JPH08177143A - 吸音構造 - Google Patents

吸音構造

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JPH08177143A
JPH08177143A JP6335536A JP33553694A JPH08177143A JP H08177143 A JPH08177143 A JP H08177143A JP 6335536 A JP6335536 A JP 6335536A JP 33553694 A JP33553694 A JP 33553694A JP H08177143 A JPH08177143 A JP H08177143A
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glass cloth
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glass
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Shigeki Wataya
重規 綿谷
Takehiro Sato
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い光の透過性を保持しつつ、大きな吸音性
を持つ吸音構造を提供する。 【構成】 室内空間を形成する外膜1の内側に、空気層
2aを介して設けられたガラスクロス3aと、ガラスク
ロス3aの内側に、空気層2bを介して設けられたガラ
スクロス3bとを有する吸音構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スポーツをはじめとし
た各種イベント空間として用いられる膜構造物等、光の
透過性(透光性)を有する室内空間に適用される吸音構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】膜構造空間の室内環境上の特徴として、
外部の光が取り入れられて、光の透過性が高いことか挙
げられる。このような空間をスポーツをはじめとした各
種イベント空間として用いる場合、特別な処置を行なわ
ないと室内の残響時間が長すぎ、スポーツ競技時の合図
や指示が聞き取れず、講演時には会話の明瞭度が著しく
低下してしまう。また、音楽の演奏がわんわんと響くな
どの障害も生じる。このように、膜構造空間において室
内音の明瞭度を向上させるには、残響時間を短くするこ
とが必要であり、そのためには室内に吸音材を設置しな
ければならない。このような高い吸音性を得るために、
従来では、吸音材としてガラスウールなどの多孔質吸音
材を使用するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、膜構造空間の
場合、壁面に吸音材を設置することは可能であるが、天
井面には透過性の点で設置不可能である。また、高い光
の透過性を保持し、吸音力を得るためにはグラスウール
などの吸音材を吊下げる方法が用いられるが、吊下げ吸
音体の場合、大きな吸音力を得るためには、吊下げる吸
音材の長さを長くしたり、設置間隔を小さくして密度を
上げることが必要となる。その場合、問題点として、光
の透過性の点から吸音力に限度が生じることや意匠的な
問題が挙げられる。このように、従来の膜構造物におい
ては、高い光の透過性を有し、かつ吸音性能も大きくす
ることは困難であった。
【0004】そこで、本発明は、前記従来技術の問題点
に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高
い光の透過性を保持しつつ、大きな吸音性を持つ吸音構
造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、膜構造物等の光の透過性を有する室内
空間の吸音構造において、上記室内空間を形成する外膜
の内側に、第1の空気層を介して設けられた第1のガラ
スクロスと、この第1のガラスクロスの内側に、第2の
空気層を介して設けられた第2のガラスクロスとを有す
る。ここで、空気層厚が変化した方が吸音の周波数特性
が平坦化するため好ましいが、空気層厚は一定でも可能
である。また、前記第1及び第2のガラスクロスは、前
記室内の天井面に設置されている。
【0006】
【作用】本発明では、ガラスクロスを二重に用いること
により、高い光の透過性を保持しつつ、大きな吸音性を
得るようにした。ここで、膜構造空間の吸音性を向上さ
せるためには、膜構造空間に吸音材を設置する必要があ
る。この吸音材としては、上述のようにガラスウールな
どの多孔質吸音材が一般的に使用されている。多孔質吸
音材は、多孔性を有する材料が、吸音作用に優れている
ことを利用した吸音材である。つまり、材料表面及び内
部にある細孔の中で音のエネルギーは振動および摩擦な
どで熱エネルギーなどに変換されて吸収される。
【0007】この多孔質材料においては、空気の粘性が
吸音性能に大きく影響し、吸音率は単位面積流れ抵抗
(材料中での空気の流れに対する抵抗)と関係がある。
周波数が高い場合は、適度な流れ抵抗があると吸音率は
大きくなる。このように、通常の建物では、多孔質吸音
材は大きな吸音率を得るために効果的である。
【0008】しかし、膜構造空間などの場合は、高い光
の透過性が必要であるという室内環境上の特徴を有する
ので、光の透過性の小さい一般の多孔質材料は膜構造空
間には不向きである。そこで、膜構造空間において、透
過性を犠牲にすることなく高度な吸音性を得るために、
光の透過性の高いガラスクロスを吸音材として使用する
ことにしたのである。この場合、ガラスクロスを一重に
設けただけでは、ガラスクロス中を通過してしまう音の
エネルギーのため、中程度の吸音性能は得られるが大き
な吸音性能は得られない。
【0009】よって、本発明では、ガラスクロスを二重
に設置して、裏側のガラスクロスに流れ抵抗を増す働き
をさせることにより吸音性能を向上させて大きな吸音性
能が得られるようにした。具体的には、外膜の内側に、
第1の空気層を介して第1のガラスクロスを設け、さら
に、この第1のガラスクロスの内側に、第2の空気層を
介して2のガラスクロスを設けた。このように構成すれ
ば、裏側(室内から見た場合)のガラスクロス(第1の
ガラスクロス)が抵抗材となり、全体として適度な流れ
抵抗が得られる。
【0010】このように、本発明では、ガラスクロスを
二重に設置することにより、高い光の透過性を保持しつ
つ、多孔質材料に相当する流れ抵抗を得て吸音性を向上
させた。なお、吸音率は、材料の厚さや取付け方法によ
っても変化するが、各ガラスクロスを、空気層の厚さが
中心部で大きく固定端で小さくなるように設置すれば、
吸音率の周波数特性が平坦となり良好な吸音性能が得ら
れる。
【0011】
【実施例】本発明の実施例を図により説明する。図1
は、本発明の吸音構造を示す部分断面図である。膜構造
空間は外膜1により形成され、例えば、スポーツをはじ
めとした各種イベント空間として用いられる。この外膜
1の内側には、空気層2aを介してガラスクロス3aが
設置されている。さらに、ガラスクロス3aの内側には
空気層2bを介してガラスクロス3bが設置されてい
る。このガラスクロス3a,3bは、複数の固定部材4
(例えば、パイプ、鉄骨などの構造部材)により固定さ
れている。
【0012】ここで、内膜であるガラスクロス3a,3
b(ガラス布)は、例えば、長繊維のガラス繊維を糸に
して織ることにより形成される。空気層2a,2bの厚
さとしては、例えば、100mm〜300mm程度以上
が好ましい。このようにして二重に形成されたガラスク
ロス3a,3bは、膜構造空間の壁面と天井面にそれぞ
れ設置するのが望ましい。
【0013】ここで、一重膜のガラスクロスを用いた場
合の残響室法吸音率の試験結果を図2に示す。試験にお
いては、背後空気層を400mmに設定した。また、流
れ抵抗のそれぞれ異なるガラスクロス(1)(2)
(3)を使用して試験を行なった。ガラスクロス(1)
(2)は適度な流れ抵抗を有し、ガラスクロス(3)は
小さい流れ抵抗を有する。ここで、吸音率とは、音波が
物体に入射する時に、入射エネルギーから反射エネルギ
ーを引いた値と入射エネルギーとの比のことであるが、
残響室法吸音率は、残響室で測定した時に得られる、あ
らゆる入射角に対する平均値に対応する。この残響室法
吸音率は周波数の関数なので、図2では横軸に中心周波
数を、縦軸に残響室法吸音率を取った。
【0014】流れ抵抗が小さいガラスクロス(3)を使
用した場合、ガラスクロス(3)中を音波が通過してし
まうため大きな吸音性能は得られないことがわかる。最
大の吸音率(中心周波数4KHz付近)でも0.2に満
たない。一方、適度な流れ抵抗を持ったガラスクロス
(1)(2)を使用した場合には、ある程度の吸音性能
が得られることがわかる。ガラスクロス(1)の最大吸
音率(中心周波数3KHz付近)は0.7程度である。
ガラスクロス(2)の場合は、最大吸音率(中心周波数
3KHz付近)は0.65程度である。しかし、グラス
ウールのような高度な吸音性能までは及ばない。
【0015】次に、多孔質材料であるグラスウールを使
用した場合の残響室法吸音率の試験結果を図3に示す。
この試験においては、グラスウールの厚さを50mm
に、背後空気層を100mmに設定した。図3から明ら
かなように、最大吸音率(500Hz付近)は、ほぼ1
に等しい。これに対して、一重膜のガラスクロスを用い
た場合(図2参照)の吸音率は、中音域では、ガラスク
ロス(3)では0.1にも満たず、ガラスクロス(2)
では0.5程度であり、ガラスクロス(3)では0.6
程度である。
【0016】次に、ガラスクロス(1)(2)を二重に
設置した二重膜を使用した場合の残響室法吸音率の試験
結果(二重丸実線)を図4に示す。図4に示す特性は、
グラスウールを用いた場合の特性(図3)と類似してい
ることがわかる。例えば、500Hz付近の中心周波数
の吸音率はほぼ1に等しい。
【0017】以上の実験結果から、ガラスクロス(3
a,3b)を二重に設置することにより、ガラスクロス
を一重に設置する場合に比べて吸音性能が向上し、高性
能な吸音材の代表であるグラスウール(32kg/m
3 )に匹適する非常に大きな吸音率が得られることがわ
かる。これは、裏側のガラスクロス(3a)が流れ抵抗
を増す働き(抵抗材)をし、全体として適度な流れ抵抗
が得られるからである。
【0018】しかも、光の透過性の高いガラスクロスを
吸音材として使用したので、透過性を犠牲にすることな
く高度な吸音性能を得ることができる。光の透過性は、
ガラスクロス単体の場合、例えば、ガラスクロス(1)
では48%、ガラスクロス(2)では34%と極めて高
いため、ガラスクロス(1)(2)を組み合わせた場合
でも16%以上(二重膜内の光の拡散効果を考慮すると
30%近くになる)となり十分な透過率が得られる。
【0019】なお、吸音率は、材料の厚さや取付け方法
によっても変化するが、図5に示すように、空気層2
a,2bの厚さを一定とせずに、各ガラスクロス3a,
3bを、空気層2a,2bの厚さが中心部で大きく両端
部で小さくなるように、複数の固定部材4(例えば、パ
イプ、鉄骨などの構造部材)で固定すれば、より吸音率
の周波数特性が平坦化し、良好な特性となる。
【0020】なお、上記実施例では、膜構造物を例にと
って説明したが、本発明はこれに限定されず、光の透過
性と吸音性能が求められる他の室内空間にも適用可能で
ある。また、上記実施例では、ガラスクロスを内膜とし
て用いたが、ガラスクロスと同様な透過性、吸音性を有
する他の均等材料にも本発明は適用可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、高い光の透過性を保持
しつつ、高い吸音性能が得られる。また、吊下げ吸音体
に比べ均一な光の透過性が得られ、意匠上の制約もな
い。また、一重膜に比べ高い吸音性が得られる。さら
に、設置手間が少なく簡便に施工できコストも安い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸音構造を示す部分断面図である。
【図2】一重膜のガラスクロスを用いた場合の残響室法
吸音率の試験結果を示す図である。
【図3】多孔質材料であるグラスウールを使用した場合
の残響室法吸音率の試験結果を示す図である。
【図4】ガラスクロスを二重に設置した場合の残響室法
吸音率の試験結果を示す図である。
【図5】本発明の他の吸音構造を示す部分断面図であ
る。
【符号の説明】
1 外膜 2 空気層 3 ガラスクロス 4 固定部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E04B 1/99 A G10K 11/162 11/16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】膜構造物等の光の透過性を有する室内空間
    の吸音構造において、上記室内空間を形成する外膜の内
    側に、第1の空気層を介して設けられた第1のガラスク
    ロスと、この第1のガラスクロスの内側に、第2の空気
    層を介して設けられた第2のガラスクロスとを有するこ
    とを特徴とする吸音構造。
  2. 【請求項2】前記第1及び第2のガラスクロスは、前記
    室内の天井面に設置されていることを特徴とする請求項
    1に記載の吸音構造。
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