JPH081744A - 射出成形機の制御方法 - Google Patents

射出成形機の制御方法

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JPH081744A
JPH081744A JP13591594A JP13591594A JPH081744A JP H081744 A JPH081744 A JP H081744A JP 13591594 A JP13591594 A JP 13591594A JP 13591594 A JP13591594 A JP 13591594A JP H081744 A JPH081744 A JP H081744A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 品質のよい成形品を安定して得るために、射
出工程時に金型内の溶融物の動的挙動を表現する数式を
正確に表わし、高精度な指令値を算出することにより所
望する射出工程を実現する。 【構成】 金型内での溶融物の動的挙動を流動解析より
得られる数式P(t)、Q(t)などで表現するととも
に、その他の動的挙動を表わすf(t)と連立して指令
値U(t)を求める。また、前記P(t)、Q(t)を
金型内での溶融物の動的挙動と等価の動的挙動を示す等
価円筒に置換して表現し指令値U(t)を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチック製品やア
ルミ製品などを成形する射出成形機において、特に射出
工程を高精度に制御する射出成形機の制御方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の射出成形機の要部構成を簡
略化して示す概要図であり、図7を用いて油圧駆動式射
出成形機における成形方法を説明する。ペレット状の樹
脂またはアルミニウムを加熱によって溶融状態にされた
成形材料は、加熱シリンダ2の注入口5を介してプラン
ジャ4前部に注入され貯留される。
【0003】射出工程では油圧ポンプ13と配管10c
により接続された油圧作動バルブ12に成形機制御装置
16より電圧による指令値が送られ、それに応じて油圧
作動バルブ12のスプールが開き、作動油が配管10b
を通じて射出シリンダ7のヘッド側油圧室8bに流れ込
むようになっている。
【0004】そして、ヘッド側油圧室8bに作動油が流
入するとピストン9aには前方(図中左方向)へ動く力
が働きピストンロッド9bとともに、プランジャ4は前
進するのである。
【0005】この時、ロッド側油圧室8a内の作動油は
配管10aを通ってタンク11へ流れる。プランジャ4
の前進に伴いプランジャ4前部の溶融物6はノズル3を
介し金型14の固定側14aと可動側14bの間にある
金型キャビティ14c部に流入、充填される。
【0006】成形材料が金型14内で冷却され溶融状態
から固化した後、可動側金型14bが移動しキャビティ
14cの形状に賦形された成形品が取出される。その後
金型14は閉じられ次の射出工程に備える。
【0007】前記した射出工程において、どのような圧
力、速度状態で溶融物6を金型キャビティ14cに充填
するかが、品質のよい成形品を成形するために極めて重
要である。
【0008】そのため、熟練者の勘、良品が成形できた
時の状態、あるいはCAE(コンピュータ支援技術)計
算を用い、最適なプランジャ4の前進速度、ノズル3部
での射出圧力などを算出し、品質のよい成形品を得よう
とする。
【0009】しかしながら、従来の射出成形の場合に
は、油圧作動バルブ12の開き遅れ、配管10b、ヘッ
ド側油圧室8b内の作動油の弾性、溶融物6の弾性、プ
ランジャ4の質量などによる速度の立ち上がり遅れなど
により、成形機制御装置16から適切な電圧値を油圧作
動バルブ12に指令しても、前記したような最適なプラ
ンジャ4速度や射出圧力は実現できず、そのために、プ
ランジャ4速度は速度センサ15にて測定し、またノズ
ル3部での射出圧力は圧力センサ17で測定し、その測
定結果をフィードバックにより制御していた。
【0010】ここで、前述したような従来行われていた
良品を成形するための制御方法の中で、射出工程の諸々
の動的挙動を数式で表現し、それらを解くことにより、
最適な指令値を算出し制御する方法を詳述する。
【0011】まず、油圧作動バルブ12の挙動を表現す
る数式を作成する。
【0012】図8に示すように、油圧作動バルブ12に
入力される指令電圧をe、油圧作動バルブ12に装着さ
れて作動油の流量を調整するスプールの位置をW、指令
電圧eとスプールの位置Wの関係を表わすバルブ定数を
V 、時定数をτ1 、時間をtとすると指令電圧eとス
プールの位置Wは一次遅れの関係にあるので、
【0013】
【数1】
【0014】となる。次に油圧ポンプ13で発生する圧
力をPS 、油圧作動バルブ12の入側の圧力をPA 、時
定数をτ2 とすると、PS とPA との関係も一次遅れで
表現でき、
【0015】
【数2】
【0016】となる。油圧作動バルブ12出側の圧力を
B 、スプールの位置Wと作動油流量の関係を示す定数
をKg とすると、油圧作動バルブ12を流れる作動油の
流量Q L は、
【0017】
【数3】
【0018】となる。次に射出成形機の射出機構をモデ
ル化した数式を作成する。
【0019】図9に示す射出シリンダ7のピストン9a
の位置をx(ピストン9aが後退限から少し前進した状
態)とし、後退限(図9中でピストン9aが右方向に移
動限まで進んだ状態)の位置をx=0とする。
【0020】この時の油圧作動バルブ12とピストン9
a間の作動油の体積(ヘッド側油圧室8bと配管10b
との合計の容積)をV1 とする。作動油の体積弾性係数
をK h とし、ヘッド側油圧室8bおよび配管10b内の
作動油の圧力PB と等しく、また、ピストン9aの断面
積はA1 とすると、これら作動油の圧力と体積との関係
は、
【0021】
【数4】
【0022】となる。次にピストン9a、ピストンロッ
ド9b、プランジャ4など射出時に運動する部品の総質
量をm、射出時にプランジャ4前部の溶融物に発生する
圧力をPC 、プランジャ4の断面積をA2 とする。
【0023】ピストン9aおよびその他の摺動部に発生
する摩擦力はピストン9aの前進速度に比例するのでB
f (dx/dt)となっているので、運動方程式は
【0024】
【数5】
【0025】となる。次にプランジャ4が後退限、すな
わちx=0の位置にある時の溶融物6の体積をV2 、ノ
ズル3を介して金型キャビティ14c内に流入する溶融
物6の流量をQC 、溶融物6の体積弾性係数をKP とす
ると、溶融物6の圧力と体積の関係より
【0026】
【数6】
【0027】となる。次に、金型キャビティ14cを図
10に示すように円筒形状であるとする。円筒の直径を
h 、流動長さをhL 、溶融物の粘度をμとすると、流
動先端の圧力は0なので、流量と圧力の関係はハーゲン
・ポアズの式より
【0028】
【数7】
【0029】となる。また、流動長さhL と流量QC
関係は、
【0030】
【数8】
【0031】となる。以上(1)〜(7)の7式により
射出成形機の射出工程での動的挙動が全て数式で表現さ
れた。ここで、KV 、τ1 、PS 、τ2 、Kg 、Kh
1 、A1 、m、Bf 、KP、V2 、μ、Dh は定数で
あり既知である。また、変数はe、W、PA 、PB 、P
C 、x、QC 、hL の8つであり時間tの関数である。
【0032】射出工程を最適な状態で行うため、プラン
ジャ4の目標速度をdx(t)/dt=f(t)と設定
した場合、
【0033】
【数9】
【0034】より、x(t)が決まり変数が7つになる
ので前述した(1)〜(7)の式を連立させて解くこと
により油圧作動バルブ12への指令電圧e(t)が算出
される。
【0035】前記(1)〜(7)式にはバルブの開き遅
れ、その他の遅れ要素が表現されているため、このe
(t)を成形機制御装置16から油圧作動バルブ12へ
指令すれば目標どおりの射出パターンdx(t)/dt
=f(t)が実現できる。
【0036】また、射出工程を最適な状態で行うため、
溶融物6のノズル3部での目標射出圧力をPC (t)=
f(t)と設定した場合でも、前述したと同様に指令電
圧e(t)が算出される。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した
(1)〜(5)式は射出成形機と溶融物6の体積弾性係
数のみより算出されるために動的挙動をかなり正確に記
述している式である。
【0038】しかし、金型14内における溶融物6の動
的挙動を表現した(6)、(7)式は、キャビティ形状
が円筒形である場合の圧力、流量、体積の関係を示すも
のであり、このように金型キャビティ14c形状が単純
な円筒や平板状であれば、動的挙動を簡単かつ正確に数
式化でき、(1)〜(5)式と連立して解けば精度のよ
いe(t)が算出でき所望する射出工程が実現できる。
【0039】しかしながら、図11に示すようなバケツ
形状のものであれば、それを正確に表現する関係式がな
いため、むりやり図12に示すように、大小の円筒を重
畳的につなげたモデルに近似した数式で表現する。
【0040】また、キャビティ14c形状がさらに複雑
になっても円筒や平板モデルで近似しなければならず、
これに対して金型14内での溶融物6の動的挙動はキャ
ビティ14c形状に大きく左右されるため、(1)〜
(7)式から算出して得られた油圧作動バルブ12の指
令値e(t)も誤差が大きくなる結果、図13に示すよ
うに射出工程の目標値に対して実際の値との差は大きく
なり、所望する射出工程が実現できないという問題点が
あった。
【0041】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、品質のよい成形品を安定して得られるため
に、射出工程時における金型内の溶融物の動的挙動を表
現する数式を正確に表わし、高精度な指令値を算出する
ことにより所望する射出工程を実現する制御方法を提供
することにある。
【0042】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明における第1の発明では射出成形機に
おける射出工程中に射出成形機内と金型内で発生する諸
々の動的挙動を複数の数式を用いて表現し、また射出工
程での制御目標となる射出速度あるいは射出圧力などの
目標値は時間などを変数とした関数f(t)で表現して
おき、前記動的挙動を表現する数式と前記f(t)とを
連立して解くことにより、制御装置から油圧作動バルブ
や電気モータなどの射出装置を動かすアクチュエータに
出力する最適な指令値U(t)を算出し、目標どおりの
射出状態f(t)を実現する射出成形機の制御方法にお
いて、キャビティ形状に大きな影響を受けるため数式で
表現することが困難な金型内での溶融物の動的挙動は、
キャビティ形状を微小要素に分割したモデルを作成し、
有限要素法あるいは境界要素法など数値解法を利用した
金型内流動解析を用い、圧力あるいは流動などを時間を
変数とした関数P(t)、Q(t)で求めることによ
り、金型内での溶融物の動的挙動を正確な数式P
(t)、Q(t)などで表現するとともに、その他の動
的挙動を表現する数式とf(t)とを連立して解き高精
度な指令値U(t)を算出し、射出工程を所望する射出
状態f(t)に制御し、さらに第2の発明では有限要素
法あるいは境界要素法など数値解法を利用した金型内流
動解析から求まる圧力、流量などの時間を変数とした関
数P(t)、Q(t)より、前記金型内での溶融物の動
的挙動と等価の動的挙動を示す円筒形、円錐形、平板形
など簡単な数式で表現することにより、高精度な指令値
U(t)を算出し、射出工程を所望する射出状態f
(t)に制御するようにした。
【0043】
【作用】金型キャビティ形状に大きく左右される金型内
における溶融物の動的挙動はコンピュータ計算による金
型内流動解析から得られる結果を用い正確に表現する。
このことにより数式表現の困難な複雑なキャビティ形状
をした金型内の溶融物の動的挙動が高精度に表現され、
射出工程全体が正確に記述されるので、所望するプラン
ジャ速度や射出圧力の射出状態f(t)を射出成形機を
表示する(1)〜(5)式と金型内の動的挙動を表わす
Q(t)、P(t)の式に代入して成形機制御装置より
出力される指令値を正確に計算し制御すれば、所望する
状態の射出工程が実現できる。
【0044】
【実施例】以下に、本発明に係る成形機の制御方法の具
体的実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0045】図1は金型内に溶融物を充填する時の挙動
を流動解析した時の時間と流量の関係を表わす図、図2
は金型内に溶融物を充填する時の挙動を流動解析した時
の時間と圧力の関係を表わす図、図3は図1に示す流動
解析結果を直線近似した時の図、図4は図3に示す流動
解析結果を直線近似した時の図、図5は流動解析結果を
金型キャビティと等価の円筒モデルに置き換えた等価円
筒モデル図、図6は本発明に係る制御方法で制御した時
目標値と実測値が一致したことを表わす図である。
【0046】射出成形機の動的挙動を示す(1)〜
(7)式は従来の技術で述べたものと同じであるからそ
の詳細な説明を省略し、以下図面を用いて本発明との関
係箇所のみ説明する。
【0047】まず、本発明に係る実施例では、コンピュ
ータ計算による金型14内の流動解析(Moldflow、C−
Flow)を用いて、所望する射出充填状態下におけるノズ
ル3を介して金型14内に流入する流量Qと時間tとの
関係(Q(t))を算出し、図1に示すように表示でき
る。
【0048】また、前述の流動解析を用いて金型キャビ
ティ14c内への射出圧力と時間との関係(P(t))
を算出し、図2に示すように表示できる。
【0049】このQ(t)とP(t)が金型14内の動
的挙動を表現する式となり、キャビティ14c形状がい
くら複雑になっても流動解析により容易に算出できるの
である。
【0050】従来技術で述べた(6)式と(7)式は、
円筒金型内での動的挙動を示すので、ここでは削除する
と、(1)〜(5)式には未知数がe、W、PA
B 、P C 、x、QC の7つであるが、QC とPC は金
型内流動解析よりQ(t)、P(t)として算出されて
おり、QC =Q(t)、PC =P(t)となるので全体
として未知数は5つとなる。ここで(1)〜(5)式の
5つの式より、成形機制御装置16から出力される指令
値e(t)が算出されることになる。このe(t)が請
求項記載の指令値U(t)となる。
【0051】射出工程において成形機制御装置16から
油圧作動バルブ12にe(t)の電圧値を指令すると、
図6に示すように破線で示す射出工程の目標値と実線で
示す実測値とよく一致した射出工程が実現できる。
【0052】次にコンピュータ計算による金型内流動解
析から求まる圧力−流量−時間の関係を利用することに
より、金型14内の動的挙動と等価の動的挙動を示す円
筒形状を算出する方法を説明する。
【0053】図1に示すコンピュータ計算により求まっ
た流量と時間の関係を簡単にするため、図3に示す3段
の階段上の関数に近似する。また、図2に示す圧力と時
間の関係も図4に示すような簡単な折れ線式に近似でき
る。
【0054】図3、図4および図5を用いて解析方法を
説明すると、射出開始(t=0)から時間(t=t1
までにランナ14d部を流れる溶融物6の流量q1 は一
定で(図3)、この時の圧力は0からp1 まで直線的に
立ち上がる(図4)。
【0055】したがって、この時間に流入する体積はq
1 ×t1 となり、この時、図5に示す等価円筒1の直径
をDh1、長さをHL1とすると圧力、流量、体積の関係よ
り、次式が成立つ。
【0056】
【数10】
【0057】この2式を連立して解くと、
【0058】
【数11】
【0059】が求まる。また、時間t1 からt2 までの
間はキャビティ14c内を流れる溶融物6の流量q2
一定(図3)で、この時の圧力はp1 からp2 まで直線
的に立ち上がる(図4)。
【0060】したがって、この時間の間にキャビティ1
4c内に流入する体積はq2 (t2−t1 )となり、こ
の時、図5に示す等価円筒2の直径をDh2、長さをHL2
とすると、前述したと同様に、
【0061】
【数12】
【0062】となる。さらに、時間t2 からt3 までの
間はキャビティ14c内を流れる溶融物6の流量q3
一定(図3)で、この時の圧力はp2 からp3 まで直線
的に立ち上がる。
【0063】したがって、この時間の間にキャビティ1
4cに流入する体積はq3 (t3 −t2 )となり、この
時、図5に示す等価円筒3の直径をDh3、長さをHL3
すると、前述したと同様に、
【0064】
【数13】
【0065】となり、以上述べたように金型14内部の
ランナ14d部とキャビティ14c形状は、図5に示す
ように等価円筒1、2、3をそれぞれ3つつなげた形状
で表現できるのである。
【0066】次に、前述したようにランナ14d部およ
びキャビティ14cをそれぞれ等価円筒1〜3に置換え
た場合、溶融物6の流動先端が等価円筒1を通過する時
の流量と圧力の関係は、(6)式と(7)式より、
【0067】
【数14】
【0068】となる。また、溶融物6が等価円筒1を満
たし、流動先端が等価円筒2を通過する時の流量と圧力
の関係は、前述したと同様に
【0069】
【数15】
【0070】となる。さらに、溶融物6が等価円筒1と
2を満たし流動先端が等価円筒3を通過する時の流量と
圧力の関係は、
【0071】
【数16】
【0072】となる。以上から、射出成形機の動的挙動
を示す(1)〜(5)式と、溶融物6の流動先端より等
価円筒1〜3を流れる動的挙動を示す(11)〜(1
6)式と、最適な射出充填状態を表わすf(t)を連立
して解くことにより、成形機制御装置16から出力され
る指令値e(t)=U(t)が算出できるのである。
【0073】この金型14内を等価円筒として表現する
方法では、例えば成形現場で所望する充填状態f(t)
を変えても、再度コンピュータ計算により金型14内流
動解析をしなくてよいという利点がある。
【0074】
【発明の効果】以上述べたことからも明らかなように、
本発明における第1の発明では、射出成形機における射
出工程中に射出成形機内と金型内で発生する諸々の動的
挙動を複数の数式を用いて表現し、また射出工程での制
御目標となる射出速度あるいは射出圧力などの目標値は
時間などを変数とした関数f(t)で表現しておき、前
記動的挙動を表現する数式と前記f(t)とを連立して
解くことにより、制御装置から油圧作動バルブや電気モ
ータなどの射出装置を動かすアクチュエータに出力する
最適な指令値U(t)を算出し、目標どおりの射出状態
f(t)を実現する射出成形機の制御方法において、キ
ャビティ形状に大きな影響を受けるため数式で表現する
ことが困難な金型内での溶融物の動的挙動は、キャビテ
ィ形状を微小要素に分割したモデルを作成し、有限要素
法あるいは境界要素法など数値解法を利用した金型内流
動解析を用い、圧力あるいは流動などを時間を変数とし
た関数P(t)、Q(t)で求めることにより、金型内
での溶融物の動的挙動を正確な数式P(t)、Q(t)
などで表現するとともに、その他の動的挙動を表現する
数式とf(t)とを連立して解き高精度な指令値U
(t)を算出し、射出工程を所望する射出状態f(t)
に制御し、さらに第2の発明では、有限要素法あるいは
境界要素法など数値解法を利用した金型内流動解析から
求まる圧力、流量などの時間を変数とした関数P
(t)、Q(t)より、前記金型内での溶融物の動的挙
動と等価の動的挙動を示す円筒形、円錐形、平板形など
簡単な数式で表現することにより、高精度な指令値U
(t)を算出し、射出工程を所望する射出状態f(t)
に制御するようにしたことにより、射出工程時に射出充
填状態に大きな影響を及ぼす溶融物の金型内における動
的挙動を正確に把握することができるため、所望する射
出状態の実現が可能となり、プラスチック製品やアルミ
ニウム製品の良品への安定成形への効果は絶大となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金型内に溶融物を充填する時の挙動を流動解析
した時の時間と流量の関係を表わす図である。
【図2】金型内に溶融物を充填する時の挙動を流動解析
した時の時間と圧力の関係を表わす図である。
【図3】図1に示す流動解析結果を直線近似した時の図
である。
【図4】図3に示す流動解析結果を直線近似した時の図
である。
【図5】流動の解析結果を金型キャビティ等価の円筒モ
デルに置き換えた等価円筒モデル図である。
【図6】本発明に係る制御方法で制御した時目標値と実
測値が一致したことを表わす図である。
【図7】従来の射出成形機の要部構成を簡略化して示す
概要図である。
【図8】射出成形機の油圧系をモデル化し、各状態量を
記号化して表わした説明図である。
【図9】射出成形機の射出機構をモデル化し、各状態量
を記号化して表した説明図である。
【図10】射出成形機の金型をモデル化し、各状態量を
記号化して表した説明図である。
【図11】射出成形機で成形するバケツ形状の成形品の
概要図である。
【図12】図11に示すバケット形状をした成形品を等
価の円筒モデルに置き換えた時の等価円筒モデル図であ
る。
【図13】キャビティ形状を円筒、円錐あるいは平板形
状にむりやりに置き換え制御した時の目標値と実測値と
の差を表わすグラフである。
【符号の説明】
1 射出装置 2 加熱シリンダ 3 ノズル 4 プランジャ 5 注入口 6 溶融物 7 射出シリンダ 8a ロッド側油圧室 8b ヘッド側油圧室 9a ピストン 9b ピストンロッド 10a 配管 10b 配管 10c 配管 11 タンク 12 油圧作動バルブ 13 油圧ポンプ 14 金型 14a 固定側金型 14b 可動側金型 14c キャビティ 15 速度センサ 16 成形機制御装置 17 圧力センサ e 指令電圧 W スプールの位置 KV バルブ開き定数 τ1 スプール開き遅れ時定数 t 時間 PS ポンプ圧力 PA バルブの入側圧力 PB バルブの出側圧力(ヘッド側油圧室圧力) PC プランジャ部前部に発生する溶融物の圧力 QL バルブを流れる作動油の流量 τ2 ポンプ圧力の伝達遅れ時定数 Kg バルブ流量定数 x ピストンの位置 V1 ヘッド側作動油の容積 Kh 作動油の体積弾性係数 KP 溶融物の体積弾性係数 m 総質量 A1 ピストンの断面積 A2 プランジャの断面積 Bf 摩擦係数 V2 溶融物の体積 QC ノズルを介し金型内に流れ込む溶融物の流量 μ 溶融物の粘度 Dh 円筒形キャビティの直径 hL 流動長さ P(t) 流動解析により得られる金型内への射出圧力 Q(t) 流動解析により得られる金型内への流量 f(t) 射出工程の目標値(所望する状態) U(t) 指令値 Dh1、Dh2、Dh3 等価円筒直径 HL1、HL2、HL3 等価円筒長さ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形機における射出工程中に射出成
    形機内と金型内で発生する諸々の動的挙動を複数の数式
    を用いて表現し、また射出工程での制御目標となる射出
    速度あるいは射出圧力などの目標値は時間などを変数と
    した関数f(t)で表現しておき、前記動的挙動を表現
    する数式と前記f(t)とを連立して解くことにより、
    制御装置から油圧作動バルブや電気モータなどの射出装
    置を動かすアクチュエータに出力する最適な指令値U
    (t)を算出し、目標どおりの射出状態f(t)を実現
    する射出成形機の制御方法において、キャビティ形状に
    大きな影響を受けるため数式で表現することが困難な金
    型内での溶融物の動的挙動は、キャビティ形状を微小要
    素に分割したモデルを作成し、有限要素法あるいは境界
    要素法など数値解法を利用した金型内流動解析を用い、
    圧力あるいは流量などを時間を変数とした関数P
    (t)、Q(t)で求めることにより、金型内での溶融
    物の動的挙動を正確な数式P(t)、Q(t)などで表
    現するとともに、その他の動的挙動を表現する数式とf
    (t)とを連立して解き高精度な指令値U(t)を算出
    し、射出工程を所望する射出状態f(t)に制御するこ
    とを特徴とする射出成形機の制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の制御方法において、有
    限要素法あるいは境界要素法など数値解法を利用した金
    型内流動解析から求まる圧力、流量などの時間を変数と
    した関数P(t)、Q(t)より、前記金型内での溶融
    物の動的挙動と等価の動的挙動を示す円筒形、円錐形、
    平板形など簡単な数式で表現することにより、高精度な
    指令値U(t)を算出し、射出工程を所望する射出状態
    f(t)に制御することを特徴とする射出成形機の制御
    方法。
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