JPH08178090A - 摺動部材およびこれを用いたディスクバルブ - Google Patents

摺動部材およびこれを用いたディスクバルブ

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JPH08178090A
JPH08178090A JP32730694A JP32730694A JPH08178090A JP H08178090 A JPH08178090 A JP H08178090A JP 32730694 A JP32730694 A JP 32730694A JP 32730694 A JP32730694 A JP 32730694A JP H08178090 A JPH08178090 A JP H08178090A
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hard carbon
carbon film
amorphous hard
film
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Koichi Nagasaki
浩一 長崎
Jun Mihara
順 三原
Michihiko Koshida
充彦 越田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】摺動部材をなす基体の表面に、略球状をした突
起を有する非晶質硬質炭素膜を被覆する。また、互いに
摺動する少なくとも一方の弁体をなす基体の表面に、略
球状をした突起を有する非晶質硬質炭素膜を被覆してデ
ィスクバルブを形成する。 【効果】平滑な摺接面を持った摺動部材との摺動におい
ても疑着やスティックスリップ等を生じることがなく、
常に滑らかで安定した摺動特性を長期間にわたって維持
することができる。しかも、膜の剥離を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォーセットや薬液用
バルブなどのディスクバルブを構成する弁体、ベーンを
備えたベーンポンプ、内燃機関などのシリンダ、ピスト
ン、およびカム、メカニカルシール、軸受、あるいはス
ライド装置などに使用される摺動部材およびこれを備え
たディスクバルブに関するものである。
【0002】
【従来技術の説明】従来、摺動部材を構成する材料とし
ては、高硬度でかつ高強度を有し、しかも耐摩耗性、耐
薬品性、耐蝕性の点で優れるセラミックスが使用されて
いるが、セラミックスは一般的に摩擦係数が大きく、ま
た、摺動中に摩擦係数が不規則に変動して滑らかに摺動
しなくなるスティックスリップや摺動部材同士が互いに
引っついて動かなくなる疑着といった現象を生じ易く、
摺動特性はそれほど良いものではなかった。
【0003】その為、摺動部材をなす基体を3次元網目
構造を有する多孔質セラミックスで形成し、その開気孔
中に潤滑性を有する樹脂等を充填した摺動部材が提案さ
れている(特公平2−28548号公報、特公平3−1
274号公報参照)。
【0004】しかし、このような摺動部材は、その摺動
特性を樹脂等による潤滑特性のみに頼ったものであり、
滑らかな摺動特性を長期間維持することは難しいもので
あった。しかも、基体が多孔質セラミックスからなるた
め、強度が低く破損の恐れがあるとともに、摩耗し易い
といった課題があった。
【0005】そこで、今日では基体の表面に非晶質硬質
炭素膜を備えた摺動部材が提案されている(特開平1−
261570号公報参照)。
【0006】非晶質硬質炭素膜とは、一般に合成疑似ダ
イヤモンド膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、ダイヤ
モンド状カーボン膜、DLC膜、I−カーボン膜と呼ば
れている炭素膜のことであり高硬度材料である一方、そ
れ自体に自己潤滑性を有しているため、摺動特性の改善
を図ることができるものであった。
【0007】また、フォーセットバルブや薬液用バルブ
などのディスクバルブにおいても弁体材料としてセラミ
ックスが使用されているが、ディスクバルブには摺動特
性のほかに水漏れを生じないことが要求されていること
から、平滑な摺接面同士の摺動としなければならなかっ
た。
【0008】その為、互いに摺動する少なくとも一方の
弁体を、セラミックスからなる基体の表面に非晶質硬質
炭素膜を被覆した摺動部材により形成したディスクバル
ブが提案されている(特開平3−172683号公報、
特開平3−223190号公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、非晶質硬質
炭素膜を被覆した摺動部材の摺接面は非常に平滑な面を
しているために、相手部材が平滑な摺接面を有する摺動
部材で、しかも、押圧力が大きい時には、平滑な摺接面
同士の摺動となるために非晶質硬質炭素膜の持つ自己潤
滑作用をもってしても摩擦係数を十分低減することがで
きず、それほど優れた摺動特性を得ることはできなかっ
た。しかも、相手部材が硬質の材料から構成されている
と、高硬質材同士の摺動となるために、摺動時には双方
の摺接面を引っ掻いてキーキーといった異音を生じると
いった課題もあった。
【0010】また、異材質からなる基体への非晶質硬質
炭素膜の膜付けは、基体の表面状態や基体との熱膨張差
などを考慮しなければならず、非常に難しいものであっ
た。例えば、基体の表面粗さを粗くしすぎると、摺接面
を滑らかにするために非晶質硬質炭素膜の膜厚を厚くし
なければならず、膜付けに多大な時間を費やすことにな
るとともに、膜厚を厚くしすぎたことにより剥離を生じ
る恐れがあった。逆に、基体の表面粗さを滑らかにしす
ぎると、非晶質硬質炭素膜が基体の表面に存在する凹部
に入り込んで食い付くというアンカー効果が十分に得ら
れず、やはり膜の剥離を生じていた。さらに、基体と非
晶質硬質炭素膜の熱膨張差が大きすぎると、膜付けを終
えたあとに、基体の表面と非晶質硬質炭素膜との間に引
張力が働き、やはり十分な接合強度が得られなかった。
その結果、摺動時に膜の剥離を生じていた。しかも、膜
付けされた非晶質硬質炭素膜内には圧縮応力が残留する
ため、この圧縮応力も剥離の原因に寄与していた。
【0011】このように、非晶質硬質炭素膜からなる摺
接面を備えた摺動部材であっても未だ摺動特性および膜
の剥離の点について満足できるものは得られていなかっ
た。その為、上記摺動部材からなる弁体を備えるディス
クバルブにおいても、摺動特性に大きなバラツキを生じ
たり、膜の剥離等により水漏れや摺動抵抗の増大、さら
には異音の発生などを生じていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本件発明者ら
は、摺接面を構成するのに最適で、かつ剥離の生じ難い
非晶質硬質炭素膜について種々研究を重ねた結果、ある
条件下で膜付けすれば、表面に球状をした複数の突起を
有する非晶質硬質炭素膜が得られることを見出し、この
非晶質硬質炭素膜を基体の表面に被覆して摺動部材を構
成したものである。
【0013】また、本発明は、上記摺動部材でもって、
互いに摺動する少なくとも一方の弁体を形成してディス
クバルブを構成したものである。
【0014】
【実施例】以下、本発明実施例を説明する。
【0015】図1は本発明実施例に係る摺動部材を示す
斜視図であり、図2は固定弁体を図1の摺動部材により
形成したディスクバルブの一例であるフィーセットバル
ブを示す斜視図である。
【0016】図1に示す摺動部材10は、金属やセラミ
ックスからなる基体12の表面に、球状をした複数の突
起を有する非晶質硬質炭素膜13を被覆して摺接面11
を構成してある。
【0017】次に、図2に示すフォーセットバルブ40
は、可動弁体20と固定弁体30を互いの摺接面21,
31で接した状態として、操作レバー45により可動弁
体20を動かすことによって、互いの弁体20,30に
備えた流体通路24,34の開閉を行い、供給流体の開
閉、調整などの制御をするようになっており、そのう
ち、固定弁体30は図1に示す摺動部材10と同様に、
金属やセラミックスからなる基体32の表面に、球状を
した複数の突起を有する非晶質硬質炭素膜13を被覆し
て摺接面31を構成してあり、可動弁体20は耐摩耗性
および耐蝕性に優れるステンレスや真鍮などの金属、あ
るいはアルミナ質、ジルコニア質、炭化珪素質、窒化珪
素質などのビッカース硬度(Hv)が1000kg/m
2 以上を有するセラミックスにより形成してある。
【0018】ところで、上記非晶質硬質炭素膜13と
は、非常に緻密で結晶粒界が見られず、ガラスを割った
ような形態をした非晶質構造をしたもので、グラファイ
トやダイヤモンドの同定によく使用されるラマン分光分
析装置を使って調べると、ダイヤモンドのピーク位置で
ある1333cm-1とグラファイトのピーク位置である
1550cm-1の近傍にそれぞれピークを持ったもので
ある。なお、本発明に係る非晶質硬質炭素膜13は、ピ
ークがダイヤモンドあるいはグラファイトのいずれか一
方に偏っていても良く、好ましくはダイヤモンドのピー
ク位置に偏っているものの方が良い。さらに、高硬度を
有する相手部材との摺動においても短期間で摩耗するこ
とがないようビッカース硬度(Hv)3000kg/m
2 以上の非晶質硬質炭素膜13であることが好まし
い。
【0019】また、本発明で言う球状をした複数の突起
を有する非晶質硬質炭素膜13とは、図3(a)に示す
ように、膜の表面に球状をした突起13aが単独または
連設した状態で存在した構造をしたものであり、図3
(b)に示すように平滑な面からなる従来の非晶質硬質
炭素膜とは明らかに異なった構造をしたものである。な
お、図3(a)の下側に存在する大きな窪みは基体12
の表面に存在する窪みである。
【0020】その為、上記摺動部材10の摺接面11上
には、ミクロ的に見た場合微細な凹凸が多数存在するた
め、相手部材との接触面積を大幅に低減することができ
るとともに、非晶質硬質炭素膜13の持つ自己潤滑作用
と相まって常に滑らかでかつ安定した摺動特性を得るこ
とができる。しかも、非晶質硬質炭素膜13の表面に存
在させた突起13aは球状をしたものであることから、
高い押圧力のもとでの摺動においても優れた摺動特性が
得られるとともに、相手部材を摩耗させることがなく、
その上、引っ掻き等による異音を生じることもない。
【0021】そして、図2に示すフォーセットバルブ4
0では、高硬質の金属やセラミックスからなる可動弁体
20との摺動においても異音を生じることなく、常に安
定した弁体操作が可能である。
【0022】また、上記非晶質硬質炭素膜13は、PV
D法やCVD法などの薄膜形成手段を用いて真空度、フ
ィラメント、アノードおよびカソードに印加する電圧、
炭化水素ガスの流量、および基体の表面温度等を調整す
ることにより、炭素イオンからなる球状体を生成し、該
球状体を基体12,32の表面に堆積させることで形成
することができる。
【0023】その為、1つ1つの球状体に発生する応力
を非常に小さくすることができることから、圧縮応力の
残留が殆どない非晶質硬質炭素膜13とすることがで
き、基体12,32との歪みを吸収して膜13の剥離を
防ぐことができる。その上、1つ1つの球状体は、基体
12,32の表面に存在する微小な窪みやボイド、ある
いは表面欠落部などに入り込むため、基体12,32の
表面を平滑に仕上げたとしても十分なアンカー効果が得
られ、非晶質硬質炭素膜13を強固に接合させることが
できる。その結果、大きな押圧力の下での摺動において
も膜13の剥離を生じることがない。
【0024】さらに、上記非晶質硬質炭素膜13の表面
に設けてある突起13aは、好ましくは10〜1000
nmの平均曲率半径を有する球状をした突起13aとし
たものが良い。
【0025】これは、平均曲率半径が10nmより小さ
くなると、隣合う突起13aとの間隙が小さくなり過ぎ
て摺接面11,31が平滑な面となってしまうために摺
動特性の改善効果が殆ど得られないためであり、逆に、
平均曲率半径が1000nmより大きくなると、膜付け
の際に炭素イオンからなる球状体が、基体12,32の
表面に存在する微細な窪みやボイド、あるいは表面欠落
部に入り込み難くなり、十分なアンカー効果が得られ
ず、摺動時に膜13の剥離を生じる恐れがあるからであ
り、さらには、この摺動部材10をディスクバルブの固
定弁体30として使用した時には、隣合う突起13aと
の隙間が大きくなり過ぎるために、上記隙間より水漏れ
を生じる恐れがあるためである。
【0026】なお、上記球状をした突起13aの平均曲
率半径は、摺接面11,31を構成する非晶質硬質炭素
13の表面を金属顕微鏡またはSEM(走査型電子顕微
鏡)により、適当な倍率で写真を撮影し、該写真上へ任
意に引いた直線と交差する突起13aの個数を求め、こ
れから求めた平均コード長さを平均曲率半径として求め
ることができる。具体的には、写真より4個以上の球状
をした突起13aが連設した箇所を任意に4箇所見つけ
て線を引く。そして、各線の長さの和Lを求めるととも
に、各線と交差する突起13aの数Nを数え、下式にそ
れぞれの数値を代入することにより平均曲率半径Hを求
めることができる。
【0027】H=L/N また、本発明に係る摺動部材10では、上記非晶質硬質
炭素膜13の膜厚tも非常に重要な要件となる。
【0028】即ち、非晶質硬質炭素膜13の膜厚tが
0. 5μmより薄くなると、相手部材が硬質材からなる
場合、短期間のうちに膜13が摩耗してしまい、逆に、
膜厚tが2. 0μmより厚くなると、膜厚tにバラツキ
を生じ始めるために平坦度の確保が困難になるととも
に、ディスクバルブの固定弁体30として使用した時に
は水漏れを生じる恐れがある。その為、非晶質硬質炭素
膜13の膜厚tは0. 5〜2. 0μmとすることが好ま
しい。
【0029】次に、球状をした複数の突起13aを有す
る非晶質硬質炭素膜13の膜付け方法について説明す
る。
【0030】例えば、PVD法により膜付けする場合、
摺動部材をなす基体12,32を真空チャンバー内のカ
ソード(陰極)盤の上にセットし、真空チャンバー内を
10-2〜10-1Pa程度の真空度とするとともに、雰囲
気ガスとなるC66 ガスを供給する。そして、上記カ
ソード(陰極)盤とほぼ対向する位置に配置するホーロ
ーカソード銃内に配置したフィラメントに70V程度の
電圧を印加して発熱させることにより、C66 ガスを
熱分解してラジカルな炭素イオンからなる球状体を生成
させると同時にカソード(陰極)盤にも100V程度の
電圧を印加することにより、ホーローカソード銃からカ
ソード(陰極)盤上へ向かって上記球状体が照射される
ため、基体12,32に球状体をした炭素イオンが次々
に堆積し、基体12,32の表面に球状をした突起13
aを有する非晶質硬質炭素膜13を形成することができ
る。なお、成膜時の基体12,32の温度は100℃程
度が良い。
【0031】また、上記雰囲気ガスとしてはC6 6
けに限定するものではなく、C2 4 、C4 10などの
炭化水素ガスであれば、膜の表面に球状をした突起13
aを有する非晶質硬質炭素膜13を形成することができ
る。
【0032】なお、図2に示すフォーセットバルブ40
では、固定弁体30を図1に示す摺動部材10で形成し
たが、逆に可動弁体20を図1に示す摺動部材10で形
成しても良く、さらには両弁体20,30を図1に示す
摺動部材10で形成しても良い。
【0033】また、上記実施例では、平面状の摺接面同
士を摺動させた例を示したが、この他に球面状の摺動面
同士を摺動させたもの、あるいは平面状をした摺接面と
球面状をした摺動面とを摺動させたものであっても良
い。その為、本発明に係る摺動部材はディスクバルブだ
けに限らず、ベーンポンプのベーン、内燃機関などのシ
リンダ、ピストン、およびカム、メカニカルシールや軸
受、あるいはスライド装置などに最適に用いることがで
きる。。
【0034】〔実験例〕非晶質硬質炭素膜の構造および
膜厚をそれぞれ変化させた固定弁体30を備えるフォー
セットバルブ40を試作し、摺動特性および異音の有無
について測定した。
【0035】この実験において双方の弁体をなす基体は
アルミナセラミックスにより形成してあり、該アルミナ
セラミック製の基体は、90%以上の純度を有し、かつ
平均粒子径3μmのα型アルミナ粉末に、焼結助剤とし
てSiO2 を0. 5重量%と、MgOとCaOをそれぞ
れ0. 2重量%添加し、さらに成形助剤を加えたのち、
24時間ボールミルにて攪拌したあと、スプレードライ
ヤーにて顆粒を製作した。そして、この顆粒を金型プレ
スによって所定の円盤状に成形し、切削加工にて流体通
路をなす貫通孔を穿設したあと、酸化雰囲気中で約16
00℃の焼成温度にて焼成することにより、外径25m
m、厚み7mmで、かつ直径5mmの流体通路を備えた
可動弁体20と、外径36mm、厚み5mmで、かつ直
径5mmの流体通路を備えた固定弁体30をなす基体を
得た。そして、可動弁体20の表面は中心線平均粗さ
(Ra)0. 1μmの鏡面に研磨して摺接面21を構成
した。
【0036】また、固定弁体30をなす基体32は真空
チャンバー内のカソード基盤上にセットしたあと、雰囲
気ガスとしてC66 ガスを用いて、真空度、ガス流
量、フィラメント電圧、カソード電圧、成膜温度、成膜
時間をそれぞれ調整することにより膜の構造および膜厚
の異なる非晶質硬質炭素膜を被覆して固定弁体30を形
成した。
【0037】実験装置は図4に示すように、試料となる
固定弁体30に可動弁体20をケーシングによって30
Kgfの軸力で押さえつけた状態でフォーセット40
(給水栓)にセットしてあり、可動弁体20を動かす操
作レバー45には電動モータ50とリンクさせたロード
セル46が取り付けてある。そして、フォーセット40
(給水栓)に80℃の温水を1Kg/cm2 の圧力で注
入した状態で、操作レバー40を動かすのに必要な最大
荷重をロードセル46によって検出し、その値を操作力
とした。また、フォーセット40(給水栓)内にはセン
サを取り付け、温水の漏れを検知するようにした。
【0038】さらに、フォーセット40(給水栓)から
50mm離した位置には騒音計47を取り付け、操作レ
バー40を動かした際に発する異音を測定した。
【0039】なお、本実験では、1万回以上の摺動にお
いて双方の弁体20,30が殆ど摩耗することなしに
0. 6Kg以下の操作力を維持することができ、かつ騒
音計47により測定した音が60デジベル未満のものを
優れているとした。
【0040】なお、膜の構造と膜厚、およびそれぞれの
結果は表1に示す通りである。
【0041】
【表1】
【0042】表1より判るように、試料No.20〜2
5では、固定弁体30に被覆した非晶質硬質炭素膜の表
面が平滑な面をしたものであるために可動弁体20との
疑着等により膜の剥離を生じた。しかも、摺動時には騒
音計で60デジベル以上のキーキーといった異音も発生
した。
【0043】また、試料No.26〜30では、固定弁
体30に針状をした突起を有する非晶質硬質炭素膜を被
覆してあるために可動弁体20の摺接面を短期間で削っ
てしまい、水漏れを生じた。
【0044】これに対し、試料No.1〜20の本発明
のものでは、固定弁体30に球状をした突起を有する非
晶質硬質炭素膜を被覆してあるため、60デジベル以上
の異音はなく、また、双方の弁体を摩耗させることな
く、1万回以上の摺動においても0.6kg以下の操作
力を維持することができた。
【0045】また、特に試料No.7〜9および12〜
14は、球状をした突起の平均曲率半径が10〜100
0nmで、かつ膜厚が0.5〜2.0μmの範囲にある
ため、10万回以上の摺動においても水漏れを生じるこ
となく、0.6kg以下の操作力を維持することができ
た。
【0046】次に、上記実験のうち可動弁体20の材質
を炭化珪素質セラミックス、TiCを主成分とするサー
メット、および真鍮に変えて同様に摺動特性および異音
の有無について測定した。
【0047】炭化珪素質セラミック製可動弁体20を組
み合わせた結果は表2に、TiCを主成分とするサーメ
ット製可動弁体20を組み合わせた結果は表3に、およ
び真鍮製可動弁体20を組み合わせた結果は表4にそれ
ぞれ示す通りである。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】表2〜4より判るように、可動弁体20の
材質を他のセラミッスや金属により形成したものと組み
合わせたとしても固定弁体30に球状をした突起を有す
る非晶質硬質炭素膜を被覆することにより、摺動時の音
を60デジベルより小さくすることができるとともに、
双方の弁体20,30を摩耗させることなく、1万回以
上の摺動においても0.6kg以下の操作力を維持する
ことができた。
【0052】また、試料No.37〜39、42〜4
4、67〜69、72〜74、97〜99、および10
2〜104は、球状をした突起の平均曲率半径が10〜
1000nmで、かつ膜厚が0.5〜2.0μmの範囲
にあるため、10万回以上の摺動においても水漏れを生
じることなく、0.6kg以下の操作力を維持すること
ができた。
【0053】
【発明の効果】以上のように、本発明は、基体の表面に
球状をした突起を有する非晶質硬質炭素膜を被覆して摺
動部材を構成したことにより、平滑な摺接面を持った摺
動部材と摺動させても疑着やスティックスリップ等を生
じることがなく、また、異音の発生もないというよう
に、常に滑らかで安定した摺動特性を長期間にわたって
維持することができる。
【0054】また、本発明は、互いに摺動する弁体のう
ち少なくとも一方の弁体をなす基体の表面に、球状をし
た突起を有する非晶質硬質炭素膜を被覆してディスクバ
ルブを構成したことにより、水漏れおよび膜の剥離がな
く、かつ疑着やスティックスリップ等を生じることがな
く、常に滑らかで安定した摺動特性を長期間にわたって
維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る摺動部材を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る摺動部材を備えるディスクバルブ
を示す斜視図である。
【図3】非晶質硬質炭素膜の表面構造を示す図であり、
(a)は本発明に係る摺動部材に被覆した非晶質硬質炭
素膜であり、(b)は従来の摺動部材に被覆した非晶質
硬質炭素膜である。
【図4】実験装置を示す模式図である。
【符号の説明】
10 摺動部材 11 摺接面 12 基体 13 球状をした複数の突起を有する非晶質硬質炭素膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体の表面に、球状をした複数の突起を有
    する非晶質硬質炭素膜を被覆して摺接面を構成したこと
    を特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】互いに摺動する弁体のうち少なくとも一方
    の弁体をなす基体の表面に、球状をした複数の突起を有
    する非晶質硬質炭素膜を被覆したことを特徴とするディ
    スクバルブ。
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