JPH08178088A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH08178088A
JPH08178088A JP6326451A JP32645194A JPH08178088A JP H08178088 A JPH08178088 A JP H08178088A JP 6326451 A JP6326451 A JP 6326451A JP 32645194 A JP32645194 A JP 32645194A JP H08178088 A JPH08178088 A JP H08178088A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】レーザーラマン分光法によるラマンスペクトル
のピークが1200〜1400cm-1と1500〜16
00cm-1の少なくとも一方の範囲にあり、上記ピーク
は平坦部分に対する強度比が2倍以上であり、かつ上記
ピークにおける最大強度の90%以上の頂部の幅が10
cm-1以上であるような非晶質硬質炭素膜を形成して摺
動部材を構成する。 【効果】長期間にわたって優れた摺動性と耐摩耗性を維
持することの可能な摺動部材を得ることができる。ま
た、レーザーラマン分光法によって非晶質硬質炭素膜の
結晶構造を管理できることから、バラツキがなく安定し
た特性の摺動部材を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバルブやメカニカルシー
ルやスライダーなどに用いられる摺動部材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】水栓や湯水混合栓等に用いられるディス
クバルブは、2枚の円盤状の弁体を互いに摺接した状態
で相対摺動させることによって、各弁体に形成された流
体通路の開閉がなされる。例えば、水栓や湯水混合栓と
して使用されているフォーセットバルブは図2に示され
るように、固定弁体30と可動弁体20を互いの摺接面
21、31で接した状態にしておき、レバー40の操作
で、可動弁体20を動かすことによって互いの弁体2
0、30に形成した流体通路22、32の開閉を行い、
供給流体の流量調整をするようになっていた。
【0003】そして、上記可動弁体20及び固定弁体3
0は、摺動性やシール性を保つために高い寸法精度が要
求される上、互いに絶えず摺り合わされるために、摩耗
が激しく、また、常に流体にさらされるために腐食も激
しいことから、近年、高精度に加工されることが可能で
あり、耐摩耗性や耐触性に優れたセラミックスにより形
成されるようになってきた。
【0004】ところで、摺動性とシール性は相反するも
のであり、シール性を高めるために、摺接面を極めて平
滑な面とし、これらの摺接面を持った一対の弁体同士を
摺り合わせると、引っかかりや異音が発生し、さらには
互いの弁体が張り付いて動かなくなるというリンキング
(凝着)が生じることがあった。また、リンキングまで
に至らなくても、操作回数を重ねるにつれ、次第にレバ
ー操作力が上昇して行くことも知られていた。
【0005】そこで、このリンキングを防ぐために、様
々な解決策が提案されている。例えば、弁体を三次元網
目構造の多孔質セラミックスとし、この開気孔中に潤滑
材として樹脂やオイル等を含浸させたものがある(特開
昭61−206875号、特開昭61−244980
号、特開昭62−4949号、特開昭62−37517
号、特公平5−50475号等各公報参照)。
【0006】また、この様な液体潤滑材を用いたもの以
外にも、固体潤滑材を使ったものとして、特開平1ー2
61570号公報に「摺動面にダイアモンド状カーボン
薄膜を形成したメカニカルシール」に係わる発明が、特
開平3ー223190号公報に「アモルファスダイアモ
ンド薄膜を形成したセラミック製摺動部構造」に係る発
明がそれぞれ開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記三次元網目構造の
多孔質セラミックスに液体潤滑材を含浸させた摺動部材
では、その液体潤滑材としてエンジン油、スピンドル
油、ダイナモ油、タービン油、フッ素系オイル、シリコ
ーン系オイル等が採用されている。しかし、この摺動部
材を水栓、湯水混合栓等に適用すると、上記の潤滑材が
人体に取り込まれる可能性が高く、人体に対して害とな
る恐れがあるという問題点があった。また、このような
摺動部材は製造が困難で、摺動面の硬度が低いという不
都合もあった。
【0008】一方、特開平3ー223190号公報等に
て開示されているアモルファスダイアモンドや合成疑似
ダイアモンドなど、いわゆる非晶質硬質炭素膜をコーテ
ィングした摺動部材では、確かに操作力の改善が図ら
れ、軽快な操作力を得ることができる場合もあるが、そ
の操作力にはバラツキがあり、長期使用中にしだいに操
作力が上昇していくなど安定性に欠けるものであった。
【0009】これは、上記非晶質硬質炭素膜が主として
非晶質な構造から構成されていることは明らかでも、そ
れ以上の詳細な内部構造についての管理がされていなか
ったためである。すなわち、摺動性に最も影響を及ぼす
非晶質硬質炭素膜の内部構造の評価が未確立であったた
めに、様々な構造の非晶質硬質炭素膜を持つ摺動部材が
混在したまま製品として使われ、この結果が当然ながら
摺動性のバラツキとなって表れていたのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上のような問題に鑑み
て、本発明は摺動部材の摺接面に形成する非晶質硬質炭
素膜として、レーザーラマン分光法によるラマンスペク
トルのピークが1200〜1400cm-1と1500〜
1600cm-1の少なくとも一方の範囲にあり、上記ピ
ークは平坦部分に対する強度が2倍以上であり、かつ上
記ピークにおける最大強度の90%以上の頂部の幅が1
0cm-1以上となるようにしたものである。
【0011】
【実施例】以下本発明の実施例を図によって説明する。
【0012】図1は、本発明の摺動部材の一例であるフ
ォーセットバルブを構成する弁体のみを示している。可
動弁体20はセラミックスからなる円盤状体で流体通路
22を有し、一方の面を摺接面21としてある。また、
固定弁体30はセラミックスからなる円盤状体で、流体
通路32を有し、一方の面に非晶質硬質炭素膜34を形
成して摺接面31としてある。
【0013】そして、これら固定弁体30と可動弁体2
0が互いの摺接面21、31で接した状態としておい
て、可動弁体20を動かすことによって、互いの弁体に
備えた流体通路22、32の開閉を行い、供給流体の開
閉、調整などの制御をするようになっている。
【0014】この時、固定弁体30の摺接面31が非晶
質硬質炭素膜34から成るため、摺動性、耐摩耗性が高
く、レバーによる可動弁体20の操作力を低くすること
ができる。
【0015】また、上記固定弁体30や可動弁体20を
形成する材質としては、ヤング率が21000〜450
00kg/mm2 、ビッカース硬度(Hv)が1000
kg/mm2 以上であるような極めて硬く変形しにくい
セラミックスを用い、具体的にはアルミナ、ジルコニ
ア、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムを主成分と
するセラミックスが最適である。
【0016】これらの原料に対しアルミナであればSi
2 、MgO等、窒化珪素に対しては周期律表2a、3
a族元素の酸化物又は窒化物、炭化珪素に対してはC、
B、Al2 3 等、ジルコニアに対してはY2 3 、C
aO、MgO、CeO2 等を添加して焼成すればよく、
実質的に3%以上の収縮を伴うことによって強固で堅牢
かつ靱性および耐摩耗性に優れたセラミックスを得るこ
とができる。そして、固定番体30側は、得られたセラ
ミックスに対して摺接面を研磨したのち、非晶質硬質炭
素膜34をコーティングすれば良い。
【0017】ここで、上記非晶質硬質炭素膜(別名:合
成疑似ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボ
ン、DLC、I−カーボン)とは、PVD法やCVD法
などの薄膜形成手段によって得られる炭素膜のことをい
い、その極めて低い摩擦係数により良好な摺動性が得ら
れるものである。また、この非晶質硬質炭素膜はビッカ
ース硬度(Hv)が3000〜5000kg/mm2
あるなど、非常に高い硬度もあわせ持っている。
【0018】ところで、この非晶質硬質炭素膜は元素で
言えばダイヤモンド等と共に炭素(C)として包括さ
れ、比重で言えば黒鉛や無定形炭素に近く、硬度など物
性的にはダイヤモンドに近似しているという特徴を持
つ。ゆえに、元素分析や比重、硬度、絶縁性、屈折率な
どの測定による分類は困難とされている。
【0019】そして、CVD法やPVD法などの気相合
成法によれば、上記非晶質硬質炭素膜はもちろんのこ
と、無定形炭素やグラファイトなどの各種結晶質カーボ
ン、さらにはダイヤモンドさえまでもが形成可能なため
に、得られた膜の特定が困難で、品質管理をしにくいと
いった欠点があった。
【0020】したがって、このような炭素膜の識別を行
うためには、炭素膜の内部構造に敏感に反応するような
分析方法が必要であり、本発明ではレーザー分光分析法
を用いることにした。つまり、レーザーラマン分光分析
法とはラマンスペクトルを測定することによって、材料
の構造や結晶性等を詳細に分析できる手法であり、その
ため好ましい特性を持った非晶質硬質炭素膜を特定する
ことができるのである。
【0021】なお、上記ラマンスペクトルとは次に示す
ようなラマン散乱光を観測したものである。即ち、試料
にレーザー光を照射すると、光の電場のために原子や電
子の電子分布がひずみ、原子や分子の分極が生じる。こ
の分極が試料中に存在する格子振動等によって変調され
ると、電子分極はレーザー光と同じ振動数の光(レーリ
ー光)の他に、異なる振動数をもつ非弾性散乱光を持つ
ようになり、これをラマン散乱光というのである。
【0022】そして、本発明者等が種々実験を行った結
果、上記非晶質硬質炭素膜をレーザーラマン分光法によ
り分析した時のラマンスペクトルのピークが、以下に示
す条件を満たすようにすれば良いことを見出したのであ
る。
【0023】即ち、本発明の非晶質硬質炭素膜のラマン
スペクトルの好適な例のチャート図を図3に示すよう
に、ピークは1200〜1400cm-1と1500〜1
600cm-1の少なくとも一方の範囲に存在し、最も高
い強度のピークにおいて、ピーク強度IA はピーク以外
の平坦部の強度IB に対する強度比IA /IB が2倍以
上となっており、かつ上記ピークにおける最大強度IA
の90%以上の範囲を頂部とした時、この頂部の幅dが
10cm-1となるようなブロードなピークとなっていれ
ば良いのである。そして、このようなブロードなピーク
形状を有する非晶質硬質炭素膜は、摺動時に膜が剥離す
ることなく、しかも極めて滑らかな摺動性を得られるの
である。
【0024】ちなみに、各種炭素材料にレーザーラマン
分光分析を行った時のラマンスペクトルを図4に示す。
図4(a)に示すようにダイヤモンドでは1331cm
-1に極めてシャープなピークが観測され、また完全なグ
ラファイト構造(無限の平面リング構造)をしているH
OPG(Highly Oriented Pyrol
ytic Graphite)では図4(b)のように
1581cm-1付近に単一のシャープなピークを示し、
グラファイト構造が乱れて結晶子の大きさが200Å程
度となった熱分解炭素(PG:Pyrolytic G
raphite)では図4(c)のように1355cm
-1にもピークがあらわれる。
【0025】これらの図4に示すピークは、いずれも最
大強度の90%以上である頂部の幅が10cm-1よりも
小さいような極めてシャープなピークである点で、上記
本発明の条件を満たしていない。そのため、これらのH
OPGやPGなどのグラファイト、あるいはダイヤモン
ドのラマンスペクトルを示す炭素膜をセラミックス製の
固定弁体30に形成し、セラミックス製の可動弁体20
と組み合わせて摺動させると、膜が剥離したり、短期間
で操作力がアップしたりしやすく、必要な摺動性を得る
ことが困難となる。
【0026】なお、本発明の摺動部材において、非晶質
硬質炭素膜を形成する母材表面の平坦度は3μm以下、
好ましくは1μm以下とし、また表面粗さ(中心栓平均
粗さ:Ra)は0.5μm以下が望ましい。これは、平
坦度が3μmを超えるか又は表面粗さ(Ra)が0.5
μmを超えるとリークの恐れが生じるためである。ま
た、非晶質硬質炭素膜の膜厚Tは0.1〜2.0μmの
範囲が望ましい。これは、膜厚Tが0.1μmより小さ
いと長期的な摺動によって膜が摩滅してなくなってしま
う恐れがあり、一方膜厚Tが2.0μmより大きいと膨
大な成膜時間を要し、実用的でなくなるためである。
【0027】実際に、非晶質硬質炭素膜の膜厚Tを種々
に変化させた時の、製作性と10万回摺動試験を行った
後の耐久性について評価したところ、表1に示すように
膜厚Tが0.1〜2.0μmの範囲内であれば、製作
性、耐久性の両方を満足できることがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】以上の実施例では、ディスクバルブを構成
する固定弁体30に非晶質硬質炭素膜34を形成した摺
動部材を説明してきたが、可動弁体20側に非晶質硬質
炭素膜を形成して、固定弁体30側はセラミックス単体
で形成しても良い。あるいは可動弁体20と固定弁体3
0の両方に非晶質硬質炭素膜を形成すればさらに好適で
ある。
【0030】また、非晶質硬質炭素膜34と摺動する相
手材としては、上記実施例ではセラミックスと摺動する
例を示したが、金属材や樹脂材等を相手材としても好適
な摺動性を示すことができる。
【0031】さらに、上記実施例では平面同士を摺動さ
せるディスクバルブの例を示したが、この他に摺動面が
円筒状や球面状等となったものでも本発明のセラミック
ス摺動部材を適用することもできる。
【0032】したがって、本発明のセラミックス摺動部
材は、ディスクバルブに限らず、ボールバルブやその他
の各種弁部材、あるいはメカニカルシール、軸受、スラ
イダーなど様々な用途に用いることができる。
【0033】実験例 次に、本発明に係る摺動部材を図1のフォーセットバル
ブに例をとり、実験した結果を説明する。
【0034】フォーセットバルブを構成する固定弁体3
0は、純度96%のアルミナ粉末を出発原料とし、これ
に0.5重量%のSiO2 と0.2重量%のMgOとC
aOを添加し、さらにバインダーを加え、24時間攪拌
後、スプレードライし、まず平均粒子径3.7μmのア
ルミナ造粒体を得た。この造粒体を金型プレスによって
円盤形状に成形した後、酸化雰囲気中で約1600℃の
焼成温度にて焼成し、研削加工と研磨加工を施して、表
面に非晶質硬質炭素膜34のコーティングを施すことに
より、直径5mmの流体通路32を有し、外径32m
m、厚み5mm、平坦度1μm以下の固定弁体30を得
た。
【0035】なお、固定弁体30側の非晶質硬質炭素膜
34の形成については次のような方法で行った。すなわ
ち、まず10Pa程に減圧した真空チャンバー内のタン
グステンヒータを備えた基板に固定弁体30を取り付
け、メタン(CH4 )ガスと水素(H2 )ガスを導入し
ながら、チャンバー内に組まれた電極間にマイクロ波
(周波数2.45GHz)を印加する。すると、メタン
ガスはプラズマ分解し、固定弁体30がセットされてい
る基板上に堆積し、炭素(C)からなる膜が得られるの
である。
【0036】このようなマイクロ波プラズマCVD法に
よって、固定弁体30の表面には炭素成分の膜を得るこ
とができるが、ここでタングステンヒータによって加熱
する基板の温度を常温〜800℃の間で変化させたり、
ガスの流量Qを1〜30cc/分の間で変化させたり、
あるいは真空度Pを0.01〜6000Paの間で変化
させる等、成膜条件を広範囲に変化させることによっ
て、様々な炭素構造をとる膜を形成した。
【0037】そして、このようにして得られた炭素膜に
対してレーザーラマン分光分析を行ったところ、図5〜
8に示すように、それぞれ固有のラマンスペクトルを持
つNo.1〜11の11種類の膜が得られた。
【0038】なお、このときのレーザーラマン分光分析
装置の測定条件は、レーザー波長488nm、中心波数
1400cm-1、露光時間0.5秒、積算時間100回
としたが、この条件以外でも1200〜1600cm-1
付近のラマンスペクトルが精度良く測定できればかまわ
ない。
【0039】一方、これらの炭素膜をその他の方法で分
析したところ、X線マイクロアナライザーを使った元素
分析ではいずれも炭素(C)しか検出されず、全ての膜
が炭素成分で成り立っているという以上何もつかめなか
った。また、同様に比重、電気抵抗、硬度の測定装置、
さらにはX線回折や透過型電子顕微鏡を用いても、上記
のようにラマンスペクトルで分類された11種類の炭素
膜を明確に識別することは不可能であった。したがっ
て、レーザーラマン分光法を用いることにより、各種炭
素膜をより厳密に分析できることがわかった。
【0040】なお、図5〜8に示すレーザラマン分光分
析で得られた11種類のラマンスペクトルにおいて、N
o.1の1331cm-1にシャープなピークが観測され
るものはダイヤモンドであり、No.2の1581cm
-1付近に単一のシャープなピークを示すものは完全なグ
ラファイト構造(無限の平面リング構造)をしているH
OPG(Highly Oriented Pyrol
ytic Graphite)であり、No.3の15
81と1355cm-1にシャープなピークを示すものは
熱分解炭素(PG:Pyrolytic Graphi
te)であることは知られているが、その他の膜構造解
析については現在まで明解な見解は得られていない。
【0041】しかし、材質名は特定できないにしても、
レーザーラマン分光分析法を用いれば炭素膜を非破壊、
非接触で、その場で直ちに測定可能なうえ、高分解能と
いった特長を持っている。そのため、レーザーラマン分
光分析による製品評価は、摺動性など製品特性と相関が
得られれば、理想的な品質管理体制を確立でき、品質維
持には欠かせない評価方法となり得ることがわかる。
【0042】一方、可動弁体20としては、固定弁体3
0と同じアルミナセラミックス単体で構成し、直径5m
mの流体通路22を有し、外径25mm、厚み7mm、
摺接面21の平坦度1μm以下とした。
【0043】そして、図2に示すように、上記可動弁体
20およびNo.1〜11の各種炭素膜を備えた固定弁
体30を互いの摺接面21、31が摺動するようにケー
シングによって軸力30kgfで押さえつけながら給水
栓にセットし、80℃の温水を1kg/cm2 の圧力で
注入し、レバー40を操作することにより出湯量を制御
可能なフォーセットバルブを製作した。
【0044】このようなフォーセットバルブに対し、可
動弁体20をレバー40によって摺動させる試験を20
万回行い、その後、可動弁体20を摺動させるときに必
要なレバー40の押し付け力をプッシュプルゲージで測
定し、操作力とした。
【0045】結果は表2に示す通りである。この結果よ
り、ダイヤモンド、HOPG、PGからなるNo.1〜
3の炭素膜を備えたものでは、ピークの最大強度の90
%以上の範囲である頂部の幅が10cm-1未満とシャー
プなピークであるため、滑らかな操作力の基準である
0.6kg以下の摺動性を20万回以上の長期にわたっ
て満たすことができなかった。
【0046】またNo.4、5の炭素膜はピークの位置
が本発明の範囲内になく、しかもシャープなピークであ
り、さらにNo.6〜8の炭素膜は平坦部に対するピー
クの最大強度の比が2倍未満であることから、いずれも
0.6kg以下の摺動性を20万回以上の長期にわたっ
て満たすことができなかった。
【0047】これらに対し、本発明実施例であるNo.
9〜11の炭素膜は、ラマンスペクトルのピークが12
00〜1400cm-1と1500〜1600cm-1の少
なくとも一方の範囲にあり、ピークの平坦部分に対する
強度比が2倍以上であり、かつピークの最大強度の90
%以上の範囲である頂部の幅が10cm-1以上のブロー
ドなピーク形状を有していることから、0.6kg以下
の摺動性を20万回以上の長期にわたって満たすことが
できた。
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、レーザ
ーラマン分光法によるラマンスペクトルのピークが12
00〜1400cm-1と1500〜1600cm-1の少
なくとも一方の範囲にあり、上記ピークは平坦部分に対
する強度比が2倍以上であり、かつ上記ピークにおける
最大強度の90%以上の頂部の幅が10cm-1以上であ
るような非晶質硬質炭素膜を形成して摺動部材を構成し
たことによって、長期間にわたって優れた摺動性と耐摩
耗性を維持することの可能な摺動部材を得ることができ
る。また、本発明によれば、レーザーラマン分光法によ
って非晶質硬質炭素膜の結晶構造を管理できることか
ら、バラツキがなく安定した特性の摺動部材を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摺動部材を用いたフォーセットバルブ
の弁体のみを示しており、(a)は斜視図、(b)は
(a)中のX−X線断面図である。
【図2】一般的なフォーセットバルブを示す概略斜視図
である。
【図3】本発明の摺動部材における非晶質硬質炭素膜の
ラマンスペクトルを示すチャート図である。
【図4】比較例である炭素膜のラマンスペクトルを示す
チャート図である。
【図5】各種炭素膜のラマンスペクトルを示すチャート
図である。
【図6】各種炭素膜のラマンスペクトルを示すチャート
図である。
【図7】各種炭素膜のラマンスペクトルを示すチャート
図である。
【図8】各種炭素膜のラマンスペクトルを示すチャート
図である。
【符号の説明】
20:可動弁体 30:固定弁体 21、31:摺接面 22、32:流体通路 34:非晶質硬質炭素膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】摺接面に非晶質硬質炭素膜を備えてなる摺
    動部材において、上記非晶質硬質炭素膜は、レーザーラ
    マン分光法によるラマンスペクトルのピークが1200
    〜1400cm-1と1500〜1600cm-1の少なく
    とも一方の範囲にあり、上記ピークは平坦部分に対する
    強度比が2倍以上であり、かつ上記ピークにおける最大
    強度の90%以上の頂部の幅が10cm-1以上であるこ
    とを特徴とする摺動部材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018119682A (ja) * 2017-01-26 2018-08-02 Toto株式会社 水栓バルブ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018119682A (ja) * 2017-01-26 2018-08-02 Toto株式会社 水栓バルブ

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