JPH08173859A - 水性塗料の真空塗装方法及び真空塗装室 - Google Patents

水性塗料の真空塗装方法及び真空塗装室

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JPH08173859A
JPH08173859A JP6340822A JP34082294A JPH08173859A JP H08173859 A JPH08173859 A JP H08173859A JP 6340822 A JP6340822 A JP 6340822A JP 34082294 A JP34082294 A JP 34082294A JP H08173859 A JPH08173859 A JP H08173859A
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coating
paint
chamber
air
water
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Ikuo Tochisawa
郁夫 栃澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水性塗料を、大気の温度や湿度に影響され
ず、即ち季節変動に影響されず、安定した美麗な塗膜が
得られ、かつ塗装室への新鮮空気供給量を大幅に減少さ
せ、塗着効率を上げてコストダウンを行う方法と、塗装
室を提供する。 【構成】50torr以上250torr以下の低い真
空度の気圧に維持された塗装室3内で、水性塗料を微粒
化し塗装することにより、塗料中の水分の蒸発速度と微
粒化塗料の落下速度をコントロールする。さらに静電塗
装において塗装室を実質的に誘電体で形成し真空効果と
の相乗効果により塗着効率を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性塗料を微粒化して行
う塗装に関するものであり、特に自動車などの上塗り塗
装に関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】自動車等などの上塗り塗装には、
エアースプレイ塗装法や回転霧化式などの静電塗装法が
用いられている。これらの塗装法はいずれも液状の塗料
を微粒化して行うものであるが、平滑で美麗な塗装を行
うには塗料の微粒化度を上げる方が好ましい。それゆえ
微粒化しやすくするため、塗装前に石油系溶剤で形成さ
れるシンナーを加えることにより低い粘度に調整されて
いた。微粒化された塗料はその飛行中に20〜40%の
シンナーを空気中に蒸発させ、その粘度を適度に上昇さ
せて塗着する。そのさいシンナーの蒸発速度が遅すぎる
と、、粘度が低いままで塗着するので、被塗物の垂直面
上で塗料が垂れる、いわゆるタレ現象を生ずる。反対に
シンナーの蒸発速度が早すぎると、微粒化した塗料の粘
度が上がり過ぎたり、表面だけが乾いたりして、被塗物
に塗着後、塗膜が平滑化されず、美麗な塗膜面が得られ
ない。また塗着時に巻き込んだ気泡が抜けず、乾燥固化
させるため加熱された時にピンホールや凹みを発生する
ことになる。またアルミ箔を含むメタリック色の塗料を
塗装する場合、シンナーの蒸発速度が適切でなく、塗料
微粒子内の溶剤濃度分布に大きな勾配が形成されると、
アルミ箔の濃度分布や配列方向に差異が発生し、その色
調と標準の色調との間に大きな差異が発生する。それ故
石油系溶剤塗料の場合、シンナーとして蒸気圧と蒸発潜
熱の異なる数種の石油系溶剤を配合し、季節や気温の変
化に対し、その組成比率を変化させることにより、色調
や蒸発量を調整したり、微粒化前の塗料の温度を変えて
膜厚を調整していた。
【0003】ところでエアースプレー塗装法にしろ、静
電塗装法にしろ、これらの塗装法は、鋼板等で形成され
た塗装室内において、圧縮エアーや静電気力などにより
微粒化された塗料を、常圧の空気流れの中に配置された
被塗物に吹き付けるものであった。すなわちエアースプ
レー塗装は圧縮空気を液体塗料に吹き付けて平均粒径が
50〜150μに微粒化するものであり、簡便に微粒化
できるので、古くより使われている。しかし微粒化した
塗料が、圧縮空気の拡散に伴って拡散するため、被塗物
に塗着しない多くの余剰の微粒化塗料が発生し塗着効率
が低下した。また静電塗装は、アースされた被塗物を対
電極とし、一方塗装室内に配置された静電塗装機が具備
する放電極に、通常60〜130kvの直流高電圧を印
加し、20〜100μに微粒化された塗料を、両電極間
に形成される電気力線に乗せて飛行させ、被塗物に塗着
させるものであり、静電気力が強く働くのでエアースプ
レー塗装に比し格段に塗着効率が高い。しかしながら静
電塗装を行っても、実際には多くの原因で塗着効率が低
下し、大量に余剰な微粒化塗料が発生する。静電塗装に
おいて塗着効率を低下させる原因の一つは、塗装室内の
不必要な方向への空気の流れであり、それゆえ出来る限
り室内風速を小さくするのが好ましく、例えば15cm
/s以下が好ましいとされている。また静電塗装におけ
る塗着効率を低下させる他の原因は、塗装室が導電体で
形成されているため、放電極からの電気力線が、被塗物
のみならず、塗装室全体に及ぶことである。そのため被
塗物に塗着しない大量の余剰な微粒化塗料を発生させ
た。被塗物に塗着しなかった余剰の微粒化塗料は、塗装
室内に長時間滞留するとダスト化して被塗物に落下し塗
装不良品を発生させるため、速やかに室外に排出せねば
ならない。それゆえ排出空気量とほぼ同量の新鮮空気を
室外から塗装室に供給し、これを排気装置により余剰な
微粒化塗料とともに強制的に室外に排出していた。
【0004】しかし排気量と給気量を等しくしても、供
給空気が被塗物の面で衝突し、流れの方向と直角方向に
流れるため、全体としては一方向に流れても、種々の方
向の不規則な流れが発生し、微粒化塗料が簡単に落下せ
ず塗装室内に長く滞留する。また静電塗装の場合、微粒
化塗料が帯電しているため、塗装室天井部や壁面を形成
する材料との間にクーロン力が働きさらに落下が困難と
なる。その為、エアースプレーの場合も、静電塗装の場
合も、塗着効率を犠牲にして、塗装室内に排出方向に強
い空気流を形成し、その平均風速を30cm/sec以
上とせざるを得なかった。それゆえ例えば11時間に3
0台の自動車を塗装する場合、1つの上塗り塗装室に対
し、下向き方向に5000−6000m/minとい
う莫大な量の排気と給気が行われていた。そして塗装室
に給気する際、供給する新鮮空気中に含まれるゴミを除
去するため、フィルターによる濾過がおこなわれてい
る。しかし大量の空気をフィルターで濾過すると、目詰
まりが発生し、安定的に濾過性能を維持できないため、
大量の水や温水をシャワースプレーして洗浄していた。
それゆえ供給空気が加湿され、その相対湿度は80%以
上に上昇していた。
【0005】ところで近時、地球環境保全の為、また静
電塗装時の火災を防止するため、水溶性有機溶剤の含有
量が15%以下の水性塗料すなわち石油系溶剤を殆ど含
まない水性塗料の普及が期待されている。しかし微粒化
した塗料中の水分及び水溶性有機溶剤(以下水分と称す
る)の蒸発速度が、塗装室に供給する空気の温度や湿度
の影響を受けるため、必要な膜厚を得ることが困難であ
り、またアルミ箔片を含むメタリック色塗料の色調が湿
度に影響されるため、平滑で美麗な塗膜を四季を通じて
安定的に得ることが困難であった。このことは微粒化前
の塗料温度を変えても、水分の蒸発潜熱が大きすぎるた
め殆ど効果が得られなかった。そのため水性塗料は許容
空気条件として、乾球温度が20〜30℃で関係湿度が
45〜55%などの狭い空気条件範囲内で、エアースプ
レー塗装や静電塗装が行われていた。しかるに実際の大
気条件は気温が年間に5〜40℃関係湿度が30〜10
0%の範囲で変化し、1週間単位で考慮しても15℃以
上の気温変動と、60%以上の関係湿度変動に対応する
必要があった。しかも塗装室への供給空気は、上述のご
とくゴミを除去するために水や温水で洗浄すと、関係湿
度の変動は小さくなるものの、湿度が上昇し、水性塗料
の塗装には殆ど適しない高湿度となった。それゆえ水性
塗料を微粒化して上塗り塗装するには、供給空気の温
度、湿度に応じて加温、冷却や加湿、除湿を行い、前述
のごとく標準条件を設定し、その許容範囲内に、空気条
件を調整するしか方法がなかった。しかしエアースプレ
ー塗装や静電塗装を行うと、石油系溶剤塗料の場合と同
様に、大量の余剰の微粒化塗料が発生し、これを排出す
るため、大量の給気および排気が必要であった。それゆ
え石油系溶剤塗料の場合と同様に塗着効率が低下するの
みならず、加熱や冷却に大きなエネルギーと費用を要
し、特に冷却や除湿に大きなエネルギーと費用が必要と
なり、石油系溶剤塗料に比し塗装コストが著しく上昇し
た。そのため水性塗料は、その低公害性のため普及が期
待されているにもかかわらず、普及が進行しなかった。
【0006】そこでこれを解決するため、特公昭62−
5656において、空気量を5〜40ft/minの
流速と30〜95ポンド/平方インチの空気圧の圧縮空
気を用いて、塗料を5〜30オンス/分の量を、空気温
度が15〜40℃の範囲内で推進力値を0.002〜
0.004に調節して、スプレー塗装する方法が開示さ
れている。この方法は、供給空気の湿度と湿球温度にお
け湿度との差、すなわち表面蒸発にたいする推進力値を
一定にすることにより、蒸発量を一定にする方法であ
り、供給空気の湿度に応じて、加熱と加湿のみによって
空気の湿球温度を変更し、推進力値従って塗料表面の水
分蒸発速度を変化させることができる方法である。この
方法によれば、例えば夏季において、供給空気温度が3
2℃、関係湿度が80%の場合、推進力値は0.001
4であるが、これを空気温度を37℃に加熱すれば、関
係湿度が60%となり、また推進力値として約2倍の
0.003が得られ、微粒化された塗料の表面が濡れて
いる限り、表面蒸発速度が一定となり一定の蒸発量が得
られる。
【0007】しかし表面蒸発速度は、微粒化された塗料
中の水分の内部拡散速度に制限され、一方内部拡散速度
は塗料の温度により変化する。しかるに微粒化された塗
料の温度は瞬間的に周辺空気の湿球温度に収斂し、従っ
て周辺空気条件の変化により、塗料微粒子の内部拡散速
度が変化する。それゆえ、空気を加熱しても加熱後の空
気の湿球温度が標準条件より低温度の場合、内部拡散速
度が標準条件より小さくなるため、推進力値を0.00
2〜0.004に維持して表面蒸発速度を大きくして
も、蒸発量が増大しない。そのためタレ現象が発生した
り、反対に表面のみが乾いて平滑な面が得られなかった
りする。また空気の加熱により、湿球温度が標準条件よ
り高くなり塗料温度が上昇し、内部拡散速度が標準条件
より大きくなった場合、推進力値が0.002〜0.0
04の範囲内でも、微粒化された塗料の内部拡散速度と
表面蒸発速度が異なるると、塗料微粒子の表面部と内部
の水分濃度に差異が発生し、表面の水分濃度が高くなる
場合が発生する。それゆえアルミ箔を含むメタリック色
の塗料を塗装した場合、アルミ箔の分布や配列方向に変
化を与え、標準条件で塗装した場合に比し、大きな色調
の差異が発生し、好適なメタリック色が得られなかっ
た。それゆえ空気条件としてはコストを度外視して加
熱、冷却や、加湿、除湿によって、その乾球温度温度お
よび関係湿度を塗料の内容に応じて20〜30℃、45
〜55%や70〜80%などの狭い範囲の標準条件に空
気の温度や湿度を調節して塗装するしかなかった。その
ため冬季においては大量の加熱エネルギーを消費し、夏
季においては、,除湿と冷却に大きな費用が必要となっ
た。
【0008】本発明は従来技術の抱える問題点に鑑み
て、水性塗料のエアースプレー塗装や静電塗装におい
て、塗着効率が高く、かつ安定した品質の得られる塗装
室内環境を形成する方法と塗装室を提供するものである
る。すなわち微粒化された塗料の落下速度をコントロー
ルすることにより、塗装室へ供給する新鮮空気量を大幅
に減少せしめ、かつ空気量を減少させても、余剰ダスト
を速やかに塗装室外に排出する塗装方法と塗装室を提供
することが第1の課題であり、同時に微粒化された水性
塗料の水分の蒸発速度をコントロールし、四季を通じて
ピンホールやタレのない均一な塗装品質を安価なコスト
で確保する塗装方法と塗装室を提供することが第2の課
題である。
【0009】
【課題を解決する為の手段】課題を解決する為に、本発
明が提供する手段は、水性塗料を微粒化して行う塗装法
において、塗装室内を低い真空度の気圧に減圧すること
により、前記微粒化された水性塗料の落下速度と水分の
蒸発速度を調節して塗装することを特徴とするものであ
り、気圧を粒径により決定することと、気圧が50to
rr以上250torr以下である事を特徴とすること
を含む。また塗装が静電塗装であって、静電塗装電圧を
気圧の減圧度にほぼ比例して低下させることを含むもの
である。さらに水性塗料を微粒加して塗装を行う塗装室
であって、該塗装室が塗装室の内部を真空に維持する手
段を具備することを特徴とするものであり、前記塗装室
が誘電体材料で形成されている事を特徴とすることを含
み、また前記塗装室を形成する主たる材料が、鉄筋コン
クリートであることを特徴とすることを含むものであ
る。
【0010】
【作用】本発明の手段によれば、真空が維持された塗装
室内で水性塗料が微粒化され、塗料中の水分の蒸発速度
を調節して塗装されるので、タレたり表面のみが乾いた
りせず、平滑な面が得られ、塗膜にピンホールが発生し
ない。また微粒化塗料の表面蒸発速度と内部拡散速度を
ほぼ等しくできるので、塗料微粒子内部の水分の濃度分
布が均一性を保持するため、メタリック色塗料を塗装し
た場合、塗料中のアルミ箔の分布に差異が発生せず、従
って色調に差異が発生しない。また本発明の手段により
静電塗装した場合、気圧の減圧度に応じて電圧を低下さ
せて静電塗装するので、電界が緩和され被塗物の凹凸に
よる影響が小さくなり、均一に塗装できる。また不規則
な方向の空気流れが実質上発生しないので、塗着効率が
大幅に向上する。また気圧が粒径に応じて決定され、5
0torr以上250torr以下の比較的低い真空度
で塗装するので、真空の維持が容易である。また真空度
が低いので静電塗装室は誘電体で形成することができ
る。さらに鉄筋コンクリートを用いることができるので
大型の塗装室が形成できる。それゆえ不必要な電気力線
が形成されないので,塗着効率が向上する。一方塗装室
が粒径に応じた気圧に維持されているので、塗着しなか
った余剰の塗料は、速やかに自然落下する。それゆえ余
剰塗料がダスト化して塗装不良を発生させることがな
く、塗装室への供給空気量を大幅に低下できる。
【0011】さらに作用について詳細を説明すれば本発
明においては、低い真空度の気圧に減圧れた塗装室内
で、微粒化された水性塗料が被塗物に塗装される。真空
下では、微粒子の運動にたいする空気抵抗が、気圧にほ
ぼ比例して小さくなるので、塗装室内に空気流れが全く
無くとも、微粒化塗料の落下速度を15cm/sec以
上とすることができる。従って塗装室内に微粒化塗料が
充満することがなく、安定して塗装作業が継続できる。
すなわち微粒子の落下速度は、化学工学の教科書が示す
ごとく、常圧下ではストークスの法則により、粒径のほ
ぼ2乗に反比例する。例えば比重が1.2以上で粒径が
60μ以上の塗料微粒子は、その自然落下速度が常圧下
でも約15cm/sec以上であり、空気流れが無くと
も、充分な落下速度となる。しかるに粒径が30μの場
合は常圧下では6cm/Sec以下に低下し、粒径が2
0μの場合は常圧下では2cm/sec以下であり殆ど
自然落下せず塗装室に充満することになる。しかるに塗
装室の気圧を250torr以下に減圧すれば20μの
塗料微粒子は、アレンの法則に従い10〜12cm/s
ecが得られ、200torrで15cm/secが得
られ充分な落下速度となる。また粒径が15μの場合は
100torrで15〜20cm/secが得られ、1
0μの場合は50torrで15〜25cm/secの
落下速度が得られる。実際上の粒径分布はエアースプレ
ーにおいて50〜150μであり、遠心力で微粒化する
静電塗装においては、回転数により変化するが、概ね3
0〜80μである。それゆえ十分な落下速度の確保に必
要な塗装室の減圧条件は気圧が250torr以下であ
り、200torr以下がより好ましい気圧である。た
だし10μ以下の粒径の微粒子は通常の微粒化方法では
殆ど形成されず、また平滑性や塗着効率が殆ど向上せ
ず、それゆえ50torr以下に減圧する必要性が無い
のみならず、50torr以下とすると、真空条件維持
に著しく費用が増大するので好ましくない。一方水性塗
料中の水分の蒸発速度は周辺空気の全圧に反比例して増
大するので,250torr以下で充分な蒸発速度が得
られる。従ってタレることがない。しかも塗料中の内部
拡散速度も全圧に反比例して増大するので、蒸発速度が
過大になることもない。それゆえ塗装室の真空度は50
torr以上250torr以下とし、常圧下で定法に
従って測定された粒径分布によりその値を決定すればよ
い。
【0012】また本発明において用いる塗装室内の真空
度は比較的低い真空度であり、また鉄筋コンクリートが
実質上誘電体材料として使用できるので、大型の塗装室
を形成することが可能であり静電塗装機からの電気力線
が天井部や壁面に及ばない。また大型の塗装室が形成で
きるため、水性塗料を静電塗装した場合、塗装室の天井
や壁面上部に設置した照明器具など導電体機器や、塗装
室内に配置した静電塗装機の支柱や、レシプロケーター
など導電体機器への電気力線を制限する保護電極を配設
し静電塗装機へ印加する電圧と同極性の直流高電圧を印
加できる。そのため静電塗装機から不要の電気力線が発
生しない。また搬送装置として、天井走行式コンベアー
を用いても、ハンガーなどの長さを余裕をもって、設定
できるので、電気力線の方向を制限する保護電極を配設
することが出来る。このような保護電極は特願平6−2
81101に記載されているものが用い得る。それゆえ
不要の電気力線を発生させない。それゆえ塗着効率が向
上し、また帯電した微粒化塗料が塗装室内に浮遊し滞留
することがない。
【0013】それゆえ本発明においては、エアースプレ
ーや静電塗装によって発生した余剰の微粒化塗料の排出
に大量の排気または給気を必要としない。給気量は微粒
化塗料中の水分の蒸発により、増大する湿度を調整する
分だけでよい。従って供給空気量が少ないので、不規則
な空気流れが発生しない。それゆえ塗着効率が大幅に向
上する。また供給空気の温度および湿度の調節が容易で
あり、四季を通じて安定した空気条件を安価な設備費用
と低いエネルギーコストで得ることが可能となる。
【0014】また本発明の手段によれば静電塗装機に印
加する塗装電圧は、塗着効率を低下させることなく、常
圧下での電圧より低下させることができる。すなわち常
圧下においては、塗装機に付設される電極と被塗物との
距離が20〜30cmの場合、電極に60kv〜130
kvの高電圧を印加して、コロナ放電させることによ
り、電極付近の空気をイオン化し、これを微粒化した塗
料に付着させ電荷を与える。この帯電量と電界の強さに
より、対電極との引力即ち静電効果が定まる。しかるに
低い真空下例えば10torr以上の気圧の真空下では
放電の起こりやすさは、ほぼ気圧に反比例するというパ
ッシェンの法則に従う。それゆえ本発明における静電塗
装においては、塗料の成分によって多少変化するが、極
間距離を20〜30cmとし、気圧を粒径に応じて50
〜250torrとした場合、気圧に応じて印加電圧は
4kv〜45kvの範囲内で電圧を変化させれば、常圧
時と変わらない帯電率が得られることになる。それゆえ
塗着効率を低下させる事なく塗装機の電界が緩和され
る。それゆえ被塗物の凹凸にたいし均一な塗装ができる
ことになる。
【0015】一方水性塗料を空気中で微粒化すると、瞬
間的に塗料微粒子の表面温度および塗料表面に接する空
気温度が変化し、周辺空気の湿球温度tに収斂する。
そこで微粒化した水性塗料の表面蒸発速度をαとする
と、αは微粒化塗料の表面温度tにたいする水蒸気圧
と周辺空気の水蒸気分圧pとの差、(p−p)に
比例し、水蒸気の空気側境膜内での移動係数kにこ比例
する。また移動係数kは標準条件にたいする全圧χに反
比例し、空気の絶対温度の二乗に比例する。これを
【数1】 に表す。一方微粒化塗料中の内部拡散速度βは塗料温度
によって定まる水分の蒸気圧pに比例し標準条件
にたいする全圧に反比例する。しかるに塗装における微
粒化塗料の粒径は小さく、従って熱容量が小さく、それ
に比して蒸発潜熱が大きいため、表面のみならず、塗料
粒子全体の温度は殆ど周辺空気の湿球温度tとなる。
それゆえこれを
【数2】 と表すことができる。ここで水蒸気圧pm,pは水性塗
料中に含まれる水分すなわち水と水溶性溶剤との組成比
率に応じて定まる合計分圧である。しかるに水溶性溶剤
量が15%以下の少ない量のため、その合計分圧は水の
蒸気圧にほぼ比例的に変化するので、水分の全量を水と
しての蒸気圧で代用できる。微粒化された塗料が塗着後
安定した色調を発生するのは、内部拡散速度と表面蒸発
速度が等しいときであり、すなわち
【数3】 が成り立つ場合である。すなわち
【数4】 が成り立つことである。
【数4】を書き換えれば
【数5】 が得られる。しかるにkは空気の風速や塗料微粒子の
速度が一定であれば一定であり、kは塗料の粘度など
や温度が一定であれば、一定なので、塗料の種類毎に一
定である。それゆえ空気温度と湿球温度に対応する水蒸
気圧pおよび水蒸気分圧pを塗料の種類毎に調節すれ
【数5】が成り立つことになる。
【数5】においてpは供給空気の水蒸気分圧、すなわち
乾球温度および関係湿度を一定とすれば、全圧に反比例
する一定値であり、またTは空気温度で一定とするのが
容易であり、いずれも容易に調節できる。それゆえ湿球
温度tを調節すれば、水蒸気圧pが調節できるの
で、内部拡散速度αと表面蒸発速度βの値を等しくする
ことが出来ることになる。しかるに真空下での湿球温度
は周辺空気のエンタルピーによって定まるので.凋
辺空気温度を調節すれば、湿球温度tを調節できる。
それゆえ塗料の種類が変わっても四季を通じて良好な蒸
発速度を確保することが出来ることになる。すなわち表
面蒸発速度と内部拡散速度が等しいので、表面だけがと
いう現象が発生しない。従って平滑化能力が低下せず美
麗な塗膜が得られる。さらにメタリック塗料を用いた場
合はアルミの濃度勾配が発生しない。それゆえ色のムラ
が発生しない。しかも供給空気量が少ないで、その温度
および湿度を安価なコストで調整できるので、四季を通
じて安定した塗装条件が得られる。また塗装室内の全圧
が低下しているので、微粒化された塗料が被塗物に塗着
したとき気泡を巻き込まない。従ってピンホールが発生
しない。すなわち四季を通じて平滑で美麗な塗膜が安定
して得られることになる。
【0016】以下に自動車の上塗り塗装を気圧が200
torrの塗装室内で行う実施例に基ずき本発明の実施
の態様と作用の詳細を説明する。
【0017】
【実施例】図1から図4は自動車を上塗り塗装を行うた
めの本発明を示す塗装装置の一例である。すなわち図1
は本発明による塗装室の1実施例の縦断面図であり、図
2は連続生産を行う為の塗装室や圧力調整室などの配置
を示す図である。図3および図4は、圧力調整室および
塗装室への給気システムの例を示すものである。
【0018】図2において被塗物および台車は、まず入
り口側圧力調整室2に入る。入り口側圧力調整室へ入る
前に、洗浄工程や電着塗装工程やマスキング工程などが
あり、また塗装後は乾燥工程が続くが、いずれも通常の
方法でよく本発明と直接の関係がないので詳細な説明は
省く。また上塗りの前に中塗り工程として水性塗料を用
いる場合は本発明の塗装室を別に配設すればよい。入り
口側圧力調整室2は、大気圧即ち760torrから塗
装室3の運転条件、すなわち200torrまで周期的
に気圧の調整が行えるようになっている。大気圧状態の
入り口側圧力調整室2に被塗物が入ると、第1密閉扉5
が密閉され、排気システム10が作動し、所定時間内に
減圧を行う。入り口側圧力調整室2の気圧が塗装室3の
気圧と等しくなったとき、即ちこの場合200torr
となったとき、入り口側圧力調整室2と塗装室3の隔壁
に取り付けられた第2密閉扉6が開き、被塗物が塗装室
3に送られる。被塗物が塗装室3に入り終わると、第2
密閉扉6が密閉され、入り口側圧力調整室2の給気シス
テム11、12が作動し大気圧に戻る。続いて第1密閉
扉5が開いて次の被塗物が入ってくる。入り口側圧力調
整室2では、以上の操作が繰り返えされる。この間の被
塗物の動作は間欠的であるが、停止の早送りを組み合わ
す事により、全体の流れとしては連続的移動、即ち連続
的生産が可能となる。塗装室3に入った被塗物は停止状
態または連続的に移動しながら、静電塗装またはエアー
スプレー塗装が行われる。塗装された被塗物は、塗装室
3の出口側定位置に到達すると、出口側圧力調整室4と
の隔壁に設けられた第3密閉扉7が開き、気圧が200
torrに調節された出口側圧力調整室4に移動する。
入り終わると第3密閉扉7が閉じられ、給気システム1
3、14が作動し圧力を大気圧即ち760torrまで
戻す。続いて出口側の第4密閉扉8が開き、被塗物は乾
燥工程に移動する。
【0019】以下に塗装室3の好ましい運転条件例を上
塗り塗装面積が30m/台の自動車を2分当たり1台
の速度で、不揮発分濃度22%の水性塗料を合計40μ
の膜厚に、静電塗装機とエアースプレー塗装機により、
塗装する場合について必要な新鮮空気の供給量や、排気
量、および必要な真空ポンプの動力の大きさについての
計算例を
【表1】 に示す。ただし必要な塗料の量は塗着効率を90%と
し、塗装室3の気圧は平均粒径の小さい静電塗装機の粒
径に合わせ、200torrに維持するものとする。
【0020】また供給空気条件は、四季を通じて一定と
すれば、蒸発速度に影響する要因が減圧後の湿球温度だ
けとなり、蒸発速度の調節がより容易となるので好まし
い。それゆえ乾球温度25℃関係湿度50%とするもの
とすれば
【表1】に示すごとく必要空気量は41.5kg/mi
nとなる。すなわち四季を通じて外気を水で洗浄した
後、乾球温度を25℃、関係湿度を50%に調節した空
気を常圧で41.5m/min供給すればよい。また
排気は到達真空度50torrの真空ポンプを用いて2
00torrの気圧として157.7m/minの排
気を行えばよい。実際上は余裕をみて200m/mi
n程度排気するのが好ましい。この場合供給空気量は7
60torrとして52.6m/minとなる。また
塗料温度は空気温度とほぼ等しい温度すなわち20〜2
5℃とすればよい。また蒸発に必要な熱量は遠赤外線に
よって与えればよく、電気量は20〜23kwとし、電
圧可変型とすればよい。
【0021】このようにした場合、本発明による新鮮空
気供給量は、従来法の5000〜6000m/min
に比べると約1/100となり、空調に必要なエネルギ
ー費用が従来法に比して、約1/100となる。それ故
本発明においてはエアーコンデイショニングが、四季を
通じて容易に実施できる。また給排気に所要の電気動力
で比較すると、従来法では、給気用と排気用の送風機に
それぞれ300〜350kw必要で合計600〜700
kw必要であるが、本発明においては,後述の入り口側
(180kw)および出口側圧力調整室(180kw)
に必要な真空ポンプを加えて660kwで充分でありほ
ぼ等しい。
【0022】次に各室の構造及び操作と作用について詳
細を説明する。
【0023】入り口側圧力調整室2は、鉄筋コンクリー
トを用いて密閉耐圧構造となっている。入り口側圧力調
整室2の入り口側及び出口側には、被塗物の出入りに必
要な大きさのFRP製の上下移動式密閉型扉5、6が具
備されている。密閉扉5、6の開閉は図示しない電動モ
ーターにより自動遠隔操作がおこなわれる。入り口側圧
力調整室2は、図2に示すごとく、自然給気システム1
1と強制給気システム12との2つの新鮮空気供給シス
テムが具備されている。自然給気システム11は、図3
に示すごとく、圧力調整室上部ににヂストリビュウター
106が適宜のピッチでとりつけられていて、圧力調整
弁21、第1オリフィス22、ヘッダー23、ヒーター
29、第2オリフィス24、ストップ弁25、フイルタ
ー26,エリミネーター27、サイクロンスクラバー2
8を経て外部と通じている。圧力調整弁21は真空状態
から大気圧に戻すとき、別途に与えらる信号により開く
ようになっており、圧力調整室2が大気圧になると自動
的に閉じるようになっている。ヒーター29は冬季にお
いても20℃に加温出来る能力となっている。オリフィ
ス22、24は新鮮空気量を制限するもので、給気速度
を測定してその口径を定めて設置される。自然給気によ
って、圧力調整室2内の圧力が730〜750torr
となったとき、強制給気システム11が作動し、先ずス
トップ弁33が開き、次いで750torrとなったと
きストップ弁36が開き、さらにブロアー37が作動
し、大気圧になると停止する。強制給気システム12は
図3に示すごとくヂストリビューター42、圧力調整弁
34、ヘッダー35、ストップ弁36、33、送風ブロ
アー37、フイルター38、エリミネーター39、シャ
ワースクラバー40、ヒーター41よりなる。また入り
口側圧力調整室2の最下部付近の壁面には、図2に示す
ごとく吸引ノズル50が取り付けられ、排気システム1
0に接続されている。排気システム10は、図示しない
到達真空度50torr、排気能力が20m/min
の真空ポンプ6台と電動バルブよりなる。入り口側圧力
調整室2の給気および排気と扉の開閉操作について
【表2】 に示す。また圧力調整室2には、その他付属設備とし
て、床部分に、台車などの搬送装置を取り付けたり、ま
た作業者が入ったときの通路や照明などが設けられる。
【0024】塗装室3の断面形状は、図1に示すごと
く、塗装ゾーン62と下部の余剰ダスト捕集室63の2
ゾーンに分割されている。塗装室3の幅や長さ方向の寸
法は、被塗物の大きさや塗装機やロボットの作業性や、
生産量に応じた塗装機やロボットの台数を考慮して決定
されるべきものであり、充分な余裕をもった寸法とすれ
ばよい。また必要があればウエットオンウエット塗装に
対応し、遠赤外線加熱ランプを配してもよく、結局通常
の大気圧下における場合とほぼ等しい幅と長さとすれば
よい。塗装室3の壁面64や天井面65は誘電体で形成
されるが、本発明における誘電体材料としては、塩ビや
ベークライト等のプラスチックス材料、ガラス、セラミ
ックス、FRPや、セメントブロックの他、鉄筋コンク
リートが実質上誘電体として使用出来る。塗装室3の壁
面64や天井面65を鉄筋コンクリートで形成した場
合、コンクリートが充分に乾いた後、上部及び中央部壁
面の内面に塩ビ板をライニングするのが好ましい。また
外面は塩ビ系塗料で被覆され、吸水を防止するようにな
っている。塗装ゾーン62への新鮮空気供給システム6
6は、図4に示すごとく、ヂストリビューター67が適
宜のピッチで設置されていて、外部の第1オリフイス9
3、ノズルヘッダー91、エアーコンディショナー9
9、第2オリフィス95、ストップ弁94,エアーフイ
ルター96、エリミネーター97、サイクロンスクラバ
ー98を経て外気と通じている。オリフィス93、95
は供給量を制限するためのものであり、その口径はサイ
クロンスクラバー98の入り口の風速を測定して決定す
ればよい。また運転中は塗装室の圧力を測定し、ストッ
プ弁94の開閉により、調節すればよい。塗装ゾーン6
2の壁面64の上部および下部には図1に示すごとく照
明器具71が適宜取り付けられている。また監視用の窓
70が適宜に設置されている。また作業者が外部から出
入り可能な耐圧性をもった扉9が図2に示すごとく適宜
設けられている。塗装ゾーン62の床面は、鉄鋼製のグ
レーチング72が敷かれている。また床面の中央は、被
塗物74を搬送するコンベアー73が通過できるように
なっている。被塗物74は台車に乗せられているが、被
塗物を含めてこれらの導電体はすべてアースされてい
る。塗装室3の下部ゾーンはダスト捕集室63となって
いる。捕集室63の壁面は鉄筋コンクリートなどで形成
されている。塗装ゾーン62の床面72の下には、ダス
ト捕集板75が配設されており、水循環ノズル79によ
って水膜80が形成されており、被塗物74に塗着しな
かった余剰の微粒化塗料は、重力と下向きの静電気力と
下向きの風速により塗装ゾーン62の下部に落下し、水
膜80に衝突し、水とともに最下部に溜められている捕
集用水76に捕集される。捕集用水76は塗装室3内に
設置されている図示しない循環ポンプで床面の水膜80
と循環している。塗装室3の真空状態を維持する手段と
して、ダスト捕集ゾーン63の最下端付近壁面には、排
気システム68に通ずるノズル69が取り付けられ、塗
装室外に配設されている排気システム68と連結されて
いる。排気システム68は、図示しない排気能力20m
/minの真空ポンプ10台がヘッダーで連結され、
圧力計78により調節されている。真空ポンプとして
は、水回転式が用いられているが蒸気エジェクター、水
エジェクターや油回転ポンプなども用い得る。
【0025】静電塗装には内部印加型静電塗装機が用い
られ200torrなので、常圧下での120kvにた
いし、比例的に低下させればよく従って32kvの高電
圧が印加される。また遠心力で微粒化されるカップ型静
電塗装機を用いる場合は、粒径分布が30〜80μとな
るよう回転数が設定される。静電塗装機103の高圧発
生機100や塗料タンク102は、図2に示すごとく塗
装室2の外に設置され、塗装室2内の静電塗装機103
とはレントゲンケーブル104や塗料ホース105で接
続される。内部印加型の静電塗装機にたいしては、高電
圧が外部の塗料輸送用機器類を通じて、漏電しないよう
塗装室内に配設される図示しない絶縁用ユニットが高圧
発生機100と接続されている。また静電塗装はレシプ
ロケーターを用いて、2次元乃至3次元的な動きをさせ
るが、レシプロケーターは導電体で形成されているの
で、静電塗装機103の放電極から被塗物74方向とは
反対の方向に電気力線を発生させる。これを防止するた
めに電気力線の方向をコントロールできる整形電極を備
えた静電塗装機や保護電極を用いるのが常圧下での静電
塗装と同様に好ましい。これらの静電塗装機や保護電極
は特願平6−281100、特願平6−281101な
どに記載されているものが用い得る。また水分蒸発用の
0.2〜0.5kwの低温型補助ヒーターが合計22k
w塗装機の背後に分割して取り付けられている。ヒータ
ーは電圧を変えて温度を調節できるようにするのが好ま
しい。
【0026】出口側圧力調整室4は、塗装室3の圧力か
ら大気圧に戻すために設置するものであり、入り口側圧
力調整室2とほぼ同様の構造および材料でよい。出口側
圧力調整室の扉と被塗物の動作表、および必要な真空ポ
ンプ能力は
【表2】に示す入り口側圧力調整室の場合と同様であ
る。
【0027】以上の実施例は余剰ダストの捕集に水を使
用したが、クラフトフイルターなどを使用した乾式法も
可能である。この方法も排気システムや、給気システム
など上述の湿式法と本質的には同じであり、通常行われ
ている方法を用いればよい。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、水性塗料が真空状態に
維持された塗装室内で微粒化されるので、空気流れがな
くても、微粒化塗料の落下速度が充分に得られ、また水
分の蒸発速度が得られるので、風量を従来法に比し約1
/100に減少できる。従って塗装室条件を低コストで
四季を通じて一定に調節できる。それゆえ塗着塗料の粘
度が一定となりタレが発生しない。また微粒化された塗
料中の水分の表面蒸発速度と、内部拡散速度とをほぼ等
しく出来るので、濃度勾配を発生させることがなく、従
ってメタリック色塗料中のアルミ箔の配列方向が常圧下
での標準条件と変わらず、従って標準条件と同様の色調
が維持される。また表面乾きが発生しないので塗料なじ
みがよく、平滑な面が得られる。さらに真空下なので静
電塗装において、塗装電圧が低下できる。それゆえ電界
が緩和され、被塗物表面の凹凸にたいし均一な塗装が可
能となり、外観向上に寄与することなる。また塗装室内
に不規則な空気の流れが無いため、塗着効率が大幅に向
上する。さらに塗装室が誘電体や、鉄筋コンクリートで
形成されているため、静電塗装を行ったとき、電気力線
が被塗物の上方や水平方向へ向かわないので、塗着効率
が向上する。また帯電した微粒化塗料が、クーロン力で
空中に永く浮遊し、やがて落下して外観不良をもたらす
ことがない。
【0029】本発明は上述のごとく、水性塗料を用い
て、エアースプレー塗装機や静電塗装機を用いて上塗り
塗装に供して最も効果を発揮するものであるが、エアー
レス塗装機や超音波塗装機などによる塗装に適用するこ
とを妨げるものでない。この場合は微粒化度が低いので
真空度を200〜300torrとすることが可能であ
る。また本発明による塗装室は水性塗料を用いて効果を
発揮するものであるが、石油系溶剤塗料を使用すること
を妨げるものでない。石油系溶剤塗料を使用する場合、
使用するシンナーとしては、一定組成のかつ毒性の少な
い高沸点溶剤を四季を通じて使用する事が可能である。
高沸点溶剤の表面蒸発速度や、内部拡散速度も水の場合
と同様に気圧に反比例するからである。さらに本発明に
よる塗装室3において、粉体塗料を使用することを妨げ
るものでない。粉体塗料に用いた場合、逆電離現象や、
焼き付け時に発生する凹み、ピンホール現象を減少させ
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 圧力調整室及び塗装室の配置図
【図2】 塗装室縦断面図
【図3】 塗装室への新鮮空気供給システムを示す図
【図4】 圧力調整室への給気システムを示す図
【符号の説明】
3、塗装室 64、塗装室天井部 65、塗装室壁面 68、塗装室用真空ポンプ 103、静電塗装機

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性塗料を微粒化して行う塗装方法にお
    いて、塗装室内を低い真空度の気圧に減圧することによ
    り、前記微粒化された水性塗料の落下速度と水分の蒸発
    速度を調節して塗装することを特徴とする真空塗装方法
  2. 【請求項2】 気圧が水性塗料の粒径により決定される
    ことを特徴とする請求項1に記載の真空塗装方法
  3. 【請求項3】気圧が50torr以上250torr以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の真空塗装方
  4. 【請求項4】 塗装が静電塗装であって、静電塗装する
    電圧を気圧の減圧度にほぼ比例して低下させることを特
    徴とする請求項1に記載の真空塗装方法
  5. 【請求項5】 水性塗料を微粒化して塗装を行う塗装室
    であって、該塗装室の内部を真空に維持する手段を具備
    することを特徴とする真空塗装室
  6. 【請求項6】 塗装が静電塗装であって、塗装室が誘電
    体で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の
    真空塗装室
  7. 【請求項7】 塗装室を形成する主たる材料が、鉄筋コ
    ンクリートであることを特徴とする請求項5に記載の真
    空塗装室
JP6340822A 1994-12-22 1994-12-22 水性塗料の真空塗装方法及び真空塗装室 Pending JPH08173859A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007253085A (ja) * 2006-03-24 2007-10-04 Wood One:Kk 塗装機
JP2010188236A (ja) * 2009-02-16 2010-09-02 Honda Motor Co Ltd 静電塗装方法
KR102147944B1 (ko) * 2020-03-27 2020-08-25 지민석 차량 재도장 방법

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