部 1d ダイヤフラム部 2 中空容器 3 鉛蓄電池 4a、4b 液体濃度センサ 5a、5b フロート 6a、6b ガイド部材 7 キャップ 8a、8b 光電センサ
【数1】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄肉の外殻体で形成された中空の容器で
    あり、かつ外殻体の少なくとも一部が柔軟に変形して容
    積が変化する可変ボリューム容器に、適宜な熱膨張率の
    液体を封入したことを特徴とする液体濃度センサ用フロ
    ート。
  2. 【請求項2】 前記外殻体の一部または全部が蛇腹状に
    形成され、この蛇腹部分の変形によって容積が変化する
    ように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液
    体濃度センサ用フロート。
  3. 【請求項3】 前記外殻体の一部が特に薄肉に形成され
    たダイヤフラム部となっており、このダイヤフラム部の
    撓みによって容積が変化するように構成されたことを特
    徴とする請求項1に記載の液体濃度センサ用フロート。
  4. 【請求項4】 前記可変ボリューム容器内に前記封入液
    体より比重の小さい所定体積の微調整部材を入れたこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体濃度
    センサ用フロート。
  5. 【請求項5】 前記微調整部材は容積の変化しない小さ
    な中空容器に気体を封入したものであることを特徴とす
    る請求項4に記載の液体濃度センサ用フロート。
  6. 【請求項6】 気体が封入された小さな一定容積の微調
    整用中空部が前記外殻体と一体的に形成されていること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体濃度
    センサ用フロート。
  7. 【請求項7】 測定対象液中において、請求項1〜6の
    いずれかに記載のフロートが移動範囲規制手段によって
    規制される範囲内で、その測定対象液の濃度に応じて自
    由に浮沈できるように配置されていることを特徴とする
    液体濃度センサ。
  8. 【請求項8】 前記配置されるフロートは、濃度が異な
    る複数個のフロートから構成されることを特徴とする請
    求項7に記載の液体濃度センサ。
  9. 【請求項9】 前記移動範囲規制手段が、所定形状のケ
    ースからなり、 そのケースは外部と連通状態となり、前記測定対象液が
    前記ケース内に流入自在としてなることを特徴とする請
    求項7または8に記載の液体濃度センサ。
  10. 【請求項10】 前記移動範囲規制手段が、前記フロー
    トと前記測定対象液が入った貯留手段内の所定位置を連
    結する紐状物であることを特徴とする請求項7または8
    に記載の液体濃度センサ。
  11. 【請求項11】 前記フロートの位置を非接触で検出す
    る位置センサを有することを特徴とする請求項7〜10
    のいずれか1項に記載の液体濃度センサ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054816A1 (ja) * 2003-12-05 2005-06-16 Nec Corporation 燃料濃度検知センサおよびそれを用いた燃料電池用燃料容器
JP2009168639A (ja) * 2008-01-17 2009-07-30 Miura Co Ltd 濃度検知装置
WO2023248813A1 (ja) * 2022-06-23 2023-12-28 日本電気株式会社 濃度計測方法、濃度計測装置、プログラム

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